JP2010222487A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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幹夫 松藤
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Abstract

【解決手段】アミノ化合物(a)、アルデヒド(b)、アルコール(c)、より付加脱水縮合して得られるアミノ樹脂(A)とイソシアネート(d)、ポリオール(e)及びエチレンオキサイド鎖を含む活性水素原子を有する成分(f)、より重合して得られるウレタン樹脂(B)とを含有する熱硬化性樹脂組成物。
【効果】本発明の熱硬化性樹脂組成物は1つの硬化剤にアミノ樹脂とウレタン樹脂を含有し、しかも、それぞれの樹脂性能をお互いに損なうことなく維持できるウレタン変性アミノ樹脂である。また、溶剤系水系を問わず、あらゆる樹脂の硬化剤としても使用可能であり、複合化しているため貯蔵安定性にも優れており、更に耐衝撃性および耐チッピング性にも優れているので各種塗料、インキ、接着剤、コーティング材、バインダー、プライマー等の用途に有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、アミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)とを複合化した硬化剤を用いる熱硬化性樹脂組成物に関する。
従来、熱硬化性塗料組成物として、アミノホルムアルデヒド樹脂を架橋剤や硬化剤として用いる樹脂組成物が一般に知られている。このような樹脂組成物からなる塗料は、有機溶剤で希釈して用いられることが多い。近年、大気汚染、環境保護の観点から塗膜乾燥、焼付け時に放出される有機溶剤の削減を目的に水で希釈可能な塗料へ変更する研究も盛んになってきている。更に、水系でしかも高性能を有する熱硬化性樹脂組成物が求められている。
ウレタン樹脂はその機械的物性、基材に対する耐摩耗性、柔軟性、耐溶剤性などに優れている性質から、塗料、インキ、接着剤、コーティング剤、繊維処理剤などに広く使用されている。一方でアミノ樹脂は、外観特性、耐候性、機械物性などに優れていることから塗料、インキ、接着剤、コーティング剤、繊維処理剤等に使用されている。これら、アミノ樹脂とウレタン樹脂の優れた特性を活かした塗料は非常に高性能であり、従来はそれぞれの異なる2液を混合した硬化剤としての組み合わせで配合を行ってきた。
この2液を混合して1液化とした場合、ウレタン樹脂とアミノ樹脂はその相溶性の違いから均一かつ安定に貯蔵することが困難であるため、各用途に応じて、安定化剤、相溶化剤などの第3成分を添加する必要があった。しかし、これら第3成分が各用途における性能に影響を与え、ウレタン樹脂、アミノ樹脂各々がもつ本来の性能を発現することが困難である。
このような問題の解決にあたり、硬化性にもすぐれ、耐水性、耐アルカリ性、加工性ならびに硬度などにも優れるアミノ樹脂技術として特許文献1,2がある。
特許文献1では、アミノ樹脂の製造過程において、アミノ樹脂骨格の一部としてウレタン樹脂が構造中に取り込まれた水系の樹脂に混合し易い硬化剤が記載されている。しかし、ウレタン樹脂骨格中にカルボン酸等の親水基が必須の構造として導入されているために、耐水性を低下させると共に、アミノ樹脂本来の特徴である外観特性や高硬度などが発現しにくくなっていた。
特許文献2は耐水性、可とう性、耐衝撃性を得るための手法としてアミノ樹脂(硬化剤)とポリオキシエチレン結合含有のアクリル樹脂(主剤)を組み合わせた技術であるが、主剤側のアクリル樹脂にポリオキシエチレン結合を導入しているため、主剤の水分散性は向上するものの、耐水性が低下する傾向であった。また、アクリル樹脂中のポリオキシエチレン結合は、ウレタン樹脂中よりも一般的に水素結合を作りにくいために凝集力が弱く、可とう性や耐衝撃性なども不十分であった。
特開平6−329876号 特開平6−287506号
本発明の目的は、アミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)を必須とする熱硬化性樹脂組成物において、従来2種類を混合した架橋剤(硬化剤)として使用されていた相溶性の異なるアミノ樹脂(A)、ウレタン樹脂(B)を複合化硬化剤として提供するものである。尚、本発明で複合化とは、アミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)とが少なくとも一部が反応していることを意味するものである。
また、貯蔵安定性が良好で且つその硬化マトリクスにおける機械物性を発現するに十分な架橋性(硬化性)と耐チッピング性に対する柔軟性を有する熱硬化性樹脂組成物を提供するものである。
また、塗膜物性、接着性さらには機械物性に優れた、各種の塗料・コーティング剤・接着剤などに適した熱硬化性樹脂組成物、及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、
下記の熱硬化性樹脂組成物が上記記載の課題達成のために極めて優れることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、[1]〜[9]である。
[1]アミノ化合物(a)、アルデヒド(b)、アルコール(c)、より付加脱水縮合して得られるアミノ樹脂(A)とイソシアネート(d)、ポリオール(e)及びエチレンオキサイド鎖を含む活性水素原子を有する成分(f)、より重合して得られるウレタン樹脂(B)とを含有する熱硬化性樹脂組成物。
[2]前記成分(f)の重量平均分子量が200〜10000である[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3]ウレタン樹脂(B)が前記成分(f)を3〜70重量%含有する[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4]ウレタン樹脂(B)の末端官能基がアミノ樹脂と反応可能な水酸基であり、かつ、少なくとも1つの該水酸基がアミノ樹脂(A)と反応している[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[5]アミノ樹脂(A)が炭素数1〜8のアルコール(c)でアルキルエーテル化されてい[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[6]アミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)とを反応させる[1]〜[5]の何れかに記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
[7] [1]に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む塗料。
[8] [1]に記載の熱硬化性樹脂組成物を含むコーティング材。
[9] [1]に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む接着剤。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は1つの硬化剤にアミノ樹脂とウレタン樹脂を含有し、しかも、それぞれの樹脂性能をお互いに損なうことなく維持できるウレタン変性アミノ樹脂である。また、溶剤系水系を問わず、あらゆる樹脂の硬化剤としても使用可能であり、複合化しているため貯蔵安定性にも優れており、更に耐衝撃性および耐チッピング性にも優れているので各種塗料、インキ、接着剤、コーティング材、バインダー、プライマー等の用途に有用である。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
[アミノ樹脂(A)]
本発明のアミノ樹脂(A)は、アミノ化合物(a)、アルデヒド(b)、アルコール(c)、より付加脱水縮合して得られるものである。
アミノ化合物(a)
本発明に使用されるアミノ化合物(a)は、尿素、メラミン、ベンゾグアナミンあるいは、アセトグアナミン、カプリノグアナミン、エタンジアミド、プロパンジアミド、ブタンジアミド、ヘキサンジアミド、o,m,p−フタルジアミド等アミノ基またはアミド基を2個持つアミノ化合物、更に、スピログアナミン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド等アミノ基またはアミド基を3個以上持つアミノ化合物、更にトリアジン骨格を持つアミノ化合物等が挙げられる。これらの中で、物性や経済性の点から、尿素、メラミン、ベンゾグアナミンが好ましい。
アルデヒド(b)
本発明に使用されるアルデヒド(b)は、水溶液のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒドや、固形のパラホルムアルデヒド等でもよい。経済性の観点から80%以上の不揮発分を持つパラホルムアルデヒドが好ましい。
アルコール(c)
本発明に使用されるアルコール(c)は次式C2n+1OH(8≧n≧1)で示されるアルコールが使用可能であり、その構造は直鎖状でも分岐を有する構造でもよい。
nが9以上の場合には、アミノ樹脂(A)の製造工程中、後述する脱溶剤工程における過熱により常圧での沸点が200℃以上のアルコール(c)であると、脱溶剤工程が長くなり、アミノ樹脂(A)の自己架橋(縮合)が進行する可能性がある。そのため、経済性、塗膜性能の観点からnは4≧n≧1が好ましい。さらに、得られるアミノ樹脂(A)の親水性を向上させるためにはnの値は小さいことが望ましく、反対に疎水性を向上させるためにはnの値が大きい事が望ましい。このnの値は使用される塗料形態、主剤との相溶性によって選択される。これらの中で、物性や経済性の観点から、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノールなどが好ましい。
[アミノ樹脂(A)の製造方法]
本発明のアミノ樹脂(A)は、上記原料のアミノ化合物(a)1モルに対して、アルデヒド(b)3〜7モル、アルコール(c)4〜10モルの比率で、アルコール(c)を反応溶剤として反応容器に仕込み、反応溶剤の還流温度まで加熱してこれらを溶解させる。さらに、酸を触媒としてアルキルエーテル化を行い、水を除去しながら縮合反応を促進させる。次いで過剰に残った未反応のアルコール(c)を減圧蒸留操作により一部除去し、所定の不揮発分に調整を行い、アミノ樹脂(A)を得る。
[ウレタン樹脂(B)]
本発明のウレタン樹脂(B)は、イソシアネート(d)、ポリオール(e)及びエチレンオキサイド鎖(−(CO−))を含む活性水素原子を有す成分(f)の付加重合物として得られる。
イソシアネート(d)
本発明に使用されるイソシアネート(d)としては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する限り特に制限されず、ポリウレタンなどの製造に通常使用されるイソシアネート、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネートなどの低分子量イソシアネート、プレポリマー、イソシアヌレート体、トリオン体、及びこれらのイソシアネートの誘導体や変性体などが挙げられる。例えば1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族イソシアネート類、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、メチルシクロヘキシル−2,4−ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート類、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフテンジイソシアネート、ジフェニルメチルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジベンジルジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート類、塩素化ジイソシアネート類、臭素化ジイソシアネート類が挙げられる。また、前記イソシアネートのダイマー、トリマー(イソシアヌレート環含有ポリマー)、ビウレット、アロファネート、アダクト体などが挙げられる。これらの中で、物性や経済性の点から、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートや3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)およびこれらのトリマーやアダクト体が良く用いられる。
これらのイソシアネートは、単独で又は2種類以上併用しても良い。
ポリオール(e)
本発明に使用されるポリオール(e)は、通常ウレタン樹脂の製造に使用される公知のポリオール類、例えば、(脂肪族ジオール)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのC2−4アルキレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのC2−4アルキレンオキサイド付加体、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカプロラクトン、(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリブタジエンポリオール、フランジメタノール、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、モノアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコールなど)、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレートなどが挙げられる。その場合に、期待するウレタン樹脂の性能である柔軟性と強靭性を発現させるために、1種類以上のポリスチレン換算分子量で重量平均分子量500以上10000以下のポリオールを使用することが好ましい。これらポリオール類は、目的、用途に応じて、適時選択し、硬質、軟質等の必要な物性を容易に設計することが出来る。
これらの中で、物性や経済性の点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)、ポリエーテルエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトン、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコールなどが良く使用される。これらのポリオール化合物は、単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
エチレンオキサイド鎖(−(C O−) )を含む活性水素原子を有す成分(f)
本発明に使用されるエチレンオキサイド鎖を含む活性水素原子を有する成分(f)は、例えば、水酸基を2つ以上持つポリエチレングリコールや、アミノ基を2つ以上持つポリオキシエチレンジアミノエーテルなどや、末端をメトキシ基やエトキシ基などで封止した水酸基を1つ持つメトキシ基変性ポリエチレングリコール、エトキシ基変性ポリエチレングリコールなどが挙げられる。ウレタン樹脂分子中に、主鎖としてエチレンオキサイド鎖を含有されていても良く、また末端にエチレンオキサイド鎖を含有されていても良く、更に側鎖にエチレンオキサイド鎖を含有されていても良く、これ等を単独で又は、2種類以上組み合わせて使用できる。
これ等の中で、水酸基を2つ以上持つポリエチレングリコールや、水酸基を1つ持つメトキシ基変性ポリエチレングリコールなどが良い。
ウレタン樹脂中のエチレンオキサイド鎖含有量を多くするためには、主鎖にポリエチレングリコール成分を導入し、末端にはメトキシ基やエトキシ基などで封止したメトキシポリエチレングリコール成分などを導入すれば効率がよい。
エチレンオキサイド鎖(−(CO−))の導入は、上記化合物の様に直鎖であっても良く、更に主鎖からぶら下がる様に側鎖(ペンダント型)であっても構わない。
ここで、nは4〜220の整数である。また、エチレンオキサイド鎖の形態は連続、ランダム、ブロックであっても構わない。
エチレンオキサイド鎖が側鎖に導入された活性水素原子を有する成分(f)の製造方法は、例えば、ポリイソシアネートとアルコキシポリアルキレンエーテルグリコールとをイソシアネート基/ヒドロキシル基の当量比3〜30の割合で反応させた後、未反応のポリイソシアネートを除去し、次いでジアルカノールアミンを、イソシアネート基/アミノ基の当量比0.5〜2の割合で反応させて得ることができる。ここで、ポリイソシアネートとアルコキシポリアルキレンエーテルグリコールとの反応は、40〜100℃で2〜24時間、窒素雰囲気下で行うことが望ましい。
これらのエチレンオキサイド鎖を含む活性水素原子を有する成分(f)は、単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
成分(f)のポリスチレン換算での重量平均分子量は、耐衝撃性などの物性や経済性の点から、通常200〜10000、好ましくは300〜5000、更に好ましくは400〜3000である。
[ウレタン樹脂(B)の製造方法]
ウレタン樹脂(B)の一般的製造方法は以下の通りである。イソシアネート(d)とポリオール(e)とエチレンオキサイド鎖を連続成分に含む活性水素原子を有する成分(f)をトルエン等の有機溶媒中で加熱しながら溶解させ、反応熱による過剰な温度上昇を防ぐ為に温度を80℃以下に保ちながら、4時間から8時間かけて反応を行いウレタン樹脂(B)を得る。この時にイソシアネート(d)と活性水素原子を有する成分(ポリオール(e)とエチレンオキサイド鎖を連続成分に含む活性水素原子を有する成分(f)との和)との割合は、活性水素原子(ヒドロキシル基やアミノ基など)に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素原子)として、1未満であり、好ましくは0.4〜0.99、さらに好ましくは、0.5〜0.9である。このような範囲とすることにより、ウレタン樹脂(B)中にアミノ樹脂(A)と反応しうる活性水素原子を持たせることができ、アミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)を複合化することが可能となり、アミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)各々が持つ本来の性能を発現することが可能となる。
更に、ウレタン樹脂(B)中に占めるエチレンオキサイド鎖を連続成分に含む活性水素原子を有する成分(f)の割合としては、3〜70重量%であり、好ましくは4〜60重量%、更に好ましくは5〜50重量%である。このような範囲とすることで、耐衝撃性や耐チッピング性を向上させることが可能となる。
ここで、本発明のウレタン樹脂製造に用いられる溶剤としては、通常ウレタン樹脂の製造に用いられる有機溶媒が使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、アセトニトリル、ヘキサン、オクタン、ジオキサン、テトラヒドロフタン、ジメチルホルムアマイド、N−メチル−2−ピロリドン等や、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのセロソルブ類や、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のカルビトール類等が挙げられる。
[ウレタン変性アミノ樹脂(C)の製造方法]
本発明のウレタン変性アミノ樹脂(C)の製造方法は、アミノ化合物(a)、アルデヒド(b)、アルコール(c)より付加脱水縮合して得られるアミノ樹脂(A)を製造し、さらにイソシアネート(d)、ポリオール(e)及びエチレンオキサイド鎖を連続成分に含む活性水素原子を有する成分(f)を付加重合によりウレタン化反応させたポリマー分子の両末端に水酸基を有するウレタン樹脂(B)を複合化反応させるものである。
また、先にウレタン樹脂(B)を製造し、これに付加脱水縮合して得られたアミノ樹脂(A)を反応させても構わない。
本発明の硬化剤を用いて得られた熱硬化性樹脂組成物の耐水性・硬度・耐衝撃性や耐チッピング性などの観点から、本発明のアミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)とを複合化反応するに当たり、ウレタン樹脂(B)の使用量は、本発明の硬化剤を用いて得られた熱硬化性樹脂組成物の耐水性・硬度・耐衝撃性や耐チッピング性などの観点から、アミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)の総量100重量部に対し通常3〜70重量部、好ましくは5〜50重量部、更に好ましくは7〜40重量部である。
本発明でアミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)との複合化反応段階で、上記のウレタン樹脂(B)製造時に例示した有機溶剤の他、以下のアルコール類の有機溶媒も使用することもできる。例えばイソプロピルアルコール、2−ブチルアルコール、tert−ブタノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ピナコール、シクロヘプタノール、2‐エチル−1−ヘキサノール、ダイアセトンアルコール等の2級、3級アルコール、またはアミノ樹脂(B)製造時に用いられたアルコール(c)などが挙げられる。
さらに必要に応じて、上記ウレタン変性アミノ樹脂(C)中のカルボン酸を塩基性化合物で中和することができる。塩基性化合物としては、無機塩基性化合物として水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物またはアンモニア、あるいは有機塩基性化合物としてモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等を始めとするアルカノールアミン類、トリエチルアミン、アミンモルホリン等のアミン類が挙げられる。
[熱硬化性樹脂組成物を含む塗料]
本発明の熱硬化性樹脂組成物を含む硬化剤を使用した塗料は、一般的な塗装において使用可能なもの全てを用いることができる。塗料組成物は樹脂と着色剤である顔料を含み、有用な樹脂組成物としては、アクリル−メラミン系、ポリエステル(アルキッド)−メラミン系、水溶性アクリル−メラミン系、アクリルポリオール−メラミン系、水溶性ポリエステル(アルキッド)−メラミン系、アクリル−多価イソシアネート系、ポリエステル(アルキッド)−イソシアネート系、水溶性アクリル−多価イソシアネート系、アクリルポリオール−イソシアネート系、ポリオール−多価イソシアネート系、アクリルエマルション−メラミン系、アクリルラッカーやポリエステルラッカー等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を含む硬化剤を使用した塗料に使用される金属顔料および着色顔料としては、例えばアルミニウムフレーク、銅ブロンズフレーク、マイカ、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、クロム酸鉛およびカーボンブラック、並びに有機顔料として、フタロシアニンブルーおよびフタロシアニングリーンが挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を含む硬化剤を使用した塗料は、塗膜表面の平滑性の改良あるいは発泡防止等の目的で各種の添加剤を添加するなど任意の公知の塗装作業性及び塗膜改良方法を付与することができる。
例えば、平滑性の目的ではBYK−Chemie社のBYK−380・BYK−381(アクリルポリマー系添加剤)、BYK−348(シリコン系樹脂)などであり、発泡防止目的ではBYK−Chemie社のBYK−020(変性ポリシロキサン共重合物)、BYK−022(シリコン系樹脂)などが挙げられる。
又、本発明の塗料は水系塗料用硬化剤としても使用することが可能である。その際、有機溶剤を使用しても何等問題はないが、樹脂の溶解性、塗装方法及び環境、又塗膜の乾燥条件等を考慮して種類、添加量等を選択して添加することが望ましい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等の水可溶性のアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリャールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート等のエチレングリコール及び水可溶性のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモキメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び水可溶なそれぞれのグリコールの誘導体、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリメチレングリコール、グリセリン、グリセリルモノアセテート、グリセリルジアセテート等の水に可溶な多価アルコール類及びその誘導体が挙げられる。又その他の水溶性溶剤としてテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、アセトン、ジアセトンアルコール、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル2−ピロリドン等が挙げられる。疎水性の溶剤としては炭素数が4以上のアルコール、芳香族性化合物、エステル化合物、ケトン化合物などが挙げられる。具体的にはn−ブタノール、2−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等が挙げられる。芳香族性化合物としては、ベンゼン、トルエン、o−、m−、p−キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。エステル化合物としては酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等が挙げられる。ケトン化合物としてはメチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。また、エクソンモービル社製のソルベッソシリーズを始めとした市販の混合有機溶剤を用いてもなんら問題は無い。
[熱硬化性樹脂組成物を含むコート材]
本発明の熱硬化性樹脂組成物を含むコート材としては、コーティング材、塗料、モールディング剤等がある。用途に応じて、熱硬化性樹脂組成物に各種の添加剤、例えば、上記記載の発泡防止剤、平滑性改良剤等の添加剤を添加することができる。また、上記記載の有機溶剤を添加しても何等問題はない。
[熱硬化性樹脂組成物を含む接着剤]
本発明の熱硬化性樹脂組成物を含む接着材としては、金属用接着剤、プラスチック用接着剤等がある。用途に応じて、熱硬化性樹脂組成物に各種の添加剤、例えば、上記記載の発泡防止剤等に加えて熱硬化を促進する酸触媒を添加することができる。また、上記記載の有機溶剤を添加しても何等問題はない。
以下、本発明を、更に具体的に説明するため、実施例、比較例を上げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例および比較例における「部」および「%」は、重量部および重量%を示す。
[アミノ樹脂(A−1)の調整]
アミノ樹脂の製造例を示す。温度計、攪拌機、還流冷却管及び溶剤副生成物回収装置を備えた1000mlの四つ口フラスコに、92%パラホルムアルデヒド(ホルムアルデヒド92%含有)196部、メラミン126部、n−ブタノール519部を加え、攪拌を行いながら燐酸の10%水溶液を加え反応液のpHを5.0に調整した。還流温度まで過熱し溶解させた後、加熱し反応液の温度を90℃に保ち4時間反応を継続した後トリエチルアミンを加え反応液のpHを7.0に調整した。70℃迄冷却し減圧下で系内の温度を70℃以下に保ちながら過剰のn−ブタノールを系外へ除去し、アミノ樹脂(A−1)を得た。得られたアミノ樹脂(A−1)の不揮発分は、64.2%であった。
[アミノ樹脂(A−2)の調整]
表1に示す配合処方において、アミノ樹脂(A−1)と同様の操作により、アミノ樹
脂(A−2)を調整した。
[アミノ樹脂(A−3)]
メラミン系アミノ樹脂である、日本サイテックインダストリーズ(株)製「サイメル325」を比較用として使用した。
Figure 2010222487
不揮発分:JIS K5407−4−3−1により測定
[ウレタン樹脂(B−1)の調整]
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管を備えた1000mlの四ツ口フラスコに、TPG126部、PEG600 104部、シクロヘキサノン140部を装入し、窒素を導入しながら攪拌、内温を80℃まで昇温し内容物を溶解させた。その後、内温を35℃まで下がったところでHDI 120部を内温55℃以下に保ちながら2時間かけて滴下を行い、反応を行った。その後、80℃まで昇温し2時間熟成反応を進め、残存イソシアネート基が無くなったことを確認後、シクロヘキサノン210部を加え、40℃まで冷却を行い、ウレタン樹脂(B−1)を得た。得られたウレタン樹脂(B−1)の不揮発分は、50.6%であった。
[ウレタン樹脂(B−2)の調整]
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管を備えた1000mlの四ツ口フラスコに、TPG15部、NPG61部、PEG1000 148部、シクロヘキサノン140部を装入し、窒素を導入しながら攪拌、内温を80℃まで昇温し内容物を溶解させた。その後、内温を35℃まで下がったところでIPDI 126部を内温55℃以下に保ちながら2時間かけて滴下を行い、反応を行った。その後、80℃まで昇温し2時間熟成反応を進め、残存イソシアネート基が無くなったことを確認後、シクロヘキサノン210部を加え、40℃まで冷却を行い、ウレタン樹脂(B−2)を得た。得られたウレタン樹脂(B−2)の不揮発分は、50.5%であった。
[ウレタン樹脂(B−3)の調整]
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管を備えた1000mlの四ツ口フラスコに、HDI 94部、NPG53部、PPG1000 128部、M−PEG550 75部、シクロヘキサノン140部を装入し、窒素を導入しながら攪拌、内温を80℃まで徐々に昇温し反応を始めた。内温80℃を保ちながら、4時間反応を続け、残存イソシアネート基が無くなったことを確認後、ブチルセルソルブ210部を加え、40℃まで冷却を行い、ウレタン樹脂(B−3)を得た。得られたウレタン樹脂(B−3)の不揮発分は、50.3%であった。
[ウレタン樹脂(B−4、B−5、B−6、B−7、B−8)の調整]
表2に示す配合処方において、ウレタン樹脂(B−3)と同様の操作により、ウレタン樹脂(B−4、B−5、B−6、B−7、B−8)を調整した。
Figure 2010222487
尚、表2における成分とその略号は下記の通りである。
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
NPG:ネオペンチルグリコール
TPG:トリプロピレングリコール
PPG:重量平均分子量1000のポリプロピレングリコール
DMPA:2,2−ジメチロールプロピオン酸
PEG600:重量平均分子量600のポリエチレングリコール
PEG1000:重量平均分子量1000のポリエチレングリコール
M−PEG550:重量平均分子量550のポリオキシエチレン−モノメチルエーテル
M−PEG1000:重量平均分子量1000のポリオキシエチレン−モノメチルエーテル
ブチセロ:ブチルセルソルブ
不揮発分:JIS K5407−4−3−1により測定。
[ウレタン変性アミノ樹脂(C−1)の調整]
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却管及び溶剤副生成物回収装置を備えた1000mlの四ツ口フラスコに、アミノ樹脂(A−1)779部、ウレタン樹脂(B−1)198部を装入し、窒素を導入しながら攪拌、内温を90℃まで徐々に昇温し複合化反応を始めた。内温90℃を保ちながら、3時間反応を続け、その後40℃まで冷却を行い、ジメチルエタノールアミンを添加してpH8.0に調整し、ウレタン変性アミノ樹脂(C−1)を得た。得られたウレタン変性アミノ樹脂(C−1)の不揮発分は、64.2%であった。
[ウレタン変性アミノ樹脂(C−2、C−3、C−4、C−5、C−6)の調整]
表3に示す配合処方において、ウレタン変性アミノ樹脂(C−1)と同様の操作によ
り、ウレタン変性アミノ樹脂(C−2、C−3、C−4、C−5、C−6)を調整した。
[ウレタン変性アミノ樹脂(C−7)の調整]
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却管及び溶剤副生成物回収装置を備えた1000mlの四ツ口フラスコに、アミノ樹脂(A−1)779部、ウレタン樹脂(B−5)202部を装入し、窒素を導入しながら攪拌、内温を90℃まで徐々に昇温し(複合化)反応を始めた。内温90℃を保ちながら、3時間反応を続け、その後40℃まで冷却を行い、ジメチルエタノールアミンを1.6部添加してカルボン酸を中和し、更にジメチルエタノールアミンを添加してpH8.0に調整し、ウレタン変性アミノ樹脂(C−7)を得た。得られたウレタン変性アミノ樹脂(C−7)の不揮発分は、63.1%であった。
[ウレタン変性アミノ樹脂(C−8、C−9、C−10、C−11)の調整]
表3に示す配合処方において、ウレタン変性アミノ樹脂(C−1)と同様の操作により、ウレタン変性アミノ樹脂(C−8、C−9、C−10、C−11)を調整した。
[アミノ樹脂(C−12)]
アミノ樹脂(C−12)は、アミノ樹脂(A−3)を変性すること無く、そのまま使用した。
Figure 2010222487
尚、表3における成分とその略号は下記の通りである。
DMEtA:ジメチルエタノールアミン
不揮発分:JIS K5407−4−3−1により測定。
[参考製造例(主剤:アクリル樹脂)]
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素導入管を備えた1000mlの四ツ口フラスコに、スチレン265部、メチルメタアクリレート65部、エチルアクリレート100部、β−ヒドロキシメチルアクリレート35部、メタアクリル酸35部とベンゾイルパーオキサイド2.5部を100℃に加熱されたエチレングリコールモノイソプロピルエーテル335部の溶剤中へ4時間を要して滴下し、さらに同じ温度で3時間保ってビニル共重合のアクリル樹脂を得た。得られたアクリル樹脂の不揮発分は60%で、酸価は75であった。
実施例1
前記で得られたウレタン変性アミノ樹脂(C−1)31.2部と三井化学(株)製「アルマテックスP646」(プレコートメタル用ポリエステル樹脂 中硬度スタンダード品:不揮発分60%)100部とシンナー(キシレン/シクロヘキサノン/ブタノール=5部/4部/1部)80部を300mlのPP容器に計量混合した。その後、フォードカップで20秒の粘度になるようにシンナーにより調整し塗料を得た。塗料はスプレーにより膜厚35μmを目標に、リン酸亜鉛処理鋼板に塗装を行い、60℃、30分間セッテイングを行った後、140℃、30分間焼付けを行い、評価用の塗膜を得た。
実施例2〜5
表4に示す配合処方において、実施例1と同様の操作により塗料を調整し、リン酸亜鉛処理鋼板にスプレー塗装を行い、焼付けを行い、評価用の塗膜とした。
実施例6
前記で得られたウレタン変性アミノ樹脂(C−5)31.3部と前記参考製造例で調整したアクリル樹脂100部(不揮発分60%)とブチルセルソルブ40部とジメチルエタノールアミン4.8部を300mlのPP容器に計量混合した。その後、脱イオン水40部をディスパー攪拌下において約10分間で連続添加して、フォードカップで20秒の粘度になるように脱イオン水により調整し塗料を得た。塗料はスプレーにより膜厚35μmを目標に、リン酸亜鉛処理鋼板に塗装を行い、60℃30分間セッテイングを行った後、140℃、30分間焼付けを行い、評価用の塗膜を得た。
実施例7、8
表4に示す配合処方において、実施例1と同様の操作により塗料を調整し、リン酸亜鉛処理鋼板にスプレー塗装を行い、60℃30分間セッテイングを行った後、140℃、30分間焼付けを行い、評価用の塗膜を得た。
実施例9
表4に示す配合処方において、実施例6と同様の操作により塗料を調整し、リン酸亜鉛処理鋼板にスプレー塗装を行い、60℃30分間セッテイングを行った後、140℃、30分間焼付けを行い、評価用の塗膜を得た。
実施例10、11、12
表4に示す配合処方において、実施例1と同様の操作により塗料を調整し、リン酸亜鉛処理鋼板にスプレー塗装を行い、60℃30分間セッテイングを行った後、140℃、30分間焼付けを行い、評価用の塗膜を得た。
比較例1
表4に示す配合処方において、実施例1と同様の操作により塗料を調整し、リン酸亜鉛処理鋼板にスプレー塗装を行い、60℃30分間セッテイングを行った後、140℃、30分間焼付けを行い、評価用の塗膜を得た。
比較例2
前記で得られたアミノ樹脂(A−1)24.9部とウレタン樹脂(B−1)6.3部を三井化学(株)製「アルマテックスP646」(プレコートメタル用ポリエステル樹脂 中硬度スタンダード品:不揮発分60%)100部とシンナー(キシレン/シクロヘキサノン/ブタノール=5部/4部/1部)80部を300mlのPP容器に計量混合した。その後、フォードカップで20秒の粘度になるようにシンナーにより調整し塗料を得た。塗料はスプレーにより膜厚35μmを目標に、リン酸亜鉛処理鋼板に塗装を行い、60℃、30分間セッテイングを行った後、140℃、30分間焼付けを行い、評価用の塗膜を得た。
比較例3
比較例1と同様に行い、評価用の塗膜を得た。
Figure 2010222487
[評価]<試験方法及び判定基準>
(1)塗膜の膜厚測定
各実施例および各比較例で得られた塗膜について、kett製の「COATING THICKNESS TESTER(LZ200W)」にて膜厚を測定した。
(2)塗膜の鉛筆硬度測定
各実施例および各比較例で得られた塗膜について、JIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度を測定した。
(3)塗膜の密着性
各実施例および各比較例で得られた塗膜について、JIS K5400−8−5−2に準拠して、碁盤目剥離試験を行い、セロテープ(登録商標)(登録商標)剥離後の密着部位の個数で評価した。
(4)塗膜のデュポン衝撃性
各実施例および各比較例で得られた塗膜について、JIS K5400−8−3に準拠して、1000g荷重で先端1/2inchRの打付具を使用しデュポン衝撃試験を行い、セロテープ(登録商標)剥離後に塗膜が剥がれない高さ(cm)を測定した。
(5)塗膜の耐チッピング性
各実施例および各比較例で得られた塗膜について、飛び石試験機(スガ試験機(株)製JA−400)を用いて塗膜の耐チッピング性を評価した。道路用砕石6号(JIS A5001−77に規定するもの)を使用して−20℃で試験片を1時間保持した後に4.0kg/cmの空気圧にて砕石を吹き付けて塗膜に衝突させた。その後、セロテープ(登録商標)(登録商標)により密着性が低下した部分の剥離操作を行い、塗膜の剥離面積を測定して耐チッピング性を以下の基準で評価した。
5:塗膜の剥離面積が全体の2.5%未満
4:塗膜の剥離面積が全体の2.5%以上5.0%未満
3:塗膜の剥離面積が全体の5.0%以上7.5%未満
2:塗膜の剥離面積が全体の7.5%以上10.0%未満
1:塗膜の剥離面積が10.0%以上
(6)塗膜の耐水性
各実施例および各比較例で得られた塗膜について、60℃水中へ48時間浸漬し、取り出し1時間後の塗膜状態を目視にて、以下の基準で評価した。
○:白化、フクレ、サビなし
△:白化、フクレなし、サビあり
×:白化、フクレ、サビあり
(7)塗膜の耐溶剤性
各実施例および各比較例で得られた塗膜について、メチルエチルケトンにてラビング試験(割り箸の先端部にガーゼを付け、メチルエチルケトンに浸したあと塗膜を擦る)を行ったときに、塗膜が剥がれるまでの回数(一往復で一回とし、上限は50回とする)を、以下の基準で評価した。
○:50回以上でも剥がれず、塗膜に変化がみられない
△:50回以上でも剥がれないが、塗膜に傷などが発生する
×:50回以下で、塗膜が剥がれる。
表4の結果から明らかなように、実施例の塗料では、各種特性に優れている。これに対して、比較例1〜3の塗料では、デュポン衝撃性や耐チッピング性が劣る結果となっている。
また、比較例2の塗料では、アミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)が複合化されていないので、密着性に劣る。また、比較例3の塗料では、鉛筆硬度が高くなっており、非常に硬い塗膜に仕上がっているためにデュポン衝撃性や耐チッピング性が劣り、密着性も劣る結果となっている。

Claims (9)

  1. アミノ化合物(a)、アルデヒド(b)、アルコール(c)、より付加脱水縮合して得られるアミノ樹脂(A)とイソシアネート(d)、ポリオール(e)及びエチレンオキサイド鎖を含む活性水素原子を有する成分(f)、より重合して得られるウレタン樹脂(B)とを含有する熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記成分(f)の重量平均分子量が200〜10000である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. ウレタン樹脂(B)が前記成分(f)を3〜70重量%含有する請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. ウレタン樹脂(B)の末端官能基がアミノ樹脂と反応可能な水酸基であり、かつ、少なくとも1つの該水酸基がアミノ樹脂(A)と反応している請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. アミノ樹脂(A)が炭素数1〜8のアルコール(c)でアルキルエーテル化されている請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. アミノ樹脂(A)とウレタン樹脂(B)とを反応させる請求項1〜5の何れかに記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む塗料。
  8. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物を含むコーティング材。
  9. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む接着剤。
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