JP2010223019A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料カット制御の終了後であっても、筒内充填空気量を正確に推定することができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、スロットル通過空気流量mtと筒内流入空気流量mcとに基づいて吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmを算出する吸気管モデルM12と、吸気管モデルによって算出された吸気管内圧力及び吸気管内温度に基づいて筒内流入空気流量を算出する吸気弁モデルM13と、吸気管モデルとは別に吸気枝通路内の温度Tmbを算出又は検出する枝通路内温度検出手段とを具備する。吸気弁閉弁停止制御終了後に吸気弁モデルによって筒内流入空気流量を算出するときには、吸気弁モデルによらずに枝通路内温度検出手段によって算出又は検出された吸気枝通路内の温度に基づいて筒内流入空気流量を算出するようにした。
【選択図】図11

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の運転を適切に制御するためには、吸気弁閉弁時に筒内に充填された空気量(以下、「筒内充填空気量」という)を把握する必要がある。筒内充填空気量を把握する方法としては、内燃機関の各種パラメータを検出するセンサの出力値を変数とする筒内充填空気量算出用のマップを予め用意しておき、センサの出力値とマップとから筒内充填空気量を推定する方法と、モデルから導き出されるモデル式を予め用意しておき、内燃機関の各種パラメータの値とモデル式を利用した数値計算によって筒内充填空気量を推定する方法とが考えられる。
このうち、数値計算を利用した方法としては、例えば、スロットル弁の開度及び吸気管内圧力に基づいてスロットル弁通過空気流量を算出するスロットルモデルと、スロットル通過空気流量及び筒内流入空気流量に基づいて吸気管内圧力及び吸気管内温度を算出する吸気管モデルと、吸気管内圧力及び吸気管内温度に基づいて筒内流入空気流量を算出する吸気弁モデルとからなる筒内流入空気量モデルが提案されている(特許文献1)。
特開2004−197614号公報 特開平11−336576号公報 特開2004−211590号公報 特開平2007−211747号公報
ところで、多くの内燃機関では、機関減速運転時に機関燃焼室への燃料の供給を停止する燃料カット制御を実行している。この燃料カット制御中に、スロットル弁を開弁したままにしたり、吸気弁を通常通りに開弁させたりすると、機関排気通路内に設けられた排気浄化触媒に空気が流入する。ところが、排気浄化触媒に空気が流入すると、いわゆる排気浄化触媒の酸素被毒を招いてしまい、排気浄化触媒の浄化性能を低下させることになる。このため、多くの内燃機関では、燃料カット制御中には、排気浄化触媒に酸素が流入するのを防止すべく、スロットル弁を閉弁させたり、吸気弁を閉弁状態で停止させたりしている。
ここで、燃料カット制御中に吸気弁を閉弁状態で停止させると、機関吸気通路内では次第に空気の流れが停止していく。機関吸気通路内での空気の流れが停止すると、特に吸気弁近傍の吸気枝管内に滞留する空気は、吸気弁の熱やシリンダブロックの熱を受けてその温度が上昇する。
一方、上述した筒内吸入空気量モデルでは、吸気弁モデルにおいて吸気管内圧力に基づいて筒内流入空気流量を算出しているが、この吸気弁モデルでは吸気弁が閉弁状態で停止されたことに伴う吸気枝管内の空気の昇温を考慮していない。このため、燃料カット制御終了後において、筒内充填空気量は、燃料カット制御中に吸気枝管内に滞留している空気の温度が上昇していないものとして算出されることになる。したがって、燃料カット制御終了後に筒内吸入空気量モデルによって算出される筒内充填空気量には、実際の筒内充填空気量との間に大きな誤差が生じてしまうことになる。
そこで、上記問題に鑑みて、本発明の目的は、燃料カット制御の終了後であっても、筒内充填空気量を正確に推定することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、吸気弁を閉弁状態で停止させる吸気弁閉弁停止制御を実行可能な内燃機関の制御装置において、スロットル弁を通過するスロットル通過空気流量と気筒内に流入する筒内流入空気流量とに基づいて吸気管内圧力及び吸気管内温度を算出する圧力・温度算出手段と、上記圧力・温度算出手段によって算出された吸気管内圧力及び吸気管内温度に基づいて筒内流入空気流量を算出するガス流量算出手段と、上記ガス流量算出手段によって算出された筒内流入空気流量に基づいて内燃機関を制御する機関制御手段と、上記圧力・温度算出手段とは別に吸気枝通路内の温度を算出又は検出する枝通路内温度検出手段とを具備し、上記吸気弁閉弁停止制御実行中は圧力・温度算出手段に入力される筒内流入空気流量をゼロとし、吸気弁閉弁停止制御終了後にガス流量算出手段によって筒内流入空気流量を算出するときには、上記圧力・温度算出手段によらずに上記枝通路内温度検出手段によって算出又は検出された吸気枝通路内の温度に基づいて筒内流入空気流量を算出するようにした。
第1の発明によれば、吸気弁閉弁停止制御終了後にガス流量算出手段によって筒内流入空気流量を算出するときには、圧力・温度算出手段によって算出された吸気管内温度ではなく、枝通路内温度検出手段によって算出又は検出された吸気枝通路内の温度が用いられる。このため、吸気弁閉弁停止制御を実行することによって吸気枝管内に滞留している空気の温度が上昇しても、吸気弁閉弁停止制御終了後に比較的正確に気筒内に流入する空気の温度を算出又は検出することができる。
第2の発明では、第1の発明において、上記吸気弁閉弁停止制御終了後において、上記ガス流量算出手段は、Pmを吸気管内圧力、Tmbを上記枝通路内温度検出手段によって算出又は検出された吸気枝通路内の温度、Taを外気温度、a及びbを機関回転数を変数として求まる値とすると、下記式(1)に基づいて筒内流入空気流量mcを算出する。
Figure 2010223019
第3の発明では、第1又は第2の発明において、上記枝通路内温度検出手段は、吸気枝通路内の温度を検出する温度センサによって吸気枝通路内の温度を検出する。
第4の発明では、第1又は第2の発明において、上記枝通路内温度検出手段は、吸気弁閉弁停止制御開始からの経過時間に基づいて吸気枝通路内の温度を推定する。
第5の発明では、第1〜第4のいずれか一つの発明において、吸気管内圧力を検出する圧力センサを更に具備し、上記吸気弁閉弁停止制御中に上記圧力・温度算出手段によって算出された吸気管内圧力の上昇率と上記圧力センサによって検出された吸気管内圧力の上昇率との間に生じる差分に基づいて上記吸気弁閉弁停止制御中に吸気弁が閉弁状態で停止されているか否かを判定する。
第6の発明では、第5の発明において、上記吸気弁閉弁停止制御中に上記圧力・温度算出手段によって算出される吸気管内圧力の上昇率と上記圧力センサによって検出された吸気管内圧力の上昇率との間に生じる差分が一定値以上に大きくなった時期に基づいて吸気弁が閉弁状態で停止されていない気筒を判定する。
第7の発明では、第5又は第6の発明において、上記吸気弁閉弁停止制御中に吸気弁が閉弁状態で停止されていないと判定された場合には、吸気弁閉弁停止制御終了後にガス流量算出手段によって筒内流入空気流量を算出するときには、ガス流量算出手段は、圧力・温度算出手段によって算出された吸気管内圧力によらずに上記圧力センサによって検出された吸気管内圧力に基づいて筒内流入空気流量を算出する。
第8の発明では、第1〜第4のいずれか一つの発明において、機関吸気通路内を通過する空気の流量を検出する空気流量検出手段を更に具備し、上記吸気弁閉弁停止制御中に空気流量検出手段によって検出された空気流量がゼロでない場合には、吸気弁が閉弁状態で停止されていないと判定し、ガス流量算出手段は、上記空気流量検出手段によって検出された空気流量に基づいて算出された吸気弁閉弁停止制御終了時の吸気管内圧力に基づいて吸気弁閉弁停止制御終了後の筒内流入空気流量を算出する。
第9の発明では、第8の発明において、吸気弁が閉弁状態で停止されていないと判定されたときには、上記空気流量検出手段によって検出された空気流量に基づいて吸気弁が閉弁状態で停止されていない気筒数を判定する。
本発明によれば、吸気弁閉弁停止制御を実行することによって吸気枝管内に滞留している空気の温度が上昇しても、吸気弁閉弁停止制御終了後に比較的正確に気筒内に流入する空気の温度を算出することができ、その結果、筒内流入空気流量を比較的正確に算出することができる。
本発明の制御装置を備えた内燃機関全体を示す図である。 内燃機関に適用可能な筒内流入空気量モデルを示す図である。 スロットル開度と流量係数との関係を示す図である。 スロットル開度と開口断面積との関係を示す図である。 関数Φ(Pm/Pa)を示す図である。 スロットルモデルの基本概念を示す図である。 吸気管モデルの基本概念を示す図である。 吸気弁モデルの基本概念を示す図である。 筒内充填空気量及び筒内流入空気流量の定義に関する図である。 吸気弁閉弁停止制御中における筒内流入空気量モデルのパラメータの流れを示す図である。 吸気弁閉弁停止制御後における筒内流入空気量モデルのパラメータの流れを示す図である。 吸気弁閉弁停止制御開始からの経過時間と、吸気枝通路内温度との関係を示す図である。 吸気弁閉弁停止制御開始からの経過時間と、吸気管内圧力との関係を示す図である。 吸気弁モデルで利用する吸気管内圧力の選択制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。 吸気弁閉弁停止制御開始からの経過時間と、スロットル通過空気流量との関係を示す図である。 スロットル開度が大きい場合と小さい場合とにおける吸気管内圧力とスロットル通過空気流量との関係を示している。 吸気管内圧力とスロットル通過空気流量及び筒内流入空気流量との関係を示す図である。 吸気弁閉弁停止制御終了後に吸気管モデルで利用する吸気管内圧力の選択制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明が適用される内燃機関の全体図である。以下で説明では、筒内噴射型火花点火式内燃機関を例にとって説明するが、本発明は別の火花点火式内燃機関や圧縮自着火式内燃機関に適用可能である。
図1において、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はピストン、4はシリンダヘッド、5は気筒(燃焼室)、6は吸気弁、7は吸気ポート、8は排気弁、9は排気ポート、10は点火プラグ、11は燃料噴射弁、12はキャビティをそれぞれ示している。
吸気ポート7は各気筒5毎に吸気枝管13を介してサージタンク14に連結される。サージタンク14は上流側吸気管15を介してエアクリーナ16に連結される。上流側吸気管15内には、ステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置される。一方、排気ポート9は排気管19に連結される。排気管19は排気浄化触媒20に連結される。
また、吸気弁6には、吸気弁6の位相角及び作用角を変更可能な可変動弁機構21が設けられている。この可変動弁機構21により、吸気弁6の位相角及び作用角は自由に変更できると共に、吸気弁6を閉弁状態に停止させることもできる。
電子制御ユニット(ECU)31はディジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36および出力ポート37を具備する。
サージタンク14には、サージタンク14内の圧力(以下、「吸気管内圧力」という)を検出するための吸気管内圧力センサ40が取り付けられる。吸気管内圧力センサ40は、吸気管内圧力に比例した出力電圧を発生し、この出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。なお、吸気管内圧力センサ40は必ずしもサージタンク14に取り付けられなくてもよく、スロットル弁18の吸気下流側の吸気通路内であれば、どこに取り付けられてもよい。同様に、「吸気管内圧力」は、スロットル弁18の吸気下流側の吸気通路内のいずれかの位置における圧力を意味する。
また、吸気枝管13には吸気枝管13内の温度を検出するための温度センサ41が取り付けられる。温度センサ41は、吸気管内温度に比例した出力電圧を発生し、この出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
また、内燃機関は、スロットル弁18の開度を検出するためのスロットル開度センサ43と、内燃機関周囲の大気の圧力、または、上流側吸気管15に吸入される空気の圧力(吸気圧)を検出するための大気圧センサ44と、内燃機関周囲の大気の温度、または、上流側吸気管15に吸入される空気の温度(吸気温)を検出するための大気温センサ45とを具備する。これらセンサ44、45は、それぞれ、大気圧および大気温度に比例した出力電圧を発生し、これら出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
また、アクセルペダル46には、アクセルペダル46の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ47が接続される。負荷センサ47の出力電圧は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、内燃機関はクランク角センサ48を具備する。クランク角センサ48は、例えば、クランクシャフトが30度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート36に入力される。CPU35は、クランク角センサ45の出力パルスから機関回転数を算出する。一方、出力ポート37は対応する駆動回路39を介して点火プラグ10、燃料噴射弁11、スロットル弁用ステップモータ17に接続される。
ところで、燃料噴射弁10から気筒5内に噴射すべき燃料の量(以下、単に、「燃料噴射量」という)は、気筒5内に充填された空気の量に基づいて、気筒5内の混合気の空燃比が目標空燃比となるように決定される。したがって、気筒5内の混合気の空燃比を正確に目標空燃比とするためには、気筒5内に充填された空気の量(以下、「筒内充填空気量」という)を正確に把握する必要がある。
筒内充填空気量を推定する方法としては、モデルから導き出される式を利用した数値計算によって、筒内充填空気量を算出する方法がある。図2には、このようなモデルのうち最も単純なモデルを示している。なお、以下では、図2に示した最も単純なモデルを例にとって説明するが、本発明の制御装置は、モデルを用いて筒内充填空気量を算出する様々な方法に適用可能である。
図2に示した筒内流入空気量モデルM10は、スロットルモデルM11と、吸気管モデルM12と、吸気弁モデルM13を備える。
スロットルモデルM11には、スロットル開度センサ43によって検出されたスロットル弁18の開度(スロットル開度)θtと、大気圧センサ45によって検出された大気圧(または、吸気管15に吸入される空気の圧力)Paと、大気温センサ44によって検出された大気温度(または、吸気管15に吸入される空気の温度)Taと、吸気管モデルM12において算出されたサージタンク14内の圧力(以下、「吸気管内圧力」という)Pmとが入力され、これら入力された各パラメータの値を後述するスロットルモデルM11のモデル式に代入することで、単位時間当たりにスロットル弁18を通過する空気の流量(以下、「スロットル弁通過空気流量」という)mtが算出される。
また、吸気管モデルM12には、上述したスロットルモデルM11において算出されたスロットル弁通過空気流量mtと、吸気弁モデルM13において算出された単位時間当たりに気筒5内に流入する空気の流量(以下、「筒内流入空気流量」という。なお、筒内流入空気流量mcの定義については、吸気弁モデルM23において詳述する。)mcと、大気温度Taとが入力され、これら入力された各パラメータの値を後述する吸気管モデルM12のモデル式に代入することで、吸気管内圧力Pmと、サージタンク14内の空気の温度(以下、「吸気管内温度」という)Tmとが算出される。
また、吸気弁モデルM13には、上述した吸気管モデルM12において算出された吸気管内圧力Pmと、吸気管内温度Tmと、大気温度Taとが入力され、これら入力された各パラメータの値を後述する吸気弁モデルM13のモデル式に代入することで、筒内流入空気流量mcが算出される。
そして、この方法では、後述するように、筒内流入空気流量mcを利用して吸気弁6閉弁時に気筒5内に充填されているガスの量(以下、「筒内充填空気量」という)Mcが算出される。
図2から分かるように、筒内流入空気量モデルM10では、各モデルにおいて算出されるパラメータ値が別のモデルに入力されるパラメータ値として利用されるので、筒内流入空気量モデルM10全体では、実際に入力されるパラメータ値は、スロットル開度θt、大気圧Pa、および、大気温度Taの3つのパラメータのみである。すなわち、この方法によれば、3つのパラメータから筒内充填空気量Mcが算出されると言える。
次に、各モデルM11〜M13について詳細に説明する。
スロットルモデルM11では、大気圧Paと大気温度Taと吸気管内圧力Pmとスロットル開度θtとを次式(2)に入力し、この式を解くことによって、スロットル弁通過空気流量mtが算出される。
Figure 2010223019
式(2)において、μtはスロットル弁における流量係数であり、スロットル開度θtの関数であって、図3に示したマップから定まる。また、Atはスロットル弁18の開口断面積であり、スロットル開度θtの関数であって、図4に示したマップから定まる。なお、これら流量係数μtおよび開口断面積Atをまとめたμt・Atをスロットル開度θtの関数として1つのマップから求めるようにしてもよい。また、Rは気体定数に関する定数であり、いわゆる気体定数R*を1モル当たりの空気の質量Maで除算した値である(R=R*/Ma)
また、Φ(Pm/Pa)は、次式(3)に示したように、Pm/Paを変数とする関数である。
Figure 2010223019
式(3)において、κは比熱比であり、この方法では、一定値としている。
なお、関数Φ(Pm/Pa)とPm/Paとの間には、図5に示したような関係がある。そこで、式(3)の代わりに、Pm/Paを変数とする関数Φ(Pm/Pa)算出用のマップをROM34に予め記憶しておき、Pm/Paとこのマップとから関数Φ(Pm/Pa)の値を算出するようにしてもよい。
なお、これら式(2)および(3)は、スロットル弁18上流の空気の圧力を大気圧Paとし、スロットル弁18上流の空気の温度を大気温度Taとし、スロットル弁18を通過した空気の圧力を吸気管内圧力Pmとして、スロットル弁18に関し、図6に示したようなモデルを基礎として、スロットル弁18上流の空気とスロットル弁18を通過した空気との間において質量保存則、エネルギ保存則、および、運動量保存則上成立する関係式、ならびに、気体の状態方程式、比熱比の定義式(κ=Cp/Cv)、および、マイヤーの関係式(Cp=Cv+R*)を利用して導き出される。ここで、Cpは定圧比熱であり、Cvは定量比熱であり、R*はいわゆる気体定数である。
次に、吸気管モデルM12について説明する。吸気管モデルM12では、スロットル弁通過空気流量mtと筒内流入空気流量mcと大気温度Taとを次式(4)および(5)に入力し、これら式を解くことによって、吸気管内圧力Pmおよび吸気管内温度Tmが算出される。
Figure 2010223019
式(4)および(5)において、Vはスロットル弁18から吸気弁6までの吸気管15、サージタンク14、吸気枝管13、および、吸気ポート7(以下、これらまとめて、「吸気管部分」という)のトータルの容積であり、通常、一定値である。
なお、これら式(4)および(5)は、吸気管部分に関し、図7に示したようなモデルを基礎にして、吸気管部分に流入する空気と吸気管部分から流出して気筒内に流入する空気との間において質量保存則、および、エネルギ保存則上成立する関係式から導き出される。
詳細には、吸気管部分内のトータルの空気量をMとすると、このトータルの空気量Mの時間的変化は、吸気管部分に流入する空気の流量(すなわち、スロットル弁通過空気流量)mtと吸気管部分から流出して気筒内に流入する空気の流量(すなわち、筒内流入空気流量)mcとの差に等しいことから、質量保存則上、次式(6)が成立する。
Figure 2010223019
そして、この式(6)と、気体の状態方程式(Pm・V=M・R*・Tm)とから、上記式(4)が導き出される。
また、吸気管部分内の空気のエネルギ量M・Cv・Tmの時間的変化量は、吸気管部分に流入する空気のエネルギ量と吸気管部分から流出して気筒内に流入する空気のエネルギ量との差に等しいことから、吸気管部分に流入する空気の温度を大気温度Taとし、吸気管部分から流出して気筒内に流入する空気の温度を吸気管内温度Tmとすると、エネルギ保存則上、次式(7)が成立する。
Figure 2010223019
そして、この式(7)と、上述した気体の状態方程式とから、上記式(5)が導き出される。
次に、吸気弁モデルM13について説明する。吸気弁モデルM13では、吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmと大気温度Taとを次式(8)に入力し、この式を解くことによって、筒内流入空気流量mcが算出される。
Figure 2010223019
式(8)において、aおよびbは、機関回転数NEを変数として求まる値である。また、内燃機関において、吸気弁6の開弁タイミングまたは閉弁タイミングに相当するバルブタイミング、および、開弁時間に相当する作用角の少なくとも一方が変更可能となっている場合には、式(8)において、aおよびbは、機関回転数NEとバルブタイミングまたは位相角またはこれら両方とを変数として求まる値である。別の云い方をすれば、式(8)において、aは比例係数であり、bは排気弁8の閉弁時に気筒5内に残存していたガスの量を表す値である。
また、式(8)においては、機関運転状態が変化しているとき、すなわち、過渡運転時には、吸気管内温度Tmが大きく変化することがあるので、この吸気管内温度Tmの変化を補償するための補正係数として、理論および経験則から導かれたTa/Tmが用いられている。
なお、式(8)は、吸気弁6に関し、図8に示したようなモデルを基礎にして、筒内流入空気流量mcを以下で詳細に説明するように吸気管内圧力Pmに比例するとみなし、そして、理論および経験則から導き出される。
すなわち、筒内充填空気量Mcは、吸気弁6の閉弁時に確定し且つ吸気弁6の閉弁時の気筒5内の圧力に比例する。ここで、吸気弁6の閉弁時の気筒5内の圧力は、吸気弁6上流の空気の圧力(すなわち、吸気管内圧力)Pmに等しいとみなせるので、筒内充填空気量Mcは吸気管内圧力Pmに比例すると近似できる。
一方、筒内充填空気量Mcは、吸気弁6の開弁期間中において気筒5内に流入する空気の流量(筒内流入空気流量)mcを、吸気弁6の開弁期間に亘って時間積分することによって求まる。すなわち、筒内充填空気量Mcと筒内流入空気流量mcとの間には、筒内流入空気流量mcの時間積分値が筒内充填空気量Mcであるという関係がある。
このように、筒内充填空気量Mcが吸気管内圧力Pmに比例し、且つ、筒内充填空気量Mcと筒内流入空気流量mcとの間に、筒内流入空気流量mcの時間積分値が筒内充填空気量Mcであるという関係があることから、筒内流入空気流量mcも吸気管内圧力Pmに比例するとみなせる。
したがって、この方法では、筒内流入空気流量mcが吸気管内圧力Pmに比例するとみなし、理論および経験則とから、式(8)が導き出されるのである。
なお、式(8)によって算出される筒内流入空気流量mcは、単位時間当たりに吸気管部分から流出する空気の流量の平均値であるので、筒内流入空気流量mcに、内燃機関の1サイクルにかかる時間を気筒数で割った時間をかけることによって、各気筒5における筒内充填空気量Mcが算出される。
次に、このことについて、4つの気筒を備えた内燃機関を例にとって、図9を参照して説明する。
図9では、横軸がクランク角度であり、縦軸が単位時間当たりに吸気管部分から気筒5に流入する空気の量である。また、図9に示した例では、吸気行程が第1気筒♯1、第3気筒♯3、第4気筒♯4、第2気筒♯2の順で行われる。このように吸気行程が行われると、吸気管部分から各気筒5に流入する空気の流量は、図9において破線で示したように変化し、その結果、吸気管部分から流出する空気の流量は、図9において実線で示したように変化することになる。
そして、吸気管部分から流出する空気の流量(図9の実線)の平均値が筒内流入空気流量mcであり、図9では、破線で示されている。したがって、各気筒5における筒内充填空気量Mcは、筒内流入空気流量mc(図9の破線)に、内燃機関の1サイクルにかかる時間(図9に示した例では、クランクシャフトが720°回転するのにかかる時間)を気筒数(図9に示した例では、4つ)で割った時間、すなわち、図9に示した例では、クランクシャフトが180°回転するのにかかる時間をかけることによって算出されるのである。そして、斯くして算出された各気筒5における筒内充填空気量Mcは、例えば、図9の斜線に一致することになる。
次に、上述した筒内流入空気量モデルM10を内燃機関に実装したときの筒内充填空気量Mcの算出方法について説明する。
筒内充填空気量Mcは、筒内流入空気量モデルM10の各モデルの式(2)〜(5)および(8)から求められるが、これら5つの式は、内燃機関に実装されるときには、ECU31で処理可能なように離散化される。すなわち、時刻をtとし、計算間隔(計算周期)をΔtとすると、これら5つの式は、次式(9)〜(13)に離散化される。
Figure 2010223019
このように離散化されて内燃機関に実装された筒内流入空気量モデルM10によれば、スロットルモデルM11において算出される時刻tにおけるスロットル弁通過空気流量mt(t)と、吸気弁モデルM13において算出される時刻tにおける筒内流入空気流量mc(t)と、時刻tにおける吸気管内温度Tm(t)とを吸気管モデルM12の式(11)および(12)に入力し、これら式(11)および(12)を解くことによって、時刻(t+Δt)における吸気管内圧力Pm(t+Δt)および吸気管内温度Tm(t+Δt)が算出される。
そして、吸気管モデルM12において算出された吸気管内圧力Pm(t+Δt)と時刻tにおけるスロットル開度θt(t)とをスロットルモデルM11の式(9)および(10)に入力し、これら式を解くことによって、時刻(t+Δt)におけるスロットル弁通過空気流量mt(t+Δt)が算出される。
さらに、吸気管モデルM12において算出された吸気管内圧力Pm(t+Δt)および吸気管内温度Tm(t+Δt)を吸気弁モデルM13の式(13)に入力し、この式を解くことによって、時刻(t+Δt)における筒内流入空気流量mc(t+Δt)が算出される。
こうした計算を繰り返すことによって、任意の時刻における筒内流入空気流量mcが算出される。そして、こうして算出された筒内流入空気流量mcに、上述したように、1サイクルにかかる時間を気筒数で割った時間をかけることによって、任意の時刻における各気筒の筒内充填空気量Mcが算出される。
なお、内燃機関の始動時、すなわち、時刻t=0においては、吸気管内圧力Pmは大気圧Paと等しい(Pm(0)=Pa)とされ、一方、吸気管内温度Tmは大気温度Taと等しい(Tm(0)=Ta)とされ、各モデルM11〜M13における計算が開始される。
また、上述した筒内流入空気量モデルM10において使用される大気圧Paおよび大気温度Taとして、筒内流入空気量モデルM10の計算が開始されたときの大気圧および大気温度を常に用いてもよいし、時刻tにおける大気圧Pa(t)および大気温度Ta(t)を用いてもよい。
ところで、本実施形態の内燃機関では、機関減速運転時に気筒への燃料の供給を停止する燃料カット制御を実行している。このように燃料カット制御を実行する際に、気筒内に空気を流通させると、すなわち吸気弁6を介して空気を気筒内に流入させると共に排気弁8を介して空気を気筒内から流出させると、排気浄化触媒20には多量の空気が流入する。
排気浄化触媒20に空気、特に酸素が流入すると、酸素は排気浄化触媒20の表面上に吸着する。また、排気浄化触媒20に担持されている貴金属は高温になると互いに結合して大粒となり、この結合反応は排気浄化触媒20の表面上に吸着されている酸素によって促進される。このため、排気浄化触媒20に多量の空気が流入して、排気浄化触媒20の表面上に保持されている酸素の量が増大すると、貴金属の酸化能力等が低下せしめられる(酸素被毒)。したがって、燃料カット制御中には、排気浄化触媒20に酸素が流入しないようにする必要がある。
このため、本実施形態の内燃機関では、燃料カット制御を実行する場合には、吸気弁6を閉弁状態で停止させる吸気弁閉弁停止制御を実行することとしている。これにより、燃料カット制御中であっても排気浄化触媒20に酸素が流入することが抑制され、その結果、排気浄化触媒20の酸素被毒が抑制される。
このように吸気弁閉弁停止制御が実行されているときには、吸気管部分から気筒内へは空気は流入しない。このため、本実施形態では、吸気弁閉弁停止制御中には、吸気弁モデルM13による筒内流入空気流量の算出が停止せしめられると共に、吸気管モデルM12に入力される筒内流入空気流量mcの値がゼロとされる。
したがって、吸気弁モデルM12では、上記式(4)および(5)にmc=0を代入することにより、次式(14)および(15)によって吸気管内圧力Pmおよび吸気管内温度Tmが算出される。これにより、吸気弁閉弁停止制御を実行しているときであっても、比較的正確に吸気管内圧力Pmを算出することができる。この様子を図10に示す。
Figure 2010223019
ところで、吸気弁閉弁停止制御を実行しているときには、スロットル弁18を介して吸気管部分内に流入した空気は吸気管部分内に滞留する。このとき、吸気弁6や吸気ポート7の壁面の温度は比較的高温になっており、よって吸気管部分内に滞留している空気のうちこれら吸気弁7や吸気ポート7の壁面に接触した空気、すなわち吸気ポート7及び吸気枝管13(以下、これらをまとめて「吸気枝通路」という)内の空気は昇温せしめられる。
ところが、上述した吸気管モデルM12では、上述したように、吸気管部分に流入する空気と吸気管部分から流出して気筒内に流入する空気との間で成立する質量保存則及びエネルギ保存則に基づいて式(4)および(5)が導き出されている。換言すると、吸気管モデルM12では、吸気弁6や吸気ポート7の壁面に接触することによる吸気枝通路内の空気の温度上昇が考慮されていない。
ただし、吸気弁閉弁停止制御を実行していないときには、吸気弁6や吸気ポート7の壁面に接触することによる吸気枝通路内の空気の温度上昇の影響は小さいため、斯かる温度上昇の影響を無視して計算を行っても吸気管モデルM12によって算出される吸気管内温度Tmと、吸気枝通路内の空気の実際の温度との間に生じる誤差は無視できるほど小さい。ところが、吸気弁閉弁停止制御を実行しているときには、斯かる温度上昇の影響を無視すると、吸気管モデルM12によって算出される吸気管内温度Tmと、吸気枝通路内の空気の実際の温度との間に生じる誤差は無視できないほど大きくなってしまう。
ここで、吸気弁閉弁停止制御の実行中には、吸気弁モデルM13による筒内流入空気流量の算出が停止せしめられていることから、算出された吸気管内温度Tmが他の吸気管モデルM12で利用されることはない。このため、このように吸気管モデルM12によって算出される吸気管内温度Tmと吸気枝通路内の空気の実際の温度との間に誤差が生じても、筒内流入空気流量mcの算出や、筒内流入空気量モデルM10での計算にはほとんど影響を及ぼすことはない。
一方、吸気弁閉弁停止制御の終了後には、吸気弁モデルM13による筒内流入空気流量の算出が再開される。特に、吸気弁閉弁停止制御終了直後には、吸気弁モデルM13によって筒内流入空気流量mcを算出するにあたって、吸気弁閉弁停止制御終了時の吸気管内温度や吸気管内圧力が利用されることになる。ところが、上述したように、吸気弁閉弁停止制御終了時に吸気管モデルM12によって算出される吸気管内温度Tmには誤差が生じているため、吸気弁閉弁停止制御終了直後に算出される筒内流入空気流量mcには誤差が生じてしまう。このため、吸気弁閉弁停止制御終了直後には、正確に筒内流入空気流量mcを算出することができず、その結果、筒内充填空気量Mcを正確に算出することができない。
そこで、本発明による実施形態では、燃料カット制御が行われて、吸気弁閉弁停止制御が実行されたときには、吸気弁閉弁停止制御終了直後の筒内流入空気流量を算出するにあたって、吸気枝通路内の温度を検出する温度センサ41によって検出された温度を用いることとしている。
すなわち、本発明による実施形態では、吸気弁閉弁停止制御が開始されると、図10に示したように、吸気弁モデルM13による筒内流入空気流量の算出が停止せしめられると共に、吸気管モデルM12では上記式(14)及び(15)によって吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmの算出が行われる。
その後、吸気弁閉弁停止制御が終了すると、吸気弁6の開閉が再開せしめられる。これに伴って、吸気弁モデルM13による筒内流入空気流量の算出も再開せしめられるが、このとき吸気弁モデルM13には吸気管モデルM12のモデル式(4)、(5)又は(14)、(15)によって算出された吸気管内温度Tmではなく、温度センサ41によって検出された吸気枝通路内温度Tmbが用いられる。すなわち、吸気弁閉弁停止制御終了後においては、下記式(16)によって筒内流入空気流量mcが算出されることになる。この様子を図11に示す。
Figure 2010223019
その後、吸気弁閉弁停止制御終了からの経過時間が長くなるにつれて、吸気枝通路内の実際の温度が低下し、徐々に吸気管モデルM12のモデル式によって算出される吸気管内温度Tmに近い値となる。したがって、吸気弁閉弁停止制御終了からの経過時間が一定時間以上となった場合、又は温度センサ41によって検出された吸気枝通路内温度と吸気管モデルM12によって算出された吸気管内温度Tmとの差分が一定値以下となった場合には、吸気弁モデルM13では吸気管モデルM12のモデル式によって算出された吸気管内温度Tmが用いられることになる。
このように、吸気弁閉弁停止制御終了時に、吸気管モデルM12によって算出された吸気管内温度Tmではなく、温度センサ41によって検出された吸気枝通路内温度Tmbを用いて吸気弁モデルM13での計算を行うことにより、たとえ吸気弁6や吸気ポート7の壁面に接触することによって吸気枝通路内の空気の温度が上昇しても、吸気弁モデルM13によって比較的正確に筒内流入空気流量mcを算出することができるようになる。
なお、上記実施形態では、吸気弁閉弁停止制御終了時には、温度センサ41によって検出された吸気枝通路内温度Tmbを用いることとしている。しかしながら、必ずしも温度センサ41によって吸気枝通路内温度を検出しなくてもよく、例えば、吸気弁閉弁停止制御開始からの経過時間に応じて、吸気弁閉弁停止制御終了時における吸気枝通路内温度を算出するようにしてもよい。
図12は、吸気弁閉弁停止制御開始からの経過時間と、吸気枝通路内温度Tmbとの関係を示す図である。図12に示したように、吸気枝通路内温度Tmbは、吸気弁閉弁停止制御開始からの経過時間が長くなるほど高くなる。したがって、吸気弁閉弁停止制御開始時における吸気枝通路内温度が分かれば、温度センサ41を用いることなく、吸気弁閉弁停止制御実行中及び吸気弁閉弁停止制御終了時における吸気枝通路内温度を推定することができる。また、吸気弁閉弁停止制御開始時には、吸気枝通路内の空気の温度は、吸気管部分全体内の空気の温度とほぼ一致していることから、吸気弁閉弁停止制御開始時における吸気枝通路内温度は、吸気管モデルM12によって算出される吸気管内温度Tmに等しい。
したがって、吸気弁閉弁停止制御開始時における吸気管モデルM12によって算出される吸気管内温度Tmと、図12に示したようなマップに基づいて、吸気弁閉弁停止制御終了時における吸気枝通路内温度を比較的正確に推定することができ、このようにして推定された吸気枝通路内温度を用いて吸気弁閉弁停止制御終了時に吸気弁モデルM13での計算を行うことにより、比較的正確に筒内流入空気流量を算出することができる。これにより、吸気枝通路内温度を検出する温度センサを設ける必要がなくなり、製造コストを低減することができる。
なお、図12に示したマップは、吸気弁の温度、吸気ポート7の壁面温度、吸気弁閉弁停止制御開始時における吸気枝通路内温度(すなわち、吸気弁閉弁停止制御開始時における吸気管部分内の温度)に基づいて変化する。そして、吸気弁の温度、吸気ポート7の壁面温度等は機関冷却水の温度に基づいて変化する。したがって、図12に示したマップは、機関冷却水の温度や吸気弁閉弁停止制御開始時における吸気管部分内の温度に応じて変化させるようにしてもよい。
ところで、吸気弁閉弁停止制御が実行されると、実際の吸気管内圧力は吸気弁閉弁停止制御開始からの経過時間に応じて図13に実線で示したように上昇する(図13では、時刻t0において吸気弁閉弁停止制御が開始されている)。これは吸気弁6が閉弁状態で停止されていると、スロットル弁18を介して吸気管部分内に空気が流入するが、吸気弁6を介して吸気管部分内から空気が流出しないためである。
一方、吸気弁閉弁停止制御中の吸気管内圧力Pmは、上記式(15)によって算出される。このようにして算出された吸気管内圧力Pmは、吸気弁閉弁停止制御が正常に行われていれば、実際の吸気管内圧力と同様に、すなわち図13に実線で示したように推移する。したがって、吸気弁閉弁停止制御終了後に吸気弁モデルM13による筒内流入空気流量の算出を再開する際には、吸気管モデルM12によって算出された吸気管内圧力を吸気弁モデルM13に入力することにより、比較的正確に筒内流入空気流量を算出することができる。
ところが、可変動弁機構に故障等が発生して、吸気弁閉弁停止制御実行中に一部の気筒について吸気弁6が閉弁状態で停止されず、吸気弁6が開弁してしまうと、実際の吸気管内圧力は図13に実線に示したようには推移しない。図13中の#1〜#4は吸気行程中の気筒の番号を示しており、例えば、4番気筒の吸気弁6が閉弁状態で停止されない場合には、実際の吸気管内圧力は図13中に破線で示したように推移することになる。このため、可変動弁機構に故障等が発生すると、実際の吸気管内圧力に対して吸気管モデルM12によって算出された吸気管内圧力に誤差が生じてしまう。
このため、可変動弁機構に故障等が発生した場合、吸気弁閉弁停止制御終了後に吸気弁モデルM13による筒内流入空気流量の算出を再開する際に、吸気管モデルM12によって算出された吸気管内圧力Pmを吸気弁モデルM13に入力すると、筒内流入空気流量を正確に算出することができない。
そこで、本発明による実施形態では、可変動弁機構の故障等の有無を判定すると共に、可変動弁機構に故障等が発生していると判定された場合には、吸気弁閉弁停止制御終了後に吸気弁モデルM13による筒内流入空気流量の算出を再開する際に、吸気管モデルM12によって算出された吸気管内圧力を用いずに、他の値を用いて吸気弁モデルM13での計算を行うこととしている。
まず、可変動弁機構の故障等の有無の判定について説明する。上述したように、4番気筒の吸気弁6が閉弁状態で停止されていない場合には、実際の吸気管内圧力は図13中に破線で示したように推移することになる。すなわち、4番気筒の吸気行程中に吸気弁6が開いてしまう場合、4番気筒の吸気行程中に吸気弁6を介して吸気管部分から気筒内に空気が流出する。このため、この場合、4番気筒の吸気行程中において、吸気管モデルM12によって算出される吸気管内圧力Pm(図13中の実線)は、実際の吸気管内圧力(図13中の破線)よりも低いものとなる。また、4番気筒の吸気弁6が開いてしまう場合には、4番気筒の吸気行程中において、吸気管モデルM12によって算出される吸気管内圧力Pm(図13中の実線)の上昇率は実際の吸気管内圧力(図13中の破線)の上昇率よりも高いものとなる。
そこで、本発明による実施形態では、吸気管内圧力を検出する圧力センサ40によって実際の吸気管内圧力を検出し、圧力センサ40によって検出された吸気管内圧力の上昇率と、吸気管モデルM12によって算出された吸気管内圧力Pmの上昇率とを比較し、これら吸気管内圧力の上昇率の差が一定値以上となった場合には、吸気管内圧力の上昇率の差が一定値以上となった時に吸気行程となっている気筒の吸気弁6の動弁機構が故障していると判定することとしている。これにより、吸気弁6の可変動弁機構の故障を正確に判定することができるようになる。
そして、本発明による実施形態では、可変動弁機構に故障が有ると判定された場合には、吸気弁閉弁停止制御終了時において、吸気弁モデルM13には、吸気管モデルM12によって算出された吸気管内圧力ではなく、圧力センサ40によって検出された吸気管内圧力を入力することとしている。可変動弁機構に故障がある場合であっても圧力センサ40によれば比較的正確に吸気管内圧力を検出することができるため、吸気弁閉弁停止制御終了時においても比較的正確に吸気弁モデルM13によって筒内流入空気流量を算出することができる。
なお、本発明による実施形態では、吸気管内圧力を検出する圧力センサ40が設けられているにも関わらず、吸気弁モデルM13においては基本的に圧力センサ40の出力を利用していない。以下、この理由について説明する。
上述した筒内流入空気量モデルM10は最も単純なモデルを示しており、スロットルモデルM11に現在のスロットル開度を入力することで、吸気弁モデルM13によって現在の筒内充填空気量を算出している。しかしながら、筒内流入空気量モデルM10を用いることによって、例えば特許文献3に示したように、将来の筒内充填空気量を予測することも可能である。
すなわち、電子制御式のスロットル弁18を備えた内燃機関では、アクセルペダルの踏込み量に対応した目標スロットル開度に基づいて筒内流入空気量モデルM10によって筒内充填空気量を算出すると共に、この目標スロットル開度へのスロットル弁18の駆動開始を所定の時間遅延させることができる。この場合、筒内流入空気量モデルM10によって算出された筒内充填空気量は、上記所定の時間だけ先の(将来の)筒内充填空気量を予測することができることになる。
このように、筒内流入空気量モデルM10によって将来の筒内充填空気量を予測する場合、筒内流入空気量モデルM10に入力する各種パラメータの値として、各種センサによって検出された現在のパラメータの値を用いると、将来の筒内充填空気量を正確に予測することが困難となってしまう。したがって、このように将来の筒内充填空気量を予測するような場合、基本的に、筒内流入空気量モデルM10に入力するパラメータの値として各種センサによって検出された現在のパラメータの値を用いることはできず、したがって本発明による実施形態でも、吸気弁モデルM13においては基本的に圧力センサ40の出力を利用していない。
しかしながら、可変動弁機構に故障が有る場合には、吸気弁閉弁停止制御終了時において、吸気管モデルM12によって算出された吸気管内圧力と実際の吸気管内圧力との間の誤差が大きいため、圧力センサ40によって検出された吸気管内圧力を吸気弁モデルM13に入力することとしている。
図14は、吸気弁モデルM13で利用する吸気管内圧力の選択制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定時間間隔の割り込みによって行われる。
まず、図14にステップS11で示したように、弁停止制御フラグXvが1であるか否かが判定される。弁停止制御フラグXvは、吸気弁閉弁停止制御の実行中に1になり、終了すると0になるフラグである。ステップS11において、吸気弁閉弁停止制御実行中で、弁停止制御フラグXvが1であると判定された場合にはステップS12へと進む。ステップS12では、吸気管モデルM12によって算出された吸気管内圧力の変化率(単位時間当たりの変化量)と、圧力センサ40によって検出された吸気管内圧力の変化率との差分ΔdPm/dtが、予め定められた一定値A以上であるか否かが判定される。差分ΔdPm/dtが一定値Aよりも小さいと判定された場合には、可変動弁機構に故障は存在せず、制御ルーチンが終了せしめられる。一方、差分ΔdPm/dtが一定値A以上であると判定された場合には、可変動弁機構に故障等が存在するため、ステップS13において弁停止フェイルフラグXfが1とされる。弁停止フェイルフラグXfは、吸気弁閉弁停止制御を実行しても一部又は全部の吸気弁6が閉弁状態で停止されないときに1とされ、それ以外のときには0とされるフラグである。
その後、吸気弁閉弁停止制御が終了すると、次の制御ルーチンでは、弁停止制御フラグXvが0となり、ステップS11において弁停止制御フラグXvが1ではないと判定され、ステップS14へと進む。ステップS14では、吸気弁閉弁停止制御の終了直後であるか否かが判定される。吸気弁閉弁停止制御の終了直後であると判定された場合には、ステップS15へと進む。ステップS15では、弁停止フェイルフラグXfが1であるか否かが判定され、弁停止フェイルフラグXfが1であると判定された場合、すなわち可変動弁機構に故障等が存在すると判定された場合にはステップS16へと進む。ステップS16では、圧力センサ40によって検出された吸気管内圧力が吸気弁モデルM13に入力される。一方、弁停止フェイルフラグXfが0であると判定された場合、すなわち可変動弁機構に故障等が存在しないと判定された場合にはステップS17へと進む。ステップS17では、吸気管モデルM12によって算出された吸気管内圧力が吸気弁モデルM13に入力される。その後、ステップS18では弁停止フェイルフラグXfが0にリセットされ、制御ルーチンが終了せしめられる。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
上記実施形態では、可変動弁機構の故障等の有無を判定するにあたって、圧力センサ40を用いている。しかしながら、通常、筒内流入空気量モデルM10を用いて筒内充填空気量を算出する際には、吸気管内圧力を圧力センサ40で検出する必要はない。したがって、上記実施形態では、可変動弁機構の故障の有無の判定等をするために圧力センサ40を設けており、圧力センサ40を設けることによって製造コストの増大を招いていた。
一方、筒内流入空気量モデルM10を用いる場合であっても、内燃機関にはスロットル弁18上流の吸気管内を流れる空気の流量を検出するエアフロメータ42は設けられる。そこで、本発明の第二実施形態では、エアフロメータ42を用いて可変動弁機構の故障の有無の判定等を行うこととしている。
ここで、吸気弁閉弁停止制御が実行されると、図15に実線で示したように、実際のスロットル通過空気流量は徐々に低下し、最終的にはほぼ0に収束する(図13では、時刻t0において吸気弁閉弁停止制御が開始されている)。これは、吸気弁6が閉弁状態で停止されていると、気筒内に空気が流入せず、よって吸気管部分内にも空気が流入しなくなるためである。
一方、吸気弁閉弁停止制御中のスロットル通過空気流量mtは、上記式(2)によって算出され、式(2)で用いられる吸気管内圧力Pmには、上記式(15)によって算出された吸気管内圧力が代入される。このようにして算出されたスロットル通過空気流量mtは、吸気弁閉弁停止制御が正常に行われていれば、実際のスロットル通過空気流量と同様に、すなわち図15に実線で示したように推移する。
ところが、可変動弁機構に故障等が発生して、吸気弁閉弁停止制御実行中に一部の気筒について吸気弁6が閉弁状態で停止されず、吸気弁6が開弁してしまうと、実際のスロットル通過空気流量は図15に実線で示したようには推移しない。例えば、一つの気筒についてのみ吸気弁閉弁停止制御実行中にも吸気弁6が開弁してしまうような場合には、実際のスロットル通過空気流量は、図15中に破線で示したように推移することになる。このため、可変動弁機構に故障等が発生すると、実際のスロットル通過空気流量、すなわちエアフロメータ42によって検出された空気流量(以下、「エアフロ検出空気流量」という)と、スロットルモデルM11によって算出されたスロットル通過空気流量とは異なる値となる。
そこで、本実施形態では、スロットルモデルM11によって算出されるスロットル通過空気流量がほぼゼロに収束した時(すなわち、図15中の時刻t1以降)に、エアフロメータ42によって空気流量を検出し、このとき検出されたエアフロ検出空気流量がほぼゼロとなっている場合には、可変動弁機構に故障等は発生していないと判定し、このとき検出されたエアフロ検出空気流量がゼロとなっていない場合には、可変動弁機構に故障等は発生していないと判定することとしている。これにより、吸気弁6の可変動弁機構の故障等を正確に判定することができるようになる。
ところで、上記第一実施形態では、可変動弁機構に故障が有ると判定された場合には、吸気弁閉弁停止制御終了時において、吸気モデルM13に圧力センサ40によって検出された吸気管内圧力を入力することとしている。しかしながら、本実施形態では、圧力センサ40が設けられておらず、よって圧力センサ40によって検出された吸気管内圧力を入力することはできない。そこで、本実施形態では、エアフロメータ42によって検出された空気流量を用いて筒内流入空気流量を算出することとしている。
図16は、スロットル開度が大きい場合と小さい場合における吸気管内圧力とスロットル通過空気流量(すなわち、エアフロメータ42によって検出された空気流量)との関係を示している。図16から分かるように、エアフロ検出空気流量と吸気管内圧力とはスロットル開度毎に一定の関係を有していることから、スロットル開度とエアフロ検出空気流量が分かれば吸気管内圧力を推定することができる。図16に示した例では、スロットル開度が大きく且つエアフロ検出空気流量がmt1である場合には、吸気管内圧力はPm1となっており、スロットル開度が小さく且つエアフロ検出空気流量がmt2である場合には、吸気管内圧力はPm2となっている。
そこで、本実施形態では、スロットル弁通過空気流量(すなわち、エアフロ検出空気流量)及びスロットル開度と吸気管内圧力との関係を予めマップとして求めておき、実際のエアフロ検出空気流量とスロットル開度とに基づいてマップを用いて吸気管内圧力を算出することとしている。このようにエアフロメータ42の実測値に基づいて吸気管内圧力を算出することにより、可変動弁機構に故障が生じている場合であっても吸気管内圧力を比較的正確に算出することができる。
なお、吸気管内圧力の算出は、必ずしもマップを用いて行う必要はない。例えば、上記式(2)を変形することにより、スロットル通過空気流量mtとスロットル開度θtとを入力することによって吸気管内圧力Pmが算出される式を求め、斯かる式を用いてエアフロ検出空気流量とスロットル開度とに基づいて吸気管内圧力を算出することとしてもよい。
図17は、吸気管内圧力とスロットル通過空気流量mt及び筒内流入空気流量a〜dとの関係を示す図である。図中のmtは或る特定のスロットル開度における吸気管内圧力に対するスロットル通過空気流量の推移を示している。また、図中のaは吸気弁閉弁停止制御を実行していない場合の筒内流入空気流量、bは吸気弁閉弁停止制御実行中であって全ての気筒について吸気弁が閉弁状態で停止されている場合の筒内流入空気流量、cは吸気弁閉弁停止制御実行中であって1気筒だけ吸気弁が閉弁状態で停止されていない場合の筒内流入空気流量、dは吸気弁閉弁停止制御実行中であって2気筒の吸気弁が閉弁状態で停止されていない場合の筒内流入空気流量をそれぞれ示している。
ここで、定常状態(吸気弁閉弁停止制御実行中には、吸気弁閉弁停止制御開始後、スロットル通過空気流量及び筒内流入空気流量が一定の値に収束した状態)においては、スロットル通過空気流量mtと筒内流入空気流量mcとは等しくなる。したがって、定常状態においては、図17におけるスロットル通過空気流量の曲線と筒内流入空気流量の直線との交点が実際のスロットル通過空気流量及び筒内流入空気流量となる。したがって、吸気弁閉弁停止制御を実行していない場合には、定常状態になると、スロットル通過空気流量はスロットル通過空気流量の曲線と直線aとの交点におけるスロットル通過空気流量であるmt3となる。一方、吸気弁閉弁停止制御実行中であって全ての気筒について吸気弁が閉弁状態で停止されている場合には、定常状態になると、スロットル通過空気流量は、図17のスロットル通過空気流量の曲線と直線bとの交点におけるスロットル通過空気流量である0となる。同様にして、吸気弁閉弁停止制御実行中であって1気筒だけ吸気弁が閉弁状態で停止されていない場合には、定常状態になると、スロットル通過空気流量は、図17のスロットル通過空気流量の曲線と直線cとの交点におけるスロットル通過空気流量であるmt5になり、吸気弁閉弁停止制御実行中であって2気筒の吸気弁が閉弁状態で停止されていない場合には、定常状態になると、スロットル通過空気流量は、図17のスロットル通過空気流量の曲線と直線dとお交点におけるスロットル通過空気流量であるmt4となる。
このように、スロットル開度が或る特定の開度であるときには、吸気弁閉弁停止制御実行中に吸気弁6が閉弁状態で停止されない気筒数に応じて定常状態におけるスロットル通過空気量が定まる。逆に言うと、エアフロ検出空気流量及びスロットル開度に基づいて吸気弁閉弁停止制御実行中に吸気弁が閉弁状態で停止されていない気筒数を算出することができる。例えば、図17に示した例では、スロットル開度が或る特定の開度にある場合に、エアフロ検出空気流量がmt5近傍であった場合には吸気弁6が閉弁状態で停止されていない気筒数が1であると判定され、エアフロ検出空気流量がmt4近傍であった場合には吸気弁6が閉弁状態で停止されていない気筒数が2であると判定される。
図18は、吸気弁閉弁停止制御終了後に吸気管モデルM12で利用する吸気管内圧力の選択制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定時間間隔の割り込みによって行われる。
まず、図18にステップS21で示したように、弁停止制御フラグXvが1であるか否かが判定される。ステップS21において、吸気弁閉弁停止制御が実行されておらず、弁停止制御フラグXvが0であると判定された場合には制御ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップS21において吸気弁閉弁停止制御が実行されていて、弁停止制御フラグXvが1であると判定された場合には、ステップS22へと進む。
ステップS22では、スロットルモデルM11によって算出されたスロットル通過空気流量mtがほぼゼロであるか否か、すなわちスロットル通過空気流量がゼロに収束している否かが判定される。スロットルモデルM11によって算出されたスロットル通過空気流量mtがゼロではないと判定された場合には、制御ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップS22において、スロットルモデルM11によって算出されたスロットル通過空気流量mtがゼロであると判定された場合には、ステップS23へと進む。ステップS23では、エアフロメータ42によって検出された空気流量mtafmがほぼゼロであるか否か、すなわち吸気管15内を流通する実際の空気流量がゼロに収束しているか否かが判定される。ステップS23において、エアフロメータ42によって検出された空気流量mtafmもほぼゼロであると判定された場合には、可変動弁機構に故障等は発生しておらず、ステップS24へと進む。ステップS24では、吸気管モデルM12によって算出された吸気管内圧力Pmを用いて吸気弁モデルM13によって吸気弁閉弁停止制御終了時における筒内流入空気流量mcが算出される。
一方、ステップS23において、エアフロメータ42によって検出された空気流量mtafmがゼロになっていないと判定された場合には、可変動弁機構に故障等が発生しており、ステップS25へと進む。ステップS25では、エアフロメータ42によって検出された空気流量mtafmに基づいて上述したように吸気管内圧力Pmが算出される。次いで、ステップS26では、エアフロメータ42によって検出された空気流量mtafmに基づいて上述したように吸気弁6が閉弁状態で停止されていない気筒数が算出される。次いで、ステップS27では、ステップS25で算出された吸気管内圧力Pmに基づいて吸気弁閉弁停止制御終了時における筒内流入空気流量mcが算出される。
1 機関本体
5 燃焼室
6 吸気弁
7 吸気ポート
8 排気弁
11 燃料噴射弁
13 吸気管
18 スロットル弁
22 EGR制御弁
M10 筒内流入空気量モデル
M11 スロットルモデル
M12 吸気管モデル
M13 吸気弁モデル

Claims (9)

  1. 吸気弁を閉弁状態で停止させる吸気弁閉弁停止制御を実行可能な内燃機関の制御装置において、
    スロットル弁を通過するスロットル通過空気流量と気筒内に流入する筒内流入空気流量とに基づいて吸気管内圧力及び吸気管内温度を算出する圧力・温度算出手段と、
    上記圧力・温度算出手段によって算出された吸気管内圧力及び吸気管内温度に基づいて筒内流入空気流量を算出するガス流量算出手段と、
    上記ガス流量算出手段によって算出された筒内流入空気流量に基づいて内燃機関を制御する機関制御手段と、
    上記圧力・温度算出手段とは別に吸気枝通路内の温度を算出又は検出する枝通路内温度検出手段とを具備し、
    上記吸気弁閉弁停止制御実行中は圧力・温度算出手段に入力される筒内流入空気流量をゼロとし、吸気弁閉弁停止制御終了後にガス流量算出手段によって筒内流入空気流量を算出するときには、上記圧力・温度算出手段によらずに上記枝通路内温度検出手段によって算出又は検出された吸気枝通路内の温度に基づいて筒内流入空気流量を算出するようにした、内燃機関の制御装置。
  2. 上記吸気弁閉弁停止制御終了後において、上記ガス流量算出手段は、Pmを吸気管内圧力、Tmbを上記枝通路内温度検出手段によって算出又は検出された吸気枝通路内の温度、Taを外気温度、a及びbを機関回転数を変数として求まる値とすると、下記式(1)に基づいて筒内流入空気流量mcを算出する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
    Figure 2010223019
  3. 上記枝通路内温度検出手段は、吸気枝通路内の温度を検出する温度センサによって吸気枝通路内の温度を検出する、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 上記枝通路内温度検出手段は、吸気弁閉弁停止制御開始からの経過時間に基づいて吸気枝通路内の温度を推定する、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 吸気管内圧力を検出する圧力センサを更に具備し、
    上記吸気弁閉弁停止制御中に上記圧力・温度算出手段によって算出された吸気管内圧力の上昇率と上記圧力センサによって検出された吸気管内圧力の上昇率との間に生じる差分に基づいて上記吸気弁閉弁停止制御中に吸気弁が閉弁状態で停止されているか否かを判定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 上記吸気弁閉弁停止制御中に上記圧力・温度算出手段によって算出される吸気管内圧力の上昇率と上記圧力センサによって検出された吸気管内圧力の上昇率との間に生じる差分が一定値以上に大きくなった時期に基づいて吸気弁が閉弁状態で停止されていない気筒を判定する、請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 上記吸気弁閉弁停止制御中に吸気弁が閉弁状態で停止されていないと判定された場合には、吸気弁閉弁停止制御終了後にガス流量算出手段によって筒内流入空気流量を算出するときには、ガス流量算出手段は、圧力・温度算出手段によって算出された吸気管内圧力によらずに上記圧力センサによって検出された吸気管内圧力に基づいて筒内流入空気流量を算出する、請求項5又は6に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 機関吸気通路内を通過する空気の流量を検出する空気流量検出手段を更に具備し、
    上記吸気弁閉弁停止制御中に空気流量検出手段によって検出された空気流量がゼロでない場合には、吸気弁が閉弁状態で停止されていないと判定し、ガス流量算出手段は、上記空気流量検出手段によって検出された空気流量に基づいて算出された吸気弁閉弁停止制御終了時の吸気管内圧力に基づいて吸気弁閉弁停止制御終了後の筒内流入空気流量を算出する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 吸気弁が閉弁状態で停止されていないと判定されたときには、上記空気流量検出手段によって検出された空気流量に基づいて吸気弁が閉弁状態で停止されていない気筒数を判定する、請求項8に記載の内燃機関の制御装置。
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