JP2010217667A - カラーフィルタの製造方法、及びカラーフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット法にて有機溶剤を含有するインクを用いて画素を形成するカラーフィルタの製造方法であって、隣接する画素間の混色、及び画素内の色抜けを防止しうるカラーフィルタの製造方法を提供すること。
【解決手段】基板上に遮光性樹脂膜を形成する工程(A)と、工程(A)で形成された遮光性樹脂膜上にマスクを形成する工程(B)と、工程(B)で形成されたマスクを介してドライエッチングを行い、遮光性樹脂膜をパターニングして隔壁を形成する工程(C)と、工程(C)で形成された隔壁をマスクと共に粗面化処理する工程(D)と、工程(D)で粗面化処理されたマスクを除去する工程(E)と、工程(E)後、基板全面にプラズマ処理を行う工程(F)と、工程(F)後、基板上の隔壁で囲まれた領域に、インクジェット法により有機溶剤を含有するインクを付与して画素を形成する工程(G)と、を有するカラーフィルタの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット法を用いて画素を形成するカラーフィルタの製造方法、及びカラーフィルタに関する。
近年、インクジェット法を用いて画素を形成するカラーフィルタの製造方法が、製造プロセスが簡略で、低コストであるといった利点から、盛んに検討されている。
しかしながら、このインクジェット法特有の問題として「混色」、「色抜け」がある。
「混色」とは、隣接する異なる色の画素間においてインクが混ざり合うことで発生する問題である。
カラーフィルタの製造方法において、画素を形成する際には、基板上の隔壁で囲まれた領域に対し、その容積よりも多くのインクを付与する。このインクの付与量は、インク中の着色剤や硬化成分などの固形成分の濃度によって変化し、固形成分の濃度が高い場合には付与量は少なくなり、固形成分の濃度が低い場合には付与量は多くなる。インクの付与量が多くなった場合、インクが隔壁を超えてあふれてしまい混色が発生する。このことから、混色の防止のために、インク中の固形成分の濃度を高くし、インクの付与量を少なくする方法が考えられるが、インクジェット法における吐出安定性を考慮すると、インクの粘度には上限があり、インク中の固形成分の濃度にも限界があるため、混色を防止するための新たな技術が求められているのが現状である。
また、「白抜け」とは、基板上の隔壁で囲まれた領域に付与されたインクが、十分に且つ均一に拡散していないことに起因して発生する問題である。この白抜けが発生すると、画素内での色濃度が不均一となり、結果として、色ムラやコントラストの低下などの原因となる。
白抜けの原因としては、隔壁で囲まれた領域の形状が複雑になってきており、インクの拡散がこの形状を追従することができないことや、隔壁を形成する工程において基板表面が汚染されており、インクの拡散が妨げられてしまうこと、更には、隔壁の側面の撥インク性が高すぎて、インクがはじかれてしまうこと、等が挙げられる。
上記の混色や白抜けの発生を防止する技術としては、以下に示すような技術が知られている。
例えば、特許文献1には、インクジェット方式よるカラーフィルタ基板の着色層形成技術として、吐出された液体材料がバンクを乗り越えて混合してしまうことを防止するために、バンクにフッ素ガスを用いたプラズマ処理をすることでバンクの撥インク性を高めることが開示されている。
特許文献2には、カラーフィルタやエレクトロルミネッサンス素子と言った光学素子のインクジェット方式による製造方法において、隣接する画素間での混色及び白抜けを防止するため、隔壁を形成した支持基板にドライエッチング処理を行い、表面粗さを付与した上で、フッ素原子を含むガスでプラズマ処理を行い、支持基板表面に親インク性を隔壁表面に撥液性を付与することで、隔壁に囲まれた領域にインクジェット方式によりインクを付与して画素を形成する方法が開示されている。
特許文献3には、インクジェット方式により画素を形成する光学素子の製造方法において、混色、白抜けを防止するため、支持基板上に断面が逆テーパー形状の隔壁を形成し、フッ素処理を行うことで隔壁の上面の撥インク性を高めた後に、隔壁の開口部へインクを付与して画素を形成する方法が開示されている。
特許文献4では、輝度の均一性を向上させることが可能なカラーフィルタ用ブラックマトリクスの製造方法として、透明基板の表面に疎水性有機物からなる遮光層を形成し遮光層をパターニングしてブラックマトリックスを形成し、ブラックマトリックス上面に遮光層を設け、加熱しながら紫外線を照射することで、ブラックマトリクスの側面と基板を親インク処理することで、ブラックマトリックス内へインクを付与してカラーフィルタを形成する方法が開示されている。
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術では、バンク(隔壁)全面にプラズマを照射し、バンク全体を撥インク性にするため、バンクの上面のみならず側面(テーパー部)まで撥インク性になり、バンクパターンのエッジ部において、インクのはじきが起き、充填抜け(白抜け)が発生する。
前記特許文献2に記載の技術では、ドライエッチングにより基板表面の汚染物を除去し、隔壁全面にプラズマを照射することで、隔壁の上面のみならず側面(テーパー部)まで撥インク性を付与する。そのため、基板の汚染によるインク拡散の妨げにはならないが、隔壁のエッジ部が撥インク性に優れることから、インクのはじきが起き、充填抜けが発生する。また、隔壁の表面を粗面化処理しているため、表面エネルギーが低いインク(有機溶剤を含有するインク)では、十分な撥インク性を確保することができない。
前記特許文献3の技術では、露光量の調整で逆テーパー形状の隔壁を形成しているが、隔壁の厚さ、露光時のギャップ、露光量等が微妙に変化するだけで、逆テーパーの角度が変わってしまうことから、制御性が悪く、再現性も悪いので信頼性は低い。また、逆テーパー形状の隔壁の場合、インクがその内部に均一に充填され難く、白抜けの発生の原因となる。
前記特許文献4の技術では、遮光層(マスク)を設けて紫外線照射を行っているため、ブラックマトリックスとのアライメントが必要となる。そのため、位置ずれが発生した時には、隔壁内部が親インク性にならないことや表面が親インク性になってしまい、混色や白抜けの原因となってしまう。また、基板間での再現性も悪いので信頼性が低下するといった問題もある。
特許第3328297号公報 特開2001−343518号公報 特開2002−62422号公報 特開2007−206688号公報
上記問題点を考慮し、本発明は以下の目的を達成することを課題とする。
本発明の目的は、インクジェット法にて有機溶剤を含有するインクを用いて画素を形成するカラーフィルタの製造方法であって、隣接する画素間の混色、及び画素内の色抜けを防止しうるカラーフィルタの製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、隣接する画素間の混色、及び画素内の色抜けのないカラーフィルタを提供することである。
本発明は鋭意検討の結果、隔壁の上面の表面粗さと側面の表面粗さとに差をつけ、隔壁の上面と側面とで撥インク性を制御することで、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の構成は以下の通りである。
<1> 基板上に遮光性樹脂膜を形成する工程(A)と、
工程(A)で形成された遮光性樹脂膜上にマスクを形成する工程(B)と、
工程(B)で形成されたマスクを介してドライエッチングを行い、遮光性樹脂膜をパターニングして隔壁を形成する工程(C)と、
工程(C)で形成された隔壁をマスクと共に粗面化処理する工程(D)と、
工程(D)で粗面化処理されたマスクを除去する工程(E)と、
工程(E)後、基板全面にプラズマ処理を行う工程(F)と、
工程(F)後、基板上の隔壁で囲まれた領域に、インクジェット法により有機溶剤を含有するインクを付与して画素を形成する工程(G)と、
を有するカラーフィルタの製造方法である。
<2> 工程(G)で用いられる有機溶剤を含有するインクの表面エネルギーが40mN/m以下である前記<1>に記載のカラーフィルタの製造方法。
<3> 工程(C)で形成された隔壁の長手方向に直行する断面がテーパー形状である前記<1>又は<2>に記載のカラーフィルタの製造方法。
<4> 工程(B)で形成されたマスクの長手方向に直行する断面がテーパー形状である前記<1>〜<3>のいずれか1に記載のカラーフィルタの製造方法。
<5> 工程(D)における粗面化処理がプラズマ処理である前記<1>〜<4>のいずれか1に記載のカラーフィルタの製造方法。
<6> 工程(E)で行われるプラズマ処理がフッ素原子を含有するガスを用いたプラズマ処理である前記<1>〜<5>のいずれか1に記載のカラーフィルタの製造方法。
<7> 基板上に、上面のRaが1nm〜50nmであり、側面のRaが60nm〜500nmの遮光性の隔壁を有するカラーフィルタ。
上述のように、本発明によれば、インクジェット法を用いて画素を形成するカラーフィルタの製造方法であって、隣接する画素間の混色、及び画素内の色抜けを防止しうるカラーフィルタの製造方法を提供することができる。
また、本発明の他の目的は、隣接する画素間の混色、及び画素内の色抜けのないカラーフィルタ用基板を提供することができる。
(a)〜(f)は、本発明のカラーフィルタの製造方法の工程(A)〜工程(F)を説明するための概略断面図である。
≪カラーフィルタの製造方法≫
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に遮光性樹脂膜を形成する工程(A)と、工程(A)で形成された遮光性樹脂膜上にマスクを形成する工程(B)と、工程(B)で形成されたマスクを介してドライエッチングを行い、遮光性樹脂膜をパターニングして隔壁を形成する工程(C)と、工程(C)で形成された隔壁をマスクと共に粗面化処理する工程(D)と、工程(D)で粗面化処理されたマスクを除去する工程(E)と、工程(E)後、基板全面にプラズマ処理を行う工程(F)と、工程(F)後、基板上の隔壁で囲まれた領域に、インクジェット法により有機溶剤を含有するインクを付与して画素を形成する工程(G)と、を有することを特徴とする。
以下、工程(A)〜(G)について、図1を参照しつつ、詳細に説明する。ここで、図1は、本発明のカラーフィルタの製造方法の工程(A)〜工程(F)を説明するための概略断面図である。
<工程(A)>
工程(A)では、図1(a)に示されるように、基板10上に遮光性樹脂膜20を形成する。
本工程に用いる基板としては、カラーフィルタに適用しうる基板であれば制限なく使用することができるが、透明性や機械的強度等の点から、ガラス基板が好ましい。ガラス基板としては、無アルカリガラスなどを用いればよい。
また、隔壁を形成するための遮光性樹脂膜の形成には、遮光剤を含有する感光性樹脂組成物や非感光性樹脂組成物が用いられる。遮光性付与のために用いられる遮光剤としては、カーボンブラック等が用いられる。このような樹脂組成物として具体的には、例えば、東京応化(株)製のCFPR BK−505や、新日鐵化学(株)製のエスブラック(NSBKシリーズ、BKISKシリーズ)、富士フイルム(株)製のCOLOR MOSAICなどが用いられる。
このような樹脂組成物は、スピンコート法やディップコート法などの塗布法を用い基板上へ塗布され、その後、ベークすることで、基板上に遮光性樹脂膜が形成される。
遮光性樹脂膜の膜厚(乾燥後)は、例えば、1μm〜5μm程度にすればよい。
東京応化(株)製のCFPR BK−505を用いた場合の、遮光性樹脂膜の形成の際の主なプロセスは、以下の通りである。
CFPR BK−505を、スピンコート法により500rpm、20秒間の条件で基板上に塗布し、引き続き、ホットプレートで80℃、3分間ベークを行い、その後、ホットプレートで200℃、15分間加熱処理を行う。
これにより、基板10上に遮光性樹脂膜20が形成される。
<工程(B)>
工程(B)では、図1(b)に示されるように、工程(A)で形成された遮光性樹脂膜20上にマスク30を形成する。
本工程で形成されるマスクは、フォトレジストなどの感光性樹脂組成物を用いて形成される。フォトレジストとして具体的には、例えば、東京応化工業(株)製のOFPRシリーズ、TSMRシリーズや、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製の1500シリーズ、6000シリーズ、10XTなどを用いればよい。
以下、マスクの形成工程について具体的に説明する。
まず、フォトレジストを、工程(A)で形成された遮光性樹脂膜上に、スピンコート法やスプレーコート法などの塗布法を用いて塗布する。次に、形成されたレジスト膜に対しプリベークを行う。このプリベークは、ホットプレートやオーブンなどを用い、使用したフォトレジストに応じた最適温度で行えばよい(例えば、90℃〜120℃)。続いて、レジスト膜に対し、隔壁の形状に応じたパターン露光を行う。このパターン露光は、アライナーやステッパーを用い、使用したフォトレジストに応じた最適な露光量で行えばよい。なお、使用するフォトレジストによっては、露光後のレジスト膜にプリベークを行ってもよい。更に続いて、レジスト膜の現像を行う。現像では、レジスト膜を備えた基板を現像液に浸漬することで行い、その後、純水にてリンスすることが好ましい。現像液は、使用したフォトレジストに応じて選択されればよい。その後、基板を乾燥させ、最後にポストベークを行う。このポストベークは、ホットプレートやオーブンを用い、基板を加熱することで行われる。この際の加熱温度は100℃〜200℃程度であり、1分〜60分間行えばよい。
本工程で形成されるマスクは、図1(b)に示されるように、断面形状(長手方向に直行する断面における形状)がテーパー形状であることが好ましい。このようにテーパー形状にすることで、隔壁の断面形状をテーパー形状にすることが容易になる。
ここで、マスクの断面をテーパー形状にする方法について説明する。
マスクの断面をテーパー形状に形成するためには、上述のパターン露光時において、ステッパーの場合はデフォーカス法を用いる方法、アライナーの場合は露光時のギャップを制御する方法、また、上述のポストベーク時において温度制御する方法が用いられる。
AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製の10XTを用いて、テーパー形状のマスクを形成する際の主なプロセスは、以下の通りである。
まず、10XTをスピンコート法により5000rpm、60秒間の条件で基板(遮光性樹脂膜)上に塗布し、その後、ホットプレート上で120℃にて3分間プリベークを行う。続いて、ユニオン社製のコンタクトアライナーにて400mJ/cmの条件でパターン露光を行う。次に、現像液(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のAZ−300MIF)に5分間浸漬して現像を行い、続いて、純水にてリンスを2分間行う。その後、スピンドライヤーなどで基板に付いた水分を除去する。最後に、テーパー形状を形成するために、ホットプレート上で105℃にて2分間加熱処理(ポストベーク)を行う。
以上の条件のプロセスを行うことで、テーパー角度で約70°のテーパー形状を有するマスクを得ることができる。
<工程(C)>
工程(C)では、図1(c)に示されるように、工程(B)で形成されたマスク30を介してドライエッチングを行い、遮光性樹脂膜をパターニングして隔壁20aを形成する。
本工程におけるドライエッチング法には、例えば、誘導結合型プラズマのドライエッチング装置を用いることができる。以下に、この装置を用いたドライエッチングについて、具体的に説明する。なお、ドライエッチング装置として、誘電結合型プラズマ(Inductive Coupling Plasma:ICP)が適用されたものを1例として挙げたが、本工程の実施に際しては特に本例に限定されるものではなく、例えば、ヘリコン波励起プラズマ(Helicon Wave Plasma:HWP)、電子サイクロトン共鳴プラズマ(Electron Cyclotron resonance Plasma:ECP)、マイクロ波励起表面波プラズマ(Surface Wave Plasma:SWP)などのプラズマ源を用いた方式を適用したドライエッチング装置を使用することも可能である。
誘導結合型プラズマのドライエッチング装置は、チャンバー内へプロセスガス(反応ガス)の供給手段と、チャンバー内部のガスを排気する排気手段と、チャンバー内の圧力調整をする圧力調整手段と、を備え、チャンバー上面の誘電体窓の上(大気側)にループコイル状のアンテナが設置され、そのアンテナには整合器(マッチングBOX)を介してプラズマ発生用のRF電源が接続されている。電源の周波数は、2MHz〜60MHz帯を用いればよく、例えば、13.56MHzを用いればよい。また、RF電源をパルス駆動してもよい。
更にチャンバー内のあるステージには、静電チャック又はクランプが設けられた基板冷却機構が設けられており、そのステージ上に基板を設置する。ステージには整合器(マッチングBOX)を介してバイアス印加用の低周波電源が接続されている。電源の周波数は、200kHz〜60MHzを用いる。例えば、13.56MHzを用いればよい。また、バイアス電源をパルス駆動する場合には、バイアス電源に、パルス駆動手段を設ければよい。更に、バイアス電源をパルス駆動で使用する場合には、アンテナ(プラズマ生成用)の電源とバイアス電源のパルス周期を同期するための手段を用いるようにすればよい。
上記のドライエッチング装置において本工程におけるドライエッチングを行う場合、以下のような具体的な条件にて行うことができる。
即ち、プラズマ発生用の高周波電源より13.56MHzの高周波を100W〜3000Wの電力でアンテナに印加し、アンテナから誘電体窓を介してチャンバー内に電磁波を放射して、チャンバー内に高密度のプラズマを生成させる。このとき、ステージには、バイアス印加用の高周波電源より13.56MHzの高周波を50W〜500Wの電力で印加する。
なお、この条件の際のドライエッチングの処理時間は、工程(A)で形成された遮光性樹脂膜の膜厚とエッチングレートから決定すればよい。
本工程におけるドライエッチングには、プロセスガスとして、酸素(O)を用いることが好ましい。また、プロセスガスとしては、不活性ガスである、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、キセノン(Xe)と、酸素と(O)の混合ガスであってもよく、フッ素系ガスである六フッ化硫黄(SF)、四フッ化炭素(CF)、三フッ化窒素(NF)、三フッ化メタン(CHF)、ヘキサフルオロエタン(C)、オクタフルオロシクロブタン(C)などを酸素(O)と混合したものであってもよいし、酸素とフッ素系ガスと不活性ガスとの混合ガスを用いてもよい。
また、ガス流量は、10sccm〜1000sccm程度が好ましい。また、ガスの圧力は、0.01Pa〜13Paの範囲が好ましい。
本工程で形成される隔壁は、図1(c)に示されるように、断面形状(長手方向に直行する断面における形状)がテーパー形状であることが好ましい。このように隔壁の断面がテーパー形状であることで、工程(D)で粗面化処理する際に、隔壁20aの側面に確実に凹凸を形成することが可能となる。
ここで、隔壁の断面をテーパー形状にする方法について説明する。
隔壁の断面をテーパー形状にする方法としては、ドライエッチングに用いるプロセスガスに保護膜を形成するガス(デポガス)を添加する方法や、マスクの形状を転写する方法がある。
マスクの形状を転写する方法は、図1(c)に示されるように、遮光性樹脂膜上にテーパー形状の断面を有するマスクが形成されている場合に適用される方法である。この方法を用いる場合は、マスクと遮光性樹脂膜との選択比が1以下になる条件でエッチングを行うことで、マスクのテーパー形状を遮光性樹脂膜(隔壁)へ転写することができる。
本工程で行われるドライエッチングの主なプロセスは以下の通りである。
即ち、酸素ガスを100sccm流し、1.0Paに圧力を調圧する。プラズマ生成用のRF電源の出力を1000W、基板に印加するバイアスの出力を300Wとする。この際、遮光性樹脂膜及びマスクのエッチングレートは、約1.0μm/minとなるので、遮光性樹脂膜の膜厚に応じた時間エッチングを行い、更に、オーバーエッチングをエッチングの処理時間の5%〜50%の範囲で行う。このように、オーバーエッチングを行うことで、残渣なくエッチングを行うことができる。
<工程(D)>
工程(D)では、図1(d)に示されるように、工程(C)で形成された隔壁20aをマスク30と共に粗面化処理する。
本工程における粗面化処理には、プラズマ処理法やサンドブラスト法などが用いられる。特に、工程(C)での遮光性樹脂膜のドライエッチング後、同様の装置でそのまま粗面化処理が行えるといった点から、粗面化処理はプラズマ処理にて行うことが望ましい。
プラズマ処理で行われる粗面化処理には、酸素や、不活性ガスであるアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、キセノン(Xe)、更には、酸素と不活性ガスとの混合ガスを用いればよい。
ガスの流量は10sccm〜1000sccm程度であることが好ましい。
また、ガスの圧力は0.01Pa〜10Paに制御されることが好ましい。
更に、プラズマ生成用のRF電源の出力は100W〜2kW程度、基板に印加するバイアスの出力は0〜300Wであればよく、処理時間は10sec〜300sec程度が好ましい。
本工程で行われるプラズマ処理による粗面化処理の主なプロセスは以下の通りである。
即ち、アルゴンガスを100sccm流し、0.5Paに圧力を調圧し、プラズマ生成用のRF電源の出力を300W、基板に印加するバイアスのRF電源の出力を50Wとする。処理時間は10秒〜120秒程度であればよく、例えば、60秒間でよい。
このようなプロセスにより、隔壁20aの側面にRa:100nm程度の凹凸を形成することができる。上記の条件のうち、バイアスのRF電源の出力を調整することで、隔壁20aの側面にRaを、60nm〜500nmの範囲に調整することができる。
<工程(E)>
工程(E)では、図1(e)に示されるように、工程(D)で粗面化処理されたマスク30を除去する。
本工程で採用されるマスクの除去には、酸素プラズマによるアッシングや、専用の剥離液を用いることができる。
剥離液としては、例えば、東京応化工業(株)製のSTRIPPER−502Aや、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のAZリムーバー100などを用いればよい。
本工程で行われるマスクの除去の主なプロセス以下の通りである。
即ち、工程(D)を経た後の基板を、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製のAZリムーバー100に3分程度浸漬し、その後、純水によるリンスを2分程度行い、続いて、スピンドライヤーで基板の水分を除去する。
このようなプロセスにより、図1(e)に示されるように、隔壁20a上に残存したマスク30が除去される。
<工程(F)>
工程(F)では、図1(f)に示されるように、工程(E)後、基板全面にプラズマ処理を行う。
ここで、本工程ではプラズマ処理を行うが、その前工程として、酸素プラズマを用いて、基板のクリーニング処理を行ってもよい。このクリーニング処理により、遮光性樹脂膜のエッチング残渣を除去することができる。このクリーニング処理は、前記工程(C)で用いたドライエッチング装置と同様の装置で行えばよい。その際には、酸素ガスを20sccm、真空度を3Pa程度に制御し、プラズマ生成用RFの出力を500Wとして、10sec〜60sec程度処理すればよい。
本工程で行われるプラズマ処理は、前記工程(C)で用いたドライエッチング装置と同様の装置を用いればよい。このように同じ装置により、複数の工程での処理を行うことができることから、製造コストの低下効果を得ることができる。
本工程におけるプラズマ処理には、フッ素原子を含むガスを用いることが好ましい。例えば、六フッ化硫黄(SF)、四フッ化炭素(CF)、三フッ化窒素(NF)、三フッ化メタン(CHF)、ヘキサフルオロエタン(C)、オクタフルオロシクロブタン(C)などを用いればよい。また、フッ素原子を含むガスと、酸素や、不活性ガスである、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、キセノン(Xe)と、の混合ガスを用いることもできる。
また、ガス流量は10sccm〜1000sccm程度であり、ガスの圧力は0.01Pa〜13Paの範囲に調圧されることが好ましい。
また。プラズマ生成用RF電源の出力は100W〜1kWの範囲であり、基板に印加するバイアスの出力は0〜300Wであり、処理時間は10秒〜300秒程度が好ましい。
本工程で行われるプラズマ処理の主なプロセスは以下の通りである。
即ち、フッ素ガスとして四フッ化炭素(CF)を20sccmで、圧力を0.6Paに調圧する。プラズマ生成用のRF電源の出力を500Wにし、基板に印加するバイアスの出力を50Wにし、60秒間処理を行う。
以上のプラズマ処理を行うことで、隔壁の表面(上面及び側面)にはフッ素原子を含有する被膜を形成することができる。
本工程のプラズマ処理により、隔壁の表面(上面及び側面)にはフッ素原子を含有する被膜が形成されることで、隔壁の上面と側面に撥液性を付与することができる。これと同時に、基板がガラス基板である場合には、そのガラス基板表面を処理前よりも親水性とすることができる。
<工程(G)>
工程(G)では、工程(F)後、基板上の隔壁で囲まれた領域に、インクジェット法により有機溶剤を含有するインクを付与して画素を形成する。
本工程で用いられるインクとしては、有機溶剤を含有するものであれば、カラーフィルタにおける画素を形成する際に用いられる、R(赤)、G(緑)、B(青)のインクを用いればよい。
本工程で用いられるインクは有機溶剤を含有するものであるが、粘度や表面エネルギーを調整するため、また、インク中に着色剤である顔料を分散させるために、複数の溶剤を組み合わせたものであってもよい。
インクに含まれる有機溶剤は、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、MEKなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミンなどのアミド類その他、グリコール類や炭化水素系溶剤(脂肪族炭化水素溶剤)等がある。
これらの有機溶剤は、全インク質量に対して、好ましくは、5質量%〜50質量%の範囲、より好ましくは10質量%〜30質量%の範囲で含まれていることが好ましい。
本工程に用いるインクは、有機溶剤のほか、所望の色相を得るための着色剤、硬化成分を含むことが好ましい。
着色剤としては、透過濃度や耐光性、基板への密着性、その他の諸耐性が要求されるため、有機顔料を用いることが好ましい。具体的には、C.I.Pigment Blue、C.I.Pigment Violet、C.I.Pigment Red、C.I.Pigment Yellow、C.I.Pigment Greenなどを使用することができる。より具体的には、特開2007−187884号公報の段落〔0016〕に記載の有機顔料を用いることができる。なお、これらの顔料は、同公報の段落〔0017〕に記載のように組み合わせて使用してもよい。
また、顔料として、カーボンブラック、C.I.ピグメント・ブラック1、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン、黒鉛等を用いることもできる。
このような顔料の含有量としては、特に限定されるものではないが、所望の色相、濃度が得るという観点から、インク全質量に対して5質量%〜70質量%が好ましく、10質量%〜60質量%がより好ましく、15質量%〜50質量%が特に好ましい。
また、顔料の分散安定性を得るために、インクには顔料分散剤を添加することが望ましい。分散剤として、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩などを用いることができる。具体的には、特開2007−187884号公報の段落〔0020〕〜〔0023〕に記載の顔料分散剤等が用いられ、このような顔料分散剤を同公報の段落〔0020〕に記載の範囲で用いることができる。
硬化成分としては、モノマー、オリゴマーを用いる。このモノマー、オリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を1個以上有するモノマー、オリゴマーが好ましいものとして挙げられ、具体的には、特開2007−187884号公報の段落〔0024〕〜〔0025〕に記載のモノマーや、オリゴマーが用いられる。これらのモノマー、オリゴマーは、インク中、同公報の段落〔0026〕に記載の範囲で用いることができる。
また、インクは、硬化成分を効率よく硬化させるために、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。この光重合開始剤として具体的には、特開2007−187884号公報の段落〔0029〕に記載の化合物が用いられ、このような光重合開始剤は同公報の段落〔0030〕に記載の範囲で用いることができる。
更に、本工程に用いるインクは、公知のインクに添加される種々の添加剤を含んでいてもよい。
上記の各成分の種類、含有量を適宜、調整することで、インクの表面エネルギーを制御することができる。
本工程で用いるインクの表面エネルギーは、40mN/m以下が好ましく、20mN/m〜40mN/mがより好ましい。
また、本工程で用いられるインクジェットの方式としては、サーマル方式やピエゾ方式がある。サーマル方式は、インクを加熱し泡を形成することでインクを吐出する方式であり、ピエゾ方式は、アクチュエータを用いてインクを吐出する方式である。サーマル方式は、上記のようにインクを加熱するため、インクへのダメージや組成変化を与えてしまうことから、本工程では、インクを加熱することのない、ピエゾ方式を用いることが好ましい。
インクジェット法を用いる場合には、ノズルから安定してインクを吐出する必要がある。このため、インクはインク吐出に適した物性になっている必要がある。具体的には、粘度が2mPa・s〜20mPa・sで、表面エネルギーが20mN/m〜40mN/mの範囲であることが望ましい。この範囲であれば、安定してノズルへインクを供給することができ、ノズル出口のインクのメニスカスも安定する。また、インクを吐出するために必要な吐出エネルギーも高くならないので、アクチュエータのピエゾ素子の能力を超えることなく、通常のピエゾ素子を用いることができる。
本工程で用いられインクジェット装置としては、FUJIFILM Dimatix社製のマテリアルプリンター等が挙げられる。
上述のように、基板上の隔壁で囲まれた領域に、インクジェット法によりインクが付与された後は、熱処理、活性光線の照射などの必要な処理が施され、インクの乾燥・硬化がなされて、画素が形成される。
本発明のカラーフィルタの製造方法では、前述のように、有機溶剤を含有するインク(以下、適宜、溶剤系インクと称する。)を用いている。このような有機溶媒がインクの主成分である溶媒系インクでは、液体の表面エネルギーが水よりも低い。例えば、水の表面エネルギーが70mN/mであるのに対し、溶媒系のインクでは表面エネルギーが概ね40mN/m以下となる。
工程(F)後における隔壁の上面は、フッ素原子を含有する被膜を有しており、水に対しては撥液性を示すが、溶媒系のインクに対しては水よりも撥液性の程度は低下してしまう。また、隔壁の側面は、工程(D)により粗面化されており、更に、工程(F)により形成されたフッ素原子を含有する被膜を有することから、その撥液性の程度がより一層低下する(隔壁の上面よりも隔壁の側面の方が相対的に親液性となる。)。
つまり、有機溶剤を含有するインク(溶媒系インク)などの低表面張力液体(40mN/m以下の液体)に対しての撥液性は、以下の関係となる。
基板表面 ≦ 隔壁の側面 < 隔壁の上面
このように、本発明のカラーフィルタの製造方法において形成された、基板表面及び隔壁の側面は、隔壁の上面よりも溶媒系インクに対する濡れ性がよいため、工程(G)において、インクジェット法にて溶媒系インクを滴下された際に、隔壁のエッジ部まで十分に溶剤系インクを拡散することができる。その結果、画素内部に発生する隙間をなくすことができ、白抜けを防止することが可能となる。
一方、隔壁の上面は、フッ素原子を含有する被膜の存在により溶媒系インクに対する十分な撥液性を示していることから、インクが隔壁を越えてあふれてしまうこと防止することができる。特に、隔壁の側面と上面との間に撥液性の差があることで、インクが隔壁を越えてあふれることを効果的に抑制することができる。そのため、隣接する異なる色の画素間における混色を防止することが可能となる。
例えば、表面張力が25mN/m程度の液体に対しては、工程(F)後における隔壁の上面のように、フッ素原子を含有する被膜を有するものの表面が平滑な場合には、接触角は60°程度となるが、工程(F)後における隔壁の側面のように、粗面化により微細な凹凸が形成されている場合には、Cassieモデルにあるように40°以下の接触角を示すことになる。
このような接触角の変化は、微小な凹凸のサイズにも影響を受ける。本発明においては、上述のような、白抜け、及び混色を防止するために、工程(F)後における隔壁の側面におけるRaは60nm〜500nm程度であることが好ましい。Raが60nm未満の場合には、表面凹凸による効果が少なく、隔壁の上面と同等の撥液性能となってしまう。また、Raが500nmを超える場合は、側面の直線部分までもがギザギザになってしまう(ラインエッジラフネスが悪い)ため、遮光性が悪化する。本発明においては、100nm程度が好ましい。
≪カラーフィルタ≫
本発明のカラーフィルタは、基板上に、上面のRaが1nm〜50nmであり、側面のRaが60nm〜500nmの遮光性の隔壁を有することを特徴とする。
このように、隔壁の上面は平滑性が高く、且つ、隔壁の側面はある一定の表面粗さを有することから、画素をインクジェット法により形成する場合であっても、インクが隔壁を越えてあふれてしまうことを抑止することができ、また、インクを隔壁のエッジ部まで均一に拡散させることができる。その結果、本発明のカラーフィルタは、隣接する画素間の混色、及び画素内の色抜けのないカラーフィルタとなる。
このようなカラーフィルタは、前述の本発明のカラーフィルタの製造方法により製造することができる。
なお、本発明において、隔壁の上面及び側面におけるRaは、原子間力顕微鏡(AFM)や走査型トンネル顕微鏡(STM)などを用いて測定した値である。
10 基板
20 遮光性樹脂膜
20a 隔壁
30 マスク

Claims (7)

  1. 基板上に遮光性樹脂膜を形成する工程(A)と、
    工程(A)で形成された遮光性樹脂膜上にマスクを形成する工程(B)と、
    工程(B)で形成されたマスクを介してドライエッチングを行い、遮光性樹脂膜をパターニングして隔壁を形成する工程(C)と、
    工程(C)で形成された隔壁をマスクと共に粗面化処理する工程(D)と、
    工程(D)で粗面化処理されたマスクを除去する工程(E)と、
    工程(E)後、基板全面にプラズマ処理を行う工程(F)と、
    工程(F)後、基板上の隔壁で囲まれた領域に、インクジェット法により有機溶剤を含有するインクを付与して画素を形成する工程(G)と、
    を有するカラーフィルタの製造方法。
  2. 工程(G)で用いられる有機溶剤を含有するインクの表面エネルギーが40mN/m以下である請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  3. 工程(C)で形成された隔壁の長手方向に直行する断面がテーパー形状である請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
  4. 工程(B)で形成されたマスクの長手方向に直行する断面がテーパー形状である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  5. 工程(D)における粗面化処理がプラズマ処理である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  6. 工程(E)で行われるプラズマ処理がフッ素原子を含有するガスを用いたプラズマ処理である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  7. 基板上に、上面のRaが1nm〜50nmであり、側面のRaが60nm〜500nmの遮光性の隔壁を有するカラーフィルタ。
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