JP2010216489A - メカニカルシール装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の静止形アウトサイドシールに構成されたメカニカルシール装置は、静止側密封要素の外周部には、密封面側に回転軸の軸と直交するように撥水性の材料で形成された円板を、シールカバー側にシールカバー側面に弾性的に押圧するリップシールを設け、シールカバーの内周面と対峙するように延びた静止側密封要素の円環部分に軸方向に摺動して作動する作動用Oリングを設け、リップシールと作動用Oリングとで遮蔽された空間内に位置して、静止側密封要素を密封面側に付勢する付勢部材および静止側密封要素の軸方向移動のみを許容する係止ピンを設けることを特徴としている。
【選択図】図1
Description
ここで、静止形というのは、スプリングなどを内蔵するシールリングが回転しない形式をいい、また、アウトサイド(形)というのは、摺動面(密封面)の内周から外周方向へ向かって漏れようとする流体をシールする形式をいう。
静止側密封要素52は、シールカバー50にドライブピン55により軸方向にのみ移動可能に支持されており、スプリング56で回転側密封要素53側に押圧されている。
回転側密封要素53は、カラー57にノックピン58を介して保持され、カラー57はセットスクリュー59で回転軸51に固定されている。
この従来技術1は、静止側密封要素の内周面と回転軸の外周面との間隙を大きくして、スラリーを含む被密封流体が固形化して静止側密封要素の内周面に付着しても洗浄により洗い落とすことを可能にすることで固形物の目詰まりを防止するというものである。
この従来技術2では、回転側密封要素の密封端面の径方向幅(密封端面幅)を0.2〜1.0mmの程度の微小としておくことにより、両密封端面の接触圧(面圧)が高くなることと相俟って、密封端面間への高粘度,凝固性流体や微粒固形成分の侵入,噛み込みを防止することができるようにしたものである。
また、従来技術2は、いわゆるナイフエッジシールといわれるもので、密封端面幅を微小としておくことにより、両密封端面の面圧が高くなり、密封端面間への高粘度,凝固性流体や微粒固形成分の侵入,噛み込みを防止する効果が期待できるものの、密封端面に漏出した被密封流体が付着し易く、かつ、摺動による熱が発散しにくいという構造上の問題、および、長時間の運転において、漏出した被密封流体が密封端面近傍の部材表面に付着して団子状になった場合の対策がなされていないという問題があった。
また、本発明は、密封面周辺から漏出した被密封流体を落ち易くするとともに摺動熱の発散を良好にした静止形アウトサイドシールに構成されたメカニカルシール装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、高面圧での密封方式とすることにより密封端面間の液膜を薄くして漏出量を少なくした静止形アウトサイドシールに構成されたメカニカルシール装置を提供することを目的とする。
さらにまた、本発明は、静止側密封要素とシールカバーのシール部に漏出した被密封流体が付着しにくくした静止形アウトサイドシールに構成されたメカニカルシール装置を提供することを目的とする。
第1の特徴により、密封面から漏出する被密封流体は、静止側密封要素の外周部の密封面側に位置する円板により遮られるので係止ピンおよび付勢部材のところまでは回り込みにくくなり、漏出した被密封流体が円板を回り込んだとしても、リップシールでシールされるので、係止ピンおよび付勢部材のところに浸入することが防止される。したがって、長時間の運転において、漏出した被密封流体が密封面近傍の部材表面に付着して団子状になるような場合においても、密封要素の正常な動作が妨げられることはない。
第3の特徴により、密封面における摺動熱の発散を良好にすることができる。
第4の特徴により、密封面の液膜の厚さがごく小さくなり、漏出する被密封流体の量を少なく抑えることができる。
第5の特徴により、密封面の外周側部分に大きな開口空間を形成することができ、密封面から漏出した被密封流体が下方に落下し易くなる。
第6の特徴により、密封面から漏出した被密封流体はメイティングリングおよびシールリングの密封面近傍に付着しにくくなる。
第7の特徴により、作動用Oリング近傍において漏出した被密封流体の付着がしにくくなり、漏出した被密封流体の固着による作動性の低下を防止できるので、密封性の低下も防止できることとなる。
第8の特徴により、密封面からの漏出した被密封流体が付近に付着して固着するのを防止することができる。
(1)静止側密封要素の外周部には、密封面側に回転軸の軸と直交するように撥水性の材料で形成された円板を、シールカバー側にシールカバー側面に弾性的に押圧するリップシールを設け、シールカバーの内周面と対峙するように延びた静止側密封要素の円環部分に軸方向に摺動して作動する作動用Oリングを設け、リップシールと作動用Oリングとで遮蔽された空間内に位置して、静止側密封要素を密封面側に付勢する付勢部材および静止側密封要素の軸方向移動のみを許容する係止ピンを設けることにより、長時間の運転において、漏出した被密封流体が密封面近傍の部材表面に付着して団子状になるような場合においても、密封要素の正常な動作が妨げられることはないので、軸方向振動の追随性が優れ、密封面の摩耗を抑えることができ、密封面の面幅の拡大も防止することができ、長期間にわたる密封性を保持することができる。
(2)静止側密封要素または回転側密封要素の密封面側に形成されるノーズの高さを3〜6mmとすることにより、密封面における摺動熱の発散を良好にすることができる。
(3)静止側密封要素と回転側密封要素との密封面の幅が0.5±0.2mmの範囲内に形成することにより、密封面の液膜の厚さがごく小さくなり、漏出する被密封流体の量を少なく抑えることができる。
(5)静止側密封要素および回転側密封要素の密封面側の外周側にそれぞれ形成された各テーパ面に撥水性材料のコーティングを施すことにより、密封面から漏出した被密封流体がメイティングリングおよびシールリングの密封面近傍に付着することを防止することができる。
(6)静止側密封要素の円環部分に設けられた作動用Oリングの表面または作動用Oリングと摺接するシールカバー内周面に撥水性材料のコーティングを施すことにより、作動用Oリング近傍において漏出した被密封流体の付着がしにくくなり、漏出した被密封流体の固着による作動性の低下を防止できるので、密封性の低下も防止できる。
(7)密封面の外周側には遮蔽物を設けないことにより、密封面から漏出した被密封流体が付近に付着して固着するのを防止することができる。
図1において、参照符号1は、高粘度の被密封流体または大気に接触すると粘度が増して固化する被密封流体を扱う機器、例えば、ポンプ等における軸封部のハウジング、参照符号2はハウジング1に装着されるシールカバーで、図中左側が機内側、図中右側が大気側(機外側)である。
回転軸4の外周面には断面L字状をした円環状のカラー9がそのフランジ部10に螺合したセットスクリュー11により固定されている。回転軸4の外周面とカラー9の外周面との間にはOリング12が装着されている。
密封面8と反対側に位置するシールリング16の後部には、図1に示すようにシールカバー2の内周面と対峙するように延びた円環部分20が設けられ、該円環部分20には、シールカバー2の内周面と円環部分20の外周面との間で軸方向に摺動して作動する作動用Oリング21が設けられている。
また、ノーズ26はメイティングリングとの密封面に向けて断面積が小さくなっていき、密封端面27の幅は0.5±0.2mmの範囲に設定している。そのため、密封面8の面圧を高くすることができ、例えば、面圧を1MPaを越える高面圧にすることも可能である。このように、密封面8の面圧を高圧とすることにより、密封面8の液膜の厚さがごく小さくなり、漏出した被密封流体の量を少なく抑えることができる。
このように、シールリング16のテーパ面28とメイティングリング13のテーパ面24とは密封面8を基準として対称に位置することから、テーパ面24とテーパ面28とにより形成される密封面8の外周側部分の開口部は60〜90°の大きな開口空間を形成することになる。このため、密封面8からの漏出した被密封流体は下方に落下し易くなる。
また、メイティングリング13のテーパ面24およびシールリング16のテーパ面28には、PTFEなどの撥水性のある材料をコーティングする。これにより、密封面8からの漏出した被密封流体がメイティングリング13およびシールリング16の密封面8近傍に付着しにくくなる。
さらに、密封面8の外周側にはメカニカルシール部品の遮蔽物を一切設けず、全周にわたって開口させることが望ましい。
2 シールカバー
3 ボルト
4 回転軸
5 Oリング
6 回転側密封要素
7 静止側密封要素
8 密封面
9 カラー
10 フランジ部
11 セットスクリュー
12 Oリング
13 メイティングリング
14 ノックピン
15 Oリング
16 シールリング
17 係止ピン
18 スプリング穴
19 コイルスプリング
20 円環部分
21 作動用Oリング
22 リテーナ
23 密封端面
24 テーパ面
25 リテーナ
26 ノーズ
27 密封端面
28 テーパ面
29 環状溝
30 円板
31 リップシール
Claims (8)
- シールカバーとその内周に挿通された回転軸との間に静止側密封要素と回転側密封要素とが互いに密接摺動される接触式メカニカルシール構造を有する静止形アウトサイドシールに構成されたメカニカルシール装置において、静止側密封要素の外周部には、密封面側に回転軸の軸と直交するように撥水性の材料で形成された円板を、シールカバー側にシールカバー側面に弾性的に押圧するリップシールを設け、シールカバーの内周面と対峙するように延びた静止側密封要素の円環部分に軸方向に摺動して作動する作動用Oリングを設け、リップシールと作動用Oリングとで遮蔽された空間内に位置して、静止側密封要素を密封面側に付勢する付勢部材および静止側密封要素の軸方向移動のみを許容する係止ピンを設けることを特徴とするメカニカルシール装置。
- 静止側密封要素を密封面側に付勢する付勢部材をスプリングにより形成し、該スプリングをシールカバーに形成されたスプリング穴内に装着し、静止側密封要素の軸方向移動のみを許容する係止ピンをシールカバーにねじ込みまたは打ち込みにより固定することを特徴とする請求項1記載のメカニカルシール装置。
- 静止側密封要素または回転側密封要素の密封面側に形成されるノーズの高さが3〜6mmであることを特徴とする請求項1又は2記載のメカニカルシール装置。
- 静止側密封要素と回転側密封要素との密封面の幅が0.5±0.2mmの範囲内に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のメカニカルシール装置。
- 静止側密封要素および回転側密封要素の密封面側の外周側にそれぞれテーパ面を形成し、各テーパ面の角度を密封面を基準として30〜45°の範囲に形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のメカニカルシール装置。
- 静止側密封要素および回転側密封要素の密封面側の外周側にそれぞれ形成された各テーパ面に撥水性材料のコーティングを施すことを特徴とする請求項5記載のメカニカルシール装置。
- 静止側密封要素の円環部分に設けられた作動用Oリングの表面または作動用Oリングと摺接するシールカバー内周面に撥水性材料のコーティングを施すことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のメカニカルシール装置。
- 密封面の外周側には遮蔽物を設けないことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のメカニカルシール装置。
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