JP2010215952A - 摺動部材、その製造方法、及び摺動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材Wの表面に、窒化炭素被膜CNを成膜する工程と、前記窒化炭素被膜CNの表面に紫外線を照射する工程と、を含み、紫外線を照射することにより、表面層は、紫外線照射を行っていない窒化炭素のその他部分に比べて、グラファイト構造をより多く含んでいるので、摺動部材の初期馴染み性を向上させることができる。また、表面層のみをグラファイト化するので、窒化炭素被膜CNそのものの強度は確保される。
【選択図】図1
Description
(実施例1)
<ディスク試験片(摺動部材)の製作>
本発明に係る摺動部材として、以下に示すディスク試験片を製作した。具体的には、窒化炭素被膜を成膜する基材として、直径50mm、厚み0.3mm、円部表面(摺動面)が鏡面状態(100面方位)となる、ディスク形状のシリコンウェハを準備した。そして、イオンビームミキシング法により、この基材の表面に窒素含有量が9原子%の0.1μmの窒化炭素被膜(CNx被膜)を成膜した。
以下の手順で摩擦試験を行った。まず、直径8mm、以下の表1に示す窒化珪素球を準備した。
実施例1と同じようにして、ディスク試験片を製作した。実施例1と相違する点は、実施例2が、波長321nmにスペクトルピークを持つ放電管(CST−8B)を用いて、波長321nmの紫外線を、窒化炭素被膜に照射した点であり、実施例3が、波長365nmにスペクトルピークを持つ放電管(CST−8A)を用いて、波長365nmの紫外線を、窒化炭素被膜に照射した点である。そして、これらに対して、実施例1と同様に一連の評価試験を行った。この結果を、図3及び4に示す。
実施例1と同じようにして、ディスク試験片を製作した。実施例1と相違する点は、紫外線を窒化炭素被膜に照射していない点である。そして、実施例1と同様に一連の評価試験を行った。この結果を、図3及び4に示す。
図1に示すように、実施例1の254nm、実施例2の312nm、及び実施例3の365nmの波長の紫外線を120分照射したものは、比較例1の照射していないものに比べて、平均摩擦係数が低かった。なお、実施例1〜3は、いずれの照射時間であっても、初期の摩擦係数は0.023程度であったが、サイクル数(摩擦繰返し数)とともに、摩擦係数が0.001以下となった。
実施例1と同じように、シリコンウェハの表面に窒化炭素被膜を形成した。実施例1と相違する点は、成膜時に紫外線を照射せず、実施例4は、紫外線の波長254nm、実施例5は、紫外線の波長312nm、実施例6は、紫外線の波長365nmの波長の紫外線を照射しながら摩擦試験を行った点である。この摩擦試験における平均摩擦係数を図5及び表2に示す。なお、摩擦試験時の紫外線は、摺動中の窒化炭素被膜の表面に向って、上方に紫外線照射装置を配置し照射した。
実施例4と同じように摩擦試験を行った。実施例4と相違する点は、紫外線を照射せずに摩擦試験を行った点である。この摩擦試験の平均摩擦係数を図5及び表2に示す。
実施例1と同じように、シリコンウェハの表面に窒化炭素被膜を形成した。実施例1と相違する点は、窒素イオン源から加速電圧、電流密度、窒素イオンの流量を変化させて、窒素含有量を12原子%となるように窒化炭素被膜を成膜した点、及び、成膜時に紫外線を照射せず、実施例7は、紫外線の波長254nm、実施例8は、紫外線の波長312nm、実施例9は、紫外線の波長365nmの波長の紫外線を照射しながら摩擦試験を行った点である。この摩擦試験における平均摩擦係数の結果を図6及び表2に示す。
実施例7と同じように摩擦試験を行った。実施例7と相違する点は、紫外線を照射せずに摩擦試験を行った点である。この摩擦試験の平均摩擦係数を図6及び表2に示す。
実施例1と同じように、シリコンウェハの表面に炭素被膜を形成した。実施例1と相違する点は、窒素含有量を0原子%となるように炭素被膜を成膜した点、及び、成膜時に紫外線を照射せず、比較例4−1は、紫外線を照射せずに摩擦試験を行った点であり、比較例4−2は、紫外線の波長254nm、比較例4−3は、紫外線の波長312nm、比較例4−4は、紫外線の波長365nmの波長の紫外線を照射しながら摩擦試験を行った点である。この摩擦試験における平均摩擦係数の結果を表2に示す。
実施例1と同じように、シリコンウェハの表面に炭素被膜を形成した。実施例1と相違する点は、窒素含有量を0原子%として炭素被膜を成膜した点、及び、成膜時に紫外線を照射せず、比較例5−4は、紫外線を照射せずに摩擦試験を行った点であり、比較例5−2は、紫外線の波長254nm、比較例5−3は、紫外線の波長312nm、比較例5−4は、紫外線の波長365nmの波長の紫外線を照射しながら摩擦試験を行ったである。この摩擦試験における平均摩擦係数を表2に示す。
実施例4〜6は、図5及び表2に示すように、比較例2に比べて、平均摩擦係数が低くかった。また、実施例7〜9は、図6及び表2に示すように、比較例3に比べて、平均摩擦係数が低くかった。さらに、表2に示すように、比較例4−1〜4−4は、紫外線の照射の有無、及び紫外線の照射の波長にかかわらず、平均摩擦係数は、同程度であった。また、表2に示すように、比較例5−1〜5−4も、比較例4−1〜4−4と同様に、紫外線の照射の有無、及び紫外線の照射の波長にかかわらず、摩擦係数は、同程度であった。このように、実施例4〜9の平均摩擦係数は、0.07〜0.19の範囲であり、比較例2,3,4−1〜4−4,5−1〜5−4の平均摩擦係数は、0.10〜0.49の範囲にあった。
実施例1と同じように、シリコンウェハの表面に窒化炭素被膜を形成した。実施例1と相違する点は、窒素イオン源から加速電圧、電流密度、窒素イオンの流量を変化させて、窒素含有量を9原子%となるように窒化炭素被膜を成膜した点、及び、実施例10は、紫外線の波長254nm、実施例11は、紫外線の波長312nm、実施例12は、紫外線の波長365nmの波長の紫外線を、成膜後の窒化炭素被膜に240分間照射した点と、摩擦試験をポリアルファオレフィン(PAO)油中で行った点である。この摩擦試験における平均摩擦係数を図7に示す。
実施例10と同じようにして、シリコンウェハの表面に窒化炭素被膜を形成した。実施例1と相違する点は、紫外線を窒化炭素被膜に照射していない点である。そして、実施例10と同様に摩擦試験を行った。この摩擦試験における平均摩擦係数の結果を、図7に示す。
実施例1と同じように、シリコンウェハの表面に窒化炭素被膜を形成した。実施例1と相違する点は、窒素イオン源から加速電圧、電流密度、窒素イオンの流量を変化させて、窒素含有量を12原子%となるように窒化炭素被膜を成膜した点、及び、実施例13は、紫外線の波長254nm、実施例14は、紫外線の波長312nm、実施例15は、紫外線の波長365nmの波長の紫外線を、成膜後の窒化炭素被膜に240分間照射した点と、摩擦試験をポリアルファオレフィン(PAO)油中で行った点である。この摩擦試験における平均摩擦係数の結果を、を図8に示す。
実施例13と同じようにして、ディスク試験片を製作した。実施例13と相違する点は、紫外線を窒化炭素被膜に照射していない点である。そして、実施例13と同様に摩擦試験を行った。この摩擦試験における平均摩擦係数の結果を、図8に示す。
実施例1と同じように、シリコンウェハの表面に炭素被膜を形成した。実施例1と相違する点は、窒素含有量を0原子%となるように炭素被膜を成膜した点、及び、比較例8−1は、紫外線を照射せずに摩擦試験を行った点、実施例8−2は、紫外線の波長254nm、実施例8−3は、紫外線の波長312nm、実施例8−4は、紫外線の波長365nmの波長の紫外線を、成膜後の窒化炭素被膜に240分間照射した点、摩擦試験をポリアルファオレフィン(PAO)油中で行った点である。この摩擦試験における平均摩擦係数を図9に示す。
実施例1と同じように、シリコンウェハの表面に窒化炭素被膜を形成した。実施例1と相違する点は、窒素イオン源から加速電圧、電流密度、窒素イオンの流量を変化させて、窒素含有量を19原子%となるように窒化炭素被膜を成膜した点、及び、比較例8−1は、紫外線を照射せずに摩擦試験を行った点、比較例8−2は、紫外線の波長254nm、比較例8−3は、紫外線の波長312nm、比較例8−4は、紫外線の波長365nmの波長の紫外線を、成膜後の窒化炭素被膜に240分間照射した点と、摩擦試験をポリアルファオレフィン(PAO)油中で行った点である。この摩擦試験における平均摩擦係数を図10に示す。
実施例10〜12は、図7に示すように、比較例6に比べて、平均摩擦係数が低くかった。また、実施例13〜15は、図8に示すように、比較例7に比べて、平均摩擦係数が低くかった。さらに、比較例8−1〜8−4は、紫外線の照射の有無、及び紫外線の照射の波長にかかわらず、平均摩擦係数は、同程度であった。比較例9−1〜9−4も、比較例8−1〜8−4と同様に、紫外線の照射の有無、及び紫外線の照射の波長にかかわらず、摩擦係数は、同程度であった。また、実施例10〜15のいずれも、初期の摩擦係数が0.03程度であったが、その後、最終的には、0.017程度になり、摩擦係数が約1/2に減少した。
実施例1と同じように、窒素イオン源から加速電圧、電流密度、窒素イオンの流量を変化させて、シリコンウェハの表面に、窒素含有量が、0原子%、9原子%、12原子%、及び19原子%の炭素被膜を形成した。次に、紫外線の波長を254〜312nm範囲で選定した紫外線を、照射時間を120〜240分の範囲で選定した時間で照射して、ディスク試験片を作製した。これらのものに対して、摩擦試験をポリアルファオレフィン(PAO)油中で行い、窒素含有量毎における最小となる摩擦係数と、窒素含有量毎の摩擦係数の平均値とを、摩擦係数の平均値からの摩擦係数減少率を測定した。この結果を図11に示す。
窒素含有量が0原子%の場合は、紫外線波長254nm、照射時間120分で、最小摩擦係数0.024となり、窒素含有量が9原子%の場合は、紫外線波長312nm、照射時間120分で、最小摩擦係数0.026となり、窒素含有量が12原子%の場合は、紫外線波長254nm、照射時間240分で、最小摩擦係数0.016となり、窒素含有量が19原子%の場合は、紫外線波長312nm、照射時間240分で、最小摩擦係数0.034となった。
Claims (7)
- 基材の表面に、窒化炭素被膜を成膜する工程と、
前記窒化炭素被膜の表面に紫外線を照射する工程と、を含むことを特徴とする摺動部材の製造方法。 - 前記照射する紫外線の波長は、365nm以下の波長であることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材の製造方法。
- 前記窒化炭素被膜に含有する窒素含有量が、9原子%以上19原子%未満となるように、前記窒化炭素被膜を成膜することを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動部材の製造方法。
- 基材の表面に、窒化炭素被膜が形成された摺動部材であって、
前記窒化炭素被膜は、少なくとも表面層に紫外線の照射された層を含むことを特徴とする摺動部材。 - 前記照射された紫外線の波長は、365nm以下の波長であることを特徴とする請求項4に記載の摺動部材。
- 前記窒化炭素被膜に含有される窒素含有量が、9原子%以上19原子%未満であることを特徴とする請求項4又は5に記載の摺動部材。
- 基材の摺動面に、窒化炭素被膜が形成された摺動部材の摺動方法であって、
前記窒化炭素被膜の表面に紫外線を照射しながら、前記摺動部材を摺動させることを特徴とする摺動部材の摺動方法。
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JP2009062601A JP2010215952A (ja) | 2009-03-16 | 2009-03-16 | 摺動部材、その製造方法、及び摺動方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017025396A (ja) * | 2015-07-27 | 2017-02-02 | トヨタ自動車株式会社 | 摺動部材およびその製造方法 |
CN112921272A (zh) * | 2021-01-26 | 2021-06-08 | 西安钛斗金属制品科技有限公司 | 一种低摩擦TiN膜层的制备方法 |
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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JPN6013024746; 神谷真人、外3名: 'CNx膜のトライボロジー特性に及ぼす紫外線照射の影響' 日本機械学会東海支部総会講演会講演論文集 Vol.58th, 20090301, p.199-200 * |
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---|---|---|---|---|
JP2017025396A (ja) * | 2015-07-27 | 2017-02-02 | トヨタ自動車株式会社 | 摺動部材およびその製造方法 |
CN112921272A (zh) * | 2021-01-26 | 2021-06-08 | 西安钛斗金属制品科技有限公司 | 一种低摩擦TiN膜层的制备方法 |
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