JP2010215968A - 気体発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】不活性ガスの消費を抑制しつつ安定に電気分解を行うことが可能な気体発生装置を提供する。
【解決手段】停止モードでは、制御バルブV1〜V8が閉じられるとともに、電圧印加装置51、バキュームジェネレータ31およびポンプP1が停止される。この場合、電解槽10内での電気分解が完全に停止する。スタンバイモードでは、制御バルブV1〜V3,V8が開かれ、制御バルブV4〜V6が閉じられる。また、ポンプP1が停止され、バキュームジェネレータ31が駆動される。その状態で、電圧印加装置51により陽極13および陰極14間に第2の電圧が印加される。それにより、陽極室10a内で僅かにフッ素ガスが発生するとともに、陰極室10b内で僅かに水素ガスが発生する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気分解により気体を発生する気体発生装置に関する。
従来、半導体の製造工程等において、材料の洗浄および表面改質等の種々の用途でフッ素ガスが用いられている。その場合、フッ素ガス自体が用いられることもあり、フッ素ガスを基に合成されたNF(三フッ化窒素)ガス、NeF(フッ化ネオン)ガスおよびArF(フッ化アルゴン)ガス等の種々のフッ素系ガスが用いられることもある。
このような現場において、フッ素ガスを安定に供給するために、例えばHF(フッ化水素)を電気分解してフッ素ガスを発生するフッ素ガス発生装置が用いられる。
特許文献1に示されるフッ素ガス発生装置は、電解槽、HF吸着塔、バッファタンクおよびコンプレッサを備える。電解槽内には、陽極が配置される陽極室および陰極が配置される陰極室が形成される。電解槽内でHFの電気分解が行われる。この場合、陽極室においてフッ素ガスが発生する。発生したフッ素ガスは、HF吸着塔に導かれる。HF吸着塔においてフッ素ガスに混入しているHFが除去される。このようにして、高純度のフッ素ガスが得られる。
特開2004−107761号公報
上記のようなフッ素ガス発生装置において、安定に電気分解を行うためには、陽極室の内部圧力と陰極室の内部圧力とを等しく維持することが求められる。
しかしながら、電解槽内において電気分解が行われない状態が長時間継続すると、陽極室内の圧力が低下する。その原因としては、陽極室内のフッ素ガスが陽極に吸着することが考えられる。この場合、陽極室の内部圧力が陰極室の内部圧力より低くなる。このような状態では、安定に電気分解を開始させることができない。
一方、陰極室に不活性ガス(例えば窒素ガス)を供給することにより、陰極室の内部圧力を調整することが可能である。しかしながら、コストの観点から不活性ガスの使用量を削減することが求められる。
本発明の目的は、不活性ガスの消費を抑制しつつ安定に電気分解を行うことが可能な気体発生装置を提供することである。
(1)本発明に係る気体発生装置は、電気分解により第1の気体および第2の気体を発生させる気体発生装置であって、陽極室および陰極室に区画され、電気分解される化合物を含む電解浴を収容する電解槽と、陽極室において第1の気体が発生しかつ陰極室において第2の気体が発生するように化合物を電気分解するための電圧を電解槽内の電解浴に印加する電圧印加手段と、陽極室において発生された第1の気体を排出する第1の排出経路と、陰極室において発生された第2の気体を排出する第2の排出経路と、第1の排出経路を通しての第1の気体の排出を制御する第1の排出制御手段と、第2の排出経路を通しての第2の気体の排出を制御する第2の排出制御手段と、陰極室に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、第1および第2の排出制御手段、不活性ガス供給手段および電圧印加手段を第1、第2および第3の制御モードのいずれかで制御する主制御手段とを備え、第1の制御モードは、第1および第2の排出制御手段により第1および第2の排出経路を通して第1および第2の気体を排出するとともに不活性ガス供給手段により陰極室に不活性ガスを供給するまたは不活性ガスの供給を停止する状態で、電圧印加手段により電解浴に第1の電圧を印加するモードであり、第2の制御モードは、第1および第2の排出制御手段により第1および第2の排出経路からの第1および第2の気体の排出を停止しかつ不活性ガス供給手段による不活性ガスの供給および電圧印加手段による電圧の印加を行わないモードであり、第3の制御モードは、第1の排出制御手段により第1の排出経路からの第1の気体の排出を停止するとともに第2の排出制御手段により第2の排出経路を通して第2の気体を排出しかつ不活性ガス供給手段により陰極室に不活性ガスを供給する状態で、電圧印加手段により電解浴に第1の電圧よりも低い第2の電圧を印加するモードであり、第1、第2および第3の制御モードが切り替え可能に構成されるものである。
その気体発生装置においては、電圧印加手段により電解槽内の電解浴に電圧が印加されることにより、電解浴中の化合物が電気分解される。それにより、陽極室において第1の気体が発生し、陰極室において第2の気体が発生する。第1の排出制御手段により、第1の排出経路を通しての第1の気体の排出が制御され、第2の排出制御手段により、第2の排出経路を通しての第2の気体の排出が制御される。不活性ガス供給手段により、陰極室に不活性ガスが供給される。
主制御手段により、第1および第2の排出制御手段、不活性ガス供給手段および電圧印加手段が第1、第2および第3の制御モードのいずれかで制御される。
第1の制御モードでは、第1および第2の排出制御手段により第1および第2の排出経路を通して第1および第2の気体が排出される。また、不活性ガス供給手段により適宜陰極室に不活性ガスが供給される。その状態で、電圧印加手段により電解浴に第1の電圧が印加される。
この場合、陽極室において発生された第1の気体が第1の排出経路を通して排出され、陰極室において発生された第2の気体が不活性ガスにより希釈されるとともに第2の排出経路を通して排出される。
第2の制御モードでは、第1および第2の排出制御手段により第1および第2の排出経路からの第1および第2の気体の排出が停止される。また、不活性ガス供給手段による不活性ガスの供給および電圧印加手段による電圧の印加が行われない。この場合、電解槽内で電気分解が行われない。
第3の制御モードでは、第1の排出制御手段により第1の排出経路からの第1の気体の排出を停止され、第2の排出制御手段により第2の排出経路を通して第2の気体が排出される。また、不活性ガス供給手段により陰極室に不活性ガスが供給される。その状態で、電圧印加手段により陽極および陰極に第1の電圧よりも低い第2の電圧が印加される。
この場合、陽極室において第1の気体が発生されることにより陽極室の内部圧力が上昇する。また、陰極室において発生された第2の気体が不活性ガスにより希釈されるとともに第2の排出経路を通して排出される。
第2の制御モードにおいて、陽極室の内部圧力が低下した場合、第3の制御モードで陽極室の内部圧力を上昇させることにより、第1の気体を電解槽から排出せずかつ第1の気体の純度を低下させずに、陽極室の内部圧力を適正に調整することができる。また、第3の制御モードでは、陰極室に第2のガスを滞留させずに陰極室の内部圧力を適正に維持することができる。
これにより、第2および第3の制御モードにおいて、陽極室の内部圧力と陰極室の内部圧力とがほぼ等しい状態を維持することができる。その結果、制御モードが第1の制御モードに切り替えられたときに、安定に電気分解を行うことができる。
また、第2の制御モードでは陰極室に不活性ガスが供給されないので、継続的に不活性ガスが供給される場合に比べて不活性ガスの消費量を抑制することができる。
(2)主制御手段は、第2の制御モードと第3の制御モードとを自動的に切り替えてもよい。
この場合、オペレータの負担を低減しつつ陽極室および陰極室の内部圧力を適正に維持することができる。
(3)陽極室の内部圧力を検出する第1の圧力検出手段をさらに備え、主制御手段は、第2の制御モードにおいて、第1の圧力検出手段により検出される陽極室の内部圧力が第1の圧力値よりも低くなると第2の制御モードを第3の制御モードに切り替えてもよい。
この場合、適正なタイミングで第2の制御モードから第3の制御モードに切り替えることができる。それにより、陽極室の内部圧力を適正に調整することができる。
(4)主制御手段は、第3の制御モードにおいて、第1の圧力検出手段により検出される陽極室の内部圧力が第1の圧力値より大きい第2の圧力値よりも高くなると第3の制御モードを第2の制御モードに切り替えてもよい。
この場合、第3の制御モードにおいて陽極室の内部圧力が高くなりすぎることが防止される。それにより、陽極室の内部圧力をより適正に調整することができる。
(5)気体発生装置は、陽極室の電解浴の液面高さを検出する液面検出手段をさらに備え、主制御手段は、第2の制御モードにおいて、液面検出手段により検出される陽極室の電解浴の液面高さが第1の高さよりも高くなると第2の制御モードを第3の制御モードに切り替えてもよい。
この場合、適正なタイミングで第2の制御モードから第3の制御モードに切り替えることができる。それにより、適正に陽極室の内部圧力を調整することができる。
(6)主制御手段は、第3の制御モードにおいて、液面検出手段により検出される陽極室の電解浴の液面高さが第1の高さより低い第2の高さよりも低くなると第3の制御モードを第2の制御モードに切り替えてもよい。
この場合、第3の制御モードにおいて陽極室の内部圧力が高くなりすぎることが防止される。それにより、陽極室の内部圧力をより適正に調整することができる。
(7)気体発生装置は、陰極室の内部圧力を検出する第2の圧力検出手段をさらに備え、主制御手段は、第1および第3の制御モードにおいて、第1の圧力検出手段により検出される陽極室の内部圧力および第2の圧力検出手段により検出される陰極室の内部圧力に基づいて第2の排出制御手段による第2の気体の排出量を調整してもよい。
この場合、陰極室の内部圧力を調整することができ、陽極室の内部圧力と陰極室の内部圧力とをほぼ等しく維持することができる。
(8)第1の気体はフッ素ガスであってもよい。
電気分解によってフッ素ガスを発生させる場合、安全性を確保するためには、電解浴の液面を比較的狭い範囲内に維持する必要がある。そこで、第2および第3の制御モードにおいて電解浴の液面を制御することにより、安全性を十分に確保することができる。また、第1の制御モードでの電気分解の開始時に、電解浴の液面が一時的に不安定になっても、電解浴の液面を適正な範囲内に維持することができる。
また、電解浴の液面が適正範囲から外れた場合に、緊急停止および警告等の処置がとられることがある。その場合にも、緊急停止および警告等の発生を回避することができるので、円滑に制御モードの切り替えを行うことができる。
本発明によれば、第2および第3の制御モードにおいて、陽極室の内部圧力と陰極室の内部圧力とがほぼ等しい状態を維持することができる。その結果、制御モードが第1の制御モードに切り替えられたときに、安定に電気分解を行うことができる。
また、第2の制御モードでは陰極室に不活性ガスが供給されないので、継続的に不活性ガスが供給される場合に比べて不活性ガスの消費量を抑制することができる。
フッ素ガス発生装置の構成を示す模式的側面図である。 フッ素ガス発生装置の制御系を示すブロック図である。 制御部による制御モード切替処理のフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態に係る気体発生装置について図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態においては、気体発生装置の一例としてフッ素ガスを発生するフッ素ガス発生装置について説明する。
(1)構成
図1は、フッ素ガス発生装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、フッ素ガス発生装置1は、電解槽10を備える。電解槽10は、例えばNi(ニッケル)、モネル、純鉄もしくはステンレス鋼等の金属または合金により形成されている。
電解槽10内には、KF−HF系混合溶融塩からなる電解浴11が形成されている。また、電解浴11に一部浸漬するように、隔壁12が設けられている。隔壁12は、例えばNiまたはモネルからなる。電解槽10内において、隔壁12の一方側に陽極室10aが形成され、他方側に陰極室10bが形成されている。電解浴11上の空間は、隔壁12によって陽極室10aと陰極室10bとで遮断されている。
陽極室10a内で電解浴11に接触するように陽極13が配置され、陰極室10b内で電解浴11に接触するように陰極14が配置されている。陽極13および陰極14は電圧印加装置51に電気的に接続されている。電圧印加装置51によって陽極13と陰極14との間に直流電圧が印加されることにより、電解浴11中のHF(フッ化水素)の電気分解が行われる。これにより、陽極室10aにおいて主にフッ素ガスが発生し、陰極室10bにおいて主に水素ガスが発生する。陽極13としては、低分極性炭素電極を用いることが好ましい。陰極14としては、例えばNiを用いることが好ましい。
陽極室10a上にガス排出口15が設けられ、陰極室10b上にガス排出口16が設けられている。陽極室10aで発生する気体はガス排出口15を通して排出され、陰極室10bで発生する気体はガス排出口16を通して排出される。ガス排出口15には排気管15aが接続され、ガス排出口16には排気管16aが接続されている。
電解槽10の外面を覆うように、温水ジャケット20aが取り付けられている。温水ジャケット20aには、温水加熱装置20によって加熱された温水が供給される。これにより、電解浴11がHFの電気分解に適した温度に維持される。
HFを供給するためのHF供給ライン17、および窒素ガスを供給するためのガス供給ライン61が、電解槽10に接続されている。HF供給ライン17には制御バルブV7が介挿され、ガス供給ライン61には制御バルブV8が介挿されている。また、HF供給ライン17は、温度調整用ヒータ17aにより覆われている。それにより、HF供給ライン17内でHFが液化することが防止される。
圧力センサS1,S2および液面センサS3,S4が、電解槽10に取り付けられている。圧力センサS1により、陽極室10aの内部圧力が検出され、圧力センサS2により、陰極室10bの内部圧力が検出される。また、液面センサS3により、陽極室10aにおける電解浴11の液面の高さが検出され、液面センサS4により、陰極室10bおける電解浴11の液面の高さが検出される。
電解槽10のガス排出口16から延びる排気管16aは、複数の排気管16bに分岐している。複数の排気管16bは、複数(図1においては2つ)のHF吸着塔30の一端部にそれぞれ接続されている。電解槽10のガス排出口16(陰極室10b)から排出される気体は、排気管16a,16bを通してHF吸着塔30に導かれる。
各HF吸着塔30には吸着剤として例えばソーダライムが充填される。電解槽10のガス排出口16(陰極室10b)から排出される気体は主に水素ガスであり、その中に腐食性が高いHFが混入している。そのHFがHF吸着塔30において吸着除去される。なお、各HF吸着塔30の材料としては、フッ素ガスおよびHFに対して耐食性を有する材料が用いられることが好ましい。そのような材料としては、例えばステンレス鋼、モネル、Niまたはフッ素系樹脂等が挙げられる。
排気管16aには、電解槽10側から順に制御バルブV1、ピエゾバルブPV1およびバキュームジェネレータ31が介挿されている。また、各排気管16bには制御バルブV2が介挿されている。
制御バルブV1が開かれることにより、電解槽10のガス排出口16から排出される気体がHF吸着塔30に導かれる。バキュームジェネレータ31には、ガスライン31aが接続されている。ガスライン31a内で窒素ガスの流れが形成されることにより、エジェクタ効果によって排気管16a内が減圧される。ピエゾバルブPV1は、排気管16a内の圧力を所定の範囲内に維持し、排気管16a内の減圧による不具合が電解槽10内で発生しないように作動する。
複数の制御バルブV2のうち1または複数が開かれることにより、対応するHF吸着塔30に電解槽10のガス排出口16から排出される気体が選択的に導かれる。例えば、1つのHF吸着塔30において吸着剤の交換を行うときに、そのHF吸着塔30の使用が一時的に停止される。この場合、他のHF吸着塔30を継続して使用することができる。
各HF吸着塔30の他端部には、排気管32aが接続されている。複数の排気管32aは、排気管33に一体化している。各排気管32aには制御バルブV3が介挿されている。HF吸着塔30によりHFが除去されることにより水素ガスが排気管32a,33を通して排出される。
電解槽10のガス排出口15から延びる排気管15aは、複数の排気管15bに分岐している。複数の排気管15bは、複数(図1においては2つ)のHF吸着塔40の一端部にそれぞれ接続されている。電解槽10のガス排出口15(陽極室10a)から排出される気体は、排気管15a,15bを通してHF吸着塔40に導かれる。
各HF吸着塔40には吸着剤として例えばNaF(フッ化ナトリウム)が充填される。電解槽10のガス排出口15(陽極室10a)から排出される気体は主にフッ素ガスであり、その中にHFが混入している。そのHFがHF吸着塔40において吸着除去される。それにより、高純度のフッ素ガスが得られる。なお、各HF吸着塔40の材料としては、上記のHF吸着塔30と同様に、フッ素ガスおよびHFに対して耐食性を有する材料が用いられることが好ましい。
排気管15aには、電解槽10側から順に制御バルブV4およびピエゾバルブPV2が介挿されている。また、各排気管15bには制御バルブV5が介挿されている。
制御バルブV4が開かれることにより、電解槽10のガス排出口15から排出される気体がHF吸着塔40に導かれる。ピエゾバルブPV2は、排気管15a内の圧力を所定の範囲内に維持するように作動する。また、複数の制御バルブV5のうち1または複数が開かれることにより、対応するHF吸着塔30に電解槽10のガス排出口16から排出される気体が選択的に導かれる。
各HF吸着塔40の他端部には、排気管41aが接続されている。複数の排気管41aは、排気管42に一体化している。各排気管41aには制御バルブV6が介挿され、排気管42にはポンプP1が介挿されている。HF吸着塔40において高純度化されたフッ素ガスは、ポンプP1によって排気管41a,42を通してフッ素ガス発生装置1の外部に搬送される。
なお、フッ素ガスを一時的に貯留するためのバッファタンクを排気管42に接続してもよい。この場合、排気管42を通してバッファタンク内にフッ素ガスが搬送される。バッファタンクに貯留されたフッ素ガスは、所望のタイミングで適宜使用することができる。
(2)制御系
次に、フッ素ガス発生装置1の制御系について説明する。図2は、フッ素ガス発生装置1の制御系を示すブロック図である。
図2に示すように、フッ素ガス発生装置1は、制御部50を備える。圧力センサS1,S2および液面センサS3,S4による検出結果が制御部50に与えられる。また、制御部50は、電圧印加装置51、バキュームジェネレータ31、制御バルブV1〜V7およびポンプP1の動作を制御する。
(3)動作
次に、図1および図2を参照しながらフッ素ガス発生装置1の動作について説明する。フッ素ガス発生装置1は、電解モード、一時停止モードおよびスタンバイモードのいずれかの制御モードで動作する。なお、電解モードは第1の制御モードの例であり、一時停止モードは第2の制御モードの例であり、スタンバイモードは第3の制御モードの例である。
電解モードでは、制御バルブV1〜V6,V8が開かれるとともに、バキュームジェネレータ31およびポンプP1が駆動される。その状態で、電圧印加装置51により電解槽10内の陽極13と陰極14との間に第1の電圧が印加される。それにより、電解槽10内の陽極室10aでフッ素ガスが発生するとともに、陰極室10bで水素ガスが発生する。陽極室10aで発生したフッ素ガスはフッ素ガス発生装置1の外部またはバッファタンクに導かれる。電解槽10の陰極室10bで発生した水素ガスはフッ素ガス発生装置1の外部に排出される。
また、ガス供給ライン61を通して陰極室10bに窒素ガスが供給される。この場合、陰極室10b内の水素ガスが窒素ガスで希釈される。それにより、陰極室10bの水素濃度が爆発限界よりも低い状態で維持される。
液面センサS3,S4により検出された電解浴11の液面の高さが所定値よりも低くなると、制御バルブV7が開かれる。これにより、電解槽10にHFが供給されるので、電解浴11の液面が一定の高さより低くなることが防止される。
電解モードにおいて、電解槽10内で電気分解を安定に行うためには、陽極室10aの内部圧力と陰極室10bの内部圧力とが互いに等しい一定の値に維持される必要がある。例えば、陽極室10aおよび陰極室10bの内部圧力がともに大気圧に維持される。
陽極室10aの内部圧力は、圧力センサS1による検出結果に基づいて制御バルブV4を開閉させることにより制御することができる。陰極室10bの内部圧力は、圧力センサS2による検出結果に基づいて制御バルブV1を開閉させることにより制御することができる。また、制御バルブV8の開閉によって陰極室10bへの窒素ガスの供給量を調整することにより、陰極室10bの内部圧力を制御することもできる。
一時停止モードでは、制御バルブV1〜V8が閉じられるとともに、電圧印加装置51、バキュームジェネレータ31およびポンプP1が停止される。この場合、電解槽10内での電気分解が完全に停止する。
スタンバイモードでは、制御バルブV1〜V3,V8が開かれ、制御バルブV4〜V6が閉じられる。また、ポンプP1が停止され、バキュームジェネレータ31が駆動される。その状態で、電圧印加装置51により陽極13および陰極14間に第2の電圧が印加される。第2の電圧は、上記の第1の電圧に比べて低く設定される。それにより、陽極室10a内で僅かにフッ素ガスが発生するとともに、陰極室10b内で僅かに水素ガスが発生する。
この場合、制御バルブV4が閉じられているので、陽極室10aの内部圧力はフッ素ガスの発生によって上昇する。一方、陰極室10bの内部圧力は、制御バルブV1,V8を開閉させることにより制御することができる。
電解モードと同様に、液面センサS3,S4により検出された電解浴11の液面の高さが所定値よりも低くなると、制御バルブV7が開かれる。この場合、電解槽10に適宜HFが補充されるので、電解浴11の液面が一定の高さより低くなることが防止される。
(4)制御モード切替処理
一時停止モードにおいて、電解槽10内で電気分解が行われない状態が長時間継続すると、陽極室10aの内部圧力が低下する。その原因としては、陽極室10a内のフッ素ガスが陽極13に吸着することが考えられる。
電解槽10内で電気分解を安定に行うためには、上記のように、陽極室10aの内部圧力と陰極室10bの内部圧力とが等しいことが好ましい。しかしながら、上記の現象により、陽極室10aの内部圧力が陰極室10bの内部圧力に比べて低くなる。それにより、制御モードが一時停止モードから電解モードに切り替えられたときに、電気分解が安定して行われるまでに一定の時間を要する。
そこで、本実施の形態では、制御部50により一時停止モードとスタンバイモードとの切り替えが自動的に行われる。以下、制御部50による制御モード切替処理について説明する。
図3は、制御部50による制御モード切替処理のフローチャートである。図3の例では、初期状態として制御モードが一時停止モードに設定されている。
図3に示すように、制御部50は、まず、圧力センサS1による検出結果に基づいて、陽極室10aの内部圧力が予め定められたしきい値T1以上であるか否かを判定する(ステップS1)。しきい値T1は、陰極室10bの内部圧力(大気圧)よりも低く設定される。
陽極室10aの内部圧力がしきい値T1以上である場合、制御部50は、ステップS1の処理を繰り返す。陽極室10aの内部圧力がしきい値T1より低い場合、制御部50は、制御モードをスタンバイモードに切り替える(ステップS2)。この場合、上記のように、陽極室10aの内部圧力が上昇するとともに、陰極室10bの内部圧力が一定の状態に維持される。
次に、制御部50は、圧力センサS1による検出結果に基づいて、陽極室10aの内部圧力が予め定められたしきい値T2以下であるか否かを判定する(ステップS3)。しきい値T2は、陰極室10bの内部圧力(大気圧)以上に設定される。
陽極室10aの内部圧力がしきい値T2よりも低い場合、制御部50は、ステップS3の処理を繰り返す。陽極室10aの内部圧力がしきい値T2に達すると、制御部50は、制御モードを一時停止モードに切り替え(ステップS4)、ステップS1の処理に戻る。
(5)実施の形態の効果
上記のように、陽極室10aの内部圧力の変化に応じて一時停止モードとスタンバイモードとが自動的に切り替えられることにより、陽極室10aの内部圧力が一定の許容範囲内(しきい値T1からしきい値T2までの範囲内)に維持される。そのため、一時停止モードにおいて陽極室10aの内部圧力が大幅に低下することが防止される。したがって、陽極室10aの内部圧力と陰極室10bの内部圧力とがほぼ等しい状態を維持することができる。その結果、制御モードが電解モードに切り替えられたときに、安定に電気分解を行うことができる。
また、本実施の形態では、一時停止モードでの動作時には陰極室10bに窒素ガスが供給されず、スタンバイモードでの動作時には陰極室10bに窒素ガスが供給される。この場合、一時停止モードでの動作時に窒素ガスの消費を削減することができるとともに、スタンバイモードでの動作時に陰極室10b内の水素ガスを希釈しつつ陰極室10bの内部圧力を適正に調整することができる。
また、一時停止モードでの動作時にはバキュームジェネレータ31が停止され、スタンバイモードでの動作時にはバキュームジェネレータ31が駆動される。この場合、一時停止モードでの動作時にバキュームジェネレータ31で使用する窒素ガスの消費を削減することができ、スタンバイモードでの動作時に陰極室10b内の水素ガスを排出することができる。
(6)他の実施の形態
上記実施の形態では、圧力センサS1の検出結果に基づいて一時停止モードとスタンバイモードとの切り替えを行っているが、液面センサS3,S4の検出結果に基づいて一時停止モードとスタンバイモードとの切り替えを行ってもよい。
一時停止モードにおいて、陽極室10aの内部圧力が低下すると、陽極室10aの液面が上昇し、陰極室10bの液面が低下する。そのため、陽極室10aおよび陰極室10bの液面の変化により、陽極室10aの内部圧力の低下を検出することができる。したがって、液面センサS3,S4の検出結果に基づいて、一時停止モードとスタンバイモードとの切り替えを行うことにより、陽極室10aの内部圧力を一定の範囲内に維持することができる。
具体的には、一時停止モードにおいて、液面センサS3により検出される陽極室10aの液面が第1の高さよりも高くなると、制御部50により一時停止モードからスタンバイモードに切り替えられる。また、スタンバイモードにおいて、液面センサS3により検出される陽極室10aの液面が第1の高さよりも低い第2の高さよりも低くなると、制御部50によりスタンバイモードから一時停止モードに切り替えられる。
また、上記実施の形態では、スタンバイモードにおいて、継続的に電圧印加装置51により陽極13および陰極14間に電圧が印加されるが、スタンバイモードにおいて、一時的または断続的に電圧印加装置51により陽極13および陰極14間に電圧が印加されてもよい。
また、上記実施の形態では、電解モードにおいて、継続的に陰極室10bに窒素ガスが供給されるが、電解モードにおいて、一時的または断続的に陰極室10bに窒素ガスが供給されてもよい。
また、上記実施の形態では、スタンバイモードにおいて、電圧印加装置51により陽極13および陰極14間に第2の電圧が印加されるが、陰極室10b内に陰極14の他の陰極が別途設けられ、スタンバイモードにおいて、電圧印加装置51により陽極13とその他の陰極との間に第2の電圧が印加されてもよい。
また、上記実施の形態では、電解モードおよびスタンバイモードにおいて、制御バルブV1,V8の開閉により陰極室10bの内部圧力を調整するが、これに限らず、他の方法で陰極室10bの内部圧力を調整してもよい。例えば、陰極室10bに供給される窒素ガスの流量を調整することにより陰極室10bの内部圧力を制御してもよく、バキュームジェネレータによる排気量を調整することにより陰極室10bの内部圧力を制御してもよい。
また、上記実施の形態では、電解モードにおいて、制御バルブV4の開閉により陽極室10aの内部圧力を調整するが、これに限らず、他の方法で陽極室10aの内部圧力を調整してもよい。例えば、ポンプP1の出力を調整することにより陽極室10aの内部圧力を制御してもよい。
また、上記実施の形態では、窒素ガスが陰極室10bに供給されるが、これに限らず、アルゴンガス等の他の不活性ガスが陰極室10bに供給されてもよい。
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態では、ガス排出口15および排気管15aが第1の排出経路の例であり、ガス排出口16および排気管16aが第2の排出経路の例であり、制御バルブV4が第1の排出制御手段の例であり、制御バルブV1が第2の排出制御手段の例であり、ガス供給ライン61が不活性ガス供給手段の例であり、電圧印加装置51が電圧印加手段の例であり、制御部50が主制御手段の例であり、電解モードが第1の制御モードの例であり、一時停止モードが第2の制御モードの例であり、スタンバイモードが第3の制御モードの例である。
また、圧力センサS1が第1の圧力検出手段の例であり、圧力センサS2が第2の圧力検出手段の例であり、しきい値T1が第1の圧力値の例であり、しきい値T2が第2の圧力値の例であり、液面センサS3が液面検出手段の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
本発明は、半導体の製造工程等において有効に利用することができる。
1 フッ素ガス発生装置
10 電解槽
10a 陽極室
10b 陰極室
17 HF供給ライン
31 バキュームジェネレータ
50 制御部
61 ガス供給ライン
P1 ポンプ
S1,S2 圧力センサ
S3,S4 液面センサ

Claims (8)

  1. 電気分解により第1の気体および第2の気体を発生させる気体発生装置であって、
    陽極室および陰極室に区画され、電気分解される化合物を含む電解浴を収容する電解槽と、
    前記陽極室において第1の気体が発生しかつ前記陰極室において第2の気体が発生するように前記化合物を電気分解するための電圧を前記電解槽内の電解浴に印加する電圧印加手段と、
    前記陽極室において発生された第1の気体を排出する第1の排出経路と、
    前記陰極室において発生された第2の気体を排出する第2の排出経路と、
    前記第1の排出経路を通しての第1の気体の排出を制御する第1の排出制御手段と、
    前記第2の排出経路を通しての第2の気体の排出を制御する第2の排出制御手段と、
    前記陰極室に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
    前記第1および第2の排出制御手段、前記不活性ガス供給手段および前記電圧印加手段を第1、第2および第3の制御モードのいずれかで制御する主制御手段とを備え、
    前記第1の制御モードは、前記第1および第2の排出制御手段により前記第1および第2の排出経路を通して第1および第2の気体を排出するとともに前記不活性ガス供給手段により前記陰極室に不活性ガスを供給するまたは不活性ガスの供給を停止する状態で、前記電圧印加手段により電解浴に第1の電圧を印加するモードであり、
    前記第2の制御モードは、前記第1および第2の排出制御手段により前記第1および第2の排出経路からの第1および第2の気体の排出を停止しかつ前記不活性ガス供給手段による不活性ガスの供給および前記電圧印加手段による電圧の印加を行わないモードであり、
    前記第3の制御モードは、前記第1の排出制御手段により前記第1の排出経路からの第1の気体の排出を停止するとともに前記第2の排出制御手段により前記第2の排出経路を通して第2の気体を排出しかつ前記不活性ガス供給手段により前記陰極室に不活性ガスを供給する状態で、前記電圧印加手段により電解浴に前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を印加するモードであり、
    前記第1、第2および第3の制御モードが切り替え可能に構成されることを特徴とする気体発生装置。
  2. 前記主制御手段は、前記第2の制御モードと前記第3の制御モードとを自動的に切り替えることを特徴とする請求項1記載の気体発生装置。
  3. 前記陽極室の内部圧力を検出する第1の圧力検出手段をさらに備え、
    前記主制御手段は、前記第2の制御モードにおいて、前記第1の圧力検出手段により検出される前記陽極室の内部圧力が第1の圧力値よりも低くなると前記第2の制御モードを前記第3の制御モードに切り替えることを特徴とする請求項2記載の気体発生装置。
  4. 前記主制御手段は、前記第3の制御モードにおいて、前記第1の圧力検出手段により検出される前記陽極室の内部圧力が前記第1の圧力値より大きい第2の圧力値よりも高くなると前記第3の制御モードを前記第2の制御モードに切り替えることを特徴とする請求項3記載の気体発生装置。
  5. 前記陽極室の電解浴の液面高さを検出する液面検出手段をさらに備え、
    前記主制御手段は、前記第2の制御モードにおいて、前記液面検出手段により検出される前記陽極室の電解浴の液面高さが第1の高さよりも高くなると前記第2の制御モードを前記第3の制御モードに切り替えることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の気体発生装置。
  6. 前記主制御手段は、前記第3の制御モードにおいて、前記液面検出手段により検出される前記陽極室の電解浴の液面高さが前記第1の高さより低い第2の高さよりも低くなると前記第3の制御モードを前記第2の制御モードに切り替えることを特徴とする請求項5記載の気体発生装置。
  7. 前記陰極室の内部圧力を検出する第2の圧力検出手段をさらに備え、
    前記主制御手段は、前記第1および第3の制御モードにおいて、前記第1の圧力検出手段により検出される前記陽極室の内部圧力および前記第2の圧力検出手段により検出される前記陰極室の内部圧力に基づいて前記第2の排出制御手段による第2の気体の排出量を調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の気体発生装置。
  8. 前記第1の気体はフッ素ガスであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の気体発生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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