JP2010221834A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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雅明 駒沢
Takayuki Yamamoto
貴之 山本
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芳夫 増田
Hiroaki Shinno
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Abstract

【課題】ホイールシリンダへの供給液量とホイールシリンダの液圧の関係を示す作動特性では、ホイールシリンダへの供給液量と排出液量にもとづいてホイールシリンダの液圧を制御することは困難である。
【解決手段】液圧回路を介したホイールシリンダへのブレーキ液の供給によりホイールシリンダに液圧を供給し、当該液圧により車輪に制動力を付与するブレーキ制御装置において、液圧源は、液圧回路中に設けられ、モータの回転数に応じてホイールシリンダに液圧を供給する。液圧調整弁は、通電制御により開度が調整されて、ホイールシリンダの液圧を調整する。制御手段は、モータの回転数を一定に保ち、液圧調整弁への通電電流値を変化させたときのホイールシリンダの液圧にもとづいて、モータの回転数と、液圧調整弁への通電電流値と、ホイールシリンダの液圧との関係を示す制御特性を取得する。
【選択図】図6

Description

本発明は、ブレーキ制御装置に関する。
従来、液圧回路を介したホイールシリンダへのブレーキ液の供給をアクチュエータにより電子制御して、各ホイールシリンダに供給する液圧を制御する液圧ブレーキ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のブレーキ制御装置は、供給電力に応じて開度が調整されるリニア弁を備えており、このリニア弁に供給される供給電力は、供給電力と液圧との関係を示す作動特性のテーブルにもとづいて決定される。また、特許文献1には、ブレーキ液がリニア弁を流れ始めたときの液圧と供給電力との関係を示す作動特性を取得する作動特性取得装置が開示されている。この作動特性取得装置は、車両が停止状態にある間に作動特性を取得する。
また、特許文献2には、リニア弁が、ある程度の電流を流さないと、弁が開かずブレーキ液が実際に流れないという不感帯特性を有し、リニア弁の電流値に対する流量特性の不感帯幅が最初の学習値とずれた時、不感帯幅を再学習する車両用ブレーキ制御装置が開示されている。
特開平11−147466号公報 特開2001−287630号公報
ところで、特許文献1において取得されるリニア弁の作動特性は、リニア弁への供給電力とホイールシリンダの液圧の関係、すなわちホイールシリンダへの供給液量とホイールシリンダの液圧の関係である。この作動特性では、ホイールシリンダへの供給液量と排出液量にもとづいてホイールシリンダの液圧を制御することは困難である。
また、経時変化によりリニア弁の制御特性が変化する場合がある。特許文献2におけるリニア弁の流量特性の再学習は、流量特性の不感帯幅に関するものであって、リニア弁の制御特性の全体の再学習ではない。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ポンプからの供給液量とリニア弁からの排出液量によりホイールシリンダへの流量を調整してホイールシリンダの液圧を制御するためのリニア弁への制御特性を取得できるブレーキ制御装置を提供することにある。また、経時変化によりその制御特性が変化した場合に、制御特性を補正できるブレーキ制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ制御装置は、液圧回路を介したホイールシリンダへのブレーキ液の供給によりホイールシリンダに液圧を供給し、当該液圧により車輪に制動力を付与するブレーキ制御装置であって、液圧回路中に設けられ、モータの回転数に応じてホイールシリンダに液圧を供給する液圧源と、通電制御により開度が調整されて、ホイールシリンダの液圧を調整する液圧調整弁と、モータの回転数を一定に保ち、液圧調整弁への通電電流値を変化させたときのホイールシリンダの液圧にもとづいて、モータの回転数と、液圧調整弁への通電電流値と、ホイールシリンダの液圧との関係を示す制御特性を取得する制御手段と、を備える。この態様によると、モータの回転数と、液圧調整弁への通電電流値と、ホイールシリンダの液圧との関係を示す制御特性を取得することができる。取得した制御特性は、所定のモータ回転数に対する液圧調整弁への通電電流値とホイールシリンダの液圧の関係を示す。
2つの液圧源が1つのモータの駆動により作動され、液圧源には1つのホイールシリンダが接続されていてもよい。これにより、1つモータの駆動により2つの液圧源からそれぞれのホイールシリンダにブレーキ液が供給される。
制御手段は、モータの回転数を段階的に変化させ、それぞれのモータの回転数で液圧調整弁への通電電流値を変化させたときのホイールシリンダの液圧にもとづいて制御特性を取得してもよい。これにより、複数のモータの回転数に応じた制御特性を取得することができる。
制御手段は、制御特性にもとづいて液圧調整弁への通電電流値を制御することで、ホイールシリンダの液圧をホイールシリンダの目標液圧にするように調整し、制御特性にもとづく液圧調整弁への通電電流値により調整されたホイールシリンダの液圧がホイールシリンダの目標液圧と異なる場合は、フィードバック制御にもとづいて液圧調整弁への通電電流値を制御することで、ホイールシリンダの液圧をホイールシリンダの目標液圧に調整してもよい。これにより、取得した制御特性にもとづくブレーキ制御をすることができ、制御特性にもとづくブレーキ制御において目標液圧との誤差が生じたとしても、フィードバック制御によってその誤差を修正することができる。
制御手段は、目標液圧とホイールシリンダの液圧が一定であり、目標液圧とホイールシリンダの液圧が同じである場合に、フィードバック制御において液圧調整弁へ通電したフィードバック電流値にもとづいて制御特性を補正するかどうかを判定してもよい。この態様によれば、フィードバック電流値にもとづいて制御特性を補正するかどうかを判定することができる。制御手段は、フィードバック電流値をもとに制御特性を補正してもよい。
制御手段は、制御特性の補正において、フィードバック制御によりホイールシリンダの液圧を略一定に保ちつつ、モータの回転数を漸次変化させ、制御特性を取得したときのモータの回転数に応じた液圧調整弁への通電電流値を取得し、取得した液圧調整弁への通電電流値と制御特性にもとづく通電電流値とを比較した結果をもとに制御特性を補正してもよい。これにより、制御特性を取得したときのモータの回転数に応じた液圧調整弁への通電電流値によって制御特性を補正することができる。
制御手段は、液圧調整弁への通電電流値を増加方向または減少方向に変化させた状態で制御特性を取得した場合に、制御特性を取得した状態と同じ状態で制御特性を補正するかどうかを判定してもよい。これにより、制御特性を取得したときの液圧調整弁のヒステリシス制御と同じ状態で制御特性を補正することができる。
本発明の別の態様もまた、ブレーキ制御装置である。この装置は、液圧回路を介したホイールシリンダへのブレーキ液の供給によりホイールシリンダに液圧を供給し、当該液圧により車輪に制動力を付与するブレーキ制御装置であって、液圧回路中に設けられ、モータの回転数に応じてホイールシリンダに液圧を供給する液圧源と、通電制御により開度が調整されて、ホイールシリンダの液圧を調整する液圧調整弁と、モータの回転数と、液圧調整弁への通電電流値と、ホイールシリンダの液圧との関係を示す制御特性を保持する制御特性保持手段と、制御特性にもとづいて液圧調整弁への通電電流値を制御することで、ホイールシリンダの液圧をホイールシリンダの目標液圧にするように調整し、制御特性にもとづく液圧調整弁への通電電流値により調整されたホイールシリンダの液圧がホイールシリンダの目標液圧と異なる場合は、フィードバック制御にもとづいて液圧調整弁への通電電流値を制御することで、ホイールシリンダの液圧をホイールシリンダの目標液圧に調整する液圧制御手段と、制御特性を補正する制御特性補正手段と、を備える。この態様によると、取得した制御特性にもとづくブレーキ制御をすることができ、制御特性にもとづくブレーキ制御において目標液圧との誤差が生じたとしても、フィードバック制御によってその誤差を修正することができる。
制御特性補正手段は、目標液圧とホイールシリンダの液圧が一定であり、目標液圧とホイールシリンダの液圧が同じである場合に、フィードバック制御において液圧調整弁へ通電したフィードバック電流値にもとづいて制御特性を補正するかどうかを判定してもよい。この態様によれば、フィードバック電流値にもとづいて制御特性を補正するかどうかを判定することができる。制御特性補正手段は、フィードバック電流値をもとに制御特性を補正してもよい。
制御特性補正手段は、液圧制御手段によって、フィードバック制御によりホイールシリンダの液圧を略一定に保ちつつ、モータの回転数を漸次変化させ、制御特性を取得したときのモータの回転数に応じた液圧調整弁への通電電流値を取得し、取得した液圧調整弁への通電電流値と制御特性にもとづく通電電流値とを比較した結果をもとに制御特性を補正してもよい。これにより、制御特性を取得したときのモータの回転数に応じた液圧調整弁への通電電流値によって制御特性を補正することができる。
制御特性補正手段は、液圧調整弁への通電電流値を増加方向または減少方向に変化させた状態で制御特性を取得した場合に、制御特性を取得した状態と同じ状態で制御特性を補正するかどうかを判定してもよい。これにより、制御特性を取得したときの液圧調整弁のヒステリシス制御と同じ状態で制御特性を補正することができる。
本発明によれば、ポンプからの供給液量とリニア弁からの排出液量によりホイールシリンダへの流量を調整してホイールシリンダの液圧を制御するためのリニア弁への制御特性を取得することができる。また、本発明によれば、経時変化によりその制御特性が変化した場合に、制御特性を補正できる。
実施形態に係るブレーキ制御装置の概略構成図である。 実施形態に係る液圧調整弁に作用する力を示す図である。 実施形態に係る液圧調整弁の閉弁電流特性を示す図である。 実施形態に係る液圧調整弁の流量特性を示す図である。 ブレーキ制御装置のブレーキ制御におけるホイールシリンダ圧とホイールシリンダへのブレーキ液の流量の関係の一例を対比して示す。図5(a)は、ブレーキ制御におけるホイールシリンダ圧と時間の関係を示す図である。図5(a)は、ブレーキ制御におけるホイールシリンダへのブレーキ液の流量と時間の関係を示す図である。 実施形態に係るブレーキECUの機能構成を示す図である。 実施形態に係る液圧制御部の機能構成を示す図である。 実施形態に係る制御特性のマップを示す図である。 実施形態に係る制御特性取得部が制御特性を取得する際のホイールシリンダ圧、モータ回転数、および通電電流の時間変化を示す図である。図9(a)は、制御特性取得部が制御特性を取得する際のモータ回転数を示す図である。図9(b)は、制御特性取得部が制御特性を取得する際の各液圧調整弁への通電電流を示す図である。図9(c)は、制御特性取得部が制御特性を取得する際のホイールシリンダ圧の時間変化を示す図である。 実施形態に係る制御特性取得部が制御特性を取得する際のホイールシリンダ圧、モータ回転数、および通電電流の時間変化を示す図である。図10(a)は、制御特性取得部が制御特性を取得する際のモータ回転数を示す。図10(b)は、制御特性取得部が制御特性を取得する際の各液圧調整弁への通電電流を示す。図10(c)は、制御特性取得部が制御特性を取得する際のホイールシリンダ圧の時間変化を示す。 実施形態に係る制御特性取得部が、制御特性を取得する処理を示すフローチャートである。 実施形態に係る制御特性の第1補正処理を示すフローチャートである。 制御特性に誤差が生じている場合の制御波形を示す図である。図13(a)は、液圧調整弁への通電電流の制御波形を示す図である。図13(b)は、ホイールシリンダ圧の制御波形を示す図である。 実施形態に係る制御特性の第2補正処理の補正開始判定を示すフローチャートである。 実施形態に係る制御特性の第2補正処理を示すフローチャートである。 第2補正処理の実行中のモータ回転数と、各液圧調整弁への通電電流と、ホイールシリンダ圧の時間変化を示す図である。図16(a)は、第2補正処理の実行中のモータ回転数の時間変化を示す図である。図16(b)は、第2補正処理の実行中の各液圧調整弁への通電電流の時間変化を示す図である。図16(c)は、第2補正処理の実行中のホイールシリンダ圧の時間変化を示す図である。 実施形態に係る各液圧調整弁の流量特性を示す図である。 実施形態に係る制御特性の第3補正処理を示すフローチャートである。 第3補正処理において制御特性の補正を実行した場合の制御波形を示す図である。図19(a)は、各液圧調整弁への通電電流の時間変化を示す図である。図19(b)は、ホイールシリンダ圧の時間変化を示す図である。 第3補正処理において制御特性の補正を実行しなかった場合の制御波形を示す図である。
図1は、実施形態に係るブレーキ制御装置100の概略構成図である。本図では右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の液圧回路を構成する車両に実施形態のブレーキ制御装置100を適用した例について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
図1に示すように、ブレーキ制御装置100は、ブレーキペダル1、ストロークセンサ2、マスタシリンダ3、ストローク制御弁30、ストロークシミュレータ4、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5、ホイールシリンダ6FL、6FR、6RL、6RR(以下、総称する場合は、「ホイールシリンダ6」という)を備える。また、ブレーキ制御装置100は、ブレーキ制御装置100の各部の動作を制御する制御部としてのブレーキECU200を備えている。ブレーキ制御装置100は、液圧回路を介したホイールシリンダ6へのブレーキ液の供給によりホイールシリンダ6に液圧を供給し、当該液圧により車輪に制動力を付与する。
ドライバによってブレーキペダル1が踏み込まれると、ブレーキペダル1の操作量としてのペダルストロークがストロークセンサ2に入力され、ペダルストロークに応じた検出信号がストロークセンサ2から出力される。この検出信号はブレーキECU200に入力され、ブレーキECU200でブレーキペダル1のペダルストロークが検出される。なお、ここではブレーキ操作部材の操作量を検出するための操作量センサとしてストロークセンサ2を例に挙げているが、ブレーキペダル1に加えられる踏力を検知する踏力センサ等であってもよい。
ブレーキペダル1には、ペダルストロークをマスタシリンダ3に伝達するプッシュロッド等が接続されており、このプッシュロッド等が押されることでマスタシリンダ3に備えられているプライマリ室3aおよびセカンダリ室3bにマスタシリンダ圧が発生させられるようになっている。
マスタシリンダ3には、プライマリ室3aとセカンダリ室3bを構成するプライマリピストン3cおよびセカンダリピストン3dが備えられている。プライマリピストン3cおよびセカンダリピストン3dは、スプリング3eの弾性力を受けることで、ブレーキペダル1が踏み込まれていないときには各ピストン3c、3dが押圧されてブレーキペダル1を初期位置側に戻るように構成されている。
マスタシリンダ3のプライマリ室3aとセカンダリ室3bには、それぞれブレーキ液圧制御用アクチュエータ5に向けて延びる管路B、管路Aが連結されている。
また、マスタシリンダ3には、リザーバタンク3fが備えられている。リザーバタンク3fは、ブレーキペダル1が初期位置のときに、プライマリ室3aおよびセカンダリ室3bのそれぞれと図示しない通路を介して接続されるもので、マスタシリンダ3内にブレーキ液を供給したり、マスタシリンダ3内の余剰ブレーキ液を貯留する。リザーバタンク3fには、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5に向けて延びる管路C、管路Dが連結されている。
ストロークシミュレータ4は、管路Aにつながる管路Eに接続されており、セカンダリ室3b内のブレーキ液を収容する役割を果たす。管路Eには、管路Eの連通・遮断状態を制御できる常閉型の二位置弁により構成されたストローク制御弁30が備えられ、ストローク制御弁30により、ストロークシミュレータ4へのブレーキ液の流動が制御できるように構成されている。
ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5には、マスタシリンダ3のセカンダリ室3bと前輪FRに対応するホイールシリンダ6FRを接続するように、管路Aに連結された管路Fが備えられている。管路Fには、遮断弁36が備えられている。遮断弁36は、非通電時には開状態(連通状態)、通電時には閉状態(遮断状態)となる二位置弁であり、遮断弁36によって管路Fの連通・遮断状態が制御され、これにより管路A、Fを介したホイールシリンダ6FRへのブレーキ液の供給が制御される。
また、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5には、マスタシリンダ3のプライマリ室3aと前輪FLに対応するホイールシリンダ6FLを接続するように、管路Bに連結された管路Gが備えられている。管路Gには、遮断弁37が備えられている。遮断弁37は、非通電時には開状態、通電時には閉状態となる二位置弁であり、遮断弁37によって管路Gの連通・遮断状態が制御され、これにより管路B、Gを介したホイールシリンダ6FLへのブレーキ液の供給が制御される。
また、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5には、リザーバタンク3fから延設された管路Cに接続された管路Hと、管路Dに接続された管路Iが設けられている。管路Hは、管路H1、H2という2本の管路に分岐して、それぞれホイールシリンダ6FR、6RLに接続されている。また、管路Iは、管路I3、I4という2本の管路に分岐して、それぞれホイールシリンダ6FL、6RRに接続されている。ホイールシリンダ6RLおよびホイールシリンダ6RRは、それぞれ後輪RL、後輪RRに対応している。
各管路H1、H2、I3、I4には、それぞれ1つずつポンプ7、8、9、10が備えられている。各ポンプ7〜10は、例えば静寂性に優れたトロコイドポンプにより構成されている。ポンプ7〜10のうち、2つのポンプ7およびポンプ8は、第1モータ11によって駆動され、2つのポンプ9およびポンプ10は、第2モータ12によって駆動される。実施形態では、4つのポンプ7〜10が液圧源として機能する。各ポンプ7〜10は、液圧回路中に設けられ、接続された第1モータ11または第2モータ12の回転数に応じてホイールシリンダにブレーキ液を供給する。すなわち、2つのポンプが1つのモータの駆動により作動され、2つのポンプのそれぞれには1つのホイールシリンダが接続されている。
また、ポンプ7〜10のそれぞれに、並列的に管路J1、J2、J3、J4が備えられている。ポンプ7に対して並列的に接続された管路J1には、直列的に接続された連通弁38と液圧調整弁32が備えられている。連通弁38および液圧調整弁32は、連通弁38がポンプ7の吸入ポート側(管路J1におけるブレーキ液流動方向の下流側)に、液圧調整弁32がポンプ7の吐出ポート側(管路J1におけるブレーキ液流動方向の上流側)にそれぞれ位置するように配置されている。つまり、連通弁38によってリザーバタンク3fと液圧調整弁32との間の連通・遮断を制御できる構成とされている。連通弁38は、非通電時には閉状態、通電時には開状態となる二位置弁であり、液圧調整弁32は、非通電時には開状態、通電時には閉状態で、通電制御により弁の開度が調整される常開型のリニア弁である。
ここで、図2は、実施形態に係る液圧調整弁32に作用する力を示す。図2に示すように、液圧調整弁32のリニアソレノイドへの通電電流に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、液圧調整弁32の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とし、ソレノイドの摺動に対する摩擦力F4とすると、F1=F2+F3+F4という関係が成立して、液圧調整弁32の開度は、{(F2+F3+F4)−F1}の値に依存する。つまり、電磁駆動力F1が大きくなるにつれて、弁の開度が小さくなる。
次に、図3は、実施形態に係る液圧調整弁32の閉弁電流特性を示す。閉弁電流とは、弁を開いた状態から閉じるときの弁への通電電流値をいう。閉弁電流特性とは、閉弁電流とホイールシリンダ圧の関係を示す特性をいう。液圧調整弁32への通電電流とホイールシリンダ圧の関係において、実線56より上側の領域の関係であれば、液圧調整弁32が閉弁状態であることを示し、実線56より下側の領域の関係であれば、液圧調整弁32が開弁状態であることを示す。実線56の閉弁電流特性は、閉弁電流がホイールシリンダ圧に対してリニアに比例する一次関数であることを示す。ここで、摺動抵抗の経時変化により摩擦力が変化しても、閉弁電流特性の勾配は変化せず、摩擦力の変化分だけ閉弁電流の切片が変化する。
図4は、実施形態に係る液圧調整弁32の流量特性を示す。ここで、液圧調整弁32の流量とは、液圧調整弁32を通るブレーキ液の流量をいう。また、流量特性とは、液圧調整弁32への通電電流と液圧調整弁32を通るブレーキ液の流量の関係を示す。本図において図示しないホイールシリンダ圧は一定である。本図に示す液圧調整弁32の流量は、ホイールシリンダ6FRから下流側の連通弁38方向へ排出される。常開型のリニア弁において、液圧調整弁32の通電電流が増加されるにつれて弁の開度が小さくなり、液圧調整弁32の流量は減少する。そして、通電電流が閉弁電流に達したときに液圧調整弁32は閉弁し、液圧調整弁32の流量はゼロとなる。なお、常開型のリニア弁である液圧調整弁33〜35も液圧調整弁32と同様に機能する。
ポンプ8に対して並列的に接続された管路J2には、液圧調整弁33が備えられている。液圧調整弁33は、液圧調整弁32と同様にリニア弁である。
ポンプ9に対して並列的に接続された管路J3には、直列的に接続された連通弁39と液圧調整弁35が備えられている。連通弁39および液圧調整弁35は、連通弁39がポンプ9の吸入ポート側(管路J3におけるブレーキ液流動方向の下流側)に、液圧調整弁35がポンプ9の吐出ポート側(管路J3におけるブレーキ液流動方向の上流側)にそれぞれ位置するように配置されている。つまり、連通弁39によってリザーバタンク3fと液圧調整弁35との間の連通・遮断を制御できる構成とされている。連通弁39は、非通電時には閉状態、通電時には開状態となる二位置弁であり、液圧調整弁35は、非通電時には開状態、通電時には閉状態で、通電制御により弁の開度が調整されるリニア弁である。液圧調整弁35は、通電制御により開度が調整されて、ホイールシリンダ6FLのブレーキ液量を調整する。
ポンプ10に対して並列的に接続された管路J4には、液圧調整弁34が備えられている。液圧調整弁34は、液圧調整弁35と同様にリニア弁である。
そして、管路J1〜J4における各ポンプ7〜10と各ホイールシリンダ6FR、6FL、6RR、6RLとの間には、液圧センサ13、14、15、16が配置されており、各ホイールシリンダ6FR、6FL、6RR、6RLにおける液圧を検出できるように構成されている。また、管路F、Gにおける遮断弁36、37よりも上流側(マスタシリンダ3側)にも液圧センサ17、18が配置されており、マスタシリンダ3のプライマリ室3aとセカンダリ室3bに発生しているマスタシリンダ圧を検出できるように構成されている。
さらに、ホイールシリンダ6FRを加圧するためのポンプ7の吐出ポートおよびホイールシリンダ6FLを加圧するためのポンプ9の吐出ポートには、それぞれ、逆止弁20、21が備えられている。逆止弁20、21は、それぞれホイールシリンダ6FR、6FL側からポンプ7、9側へのブレーキ液の流動を禁止するために備えられている。このような構造により、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5が構成されている。
上述の構成を備えたブレーキ制御装置100では、管路C、管路H、管路H1、管路H2を通じてリザーバタンク3fとホイールシリンダ6FR、6RLをつなぐ回路と、ポンプ7、8に並列的に接続された管路J1、J2の回路とを含む液圧回路と、管路A、管路Fを通じてセカンダリ室3bとホイールシリンダ6FRをつなぐ液圧回路とが、第1配管系統を構成している。
また、管路D、管路I、管路I3、管路I4を通じてリザーバタンク3fとホイールシリンダ6FL、6RRをつなぐ回路と、ポンプ9、10に並列的に接続された管路J3、J4の回路とを含む液圧回路と、管路B、管路Gを通じてプライマリ室3aとホイールシリンダ6FLをつなぐ液圧回路とが、第2配管系統を構成している。
そして、ストロークセンサ2や各液圧センサ13〜18の検出信号がブレーキECU200に入力され、これら各検出信号から求められるペダルストロークやホイールシリンダの液圧およびマスタシリンダ圧に基づいて、ストローク制御弁30、遮断弁36、37、連通弁38、39、および液圧調整弁32〜35(以下、総称する場合は「各液圧調整弁」という)や、第1モータ11、第2モータ12を駆動するための制御信号がブレーキECU200から出力されるようになっている。
実施形態に係るブレーキ制御装置100では、ホイールシリンダ6FR、6RLと、ホイールシリンダ6FL、6RRとが、それぞれ別々の管路C、H、もしくは管路D、Iで接続されている。そのため、ホイールシリンダ6FR、6RL、6FL、6RRとリザーバタンク3fとが一本の管路で接続されている場合と比べて、より多くのブレーキ液を各ホイールシリンダ6FR、6RL、6FL、6RRに供給することが可能となる。また、一方の管路が故障しても、他方の管路を介して当該他方の管路に連結されたホイールシリンダにブレーキ液を供給できるため、全てのホイールシリンダが加圧不可能となってしまう状況を回避できる。その結果、ブレーキ制御装置100の信頼性が向上する。
通常時には、ブレーキペダル1が踏み込まれ、ストロークセンサ2の検出信号がブレーキECU200に入力されると、ブレーキECU200は各電磁制御弁30、32〜39や、第1モータ11、第2モータ12を制御して、次のような状態にする。すなわち、遮断弁36および遮断弁37への通電は共にONされ、連通弁38および連通弁39への通電も共にONされる。これにより、遮断弁36および遮断弁37は遮断状態、連通弁38および連通弁39は連通状態とされる。
また、液圧調整弁32〜35は、通電電流値に応じて弁の開度が調整される。ストローク制御弁30は、通電がONされる。このため、管路A、Eを通じて、ストロークシミュレータ4がセカンダリ室3bと連通状態となり、ブレーキペダル1が踏み込まれたときに、各ピストン3c、3dが移動しても、セカンダリ室3b内のブレーキ液がストロークシミュレータ4に移動することになる。したがって、マスタシリンダ圧が高圧になることでブレーキペダル1に対して硬い板を踏み込むような感覚が発生することなく、ブレーキペダル1を踏み込めるようになっている。
さらに、第1モータ11および第2モータ12への通電が共にONされ、ポンプ7〜10から電磁制御弁を介さないでホイールシリンダ6へのブレーキ液の吐出が行われる。すなわち、ポンプ7〜10によるポンプ動作が行われると、各ホイールシリンダ6に対してブレーキ液が供給される。
ブレーキECU200により第1モータ11および第2モータ12のモータ回転数が制御されることで、ホイールシリンダ6へのブレーキ液の供給量が制御される。このとき、遮断弁36および遮断弁37が遮断状態とされているため、ポンプ7〜10の下流側の液圧、つまり各ホイールシリンダ6へのブレーキ液の供給量が増加する。そして、連通弁38および連通弁39が連通状態とされ、かつ、液圧調整弁32〜35の開度がそれぞれ制御されているため、開度に応じてブレーキ液が排出され、各ホイールシリンダ6の液圧が調整される。
ブレーキECU200は、各液圧センサ13〜16の検出信号に基づいて各ホイールシリンダ6に供給されている液圧をモニタリングし、液圧調整弁32〜35への通電電流値を制御することで、各ホイールシリンダ6の液圧が所望の値となるようにする。これにより、ブレーキペダル1のペダルストロークに応じた制動力が発生させられることになる。以上のようにして、実施形態のブレーキ制御装置100のブレーキ制御が行われる。
ところで、たとえば、第1モータ11のモータ回転数は、ホイールシリンダ6FRおよびホイールシリンダ6RLの目標流量にもとづいて決定される。ここで、ホイールシリンダ6FRの目標流量がホイールシリンダ6RLの目標流量より高い場合は、ホイールシリンダ6FRの目標流量にもとづいて第1モータ11のモータ回転数が決定される。すなわち、第1モータ11のモータ回転数は、ホイールシリンダ6FRの目標流量およびホイールシリンダ6RLの目標流量のうち、高い方の目標流量によって定められる。第1モータ11のモータ回転数に応じてホイールシリンダ6FRおよびホイールシリンダ6RLに同量のブレーキ液が供給される。供給された同量のブレーキ液が、それぞれ液圧調整弁32、33から排出されることで、ホイールシリンダ6FRおよびホイールシリンダ6RLの液圧が目標液圧に保持される。すなわち、実施形態のブレーキ制御装置100のブレーキ制御は、決定されたモータ回転数に応じて各液圧調整弁への液圧を保持するための通電電流値が定められる。そこで、ブレーキ制御装置100のブレーキ制御において、所定のモータ回転数において各液圧調整弁への通電電流値とホイールシリンダ圧の関係を示す制御特性が好適である。
図5は、ブレーキ制御装置100のブレーキ制御におけるホイールシリンダ圧とホイールシリンダ6へのブレーキ液の流量の関係の一例を対比して示す。図5(a)は、ブレーキ制御におけるホイールシリンダ圧と時間の関係を示す。図5(b)は、ブレーキ制御におけるホイールシリンダ6へのブレーキ液の流量と時間の関係を示す。
図5(a)に示す実線58は、ホイールシリンダ6FRの目標液圧を表し、破線60は、ホイールシリンダ6FRの実ホイールシリンダ圧、つまり液圧センサ13の検出液圧を示す。なお、実ホイールシリンダ圧とは、液圧センサ13〜16により検出されるホイールシリンダ6の液圧をいう。図5(b)に示す実線62は、ポンプ7からホイールシリンダ6FRへのブレーキ液の供給量を示し、破線64は、液圧調整弁32から排出されるホイールシリンダ6FRのブレーキ液の排出量を示す。
時刻T1から時刻T2において、実線62に示す供給量が破線64に示す排出量より多いため、ホイールシリンダ6FRに供給されたブレーキ液量は増加している。図5(b)において、時刻T1から時刻T2までの供給量と排出量の差分を積分した面積分のブレーキ液量が、ホイールシリンダ6FRに供給された増加分のブレーキ液量となり、この増加分のブレーキ液量に応じて破線60に示すホイールシリンダ圧が増圧される。
時刻T2から時刻T3において、実線62に示す供給量と破線64に示す排出量は同じであり、ホイールシリンダ6FRに供給されたブレーキ液量は変化せず、破線60に示すホイールシリンダ圧は保持される。
時刻T3から時刻T4において、実線62に示す供給量が破線64に示す排出量より少ないため、ホイールシリンダ6FRに供給されたブレーキ液量は減少している。時刻T3から時刻T4までの供給量と排出量の差分を積分した面積分のブレーキ液量が、ホイールシリンダ6FRから排出された減少分のブレーキ液量となり、この減少分のブレーキ液量に応じて破線60に示すホイールシリンダ圧が減圧される。以上より、ホイールシリンダ6FRは、第1モータ11のモータ回転数に応じたポンプ7からの供給量と、液圧調整弁32からの排出量との差分にもとづいて実ホイールシリンダ圧が増減圧される。他のホイールシリンダ6RL、6RR、および6FRの実ホイールシリンダ圧も同様に増減圧される。
図6は、実施形態に係るブレーキECU200の機能構成を示す。ブレーキECU200は、目標液圧算出部42と、液圧制御部44と、制御特性取得部46と、制御特性保持部48と、制御特性補正部50と、モータ駆動部52と、液圧調整弁駆動部54とを備える。
目標液圧算出部42は、ストロークセンサ2の出力にもとづいて各ホイールシリンダ6に付与すべき制動力に応じた目標液圧を算出する。なお、目標液圧算出部42は、所与の運転支援制御からの出力に応じた目標液圧を算出してもよい。
液圧制御部44は、目標液圧算出部42から目標液圧を受け取る。液圧制御部44は、目標液圧に応じて、ホイールシリンダ圧を制御する。具体的には、液圧制御部44は、目標液圧にもとづき所定の計算式により第1モータ11および第2モータ12のモータ回転数を算出する。ここで、たとえば、第1モータ11のモータ回転数は、ホイールシリンダ6FRとホイールシリンダ6RLに付与すべき目標流量のうち高い目標流量にもとづいて算出される。液圧制御部44は、算出したモータ回転数をモータ駆動部52に供給する。
液圧制御部44は、モータ回転数と目標液圧に応じて制御特性から各液圧調整弁への通電電流値を導出する。ここで、実施形態における「制御特性」とは、モータの回転数と、各液圧調整弁への通電電流値と、ホイールシリンダ6の液圧との関係を示す制御特性をいう。液圧制御部44は、液圧調整弁駆動部54に導出した各液圧調整弁への通電電流値を供給する。液圧制御部44は、制御特性に応じた各液圧調整弁への通電電流値にもとづいて制御された実ホイールシリンダ圧を液圧センサ13〜16から取得する。液圧制御部44は、制御特性にもとづいて制御された実ホイールシリンダ圧が目標液圧と異なる場合は、フィードバック制御によるフィードバック電流値を算出し、算出されたフィードバック電流値を各液圧調整弁へ加え、実ホイールシリンダ圧を目標液圧に調整する。すなわち液圧制御部44は、制御特性にもとづいて各液圧調整弁への通電電流値を制御することで、ホイールシリンダ6の液圧をそれぞれのホイールシリンダ6の目標液圧にするように調整し、制御特性にもとづく各液圧調整弁への通電電流値により調整されたホイールシリンダ6の液圧がホイールシリンダ6の目標液圧と異なる場合は、フィードバック制御にもとづいて各液圧調整弁への通電電流値を制御することで、ホイールシリンダ6の液圧をホイールシリンダ6の目標液圧に調整する。
モータ駆動部52は、算出されたモータ回転数を液圧制御部44から受け取り、それぞれのモータ回転数に応じて第1モータ11および第2モータ12を駆動させる。
液圧調整弁駆動部54は、導出された通電電流値および算出されたフィードバック電流値を液圧制御部44から受け取り、これらの電流値に応じて各液圧調整弁を駆動させ、弁の開度を調節する。
制御特性取得部46は、各液圧調整弁に関する個々の制御特性を取得する。制御特性は、3次元マップであってよい。制御特性取得部46は、ブレーキ制御装置100の車両への組み付け時など、車両が走行していないときに制御特性を取得してよい。具体的には、たとえばホイールシリンダ6FRの制御特性を取得する場合には、制御特性取得部46は、第1モータ11の回転数を一定に保ち、液圧調整弁32への通電電流値を変化させたときのホイールシリンダ6FRの液圧にもとづいて、第1モータ11の回転数と、液圧調整弁32への通電電流値と、ホイールシリンダ6FRの液圧との関係を示す制御特性を取得する。制御特性取得部46は、モータ回転数を一定に保ちつつ、各液圧調整弁への通電電流値を変化させるための制御指示を液圧制御部44に送り、液圧制御部44を介してモータ回転数と各液圧調整弁への通電電流値を制御してよい。また、制御特性取得部46は、検出されたホイールシリンダ圧と各液圧調整弁への通電電流値を液圧制御部44を介して取得してよい。
また、制御特性取得部46は、第1モータ11の回転数を段階的に変化させ、それぞれの第1モータ11の回転数で液圧調整弁32への通電電流値を変化させたときの液圧調整弁32の液圧にもとづく制御特性を取得する。制御特性取得部46は、他の液圧調整弁33、34、35に関する制御特性も同様に取得する。これにより、各液圧調整弁32〜35の個体差に応じた制御特性を取得することができる。また、取得された制御特性は、ポンプ7〜11からの供給量と液圧調整弁32〜35からの排出量と差分で実ホイールシリンダ圧を制御するブレーキ制御装置100に好適である。制御特性取得部46は、取得した制御特性を制御特性保持部48に供給する。
制御特性保持部48は、取得された各液圧調整弁32〜35の制御特性を保持する。なお、制御特性保持部48は、経験則にもとづく平均値または統計値により算出された液圧調整弁32〜35の制御特性をあらかじめ保持してよい。あらかじめ保持する制御特性が制御特性補正部50により補正されてよい。
制御特性補正部50は、ブレーキ制御装置100の車両への搭載後、たとえば車両走行時や車両停止時に、制御特性を補正するかどうかを判定し、制御特性にもとづくブレーキ制御と実際のブレーキ制御に誤差が生じている場合に、制御特性を補正する。具体的には、制御特性補正部50は、ホイールシリンダ6の目標液圧とホイールシリンダ6の液圧が一定であり、ホイールシリンダ6の目標液圧とホイールシリンダ6の液圧が同じである場合に、このときのフィードバック電流値を取得し、フィードバック電流値が所定値以上であれば、制御特性を補正すると判定する。このフィードバック電流値は、目標液圧と実ホイールシリンダ圧が一定かつ同じであれば、制御特性にもとづくブレーキ制御と実際のブレーキ制御の誤差を調整するために算出された値である。
制御特性補正部50は、目標液圧とホイールシリンダの液圧が一定であり、目標液圧とホイールシリンダの液圧が同じであるときの各液圧調整弁への通電電流値を取得し、取得した各液圧調整弁への通電電流値と制御特性にもとづく通電電流値とを比較した結果をもとに制御特性を補正するかどうかを判定してもよい。
制御特性補正部50は、各液圧調整弁への通電電流値を増加方向または減少方向に変化させた状態で制御特性を取得した場合に、制御特性を取得した状態と同じ状態で制御特性を補正するかどうかを判定してよい。これにより、制御特性を取得したときの各液圧調整弁のヒステリシスを考慮して、制御特性を補正するかどうかを判定することができる。
制御特性補正部50は、ホイールシリンダ6の目標液圧とホイールシリンダ6の液圧が一定であり、ホイールシリンダ6の目標液圧とホイールシリンダ6の液圧が同じである場合のフィードバック電流値にもとづいて制御特性を補正してよい。なお、ホイールシリンダ6の目標液圧とホイールシリンダ6の液圧が一定であり、ホイールシリンダ6の目標液圧とホイールシリンダ6の液圧が同じである場合のフィードバック電流値を複数取得し、取得した複数のフィードバック電流値の平均値をもとづいて制御特性を補正してよい。これにより、補正の精度が向上する。
制御特性補正部50は、フィードバック制御によりホイールシリンダ6の液圧を略一定に保ちつつ、モータ回転数を漸次変化させ、制御特性を取得したときのモータ回転数に応じた各液圧調整弁への通電電流値を取得し、取得した各液圧調整弁への通電電流値と制御特性にもとづく通電電流値とを比較した結果をもとに制御特性を補正してよい。なお、制御特性補正部50は、制御指示を液圧制御部44に送り、液圧制御部44を介してモータ回転数と各液圧調整弁への通電電流値を制御してよく、検出されたホイールシリンダ圧と各液圧調整弁への通電電流値を液圧制御部44を介して取得してよい。
図7は、実施形態に係る液圧制御部44の機能構成を示す。液圧制御部44は、定常モータ回転数演算部91と、消費液量演算部92と、追加モータ回転数演算部93と、出力モータ回転数演算部94と、フィードフォワード電流値導出部95と、偏差演算部96と、フィードバック電流値導出部97と、出力通電電流値演算部98とを備える。
定常モータ回転数演算部91は、目標液圧算出部42から各ホイールシリンダ6に対する目標液圧Prefを受け取り、目標液圧Prefにもとづいて定常モータ回転数を演算する。定常モータ回転数は、実ホイールシリンダ圧を目標液圧Prefに保持するために必要なモータ回転数である。目標液圧Prefに保持するために必要なモータ回転数とは、たとえば図5(b)の時刻T2〜T3の間におけるモータ回転数である。
消費液量演算部92は、目標液圧Prefにもとづいて実ホイールシリンダ圧を目標液圧Prefにするために必要なブレーキ液の供給量を算出する。消費液量演算部92は、このブレーキ液の供給量にもとづいて目標液圧Prefにするまでに必要なホイールシリンダ6の増減分のブレーキ液量を算出する。消費液量演算部92は、この増減分のブレーキ液量を時間微分し、ブレーキ消費液量を算出する。ブレーキ消費液量は、たとえば図5(b)の実線62から破線64の差分に相当する。追加モータ回転数演算部93は、算出したブレーキ消費液量に応じた追加モータ回転数を算出する。出力モータ回転数演算部94は、定常モータ回転数と追加モータ回転数とを加算して出力モータ回転数Routを算出し、加算した出力モータ回転数Routをモータ駆動部52に出力する。また、出力モータ回転数演算部94は、出力モータ回転数Routをフィードフォワード電流値導出部95に供給する。
フィードフォワード電流値導出部95は、目標液圧Prefと出力モータ回転数Routとにもとづいて、制御特性からフィードフォワード電流値IFFを導出する。フィードフォワード電流値IFFは、制御特性にもとづく各液圧調整弁への通電電流値である。
偏差演算部96は、目標液圧Prefの時間変化から予想される基準ホイールシリンダ圧を所定の計算式を用いて算出する。基準ホイールシリンダ圧は、目標液圧Prefにもとづく予測値である。偏差演算部96は、液圧センサ13〜16から検出された実ホイールシリンダ圧Pwcと基準ホイールシリンダ圧との偏差を算出する。たとえば、目標液圧Prefが一定であれば、基準ホイールシリンダ圧も目標液圧Prefに収束する。
フィードバック電流値導出部97は、この偏差にもとづいて、フィードバック電流の比例項、積分項、微分項を算出する。フィードバック電流値導出部97は、フィードバック電流の比例項と積分項と微分項を加算してフィードバック電流値IFBを算出する。出力通電電流値演算部98は、フィードフォワード電流値IFFとフィードバック電流値IFBを加算して、加算した出力電流値Ioutを液圧調整弁駆動部54に出力する。目標液圧と実ホイールシリンダ圧が一定かつ同じである場合において、供給されるフィードバック電流値IFBは、フィードバック電流の積分項となる。なお、制御特性取得部46および制御特性補正部50は、液圧制御部44を介してモータ回転数と各液圧調整弁への通電電流値を制御してよく、検出されたホイールシリンダ圧と各液圧調整弁への通電電流値を液圧制御部44を介して取得してよい。
図8は、実施形態に係る制御特性のマップを示す。縦軸は、各液圧調整弁の通電電流を示し、横軸は、ホイールシリンダ圧を示す。また、実線65に示す制御特性は、モータ回転数が回転が最も低いモータ回転数R1における制御特性を示す。本図に示すI(1,4)は、モータ回転数R1およびホイールシリンダ圧P4における通電電流値を示す。本図に示す丸印が制御特性取得部46が取得した通電電流値であり、その取得した通電電流値にもとづいて生成された制御特性のマップである。この制御特性のマップは、所定のモータ回転数R1〜R6における各液圧調整弁の通電電流値とホイールシリンダ圧の関係を示す。
図9は、実施形態に係る制御特性取得部46が制御特性を取得する際のホイールシリンダ圧、モータ回転数、および通電電流の時間変化を示す。図9(a)は、制御特性取得部46が制御特性を取得する際のモータ回転数を示す。図9(b)は、制御特性取得部46が制御特性を取得する際の各液圧調整弁への通電電流を示す。図9(c)は、制御特性取得部46が制御特性を取得する際のホイールシリンダ圧の時間変化を示す。図9(a)〜(c)に示すそれぞれの値を取得し、図8に示す制御特性のマップを取得する。
図9(a)において、モータ回転数は段階的に変化させられており、モータ回転数が6段階に変化させられている。図9(b)において、一定に保たれたそれぞれのモータ回転数に対して、各液圧調整弁への通電電流値が増加方向に変化させられている。図9(c)において、各液圧調整弁への通電電流値に応じてホイールシリンダ圧が変化している。たとえば、時刻T1から時刻T2において取得された制御特性が図8に示される実線65の制御特性となる。ここで、時刻T1から時刻T2について、さらに図を拡大して図10に説明する。
図10は、実施形態に係る制御特性取得部46が制御特性を取得する際のホイールシリンダ圧、モータ回転数、および通電電流の時間変化を示す。図10(a)は、制御特性取得部46が制御特性を取得する際のモータ回転数を示す。図10(b)は、制御特性取得部46が制御特性を取得する際の各液圧調整弁への通電電流を示す。図10(c)は、制御特性取得部46が制御特性を取得する際のホイールシリンダ圧の時間変化を示す。
図10(a)において、時刻t1から時刻t5の間は少なくともモータ回転数が一定のモータ回転数R1に保たれている。図10(b)の時刻t4の通電電流値がI(1、1)として取得される。図10(b)において、モータ回転数が一定に保たれている時刻t1から時刻t5の間に、各液圧調整弁への通電電流が増加方向に変化させられている。なお、時刻t1から時刻t2の間や、時刻t3から時刻t4の間において、通電電流が一定に保たれているのは、ホイールシリンダ6の供給液量と排出液量が均衡しているかを確認しているためである。ブレーキ制御装置100におけるブレーキ制御は、ブレーキ液の給排が常に行われる制御であるため、通電電流を増加した直後の時刻t1後や時刻t3後に通電電流を所定時間一定に保つことで供給液量と排出液量を安定させる。これにより、制御特性取得部46は、より正確なホイールシリンダ圧にもとづく制御特性を取得することができる。なお、制御特性取得部46は、通電電流をリニアに増加させ、それに応じたホイールシリンダ圧と通電電流値の関係を取得してもよい。図10(c)には、通電電流の増加に応じて上昇するホイールシリンダ圧が示されている。
図11は、実施形態に係る制御特性取得部46が制御特性を取得する処理を示すフローチャートである。本図に示す処理は所定の制御周期で実行されてよい。なお、各処理について、図10を参照しつつ説明する。まず、制御特性取得部46は、学習の許可を判定する(S101)。なお、学習とは、制御特性を取得する処理をいう。制御特性取得部46は、制御特性保持部48が制御特性を保持していれば、学習を許可せず(S101のN)、学習を終了する。一方、制御特性取得部46は、制御特性保持部48が制御特性を保持していなければ、学習を許可する(S101のY)。なお、学習は、外部端末からの学習指示にもとづいて許可されてもよい。
制御特性取得部46は、学習を実行するための初期設定を処理する(S102)。初期設定として、制御特性取得部46は、設定モータ回転数Rmに対するインデックスmと、設定ホイールシリンダ圧Pnに対するインデックスnを1に設定する。次いで、設定モータ回転数Rmを最小の設定回転数R1にし、通電電流値Iを弁が全開となる初期電流値Ieにする。この初期設定は、図10の時刻t0から時刻t2までに示される状態に対応する。なお、設定モータ回転数Rmと設定ホイールシリンダ圧Pnは、あらかじめ設定されている。
制御特性取得部46は、初期電流値Ieから通電電流値Iをゆっくりと追加電流値ΔIずつ漸増させ(S103)、実ホイールシリンダ圧Pwcを設定ホイールシリンダ圧Pnにまで増加させる(S104)。実ホイールシリンダ圧Pwcが設定ホイールシリンダ圧Pnに達していなければ(S104のN)、再び通電電流値Iを追加電流値ΔI増加させる(S103)。たとえば、このS103とS104の処理は、図10の時刻t2から時刻t3までに示される。
実ホイールシリンダ圧Pwcが設定ホイールシリンダ圧Pnに達していれば(S104のY)、制御特性取得部46は、所定時間Δtの間、通電電流値Iを一定に維持した後(S105)、設定モータ回転数Rmと設定ホイールシリンダ圧Pnに応じた通電電流値I(m、n)を取得する(S106)。S105の処理は、図10の時刻t3から時刻t4までに示され、S106の処理は、図10の時刻t4に示される。
制御特性取得部46は、設定ホイールシリンダ圧に対するカウントnが所定回数Nに達したか判定する(S107)。たとえば図10において所定回数Nは、6に設定されており、一定の設定モータ回転数Rmに対して何回通電電流値をサンプリングするかを示す。制御特性取得部46は、設定ホイールシリンダ圧Pnに対するカウントnが所定回数Nに達していないと判定すれば(S107のN)、カウントnをインクリメントし(S108)、再度、S103〜S107の処理を繰り返す。
制御特性取得部46は、設定ホイールシリンダ圧に対するカウントnが所定回数Nに達していると判定すれば(S107のY)、設定モータ回転数に対するインデックスmが所定の設定回数Mに達しているかを判定する(S109)。設定モータ回転数に対するインデックスmが所定の設定回数Mに達していないと判定すれば(S109のN)、制御特性取得部46は、インデックスmをインクリメントし(S110)、次の段階での設定モータ回転数Rmに対して通電電流値I(m、n)をサンプリングするため、S103からS108の処理を実行するための再設定を実行する(S111)。具体的には、再設定において設定ホイールシリンダ圧に対するカウントnを1に設定し、通電電流値Iを初期電流値Ieに戻し、設定モータ回転数を次の段階の回転数Rmにする(S111)。以降、S103からS111の処理を繰り返す。
そして、設定モータ回転数Rmに対するインデックスmが所定の設定回数Mに達していると判定すれば(S109のY)、取得した通電電流値I(m、n)を制御特性保持部48に記憶する(S112)。このとき、制御特性保持部48は、通電電流値I(m、n)をマップ化して記憶してもよい。最後に制御特性取得部46は、学習の終了処理をする(S113)。学習の終了処理とは、具体的には、モータ回転数および通電電流値を0にする処理をいう。以上の処理により、実施形態の制御特性を取得することができる。なお、制御特性取得後は、制御特性取得部46は、その機能を終了し、学習の許可を判定する(S101)処理を実行しないようにしてよい。すなわち、制御特性取得部46は各液圧調整弁に対して、一回作動すればよい。
図12は、実施形態に係る制御特性の第1補正処理を示すフローチャートである。本図に示す処理は所定の制御周期で実行されてよい。第1補正処理とは、制御特性補正部50が、ホイールシリンダ6の目標液圧とホイールシリンダ6の液圧が一定であり、ホイールシリンダ6の目標液圧とホイールシリンダ6の液圧が同じである場合に、このときのフィードバック電流値を取得し、フィードバック電流値が所定値以上であれば、このフィードバック電流値にもとづいて制御特性を補正する処理をいう。
まず、制御特性補正部50は、今回の制御における目標液圧Prefと過去の制御における基準目標液圧Pref0との差分が所定の閾値δ1より小さいかを判定する(S201)。すなわち、制御特性補正部50は、目標液圧が一定であるかを判定する(S201)。制御特性補正部50は、今回の制御における目標液圧Prefと基準目標液圧Pref0との差分が第1閾値δ1より小さくないと判定すれば(S201のN)、すなわち目標液圧が一定でないと判定すれば、今回の制御における目標液圧Prefを基準目標液圧Pref0に設定する(S202)。そして制御特性補正部50は、判定タイマTをリセットし(S209)、第1補正処理を終える。なお、判定タイマTは、フィードバック制御が安定したかどうかを判定するために用いる。
制御特性補正部50は、今回の制御における目標液圧Prefと基準目標液圧Pref0との差分が第1閾値δ1より小さいと判定すれば(S201のY)、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さいかを判定する(S203)。すなわち、制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcとが同じであるか判定する(S203)。制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さくないと判定すれば(S203のN)、判定タイマTをリセットし(S209)、第1補正処理を終える。
制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さいと判定すれば(S203のY)、判定タイマTに制御周期ΔTを加える(S204)。
制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達したかどうかを判定する(S205)。設定タイマTeは、実ホイールシリンダ圧Pwcが一定になり、フィードバック制御が十分に安定する時間に設定される。制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達していないと判定すれば(S205のN)、判定タイマTをリセットせずに、第1補正処理を終える。
制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達したと判定すれば(S205のY)、フィードバック電流値IFBの絶対値が所定値I0以上であるかどうかを判定する(S206)。すなわち、制御特性にもとづくブレーキ制御と実際のブレーキ制御の誤差が大きいかどうかを判定する。なお、制御特性補正部50は、S206において、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcが一定かつ同じであるときの各液圧調整弁への出力電流値Ioutを取得し、取得した各液圧調整弁への出力電流値Ioutと制御特性にもとづく通電電流値IFFとを比較した結果をもとに制御特性を補正するかどうかを判定してもよい。制御特性補正部50は、フィードバック電流値IFBの絶対値が所定値I0以上でないと判定すれば(S206のN)、判定タイマTをリセットし(S209)、第1補正処理を終える。一方、制御特性補正部50は、フィードバック電流値IFBの絶対値が所定値I0以上であると判定すれば(S206のY)、フィードバック電流値IFBにもとづいて制御特性を補正する(S207)。なお、このときのフィードバック電流値IFBはフィードバック電流の積分項IFBiである。具体的には、制御特性補正部50は、フィードバック電流の積分項IFBiを制御特性の通電電流値I(m、n)に加算する。また、制御特性補正部50は、出力電流値Ioutにもとづいて制御特性を補正してよい。制御特性補正部50は、制御特性を補正後、フィードバック電流値の積分項IFBiをリセットし(S208)、判定タイマTをリセットし(S209)、制御特性の第1補正処理を終える。これにより、摺動抵抗等の経時変化により変化した制御特性を補正することができる。第1補正処理では、目標液圧とホイールシリンダ圧が一定かつ同じとなれば、車両の走行中であっても制御特性を補正することができる。
図13は、制御特性に誤差が生じている場合の制御波形を示す。図13(a)は、液圧調整弁への通電電流の制御波形を示す。図13(b)は、ホイールシリンダ圧の制御波形を示す。
図13(a)に示す破線66は、フィードフォワード電流値IFFを示し、実線67は、フィードフォワード電流値IFFとフィードバック電流値IFBを加算した出力電流値Ioutを示す。したがって、破線66と実線67との差分がフィードバック電流値IFBとなる。図13(b)に示す実線68は、実ホイールシリンダ圧Pwcを示し、破線70は、目標液圧Prefを示す。
図13(b)に示す時刻t7以降において、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcは、一定かつ同じ値となっている。このとき、図13(a)の時刻t7以降において、フィードバック電流値IFBが一定に保たれている。このときのフィードバック電流IFBが、制御特性にもとづくブレーキ制御と実際のブレーキ制御との誤差を示す。また、この誤差を示すフィードバック電流値IFBは、積分項IFBiである。
図14は、実施形態に係る制御特性の第2補正処理の補正開始判定を示すフローチャートである。本図に示す処理は、所定の制御周期で実行されてよい。第2補正処理とは、制御特性補正部50が、フィードバック制御によりホイールシリンダ6の液圧を略一定に保ちつつ、モータ回転数を漸次変化させ、制御特性を取得したときのモータ回転数に応じた各液圧調整弁への通電電流値を取得し、取得した各液圧調整弁への通電電流値と制御特性にもとづく通電電流値とを比較した結果をもとに制御特性を補正する処理をいう。補正開始判定は、車両の走行中に実行されてよい。なお、制御特性補正部50は、補正開始判定を終了すれば、制御特性の第2補正処理を実行する。
まず、制御特性補正部50は、今回の制御における目標液圧Prefと過去の制御における基準目標液圧Pref0との差分が所定の閾値δ1より小さいかを判定する(S301)。すなわち、制御特性補正部50は、目標液圧が一定であるかを判定する(S301)。制御特性補正部50は、今回の制御における目標液圧Prefと基準目標液圧Pref0との差分が第1閾値δ1より小さくないと判定すれば(S301のN)、すなわち目標液圧が一定でないと判定すれば、制御特性の補正処理の実行中でないとする(S302)。すなわち、制御特性補正部50は、制御特性の補正処理の実行中を示す実行中フラグをおろす。制御特性補正部50は、今回の制御における目標液圧Prefを基準目標液圧Pref0に設定する(S303)。そして制御特性補正部50は、判定タイマTをリセットし(S312)、補正開始判定の処理を終える。
制御特性補正部50は、今回の制御における目標液圧Prefと基準目標液圧Pref0との差分が第1閾値δ1より小さいと判定すれば(S301のY)、制御特性の補正処理の実行中であるかどうかをフラグにより判定する(S304)。制御特性補正部50は、制御特性の補正処理の実行中であると判定すれば(S304のY)、判定タイマTをリセットせずに、補正開始判定の処理を終える。制御特性補正部50は、制御特性の補正処理の実行中でないと判定すれば(S304のN)、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さいかを判定する(S305)。すなわち、制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcとが同じになったか判定する(S305)。制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さくないと判定すれば(S305のN)、判定タイマTをリセットし(S312)、補正開始判定の処理を終える。
制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さいと判定すれば(S305のY)、判定タイマTに制御周期ΔTを加える(S306)。
制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達したかどうかを判定する(S307)。設定タイマTeは、実ホイールシリンダ圧が一定になり、フィードバック制御が十分に安定する時間に設定される。制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達していないと判定すれば(S307のN)、判定タイマTをリセットせずに、補正開始判定の処理を終える。
制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達したと判定すれば(S307のY)、フィードバック電流値IFBの絶対値が所定値I0以上であるかどうかを判定する(S308)。すなわち、制御特性にもとづくブレーキ制御と実際のブレーキ制御との誤差が大きいかどうかを判定する。なお、制御特性補正部50は、S308において、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcが一定かつ同じであるときの各液圧調整弁への通電電流値Ioutを取得し、取得した各液圧調整弁への通電電流値Ioutと制御特性にもとづく通電電流値IFFとを比較した結果をもとに制御特性を補正するかどうかを判定してもよい。制御特性補正部50は、フィードバック電流値IFBの絶対値が所定値I0以上でないと判定すれば(S308のN)、判定タイマTをリセットし(S312)、補正開始判定の処理を終える。
一方、制御特性補正部50は、フィードバック電流値IFBの絶対値が所定値I0以上であると判定すれば(S308のY)、制御特性の補正処理の実行中であるとする(S309)。制御特性補正部50は、設定モータ回転数Rmに対するインデックスmを1に設定し(S310)、加算モータ回転数Raddを0に設定する(S311)。加算モータ回転数Raddは、第2補正処理の実行中において、図7に示したモータ駆動部52へ出力する出力モータ回転数Routにさらに加算するモータ回転数である。制御特性補正部50は、判定タイマTをリセットし(S312)、補正開始判定の処理を終える。制御特性補正部50は、補正開始判定の処理を終えた後、制御特性の第2補正処理を実行する。
図15は、実施形態に係る制御特性の第2補正処理を示すフローチャートである。本図に示す処理は所定の制御周期で実行してよい。
制御特性補正部50は、制御特性の第2補正処理の実行中を示す実行フラグが立っているかどうか判定する(S401)。制御特性補正部50は、制御特性の補正処理の実行中を示す実行フラグが立っていると判定すれば(S401のY)、モータ駆動部52へ出力する出力モータ回転数Routが所定の設定モータ回転数Rmであるかを判定する(S403)。設定モータ回転数Rmは、あらかじめ設定された回転数であって、制御特性を取得する際に段階的に変化させたモータ回転数であってよい。設定モータ回転数Rmは、補正処理の実行フラグが成立した最初の処理において、図14のS301でmを1に設定したように設定モータ回転数R1となり、最小の設定モータ回転数となる。所定の設定モータ回転数Rmは、インデックスmが大きくなるにつれて大きい値に設定される。
制御特性補正部50は、出力モータ回転数Routが設定モータ回転数Rmでないと判定すれば(S403のN)、設定モータ回転数Rmに対するインデックスmが1であるかどうかを判定する(S404)。制御特性補正部50は、設定モータ回転数Rmに対するインデックスmが1であると判定すれば(S404のY)、加算モータ回転数Raddから変化ガード値ΔRを減算した値を新たな加算モータ回転数Raddとして算出し(S405)、補正処理を終える。すなわち、制御特性補正部50は、モータ回転数を最小の設定モータ回転数R1にするために、モータ回転数を変化ガード値ΔRずつ漸減する。変化ガード値ΔRは、モータ回転数を変化ガード値ΔR変化させても、フィードバック制御により実ホイールシリンダ圧Pwcを急変させないようにする値に定められる。一方、制御特性補正部50は、設定モータ回転数Rmに対するインデックスmが1でないと判定すれば(S404のN)、加算モータ回転数Raddから変化ガード値ΔRを加算した値を新たな加算モータ回転数Raddとし(S406)、補正処理を終える。すなわち、制御特性補正部50は、段階的に大きくなる所定の設定モータ回転数Rmにするために、モータ回転数を変化ガード値ΔRずつ漸増する。
制御特性補正部50は、出力モータ回転数Routが所定の設定モータ回転数Rmであると判定すれば(S403のY)、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さいかを判定する(S407)。すなわち、制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcとが同じであるか判定する(S407)。制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さくないと判定すれば(S407のN)、判定タイマTをリセットし(S417)、第2補正処理を終える。
制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さいと判定すれば(S407のY)、判定タイマTに制御周期ΔTを加える(S408)。
制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達したかどうかを判定する(S409)。設定タイマTeは、実ホイールシリンダ圧が一定になり、フィードバック制御が十分に安定した時間に設定される。制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達していないと判定すれば(S409のN)、判定タイマをリセットせずに、第2補正処理の処理を終える。
制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達したと判定すれば(S409のY)、液圧調整弁駆動部54に出力する出力電流値Ioutを取得し、目標液圧Prefとインデックスmに関連づけた補正用電流値Icor(m)として記憶する(S410)。
制御特性補正部50は、インデックスmが所定の電流値取得回数Mに達したかどうかを判定する(S411)。電流値取得回数Mは制御特性を取得した際のモータ回転数に対する所定の設定回数と同じ回数にしてよい。制御特性補正部50は、インデックスmが所定の電流値取得回数Mに達していないと判定すれば(S411のN)、インデックスmをインクリメントし(S414)、判定タイマTをリセットし(S417)、第2補正処理を終える。
制御特性補正部50は、インデックスmが所定の電流値取得回数Mに達してると判定すれば(S411のY)、取得した目標液圧Prefと設定モータ回転数Rmに関連づけた補正用電流値Icor(m)にもとづいて制御特性を補正する(S413)。これにより、ホイールシリンダ圧と設定モータ回転数Rmに関連づけた複数の補正用電流値Icor(m)にもとづいて制御特性を補正することができる。ここで、モータ回転数が異なれば、ホイールシリンダ6へのブレーキ液の供給量が異なり、各液圧調整弁に作用する差圧力が異なる。経時変化によって差圧力に応じた各液圧調整弁の流量が変化する場合がある。第2補正処理において、異なるモータ回転数に応じた各液圧調整弁の流量の変化に対して制御特性の補正をすることができる。
ここで、補正用電流値Icor(m)にもとづいて制御特性を補正する計算方法について説明する。まず、制御特性補正部50は、制御特性に対する補正用電流値Icor(m)を取得するときに略一定に保たれていたホイールシリンダ6の目標液圧Prefと、設定モータ回転数Rmとに応じた制御特性にもとづく電流値Iorg(m)を算出する。次に、制御特性補正部50は、補正用電流値Icor(m)と制御特性から算出された電流値Iorg(m)の差分の電流値ΔI(m)を算出する。差分の電流値ΔI(m)は、インデックスmに応じてそれぞれ算出されてよい。
次に、下記の式1に示されるように、算出した差分の電流値ΔI(m)をインデックスmに応じた制御特性の通電電流値I(m,n)に加算し、制御特性を補正する。この式1の補正は、モータ回転数Rmが小さい場合に好適であり、とくに、最小のモータ回転数R1に対して用いられる。これは、モータ回転数Rmが小さいと、ホイールシリンダ6へのブレーキ液の供給量が少なく、各液圧調整弁の流量の経時変化に対する影響が小さいためである。
また、モータ回転数R2以上の制御特性の補正については、下記の式2に示されるように、モータ回転数Rmごとの制御特性の通電電流値の勾配を考慮して制御特性の通電電流値を補正してよい。以上のように、補正用電流値Icor(m)にもとづいて制御特性を補正する。
以下、制御特性を補正する計算式を示す。
Figure 2010221834
Figure 2010221834
制御特性補正部50は、制御特性を補正した後、フィードバック電流の積分項IFBiをリセットし(S415)、制御特性の補正処理の実行中でないとする(S416)。すなわち、制御特性補正部50は、制御特性の補正処理の実行中を示す実行フラグを降ろす。制御特性補正部50は、判定タイマTをリセットし(S417)、第2補正処理を終える。
制御特性補正部50は、制御特性の補正処理の実行中を示す実行フラグが立っていないと判定すれば(S401のN)、加算モータ回転数Raddを変化ガード値ΔRで0にし(S402)、第2補正処理を終える。すなわち、第2補正処理を終えた後、加算モータ回転数Raddは、0でない場合があるため、制御特性補正部50は、実ホイールシリンダ圧を急変させないように加算モータ回転数Raddをゆっくり変化ガード値ΔRずつ0に戻す。
図16は、第2補正処理の実行中のモータ回転数と、各液圧調整弁への通電電流と、ホイールシリンダ圧の時間変化を示す。図16(a)は、第2補正処理の実行中のモータ回転数の時間変化を示す。図16(b)は、第2補正処理の実行中の各液圧調整弁への通電電流の時間変化を示す。図16(c)は、第2補正処理の実行中のホイールシリンダ圧の時間変化を示す。本図に示す設定モータ回転数Rmに対するインデックスmは6である。
図16(a)の時刻t8から時刻t9までに示す時間変化は、目標液圧と実ホイールシリンダ圧が一定かつ同じである場合に、モータ回転数が変化ガード値ΔRずつ漸減されている状態を示す。このモータ回転数の漸減に応じて、図16(b)の時刻t8から時刻t9の間の通電電流がフィードバック制御により漸増している。
図16(a)に示すモータ回転数は、時刻t10〜時刻t15において6段階に変化されている。このモータ回転数に応じて、図16(b)に示す時刻t10〜時刻t15において、補正用電流値Icor(m)が6つ取得できる。ここで、図16(c)に示すホイールシリンダ圧は、第2補正処理の実行中の間、フィードバック制御により略一定の目標液圧に保たれている。第2補正処理は、各モータ回転数に対応した電流を求めるため、閉弁特性だけでなく、流量特性の変化にも対応できる。
図17は、実施形態に係る各液圧調整弁の流量特性を示す。実線72は、各液圧調整弁への通電電流を増加させたときの各液圧調整弁の流量特性を示す。通電電流値が実線72の流量特性上にあれば、通電電流値を増加方向に変化させた状態を示す。破線74は、各液圧調整弁への通電電流を減少させたときの各液圧調整弁の流量特性を示す。通電電流値が破線74の流量特性上にあれば、通電電流値を減少方向に変化させた状態を示す。通電電流を増加させた場合と通電電流を減少させた場合とでは、ヒステリシスにより流量特性に差が生じる。たとえば、各液圧調整弁への通電電流を増加させた状態で制御特性を取得すれば、制御特性を補正する場合においても制御特性の取得時と同様に、各液圧調整弁への通電電流を増加させた状態で補正処理をすることが望ましい。そこで、制御特性補正部50は、各液圧調整弁への通電電流値を増加方向または減少方向に変化させた状態で制御特性を取得した場合に、制御特性を取得した状態と同じ状態であるか判定し、制御特性を補正する。
実線72の各液圧調整弁への通電電流を増加させた状態であるかどうかは、各液圧調整弁への通電電流を少し増加し、流量の変化を監視すればよい。状態が破線74の流量特性上にあれば、各液圧調整弁への通電電流を少し増加しても流量は変化せず、実線72の流量特性上の通電電流に至ってから流量が変化する。一方、状態が実線72の流量特性上にあれば、各液圧調整弁への通電電流を少し増加すれば流量が変化する。
図18は、実施形態に係る制御特性の第3補正処理を示すフローチャートである。本図に示す処理は、所定の制御周期で実行されてよい。第3補正処理とは、制御特性補正部50が、各液圧調整弁への通電電流値を増加方向または減少方向に変化させた状態で制御特性を取得した場合に、制御特性を取得した状態と同じ状態で制御特性を補正するかどうかを判定し、制御特性を補正する処理をいう。なお、本図では、各液圧調整弁への通電電流値を増加方向に変化させた状態で制御特性を取得した場合について説明する。つまり、各液圧調整弁への通電電流値を増加方向に変化させた状態かどうか判定し、制御特性を補正する。
制御特性補正部50は、車両が停止中かどうか判定する(S701)。車両が停止中である場合に第3補正処理を実行することで、車輪の回転による実ホイールシリンダ圧Pwcの変動を抑え、実ホイールシリンダ圧Pwcを用いた判定の精度を向上させる。制御特性補正部50は、車両が停止中でないと判定すれば(S701のN)、今回の制御における目標液圧Prefを過去の制御における基準目標液圧Pref0に設定する(S702)。そして制御特性補正部50は、制御特性の補正処理を実行中でないとし(S703)、判定タイマTをリセットし(S714)、第3補正処理を終える。
制御特性補正部50は、車両が停止中であると判定すれば(S701のY)、今回の制御における目標液圧Prefと基準目標液圧Pref0との差分が所定の閾値δ1より小さいか、すなわち、目標液圧が一定であるかを判定する(S704)。制御特性補正部50は、今回の制御における目標液圧Prefと基準目標液圧Pref0との差分が第1閾値δ1より小さくないと判定すれば(S704のN)、すなわち目標液圧が一定でないと判定すれば、今回の制御における目標液圧Prefを基準目標液圧Pref0に設定する(S702)。そして制御特性補正部50は、制御特性の補正処理を実行中でないとし(S703)、判定タイマTをリセットし(S714)、第3補正処理を終える。
制御特性補正部50は、今回の制御における目標液圧Prefと基準目標液圧Pref0との差分が第1閾値δ1より小さいと判定すれば(S704のY)、制御特性の補正処理を実行中であるかどうかをフラグにより判定する(S705)。
制御特性補正部50は、制御特性の補正処理を実行中でないと判定すれば(S705のN)、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さいか、すなわち、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcとが同じになったか判定する(S706)。制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さくないと判定すれば(S706のN)、制御特性の補正処理を実行中でないとし(S703)、判定タイマTをリセットし(S714)、第3補正処理を終える。
制御特性補正部50は、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcの差分の絶対値が第2閾値δ2より小さいと判定すれば(S706のY)、判定タイマTに制御周期ΔTを加える(S707)。
制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達したかどうかを判定する(S708)。制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達していないと判定すれば(S708のN)、判定タイマTをリセットせずに、第3補正処理を終える。
制御特性補正部50は、判定タイマTが設定タイマTeに達したと判定すれば(S708のY)、フィードバック電流値IFBの絶対値が所定値I0以上であるかどうか、すなわち、制御特性にもとづくブレーキ制御と実際のブレーキ制御との誤差が大きいかどうかを判定する(S709)。なお、制御特性補正部50は、S709において、目標液圧Prefと実ホイールシリンダ圧Pwcが一定かつ同じであるときの各液圧調整弁への通電電流値Ioutを取得し、取得した各液圧調整弁への通電電流値Ioutと制御特性にもとづく通電電流値IFFとを比較した結果をもとに制御特性を補正するかどうかを判定してもよい。制御特性補正部50は、フィードバック電流値IFBの絶対値が所定値I0以上でないと判定すれば(S709のN)、制御特性の補正処理を実行中でないとし(S703)、判定タイマTをリセットし(S714)、第3補正処理を終える。
一方、制御特性補正部50は、フィードバック電流値IFBの絶対値が所定値I0以上であると判定すれば(S709のY)、制御特性の補正処理を実行中であるとする(S710)。制御特性補正部50は、このときの実際の実ホイールシリンダ圧Pwcを補正中の標準ホイールシリンダ圧Pwc0として記憶する(S711)。制御特性補正部50は、後述する代替電流値IFBstdyに加算する微少電流値ΔIstdyをゼロにリセットする(S712)。なお、微少電流値ΔIstdyを加えることで液圧センサ13〜16の出力により実ホイールシリンダ圧Pwcの増圧が確認できればよいため、微少電流値ΔIstdyは、比較的に小さい値に定められる。制御特性補正部50は、フィードバック電流値IFBを代替電流値IFBstdyに記憶する(S713)。第3補正処理の実行中において、記憶された代替電流値IFBstdyがフィードバック電流値IFBとして導出され、代替電流値IFBstdyとフィードフォワード電流値IFFとが加算されて液圧調整弁駆動部54に出力される出力電流値Ioutとなる。制御特性補正部50は、判定タイマTをリセットし(S714)、第3補正処理を終える。
制御特性補正部50は、制御特性の補正処理を実行中であると判定すれば(S705のY)、実ホイールシリンダ圧Pwcが加算した微少電流値ΔIstdyによって標準ホイールシリンダ圧Pwc0から増圧されたかどうか判定する(S715)。具体的には、制御特性補正部50は、実ホイールシリンダ圧Pwcが標準ホイールシリンダ圧Pwc0と第3閾値δ3を加えた値より大きいかどうか判定する(S715)。これにより、各液圧調整弁への通電電流値が増加方向に変化させた状態にあるかどうか判定できる。
制御特性補正部50は、実ホイールシリンダ圧Pwcが標準ホイールシリンダ圧Pwc0から増圧されてないと判定すれば(S715のN)、代替電流値IFBstdyに微少電流値ΔIstdyを加えて新たな代替電流値IFBstdyとして算出し(S716)、第3補正処理を終える。このS716の処理では、たとえば図17の破線74の流量特性上にある電流値に対し、微少電流値ΔIstdyを加え、実線72の流量特性上の電流値になるようにする。
一方、制御特性補正部50は、実ホイールシリンダ圧Pwcが標準ホイールシリンダ圧Pwc0から増圧されたと判定すれば(S715のY)、代替電流値IFBstdyの絶対値が所定値I0以上であるかどうかを判定する(S717)。制御特性補正部50は、代替電流値IFBstdyの絶対値が所定値I0以上であると判定すれば(S717のY)、代替電流値IFBstdyにもとづいて制御特性を補正する(S718)。一方、制御特性補正部50は、代替電流値IFBstdyの絶対値が所定値I0以上でないと判定すれば(S717のN)、各液圧調整弁への通電電流値を増加方向に変化させた状態では、制御特性にもとづいて制御した実際の制御値と制御特性との誤差が大きくなかったとして、制御特性を補正しない。
制御特性補正部50は、フィードバック電流の積分項IFBiをゼロにリセットし(S719)、制御特性の補正処理を実行中でないとし(S720)、第3補正処理を終える。以上、第3補正処理によって、制御特性補正部50は、各液圧調整弁への通電電流値を増加方向に変化させた状態で制御特性を取得した場合に、制御特性を取得した状態と同じ状態であるか判定し、制御特性を補正することができる。すなわち、各液圧調整弁のヒステリシスを考慮して制御特性を補正することができる。
図19は、第3補正処理において制御特性の補正を実行した場合の制御波形を示す。図19(a)は、各液圧調整弁への通電電流の時間変化を示す。図19(b)は、ホイールシリンダ圧の時間変化を示す。図19(a)に示す実線76は、液圧調整弁駆動部54へ出力する出力電流値Ioutの時間変化を示し、一点鎖線78は、フィードフォワード電流値IFFの時間変化を示す。図19(b)に示す実線80は、実ホイールシリンダ圧Pwcの時間変化を示し、一点鎖線82は、目標液圧Prefの時間変化を示す。
図19(a)および(b)に示す時刻t16から時刻t17の間に、第3補正処理が実行されている。なお、時刻t16から時刻t17の間以外は、通常の液圧制御が実行されている。図19(a)の時刻t17において、制御特性の補正が完了したため、その補正に応じて制御特性にもとづくフィードフォワード電流値IFFが減少している。
図20は、第3補正処理において制御特性の補正を実行しなかった場合の制御波形を示す。図20(a)は、各液圧調整弁への通電電流の時間変化を示す。図20(b)は、ホイールシリンダ圧の時間変化を示す。図20(a)に示す実線84は、液圧調整弁駆動部54へ出力する出力電流値Ioutの時間変化を示し、一点鎖線86は、フィードフォワード電流値IFFの時間変化を示す。図20(b)に示す実線90は、実ホイールシリンダ圧Pwcの時間変化を示し、一点鎖線88は、目標液圧Prefの時間変化を示す。フィードバック電流値IFBは、実線84の出力電流値Ioutと一点鎖線86のフィードフォワード電流値IFFとの差分に相当する。
図20(a)および(b)に示す時刻t18から時刻t19の間に、第3補正処理が実行されている。なお、時刻t18から時刻t19の間以外は、通常のホイールシリンダ6の液圧制御が実行されている。実線84に示す時刻t18から時刻t19の間、液圧調整弁駆動部54へ出力する出力電流値Ioutは、微少電流値ΔIstdyずつ漸増されている。そして、図20(a)の時刻t19において、フィードバック電流値IFBの代わりの代替電流値IFBstdyがゼロとなっており、制御特性の補正は実行されていない。
以上、実施形態に係るブレーキ制御装置100によれば、液圧調整弁32〜35の制御特性を取得することができる。また、ブレーキ制御装置100の車両への搭載後においても、制御特性の補正をすることができる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施の形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれ得る。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
32、33、34、35 液圧調整弁、 36、37 遮断弁、 38、39 連通弁、 1 ブレーキペダル、 2 ストロークセンサ、 3 マスタシリンダ、 3a プライマリ室、 3b セカンダリ室、 3c プライマリピストン、 3d セカンダリピストン、 3e スプリング、 3f リザーバタンク、 4 ストロークシミュレータ、 5 ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、 6FL、6FR、6RL、6RR ホイールシリンダ、 7、8、9、10 ポンプ、 11 第1モータ、 12 第2モータ、 13、14、15、16、17、18 液圧センサ、 20、21 逆止弁、42 目標液圧算出部、 44 液圧制御部、 46 制御特性取得部、 48 制御特性保持部、 50 制御特性補正部、 52 モータ駆動部、 54 液圧調整弁駆動部、 100 ブレーキ制御装置、 200 ブレーキECU。

Claims (13)

  1. 液圧回路を介したホイールシリンダへのブレーキ液の供給により前記ホイールシリンダに液圧を供給し、当該液圧により車輪に制動力を付与するブレーキ制御装置であって、
    前記液圧回路中に設けられ、モータの回転数に応じて前記ホイールシリンダに液圧を供給する液圧源と、
    通電制御により開度が調整されて、前記ホイールシリンダの液圧を調整する液圧調整弁と、
    前記モータの回転数を一定に保ち、前記液圧調整弁への通電電流値を変化させたときの前記ホイールシリンダの液圧にもとづいて、前記モータの回転数と、前記液圧調整弁への通電電流値と、前記ホイールシリンダの液圧との関係を示す制御特性を取得する制御手段と、
    を備えることを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 2つの前記液圧源が1つの前記モータの駆動により作動され、前記液圧源には1つのホイールシリンダが接続されていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記モータの回転数を段階的に変化させ、それぞれの前記モータの回転数で前記液圧調整弁への通電電流値を変化させたときの前記ホイールシリンダの液圧にもとづいて前記制御特性を取得することを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記制御特性にもとづいて前記液圧調整弁への通電電流値を制御することで、前記ホイールシリンダの液圧を前記ホイールシリンダの目標液圧にするように調整し、前記制御特性にもとづく前記液圧調整弁への通電電流値により調整された前記ホイールシリンダの液圧が前記ホイールシリンダの目標液圧と異なる場合は、フィードバック制御にもとづいて前記液圧調整弁への通電電流値を制御することで、前記ホイールシリンダの液圧を前記ホイールシリンダの目標液圧に調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記目標液圧と前記ホイールシリンダの液圧が一定であり、前記目標液圧と前記ホイールシリンダの液圧が同じである場合に、前記フィードバック制御において前記液圧調整弁へ通電したフィードバック電流値にもとづいて前記制御特性を補正するかどうかを判定することを特徴とする請求項4に記載のブレーキ制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記フィードバック電流値をもとに前記制御特性を補正することを特徴とする請求項5に記載のブレーキ制御装置。
  7. 前記制御手段は、前記制御特性の補正において、前記フィードバック制御により前記ホイールシリンダの液圧を略一定に保ちつつ、前記モータの回転数を漸次変化させ、前記制御特性を取得したときの前記モータの回転数に応じた前記液圧調整弁への通電電流値を取得し、取得した前記液圧調整弁への通電電流値と前記制御特性にもとづく通電電流値とを比較した結果をもとに前記制御特性を補正することを特徴とする請求項5に記載のブレーキ制御装置。
  8. 前記制御手段は、前記液圧調整弁への通電電流値を増加方向または減少方向に変化させた状態で前記制御特性を取得した場合に、前記制御特性を取得した状態と同じ状態で前記制御特性を補正するかどうかを判定することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
  9. 液圧回路を介したホイールシリンダへのブレーキ液の供給により前記ホイールシリンダに液圧を供給し、当該液圧により車輪に制動力を付与するブレーキ制御装置であって、
    前記液圧回路中に設けられ、モータの回転数に応じて前記ホイールシリンダに液圧を供給する液圧源と、
    通電制御により開度が調整されて、前記ホイールシリンダの液圧を調整する液圧調整弁と、
    前記モータの回転数と、前記液圧調整弁への通電電流値と、前記ホイールシリンダの液圧との関係を示す制御特性を保持する制御特性保持手段と、
    前記制御特性にもとづいて前記液圧調整弁への通電電流値を制御することで、前記ホイールシリンダの液圧を前記ホイールシリンダの目標液圧にするように調整し、前記制御特性にもとづく前記液圧調整弁への通電電流値により調整された前記ホイールシリンダの液圧が前記ホイールシリンダの目標液圧と異なる場合は、フィードバック制御にもとづいて前記液圧調整弁への通電電流値を制御することで、前記ホイールシリンダの液圧を前記ホイールシリンダの目標液圧に調整する液圧制御手段と、
    前記制御特性を補正する制御特性補正手段と、
    を備えることを特徴とするブレーキ制御装置。
  10. 前記制御特性補正手段は、前記目標液圧と前記ホイールシリンダの液圧が一定であり、前記目標液圧と前記ホイールシリンダの液圧が同じである場合に、前記フィードバック制御において前記液圧調整弁へ通電したフィードバック電流値にもとづいて前記制御特性を補正するかどうかを判定することを特徴とする請求項9に記載のブレーキ制御装置。
  11. 前記制御特性補正手段は、前記フィードバック電流値をもとに前記制御特性を補正することを特徴とする請求項10に記載のブレーキ制御装置。
  12. 前記制御特性補正手段は、前記液圧制御手段によって、前記フィードバック制御により前記ホイールシリンダの液圧を略一定に保ちつつ、前記モータの回転数を漸次変化させ、前記制御特性を取得したときの前記モータの回転数に応じた前記液圧調整弁への通電電流値を取得し、取得した前記液圧調整弁への通電電流値と前記制御特性にもとづく通電電流値とを比較した結果をもとに前記制御特性を補正することを特徴とする請求項10に記載のブレーキ制御装置。
  13. 前記制御特性補正手段は、前記液圧調整弁への通電電流値を増加方向または減少方向に変化させた状態で前記制御特性を取得した場合に、前記制御特性を取得した状態と同じ状態で前記制御特性を補正するかどうかを判定することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
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