JP2010217740A - 画像形成装置用像保持体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】繰り返し使用時の安定性に優れた画像形成装置用像保持体を提供する。
【解決手段】支持体上に、カルバゾール環基を有するトリアリールアミン系化合物であって、前記カルバゾール環基を有するアリール基以外のそれぞれのアリール基のパラ位にエステル成分が置換された特定の構造で表される化合物を含有する感光層が形成された画像形成装置用像保持体。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成装置用像保持体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
有機光導電性化合物を主成分とする感光層を有する感光体は、従来用いられてきた無機光導電体(セレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム又はシリコン等)を主成分として含有する感光体に比較して、製造が比較的容易であること、安価であること、取扱いが容易であること、熱安定性が優れていること等多くの利点を有し、盛んに研究がなされている。
特に、光導電体の電荷発生機能と電荷輸送機能とをそれぞれ別個の機能層に分担させ、前者の発生機能を有する材料を電荷発生層に、後者の輸送機能を有する材料を電荷輸送層にそれぞれ含有させる、積層タイプの機能分離型感光層を有する感光体がすでに実用化されている。
中でも、光導電性化合物として、その高い電荷移動度からテトラアリールベンジジン化合物が盛んに研究されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5参照)。
また、カルバゾリル基を有する化合物を架橋した有機感光体やカルバゾリル基を2つ以上含有する化合物を用いた有機感光体が提案されている(例えば、特許文献6及び特許文献7参照)。
米国特許第4,047,948号明細書 米国特許第4,299,897号明細書 特開昭61−132955号公報 特開昭62−267749号公報 特開平3−138654号公報 特開平2005−202413号公報 特開平2004−126583号公報
本発明の課題は、特許文献1に記載の発明に比べて、繰り返し使用による残留電位の変動が低い画像形成装置用像保持体を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
支持体と、該支持体上に下記一般式(I)で示される化合物を含有する感光層と、を有する画像形成装置用像保持体である。

一般式(I)中、Rは各々独立に、置換又は未置換の直鎖又は分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、Rは、各々独立に、置換又は未置換の直鎖又は分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、aは0以上3以下の整数を表し、jは0以上8以下の整数を表し、kは1又は2を表し、nは各々独立に0以上7以下の整数を表す。
請求項2に係る発明は、
支持体と、該支持体上に下記一般式(II−1)で示される化合物を含有する感光層と、を有する画像形成装置用像保持体である。

一般式(II−1)中、Yは、各々独立に、置換又は未置換の2価のアルコール残基を表し、Aは下記構造式(III)で表される基を表し、Rは、各々独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を表し、mは1以上5以下の整数を表し、pは5以上5,000以下の整数を表す。

構造式(III)中、Rは各々独立に、置換又は未置換の直鎖又は分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、aは0以上3以下の整数を表し、jは0以上8以下の整数を表し、kは1又は2を表し、nは各々独立に0以上7以下の整数を表す。
請求項3に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置用像保持体と、前記画像形成装置用像保持体を帯電させる帯電手段、帯電した前記画像形成装置用像保持体を露光して静電潜像を形成させる露光手段、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段、および前記画像形成装置用像保持体を清掃する清掃手段から選ばれる少なくとも1つと、を少なくとも有するプロセスカートリッジである。
請求項4に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置用像保持体と、前記画像形成装置用像保持体を帯電させる帯電装手段と、帯電した前記画像形成装置用像保持体を露光して静電潜像を形成させる露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、を備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、特許文献1に記載の発明に比べて、繰り返し使用による残留電位の変動が低い画像形成装置用像保持体が提供される。
請求項2に係る発明によれば、特許文献1に記載の発明に比べて、繰り返し使用による残留電位の変動が低い画像形成装置用像保持体が提供される。
請求項3に係る発明によれば、特許文献1に記載の発明に比べて、繰り返し使用による残留電位の変動が低い画像形成装置用像保持体を有するプロセスカートリッジが提供される。
請求項4に係る発明によれば、特許文献1に記載の発明に比べて、繰り返し使用による残留電位の変動が低い画像形成装置用像保持体を有する画像形成装置が提供される。
第1実施形態に係る画像形成装置用像保持体の模式断面図である。 第2実施形態に係る画像形成装置用像保持体の模式断面図である。 第3実施形態に係る画像形成装置用像保持体の模式断面図である。 実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
本実施形態では、下記一般式(I)で示される化合物及び下記一般式(II)で示される構造単位を含む化合物の少なくとも一方を、電荷輸送材料として用いることにより、画像形成装置用像保持体が提供される。すなわち、導電性支持体上に感光層が形成された画像形成装置用像保持体であって、当該感光層は下記一般式(I)で示される化合物及び下記一般式(II)で示される構造単位を含む化合物の少なくとも一方を含有する。
なお、本実施形態における導電性支持体とは、JIS K 7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に基づき測定した体積抵抗率が10Ω・cm未満である導電性材料で形成されるか、或いは、基材表面に該導電性材料で形成された導電層を有する支持体を指す。
該画像形成装置用像保持体における感光層は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一層に含む単層型感光層、又は電荷発生材料を含む層と電荷輸送材料を含む層とが隣接するように別個に設けられている機能分離型感光層のいずれでもよく、電荷輸送材料として下記一般式(I)で示される化合物及び下記一般式(II)で示される構造単位を含む化合物の少なくとも一方を含有させるものである。
また、電荷発生材料としては、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン又はヒドロキシガリウムフタロシアニン等の公知の電荷発生材料を用いうる。なお、該画像形成装置用像保持体は、最表面上(導電性支持体から最も離れた位置)に保護層を備えたものであってもよく、この場合における保護層は、電荷輸送性を有する架橋性シリコーン樹脂を含んでなることが好ましい。
(画像形成装置用像保持体)
本実施形態に係る画像形成装置用像保持体は、支持体上に、下記一般式(I)で示される化合物及び下記一般式(II)で示される構造単位を含む化合物の少なくとも一方を含有する感光層が形成された画像形成装置用像保持体である。
<一般式(I)で示される化合物>
以下、下記一般式(I)で示される化合物について、詳細に説明する。

一般式(I)中、Rは各々独立に、置換又は未置換の直鎖又は分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、Rは、各々独立に、置換又は未置換の直鎖又は分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、aは0以上3以下の整数を表し、jは0以上8以下の整数を表し、kは1又は2を表し、nは各々独立に0以上7以下の整数を表す。
一般式(I)中、Rは、各々独立に、置換又は未置換の直鎖又は分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。
Rで表されるアルキル基は、各々独立に、炭素数1以上6以下であることが好ましく、炭素数1以上4以下であることがより好ましい。
Rで表されるアルキル基は、直鎖状又は分岐状であり、結晶性維持および溶解性の観点からは、好ましくは直鎖状アルキル基である。
一般式(I)中において、Rで表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、アリール基又は複素環が挙げられる。
前記置換基としてのアリール基は、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基、又はナフチル基等が挙げられる。
前記置換基としての複素環とは、炭素と水素以外の元素を含む環を表す。複素環は、その環骨格を構成する原子数(Nr)が、5又は6であることが好ましい。環骨格を構成する炭素原子以外の原子(異種原子)の種類及び数は特に限定されないが、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、セレン原子、珪素、リン原子等が好ましく用いられ、前記環骨格中には2種類以上の異種原子が含まれてもよく、また2個以上の異種原子が含まれてもよい。
5員の複素環としては、チオフェン、ピロール、フラン、イミダゾール、オキサゾール、セレノフェン、チアゾール、チアジアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール及びシロール又は、前記化合物の3位及び4位の炭素を窒素で置き換えた複素環が好ましく用いられる。5員の複素環を有する芳香族複素環としては、他に、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、インドールなどを含む。
6員の複素環としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジンが好ましく用いられる。
なお、前記置換基としての複素環は、該複素環に芳香環が置換しているものを包含し、また、芳香環に複素環が置換しているものも含まれる。
一般式(I)におけるRで表されるアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基,プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、を挙げられ、メチル基、エチル基,プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、又はn−オクチル基であることが好ましく、メチル基、ブチル基がより好ましく、メチル基又はブチル基であることが製造容易性、結晶性維持の観点から更に好ましく、入手の容易性の観点からはメチル基が更に好ましい。
なお、Rは、置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基であり、この範囲内ではアルキル基の種類の違いによるイオン化ポテンシャルに与える影響は少ない。
また、一般式(I)におけるjが2以上の場合又はkが2の場合、一般式(I)に含まれる2個以上のRは、同一でも異なっていてもよいが、製造容易性の観点からは同一であることが好ましい。
一般式(I)中、jは0以上8以下の整数を表す。溶媒への溶解性の観点から、jは0以上4以下の整数であることが好ましく、0以上2以下であることが合成上の観点から好ましい。
なお、jの数、すなわちカルバゾリル基上の置換基Rの個数の違いは、イオン化ポテンシャルに与える影響が小さく、大きくとも0.02程度の変動と推測される。
なお、一般式(I)で表されるカルバゾール化合物は、aが0の場合、油状性となってしまう傾向にあるため結晶性の観点から、カルバゾリル基が置換基Rを有さない場合(即ちjが0の場合)が好適である。
他方、aが1以上3以下の場合、溶解性の観点からは、Rを有する場合(即ちjが1以上8以下の場合)が好適である。
jが1以上の場合、一般式(I)中のRは、カルバゾリル基のいずれの水素原子と置換していてもよいが、合成の容易さの観点から、好ましくは、2,3,4,5,6及び7位のいずれか1箇所以上で置換する場合であり、2,3,6及び7位のいずれか1箇所以上で置換する場合がより好ましく、更に好ましくは、3及び6位のいずれか1箇所以上で置換する場合である。カルバゾリル基の3及び6位は酸化されやすく、この位置に置換基を導入することで長寿命化が図れる。
jが2の場合、合成の容易さの観点から、好ましくは、2,3,4,5,6及び7位のいずれか2箇所で置換する場合であり、2,3,6及び7位のいずれか2箇所で置換する場合がより好ましく、更に好ましくは、3及び6位で置換する場合である。
一般式(I)中、Rは、各々独立に、置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。Rで表されるアルキル基は、各々独立に、炭素数1以上6以下であることが好ましく、炭素数1以上4以下であることがより好ましく、炭素数1以上3以下であることが更に好ましい。
で表されるアルキル基は、直鎖状又は分岐状であり、好ましくは直鎖状アルキル基である。
一般式(I)中において、Rで表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、アリール基、複素環が挙げられる。
前記置換基としてのアリール基は、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基、又はナフチル基等が挙げられる。前記置換基としての複素環は、前記Rで説明したものと同義である。
で表されるアルキル基は、製造容易性の観点から、未置換のアルキル基であることが好適である。
一般式(I)におけるRで表されるアルキル基は、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、t−ブチル基を挙げられ、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、イソプロピル基又はt−ブチル基が入手容易性の観点から好ましく、メチル基、エチル基、であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることが製造容易性および高分子量化の観点から更に好ましい。
一般式(I)における2つのRは、同一でも異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。
一般式(I)中、aは0以上3以下の整数を表す。aがこの範囲では溶解性及び耐熱性に優れる。イオン化ポテンシャルを低くするという観点からは、aは0以上2以下の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。耐熱性を重視するのであれば1以上3以下の整数であることが好ましく、2以上3以下の整数であることがより好ましい。
なお、aの数によって、一般式(I)で表されるカルバゾール化合物の外観が異なる。具体的には、一般式(I)におけるkが1の場合(カルバゾール基が1つの場合)、aが0では油状であり、aが1以上のときは粉状で得られる。一般式(I)におけるkが2の場合(カルバゾール基が2つの場合)には、aが0でも1以上でも粉状で得られる。よって、取り扱い性などを考慮して、aの数が選択される。
一般式(I)中、kは1又は2を表す。kが1の場合には、より低いイオン化ポテンシャルが達成され、kが2の場合には、低いイオン化ポテンシャルと耐熱性の両立が図られる。
kが1の場合、カルバゾリル基が結合するベンゼン環に対して、カルバゾリル基の置換位置は、2位,3位又は4位のいずれであってもよいが、3位又は4位であることが置換基導入の容易さの観点から好ましく、4位であることがより好ましい。前記ベンゼン環の4位が最も酸化を受け易いことから、4位にカルバゾリル基を導入することで長寿命化が図られる。
kが2の場合、カルバゾリル基の置換位置は、2、3、4、5又は6位のうちのいずれの2箇所であってもよいが、3位と5位、2位と4位、又は2位と5位の組み合わせであることが置換基導入の容易さの観点から好ましく、3位と5位にカルバゾリル基を配置することが、一般式(I)で表されるカルバゾール化合物の酸化を防止し、カルバゾリル基の導入のし易さの観点から好ましい。
一般式(I)中、nは、各々独立に0以上7以下の整数を表す。合成上の観点からは、nは0以上3以下の整数であることが好ましく、高分子合成における高分子量化の観点からは0以上2以下の整数であることがより好ましい。なお、一般式(I)では、アルコキシカルボニル基(ROCO−)とフェニレン基とがアルキレン基を介して結合するため、カルボニル基による酸性度の上昇が抑えられることで酸化され難く、耐久性が向上する。
一般式(I)における2つのnは、同一でも異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。
一般式(I)において、好ましい態様としては、jが0で置換基Rを有さないか、又はjが2で2つの置換基Rが各々独立に、水素、メチル基、エチル基,プロピル基、n−ブチル基、t(ターシャリー)−ブチル基、n−ヘキシル基、又はn−オクチル基であり、Rはメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、又はt−ブチル基であり、aは0以上2以下の整数であり、nは1以上5以下の整数であり、kが1の場合には結合位置は2位、3位、又は4位であり、kが2の場合には結合位置が3位と5位、2位と4位、又は2位と5位であることが挙げられる。
一般式(I)において、より好ましい態様としては、jが0であって置換基Rを有さないか、又はjが2であって2つの置換基Rが各々独立に、メチル基又はブチル基であり、Rはメチル基又はエチル基であり、aは0又は1であり、nは1以上3以下の整数であり、kが1の場合には結合位置が3位又は4位であり、kが2の場合には結合位置が3位と5位、又は2位と4位であることが挙げられる。
さらに、上記の中でも特に、画像形成装置用像保持体の繰り返し使用による残留電位の変動が低いという観点において好ましい態様としては、kが2であることが挙げられる。kが2であることにより、1つのベンゼン環に結合する2つのカルバゾリル基が立体障害によってねじれるため、アモルファス性が向上し、膜質が良好になると推測される。
以下に、一般式(I)で表されるカルバゾール化合物(k=1)の具体例化合物(1)から(20)(構造番号1から20の化合物、すなわち、具体例カルバゾール化合物(1)から(20))を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
なお、具体例化合物(1)から(20)におけるR,R,R,a及びnは、下記式(I−1)におけるR,R,R,a及びnを意味する。また、具体例化合物(1)から(20)において、下記式(I−1)における2個のRは、同じ基を表し、2箇所のnは同じ数を表す。



以下に、一般式(I)で表されるカルバゾール化合物(k=2)の具体例化合物(21)から(40)(構造番号21から40の化合物、すなわち、具体例カルバゾール化合物(21)から(40))を示すが、これらに限定されるものではない。
なお、具体例化合物(21)から(40)におけるR,R,R,a及びnは、下記式(I−2)におけるR,R,R,a及びnを意味する。また、具体例化合物(21)から(40)では、下記式(I−2)における2個のR,R,及びRは、それぞれ同じ基を表し、2箇所のnは、同じ整数を表す。



一般式(I)で表されるカルバゾール化合物は、カルバゾール化合物のハロゲン体とジアリールアミン化合物とのパラジウムカップリング反応、又はカルバゾール化合物のハロゲン体とジアリールアミン化合物とのUllmann反応若しくはパラジウム触媒を用いたカップリング反応を経て合成される。但し、本実施形態における合成法としてはこれらに限定されるものではない。
<一般式(II)で示される構造単位を含む化合物>
以下、下記一般式(II)で示される構造単位を含む化合物について詳細に説明する。
なお本実施形態では、下記一般式(II)で示される構造単位を含む化合物として、下記一般式(II−1)で示されるポリエステルを用いる。
一般式(II)中、Yは、各々独立に、置換若しくは未置換の2価のアルコール残基を表し、m’は0以上5以下の整数を表し、Aは下記構造式(III)で表される基を表す。

構造式(III)中、Rは各々独立に、置換又は未置換の直鎖又は分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、aは0以上3以下の整数を表し、jは0以上8以下の整数を表し、kは1又は2を表し、nは各々独立に0以上7以下の整数を表す。
前記一般式(II)で表されるポリエステルは、一般式(I)で表されるカルバゾール化合物を由来とする構造単位Aを含むため、N,N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼンよりもイオン化ポテンシャルが低くなる。また、下記一般式(II)で表されるポリエステルはポリマーであることから、低分子化合物であるN,N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼンよりも高い耐熱性を有する。よって、前記一般式(II)で表されるポリエステルは、画像形成装置用の像保持体に用いるのに好適である。
更に、一般式(II)で表されるポリマーをエステル構造とすることで、一般式(I)で表されるカルバゾール化合物を由来とする構造単位Aが導入されたポリマーを製造しやすい。
以下、一般式(II)について詳細に説明する。
一般式(II)中、Yは、各々独立に、置換若しくは未置換の2価のアルコール残基を表す。
Yは、2価のアルコール残基であり、アルキレン基、(ポリ)エチレンオキシ基、(ポリ)プロピレンオキシ基、アリーレン基、2価の複素環又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
一般式(II)におけるYは、具体的には下記の式(1)から(6)から選択される基が挙げられる。
式(1)及び(2)中、d及びeは、各々独立に、1以上10以下の整数を示す。
式(5)及び(6)中、R及びRは、各々独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のアラルキル基、又はハロゲン原子を表す。
式(5)及び(6)中、f及びgはそれぞれ0、1又は2の整数を示し、h及びiはそれぞれ0又は1を示し、Vは下記式(13)から(33)から選択される基を表す。

式(13)中、bは1以上10以下の整数を表し、好ましくは1以上6以下の整数を表し、より好ましくは1以上4以下の整数を表す。
式(19)中、R15は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はシアノ基を表す。
式(30)及び(33)中、R16及びR17は、各々独立に、水素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のアラルキル基、又はハロゲン原子を表す。
式(19)、(20)、及び(29)から(33)中、cは各々独立に、0以上10以下の整数を表し、好ましくは0以上6以下の整数を表し、より好ましくは1以上3以下の整数を表す。
一般式(II)における複数のYは、同一でも異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。
一般式(II)中、m’は、1以上5以下の整数を表す。溶解性と高分子量化の両立の観点からは、m’は1以上3以下の整数であることが好ましく、高分子量化の観点からは1以上2以下の整数であることがより好ましい。
一般式(II)中、Aは下記構造式(III)で表される基を表す。

構造式(III)中、Rは各々独立に、置換若しくは未置換の直鎖若しくは分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、aは0以上3以下の整数を表し、jは0以上8以下の整数を表し、kは1又は2を表し、nは各々独立に0以上7以下の整数を表す。
構造式(III)におけるRは、一般式(I)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
構造式(III)におけるa、j、k、及びnは、一般式(I)におけるa、j、k、及びnとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(II)中、Aで表される構造単位は、すべて同一であっても、2種類以上が含まれていてもよい。
前記一般式(II)で表される構造単位を含むポリエステルとしては、例えば、下記一般式(II−1)で表されるポリエステル及び下記一般式(II−2)で表されるポリエステル等が挙げられる。いずれも一般式(I)に由来する構造単位A(すなわち、上記構造式(III)で表される基)を含むのでイオン化ポテンシャルが低下し、画像形成装置用像保持体に適する。
なお、下記一般式(II−1)で表されるカルバゾリル基含有ポリエステルは、カルボン酸残基としてはAを有し、下記一般式(II−2)で表されるカルバゾリル基含有ポリエステルでは、AとZとをカルボン酸残基として有する。よって、下記一般式(II−1)で表されるカルバゾリル基含有ポリエステルは合成の簡便さの観点で優れており、下記一般式(II−2)で表されるカルバゾリル基含有ポリエステルは、組み合わせるカルボン酸残基Zによって更に画像形成装置用の有機感光体に適したものとなり得る。

一般式(II−1)中、Y、m、及びAは、前記一般式(II)におけるY、m’、及びAとそれぞれ同義である。pは5以上5,000以下の整数を表す。Rは、各々独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を表す。
一般式(II−2)中、Y、及びAは、一般式(II)におけるY、及びAとそれぞれ同義である。m’は0以上5以下の整数を表し、pは5以上5,000以下の整数を表す。Bは、各々独立に、−O−(Y−O)−Hまたは−O−(Y−O)−CO−Z−CO−ORで表される基を表す。ここでRは、一般式(II−1)におけるRと同義である。Zは2価のカルボン酸残基を表す。
一般式(II−1)及び(II−2)中、pは各々独立に5以上5,000以下の整数を表す。塗膜組成物(塗布液)として用いる際の一般的な溶媒に対しての溶解性を考慮すると、pは5以上2000以下の整数であることが好ましく、合成の容易さの観点からは5以上600以下の整数であることがより好適であり、分子分散性Mw/Mnの観点からは5以上500以下の整数であることが更に好適である。
なお、pが5以上5,000以下の範囲であれば、pの数によってイオン化ポテンシャルは殆ど影響を受けず、大きくとも0.01eV程度の変動と推測される。
一般式(II−1)中、Rは、各々独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を表す。一般式(II−2)中のBで表される基に含まれるRも、一般式(II−1)中のRと同様である。
上記のなかでも、Rとしては、水素原子又はフェニル基であることが好適であり、低コスト化、製造容易性の観点から水素原子であることがより好適である。
一般式(II−1)及び(II−2)における2つのRは、同一でも異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。一般式(II−2)における2つのBも、同一でも異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。
一般式(II−2)におけるZは、2価のカルボン酸残基を表す。
具体的には、一般式(II)におけるYで挙げた2価の連結基と同様であり、好適な範囲も同様である。一般式(II−2)における複数のZは、同一でも異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。
一般式(II−1)及び一般式(II−2)における複数のAは、同一でも異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。
一般式(II−1)又は一般式(II−2)など、一般式(I)で表されるカルバゾール化合物を由来とする構造単位を含む一般式(II)で表されるポリエステルは、重量平均分子量Mwが、5000以上300000以下の範囲にあるものが好ましく、一般に塗布液として用いる際の溶媒に対しての溶解性を考慮すると、重量平均分子量は、10000以上200000以下であることが好ましく、30000以上150000以下であることが更に好ましい。
尚、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(キャリア:テトラヒドロフラン)により測定されるポリスチレン換算の平均分子量である。
以下に、一般式(II)で表されるカルバゾリル基含有ポリエステルの具体例ポリマー(1)から(37)(ポリマー1から37、すなわち、具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(1)から(37))を示すが、本実施形態はこれらの具体例に限定されるものではない。
尚、具体例ポリマーにおけるモノマーの欄の番号は、前記一般式(I)で表されるカルバゾール化合物の具体例番号に対応している。以下、各番号を付した具体例(化合物)、例えば15の番号を付したAの構造は、具体例化合物(15)に由来する構造を意味する。
また、具体例ポリマーにおけるY、Z、m、m’、p、及びRは、それぞれ一般式(II−1)及び(II−2)におけるY、Z、m、m’、p、及びRを表す。Zの欄が「−」と記載されたものは、一般式(II−1)で表されるポリエステルの具体例を示し、その他は一般式(II−2)で表されるポリエステルの具体例を示す。さらに、下記具体例ポリマーのうち、本実施形態の画像形成装置用像保持体に用いられる化合物は上記一般式(II−1)で表されるポリエステルである。
上記一般式(II)で表される構造単位を含むポリエステルの合成方法は、所望する構造に応じて公知の方法を組み合わせて利用される。その合成方法は特に限定されるものではないが、本実施形態の画像形成装置用像保持体に用いられるカルバゾリル基含有ポリエステルの合成方法の一例を以下に説明する。
前記一般式(II)で表されるカルバゾリル基含有ポリエステルのうちm’が1以上5以下のものは、下記一般式(I−3)で示されるモノマーを、例えば、第4版実験化学講座第28巻(丸善,1992)等に記載された公知の方法で重合することで得られる。

前記一般式(I−3)において、Aは前記一般式(I)で表されるカルバゾール化合物から選択された少なくとも1種に由来する部分構造を表し、前記一般式(II)中のAと同義である。A’は水酸基、ハロゲン原子、又は−O−Rを表し、Rはアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は、アラルキル基を表す。
すなわち、前記一般式(II)で表されるカルバゾリル基含有ポリエステルは、次のようにして合成される。
1)A’が水酸基の場合
前記一般式(I−3)で表される化合物に、HO−(Y−O)−Hで表される2価アルコール類を当量混合し、酸触媒を用いて重合する。なお、Yは2価のアルコール残基を表し、一般式(II)中のYと同義である。mは1以上5以下の整数を表し、一般式(II)中のm’と同義である。
前記酸触媒としては、硫酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等、通常のエステル化反応に用いるものが使用され、モノマー1質量部に対して、1/10,000質量部以上1/10質量以下部、好ましくは1/1,000質量以上1/50質量部以下の範囲で用いられる。
重合中に生成する水を除去するために、水と共沸する溶剤を用いることが好ましく、トルエン、クロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、モノマー1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いられる。
反応温度は条件に応じて設定されるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。
反応終了後、溶剤を用いなかった場合には溶解する溶剤に溶解させる。溶剤を用いた場合には、反応溶液をそのまま、メタノール、エタノール等のアルコール類や、アセトン等のポリマーが溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、ポリエステルを析出させ、ポリエステルを分離した後、水や有機溶剤で十分洗浄し、乾燥させる。
更に、必要であれば適当な有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、ポリエステルを析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。再沈殿処理の際には、メカニカルスターラー等で、効率よく撹拌しながら行うことが好ましい。再沈殿処理の際にポリエステルを溶解させる溶剤は、ポリエステル1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いられる。また、貧溶剤はポリエステル1質量部に対して、1質量部以上1,000質量部以下、好ましくは10質量部以上500質量部以下の範囲で用いられる。
2)A’がハロゲンの場合
前記一般式(I−3)で表される化合物に、HO−(Y−O)−Hで示される2価アルコール類を当量混合し、ピリジンやトリエチルアミン等の有機塩基性触媒を用いて重合する。なお、Yは2価のアルコール残基を表し、一般式(II)中のYと同義である。mは1以上5以下の整数を表し、一般式(II)中のm’と同義である。
前記有機塩基性触媒は、モノマー1当量に対して、1当量以上10当量以下、好ましくは2当量以上5当量以下の範囲で用いられる。
溶剤としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、クロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効であり、モノマー1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いられる。
反応温度は条件に応じて設定される。重合後、前述のように再沈殿処理し、精製する。
また、ビスフェノール等の酸性度の高い2価アルコール類の場合には、界面重合法も用いられる。すなわち、2価アルコール類を水に加え、当量の塩基を加えて溶解させた後、激しく撹拌しながら2価アルコール類と当量のモノマー溶液を加えることによって重合される。この際、水は2価アルコール類1質量部に対して、1質量部以上1,000質量部以下、好ましくは2質量部以上500質量部以下の範囲で用いられる。モノマーを溶解させる溶剤としては、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が有効である。
反応温度は条件に応じて設定され、反応を促進するために、アンモニウム塩、スルホニウム塩等の相間移動触媒を用いることが効果的である。相間移動触媒は、モノマー1質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下、好ましくは0.2質量部以上5質量部以下の範囲で用いられる。
3)A’が−O−Rの場合
前記一般式(I−3)で表される化合物に、HO−(Y−O)−Hで示される2価アルコール類を過剰に加え、硫酸、リン酸等の無機酸、チタンアルコキシド、カルシウム及びコバルト等の酢酸塩或いは炭酸塩、亜鉛や鉛の酸化物を触媒に用いて加熱し、エステル交換により合成される。なお、Yは2価のアルコール残基を表し、一般式(II)中のYと同義である。mは1以上5以下の整数を表し、一般式(II)中のm’と同義である。
前記2価アルコール類はモノマー1当量に対して、2当量以上100当量以下、好ましくは3当量以上50当量以下の範囲で用いられる。
前記触媒はモノマー1質量部に対して、1/10,000質量部以上1質量部以下、好ましくは1/1,000質量部以上1/2質量部以下の範囲で用いられる。
反応は、反応温度200℃以上300℃以下で行い、−O−Rから−O−(Y−O)−Hへのエステル交換終了後は、HO−(Y−O)−Hの脱離による重合を促進するため、減圧下で反応させることが好ましい。また、HO−(Y−O)−Hと共沸する1−クロロナフタレン等の高沸点溶剤を用いて、常圧下でHO−(Y−O)−Hを共沸で除きながら反応させてもよい。
また、次のようにしてポリエステルを合成する。
上記それぞれの場合において、2価アルコール類を過剰に加えて反応させることによって下記一般式(I−4)で示される化合物を生成した後、この化合物を前記一般式(I−3)で示したモノマーの代わりとして用いて上記と同様の方法で、2価カルボン酸又は2価カルボン酸ハロゲン化物等と反応させ、一般式(II)で表されるカルバゾリル基含有ポリエステルが得られる。

一般式(I−4)中、Aは前記一般式(I)で表されるカルバゾール化合物から選択された少なくとも1種に由来する部分構造を表し、前記一般式(II)におけるAと同義である。Yは2価のアルコール残基を表し、前記一般式(II)におけるYと同義である。mは1以上5以下の整数を表し、前記一般式(II)におけるm’と同義である。
また、前記カルバゾリル基含有ポリエステルの末端に分子を導入することを行ってもよい。その場合、次の方法が挙げられる。すなわち、A’が水酸基の場合、末端導入化合物のモノカルボン酸を共重合させるか、ポリマーの重合反応後の電子輸送性化合物にモノカルボン酸を仕込んで反応させ導入する。
また、A’がハロゲンの場合、末端導入化合物のモノ酸塩化物を共重合させるか、ポリマーの重合反応後、末端導入化合物のモノ酸塩化物を仕込んで反応させ導入する。A’が−O−Rの場合には、末端導入化合物のモノエステルを共重合させるか、ポリマーの重合反応後、末端導入化合物のモノエステルを仕込んで反応させ導入する。
一方、前記一般式(II)で表されるカルバゾリル基含有ポリエステルのうちm’が0のものは、前記一般式(I−3)で示されるモノマーのうちA’がカルボキシル基(−COOH)であるものを用い、上記と同様の方法で重合することで得られる。
本実施形態の画像形成装置用像保持体では、前記の通り、前記一般式(I)で示される化合物及び前記一般式(II−1)で示される化合物の少なくとも一方が、感光層に含まれる。よって、前記一般式(I)で示される化合物及び前記一般式(II−1)で示される化合物の少なくとも一方が結着樹脂との相溶性に優れるため、感光層に結着樹脂を用いても、感光層の膜厚むらが少ない。
また本実施形態の画像形成装置用像保持体は、前記一般式(I)で示される化合物及び前記一般式(II−1)で示される化合物の少なくとも一方を含有する感光層を有することで、繰返し使用による残留電位変動も低く、優れた環境維持性を発揮する。
さらに本実施形態の画像形成装置及びプロセスカートリッジでは、本実施形態の画像形成装置用像保持体を用いるものであるために、長期にわたって良好な画質が得られ、環境負荷の低減や大幅なコストダウンにもなる。
<画像形成装置用像保持体の構成>
以下、本実施形態の画像形成装置用像保持体の構成について説明する。
本実施形態の画像形成装置用像保持体は、導電性支持体上に感光層を有する画像形成装置用像保持体であって、該感光層に上記した一般式(I)で示される化合物及び一般式(II−1)で示される化合物の少なくとも一方を含有することを特徴とする。
図1から図3は、それぞれ本実施形態の画像形成装置用像保持体の第1から第3実施形態を示す模式断面図である。
いずれも画像形成装置用像保持体1を導電性支持体2及び感光層3の積層方向に沿って切断したものである。
図1及び図2に示す、第1及び第2実施形態に係る画像形成装置用像保持体1は、電荷発生物質と電荷輸送物質とが異なる層に含有される機能分離型感光層を備えるものである。すなわち、感光層3中において、電荷発生物質を含有する層(電荷発生層5)と電荷輸送物質を含有する層(電荷輸送層6)とが別個に形成され、それらが隣接するように積層されている。
一方、図3に示す、第3実施形態に係る画像形成装置用像保持体1は、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一の層に含有される単層型感光層を備えるものである。すなわち、感光層3中において、電荷発生物質と電荷輸送物質と含有する電荷発生・輸送層8が一層形成されている。
より詳しくは、第1実施形態に係る画像形成装置用像保持体1においては、導電性支持体2上に下引き層4、電荷発生層5、及び電荷輸送層6がこの順で積層されて感光層3が構成されており、第2実施形態に係る画像形成装置用像保持体1においては、導電性支持体2上に下引き層4、電荷発生層5、電荷輸送層6、及び保護層7がこの順で積層されて感光層3が構成されている。また、第3実施形態に係る画像形成装置用像保持体1においては、導電性支持体2上に下引き層4及び電荷発生・輸送層8がこの順で積層されて感光層3が構成されている。
なお、図示を省略するが、第2実施形態の変形態様として、第2実施形態における電荷発生層5と電荷輸送層6との積層順を逆にした態様や、第3実施形態の変形態様として、第3実施形態の電荷発生・輸送層8上に、第1及び第2実施形態において用いられる成分からなる保護層7を形成させた態様も挙げられる。
導電性支持体2としては、アルミニウムがドラム状、シート状、又はプレート状等の形状のものとして使用されるが、これらに限定されるものではない。導電性支持体2には陽極酸化処理や、ベーマイト処理、又はホーニング処理等を行ってもよい。
導電性支持体2と感光層3で挟まれる領域又は導電性支持体2と電荷発生・輸送層8で挟まれる領域には、図1から図3に示すように下引き層4が設けられる。下引き層4としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、又はジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、又はチタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、又はアルミニウムカップリング剤等の有機アルミニウム化合物のほか;アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、又はアルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、等の有機金属化合物が用いられる。特に有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、又は有機アルミニウム化合物は好ましく使用される。
また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、又はβ−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を更に含有させて使用する。
更に、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、又はポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を更に含有させ得る。これらの混合割合は、必要に応じて設定される。
また、下引き層4中には電子輸送性顔料を混合又は分散して使用し得る。
電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、又はキナクリドン顔料等の有機顔料が挙げられる。また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、又はハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、又は酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中では、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、酸化亜鉛、又は酸化チタンが好ましい。
またこれらの顔料の表面は、上記カップリング剤や、バインダ等で表面処理してもよい。電子輸送性顔料の含有量は、下引き層4全量中95重量%以下、好ましくは90重量%以下で使用される。
下引き層4中に電子輸送性顔料を混合又は分散する方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、又はアトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合及び分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有機金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合又は分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用される。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、又はトルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いる。
下引き層4の厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以上25μm以下が適当である。
また、下引き層4を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、又はカーテンコーティング法等の通常の方法を用いる。
前記成分を含有する下引き層形成用組成物を塗布して形成された塗膜を乾燥させて下引き層4を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜され得る温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基材は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引き層4を形成することが好ましい。
電荷発生層5に含有される電荷発生材料は、ビスアゾ、又はトリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、又はフタロシアニン顔料等既知のものを使用し得るが、とくに金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特開平5−263007号公報及び、特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報及び、特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、又は特開平4−189873号公報及び、特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
電荷発生層5は、電荷発生材料と結着樹脂とを混合して形成するが、このような結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、又はポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択し得る。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、又はポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いる。
なお本発明における絶縁性樹脂とは、JIS K 7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に基づき測定した体積抵抗率が1012Ω・cm以上であるような絶縁性樹脂を指す。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比(重量比)は10:1から1:10の範囲が好ましく、より好ましくは8:3から3:8である。
またこれらを分散させる方法としてはボールミル分散法、アトライター分散法、又はサンドミル分散法等の通常の方法を用いるが、この際、分散によって電荷発生材料の結晶型が変化しない条件が必要とされる。ちなみに本実施形態で用いた前記の分散法のいずれについても分散前と結晶型が変化していないことが確認されている。
更にこの分散の際、電荷発生材料の粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
またこれらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、又はトルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いる。
電荷発生層5の厚みは0.1μm以上5μm以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。また、電荷発生層5を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、又はカーテンコーティング法等の通常の方法を用いる。
電荷輸送層6としては、前記一般式(I)で示される化合物及び前記一般式(II−1)で示される化合物の少なくとも一方を含有する他は、公知の技術によって形成されたものを使用し得る。
電荷輸送層6は、前記一般式(I)で示される化合物及び前記一般式(II−1)で示される化合物の少なくとも一方を含有すれば、その他の電荷輸送材料、結着樹脂等を含有して形成されてもよい。なお、前記一般式(I)で示される化合物を用いて前記一般式(II−1)で示される化合物を用いない場合は、前記一般式(I)で示される化合物を結着樹脂等に分散させて用いることが望ましい。また前記一般式(II−1)で示される化合物を用いる場合は、その他の樹脂を用いなくても電荷輸送層6が形成されるが、低コストの観点から、その他の樹脂と混合して用いることが望ましい。
その他の電荷輸送材料としては、例えば、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物や、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物といった他の電荷輸送材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送層6全量中、前記一般式(I)で示される化合物及び前記一般式(II−1)で示される化合物の含有量は、5質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上60質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以上50質量%以下である。
また前記一般式(I)で示される化合物及び前記一般式(II−1)で示される化合物以外の化合物を電荷輸送材料として併用する場合は、電荷輸送材料全量中、前記一般式(I)で示される化合物及び前記一般式(II−1)で示される化合物の含有量は、1質量%以上であるのが好ましく、5質量%以上であるのがより好ましい。
前記一般式(I)で示される化合物及び前記一般式(II−1)で示される化合物の少なくとも一方と混合する化合物としては、以下の一般式(V)または一般式(VI)で示される化合物が好ましい。

一般式(V)中、Rは水素原子又はメチル基を示す。nは1又は2を示す。Ar及びArはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を示し、置換アリール基の置換基としてはハロゲン原子、炭素数が1以上5以下のアルキル基、炭素数が1以上5以下のアルコキシ基、又は炭素数が1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。

一般式(VI)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換された置換アミノ基、又は、置換若しくは未置換のアリール基を示す。p及びqはそれぞれ独立に、0以上2以下の整数を示す。
電荷輸送層6に結着樹脂を用いる場合、結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、又は特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に開示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等高分子電荷輸送材が挙げられる。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重量比)は10:1から1:10が好ましく、より好ましくは8:3から3:8である。
電荷輸送層6の厚みは5μm以上50μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上30μm以下である。
塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、又はカーテンコーティング法等の通常の方法を用いる。
電荷輸送層6を設けるときに用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はクロルベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、又は2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、又は塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、又はエチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いる。
また、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはそれらの誘導体、有機硫黄化合物、又は有機燐化合物等が挙げられる。
光安定剤の例としては例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、又はテトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
また、少なくとも1種の電子受容性物質を含有してもよい。使用される電子受容性物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、又はフタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系、又はCl、CN、NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
本実施形態の画像形成装置用像保持体は、保護層7(表面層)を備えるようにしてもよいが、保護層7を高強度保護層(高強度表面層)とすることが好ましい。この高強度保護層としては、バインダー樹脂中に導電性粒子を分散したもの、通常の電荷輸送層材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂等の潤滑性粒子を分散したもの、シリコーンや、アクリル等のハードコート剤等が使用される。高強度保護層は、電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含むものが好ましく、このうち特に、下記一般式(IX)で示される構造のものが好ましい。
G−D−F (IX)
一般式(IX)におけるGは無機ガラス質ネットワークサブグループ、Dは可とう性有機サブユニット、Fは電荷輸送性サブユニットを意味する。Fとしては、光キャリア輸送特性を有する構造として、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、又はエチレン系化合物等が挙げられる。
一般式(IX)におけるGは、好ましくは反応性を有するSi基であり、この基は互いに架橋反応を生じて3次元的なSi−O−Si結合である無機ガラス質ネットワークを形成する。
一般式(IX)におけるDは、電荷輸送性を付与するためのFを、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつけるためのものである。
一般式(IX)で表される化合物において、Dで表される、無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつける基は、一般式(IX)で表される化合物を加水分解した際に生じるシラノール基と結合する基を意味し、−Si(R11)(3−a)Qで示される基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、又はハロゲン原子等の基がよい。これらのうち、−Si(R11)(3−a)Qで示される基、エポキシ基、又はイソシアネート基を有する化合物が好ましい。なお、R11は、水素原子、アルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基であり、Qは加水分解性基である。aは、0から3の整数である。
なおこれらの基を分子内に2つ以上持つものが硬化膜の架橋構造が3次元的になるため好ましい。
保護層7は、他のカップリング剤、フッ素化合物を混合して用いてもよい。この化合物として、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、又はジメチルジメトキシシラン、等が用いられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、AY42−440、AY42−441、又はAY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が用いられる。
保護層7にはまた、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、又は1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン等の含フッ素化合物を加えてもよい。
シランカップリング剤の量は必要に応じて設定されるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物1重量部に対して0.25重量部以下とすることが望ましい。また、上記した−Si(R11)(3−a)Qで示される加水分解性基を有する置換ケイ素基を2個以上有している化合物を併用して用いることがより好ましい。
これらのコーティング液の調整は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等のアルコール類;アセトン、又はメチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又はジオキサン等のエーテル類等が使用されるが、好ましくは沸点が100℃以下のものである。これらは、必要に応じ混合して使用される。溶剤量は必要に応じ設定されるが、一般式(IX)で示される化合物1重量部に対し0.5重量部以上30重量部以下、好ましくは、1重量部以上20重量部以下で使用される。
反応温度及び時間は原料の種類によっても異なるが、通常、0℃以上100℃以下、好ましくは10℃以上70℃以下、特に好ましくは、15℃以上50℃以下の温度で行う。反応時間に特に制限はないが、反応時間は10分から100時間の範囲で行うことが好ましい。
硬化触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、又は硫酸等のプロトン酸、アンモニア、又はトリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、又はオクエ酸第一錫等の有機錫化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、又はテトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、アルミニウムトリブトキシド、又はアルミニウムトリアセチルアセトナート等の有機アルミニウム化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、又はジルコニウム塩等が挙げられるが、金属化合物が好ましく、更に、金属のアセチルアセトナート、あるいは、アセチルアセテートが好ましく、特にアルミニウムトリアセチルアセトナートが好ましい。
硬化触媒の使用量は必要に応じ設定されるが、加水分解性ケイ素置換基を含有する材料の合計量に対して0.1重量%以上20重量%以下が好ましく、0.3重量%以上10重量%以下がより好ましい。
硬化温度は、必要に応じ設定されるが、所望の強度を得るためには60℃以上、より好ましくは80℃以上に設定される。硬化時間は、必要に応じ設定されるが、10分から5時間が好ましい。
また、硬化反応を行ったのち、高湿度状態に保つことも有効である。更に、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンや、又はトリメチルクロロシラン等を用いて表面処理を行い、疎水化する。
画像形成装置用像保持体の保護層7には、酸化防止剤を添加することが好ましい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系又はヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、又はベンズイミダゾール系酸化防止剤、等の公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては、保護層7全量中、20重量%以下が望ましく、10重量%以下が更に望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、又は4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、等が挙げられる。
また画像形成装置用像保持体の保護層7には、アルコールに溶解する樹脂を加えてもよい。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、又はブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(例えば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、又はフェノール樹脂等が挙げられる。特に、電気特性上ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。上記樹脂の重量平均分子量は2000以上100,000以下が好ましく、5,000以上50,000以下が更に好ましい。
樹脂の添加量は1%以上40%以下が好ましく、より好ましくは1%以上30%以下であり、5%以上20%以下が特に好ましい。
更に、保護層7に各種粒子を添加してもよい。それらは、単独で用いてもよいが、併用してもよい。粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ又はシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上30nm以下の酸性またはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用する。最表面層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から最表面層の全固形分中の0.1重量%以上50重量%以下、好ましくは0.1重量%以上30重量%以下である。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、球状で、平均粒子径1nm以上500nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下の、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、又はシリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用する。画像形成装置用像保持体における最表面層中のシリコーン粒子の含有量は、最表面層の全固形分中の0.1重量%以上30重量%以下が好ましく、0.5重量%以上10重量%以下がより好ましい。
また、その他の粒子としては、4フッ化エチレン、3フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、フッ化ビニル、又はフッ化ビニリデン等のフッ素系粒子や「第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集、p89」に示される、前記フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂を含む粒子、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO2、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、又はMgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。
ここで半導電性とは、JIS K 7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に基づき測定した体積抵抗率が10Ω・cm以上1011Ω・cm以下であることを意味する。
また、保護層7にシリコーンオイル等のオイルを添加し得る。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、又はフェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、又はフェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、又はドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、又は1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、又はフェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等が挙げられる。
なお単層型感光層の場合、当該単層型感光層は、上記電荷発生物質、上記電荷輸送物質(本実施形態の一般式(I)で示される化合物を含む。)及び結着樹脂を含有して形成され得る。なお、電荷輸送物質は高分子電荷輸送物質を含有してもよい。上記結着樹脂としては、上記電荷発生層5及び電荷輸送層6に用いられる結着樹脂として列挙されたものが用いられる。単層型感光層中の電荷発生物質の含有量は、10重量%以上85重量%以下、好ましくは20重量%以上50重量%以下である。また、単層型感光層中の電荷輸送物質の含有量は5重量以上50重量%以下とすることが好ましい。
塗布に用いる溶剤や塗布方法は、前述のものが用いられる。単層型感光層の膜厚は5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上40μm以下がより好ましい。
画像形成装置用像保持体の導電性支持体2から最も離れた位置に配置される最外部の層には、フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を塗布、あるいは浸漬処理し得る。
画像形成装置用像保持体の上記最外部の層に適用する、フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液について以下に説明する。フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレンのホモポリマー又はテトラフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、又はフルオロアルキルビニルエーテル等とのコポリマー;フッ化ビニリデンのホモポリマー又はフッ化ビニリデンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテル等とのコポリマー;クロロトリフルオロエチレンのホモポリマー又はクロロトリフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテル等とのコポリマー等が挙げられ、特に、テトラフルオロエチレンのホモポリマー又はコポリマーが好ましく、また、テトラフルオロエチレンのホモポリマーと各種コポリマーを重量比で95:5から10:90で混合して用いることが好ましい。
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂は、水性分散液として用いられるが、この水性分散液には更にワックス及びシリコーンのいずれか一方を含有する。ワックス及びシリコーンのいずれか一方を含有させることにより、フッ素系樹脂がブレード内部に浸透することを促進するため好ましい。
ここで、ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、又はペロトラタム等、シリコーンとしては、シリコーンオイル、シリコーングリス、オイルコンパウンド、又はシリコーンワニス等が挙げられる。
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液には、必要によって、フッ素系あるいはその他ノニオン系、カチオン系、アニオン系又は両性界面活性剤、pH調整剤、溶剤、多価アルコール、柔軟剤、粘度調整剤、光安定剤、又は酸化防止剤等が混合される。浸透層の形成は、ブレード部材をフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液中に浸漬することにより行うが、減圧下でも行い得る。この際の圧力としては、0.9気圧以下、好ましくは、0.8気圧以下、より好ましくは0.7気圧以下にて処理する。
また、水性分散液を40℃以上、好ましくは50℃以上に加熱することが効果的である。更に、0.1気圧以上、好ましくは、0.2気圧以上、より好ましくは0.3気圧以上にて処理することも効果的であり、減圧、加圧、加熱処理を組み合わせることも効果的である。また、スプレーや、塗布法によりブレード部材に付着させたのち、40℃以上、好ましくは50℃以上に加熱することで、浸透層が形成される。更に、フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を付着させた後、加熱乾燥を行う前、あるいは行った後にふき取り、あるいは洗浄を行う。
(画像形成装置)
本実施形態の画像形成装置は、既述の本実施形態の画像形成装置用像保持体と、前記画像形成装置用像保持体を帯電させる帯電装置と、帯電した前記画像形成装置用像保持体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を被転写体に転写する転写装置と、を備えることを特徴とする。
図4は、本実施形態の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
図4に示す画像形成装置200は、本実施形態の画像形成装置用像保持体207と、画像形成装置用像保持体207を接触帯電方式により帯電させる帯電装置208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208により帯電される画像形成装置用像保持体207を露光して静電潜像を形成する露光装置210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置211と、現像装置211により形成されたトナー像を被転写体500に転写する転写装置212と、クリーニング装置213と、除電器214と、定着装置215とを備える。
図4に示した帯電装置208は、画像形成装置用像保持体207の表面に接触型帯電部材(例えば、帯電ロール)を接触させて像保持体に電圧をに印加し、像保持体表面を帯電させるものである。
接触型帯電部材としては、芯材の外周面に弾性層、抵抗層、保護層等を設けたローラ状のものが好適に用いられる。なお、接触型帯電部材の形状は、上記したローラ状の他、ブラシ状、ブレード状、又はピン電極状等何れでもよく、画像形成装置の仕様や形態に合わせて選択される。
ローラ状の接触型帯電部材における芯材の材質としては、導電性を有するもの、例えば、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、又はニッケル等が用いられる。また、導電性粒子等を分散した樹脂成形品等が用いられる。弾性層の材質としては、導電性あるいは半導電性を有するもの、例えば、ゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが使用される。抵抗層及び保護層の材質としては結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したものである。
これらの接触型帯電部材を用いて像保持体を帯電させる際には、接触型帯電部材に電圧が印加されるが、かかる印加電圧は直流電圧、直流電圧に交流電圧を重畳したもののいずれでもよい。
なお、図4における接触型帯電部材の代わりに、コロトロン、又はスコロトロン等の非接触方式のコロナ帯電装置も用いられる。これらは画像形成装置の仕様や形態に合わせて選択される。
露光装置210としては、画像形成装置用像保持体表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光する光学系装置等が用いられる。
現像装置211としては、一成分系、二成分系等の正規または反転現像剤を用いた従来より公知の現像装置等が用いられる。現像装置211に使用されるトナーの形状は特に限定されないが、球形トナーが好ましい。
転写装置212としては、ローラ状の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、又はゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等、が挙げられる。
クリーニング装置213は、転写工程後の画像形成装置用像保持体の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された画像形成装置用像保持体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、又はロールクリーニング等が用いられるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、又はシリコーンゴム等が挙げられる。
上記実施形態は1つの画像形成ユニットを有するものであるが、他の実施形態に係る画像形成装置は、この画像形成ユニットを複数有するタンデム型画像形成装置である。
例えば、画像形成ユニットが4つである場合、4つの画像形成ユニットの各現像装置においては、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブランクの4色の色成分トナーを使用する。また、タンデム型画像形成装置は、4つの画像形成ユニットに共通し記録材料を搬送するベルトと、このベルトを搬送する搬送装置と、各現像装置にトナー像を供給するトナー供給装置と、カラートナー像を記録材料に定着させる定着装置とを備えていることが好ましい。
また、本実施形態の画像形成装置は像保持体を200000サイクル以上、更に、250000サイクル、あるいは、300000サイクル以上も使用する場合には、トナーのみを単独に補給する機構を有するものが好ましい。
(プロセスカートリッジ)
本実施形態のプロセスカートリッジは、既述の本実施形態の画像形成装置用像保持体を少なくとも有し、かつ、前記画像形成装置用像保持体を帯電させる帯電装置、帯電した前記画像形成装置用像保持体を露光して静電潜像を形成させる露光装置、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置、前記トナー像を被転写体に転写する転写装置、および前記画像形成装置用像保持体をクリーニングするクリーニング装置から選ばれる少なくとも1つと、を備えることを特徴する。
図5は、本実施形態の画像形成装置用像保持体を備えるプロセスカートリッジの好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
プロセスカートリッジ300は、画像形成装置用像保持体207とともに、帯電装置208、現像装置211、クリーニング装置(クリーニング手段)213、露光のための開口部218、及び、除電露光のための開口部217を取り付けレール216を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジ300は、現像装置211により形成されたトナー像を被転写体500に転写する転写装置212と、定着装置215と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態は、その要旨の範囲内で様々な変形や変更がされ得る。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また本実施例において、目的物の同定には、H−NMRスペクトル(溶媒:CDCl、VARIAN株式会社製、UNITY−300、300MHz)、及びIRスペクトル(KBr法にてフーリェ変換赤外分光光度計(株式会社 堀場製作所、FT−730、分解能4cm−1)を用いた。
さらに本実施例において、ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー社製、HLC−8120GPC)によって測定した。
(一般式(I)又は(II−1)で示される化合物の合成)
[合成例1−具定例カルバゾール化合物(1)の合成]
<DAA−1の合成>
4−アセトアミドフェニルプロピオン酸メチル(20g)(ファインケミカル社製)、4−ヨードフェニルプロピオン酸メチル(25g)(東京化成工業社製)、炭酸カリウム(13g)、硫酸銅5水和物(2.1g)、1,2−ジクロロベンゼン(50ml)を500mlの三口フラスコに入れ、窒素気流下、180℃で24時間加熱攪拌した。
反応終了後、減圧下1,2−ジクロロベンゼンを留去した後、水酸化カリウム(5.0g)をエチレングリコール(100ml)に溶解したものを加え、窒素気流下で3時間加熱還流した。
反応終了後、室温(25℃)まで冷却し、反応液を500mlの蒸留水に注ぎ、塩酸で中和し、結晶を析出させた。結晶を吸引濾過により濾取し、水洗した後、1Lのフラスコに移した。これに、トルエン(300ml)を加え、加熱還流し、共沸により水を除去した後、濃硫酸(5.0ml)のメタノール(300ml)溶液を加え、窒素気流下で2時間加熱還流した。反応後、トルエンで抽出し、有機層を蒸留水で洗浄した。
次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3(体積比)))により精製を行うことで、下記DAA−1を15g得た。
<中間体1−1の合成>
4−ブロモヨードベンゼン(57g)、カルバゾール(37g)、炭酸カリウム(34g)、硫酸銅5水和物(5.6g)、n−トリデカン(50ml)を500mlの三口フラスコに入れ、窒素気流下、220℃で20時間加熱攪拌した。
反応終了後、減圧下トリデカンを留去してトルエン300mlを加えた。これを水で洗浄してトルエン層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥物を濾過し、活性白土(15g)で活性白土処理を行い、次いで酢酸エチルから再結晶した。再結晶物を50℃で15時間、真空乾燥を行い、下記中間体1−1を収率60%で得た。

<具体例カルバゾール化合物(1)の合成>
温度計、コンデンサー、マグネチックスターラーを備えた200ml三口フラスコに前記DAA−1(1.7g)、前記中間体1−1(2.2g)、酢酸パラジウム(II)(56mg)、炭酸ルビジウム(6.9g)を入れ、キシレン70mlに溶解させた。トリ−ターシャリーブチルホスフィン(0.40g)をすばやく加え、窒素雰囲気下1.5時間加熱還流磁気撹拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)(ヘキサン/酢酸エチル=3/1(体積比))にて前記中間体1−1のスポットが消失しているのを確認後、室温(25℃)まで冷却した。セライト吸引濾過により無機物を除去した後、希塩酸100mlで洗浄し、水200mlで3回洗浄し、飽和食塩水200mlで洗浄し、この順で中性になるまで洗浄した。
無水硫酸ナトリウムで乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1(体積比))により精製を行い、次いで70℃で真空乾燥を15時間行い、前述した具体例カルバゾール化合物(1)を収率51%で得た。H−NMRスペクトル測定及びIRスペクトル測定によって、得られた化合物が具体例カルバゾール化合物(1)であることを確認した。

[合成例2−カルバゾリル基含有ポリエステル(1)の合成]
<具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(1)の合成>
前述した具体例カルバゾール化合物(1)を0.95g、エチレングリコール10ml及びテトラブトキシチタン0.02gを、50mlの三口ナスフラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃で6時間加熱攪拌した。
前述した具体例カルバゾール化合物(1)が消失したのを薄層クロマトグラフィー(TLC)(ヘキサン/酢酸エチル=3/1(体積比))により確認した後、70Paに減圧してエチレングリコールを留去しながら200℃に加熱し、6時間反応を続けた。
その後、室温(25℃)まで冷却し、テトラヒドロフラン30mlに溶解し、不溶物を0.5μlのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターにて濾過し、濾液を減圧下留去した後、モノクロロベンゼン100mlに溶解させ、1質量%塩酸(HCl)300mlで1回洗浄し、水300mlで4回洗浄した。モノクロロベンゼン溶液を100mlまで減圧下留去して、酢酸エチル/メタノール=1/5(体積比)の400ml中に滴下し、ポリマーを再沈殿させた。
得られたポリマーを濾過し、充分にメタノールで洗浄した後、50℃で8時間真空乾燥させ、具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(1)を0.70g得た。
このポリマーの分子量は、重量平均分子量Mw=3.3×10(スチレン換算)、Mw/Mn=6.62であり、モノマーの分子量から求めた重合度pは528であった。H−NMRスペクトル測定及びIRスペクトル測定によって、得られた化合物が具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(1)であることを確認した。

[合成例3−具定例カルバゾール化合物(21)の合成]
<中間体2−1の合成>
温度計、コンデンサー、マグネチックスターラーを備えた100ml三口フラスコにカルバゾール(3.3g)、N−メチル−2−ピロリドン(30ml)に溶解させ、水素化ナトリウム(1.2g)を加えた。130℃に加熱後、1−ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼン(3.0g)を加え、窒素雰囲気下130℃で4時間加熱攪拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)(ヘキサン/酢酸エチル=3/1(体積比))にてカルバゾールのスポットが消失しているのを確認後、室温(25℃)まで冷却した。
反応終了後、純水(300ml)中に注ぎ、結晶を析出させた。次いで、得られた結晶をメタノール(100ml)、酢酸エチル(50ml)の順で洗浄し、下記中間体2−1を2.4g得た。

<具体例カルバゾール化合物(21)の合成>
上記具体例カルバゾール化合物(1)の合成において、中間体1−1の代わりに中間体2−1を用いた以外は具体例カルバゾール化合物(1)の合成と同様の方法で、具体例カルバゾール化合物(21)を1.5g得た。H−NMRスペクトル測定及びIRスペクトル測定によって、得られた化合物が具体例カルバゾール化合物(21)であることを確認した。

[合成例4−カルバゾリル基含有ポリエステル(17)の合成]
上記具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(1)の合成において、具体例カルバゾール化合物(1)の代わりに、具体例カルバゾール化合物(21)を用いた以外は、具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(1)の合成と同様の方法でポリマー化を行い、具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(17)を0.8g得た。H−NMRスペクトル測定及びIRスペクトル測定によって、得られた化合物が具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(17)であることを確認した。
このポリマーの分子量をGPCで測定したところ、重量平均分子量Mw=2.3×10(スチレン換算)、Mw/Mn=2.56であり、モノマーの分子量から求めた重合度pは283であった。

[合成例5−具定例カルバゾール化合物(5)の合成]
<中間体3−1の合成>
上記中間体2−1の合成において、カルバゾールの代わりに3,6−ジメチルカルバゾール(2.0g)を用い、1−ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼンの代わりに1−ブロモ−3−フルオロベンゼン(2.0g)を用いた以外は同様の方法で合成し、下記中間体3−1を2.0g得た。

<中間体3−2の合成>
温度計、マグネチックスターラー、滴下ロート、冷却装置を備えた300ml三口フラスコに窒素雰囲気下、1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(80ml)を入れ、−50℃に冷却した。次いで−50℃でテトラヒドロフラン(THF)(80ml)を滴下した。次いで、前記中間体3−1(28g)をテトラヒドロフラン(THF)80mlに溶解させた溶液を滴下ロートより1時間かけて滴下した。これを−50℃で3時間撹拌後、ホウ酸トリメチル(9.1g)をテトラヒドロフラン(THF)100mlに溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、−50℃で3時間撹拌した。
反応終了後、室温(25℃)までゆっくり加温し、1Mの塩酸300mlによってpHが1となるように調整し、さらにヘキサン層に酢酸エチル200mlを加え希釈及び抽出した。酢酸エチル層に1Mの水酸化ナトリウム水溶液(300ml)を加えpH10以上の塩基性とした後、水層と分液し、−10℃で水層に塩酸を少しずつ滴下し、下記中間体3−2を析出させた。これを水洗いし、60℃で15時間乾燥させた後、中間体3−2(15g)を得た。

<DAA−2の合成>
他方、上記DAA−1の合成において、4−ヨードフェニルプロピオン酸メチルの代わりに4−ヨードフェニルペンタン酸エチルを用い、4−アセトアミドフェニルプロピオン酸メチルの代わりに4−アセトアミドフェニルペンタン酸エチルを用いた以外は、DAA−1と同様の方法で、下記DAA−2を13g得た。

<中間体3−3の合成>
前記DAA−2(21g)、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(14g)、炭酸カリウム(13g)、硫酸銅5水和物(2.1g)、1,2−ジクロロベンゼン(50ml)を500mlの三口フラスコに入れ、窒素気流下、180℃で14時間加熱攪拌した。
反応終了後、減圧下1,2−ジクロロベンゼンを留去した後、室温(25℃)まで冷却し、トルエン(300ml)を加え、1Nの塩酸水溶液300mlを加え有機層を洗浄した後、純水300mlで中性まで洗浄した。トルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3(体積比))にて精製し、下記中間体3−3を20g得た。

<具体例カルバゾール化合物(5)の合成>
窒素雰囲気下、温度計、コンデンサー、マグネチックスターラーを備えた200ml三口フラスコにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.58g)、テトラヒドロフラン(THF)30mlを加え撹拌した。そこへ、前記中間体3−3(5.8g)、2M炭酸ナトリウム水溶液(10ml)、前記中間体3−2(3.5g)をテトラヒドロフラン(THF)20mlに溶解させた溶液の順に加えた。
3時間窒素雰囲気下還流後25℃まで冷却して、塩酸20mlを加えてpHが1となるよう調整した。この水溶液をトルエン100mlで抽出し、トルエン層を純水100mlで3回、飽和食塩水100mlで1回洗浄した。
硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過して減圧下溶剤を留去して、得られた粗結晶をトルエンとヘキサンの混合溶媒(トルエン:ヘキサン=1:5(体積比))から再結晶して、具体例カルバゾール化合物(5)を6.5g得た。H−NMRスペクトル測定及びIRスペクトル測定によって、得られた化合物が具体例カルバゾール化合物(5)であることを確認した。

[合成例6−カルバゾリル基含有ポリエステル(9)の合成]
上記具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(1)の合成において、具体例カルバゾール化合物(1)の代わりに具体例カルバゾール化合物(5)を用いた以外は、具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(1)と同様の方法で、具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(9)を1.2g得た。H−NMRスペクトル測定及びIRスペクトル測定によって、得られた化合物が具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(9)であることを確認した。
このポリマーの分子量をGPCで測定したところ、重量平均分子量Mw=8.5×10(スチレン換算)、Mw/Mn=1.68であり、モノマーの分子量から求めた重合度pは106であった。

[合成例7−具定例カルバゾール化合物(24)の合成]
<中間体4−1の合成>
上記中間体2−1の合成において、カルバゾールの代わりに3,6−ジメチルカルバゾールを用い、1−ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼンの代わりに1−ブロモ−2,5−ジフルオロベンゼンを用いた以外は、中間体2−1の合成と同様の方法で下記中間体4−1を2.0g得た。

<中間体4−2の合成>
上記中間体3−2の合成において、中間体3−1の代わりに中間体4−1を用いた以外は、中間体3−2の合成と同様の方法で、下記中間体4−2を10g得た。

<具体例カルバゾール化合物(24)の合成>
上記具体例カルバゾール化合物(5)の合成において、中間体3−2の代わりに中間体4−2を用いた以外は、具体例カルバゾール化合物(5)の合成と同様の方法で、具体例カルバゾール化合物(24)を5.1g得た。H−NMRスペクトル測定及びIRスペクトル測定によって、得られた化合物が具体例カルバゾール化合物(24)であることを確認した。

[合成例8−カルバゾリル基含有ポリエステル(25)の合成]
上記具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(1)の合成において、具体例カルバゾール化合物(1)の代わりに具体例カルバゾール化合物(24)を用いた以外は、具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(1)の合成と同様の方法で、具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(25)を1.1g得た。H−NMRスペクトル測定及びIRスペクトル測定によって、得られた化合物が具体例カルバゾリル基含有ポリエステル(25)であることを確認した。
このポリマーの分子量をGPCで測定したところ、重量平均分子量Mw=1.63×10(スチレン換算)、Mw/Mn=2.10であり、モノマーの分子量から求めた重合度pは165であった。

(画像形成装置用像保持体の作製)
[実施例1]
アルミニウム基板上に、ジルコニウム化合物(オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)10重量部及びシラン化合物(A1110、日本ユニカー社製)1重量部とi−プロパノール40重量部及びブタノール20重量部からなる溶液を浸漬コーティング法にて塗布し、150℃において10分間加熱乾燥し、膜厚0.6μmの下引き層を形成した。この上に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶の1重量部を、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)1重量部及び酢酸n−ブチル100重量部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散した後、得られた塗布液を上記下引き層の上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃において10分間加熱乾燥し、電荷発生層を形成した。
次に、上記によりえられた具定例カルバゾール化合物(1)を2重量部と、以下に構造を示すビスフェノール(Z)高分子化合物(粘度平均分子量:40,000)3重量部をクロロベンゼン35重量部に加熱溶解後,室温(25℃)に戻した。この塗布液を前記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、110℃、60分の加熱を行って膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
[実施例2から実施例8]
実施例1で用いた具定例カルバゾール化合物(1)に代えて、カルバゾリル基含有ポリエステル(1)、具定例カルバゾール化合物(21)、カルバゾリル基含有ポリエステル(17)、具定例カルバゾール化合物(5)、カルバゾリル基含有ポリエステル(9)、具定例カルバゾール化合物(24)、及びカルバゾリル基含有ポリエステル(25)をそれぞれ用いた他は、実施例1と同様にして画像形成装置用像保持体を作製した。
[実施例9]
実施例1で用いたクロロガリウムフタロシアニン結晶に代えて、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を用いた他は、実施例1と同様にして、画像形成装置用像保持体を作製した。
[比較例1]
実施例1で用いた具定例カルバゾール化合物(1)に代えて、下記構造の化合物(X)を用いた他は、実施例1に記載の方法により画像形成装置用像保持体を作製した。

(比較例2)
実施例1で用いた具定例カルバゾール化合物(1)に代えて、下記構造の化合物(XI)を用いた他は、実施例1に記載の方法により画像形成装置用像保持体を作製した。

(評価)
上記実施例及び比較例で得られた、それぞれの画像形成装置用像保持体を用い、電子写真特性について、静電複写紙試験装置(エレクトロスタティックアナライザーEPA−8100、川口電気社製)を用いて、20℃、40%RHの環境下、−6KVのコロナ放電を行い、帯電させた後、タングステンランプの光を、モノクロメーターを用いて800nmの単色光にし、感光体表面上で1μW/cmになるように調整して、照射した。
そして、帯電直後における感光体表面の表面電位V(V)、感光体表面の光照射により表面電位が1/2×V(V)となる半減露光量E1/2(erg/cm)を測定した(初期特性)。その後、10ルックスの白色光を1秒間照射し、感光体表面に残留した残留電位VRP(V)を測定した(初期特性)。
更に上記の帯電、露光(800nmの単色光、露光量は半減露光量)、及び白色光の照射(10ルックス)を1000回繰り返した後のV、E1/2、及びVRPを測定、またその変動量ΔV、ΔE1/2、ΔVRPを評価した(安定性、耐久性)。
つぎに上記実施例および比較例で得られた画像形成装置用像保持体を用い、画像形成装置を作製した。画像形成装置用像保持体以外の要素は、富士ゼロックス製プリンターDocucenter C6550Iに搭載されたものを用いた。
各画像形成装置について、28℃、75%RHの環境下で1万枚分の画像形成テスト(画像濃度10%、シアン100%)を実施した。なお、本テスト条件においては、各カートリッジのプロセスは通常通り行われるが、シアン以外のカートリッジのトナーは使用(供給)されない。テスト後、トナーのクリーニング性(クリーニング不良による帯電器の汚れや画質劣化)、画質(プロセスブラック1dotライン斜め45度細線再現性)を評価した。クリーニング性及び画質の評価方法及び評価基準は以下の通りであり、得られた結果を表1に示す。
クリーニング性は目視にて評価し、いかの評価基準に基づいて評価した。
○:良好
△:部分的(全体の10%程度以下)にスジ状の画質欠陥あり
×:広範にスジ状の画質欠陥あり
画質は拡大鏡を用いて判断し、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:良好
B:部分的に欠陥有り(実用上は問題なし)
C:欠陥有り(細線が再現されていない)
上記の結果から、本実施例で得られた画像形成装置用像保持体は、比較例に比べて繰り返し使用による残留電位変動が低いことがわかる。また該画像形成装置用像保持体を有する画像形成装置で得られた画像は、画質も良好であることがわかる。
1 画像形成装置用像保持体
2 導電性支持体
3 感光層
4 下引き層
5 電荷発生層
6 電荷輸送層
7 保護層
8 電荷発生・輸送層
200 画像形成装置
207 画像形成装置用像保持体
208 帯電装置
209 電源
210 露光装置
211 現像装置
212 転写装置
213 クリーニング装置
214 除電器
215 定着装置
216 取り付けレール
217 除電露光のための開口部
218 露光のための開口部
300 プロセスカートリッジ
500 被転写体

Claims (4)

  1. 支持体と、該支持体上に下記一般式(I)で示される化合物を含有する感光層と、を有する画像形成装置用像保持体。


    〔一般式(I)中、Rは各々独立に、置換又は未置換の直鎖又は分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、Rは、各々独立に、置換又は未置換の直鎖又は分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、aは0以上3以下の整数を表し、jは0以上8以下の整数を表し、kは1又は2を表し、nは各々独立に0以上7以下の整数を表す。〕
  2. 支持体と、該支持体上に下記一般式(II−1)で示される化合物を含有する感光層と、を有する画像形成装置用像保持体。


    〔一般式(II−1)中、Yは、各々独立に、置換又は未置換の2価のアルコール残基を表し、Aは下記構造式(III)で表される基を表し、Rは、各々独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を表し、mは1以上5以下の整数を表し、pは5以上5,000以下の整数を表す。〕


    〔構造式(III)中、Rは各々独立に、置換又は未置換の直鎖又は分岐の炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、aは0以上3以下の整数を表し、jは0以上8以下の整数を表し、kは1又は2を表し、nは各々独立に0以上7以下の整数を表す。〕
  3. 請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置用像保持体と、前記画像形成装置用像保持体を帯電させる帯電手段、帯電した前記画像形成装置用像保持体を露光して静電潜像を形成させる露光手段、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段、および前記画像形成装置用像保持体を清掃する清掃手段から選ばれる少なくとも1つと、を少なくとも有するプロセスカートリッジ。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置用像保持体と、前記画像形成装置用像保持体を帯電させる帯電装手段と、帯電した前記画像形成装置用像保持体を露光して静電潜像を形成させる露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、を備える画像形成装置。
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