JP2010216302A - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】両渦巻体が互いに接することによって生じる接触線の壁根元付近への応力の集中を分散することで、スクロールの壁厚を大きくすることなく、高効率で流体を圧縮することが可能なスクロール型圧縮機を提供する。
【解決手段】スクロール型圧縮機30は、固定スクロール40と、固定スクロール40に噛み合いながら旋回されて圧縮室44を形成する可動スクロール42と、回転シャフト60から偏心した駆動ピン66を中心としてブッシュ72をスイング運動させることにより、可動スクロール42を旋回半径可変に旋回させるスイングリンク機構73とを備え、固定スクロール40及び可動スクロール42が噛み合う噛合面は、インボリュート曲線に沿うとともに噛合面同士を接線350で線接触させ、該接線350を旋回軸に対して傾斜させる。
【選択図】図9

Description

本発明は、可動スクロールの旋回半径を可変にするスイングリンク機構を備えたスクロール型圧縮機に関する。
従来より、渦巻状の固定ラップを有する固定スクロールと、前記固定ラップに噛み合う渦巻状の旋回ラップを有する旋回スクロールとを備えるスクロール型圧縮機は、高効率、低振動、低騒音、高速回転が可能である等の理由により、空調装置や真空ポンプ等の幅広い分野で使用されている。この種のスクロール型圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールとの間で圧縮室を形成し、モータやエンジン等の駆動源で回転駆動軸を回転駆動し、該回転駆動軸の軸心から偏心して設けられた駆動ピンを介して旋回スクロールを旋回させることにより、該圧縮室を外周部位から徐々に中央部位へと移動させることで流体を圧縮する。
このような構造を有するスクロール型圧縮機では、圧縮室を形成する渦巻状のスクロール部のプロファイルが、該スクロール型圧縮機の効率や信頼性を決定付ける重要な因子となっており、とりわけ、渦巻状スクロールの中央端部のプロファイルは圧縮効率にもっとも多くの影響を与える。換言するならば、スクロール型圧縮機においては、いわゆるトップクリアランス容積と呼ばれる、略大気圧時の中央圧縮室(以降、圧縮室と記載する。)の最小容積に相当する体積の流体は、吐出口から排出することが出来ず、より低圧側の圧縮室に流入してしまい、再圧縮時に動力損失が生じる。この動力損失を減少させるためには、スクロールのプロファイルにおけるインボリュート曲線の比率を出来得る限り高めなければならない。
しかしながら、スクロールの中心側までインボリュート曲線に沿ってスクロール壁を形成した場合、スクロール壁の中央端部の壁厚を大きくすることは困難であり、前記壁厚を薄くすればスクロールの旋回に伴う多大な回転モーメントを受け止めることが出来ないほどに脆弱なものになってしまう。
このため、従来より、前記スクロール壁の中央端部付近の強度を大きくするために多数の技術的思想が提案されてきた。
例えば、特許文献1は発明「スクロール型圧縮機」を開示するものであるが、それを構成する「渦巻体」の壁厚が一定厚の場合には強度が劣り、且つこれを克服するために大型化せざるを得ない欠点に着目し、両渦巻体の内外壁をインボリュート曲線によって形成するとともに、外壁を構成するインボリュート曲線を任意の伸開角を起点とし、内壁を構成するインボリュート曲線を前記伸開角より180度進んだ伸開角を起点とし、且つ両壁の起点間を二つの円弧によって接続する渦巻体を開示している。
特許文献2は発明「回転式流体機械」を開示するものであり、スクロールをインボリュート曲線を用いた渦巻体で構成し、渦巻体の高さを高くすることにより外形を大きくすることなく圧縮室を大容量化した技術的思想を開示している。
特開昭59−58187号公報 特開昭60−249688号公報
しかしながら、前記特許文献1、2に開示されているスクロール型圧縮機では、前記スクロールの中央端部は、圧縮室の壁としての機能を有し、すなわち、常に高圧流体に曝される部位であるため、該流体の圧力やスクロールの押し付け力及びその反力等の応力集中が発生する。一層詳細には、前記した応力集中は、スクロールの噛合する接触線の内、スクロール壁と基板との当接する部位、すなわち、接触線のある壁の根元付近において最大となる。
このため、前記スクロールの中央端部は、スクロールのほかの部位と比較して強度を大きくする必要があるが、スクロールの中央端部付近では、対向するスクロールとの噛合性も考慮しなければならないため、上記特許文献1及び2の構成のように、強度のみを重視して壁厚を大きくした場合、圧縮機の小型化を妨げるばかりでなく、前記接触線のある壁の根元付近において、より大きなモーメントに起因する応力集中が生ずる点がある。
本発明は上記従来の課題を考慮してなされたものであり、両渦巻体が互いに接することによって生じる接触線のある壁の根元付近への応力の集中を分散することで、スクロールの壁厚を大きくすることなく、従って大型化を回避しながら高効率で流体を圧縮することが可能なスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
本願の請求項1で特定される発明は、渦巻壁中央部を、外側壁インボリュート曲線と、内側壁インボリュート曲線と、から形成した一組の互いに噛合するスクロール部材を具備するスクロール型圧縮機において、一方のスクロール部材の外側壁インボリュート曲線のインボリュート開始点から所定の範囲にわたって根元側インボリュート曲線に対して上端側インボリュート曲線の位置をオフセットさせ、前記一方のスクロール部材上端に向かって壁厚が漸減するように外側壁に傾斜部を形成し、他方のスクロール部材の内側壁インボリュート曲線のインボリュート開始点から所定範囲にわたって上端側インボリュート曲線に対して根元側インボリュート曲線の位置をオフセットさせ、前記他方のスクロール部材の根元に向かって壁厚が漸増するように内側壁に傾斜部を形成し、前記一方のスクロール部材の外側壁の傾斜部と前記他方のスクロール部材の内側壁の傾斜部とを線接触させることを特徴とする。
前記請求項1の発明によれば、互いに噛合する一方のスクロール部材と、他方のスクロール部材の渦巻壁の中央部において、前記一方のスクロール部材の外側壁の傾斜部と、前記他方のスクロール部材の内側壁の傾斜部とを互いに線接触させるため、前記線接触による接触線は従来技術のように鉛直方向に延在する構成に代えて、前記傾斜部に沿って斜め方向に延在する。このために前記接触線に作用する噛合時の押圧力がスクロール部材の厚さ方向に傾斜した壁に加わるために前記一方と他方のスクロール部材の根元部に作用する応力を低減することが可能となる。
本願の請求項2で特定される発明は、請求項1記載のスクロール型圧縮機において、前記一方と他方のスクロール部材のそれぞれの根元側インボリュート曲線の基礎円位置と上端側インボリュート曲線の基礎円位置とをオフセットすることで、根元側及び上端側のインボリュート曲線の位置をオフセットさせることを特徴とする。
前記請求項2の発明によれば、一方と他方のスクロール部材のそれぞれの根元側インボリュート曲線の基礎円位置と、上端側インボリュート曲線の基礎円位置とのオフセット量を変更することで、前記根元側インボリュート曲線と上端側インボリュート曲線とのオフセット量に応じて前記傾斜部の傾斜角を適宜変更することが可能である。この結果、スクロール型圧縮機を構成するスクロール部材の根元部に対する応力の分散を所望のように低減することが可能となる。
本願の請求項3で特定される発明は、請求項1又は2に記載のスクロール型圧縮機において、前記一方と他方のスクロール部材のそれぞれの前記線接触の接触線に関し、根元側を始点とし、上端側を終点とし、根元側始点を通過して前記それぞれのスクロール部材の高さ方向に垂直な仮想断面を想定したとき、接触線の上端側の終点は、前記仮想断面上の根元側始点とは異なる位置にあることを特徴とする。
前記請求項3の発明によれば、一方のスクロール部材と他方のスクロール部材の接触線がそれぞれのスクロール部材の壁厚方向だけではなく、その壁に沿う方向にも傾斜しているため、前記接触線に係る壁に加わる押圧力により生起する根元部への応力を前記壁に沿う方向に分散させることが可能となる。
本願の請求項4で特定される発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のスクロール型圧縮機において、前記一方のスクロール部材の外側壁の傾斜部と、前記他方のスクロール部材の内側壁の傾斜部をそれぞれ根元側インボリュート曲線の開始点及び上端側インボリュート曲線の開始点を越えて該一方と他方のスクロール部材の始端側に設けることを特徴とする。
前記請求項4の発明によれば、一方のスクロール部材と他方のスクロール部材の傾斜部をそれぞれのインボリュート曲線の開始点を越えて始端側に設けたので、インボリュート曲線の開始点以前の傾斜部とインボリュート曲線の開始点以降に形成されるスクロール部材の鉛直壁部との間を円滑に連続して接続することが可能となり、これによって前記一方と他方のスクロール部材によって形成される流体の圧縮室のデッドボリュームを低減させることができる。しかも、根元部に対してもその応力集中を回避することができる。
本願の請求項5で特定される発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のスクロール型圧縮機において、前記スクロール型圧縮機は、固定スクロールと可動スクロールの噛合部位同士を線接触させる位置である接触線と前記可動スクロールの旋回軸とが、ねじれの位置関係となっていることを特徴とする。
本願の請求項5の発明によれば、接触線は旋回軸に対してばかりでなくスクロール壁端部を形成するインボリュート曲線の接線方向に対しても傾斜するため、応力をより広範囲に分散することが出来る。従って、接触線の壁根元付近に集中する応力を、さらに一層低減される。
本発明によれば、スクロール同士の噛合部位を旋回軸に対して傾斜させたことにより、モーメントの一部の方向をスクロール壁の摺動力の伝達方向へと変換可能となり、スクロール壁の壁根元付近への応力集中の低減を図ることが可能となり、スクロール壁本体の厚みを大きくすることなく、材質に応じた適正な強度を確保可能となる。すなわち、用途、仕様に応じた圧縮比を、不必要に外径を大きくすることなく達成可能であり、且つ最圧縮時の圧縮室の容積の小さい、また、デッドボリュームも小さい、高圧縮率の圧縮室を形成できるスクロールが形成可能となるため、高性能、省スペースなスクロール型圧縮機が得られ、しかも圧縮室の基板部に集中していた応力を広範囲に分散した信頼に富むスクロール型圧縮機を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るスクロール型圧縮機の軸線方向に沿う断面図である。 図2は、図1に示すスクロール型圧縮機の一部断面分解斜視図である。 図3は、固定スクロールの中央端部の模式的拡大斜視図である。 図4は、可動スクロールの中央端部の模式的拡大斜視図である。 図5は、固定スクロールの中央端部の模式的平面図である。 図6A、図6Bは、図5の固定スクロールの断面図であって、図6Aは図5のVIA−VIAにおける断面図、図6Bは図5のVIB−VIBにおける断面図である。 図7は、固定スクロールと可動スクロールの噛合時の中央端部の模式的平面図である。 図8は、インボリュート曲線の説明図である。 図9は、可動スクロールの中央端部の一部切断拡大斜視図である。 図10は、可動スクロールの中央端部の模式的平面図である。 図11は、可動スクロールの中央端部の模式的平面図である。 図12A、図12Bは、応力の集中分散の概念説明図であって、図12Aは従来型の可動スクロールの中央端部の拡大斜視図であり、図12Bは本実施の形態に係る可動スクロールの中央端部の拡大斜視図である。 図13A、図13Bは、噛合時の接触線が受け止める回転モーメントの概念説明図であって、図13Aは従来型の可動スクロールの受け止める回転モーメントの概念説明図であり、図13Bは本実施の形態に係る可動スクロールの受け止める回転モーメントの概念説明図である。
以下、本発明に係るスクロール型圧縮機について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスクロール型圧縮機30の軸線方向に沿う断面図であり、図2は、図1に示すスクロール型圧縮機30の一部断面分解斜視図である。本実施形態に係るスクロール型圧縮機30は、例えば、車両や建物等の空調ユニットを構成し、図示しないエンジンやモータ等の駆動源の駆動作用下に所定のガス(冷媒ガス)を吸入及び圧縮し、吐出する圧縮機である。
図1及び図2に示すように、スクロール型圧縮機30は、カップ状に形成されたフロントハウジング32と、冠状に形成されたリアハウジング34とを備える。フロントハウジング32の上部には、例えば、冷媒ガス等からなるガスをその内部へと導入する吸入口32aが形成されている。一方、リアハウジング34の上部には、スクロール型圧縮機30により前記ガスが圧縮された圧縮ガスを、例えば、冷媒循環系へと吐出する吐出口34aが形成されている。なお、フロントハウジング32には、スクロール型圧縮機30を、例えば、エンジンや外部機器等に取り付けるための複数の取付座32bが設けられている。
フロントハウジング32の内部には、固定スクロール40と、該固定スクロール40に対して旋回する可動スクロール(旋回スクロール)42が配設される。
固定スクロール40は、フロントハウジング32とリアハウジング34とによって挟持される外周縁部40aを含む固定側基板部40bと、該固定側基板部40bから可動スクロール42側へと渦巻状に立設される固定側スクロール壁(固定ラップ)40cとを有する。ここで、前記固定側スクロール壁40c(固定側スクロール部材)の固定側基板部40b側を根元側と称し、その反対側を上端側と称することもある。可動スクロール42は、可動側基板部42aと、該可動側基板部42aから固定スクロール40側へと渦巻状に立設され、前記固定側スクロール壁40cに噛み合う可動側スクロール壁(可動ラップ)42bとを有する。また、前記と同様に、前記可動側スクロール壁42b(可動側スクロール部材)の可動側基板部42aを根元側と称し、その反対側を上端側と称することもある。
固定スクロール40の固定側基板部40b及び固定側スクロール壁40cと、可動スクロール42の可動側基板部42a及び可動側スクロール壁42bとによって圧縮室(ガス圧縮室)44が形成される。該圧縮室44を封止するため、固定側スクロール壁40c及び可動側スクロール壁42bの各上端部には、それぞれ可動側基板部42a及び固定側基板部40bに摺接するようにシール部材46が取着されている。シール部材46は、例えば、PPS(ポリ・フェニレン・サルファイド)、炭素繊維及び固体潤滑剤により構成される。
固定スクロール40の背面40dには、環状に且つ薄板状に形成されたガスケット48を介してリアハウジング34が装着され、これにより、前記吐出口34aに連通するガス吐出室50が形成される。固定スクロール40の固定側基板部40bの略中心部には、圧縮室44からガス吐出室50へと連通する圧縮ガス導出孔40eが形成されている。
なお、リアハウジング34、固定スクロール40及びガスケット48は、複数(例えば、4本)のボルト52によってフロントハウジング32に締結される。その際、固定スクロール40の固定側基板部40bに形成された環状溝40fには、固定スクロール40とフロントハウジング32とにより形成されるガス吸入室54を封止するOリング56が取着される。
また、固定スクロール40の背面40dには、前記圧縮ガス導出孔40eを閉塞する一方、圧縮室44において圧縮された圧縮ガスが所定の高圧となった際、撓曲して開動作することでガス吐出室50へと圧縮ガスを導出する吐出弁58が備えられている。吐出弁58は、ガスケット48に形成されたリテーナ部48aによってその弁開度が規制される。該リテーナ部48aは、リアハウジング34の内側に形成された傾斜面からなる受部34bによって受け止められる。
フロントハウジング32の縮径した端部の開口32cには、回転駆動軸(クランクシャフト)である回転シャフト60の一端の軸部60aが挿入される。軸部60aは、第1軸受61を介して開口32cによって回転自在に支承される。一方、回転シャフト60の他端には、拡径する支持体62が備えられている。支持体62は、外周側面の支持面62aが第2軸受64に嵌挿されることによって回転自在に支承される。第2軸受64は、フロントハウジング32に形成された肩部32dによって支持される。
支持体62には、その軸心(回転シャフト60の軸心)に偏心した軸心を中心として駆動ピン66が固着されている。なお、回転シャフト60の軸部60aには、前記ガス吸入室54を封止するための封止部材68が嵌挿される。該封止部材68は、フロントハウジング32の開口肩部32eに支持され、例えば、金属材料からなるリング状のコアにゴム系材料、あるいは樹脂系材料を被覆することにより構成される。
可動スクロール42の可動側基板部42aには、その前面42c側に開口した円形凹部42dが形成されている。該円形凹部42dには、旋回軸受70を介してブッシュ(偏心ブッシュ)72が回転可能に嵌挿される。ブッシュ72は、その軸心に偏心して形成された孔部72aに前記駆動ピン66が挿入されることで回転シャフト60によってスイング運動可能に旋回され、これにより、可動スクロール42を旋回半径可変に旋回させる。
このようなブッシュ72は、スイングリンク機構73によって旋回半径の変化量が所定範囲内で規制されつつスイング運動可能であり、すなわち、可動スクロール42はブッシュ72により所定範囲内で旋回半径可変に構成されている。
駆動ピン66の先端には環状溝66aが形成され、該環状溝66aにC型止めリング74が嵌合される。従って、ブッシュ72は、C型止めリング74により駆動ピン66の軸方向への抜け止めがなされた状態で、当該駆動ピン66を中心として回転可能に構成されている。なお、駆動ピン66の根元近傍には、ブッシュ72を介してバランスウエイト76が装着される。
可動スクロール42の可動側基板部42aとフロントハウジング32の内部に形成された環状の支持部32fとの間には、可動スクロール42を摺接面80aによって摺動可能(旋回可能)に支持するスラストプレート80と、可動スクロール42の自転を拘束する一方、該可動スクロール42の旋回を許容する自転拘束部材であるオルダムリング(orbiting ring)82と、回転シャフト60の軸方向に対して直交する一方向にオルダムリング82を往復移動可能に支持すると共に、可動スクロール42にかかる前記軸方向のスラスト(thrust)力を、スラストプレート80を介して受け止める回転拘束部材であるオルダムベース(orbiting base)84とが配設される。
可動スクロール42の可動側基板部42aの前面42c側には、該可動スクロール42を一つの直径方向にのみ往復移動可能とする一対の第1係合凹部90、90が形成されている。これら第1係合凹部90、90には、オルダムリング82の一つの直径方向に形成された一対の第1係合凸部92、92が摺動可能に係合される。また、可動スクロール42を前記第1係合凹部90に対して直交する方向にのみ往復移動可能とするため、オルダムリング82には、前記第1係合凸部92に対して直交する径方向に突出する一対の第2係合凸部94、94が形成されている(図2参照)。これら第2係合凸部94は、オルダムベース84の一つの径方向に形成された一対の第2係合凹部96、96に摺動可能に係合される。
なお、オルダムベース84には、該オルダムベース84の径方向に沿って延在すると共に、オルダムリング82の往復移動を許容しながら該オルダムリング82との干渉を回避する切欠84aが形成されている(図2参照)。一方、オルダムリング82の第1係合凸部92の背面側、すなわちオルダムベース84の切欠84a側には、該オルダムリング82の径方向に膨出し、且つ周方向に該第1係合凸部92の両側面から僅かに膨出する膨出部92aが形成されている。膨出部92aは、オルダムベース84の切欠84aに対向して配置されている。
また、オルダムベース84は、シム(shim)86を間に介在して、前記切欠84aに形成された締結用の貫通孔84cに装着される複数(例えば、2本)のボルト88によって前記支持部32fに固定される。このように構成することで、ボルト88がスラストプレート80に干渉することを回避しつつ、フロントハウジング32の支持部32fにオルダムベース84を固定することができる。なお、シム86は、固定スクロール40と可動スクロール42との前記軸方向の隙間を所定値に調整するために介在されるものであり、前記隙間が適切に調整される場合には介在させなくてもよい。
フロントハウジング32の開口32cの外周部には、第3軸受100を介してプーリ102が装着されている。すなわち、プーリ102に図示しないエンジン等の回転駆動源から回転力が伝達され、電磁クラッチ104がON/OFF動作されることにより、回転駆動軸である回転シャフト60への前記回転力の伝達及び切り離しが行われる。
バランスウエイト76は、略半円形の板状に形成された外周部76aと、ブッシュ72に装着される部位である嵌挿部76bとを有する。該バランスウエイト76は、オルダムベース84の内周面84f及びフロントハウジング32における支持部32fの内壁面32iによって形成され、且つオルダムリング82との干渉を回避した領域内で旋回するように配設されている。これにより、可動スクロール42の旋回と共にバランスウエイト76も旋回し、すなわち、可動スクロール42の旋回による遠心力に平衡する遠心力がバランスウエイト76によって発生され、可動スクロール42が過度に固定スクロール40側へと押し付けられて過度の摩擦力が生じること等を有効に回避して、可動スクロール42の旋回を安定させることができる。なお、バランスウエイト76のブッシュ72への装着方法としては、上記のような嵌挿部76bによる圧入以外にも、例えば、リベット止め等でもよく、さらにはブッシュ72と一体に形成してもよい。
図3及び図4は、可動スクロール42と固定スクロール40を構成する渦巻状のスクロールの中央部分の説明図であって、図3は固定スクロール40を、また図4は可動スクロール42を模式的に表している。この場合、固定スクロール40及び可動スクロール42は略一致する形状であり、前記の通り、圧縮室44を形成するために、該固定スクロール40と可動スクロール42とは互いに噛み合う関係にある。なお、理解を容易にするために、両者は同一方向から見た模式図としている。スクロールの渦巻は、図3及び図4から容易に諒解されるように、端部Ri側からRo方向へと巻かれている。
まず、固定スクロール40のスクロール壁について説明すれば、図3において、X側を上面(上端側)、Y側を底面(根元側)とすると、固定スクロール40の底面中、点A1と点A3を結ぶ曲線及び固定スクロール40の上面中、点A2と点A4を結ぶ曲線は後述するインボリュート曲線で形成される。ここで、点A1−A3−A4−A2で囲繞されるスクロールの側壁をインボリュート外壁部202と呼称する。次に、固定スクロール40の底面中、点A1と点B2を結ぶ曲線及び固定スクロール40の上面中、点A2と点B1を結ぶ曲線はそれぞれ前記インボリュート曲線と滑らかに接続可能な曲線で形成される。ここで、前記点A1−B2−B1−A2で囲繞されるスクロールの側壁を先端壁部204と呼称する。前記先端壁部204はインボリュート外壁部202と円滑に接続される。さらに、固定スクロール40の底面中、点A5と点A7を結ぶ曲線及び固定スクロール40の上面中、点A6と点A8を結ぶ曲線も後述するインボリュート曲線で形成される。ここで、A5−A7−A8−A6で囲繞されるスクロールの側壁をインボリュート内壁部206と呼称する。さらにまた固定スクロール40の底面中点B4と点A5を結ぶ曲線及び固定スクロール40の上面中、点B3と点A6を結ぶ曲線は前記インボリュート曲線と滑らかに接続可能な曲線で形成される。ここで、前記点B3−A6−A5−B4で囲繞されるスクロールの側壁を円弧内壁部208と呼称する。最後に、固定スクロール40の底面中、点B2と点B4を結ぶ直線及び固定スクロール40の上面中、点B1と点B3を結ぶ直線は、先端壁部204の円弧の接線であり、且つ円弧内壁部208の接線でもある1組の直線である。ここで、B1−B3−B4−B2で囲繞されるスクロールの側壁を圧縮室内壁210と呼称する。上述したスクロール側壁以外の側壁は、通常のスクロールにて形成されている。
次に、可動スクロール42のスクロール壁について説明すれば、図4において、X側を上面(上端側)、Y側を底面(根元側)とすると、可動スクロール42の底面中、点A11と点A13を結ぶ曲線及び可動スクロール42の上面中、点A12と点A14を結ぶ曲線は後述するインボリュート曲線で形成される。ここで、点A11−A13−A14−A12で囲繞されるスクロールの側壁をインボリュート外壁部302と呼称する。次に、可動スクロール42の底面中、点A11と点B12を結ぶ曲線及び可動スクロール42の上面中、点A12と点B11を結ぶ曲線はそれぞれ前記インボリュート曲線と滑らかに接続可能な曲線で形成される。ここで、前記点A11−B12−B11−A12で囲繞されるスクロールの側壁を先端壁部304と呼称する。この先端壁部304はインボリュート外壁部302と円滑に接続される。さらに、可動スクロール42の底面中、点A15と点A17を結ぶ曲線及び可動スクロール42の上面中、点A16と点A18を結ぶ曲線も後述するインボリュート曲線で形成される。ここで、A15−A17−A18−A16で囲繞されるスクロールの側壁をインボリュート内壁部306と呼称する。さらにまた、可動スクロール42の底面中、図中の点B14と点A15を結ぶ曲線及び可動スクロール42の上面中、点B13と点A16を結ぶ曲線は前記インボリュート曲線と滑らかに接続可能な曲線で形成される。ここで、前記点B13−A16−A15−B14で囲繞されるスクロールの側壁を円弧内壁部308と呼称する。最後に、可動スクロール42の底面中、点B12と点B14を結ぶ直線及び可動スクロール42の上面中、点B11と点B13を結ぶ直線は、先端壁部304の円弧の接線であり、且つ円弧内壁部308の接線でもある1組の直線である。ここで、B11−B13−B14−B12で囲繞されるスクロールの側壁を圧縮室内壁310と呼称する。上述したスクロール側壁以外の側壁は、通常のスクロールにて形成されている。
また、図5は、固定スクロール40の中央端部の模式的平面図であり、図6A、図6Bは、固定スクロール40の、インボリュート外壁部202の壁断面とインボリュート内壁部206の壁断面とを示した断面図である。図6Aは、図5におけるVIA−VIA線断面図であり、図6Bは、図5におけるVIB−VIB線断面図である。そして、図7は、図1に示す可動スクロール42が、回転シャフト60によって偏心回転された際の固定スクロール40との噛合時の模式的平面説明図である。
ここで、可動スクロール42が固定スクロール40と当接し且つ摺動する側壁は、インボリュート曲線で形成する必要がある。この場合、インボリュート外壁部202とインボリュート内壁部206はX−Y方向に対して傾斜している。換言すれば、可動スクロール42と固定スクロール40との接触部位は線接触であり、その接触部位は必ずインボリュート内壁部206とインボリュート外壁部302との間及びインボリュート外壁部202とインボリュート内壁部306との間にあって、斜面に沿って直線状に接している。なお、前記インボリュート外壁部202、302と、前記インボリュート内壁部206、306は、可動スクロール42が固定スクロール40と当接及び摺動する部位だけでなく圧縮室44内部にまで延在してもよい。この場合、固定スクロール40と可動スクロール42の線接触の接触線に関し、その壁部の根元側を通過して高さ方向に垂直な仮想断面を想定したとき、根元側の幅員と上端側の幅員が図6Aと図6Bとでは異なることから、前記接触線の上端側の終点は根元側始点とは異なる位置にあることが了解されよう。
ここで、本発明に関連したインボリュート曲線について概略説明しておく。
図8において、インボリュート曲線222とは、基礎円220に糸を巻きつけた際、前記糸の端を引っ張りながら解いた場合に、前記糸の先端が描く曲線のことを示す。インボリュート曲線は、最も一般的な極座標系である円座標系を用いることで簡素に表現可能であり、該円座標系において、前記基礎円220の半径をa、偏角をθとすると、前記基礎円220の点224のX座標及びY座標はそれぞれ、X=acosθ、Y=asinθ、の形で表され、糸の基礎円220との接点が点224であった場合のインボリュート曲線上の点226のX座標及びY座標はそれぞれ、X=a(cosθ+θsinθ)、Y=a(sinθ−θcosθ)、の形で表される。図8において、点228はθ=90度の時の、点230はθ=180度の時の、点232はθ=270度の時の、点234はθ=360度の時のインボリュート曲線上の点をそれぞれ表している。
前記したインボリュート曲線は、歯車の歯を加工する際にも一般に使われており、その特性は、回転運動を加えた際、(a)角速度の比が一定である、(b)インボリュート曲線同士の接点の場合、必ず接線に垂直な方向にのみ力が加わる、の2点にある。換言するならば、スクロール圧縮機又は一般の歯車の製造において、中心距離に製造誤差等の予期せぬ変動が生じた場合においても、回転伝達力を維持することが可能となる、いわゆる「ロバスト性が高い」回転運動を実現可能な形状である。スクロール圧縮機においても、前記(b)の特性から、圧縮室の圧縮率変動を最小とすることが可能であるため、前記インボリュート曲線の形状が採用される場合が多い。
次に、図9に、本実施の形態に係る可動スクロール42の中央端部の一部切断拡大斜視図である。参照符号60piは回転シャフト60の回転軸、すなわち旋回軸を示す。また、図10は、可動スクロール42の模式的平面図であり、図11は、前記可動スクロール42の模式的平面図である。この場合、上視にて確認可能な平面を上端面336、下視にて確認可能な平面を下端面338とすると、図10の破線は下端面338を、図11の破線は上端面336をそれぞれ表している。ここで、上端面336及び下端面338を構成するインボリュート曲線は平行であるが、この曲線の形状を決定付ける基礎円の中心はオフセットされており、つまり、インボリュート外壁部302と上端面とが共有する端部を構成するインボリュート曲線を曲線302t、インボリュート外壁部302と下端面とが共有する端部を構成するインボリュート曲線を曲線302uとすると、曲線302tを決定付ける基礎円340と曲線302uを決定付ける基礎円342は、平面図及び底面図において、一致しないように構成されている。
一方、インボリュート内壁部306と上端面336とが共有する端部を構成するインボリュート曲線を曲線306tとし、インボリュート内壁部306と下端面338とが共有する端部を構成するインボリュート曲線を曲線306uとすると、曲線306tを決定付ける基礎円346と曲線302uを決定付ける基礎円344も同様に、平面図及び底面図において、一致しないよう構成されている。このため、インボリュート外壁部302及びインボリュート内壁部306における可動スクロール42の、旋回軸60piによる断面、例えば断面347を囲繞する端部曲線の一部であり、曲線302t及び曲線302uに挟まれる端部直線348は、60piに対して傾斜している(図9参照)。
すなわち、前記可動スクロール42及び固定スクロール40は互いに噛合した場合、図9に示すように直線状の接線350(以降、接線350と記載する。)で線接触する。そして、基礎円340と基礎円342及び基礎円344と基礎円346とは、それぞれ互いにオフセットしていることから、該オフセット量が異なる限りにおいては、線接触時の接線350と端部直線348は、一致することはない。換言すれば、端部直線348は旋回軸60piと交差する直線の一部(線分)であるため、接線350は、旋回軸60piに対して傾斜しており、且つ、該旋回軸60piに対して交差することのない、いわゆるねじれの位置関係を有する線分となっている。
次に、基本的には以上のように構成される本実施形態に係るスクロール型圧縮機30の動作について説明する。
電磁クラッチ104の動作作用下に、回転駆動軸である回転シャフト60に図示しないエンジン等から回転力が伝達されると、支持体62が第2軸受64を介して回転し、支持体62に固着された駆動ピン66が回転シャフト60の軸心に対して偏心した状態で旋回する。これにより、ブッシュ72が旋回して、オルダムベース84に摺動可能に支持されるオルダムリング82の摺動作用下、及び該オルダムリング82による自転拘束作用下、さらにスラストプレート80の摺接面80aによる摺動支持作用下に、可動スクロール42が自転を拘束されながら固定スクロール40に対して旋回する。このとき、バランスウエイト76は、可動スクロール42の旋回による遠心力に平衡する遠心力を発生させて旋回している。
その結果、固定スクロール40と可動スクロール42との間で形成される圧縮室44が外周部位から徐々に中央部位へと進行し、シール部材46の封止作用下にガス吸入室54に導入されたガスが圧縮される。そして、圧縮された圧縮ガスが圧縮ガス導出孔40eからガス吐出室50へと導出され、吐出口34aを介して図示しない冷媒循環系へと吐出される。
このような圧縮動作時(起動時や停止時も含む)、可動スクロール42と固定スクロール40とが噛合して生ずる接線350の固定側基板部40b近傍、すなわち固定スクロール40の根元は、回転シャフト60に対する可動スクロール42の旋回に伴う回転モーメントの全てを受け止めることとなる。
同時に、例えば、圧縮室44で液圧縮等が発生すると、圧縮室44の内壁である、可動スクロール42の先端壁部304、圧縮室内壁310、円弧内壁部308、インボリュート内壁部306、及び固定スクロール40の先端壁部204、圧縮室内壁210、円弧内壁部208、インボリュート内壁部206は、液圧縮する圧縮力の反力を受け止めることとなる。結局、接線350の内、固定スクロールの根元には、過度な応力がかかるため、その形状の最適化が必要となる。
そこで、本実施形態に係るスクロール型圧縮機30では、可動スクロール42及び固定スクロール40において、前記可動スクロール42と前記固定スクロール40とが噛合する接線350を旋回軸60piに対してねじれの位置関係となるように構成している。これにより、固定スクロール40では、可動スクロール42の旋回時の回転モーメントを受けることによって生じる根元側への応力の集中を避けることが可能となる。
上述の効果につき、図12Aと12B及び図13Aと図13Bを用いて詳述する。図12Aは、従来型の可動スクロール42Aの拡大斜視図を示し、図12Bは本実施形態に係る可動スクロール42の拡大斜視図を示したものであって、図13Aは従来型の可動スクロール42Aの接触線(外壁側破線部)450が受ける回転モーメントを示す概略説明図であって、図13Bは本実施形態に係る可動スクロール42の接線350が受ける回転モーメントを示す概略説明図である。ここでは、説明の便宜のために接触線をX−Y方向に6等分する。また、本実施形態に係る接線350の固定スクロールの根元位置をWb00、従来型の前記根元位置をWb0とし、Wb00又はWb0から前記6等分した点までのX−Y方向の距離を、作用点の根元付近から順にl1、l2、…l6とする。ここで、可動スクロールの壁押付け力全体をFとすると、前記6等分したそれぞれの点は壁押付け力の作用点である。
なお、可動スクロール42は、本来は、壁に沿ったRi−Ro方向の回転モーメントと壁厚み方向(図示せず)の回転モーメントの両方を受けているが、ここでは単純化し、Ri−Ro方向の回転モーメントのみを用いて詳述する。
まず、従来型の可動スクロール42Aの場合、旋回軸に対して接触線450が平行であるため、図13Aに示すように従来型の可動スクロール42Aのスクロール壁の各点が受け止めるRi−Ro方向の回転モーメントはそれぞれ、f1l1、f2l2、…f6l6である。ここで、可動側基板部42aと接触線450は直交しており、且つ、前記従来型の可動スクロール42Aのスクロール壁は可動側基板部42aに支持されるのみであるため、前記回転モーメントを受け止めることによって生じる応力は固定スクロールの根元位置Wb0のみに集中する。すなわち、Wb0における回転モーメントをMWb0とすると、MWb0は、MWb0=f1l1+f2l2+…+f5l5+f6l6となる。
次に、本実施の形態における可動スクロール42の場合、図13Bに示すようにスクロール壁の各点が受け止めるRi−Ro方向のモーメントは、従来型の可動スクロール42Aと同様であって、それぞれ、f1l1、f2l2、…f6l6である。しかしながら、可動側基板部42aと接線350は直交しないため、前記回転モーメントを受け止めることによって生じる応力はWb00には集中せず、各作用点から可動側基板部42aへ下ろした垂線と下端面338とが交わる位置、すなわち、図13Bに示すWb01、Wb02…、Wb06の各点がそれぞれ分担して受け止める。結局、固定スクロール40と可動スクロール42の根元側へ加わる応力の分散化が達成される。
ここでは、接線350のRi−Ro方向の成分のみを示したが、壁厚み方向(図示せず)の場合も同様である。
また、接線350を旋回軸60piに対してどの程度傾斜させるかは、固定スクロール40及び可動スクロール42を形成する金属材料等の寸法や特性を考慮して適宜設定すればよい。
さらにまた、スクロール型圧縮機30が上述のような噛合面を形成したとしても、前記したインボリュート曲線の概略説明におけるインボリュート曲線の特性(b)により、流体の圧縮率は好適に保たれる。
すなわち、上述したように本実施の形態に係るスクロール型圧縮機30は、固定スクロール40と、固定スクロール40に噛み合いながら旋回し、固定スクロール40と共に圧縮室44を形成する可動スクロール42とを備え、固定スクロール40及び可動スクロール42が噛み合う噛合部位の内、インボリュート外壁部202及び302とインボリュート内壁部206及び306は、噛合部位同士を線接触させる噛み合いとなっている。そして、固定スクロール40を設置する固定側基板部40b及び可動スクロール42を設置する可動側基板部42aをさらに有し、前記噛合部位の一端部のインボリュート曲線部、例えば、曲線A12−A14は、相対する他端部のインボリュート曲線部、例えば、曲線A11−A13に対してオフセットされており、前記スクロールを形成するスクロール壁の壁厚は、前記スクロール壁を設置する可動側基板部42a側から漸減している。さらにまた、このオフセットは、インボリュート曲線部の基礎円位置を、固定側基板部40bと平行な面の面内方向へオフセットされており、接線350と可動スクロール42の旋回軸60piとの関係が、ねじれの位置関係となっている。これにより、可動スクロール42の旋回時のモーメントをスクロール壁の広範囲で受け止めることとなるため、固定スクロールの噛合部位の根元に集中する応力を広範囲に分散可能とするとともに、応力の分散を基礎円のオフセット量で規定することが可能となり、応力分散の度合いを容易に制御することができる。従って、スクロールのより中心側までインボリュート曲線に沿ってスクロール壁を形成することが可能となる。このため、スクロール壁の、端部をインボリュート曲線で形成する壁部は噛合面よりもさらに広範囲に形成することが可能となり、前記噛合面と圧縮室内壁面とを滑らかに連続的に形成することが可能となる。さらにまた、前記のように、オフセット量を基礎円位置のずれ量で調整できるため、固定スクロール40と可動スクロール42との間で生ずる根元部への応力の分散を所望のように低減することができる。さらに、本実施の形態によれば、固定スクロール40の先端壁部204はインボリュート外壁部202と円滑に接続され、可動スクロール42の先端壁部304はインボリュート外壁部302と円滑に接続されている。これによって圧縮室44のデッドボリュームを可及的に低減することが可能であり且つ根元部に対しても応力集中を回避することができる。
以上、本発明について、好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
30…スクロール型圧縮機 40…固定スクロール
40c…固定側スクロール壁 42…可動スクロール
42b…可動側スクロール壁 44…圧縮室
60…回転シャフト 60pi…旋回軸
62…支持体
66…駆動ピン 72…ブッシュ
73…スイングリンク機構
202、302…インボリュート外壁部
206、306…インボリュート内壁部
302t、302u、306t、306u…曲線
340、342、344、346…基礎円

Claims (5)

  1. 渦巻壁中央部を、外側壁インボリュート曲線と、内側壁インボリュート曲線と、から形成した一組の互いに噛合するスクロール部材を具備するスクロール型圧縮機において、
    一方のスクロール部材の外側壁インボリュート曲線のインボリュート開始点から所定の範囲にわたって根元側インボリュート曲線に対して上端側インボリュート曲線の位置をオフセットさせ、前記一方のスクロール部材上端に向かって壁厚が漸減するように外側壁に傾斜部を形成し、
    他方のスクロール部材の内側壁インボリュート曲線のインボリュート開始点から所定範囲にわたって上端側インボリュート曲線に対して根元側インボリュート曲線の位置をオフセットさせ、前記他方のスクロール部材の根元に向かって壁厚が漸増するように内側壁に傾斜部を形成し、
    前記一方のスクロール部材の外側壁の傾斜部と前記他方のスクロール部材の内側壁の傾斜部とを線接触させることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 請求項1記載のスクロール型圧縮機において、
    前記一方と他方のスクロール部材のそれぞれの根元側インボリュート曲線の基礎円位置と上端側インボリュート曲線の基礎円位置とをオフセットすることで、根元側及び上端側のインボリュート曲線の位置をオフセットさせることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  3. 請求項1又は2に記載のスクロール型圧縮機において、
    前記一方と他方のスクロール部材のそれぞれの前記線接触の接触線に関し、根元側を始点とし、上端側を終点とし、
    根元側始点を通過して前記それぞれのスクロール部材の高さ方向に垂直な仮想断面を想定したとき、
    接触線の上端側の終点は、前記仮想断面上の根元側始点とは異なる位置にあることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のスクロール型圧縮機において、
    前記一方のスクロール部材の外側壁の傾斜部と、前記他方のスクロール部材の内側壁の傾斜部をそれぞれ根元側インボリュート曲線の開始点及び上端側インボリュート曲線の開始点を越えて該一方と他方のスクロール部材の始端側に設けることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のスクロール型圧縮機において、
    前記スクロール型圧縮機は、固定スクロールと可動スクロールの噛合部位同士を線接触させる位置である接触線と前記可動スクロールの旋回軸とが、ねじれの位置関係となっている
    ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
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