JP2010222213A - 金属アミドの製造方法および金属アミド製造装置 - Google Patents
金属アミドの製造方法および金属アミド製造装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】金属とアンモニアとを反応させて金属アミドを生成する金属アミドの製造方法であって、反応容器110に金属を封入する工程と、反応容器110にアンモニアを導入し液化させる工程と、反応容器110内を攪拌して、封入された金属と液化されたアンモニアとを反応させる工程と、を含み、反応容器110内のガスのうち、アンモニアガスをトラップし、水素ガスを排出しつつ、反応を進行させる。このように、水素ガスを排出するため、容器にかかる負担を低減することができる。その結果、高圧に耐えうる容器を用いたり、水素の発生を抑えるために製造量を減らして低圧で製造したりする必要をなくし、工業的な有用性を高めることができる。
【選択図】図1
Description
本発明の金属アミドは、金属種とアンモニアが化合することで生成される。金属種としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、べリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ユーロピウム(Eu)から選ばれた1種もしくは2種以上の化合物で構成される化合物が挙げられる。
金属アミドの生成には、金属とアンモニアとを反応させる金属アミド製造装置を用いることができる。図1は、金属アミド製造装置100の断面図である。金属アミド製造装置100は、反応容器110、水素排出路120を備えている。
次に、本発明に係る金属アミドの製造方法を説明する。図2Aおよび図2Bは、それぞれ金属アミドの製造工程の一場面を示す断面図である。まず、反応容器110に粉粒体の金属150を封入する。その際には、金属が酸化しないよう不活性ガス雰囲気等、金属150が空気に触れない雰囲気において封入する。その後、反応容器110内を真空排気し、図2Aに示すようにドライアイス−メタノール等の冷媒131により反応容器110内を冷却する。
反応容器110として、耐圧が2MPaの96mlのガラス製耐圧容器(ハイパーグラス、耐圧硝子工業社製)を用い、トラップ130としてステンレス製のデュワー冷却器を用いた。反応容器110内には、攪拌部材151としてのマグネチックスターラーを配置した。
実施例1と同じ装置を用い、原料にマグネシウム(Mg)1.0829gを用いた以外は、実施例1と同様の手順で混合までの操作を行った。そして混合液をマグネチックスターラーで攪拌しながら室温まで昇温し、3時間反応させた。反応終了後、反応容器110内のアンモニアを排気し、残った試料は高純度アルゴングローブボックス内で回収した。回収した試料は白色固体であり、その質量は2.259g(収率90.0%)であった。トラップ130から排出されたガスをガスクロマトグラフィーで分析したところ、水素のみが検出された。
実施例1と同じ装置を用い、原料にリチウム(Li)1.0004gを用いた以外は、実施例1と同様の手順で混合までの操作を行った。そして、混合液を攪拌部材151で攪拌しながら室温まで昇温し、3時間反応させた。この時の反応容器110の内圧は0.91MPaであった。反応終了後、反応容器110内のアンモニアは排気し、試料は高純度アルゴングローブボックス内で回収した。回収した試料は白色固体であり、その質量は2.8103g(収率84.9%)であった。トラップ130から排出されたガスをガスクロマトグラフィーで分析したところ、水素のみが検出された。
トラップ130が無く、水素ガスの排出口132を閉じている以外は、実施例1と同様の装置を用いた。高純度アルゴングローブボックス内でカルシウム(Ca)を1.4982g計り取り、反応容器110に封入した。続いて、反応容器110を真空排気した後、反応容器110内をドライアイス−メタノールで冷却した。冷却後、液化アンモニアが30mlになるようにアンモニアガスを導入した。これを攪拌部材151で攪拌しながら室温まで昇温した。昇温開始と同時に内圧は上昇し、1.9MPa以上となったため途中で中断した。
比較例1と同様の装置を用い、カルシウム(Ca)0.5003gを用いた以外は、比較例1と同様の手順で混合までの操作を行った。そして、混合液を攪拌部材151で攪拌しながら室温まで昇温した。この時の反応容器110の内圧は0、90MPaであった。反応が進行するにつれ青白色の固体が析出した。反応は12時間で終了した。反応終了後、反応容器110内のアンモニアは排気し、試料を高純度アルゴングローブボックス内で回収した。回収した試料は青白色固体であり、その質量は0.8095g(収率89.9%)であった。反応時間が長いのは、密閉系では水素が存在することにより反応速度が遅いためと考えられる。また、得られた青白色の固体については、固体の色が実施例1〜3で得られるものの色とは異なることから少量のカルシウム(Ca)が残留していると考えられる。
以上の実施例および比較例により、原料の金属としてカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)およびリチウム(Li)を用いて、反応容器110内の圧力上昇を抑えながら反応を進め、各金属アミドを得ることができ、本発明に係る金属アミドの製造方法が有効であることが実証された。また、その他の金属でも、ストロンチウム(Sr)やバリウム(Ba)等の液化アンモニアに溶ける金属であれば同様に反応を進めることができると考えられる。また、比較例によれば、水素排出路120にトラップ130を設けない装置で反応を進めると、排出口132を塞いだ場合には反応容器110内の圧力が高くなりすぎたり、水素ガスの存在により効率が低下し、金属が残留して金属アミドの純度が低下したりすることが分かった。
110 反応容器
111 蓋
112 容器本体
120 水素排出路
121 ガス流通管
130 トラップ
131 冷媒
132 排出口
133 凹部
140 アンモニア導入管
141 バルブ
150 金属
151 攪拌部材
155 混合液
160 バルブ
170 圧力計
Claims (7)
- 金属とアンモニアとを反応させて金属アミドを生成する金属アミドの製造方法であって、
反応容器に金属を封入する工程と、
前記反応容器にアンモニアを導入し液化させる工程と、
前記反応容器内を攪拌して、前記封入された金属と前記液化されたアンモニアとを反応させる工程と、を含み、
前記反応容器内のガスのうち、アンモニアガスをトラップし、水素ガスを排出しつつ、前記反応を進行させることを特徴とする金属アミドの製造方法。 - 前記反応容器に封入される金属がLi、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、BaおよびEuから選ばれた1種または2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1記載の金属アミドの製造方法。
- 前記反応容器を−77℃以上−35℃以下で冷却する工程を更に含み、
前記反応容器の冷却後に、アンモニアを導入することを特徴とする請求項1または請求項2記載の金属アミドの製造方法。 - 前記反応容器から排出されるガスを−77℃以上−35℃以下で冷却し、アンモニアガスをトラップすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の金属アミドの製造方法。
- 液化されたときに、体積比で前記封入された金属の10倍以上50倍以下となるアンモニアを前記反応容器に導入することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の金属アミドの製造方法。
- 前記反応容器の内部を−20℃以上100℃以下に維持し、前記反応を進行させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の金属アミドの製造方法。
- 金属とアンモニアとを反応させて金属アミドを生成する金属アミド製造装置であって、
内部の温度調整が可能な反応容器と、
前記反応容器に接続され、前記反応により生成される水素を排出する水素排出路と、を備え、
前記水素排出路は、その経路上にアンモニアガスを液化させるトラップを有することを特徴とする金属アミド製造装置。
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