JP2010221525A - 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法 - Google Patents

液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体貯留部材に貯留されている液体の残量が少なくなったことをより高い精度で検出することが可能な液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】記録ヘッド3のノズル47から吐出されたインクの飛翔速度Vmを検出するインク速度測定部7と、インク速度測定部7により検出されたインク飛翔速度の変化に基づいてインクパック52内に貯留されているインクの残量が予め定められたエンド判定残量に達したか否かを判定するエンド判定手段と、を備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、インクジェット式プリンター等の液体吐出装置及びその制御方法に関するものであり、特に、液体貯留部材に貯留されている液体の残量が少なくなったことを検出することが可能な液体吐出装置及びその制御方法に関するものである。
液体吐出装置は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体吐出装置の代表的なものとして、例えば、液体吐出ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクを記録紙等の記録媒体(着弾対象物)に対して吐出・着弾させることで画像等の記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単にプリンターという。)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造装置等、各種の製造装置にも液体吐出装置が応用されている。
上記プリンターには、例えば、インクパックなどのインク貯留部材に貯留されたインクを記録ヘッドの圧力発生室内に導入し、圧電振動子や発熱素子等の圧力発生手段を駆動信号によって駆動することにより、圧力発生室内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動を制御することでノズルからインクを吐出するように構成されているものがある。この種のプリンターでは、インク貯留部材内のインクの残量が少なくなった場合には、ユーザーがインク貯留部材の交換のタイミングを把握することができるように、インク貯留部材内のインクの残量をユーザーに報知する構成を採用している。例えば、記録ヘッドによるインクの吐出回数を計数し、この計数値に設計液量を乗ずることによりインク消費量を算出し、このインク消費量に基づいてインクカートリッジ内のインク残量をユーザーに報知するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この構成では、インク吐出量のばらつき等があるため高い精度で残量を検出することが難しいという問題があった。このため、インク貯留部材にインクの残量を検出するためのセンサーを設けた構成も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この構成の場合、全てのインク貯留部材にセンサーやメモリー等を設ける分、コストが上昇する問題があった。
このような問題点に鑑み、記録ヘッドのノズル面と、これに対向して配置された液滴受部との間に電界を付与し、ノズルから液滴受部に向けてインクを吐出したときの静電誘導に基づく電圧変化を検出信号として出力するインク速度測定部を設け、このインク速度測定部からの検出信号の振幅の変化率に基づいて、インク貯留部材のインクの残量を検出する構成も提案されている(例えば、特許文献3参照)。即ち、この構成では、インク貯留部材内に貯留されているインクの残量が減少するとインク貯留部材内の負圧が大きくなり、これに伴いノズルから吐出されるインクの量(インク重量)が減少してインク速度測定部の検出信号の振幅が小さくなることを利用して、インクパック内の残量を検出している。
特開平5−88552号公報 特開2005−144949号公報 特開2007−160671号公報
ところが、上記インク速度測定部では、例えば、インク一滴に対する検出信号の振幅が非常に小さいため、検出精度を高めるべく、検査時における1つのノズルについてのインクの吐出数は、複数ショット、例えば数十ショット以上に設定されている。このため、検査の度にインクを浪費してしまうという問題があった。また、その分、検査時間もより多く要するという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体貯留部材に貯留されている液体の残量が少なくなったことをより高い精度で検出することが可能な液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体貯留部材からの液体を圧力発生室に導入し、圧力発生手段を駆動させることによりノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、圧力発生手段を駆動する吐出駆動パルスを発生する駆動信号発生手段と、を有する液体吐出装置であって、
前記液体吐出ヘッドのノズルから吐出された液体の飛翔速度を検出する飛翔速度検出手段と、
前記飛翔速度検出手段により検出された飛翔速度の変化に基づいて前記液体貯留部材内に貯留されている液体の残量が予め定められたエンド判定残量に達したか否かを判定するエンド判定手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、飛翔速度検出手段により検出された飛翔速度の変化に基づいて液体貯留部材内に貯留されている液体の残量が予め定められたエンド判定残量に達したか否かを判定するので、液体貯留部材の交換が必要な程度まで液体の残量が少なくなった状態(エンド状態)をより高い精度で検出することができる。このため、より適切なタイミングでユーザーに対して液体貯留部材の交換を促すことができる。その結果、液体貯留部材内の液体を無駄なく使用することができる。
また、液体飛翔速度の測定時には、液体の量(重量)を測定する場合と比べて消費する液体の量が少なくて済み、また、測定時間も短縮することができる。
上記構成において、前記エンド判定手段は、前記飛翔速度検出手段により検出された飛翔速度が、予め定められた閾値以下となった場合に、前記液体貯留部材内の液体残量が前記エンド判定残量になったと判定する構成を採用することが望ましい。
また、上記構成において、前記飛翔速度検出手段が、前記ノズルから吐出される液体の通過領域と交差する軌道に光を照射する発光部と、前記通過領域と交差した後の光を受光する受光部と、前記受光部の受光状態に基づいて前記通過領域を飛翔する液体の飛翔速度を導出する演算部と、を有する構成を採用することが望ましい。
また、本発明は、液体貯留部材からの液体を圧力発生室に導入し、圧力発生手段を駆動させることによりノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、圧力発生手段を駆動する吐出駆動パルスを発生する駆動信号発生手段と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体吐出ヘッドのノズルから吐出された液体の飛翔速度を検出し、検出された飛翔速度の変化に基づいて前記液体貯留部材内に貯留されている液体の残量が予め定められたエンド判定残量に達したか否かを判定することを特徴とする。
プリンターの構成を説明する斜視図である。 記録ヘッドの構成を説明する断面図である。 記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。 インク速度測定処理を行う装置構成を説明する模式図である。 プリンターの電気的構成を説明するブロック図である。 吐出駆動パルスの構成を説明する図である。 インク残量に対する記録ヘッドの圧力変化の関係を示すグラフである。 圧力変化とインク飛翔速度の変化率との関係を示すグラフである。 圧力変化に対するインク飛翔速度の変化率及びインク重量の変化率の違いを説明するグラフである。 インク速度測定工程における各信号のタイミングチャートである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体吐出装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1のプリンター1は、サブタンク2及び記録ヘッド3(液体吐出ヘッドの一種)を搭載したキャリッジ4とプリンター本体5とから概略構成され、プリンター本体5には、キャリッジ4を往復移動させるキャリッジ移動機構65(図5参照)と、記録紙(図示せず)を搬送する紙送り機構66(図5参照)と、記録ヘッド3の増粘インクをノズルから吸引するクリーニング動作等に用いられるキャッピング機構と、記録ヘッド3に供給するインク(本発明における液体の一種)を貯留したインクカートリッジ6とが設けられている。また、プリンター1は、記録ヘッド3から吐出されるインク滴を検出可能なインク速度測定部7(図4,5参照)を備えている。このインク速度測定部7(本発明における飛翔速度検出手段に相当)は、記録ヘッド3のノズルから吐出されるインクの飛翔速度を測定するための装置である。このインク速度測定部7の詳細については、後述する。
キャリッジ移動機構65は、プリンター本体5の幅方向に架設されたガイド軸8と、パルスモーター9と、パルスモーター9の回転軸に接続されてこのパルスモーター9によって回転駆動される駆動プーリー10と、この駆動プーリー10とはプリンター本体5における反対側に設けられた遊転プーリー11と、駆動プーリー10と遊転プーリー11との間に掛け渡され、キャリッジ4に接続されたタイミングベルト12とから構成されている。そして、パルスモーター9を駆動することで、キャリッジ4がガイド軸8に沿って主走査方向に往復移動するように構成されている。また、紙送り機構は、紙送りモーターや、この紙送りモーターによって回転駆動される紙送りローラー(何れも図示せず)等から構成され、図示しない記録紙を記録動作に連動させてプラテン13の上に順次送り出す。
キャッピング機構は、キャップ部材14、図示しない吸引ポンプ等から構成されている。キャップ部材14は、ゴム等の弾性材をトレイ形状に成型した部材によって構成してあり、ホームポジションに配設されている。このホームポジションは、キャリッジ4の移動範囲内であって記録領域よりも外側の端部領域に設定され、電源オフ時や長時間に亘って記録が行われなかった場合にキャリッジ4が位置する。ホームポジションにキャリッジ4が位置すると、キャップ部材14が記録ヘッド3のノズル基板43(図3参照)の表面(即ち、ノズル面)に当接して封止する。この封止状態で吸引ポンプを作動させると、キャップ部材の内部(封止空部)が減圧されて、記録ヘッド3内のインクがノズルから排出される。また、このキャップ部材14は、記録ヘッド3による記録動作中において、増粘したインクや気泡等を排出すべく強制的にインク滴を吐出させるフラッシング動作時に吐出インク滴を受ける。
図2は、記録ヘッド3の構成を説明する断面図、図3は、記録ヘッド3の要部断面図である。本実施形態における記録ヘッド3は、導入針ユニット17、ヘッドケース18、流路ユニット19、及び、アクチュエーターユニット20を主な構成要素としている。導入針ユニット17の上面にはフィルター21を介在させた状態で2本のインク導入針22(液体導入針)が横並びで取り付けられている。これらのインク導入針22には、サブタンク2がそれぞれ装着される。また、導入針ユニット17の内部には、各インク導入針22に対応したインク導入路23が形成されている。このインク導入路23の上端はフィルター21を介してインク導入針22に連通し、下端はパッキン24を介してヘッドケース18内部に形成されたケース流路25と連通する。
サブタンク2には、インク室27となる凹部が形成され、この凹部の開口面に透明な弾性シート26を貼設してインク室27が区画されている。また、サブタンク2の下部にはインク導入針22が挿入される針接続部28が下方に向けて突設されている。サブタンク2におけるインク室27は、すり鉢形状をしており、その側面における上下中央よりも少し下の位置には、針接続部28との間を連通する接続流路29の上流側開口が臨んでおり、この上流側開口にはインクを濾過するタンク部フィルター30が取り付けられている。針接続部28の内部空間にはインク導入針22が液密に嵌入されるシール部材31が嵌め込まれている。このサブタンク2には、図4に示すように、インク室27に連通する連通溝部32′を有する延出部32が形成されており、この延出部32の上面にはインク流入口33が突設されている。インク流入口33には、インクカートリッジ6に貯留されたインクを供給するインク供給チューブ34が接続される。従って、インク供給チューブ34を通ってきたインクは、このインク流入口33から連通溝部32′を通ってインク室27に流入する。上記の弾性シート26は、インク室27を収縮させる方向と膨張させる方向とに変形可能である。そして、この弾性シート26の変形によるダンパー機能によって、インクの圧力変動が吸収される。すなわち、弾性シート26の作用によってサブタンク2が圧力ダンパーとして機能する。従って、インクは、サブタンク2内で圧力変動が吸収された状態で記録ヘッド3側に供給される。
ヘッドケース18は、合成樹脂製の中空箱体状部材であり、下端面に流路ユニット19を接合し、内部に形成された収容空部37内にアクチュエーターユニット20を収容し、流路ユニット19側とは反対側の上端面にパッキン24を介在した状態で導入針ユニット17を取り付けるようになっている。このヘッドケース18の内部には、高さ方向を貫通してケース流路25が設けられている。このケース流路25の上端は、パッキン24を介して導入針ユニット17のインク導入路23と連通するようになっている。また、ケース流路25の下端は、流路ユニット19内のリザーバー(共通液体室)44に連通するようになっている。したがって、インク導入針22から導入されたインクは、インク導入路23及びケース流路25を通じてリザーバー44側に供給される。
ヘッドケース18の収容空部37内に収容されるアクチュエーターユニット20は、櫛歯状に列設された複数の圧電振動子38(圧力発生手段の一種)と、この圧電振動子38が接合される固定板39と、プリンター本体側からの駆動信号を圧電振動子38に供給する配線部材としてのフレキシブルケーブル40とから構成される。各圧電振動子38は、固定端部側が固定板39上に接合され、自由端部側が固定板39の先端面よりも外側に突出している。即ち、各圧電振動子38は、所謂片持ち梁の状態で固定板39上に取り付けられている。また、各圧電振動子38を支持する固定板39は、例えば厚さ1mm程度のステンレス鋼によって構成されている。そして、アクチュエーターユニット20は、固定板39の背面を、収容空部37を区画するケース内壁面に接着することで収容空部37内に収納・固定されている。
流路ユニット19は、振動板(封止板)41、流路基板42、及びノズル基板43からなる流路ユニット構成部材を積層した状態で接着剤によって接合して一体化することにより作製されており、リザーバー44(共通液体室)からインク供給口45及び圧力発生室46を通りノズル47に至るまでの一連のインク流路(液体流路)を形成する部材である。圧力発生室46は、ノズル47の列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室として形成されている。また、リザーバー44は、ケース流路25と連通し、インク導入針22側からのインクが導入される室である。そして、このリザーバー44に導入されたインクは、インク供給口45を通じて各圧力発生室46に分配供給される。
流路ユニット19の底部に配置されるノズル基板43は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル47を列状に開設した金属製の板材である。本実施形態のノズル基板43には、ノズル列(ノズル群)が、各サブタンク2に対応して合計2列並設されている。そして、1つのノズル列は、例えば、180個のノズル47によって構成される。ノズル基板43と振動板41との間に配置される流路基板42は、インク流路となる流路部、具体的には、リザーバー44、インク供給口45、及び、圧力発生室46となる空部が区画形成された板状の部材である。振動板41は、ステンレス鋼等の金属製の支持板上に弾性フィルムをラミネート加工した二重構造の複合板材である。この振動板41の圧力発生室46に対応する部分には、エッチングなどによって支持板を環状に除去することで、圧電振動子38の先端面が接合される島部48が形成されており、この部分はダイヤフラム部として機能する。即ち、この振動板41は、圧電振動子38の作動に応じて島部48の周囲の弾性フィルムが弾性変形するように構成されている。また、振動板41は、流路基板42の一方の開口面を封止し、コンプライアンス部49としても機能する。このコンプライアンス部49に相当する部分についてはダイヤフラム部と同様にエッチングなどにより支持板を除去して弾性フィルムだけにしている。
そして、上記の記録ヘッド3において、フレキシブルケーブル40を通じて駆動信号が圧電振動子38に供給されると、この圧電振動子38が素子長手方向に伸縮し、これに伴い島部48が圧力発生室46に近接する方向或いは離隔する方向に移動する。これにより、圧力発生室46の容積が変化し、圧力発生室46内のインクに圧力変動が生じる。この圧力変動によってノズル47からインク滴が吐出される。
インクカートリッジ6は、図4に示すように、中空箱形状に形成されたケース部材51と、可塑性材料によって形成されたインクパック52(液体貯留部材の一種)とから構成されており、ケース部材51内の収容室にインクパック52を収容している。このインクカートリッジ6は、インク供給チューブ34の一端部と連通しており、ケース部材51の収容室内に空気を送り込むことによるインクパック52の加圧や記録ヘッド3のノズル面との水頭差等を利用して、インクパック52内のインクを記録ヘッド3側に供給するように構成されている。そして、記録ヘッド3では、圧電振動子38を駆動することによる圧力変化によって、圧力発生室46内のインクをノズル47から吐出する。
図5は、プリンター1の電気的な構成を示すブロック図である。本実施形態におけるプリンター1は、プリンターコントローラー55と、プリントエンジン56と、インク速度測定部7とで概略構成されている。プリンターコントローラー55は、ホストコンピューター等の外部装置からの印刷データ等が入力される外部インターフェース(外部I/F)57と、各種データ等を記憶するRAM58と、各種制御のための制御プログラム等を記憶したROM59と、ROM59に記憶されている制御プログラムに従って各部の統括的な制御を行う制御部60と、クロック信号を発生する発振回路61と、記録ヘッド3へ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路62(駆動信号発生手段の一種)と、印刷データをドット毎に展開することで得られた吐出データや駆動信号等を記録ヘッド3に出力するための内部インターフェース(内部I/F)63と、を備えている。
プリントエンジン56は、記録ヘッド3と、キャリッジ移動機構65と、紙送り機構66とから構成されている。記録ヘッド3は、吐出データがセットされるシフトレジスター(SR)67と、シフトレジスター67にセットされた吐出データをラッチするラッチ回路68と、ラッチ回路68からの吐出データを翻訳してパルス選択データを生成するデコーダー69と、電圧増幅器として機能するレベルシフター70と、圧電振動子38に対する駆動信号の供給を制御するスイッチ回路71と、圧電振動子38とを備えている。
上記制御部60は、外部装置から送信された印刷データをドットパターンに対応した吐出データに展開して記録ヘッド3に送信する。記録ヘッド3では、受信した吐出データに基づき、インクの吐出が行われる。また、制御部60は、液体消費量算出部としても機能し、記録ヘッド3によるインク滴の吐出に応じて、インクカートリッジ6のインク消費量(液体消費量)を算出する。具体的には、制御部60は、吐出回数をカウントし、そのカウント値に吐出したインク滴の設計液量を乗ずることにより、インク消費量を算出するようになっている。例えば、小ドットのインク滴の設計液量が2ngに設定されている場合、当該小ドットの吐出カウント値が1000である場合には、この吐出カウント値に設計液量である2ngを乗ずることで、インク消費量として2000ngが得られる。
そして、制御部60は、インク消費量に基づきインクカートリッジ6内のインク残量(液体残量)を算出し、算出したインク残量を、例えば、プリンター1の筐体表面に設けられた液晶表示部に数値や模式的なグラフィック等として表示させる。制御部60により算出されたインク残量の情報は、外部I/F57を介してホストコンピューター等の外部装置にも出力される。外部装置では、印刷用ドライバソフトの起動時等に、プリンター1側からのインク残量情報に基づいて各インクカートリッジ6内のインク残量の表示が行われる。また、制御部60は、本発明におけるエンド判定手段として機能し、インクカートリッジ6内のインクが計算上無くなった(インクエンドとなった)と判定した場合、別途、警告表示等を行う。
駆動信号発生回路62は、記録ヘッド3の圧電振動子38に供給する吐出駆動パルスの電圧値の変化量を示すデータと吐出駆動パルスの電圧を変化させるタイミングを規定するタイミング信号とが入力され、これらのデータ及びタイミング信号に基づいて例えば、図6に示すような吐出駆動パルスDPを含む駆動信号を発生する。図6に例示した吐出駆動パルスDPは、膨張要素p1と、膨張ホールド要素p2(膨張維持要素)と、収縮要素p3と、制振ホールド要素p4と、制振要素p5とからなる。膨張要素p1は、圧力発生室46の定常容積(膨張又は収縮の基準となる容積)に対応する中間電位VB(基準電位)から膨張電位VHまで一定勾配で電位を上昇させる波形要素であり、膨張ホールド要素p2は、膨張電位VHで一定な波形要素である。収縮要素p3は、膨張電位VHから収縮電位VLまで急勾配で電位を下降させる波形要素であり、制振ホールド要素p4は、収縮電位VLを所定期間維持する波形要素である。また、制振要素p5は収縮電位VLから中間電位VBまで一定勾配で電位を上昇させる波形要素である。
このように構成された吐出駆動パルスDPが圧電振動子38に供給されると、まず、膨張要素p1によって圧電振動子38が収縮することで島部48が圧力発生室46から離隔する方向に変位し、これにより圧力発生室46が中間電位VBに対応する定常容積から膨張電位VHに対応する膨張容積まで膨張する。この膨張により、メニスカスが圧力発生室46側に大きく引き込まれると共に、圧力発生室46内にはリザーバー44側からインク供給口33を通じてインクが供給される。そして、この圧力発生室46の膨張状態は、膨張ホールド要素p2の発生期間に亘って維持される。その後、収縮要素p3が印加されることで圧電振動子38が伸張して島部48が圧力発生室46側に変位する。これにより、圧力発生室46は膨張容積から収縮電位VLに対応する収縮容積まで急激に収縮される。この圧力発生室46の急激な収縮により圧力発生室46内のインクが加圧され、ノズル47から規定量(例えば、数ng〜十数ng)のインクが吐出される。詳しくは、収縮要素p3の終端近傍でインクが吐出される。圧力発生室46の収縮状態は、制振ホールド要素p4の供給期間に亘って維持され、この間に、インクの吐出によって減少した圧力発生室46内のインク圧力は、その固有振動によって再び上昇する。この上昇タイミングにあわせて制振要素p5が供給されるように調整されている。この制振要素p5の供給により、圧力発生室46が定常容積まで膨張復帰し、圧力発生室46内のインクの圧力変動(残留振動)が吸収される。そして、この吐出駆動パルスDPは、ノズル47から吐出されるインク滴の液量が設計液量に一致するような駆動電圧Vd(膨張電位VHと収縮電位VLとの電位差)に設定されている。なお、勿論、吐出駆動パルスDPは、例示した波形のものには限られず、種々の波形のものを用いることができる。
ところで、上記構成のインクカートリッジ6では、記録ヘッド3でインクが消費されるのに伴ってインクパック52が縮むと、このインクパック52の内圧が低下する。これにより、記録ヘッド3のインク流路の内圧も低下する。図7は、インクパック52のインク残量に対するインク流路の圧力変化(圧力損失)の関係を示すグラフである。同図に示すように、例えば、インク残量が満タン時の約30%となるまでは一定の圧力であるのに対し、30%を下回ると急激に圧力が低下する。このようにインクパック52の負圧化が進行すると、記録ヘッド3へのインクの供給量が不足し、これにより、記録ヘッド3から吐出されるインクの量(重量)が、満タン時の吐出量よりも減少する。
図8は、圧力変化(圧力損失)とインクの飛翔速度変化比(満タン時の吐出量に対する変化率(インク速度比))との関係を示すグラフである。同図に示すように、インク流路内の圧力変化とインク速度比とはほぼ比例関係にあり、インクパック52の圧力低下に伴ってインク流路の圧力が低下するほど、吐出されるインクの飛翔速度Vmも低下していく。即ち、インクパック52内のインクの残量が低下するのに伴って吐出インクの飛翔速度が変化する。ここで、図9は、圧力変化(ノズルにおける水頭値)に対するインクの飛翔速度Vmとインク重量Iwの変化の違いを説明するグラフである。なお、同図において、横軸はノズル47におけるメニスカスの水頭値であり、縦軸は水頭値が−40mmの場合を1としたときの飛翔速度Vm及びインク重量Iwの比率を示している。同図に示すように、圧力変化に伴う水頭値の変化に応じて、吐出されるインクの重量Iwも変化するが、インク飛翔速度の変化率の方がインク重量の変化率よりも大きいことが判る。このため、本発明に係るプリンター1は、インクパック52のインク残量とインク速度の相関関係に基づいて、インクパック52内のインクが無くなった状態のインクエンドをより高い精度で検出するように構成されている。以下、この点について説明する。
インク速度測定部7は、図4に示すように、ノズル47からのインクの飛翔領域Aと交差するような軌道Lに半導体レーザー74aから光を射出する発光部74と、インクの通過領域Aと交差した後の光をフォトダイオード75aで受光する受光部75と、受光部75での光の受光状態に基づいて通過領域Aを飛翔するインクの飛翔速度を導出する演算部76と、から構成される。本実施形態では、プリンターコントローラー55の制御部60が演算部76として機能する。発光部74と受光部75とは、インクの飛翔領域Aを間に挟んで互いに対向する状態で配置されている。発光部74とインクの飛翔領域Aとの間、及び、受光部75とインクの飛翔領域Aとの間に、それぞれ1以上のインクミスト遮蔽板77a,77bが配置されている。各インクミスト遮蔽板77a,77bには、光の軌道Lが通過可能な開口が設けられている。そして、発光部74の半導体レーザー74aから出射される光が、インクの飛翔領域Aと交差して、受光部75のフォトダイオード75aに受光されるようになっている。即ち、光の軌道L、インクの飛翔領域A及び受光部75の配置関係は、インクの飛翔領域Aをインクが通過している間に、受光部75による受光が中断されるように図示しない位置調整機構によって高精度に調整されている。また、記録ヘッド3のノズル面から光の軌道Lまでの距離Dも位置調整機構によって定められている。そして、受光部75は、フォトダイオード75aによる光電変換処理を介して、受光の中断期間に対応する幅を有する検出信号S(図10参照)を出力するようになっている。
演算部76は、ノズル47からインクが吐出されたタイミングと検出信号Sの立ち上がりタイミングと距離Dとに基づいて、ノズル47から吐出されるインクの飛翔速度を求める。具体的には、吐出駆動パルスDPの収縮要素p3が終了するタイミング(即ち、収縮要素p3から制振ホールド要素p4に切り替わるタイミング)から受光部75の検出信号Sの立ち上がりタイミングまでの時間tと、ノズル47から光の軌道Lまでの距離Dと、に基づいて、D/tをインク速度Vmとして導出するようになっている。
次に、インク速度測定部7を用いたインクエンド判定処理について説明する。このインクエンド判定処理は、吐出回数と設計液量の積算により求めたインク消費量が所定量になった場合に実行される。
インクエンド判定処理では、まず、インク速度測定部7によってインク飛翔速度測定工程が行われる。このインク飛翔速度測定工程では、記録ヘッド3のノズル面と光の軌道Lとが位置調整機構によって間隔Dに高精度に位置決めされる。位置決めされたならば、発光部74から、インクの飛翔領域Aを通る光が出射される。この光は、受光部75で継続的に受光される。この状態で、図10に示すように、ラッチ信号LATをトリガとして、駆動信号COMの吐出駆動パルスDPが圧電振動子38に印加される。これにより、圧電振動子38が駆動して圧力発生室46内のインクに圧力変動が生じ、この圧力変動によりノズル47からインクが吐出される。吐出されたインクは、インクの飛翔領域Aを通過する際に、軌道Lの光を遮断する。これにより、受光部75は遮断期間に対応する幅を有する検出信号Sを出力する。そして、演算部76として機能する制御部60は、吐出駆動パルスDPの収縮要素p3が終了するタイミングから検出信号Sの立ち上がりタイミングまでの時間tとノズル47から光の軌道Lまでの距離Dとに基づいて、インク飛翔速度Vmを導出する(Vm=D/t)。
インク飛翔速度Vmが得られたならば、次に、エンド判定工程が行われる。インク飛翔速度測定工程においてインク速度測定部7により測定されるインク飛翔速度Vmは、上述したように、インクカートリッジ6のインクパック52内のインク残量に応じて変化する。そこで、エンド判定手段として機能する制御部60は、インク速度測定部7により検出されたインク飛翔速度Vmと予め定められた閾値とを比較し、インク飛翔速度Vmが閾値よりも大きい場合、インクパック52内のインク残量はまだ十分であると判断し、エンド判定処理を終了する。一方、インク飛翔速度Vmが閾値以下となった場合、制御部60は、インクカートリッジ6の交換が必要な程度までインク残量が無くなった(エンド判定残量となった)と判定する。なお、閾値については、インク残量と、インク流路内の圧力損失と、インク飛翔速度と、の関係から予め定められている。このように、インク飛翔速度Vmが閾値以下となった場合に、インクエンドと判定することにより、インクパック52内のインクが実質的に無くなった状態をより高い精度で検出することができる。
インクエンドが検出されると、制御部60は、例えば、プリンター1の外表面に設けられた液晶表示部等に、インクカートリッジ6(インクパック52)内のインクが無くなった旨を表示してユーザーに対して警告を行う。これにより、ユーザーがインクカートリッジ6の交換タイミングを容易に把握することができる。
以上のように、上記プリンター1では、インク速度測定部7からインク飛翔速度Vmを取得し、インク飛翔速度Vmが閾値以下となった場合に、インクエンドと判定することにより、インクカートリッジ6内のインクが実質的に無くなった状態をより精度良く検出することができる。このため、ユーザーが認識するインクカートリッジの交換のタイミングを、本来望ましい交換タイミングに揃えることができる。その結果、インクカートリッジ内のインクを無駄なく使用することができる。また、インク飛翔速度Vmの測定時には、インク重量Iwを測定する場合と比べて消費するインクの量が少なくて済み、また、測定時間も短縮することができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、インク飛翔速度Vmを上記構成のインク速度測定部7によって測定する構成を例示したが、これには限らない。例えば、記録ヘッドのノズルから吐出されたインクが着弾可能なインク受部をノズル面に対して非接触状態で対向配置すると共にこれらのノズル面とインク受部との間に電界を付与し、ノズルからインク受部に向けてインクを吐出したときの静電誘導に基づく電圧変化を検出し、検出された信号の振幅に基づいてインク飛翔速度Vmを導出する構成を採用することもできる。要は、インク飛翔速度が取得可能であれば、種々の構成を採用することができる。
また、上記実施形態では、本発明における圧力発生手段として所謂縦振動モードの圧電振動子38を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、電界方向(圧電体と内部電極との積層方向)に振動可能な圧電振動子であってもよい。また、ノズル列毎にユニット化されているものに限らず、所謂撓み振動モードの圧電振動子のように、圧力発生室46毎に設けられるものであってもよい。さらに、圧電振動子に限らず、発熱素子等の他の圧力発生素子を用いることもできる。
なお、本発明は、駆動信号(吐出駆動パルス)を用いて液体の吐出制御が可能な液体吐出装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体吐出装置、例えば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。
1…プリンター,3…記録ヘッド,6…インクカートリッジ,7…インク速度測定部,38…圧電振動子,43…ノズル基板,47…ノズル,52…インクパック,60…制御部,62…駆動信号発生回路,74…発光部,75…受光部,76…演算部

Claims (4)

  1. 液体貯留部材からの液体を圧力発生室に導入し、圧力発生手段を駆動させることによりノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、圧力発生手段を駆動する吐出駆動パルスを発生する駆動信号発生手段と、を有する液体吐出装置であって、
    前記液体吐出ヘッドのノズルから吐出された液体の飛翔速度を検出する飛翔速度検出手段と、
    前記飛翔速度検出手段により検出された飛翔速度の変化に基づいて前記液体貯留部材内に貯留されている液体の残量が予め定められたエンド判定残量に達したか否かを判定するエンド判定手段と、
    を備えることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記エンド判定手段は、前記飛翔速度検出手段により検出された飛翔速度が、予め定められた閾値以下となった場合に、前記液体貯留部材内の液体残量が前記エンド判定残量になったと判定することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置
  3. 前記飛翔速度検出手段は、前記ノズルから吐出される液体の通過領域と交差する軌道に光を照射する発光部と、前記通過領域と交差した後の光を受光する受光部と、前記受光部の受光状態に基づいて前記通過領域を飛翔する液体の飛翔速度を導出する演算部と、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 液体貯留部材からの液体を圧力発生室に導入し、圧力発生手段を駆動させることによりノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、圧力発生手段を駆動する吐出駆動パルスを発生する駆動信号発生手段と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、
    前記液体吐出ヘッドのノズルから吐出された液体の飛翔速度を検出し、検出された飛翔速度の変化に基づいて前記液体貯留部材内に貯留されている液体の残量が予め定められたエンド判定残量に達したか否かを判定することを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
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