JP2010215849A - ポリオレフィン系樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の内の少なくとも1種と、高分子型帯電防止剤とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物が金型内に注型されてなるポリオレフィン系樹脂成形品において、高分子型帯電防止剤の使用量の低減を図りつつ帯電防止を図る。
【解決手段】ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の内の少なくとも1種と、高分子型帯電防止剤とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物が金型内に注型されてなるポリオレフィン系樹脂成形品であって、前記ポリオレフィン系樹脂組成物には、さらに、ポリ乳酸系樹脂が含有されていることを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形品。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂成形品に関し、より詳しくは、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の内の少なくとも1種と、高分子型帯電防止剤とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物が金型内に注型されてなるポリオレフィン系樹脂成形品に関する。
従来、樹脂組成物を金型内に注型する射出成形やトランスファー成形といった樹脂成形品の製造が広く行われており、例えば、トレーなどの容器の成形加工に際して射出成形法を採用することが行われている。
このような、射出成形などに供される樹脂組成物としては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂といった比較的安価なポリオレフィン系樹脂をベースポリマーとしたポリオレフィン系樹脂組成物が用いられたりしている。
そして、ポリオレフィン系樹脂組成物が金型内に注型されて形成されたポリオレフィン系樹脂成形品は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂といった比較的安価な主原料によって形成されることから材料コストを低く抑えることができるばかりでなく、軽量な割に機械的強度に優れているなどその特性面からも広く用いられている。
しかし、ポリオレフィン系樹脂成形品は、静電気によって帯電されやすく、保管中に挨等が付着して汚れを生じやすいという問題や、電気・電子部品に対して悪影響を及ぼすおそれが有り改善が求められている。
このようなポリオレフィン系樹脂成形品の帯電による諸問題は、成形品表面の表面抵抗率の値を低下させることで防止されることが知られており、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂では、樹脂単体の射出成形品の表面抵抗率の値が、通常、1015(Ω/□)オーダーを超えるレベルであるのに対してこれを1013(Ω/□)オーダー以下に低下させることで上述のような問題の発生が防止され得ることが知られている。
この表面抵抗率を低下させる手法として、ポリオレフィン系樹脂成形品の形成に用いる樹脂組成物中に帯電防止剤と呼ばれる成分を含有させる方法が採用されており、従来、界面活性剤などのような成分を原材料中に含有させることが行われている。
この界面活性剤などの、分子量が1000程度、あるいは、それ以下のものは“低分子型帯電防止剤”とも呼ばれており、これらの低分子型帯電防止剤は、帯電防止に有効ではあるもののポリマー中における拡散速度が大きいため経時的にポリオレフィン系樹脂成形品表面に滲出して、いわゆる“ブリードアウト”という問題を発生させるおそれを有する。
さらには、射出成形やトランスファー成形に用いる金型の内面を汚損する、いわゆる“モールドディポジット”などと呼ばれる問題を発生させるおそれも有する。
近年、このようなことから、低分子型帯電防止剤に代えて分子量が1000を超え、数万に及ぶような高分子量の物質で帯電防止に有効な、いわゆる“高分子型帯電防止剤”の利用が検討されている(下記特許文献1参照)。
この高分子型帯電防止剤は、エーテル結合やエステル結合を含んだ極性ブロックと、アルキルなどからなる非極性ブロックとを有する共重合体であり、ポリマー中における移行性が低いことから、この高分子型帯電防止剤を用いることでブリードアウトの問題を抑制させることができる。
一方で、高分子型帯電防止剤は、比較的、大量に配合しないと効果が発揮されず、しかも、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂に比べてはるかに高価であるためポリオレフィン系樹脂成形品の材料コストを増大させてしまいポリオレフィン系樹脂成形品の汎用性を低下させてしまっている。
このようなことを防止すべく高分子型帯電防止剤を少ない量で有効に作用させるための検討が広く行われているが、その手法は確立されていない。
特開2008−274031号公報
本発明は、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の内の少なくとも1種と、高分子型帯電防止剤とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物が金型内に注型されてなるポリオレフィン系樹脂成形品における、高分子型帯電防止剤の使用量の低減を図りつつ帯電防止を図ることを課題としている。
上記課題を解決するためのポリオレフィン系樹脂成形品に係る本発明は、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の内の少なくとも1種と、高分子型帯電防止剤とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物が金型内に注型されてなるポリオレフィン系樹脂成形品であって、前記ポリオレフィン系樹脂組成物には、さらに、ポリ乳酸系樹脂が含有されていることを特徴としている。
本発明のポリオレフィン系樹脂成形品は、その形成に用いられるポリオレフィン系樹脂組成物にポリ乳酸系樹脂が含有されている。
ポリ乳酸系樹脂は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂に対する相溶性が低いことから、ポリオレフィン系樹脂組成物でポリオレフィン系樹脂成形品を形成させるのに際してポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂からなるマトリックス中に粒子状に分散し、いわゆる“海島構造”を形成することとなる。
そして、それに伴って、高分子型帯電防止剤の一部を、このポリ乳酸系樹脂粒子とマトリックス樹脂との界面に沿って集合させることができる。
したがって、単に、高分子型帯電防止剤のみをポリプロピレン系樹脂などに分散させている場合と違って、表面の電気抵抗値を大きく低下させうる。
すなわち、高分子型帯電防止剤の使用量の低減を図りつつ帯電防止を図り得る。
ポリ乳酸系樹脂と高分子型帯電防止剤(ペレスタット230)の分散状態を観察したTEM像。
本発明のポリオレフィン系樹脂成形品に係る実施の形態について、以下に説明する。
まず、前記ポリオレフィン系樹脂成形品を形成するためのポリオレフィン系樹脂組成物について説明する。
本実施形態のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の内の少なくとも1種を含むポリオレフィン系のベース樹脂と、高分子型帯電防止剤とを含有し、さらに、ポリ乳酸系樹脂が含有されている。
前記ベース樹脂を構成するポリエチレン(PE)系樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖低密度ポリエチレン樹脂、(高圧法によって得られる)低密度ポリエチレン樹脂などが挙げられる。
また、前記ポリプロピレン(PP)系樹脂としては、プロピレン成分のみからなるホモポリプロピレン樹脂、プロピレン成分以外にエチレンなどのオレフィン成分を含有するランダム共重合体やブロック共重合体が挙げられる。
なお、共重合体の場合には、プロピレン以外のオレフィンを共重合体中に0.5〜30重量%、特に好ましくは1〜10重量%の割合で含有させたものを用いることが望ましい。この場合のオレフィン成分としては、エチレン、あるいは、炭素数4〜10のα−オレフィンを挙げることができる。
また、本実施形態のポリオレフィン系樹脂組成物には、これら以外に、ポリブテン樹脂や、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂などのポリオレフィン系樹脂を前記ベース樹脂の一部として含有させうる。
これら、ポリオレフィン系の樹脂は、ポリオレフィン系樹脂組成物における、ポリ乳酸系樹脂を除いた樹脂成分の内の主たる成分となるもので、前記樹脂成分の50重量%以上、好ましくは、90重量%以上が前記ポリオレフィン系樹脂とされることが望ましく、ポリオレフィン系樹脂のみによって前記樹脂成分が構成されることが最も好ましい。
前記ポリ乳酸系樹脂としては、ポリD−乳酸樹脂、ポリL−乳酸樹脂、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸樹脂、ポリD−乳酸樹脂とポリL−乳酸樹脂との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD−乳酸又はポリL−乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体をあげることができ、これらは、単独、または、複数混合した状態でポリオレフィン系樹脂組成物に含有させうる。
前記高分子型帯電防止剤としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、エチレン−メタクリル酸共重合体などのアイオノマー、ポリエチレングリコールメタクリレート系共重合体等の第四級アンモニウム塩、特開2001−278985号公報等に記載のオレフィン系ブロックと親水性ブロックとの共重合体等が挙げられる。
中でも、ポリ乳酸系樹脂との相互作用を考慮した場合、オレフィン系ブロックと親水性ブロックとの共重合体が好ましく、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体(ポリエーテル系ブロックとポリオレフィン系ブロックのブロック共重合体)を主成分とする高分子型帯電防止剤が好適に使用されうる。
また、帯電防止性能の更なる向上を目的として、ポリアミド系樹脂をポリオレフィン系樹脂組成物に添加したり、ポリアミド系ブロックをさらに共重合させた高分子型帯電防止剤を本実施形態のポリオレフィン系樹脂組成物に含有させたりすることができる。
また、本実施形態において用いられる高分子型帯電防止剤としては、プロピレンを70モル%以上含むオレフィン系ブロックとポリエーテル系ブロックとのブロック共重合体を主成分とするものがより好ましい。
ここで、「主成分」とは、高分子型帯電防止剤中に占める上記のポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体の割合が、50重量%以上であることをいう。
なお、上記のようなポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体が高分子型帯電防止剤中に70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが特に好ましい。
なお、帯電防止効果を高めるために、アルキルベンゼンスルホン酸塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤や、その他の界面活性剤又はアルカリ金属塩などの低分子型帯電防止剤を併用してもよい。
ただし、これらの添加によって、溶出イオン量が増加することがあるので使用量は、ポリオレフィン系樹脂組成物に含有される帯電防止剤(高分子型帯電防止剤+低分子型帯電防止剤)の合計量に占める割合が0.5重量%未満となるように含有させることが好ましい。
本実施形態のポリオレフィン系樹脂組成物における前記ベース樹脂と前記ポリ乳酸系樹脂との配合割合や、高分子型帯電防止剤の含有量などは特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂成形品の表面抵抗率は、1×108〜1×1013Ω/□のいずれかであることが好ましいことから、このような表面抵抗率をポリオレフィン系樹脂成形品に付与させ得るものの中で、より高分子型帯電防止剤の含有量の低減が可能な配合割合を選択することが好ましい。
なお、ポリオレフィン系樹脂成形品の表面抵抗率は、1×109〜1×1012Ω/□のいずれかとさせることがより好ましく、1×109〜1×1011Ω/□のいずれかとさせることが最も好ましい。
このような表面抵抗率の値をポリオレフィン系樹脂成形品に付与しうるポリ乳酸系樹脂のポリオレフィン系樹脂組成物に占める含有量としては、通常、5〜20重量%のいずれかであり、5〜15重量%のいずれかであることが好ましい。
また、前記高分子型帯電防止剤は、通常、ポリオレフィン系樹脂組成物全体に占める割合が2〜30重量%の内のいずれかとなる割合で含有される。
この、高分子型帯電防止剤の下限値が、2重量%とされているのは、これよりも少ない含有量の場合には、ポリオレフィン系樹脂成形品に十分な帯電防止効果が発揮されないおそれを有するためであり、上限値が30重量%とされているのは、これを超えて高分子型帯電防止剤を含有させても、その含有量に見合う帯電防止効果が得られにくいばかりでなくポリオレフィン系樹脂成形品の材料コストを増大させてしまうおそれがあるためである。
なお、このような観点からは、前記高分子型帯電防止剤は、ポリオレフィン系樹脂組成物全体に占める割合が3〜20重量%の内のいずれかとなる割合で含有されることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂組成物全体に占める割合が5〜10重量%の内のいずれかとなる割合で含有されることが特に好ましい。
なお、高分子型帯電防止剤とポリ乳酸とは、その溶融特性をある程度近似させていることが好ましく、特に、メルトフローレート(MFR)に代表される流れ特性において所定の関係となるようにそれぞれが選択されることが好ましい。
例えば、高分子型帯電防止剤をJIS K 7210の条件M(試験温度:230℃、公称荷重2.16kg)に基づいて測定したメルトフローレートが30g/10min以上となるような高フローのものである場合には、この高分子型帯電防止剤とともにポリオレフィン系樹脂組成物に含有させるポリ乳酸系樹脂のメルトフローレートは、JIS K 7210の条件D(試験温度:190℃、公称荷重2.16kg)に基づいて測定した場合に1〜3g/10minであることが好ましい。
このように高分子型帯電防止剤とポリ乳酸系樹脂との流れ特性を関係付けることにより、後述する成形品製造時においてこれらの分散状態を帯電防止に好適な態様とさせることができる。
なお、ここでは詳述しないが、本実施形態のポリオレフィン系樹脂成形品の形成に用いられるポリオレフィン系樹脂組成物には、一般的な樹脂成形品の形成に用いられる配合剤を含有させることができ、例えば、耐候剤や老化防止剤といった各種安定剤、滑剤などの加工助剤、スリップ剤、防曇剤、顔料、充填剤などを添加剤として適宜含有させることができる。
次いで、このようなポリオレフィン系樹脂組成物を用いてポリオレフィン系樹脂成形品を製造する製造方法について説明する。
本実施形態においては、一般的な樹脂成形品に用いられる方法を採用することができ、例えば、前記ベース樹脂、前記ポリ乳酸系樹脂、及び、前記高分子型帯電防止剤などを含有するポリオレフィン系樹脂組成物を作製する樹脂混練工程を実施した後に、得られたポリオレフィン系樹脂組成物を、射出成形やトランスファー成形といった金型内に注型する方法によって製品形状とする成形工程を実施する方法が挙げられる。
以下に、それぞれの工程に関して、より具体的に説明する。
(樹脂混練工程)
まず、ポリオレフィン系樹脂組成物を作製する方法の具体的な例としては、該ポリオレフィン系樹脂組成物を構成する各成分を所定量配合し、これを混練して前記成分が所定の割合で含有されているペレットやグラニューラを作製する方法を挙げることができ、例えば、ベース樹脂、ポリ乳酸系樹脂、高分子型帯電防止剤と、必要に応じてスリップ剤、防曇剤等の添加剤とを計量してタンブラーブレンダー、へンシェルミキサーなどでドライブレンドした後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで各配合材料が略均一に混合された状態となるように溶融混練し、さらに、この溶融混練物をストランド状に押出してペレタイズするか、ホットカットしてペレット化する方法などが挙げられる。
(成形工程)
上記樹脂混練工程で得られたペレットを、例えば、射出成形によって製品形状に成形加工する方法としては、前記製品形状を形成させ得るように形状加工が施された金型と、該金型内に前記ペレットを溶融状態で注型させ得る押し出し機等とが組み合わされた装置を用いて実施することができる。
この樹脂混練工程、及び、成形工程において、極性の高いポリ乳酸系樹脂が、このポリ乳酸系樹脂よりも極性の低いポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂といったベース樹脂中に分散されることによってベース樹脂をマトリックスとし、且つポリ乳酸系樹脂による分散相を形成させた海島構造がポリオレフィン樹脂組成物中に形成される。
このとき、ポリ乳酸系樹脂に対して親和性の高い、エーテル結合やエステル結合を含んだ極性ブロックを有する高分子型帯電防止剤がこの分散相とマトリックスとの界面に集合して濃化し、この界面に沿っての電気抵抗の低い領域を形成させる。
しかも、成形工程においては、ポリ乳酸系樹脂が樹脂の流れ方向に沿って長く延び、比較的アスペクト比の高い粒状となって分散相を形成し、例えば、1μm長さを超える粒状となって分散相を形成する。
従来のポリオレフィン系樹脂成形体の形成に用いられているポリオレフィン系樹脂組成物のごとく高分子型帯電防止剤のみをベース樹脂に含有させるだけで電気抵抗の低い相を形成させようとすると、ポリオレフィン系樹脂組成物に、例えば、30重量%を超えるような大量配合を必要とする場合がある。
一方で、本実施形態におけるポリオレフィン系樹脂成形体では、ポリ乳酸系樹脂によって1μm長さを超える分散相が形成され、マトリックスとの界面に高分子型帯電防止剤が集合されることから、この集合された高分子型帯電防止剤によってポリ乳酸系樹脂の周りにイオン伝導路が形成されることとなる。
このことから、通常、分散相を形成しているアスペクト比の高いポリ乳酸系樹脂粒子の一端側から他端側にかけての電気抵抗値の方が、ポリ乳酸系樹脂粒子どうしの間の電気抵抗値よりも低くなりポリオレフィン系樹脂成形体の表面抵抗率の値は、主として、分散相間の抵抗値によって決定されることになる。
ここで、本実施形態のポリオレフィン系樹脂成形体においては、樹脂の流れ方向に沿って1μm長さを超えるような長細い粒状に形成されたポリ乳酸系樹脂粒子によって分散相が形成されることから、この長手方向に沿った電気抵抗値の低減が図られることとなる。
一方で、例えば、樹脂の流れ方向と直交する方向に電圧を印加した場合においては、ポリ乳酸系樹脂粒子どうしが隣り合せとなる区間における最も電気抵抗値の低い箇所を通ってポリ乳酸系樹脂粒子間を電気が流れることになるが、本実施形態のポリオレフィン系樹脂成形体においては、樹脂の流れ方向に沿って長細い粒状に形成されたポリ乳酸系樹脂粒子によって分散相が形成されることから、ポリ乳酸系樹脂粒子どうしが隣り合わせとなる区間が長く形成され、この間に電気抵抗値の低い箇所が形成される可能性が高くなり、この方向においても電気抵抗値の低減が図られることとなる。
また、マトリックスとなっているベース樹脂と、分散相をなしているポリ乳酸系樹脂との界面を横断する方向への電気抵抗(界面抵抗)の低減にも高分子型帯電防止剤を有効に作用させ得ることから、単に、ベース樹脂に高分子型帯電防止剤を分散させた場合よりもポリオレフィン系樹脂成形品の表面抵抗率の低減を図ることができる。
すなわち、高分子型帯電防止剤とポリ乳酸系樹脂との相乗効果によって成形品の表面抵抗値の低減を図ることができる。
このことから、高分子型帯電防止剤の配合量を30重量%以下の、例えば、5〜10重量%に低減したとしてもポリオレフィン系樹脂成形品の表面抵抗率の値を、一般的に求められる1013(Ω/□)オーダー以下(1×1014未満)の値となるように低下させうる。
このようにして、ポリオレフィン系樹脂成形品において高分子型帯電防止剤の使用量を抑制しつつ表面抵抗率の低減を図ることができる。
なお、この成形工程は、金型内に注型するポリオレフィン系樹脂組成物を、ソリッドな状態で注型する場合に限定されるものではなく、発泡を生じさせてポリオレフィン系樹脂成形品として、発泡成形品を形成させる場合も本発明の意図する範囲である。
このような発泡成形品を形成させるには、例えば、発泡成分を含有させたポリオレフィン系樹脂組成物を射出成形するなどすればよく、この発泡成分については、例えば、加熱分解型の発泡剤や、気泡核剤(以下、単に「核剤」ともいう)とガス成分との組み合わせなどが挙げられる。
前記加熱分解型の発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物などが挙げられる。
また、前記核剤としては、例えば、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズなどの無機化合物、ポリテトラフルオロエチレン、などの有機化合物などが挙げられる。
この核剤とともに用いられる前記ガス成分としては、例えば、水、炭化水素、各種フロン、ジメチルエーテル、塩化メチル、塩化エチル、窒素、二酸化炭素、アルゴン等が挙げられる。
これらの発泡成分については、それぞれ、単独、または、複数組み合わせて用いることができる。
また、ここでは詳述しないが、ポリオレフィン系樹脂成形品や、その製造方法に係る従来公知の技術事項を、本発明の効果が著しく損なわれない範囲においては、本発明においても採用が可能である。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(配合剤)
以下に、各実施例、比較例のポリオレフィン系樹脂成形品などの作製に用いる配合剤の略称と、その詳細とを記載する。
(参考事例)
(基準例1、参考例1、2)
まず、参考事例として、下記表1に示す配合のポリオレフィン系樹脂組成物を用いたT−ダイ押出しフィルムを作製し、このポリオレフィン系樹脂フィルムの帯電防止性能についての評価を以下のようにして行った。
得られたポリオレフィン系樹脂フィルムに対して、JIS K 6911:1995「熱硬化性プラスチックー般試験方法」記載の方法により表面抵抗率の値を測定した。
具体的には、一辺が10cmの平面正方形状の試験片を温度22℃、湿度60%の雰囲気下に24時間放置した後、温度22℃、湿度60%の環境下、試験装置(アドバンテスト社製、デジタル超高抵抗/微少電流計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試験片に、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500Vの電圧を印加して1分経過後の抵抗値を測定し、次式により算出した。
ρs=π(D+d)/(D−d)×Rs
ただし、
ρs:表面抵抗率(Ω/□)
D:表面の環状電極の内径(cm)(レジスティビティ・チェンバR12702Aでは、7cm)
d:表面電極の内円の外径(cm)(レジスティビティ・チェンバR12702Aでは、5cm)
Rs:表面抵抗(Ω)
また、測定は3回実施し、それぞれの算術平均値を求めた。
結果を、表1に併せて示す。
この表1にも示されているように、単に高分子型帯電防止剤を基準配合(基準例1)に比べて減量した参考例1では、大きく表面抵抗率の値を増大させている一方で、HV6250を併用している場合には、高分子型帯電防止剤を減量しても表面抵抗率の値を大きく低下させうる。
(基準例2、参考例3、4)
表2に示す、配合で、表2に示す厚みのポリオレフィン系樹脂フィルムを上記参考例1、2と同様に作製し、表面抵抗率の測定を行った。
結果を、表2に併せて示す。


この表2からも、ポリ乳酸系樹脂(PLA)を併用することで高分子型帯電防止剤の使用を抑制しつつ帯電防止性を付与させうることがわかる。
(表面TEM観察)
ポリ乳酸系樹脂を10重量%、ペレスタット230を7重量%含有させたポリオレフィン系樹脂組成物が用いられてなるポリオレフィン系樹脂フィルムを用いて作製した薄片試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した様子を図1に示す。
この図1のTEM像において観察される分散相はポリ乳酸系樹脂によって形成されたものであり、このポリ乳酸系樹脂の周囲を黒く縁取っているのがペレスタット230である。
そして、TEM像の下に設けられているスケールバーは0.5μm長さを表しており、この図1からも、ポリ乳酸系樹脂がアスペクト比の高い分散相を形成し、その周囲に高分子型帯電防止剤であるペレスタット230が集合されていることがわかる。
この図1は、ポリオレフィン系樹脂フィルムについて観察したものではあるが、射出成形などによって形成されたポリオレフィン系樹脂成形品の表面も同様の状態となっているものと推認される。
(実験例)
(基準例3、4、比較例1〜4)
次いで、ポリオレフィン系樹脂成形品についての評価事例を示す。
まず、下記表3に示す配合のポリオレフィン系樹脂組成物を作製した。このポリオレフィン系樹脂組成物は、各材料を二軸押出し機にて混練し、ペレット化することにより作製した。
このペレット(ポリオレフィン系樹脂組成物)を射出成形して20mm×30mm×4mmのシート状(非発泡)のポリオレフィン系樹脂成形品を作製した。
得られたポリオレフィン系樹脂成形品に対して、以下のような評価を実施した。
(評価方法)
また、得られたシート状のポリオレフィン系樹脂成形品を、温度22℃、相対湿度60%の環境下に24時間放置した後、温度22℃、相対湿度60%の環境下、三菱化学社製、高抵抗率計、「ハイレスターUP(MCP−HT450、プローブ:URS)を使用して、表面抵抗率の値を測定した。
測定に際しては、プローブをシート状のポリオレフィン系樹脂成形品の表面に圧着させDC500Vの電圧を1分間印加した後に表面抵抗率の値を計測する方法を採用した。
また、測定は、3個のポリオレフィン系樹脂成形品に対して実施し、これらの算術平均を各基準例、比較例の表面抵抗率とした。
結果を、表3に併せて示す。
この表3にも示されているように、高分子型帯電防止剤を基準配合(基準例3、4)に比べて約半減した比較例2、4では、大きく表面抵抗率の値を増大させ、ベースポリマー(PF814、PL500A)単体の比較例1、3と略同じような表面抵抗率の値を示している。
(実施例1〜6)
下記表4に示す配合のポリオレフィン系樹脂組成物を作製した。このポリオレフィン系樹脂組成物は、各材料を二軸押出し機にて混練し、ペレット化することにより作製した。
このペレット(ポリオレフィン系樹脂組成物)を射出成形して20mm×30mm×4mmのシート状(非発泡)のポリオレフィン系樹脂成形品を作製した。
得られたポリオレフィン系樹脂成形品に対して、上記比較例1〜4と同様に表面抵抗率の値を測定した。
結果を、表4に併せて示す。
この表4にも示されているように、高分子型帯電防止剤を先の基準配合(基準例3、4)に比べて約半減した実施例1、3や、1/4以下にした実施例2、4などにおいても比較的低い表面抵抗率の値が観察されており、少ない帯電防止剤の量で、優れた帯電防止効果が得られていることがわかる。
以上のように、本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂成形品において高分子型帯電防止剤の使用量の低減を図りつつ帯電防止を図り得ることがわかる。

Claims (2)

  1. ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の内の少なくとも1種と、高分子型帯電防止剤とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物が金型内に注型されてなるポリオレフィン系樹脂成形品であって、
    前記ポリオレフィン系樹脂組成物には、さらに、ポリ乳酸系樹脂が含有されていることを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形品。
  2. 分子内にポリエーテルブロックとポリオレフィンブロックとを有するブロック共重合体が用いられた高分子型帯電防止剤が含有されている請求項1記載のポリオレフィン系樹脂成形品。
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