JP2010215818A - 樹脂組成物及びバイオチップの製造方法 - Google Patents

樹脂組成物及びバイオチップの製造方法 Download PDF

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【課題】他層とのインターミキシングを防止できる樹脂組成物層を形成できるバイオチップを製造するための樹脂組成物及びこれを用いたバイオチップの製造方法を提供する。
【解決手段】本バイオチップを製造するための樹脂組成物は、(A)末端にシアノ基を有する重合体と(B)感放射線性酸発生剤とを含有する。また、本方法は、(a)酸に不安定な保護基を有する第1分子からなる第1分子層を基板上に結合させる工程、(b)前記第1分子層上に本樹脂組成物をコーティングして樹脂組成物層を形成する工程、(c)前記樹脂組成物層を露光及び熱処理して、露光された部分に対応する前記第1分子層を構成する前記第1分子から前記保護基を除去する工程、(d)前記樹脂組成物層を除去する工程、及び、(f)前記保護基が除去された第1分子に第2分子を結合させる工程、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、バイオチップを製造するための樹脂組成物及びこれを用いたバイオチップの製造方法に関する。更に詳しくは、基板上でDNA、RNA、PNA及びLANなどの各種高分子を合成するために用いるバイオチップを製造するための樹脂組成物及びこれを用いたバイオチップの製造方法に関する。
近年、基板上で生体高分子などの高分子を合成する方法が注目され、特にヌクレオチド等をモノマーとして用いて異なる配列及び長さを有するプローブを1つの基板上にアレイ化して配列したチップ及びこれを製造する方法が広く検討されている。
基板上で高分子を合成する方法として、光に対して不安定な保護基を有するヌクレオチドモノマー等を配列し、マスクを介した露光により特定部分からこの保護基を解離させた後に、他のヌクレオチドモノマーを結合させる操作を繰り返す方法が下記特許文献1〜2に開示されている。
更に、半導体製造分野において、フォトリソ法を用いた微細パターン形成に際して利用される光酸発生剤やこれが含まれたレジストを高分子の合成に利用しようとする技術が下記特許文献3〜5に開示されている。
米国特許第5445934号明細書 米国特許第5744305号明細書 米国特許第5658734号明細書 特開2005−099005号公報 特表2003−501640号公報
上記特許文献1〜5の方法によれば、基板上で高分子を種々合成することができるものの、より多くの種類の高分子をより高密度且つ正確に基板上に形成できる技術が更に求められている。
本発明は前記実情に鑑みてなされたものであり、他層とのインターミキシングを防止できる樹脂組成物層を形成できるバイオチップを製造するための樹脂組成物及びこれを用いたバイオチップの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下のとおりである。
〈1〉(A)末端にシアノ基を有する重合体と、
(B)感放射線性酸発生剤と、を含有することを特徴とするバイオチップを製造するための樹脂組成物。
〈2〉前記(A)末端にシアノ基を有する重合体のゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィーにより算出される重量平均分子量が1,000〜500,000である前記〈1〉に記載のバイオチップを製造するための樹脂組成物。
〈3〉前記(A)末端にシアノ基を有する重合体は、下記式(1)に示す構造単位を有する前記〈1〉又は〈2〉に記載のバイオチップを製造するための樹脂組成物。
Figure 2010215818
〔式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状の炭化水素基、炭素数3〜10の環状の炭化水素基を表す。また、R及びRは互いに結合して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有する3〜10員環の単環式ヘテロ環を形成してもよい。〕
〈4〉前記(A)末端にシアノ基を有する重合体は、下記式(2)に示す構造単位を有する前記〈1〉乃至〈3〉のうちのいずれかに記載のバイオチップを製造するための樹脂組成物。
Figure 2010215818
〔式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは1価の有機基を表す。〕
〈5〉前記(B)感放射線性酸発生剤は、イミドスルホネート基を有する化合物である前記〈1〉乃至〈4〉のうちのいずれかに記載のバイオチップを製造するための樹脂組成物。
〈6〉(a)酸に不安定な保護基を有する第1分子からなる第1分子層を基板上に直接的又は間接的に結合させる第1分子層形成工程、
(b)前記第1分子層上に請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の樹脂組成物をコーティングして樹脂組成物層を形成する樹脂組成物層形成工程、
(c)前記樹脂組成物層を露光及び熱処理して、露光された部分に対応する前記第1分子層を構成する前記第1分子から前記保護基を除去する保護基除去工程、
(d)前記樹脂組成物層を除去する樹脂組成物層除去工程、及び、
(f)前記保護基が除去された第1分子に第2分子を結合させる第2分子結合工程、を含むバイオチップの製造方法。
〈7〉前記基板の少なくとも表面は、シリコン、二酸化ケイ素、ガラス、ポリプロピレン又はポリアクリルアミドからなる前記〈6〉に記載のバイオチップの製造方法。
〈8〉前記第2分子が、ヌクレオチド、アミノ酸、単糖類又はこれらから選択される2以上の分子が結合された結合体である前記〈6〉又は〈7〉に記載のバイオチップの製造方法。
本発明のバイオチップを製造するための樹脂組成物によれば、他層とのインターミキシングを防止できる樹脂組成物層を形成できる。このため、この樹脂組成物を用いることで、他層(第1分子層)に対して本樹脂組成物層が染み込むことを防止でき、従来に比べて、プローブをより正確且つ精密に形成することができると共にプローブの集積率を向上させたバイオチップを得ることができる。
末端にシアノ基を有する重合体(A)のゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィーにより算出される重量平均分子量が1,000〜500,000である場合は、更に、バイオチップ製造時に他層(第1分子層)と本樹脂組成物を用いた層(樹脂組成物層)とのインターミキシングを防止できる。
末端にシアノ基を有する重合体(A)が、前記式(1)に示す構造単位を有する場合は、樹脂組成物層内で発生された酸の拡散をより良くコントロールすることができる。
末端にシアノ基を有する重合体(A)が、前記式(2)に示す構造単位を有する場合は、樹脂組成物層内で発生された酸の拡散をより良くコントロールすることができる。
感放射性酸発生剤(B)が、イミドスルホネート基を有する化合物である場合は、この化合物を含まない場合に比べて、樹脂組成物層内で発生された酸の拡散をより良くコントロールすることができる。
本発明のバイオチップの製造方法によれば、他層とのインターミキシングを防止でき、従来に比べて、プローブをより正確且つ精密に形成したバイオチップを得ることができる。加えて、プローブの集積率を従来に比べてより向上させたバイオチップを得ることができる。
基板の少なくとも表面がシリコン、二酸化ケイ素、ガラス、ポリプロピレン又はポリアクリルアミドからなる場合は、プローブをより正確且つ精密に形成したバイオチップを得ることができる。
第2分子がヌクレオチド、アミノ酸、単糖類又はこれらから選択される2以上の分子が結合された結合体である場合は、医薬分野で有用に活用できるバイオチップを得ることができる。
本発明のバイオチップの製造方法を模式的に説明する説明図である。 本発明のバイオチップの製造方法を模式的に説明する説明図である。 本発明のバイオチップの製造方法を模式的に説明する説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
[1]バイオチップを製造するための樹脂組成物
本発明のバイオチップを製造するための樹脂組成物(以下、「酸転写樹脂組成物」ともいう)は、(A)末端にシアノ基を有する重合体と、(B)感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤」ともいう)と、を含有することを特徴とする。
重合体(A)は、末端にシアノ基(−CN、以下、単に「末端シアノ基」ともいう)を有する重合体である。重合体(A)が末端にシアノ基を有することにより、本樹脂組成物を用いて形成された樹脂組成物層と他層とのインターミキシングを効果的に防止できる。
前記末端シアノ基は、重合体(A)の末端に配置されている限り、どのような形態で含有されてもよい。即ち、例えば、重合体(A)の基部(末端シアノ基及び後述する2価の基Yを除いた残部)を[a]とした場合に、下記式(3−1)に示すように、[a]にシアノ基(−CN)が直結されていてもよい。
Figure 2010215818
更に、下記式(3−2)に示すように[a]とシアノ基との間に2価の基「Y」を介して各々が結合されていてもよい。
Figure 2010215818
〔式(3−2)中、[a]は重合体Aのうち、Y及びシアノ基を除く残部である。Yは、炭素数1〜9の2価のアルキル基、またはこれらの基において少なくとも一つの水素原子を炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、芳香族基、炭化水素基以外の極性基に置換した置換炭化水素基を表す。〕
これらのなかでも、Yは、炭素数1〜9の2価のアルキル基であることが好ましく、更には、炭素数1〜9の直鎖状又は分枝状の2価のアルキル基であることがより好ましく、特に下記式(3−3)に示すように、Yはイソプロピレン基であることが好ましい。Yがイソプロピレン基である場合には、特に優れた前記インターミキシング防止効果を得ることができる。
Figure 2010215818
前記シアノ基は、どのようにして導入されたものであってもよいが、通常、重合体(A)を得るための重合時に用いるラジカル重合開始剤により導入される。このようなシアノ基を導入できるラジカル重合開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのなかでは、アクリルモノマーの重合性の観点からが2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)好ましい。
尚、重合体(A)の重合については、シアノ基を有する重合体が得られればよく特に限定されず、例えば、塊状重合、溶液重合、沈澱重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合等の適宜の重合形態で実施できる。
この重合体(A)を構成する構造単位も特に限定されないが、下記式(1)に示す構造単位を有することが好ましい。この構造単位が含有されることで、酸の不要な拡散が抑制されて優れた解像度が得られる。従って、プローブを正確且つ精密に形成でき、更には、基板上に形成するプローブの集積率を向上させることができるために、バイオチップの更なる小型化及び限られた面積での更なる高機能化を行うことができる。
Figure 2010215818
〔式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状の炭化水素基、炭素数3〜10の環状の炭化水素基を表す。また、R及びRは互いに結合して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有する3〜10員環の単環式ヘテロ環を形成してもよい。〕
上記式(1)に示す構造単位は、どのようにして重合体(A)内に含まれたものであってもよいが、通常、下記式(4)で表される単量体(Am1)を用いて重合体(A)を重合することにより得ることができる。
Figure 2010215818
〔式(4)式中、Rは水素原子又はメチル基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状の炭化水素基、炭素数3〜10の環状の炭化水素基を表す。また、R及びRは互いに結合して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有する3〜10員環の単環式ヘテロ環を形成してもよい。〕
前記式(4)におけるR及び/又はRとなる炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基などの脂肪族炭化水素基が挙げられる。
即ち、前記式(4)においてR及び/又はRが炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状の炭化水素基となる単量体(Am1)としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、前記式(4)におけるR及び/又はRとなる炭素数3〜10の環状の炭化水素基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−t−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、ベンジル基などの芳香族基が挙げられる。
更に、前記式(4)におけるRとRとが互いに結合して形成された、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有する3〜10員環の単環式ヘテロ環を形成している単量体(Am1)としては、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
単量体(Am1)としては、前記各種単量体のなかでも、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−メタクリロイルモルホリンが好ましい。これらの好ましい単量体から得られた重合体(A)によれば、酸の不要な拡散が抑制されてより優れた解像度が得られる。従って、プローブをより正確且つより精密に形成でき、更には、基板上に形成するプローブの集積率を更に向上させることができるために、バイオチップの更なる小型化及び限られた面積での更なる高機能化を行うことができる。
重合体(A)中に占める前記式(1)で表される構造単位の割合は、特に限定されないが、重合体(A)の全構造単位を100モル%とした場合に1〜50モル%であることが好ましく、3〜40モル%であることがより好ましく、5〜30モル%であることが特に好ましい。重合体(A)に占める前記式(1)で表される構造単位の割合が前記範囲内では、酸発生剤(B)から発生された酸の酸転写樹脂膜内における不要な拡散をより効果的に防止できる。
前記重合体(A)は、前記式(1)で示される構造単位以外に他の構造単位を含むことができる。他の構造単位としては、下記式(2)に示す構造単位が好ましい。
Figure 2010215818
〔式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは1価の有機基を表す。〕
前記式(2)に示す構造単位は、どのようにして重合体(A)内に含まれたものであってもよいが、通常、下記式(5)で表される単量体(Am2)を用いることにより、前記式(2)に示す構造単位を含む重合体(A)を得ることができる。
Figure 2010215818
〔式(5)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは1価の有機基を表す。〕
前記式(5)におけるRの1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基;
フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、2,6−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の芳香族炭化水素基(特に炭素数6〜20の芳香族炭化水素基);
ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシシクロペンチル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のヒドロキシアルキル基(特に炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基);
シアノ基;シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、1−シアノプロピル基、2−シアノプロピル基、3−シアノプロピル基、1−シアノブチル基、2−シアノブチル基、3−シアノブチル基、4−シアノブチル基、3−シアノシクロペンチル基、4−シアノシクロヘキシル基等のシアノアルキル基;などの窒素原子含有有機基(特に炭素数2〜9の窒素原子含有有機基)
シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状炭化水素基;ボルニル基、イソボルニル基などの橋かけ環式炭化水素基;などの脂環式炭化水素基が挙げられる。
単量体(Am2)としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート化合物は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの(メタ)アクリレート化合物のなかでは、メチルメタクリレートが特に好ましい。
重合体(A)中に占める前記式(2)で表される構造単位の割合は、特に限定されないが、重合体(A)の全構造単位を100モル%とした場合に5〜99モル%であることが好ましく、10〜97モル%であることがより好ましく、15〜95モル%であることが特に好ましい。重合体(A)に占める前記式(2)で表される構造単位の割合が前記範囲内では、酸の不要な拡散が抑制されてより優れた解像度が得られる。従って、プローブをより正確且つより精密に形成でき、更には、基板上に形成するプローブの集積率を更に向上させることができるために、バイオチップの更なる小型化及び限られた面積での更なる高機能化を行うことができる。
重合体(A)は、前記式(1)に示す構造単位、及び、前記式(2)に示す構造単位、以外の他の構造単位を含むことができる。他の構造単位の種類は特に限定されず本発明の目的を阻害しない範囲であればよい。他の構造単位としては、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、o−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、m−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、p−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリルアミド、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリルアミド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリルアミド、o−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリルアミドなどのアミノ基含有ビニル化合物;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどの芳香族ビニル化合物;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのヘテロ原子含有脂環式ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物;1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン類;(メタ)アクリルアミド、などのアミノ基含有ビニル化合物;(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有ビニル化合物等の単量体に由来する構造単位が挙げられる。これらの構造単位は1種のみでもよく2種以上が併用されてもよい。
他の構造単位を含む場合、その割合は、特に限定されないが、重合体(A)の全構造単位を100モル%とした場合に30モル%以下であることが好ましく、1〜10モル%であることがより好ましい。この範囲内では本発明の目的を阻害することがない。
また、前記式(1)に示す構造単位、及び、前記式(2)に示す構造単位、の両方が含まれる場合であって、且つ、他の構造単位が含有される場合、前記式(1)に示す構造単位、及び、前記式(2)に示す構造単位、の各々の含有割合は、前記式(1)に示す構造単位と前記式(2)に示す構造単位との合計を100モル%とした場合に、前記式(1)に示す構造単位は1〜50モル%であることが好ましく、3〜40モル%であることがより好ましく、5〜30モル%であることが特に好ましい。この範囲では、酸の不要な拡散をより効果的に防止できる。
また、前記重合体(A)の分子量については特に限定はなく、適宜選定することができるが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量分子量(以下、「Mw」という。)は、1,000〜500,000が好ましく、2,000〜400,000がより好ましく、3,000〜300,000が更に好ましく、3,000〜100,000がより更に好ましく、4,000〜50,000が特に好ましく、5,000〜30,000がより特に好ましい。
更に、重合体(A)の上記Mwと、GPCで測定したポリスチレン換算数分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)についても特に限定はなく、適宜選定できるが、通常、1〜10であり、好ましくは1〜8であり、更に好ましくは1〜3である。
尚、重合体(A)は、後述する酸に不安定な保護基(酸の存在下で解離する特性を有する)を有さない重合体であると共に、本発明の酸転写樹脂組成物には、酸に不安定な保護基を有する重合体も含まれない。
前記「感放射性酸発生剤(B)」は、露光により酸を発生する成分である。この酸発生剤(B)に対して酸を発生させるための放射線種は特に限定されず、紫外線、遠紫外線(KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー等を含む)、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等を適宜利用できる。
この酸発生剤(B)は、例えば、イミドスルホネート基を有する化合物、オニウム塩化合物(チオフェニウム塩化合物を含む)、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等を用いることができる。この酸発生剤(B)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記イミドスルホネート基を有する酸発生剤とは、下記式(6)に示す化合物である。
Figure 2010215818
〔式(6)中、Rは炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数4〜20の脂環式基を表す。R及びRは、互いに結合して環構造をなすか、又は、各々独立して、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20の脂環式基を表す。〕
上記式(6)におけるR及びRは、前記の通り、互いに結合して環構造をなすか、又は、各々独立して、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、もしくは炭素数4〜20の脂環式基であればよいが、なかでも、R及びRは、互いに結合して環構造をなすことが好ましい。
更に、R及びRは、互いに結合して炭素数6〜20の芳香環構造をなすことが好ましく、特に、R及びRは、互いに結合して炭素数10〜14の多環式芳香環構造をなすことが好ましく、とりわけ、下記式(7)に示す化合物、即ち、R及びRが、互いに結合してナフタレン環構造をなす化合物、であることが好ましい。
Figure 2010215818
〔式(7)中、Rは炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20の脂環式基を表す。〕
一方、式(7)におけるR〔式(6)におけるRについても同様〕としては、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20の脂環式基等が挙げられる。
上記炭素数1〜14のアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分枝アルキル基であってもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、I-プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基等が挙げられる。
更に、これらのアルキル基は1つ又は2つ以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、オキソ基(=O)、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。2つの以上の置換基を有する場合にあっては、各置換基は同じであってもよく異なっていてもよい。
なかでも、Rとしてメチル基を備えたイミドスルホネート基を有する感放射性酸発生剤としては、下記式(8)に示す化合物が挙げられる。
Figure 2010215818
上記炭素数6〜20のアリール基は、1つ又は2つ以上の置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。このアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、トリル基、p−メトキシフェニル基、メシチル基、o−クメニル基、キシリル基等が挙げられる。
なかでも、Rとして、トリル基(特にp−トリル基)を備えたイミドスルホネート基を有する感放射性酸発生剤としては、下記式(9)に示す化合物が挙げられる。
Figure 2010215818
上記炭素数4〜20の脂環式基は、不飽和結合を含んでいてもよく含まなくてもよい。更に、置換基を有してもよく有さなくてもよい。置換基を有する場合の置換基としては、前記炭素数1〜14のアルキル基に関する置換基及びメチル基及びエチル基等が挙げられる。
更に、この脂環式基の脂環部は、単環であってもよく多環であってもよく、更に、多環にあっては縮合環であってもよく非縮合環であってもよい。また、この脂環部は、有橋式であってもよく非有橋式であってもよい。
この脂環式基としては、ノルボルナン骨格を有する脂環式基、ノルボルネン骨格を有する脂環式基、トリシクロデカン骨格を有する脂環式基、テトラシクロドデカン骨格を有する脂環式基、アダマンタン骨格を有する脂環式基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基等が挙げられる。
これらのなかでも、ノルボルナン骨格を有する脂環式基が好ましく、更には、ノルボルナノン骨格を有する脂環式基がより好ましく、特にカンファー骨格を有する脂環式基が好ましい。
として、このカンファー骨格を有する脂環式基を備えたイミドスルホネート基を有する感放射性酸発生剤としては、下記式(10)に示す化合物が挙げられる。
Figure 2010215818
また、前記オニウム塩化合物としては、チオフェニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ピリジニウム塩化合物などが挙げられる。
前記チオフェニウム塩化合物としては、4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート等の4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物などが挙げられる。
前記ヨードニウム塩化合物としては、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート等のジフェニルヨードニウム塩化合物などが挙げられる。
前記スルホニウム塩化合物としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムピレンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート等の4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物などが挙げられる。
前記ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等が挙げられる。具体的には、1,10−ジブロモ−n−デカン、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタンや、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、スチリル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体などが挙げられる。
前記ジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物などが挙げられる。具体的には、フェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化物、フェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル化物等が挙げられる。
前記スルホン化物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物などが挙げられる。具体的には、4−トリルフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等が挙げられる。
前記スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなどが挙げられる。具体的には、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネート等が挙げられる。
前記スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5,6−オキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−5,6−オキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−5,6−オキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.1.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−5,6−オキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファ−スルホニルオキシ)ナフチルイミド等が挙げられる。
前記ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−1,1−ジメチルエチルスルホニルジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
これらの酸発生剤(B)の中では、イミドスルホネート基を有する化合物及び/又はチオフェニウム塩化合物が好ましく、更には、前記式(8)に示す化合物、前記式(9)に示す化合物、前記式(10)に示す化合物、及び、4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートがより好ましい。
本発明の酸転写樹脂膜形成用組成物に含まれる酸発生剤(B)の量は特に限定されないが、酸転写樹脂膜としての酸転写性を十分に確保する観点から、通常、重合体(A)100質量部に対して、0.1〜500質量部が含有される。更に、優れたインターミキシング防止効果を得る観点から、この含有量は0.3〜250質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましい。酸発生剤(B)の含有量が前記範囲にあることによりインターミキシングを効果的に防止しつつも、必要な状況に応じて酸転写性に優れた樹脂膜とすることができる。また、特に前記酸発生剤のなかでも、イミドスルホネート化合物が含有される場合、その含有量は、重合体(A)100質量部に対して、1〜300質量部が含有される。更に優れたインターミキシング防止効果を得る観点から、この含有量は3〜100質量部が好ましく、5〜60質量部がより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には、前記重合体(A)及び前記酸発生剤(B)以外に他の成分を含有できる。他の成分としては、溶剤(C)が挙げられる。溶剤(C)が含有されることで樹脂組成物全体の状態を自在に制御することができ、特に任意の粘度を有する液状の樹脂組成物とすることができる。
前記溶剤(C)の種類は特に限定されないが、例えば、水及び/又は有機溶剤等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、tert−ブチル−メチルエーテル、tert−ブチルエチルエーテル、tert−ブチルプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロペンチルプロピルエーテル、シクロペンチル−2−プロピルエーテル、シクロヘキシルプロピルエーテル、シクロヘキシル−2−プロピルエーテル、シクロペンチルブチルエーテル、シクロペンチル−tert−ブチルエーテル、シクロヘキシルブチルエーテル、シクロヘキシル−tert−ブチルエーテル等のアルキルエーテル類;
1−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−プロパノール、ネオペンチルアルコール、tert−アミルアルコール、イソアミルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルキルアルコール類;
デカン、ドデカン、ウンデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類等が挙げられる。
この溶剤(C)は、本発明の樹脂組成物において、前記重合体(A)を100質量部とした場合に、通常、10〜10000質量部含有され、20〜8000質量部が好ましく、30〜6000質量部がより好ましく、40〜4000質量部が更に好ましい。
更に、溶剤(C)を含む場合の本樹脂組成物全体の粘度(B型粘度計及びNo.5ローターを用いてJIS Z8803に準拠)は特に限定されず、酸転写樹脂層を形成する各種方法に適宜の粘度とすればよいが、例えば、温度25℃おける粘度を1〜100mPa・sとすることができる。この粘度は2〜80mPa・sが好ましく、3〜50mPa・sがより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には、上記溶剤(C)以外にも他の成分を含有できる。他の成分としては、界面活性剤(D)が挙げられる。界面活性剤(D)としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、含フッ素界面活性剤等が挙げられる。
具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等の他、NBX−7、NBX−8、NBX−15(商品名、ネオス社製)、SH8400 FLUID(商品名、Toray Dow Corning Silicone Co.製)、KP341(商品名、信越化学工業株式会社製)、ポリフローNo.75,同No.95(商品名、共栄社化学株式会社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(商品名、トーケムプロダクツ株式会社製)、メガファックスF171、F172、F173、F471、R−07、R−08(商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、フロラードFC430、FC431(商品名、住友スリーエム株式会社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC−101、SC−102、SC−103、SC−104、SC−105、SC−106(商品名、旭硝子株式会社製)等を挙げることができる。尚、これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
界面活性剤(D)を用いる場合、その量は特に限定されないが、通常、前記重合体(A)の全量100質量部に対して0.01〜0.5質量部であり、好ましくは0.02〜0.1質量部である。
更に、その他、本発明の樹脂組成物には、増感剤、架橋剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、着色剤、可塑剤、消泡剤等を適宜配合することができる。
[2]バイオチップの製造方法
本発明のバイオチップの製造方法は、
(a)酸に不安定な保護基を有する第1分子からなる第1分子層を基板上に直接的又は間接的に結合させる第1分子層形成工程、
(b)前記第1分子層上に請求項1又は2に記載の樹脂組成物をコーティングして樹脂組成物層を形成する樹脂組成物層形成工程、
(c)前記樹脂組成物層を露光及び熱処理して、露光された部分に対応する前記第1分子層を構成する前記第1分子から前記保護基を除去する保護基除去工程、
(d)前記樹脂組成物層を除去する樹脂組成物層除去工程、及び、
(f)前記保護基が除去された第1分子に第2分子を結合させる第2分子結合工程、を含む。
前記「(a)第1分子層形成工程」は、図1に例示されるように、酸に不安定な保護基Pを有する第1分子からなる第1分子層20を基板10上に直接的又は間接的に結合させる工程PR1である。
前記「第1分子」は、酸に不安定な保護基を有する分子である。この第1分子は前記保護基を有する分子であればよく、その種類及び大きさなどは特に限定されない。
この第1分子としては、例えば、(1)基板表面と第2分子とを直接結合させるためのカップリング分子(保護基とシリル基とを有する化合物など)、(2)カップリング剤の末端に保護基を導入するための保護基導入分子{シリル基とアミノ基とを有するカップリング剤によって表面処理された基板表面のアミノ基と第2分子とを結合させるための分子(アミノ基にペプチド結合できる基と保護基とを有する化合物)など}、(3)基板と第2分子との間を離間させるためのスペーサ分子{シリル基とアミノ基とを有するカップリング剤によって表面処理された基板表面のアミノ基と第2分子とを離間させて結合させるための分子(アミノ基にペプチド結合できる基とアルキル鎖と保護基とを有する化合物)など}等が挙げられる。
これらのうち、前記(1)のカップリング分子を第1分子として用いる場合には、第1分子は基板表面に対して直接結合させることができる。また、前記(2)の保護基導入分子や前記(3)のスペーサ分子を第1分子として用いる場合には、第1分子は基板表面に対して間接的に結合させることとなり、通常、この第1分子と基板との間に他のカップリング剤を要する。
前記のうち(2)の保護基導入分子としては、保護基として有するオメガ−アミノカプロン酸系化合物のようなアミノアルキルカルボン酸等が挙げられる。このような化合物としては、6−N−t−ブトキシカルボニルアミノカプロン酸、4−N−t−ブトキシカルボニルアミノブタン酸、5−N−t−ブトキシカルボニルアミノペンタン酸、7−N−t−ブトキシカルボニルアミノヘプタン酸等のt−ブトキシカルボニル基を保護基として有するカルボン酸誘導体類等が挙げられる。
また、前記(2)の保護基導入分子を用いる際に基板と第1分子(保護基導入分子)とを接続するカップンリグ剤としては、アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基及びケイ素含有基を有するカップリング剤や、ヒドロキシル基とケイ素含有基とを有するカップリング剤が挙げられる。
その他、第1分子としては、後述する第2分子として挙げた各種化合物のうちの保護基を有する化合物や、後述する第2分子として挙げた各種化合物に保護基が導入された誘導体などを用いることもできる。
前記「酸に不安定な保護基」は、酸の存在下で解離する基である。この保護基としては、t−ブトキシカルボニル基、ジメトキシトリチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、(チオテトラヒドロピラニルスルファニル)メチル基、(チオテトラヒドロフラニルスルファニル)メチル基、アルコキシ置換メチル基、アルキルスルファニル置換メチル基、アセタール基、ヘミアセタール基、t−ブチル基、及び、下記式(11)で表される基等を挙げることができる。
Figure 2010215818
〔式(11)中、各Rは相互に独立に炭素数1〜14の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数3〜20の非有橋式若しくは有橋式の1価の脂環式炭化水素基を示すか、或いは何れか2つのRが相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に、炭素数3〜20の非有橋式若しくは有橋式の2価の脂環式炭化水素基を形成し、残りのRが炭素数1〜14の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数3〜20の非有橋式若しくは有橋式の1価の脂環式炭化水素基を示し、これらの各基は置換されていてもよい。〕
前記アルコキシ置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、n−ペンチルオキシメチル基、n−ヘキシルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基等を挙げることができる。
また、前記アルキルスルファニル置換メチル基としては、例えば、メチルスルファニルメチル基、エチルスルファニルメチル基、メトキシエチルスルファニルメチル基、n−プロピルスルファニルメチル基、n−ブチルスルファニルメチル基、n−ペンチルスルファニルメチル基、n−ヘキシルスルファニルメチル基、ベンジルスルファニルメチル基等を挙げることができる。
式(11)において、Rの炭素数1〜14の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、I-プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基等を挙げることができる。
前記アルキル基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基(=O)、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシアルコキシル基(例えば、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、t−ブトキシメトキシ基等)、炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)等の1個以上或いは1種以上を挙げることができる。
また、式(11)のRの炭素数3〜20の非有橋式若しくは有橋式の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、テトラシクロ[4.2.0.12,5.17,10]ドデシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
式(11)のRの前記1価の脂環式炭化水素基及び何れか2つのRが相互に結合して形成した前記2価の脂環式炭化水素基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基(=O)、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、炭素数1〜14の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等)、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等)、炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシアルキル基(例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、t−ブトキシメチル基等)、炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシアルコキシル基(例えば、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、t−ブトキシメトキシ基等)、炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキルカルボニルオキシ基(例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基等)、炭素数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等)、炭素数2〜14の直鎖状若しくは分岐状のシアノアルキル基(例えば、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等)、炭素数1〜14の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等)等の1個以上或いは1種以上を挙げることができる。
前記「基板」の種類は特に限定されず、無機材料からなってもよく、有機材料からなってもよく、これらの複合材料からなってもよい。また、基板は、その表面側と他面側とが異なる材料からなってもよい。この基板材料としては、例えば、シリコン、二酸化ケイ素及びガラス(ホウケイ酸ガラス、表面改質ガラス、石英ガラス等を含む)等のケイ素を主成分とする無機材料が挙げられる。また、ポリプロピレン及びポリアクリルアミド(アクリルアミドによって表面が活性化されたポリアクリルアミドを含む)等の有機材料が挙げられる。この他、不安定な保護基を有する分子の層を固定化するのに適した反応性部位を有する表面を有する当該分野において既知の他の基板を適宜用いることができる。
前記第1分子層は、どのようにして基板上に結合させてもよいが、通常、第1分子を含む液体を基板(表面処理されていない基板及び表面処理された基板を含む)表面に塗布して、第1分子と基板表面とを反応させて結合させる。この際の塗布方法等は特に限定されず、従来公知の回転塗布、流延塗布、ロール塗布及び印刷等の種々の方法を用いることができる。
前記「(b)樹脂組成物層形成工程」は、図1に例示されるように、第1分子層20上に前記本発明の樹脂組成物(即ち、酸転写樹脂組成物)をコーティングして樹脂組成物層(即ち、酸転写樹脂層)30を形成する工程PR2である。
この酸転写樹脂組成物のコーティング手段は、特に限定されないが、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布及び印刷等の適宜の塗布手段が挙げられる。
更に、この酸転写樹脂組成物を塗布した後、必要に応じて、プレベーク(PB)することによって塗膜中の溶剤を揮発させることで酸転写樹脂層を形成してもよい。このプレベークの加熱条件は、酸転写樹脂組成物の配合組成によって適宜選択されるが、加熱温度は、通常、30〜150℃程度、好ましくは50〜130℃である。更に、加熱時間は、通常、30〜300秒間、好ましくは60〜180秒間である。
また、酸転写樹脂層の厚みは特に限定されないが、通常、1〜10000nmとすることが好ましく、5〜800nmとすることがより好ましく、10〜500nmとすることが更に好ましい。
前記「(c)保護基除去工程」は、図1及び図2に例示されるように、酸転写樹脂層30を露光及び熱処理して、露光された部分に対応する第1分子層30を構成する第1分子から保護基Pを除去する工程PR3及びPR4である。この保護基除去工程には、通常、酸転写樹脂層30に対して放射線を露光する露光工程PR3と、露光により酸転写樹脂層30内に生じた酸を第1分子層20へと転写(拡散)する転写工程PR4とを備える。
このうち露光工程PR3は、マスク50を介して酸転写樹脂層30に露光し、酸転写樹脂層30内で酸を発生させる工程である。これにより図1に例示するように、酸転写樹脂層30の露光された部位が酸発生部位31となる。
露光に使用される放射線の種類は特に限定されず、酸転写樹脂層30に含まれる酸発生剤(B)の種類に応じて、紫外線、遠紫外線(KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー等を含む)、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等から適切に選択される。更に、露光量等も酸転写樹脂層30に含まれる酸発生剤(B)の種類に応じて適宜選択される。
また、酸転写工程PR4は、酸転写樹脂層30に発生した酸を第1分子層20へ転写する工程である。これにより図2に例示するように、酸発生部位31に対応した第1分子層20の一部が酸転写部位21(保護基が解離された第1分子の残基からなる部位)となる。
この酸を転写する方法は特に限定されないが、具体的には、(1)加熱により転写する方法、(2)常温において放置することによって転写する方法、(3)浸透圧を利用して転写する方法などが挙げられる。これらの方法は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよいが、これらの中でも(1)加熱により転写する方法が転写効率に優れるため好ましい。
加熱により転写を行う場合の加熱条件は、特に限定されないが、加熱温度は、50〜200℃が好ましく、70〜150℃が更に好ましい。更に、加熱時間は、30〜300秒間が好ましく、60〜180秒間が更に好ましい。
また、加熱により転写を行う場合は、上記加熱条件により1回の加熱で完了してもよいが、結果的に上記加熱条件と同様の結果となるように、2回以上の加熱を行うこともできる。
尚、前記(2)常温において放置することによって転写する方法とは、加熱を行わず、通常、温度20〜30℃の常温の環境に放置することで、酸転写樹脂層30内に発生された酸を自然に第1分子層20へと拡散させて転写する方法である。
更に、前記(3)浸透圧を利用して転写する方法とは、酸の濃度差を利用することによって、酸転写樹脂層30と第1分子層20との間に酸成分の浸透圧差を生じさせることで、自然拡散よりも高い拡散速度で酸転写樹脂層30内の酸を第1分子層20へと拡散させる転写する方法である。
前記「(d)樹脂組成物層除去工程」は、図2に例示されるように樹脂組成物層30を除去する工程PR5である。即ち、酸転写樹脂層30を除去すると共に、その層下に酸が転写された第1分子層20を露出させる工程である。
酸転写樹脂層30の除去はどのような方法で行ってもよいが、通常、酸転写樹脂層30を有機溶剤により溶解させて行う。この有機溶剤は、酸転写樹脂層30を溶解させるものの、酸が転写された第1分子層20を溶解させないものである。
このような有機溶剤は、酸転写樹脂層30及び第1分子層20の各樹脂組成によって適宜選択することが好ましく、第1分子層20が溶解されず且つ酸転写樹脂層30が溶解される有機溶剤であれば限定されないが、具体的には、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン及びピリジン等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記「(f)第2分子結合工程」は、図2に例示されるように、保護基Pが除去された第1分子(基板10に結合されており且つ保護基Pが除去された第1分子の残基)に第2分子を結合させる工程PR6である。即ち、第1分子層20のうち酸転写されて第1分子の保護基Pが解離された部位21上に、第2分子からなる部位41を積層する工程である。
前記「第2分子」の種類は特に限定されず種々の分子を用いることができる。この第2分子としては、例えば、(1)ヌクレオチド{ヌクレオチド、デオキシヌクレオチド及びこれらを除く類似体(合成ヌクレオチド類似体、合成デオキシヌクレオチド類似体など)を含む}、(2)アミノ酸、(3)単糖類、又は(4)これらヌクレオチド、アミノ酸及び単糖類から選択される2以上の分子が結合された結合体、(5)ペプチド核酸(PNA)を合成するためのペプチド核酸形成用分子(ペプチド核酸モノマー)、(6)各種の端部形成用分子等が挙げられる。これらの第2分子は保護基及び活性基を有していてもよい。また、これらの第2分子は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記(1)ヌクレオチドとしては、ヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、合成ヌクレオチド類似体が挙げられる。
このうちヌクレオチドとしては、アデノシンホスフェート、グアノシンホスフェート、シチジンホスフェート、ウリジンホスフェート等が挙げられる。
また、デオキシヌクレオチドとしては、デオキシアデノシンホスフェート、デオキシグアノシンホスフェート、デオキシチジンホスフェート及びデオキシチミジンホスフェート等が挙げられる。
更に、合成ヌクレオチド類似体としては、2’−4’架橋ヌクレオチド類似体、3’−4’架橋ヌクレオチド類似体、5’−アミノ−3’,5’架橋ヌクレオチド類似体等の架橋型ヌクレオチド類似体等が挙げられる。
前記(2)アミノ酸(L体及びD体を含む)としては、アルキル鎖を持つグリシン・アラニン・バリン・ロイシン・イソロイシン、ヒドロキシ基を持つセリン・トレオニン、硫黄を含むシステイン・メチオニン、アミド基を持つアスパラギン・グルタミン、イミノ基を持つプロリン、芳香族基を持つフェニルアラニン・チロシン・トリプトファン等が挙げられる。
前記(3)単糖類としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン等が挙げられる。
前記(4)の結合体としては、ヌクレオチド同士の結合体であるオリゴヌクレオチド、アミノ酸同士の結合体であるペプチド及び蛋白質、等が挙げられる。
前記ペプチド核酸形成用分子としては、N−(2−t−ブチルオキシカルボニル−アミノエチル)−N−チミン−1−イルアセチル)グリシン、N−(N−4−(ベンジルオキシカルボニル)シトシン−1−イル)アセチル−N−(2−t−ブチルオキシカルボニル−アミノエチル)グリシン、N−(N−6−(ベンジルオキシカルボニル)アデニン−9−イル)アセチル−N−(2−t−ブチルオキシカルボニル−アミノエチル)グリシン及びN−(N−4−(ベンジルオキシカルボニル)グアニン−1−イル)アセチル−N−(2−t−ブチルオキシカルボニル−アミノエチル)グリシン等が挙げられる。
前記(5)端部形成用分子としては、分子鎖末端を形成する分子であり、各種保護基を有する保護基形成用分子、各種キャッピング用分子及び標識用分子等が含まれる。このうち標識用分子としては、各種蛍光標識用化合物(フロレシンイソチオシアネート等のフルオレセイン誘導体など)及び放射性同位体標識用化合物が含まれる。
更に、前記第2分子が有することができる保護基としては、前記第1分子における酸に不安定な保護基がそのまま適用できる他、光に不安定な保護基を用いることもできる。
また、前記第2分子が有することができる活性基としては、ホスホルアミダイト基、H−ホスホネート、ホスホジエステル、ホスホトリエステル及びリン酸トリエステル等の遊離の水酸基と反応し得るリン含有基が挙げられる。即ち、例えば、活性化されたヌクレオチドとしては、ホスホルアミダイトヌクレオチド分子が挙げられる。その他、光化学的活性基及び熱化学的活性基としては、アミノ基、チオール基、マレイミド基、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル基、ホルミル基、カルボキシル基、アクリルアミド基、エポキシ基等が挙げられる。
そして、図3に例示されるように、前述の第1分子から保護基を解離させる操作と同様の操作(樹脂組成物層形成工程PR7、露光工程PR8、酸転写工程PR9、樹脂組成物層除去工程PR10)を施すことにより、残存された(第2分子が結合されていない)第1分子から保護基を解離させ、その後、第3分子結合工程PR11を施すことによって、第1分子の残基に対して第3分子を結合させて、第3分子の残基からなる部位42を形成することができる。
更に、図2の最下図に例示するように、前記第2分子が酸に不安定な保護基Pを有する場合には、前記と同様の操作を施すことで、第2分子の残基からなる部位41上に他の分子(第4分子、第5分子など)を結合させることができる。このように同様の操作を繰り返すことによって、基板上で高い自由度をもって高分子を合成できる。
尚、第2分子に関する説明は、前記第3分子、前記第4分子及び前記第5分子にそのまま適用できる。また、第1分子、第2分子、第3分子、第4分子及び第5分子等は各々同じであってもよく異なっていてもよい。
本発明の製造方法によれば、基板上で高い自由度で高分子を設計することができる。この方法により合成される高分子は特に限定されないが、生体高分子及び擬似生体高分子の合成に特に好適である。このような高分子としては、核酸及び蛋白質が挙げられる。核酸としては、DNA、RNA及びPNA(Peptide Nucleic Acid)の他、架橋型ヌクレオチド類似体を一部又は全部に用いて合成された人工核酸〔LNA{Locked Nucleic Acid(Proligo LLC社商標)}及びBNAなど〕が挙げられる。このうちPNAは、DNA及びRNAがリン酸結合骨格を有するのに対して、ペプチド結合骨格を有する擬似生体高分子である。このPNAは、通常、アミノエチルグリシン誘導体を単量体とする高分子である。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、この実施例に何ら制約されるものではない。尚、実施例の記載における「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準である。
[1]樹脂組成物の調製(実施例1〜18及び比較例1)
(1)重合体(A)の合成
<重合体A1>
本合成例1は、前記式(1)で表される構造単位を導入するための単量体(Am1)として下記式(12)で表されるN,N−ジメチルアクリルアミドを用い、前記式(2)で表される構造単位を導入するための単量体(Am2)としてメチルメタクリレートを用いた例である。
Figure 2010215818
500mLビーカー中にN,N−ジメチルアクリルアミド(単量体Am1、株式会社興人製)5g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に5モル%)、メチルメタクリレート(Am2、三菱マテリアル株式会社製)95g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に95モル%)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)5.0gを仕込み、重合開始剤が溶解するまで攪拌し均一な溶液を得た。別途、窒素置換したドライアイス/メタノール還流器の付いたフラスコ中に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)150gを仕込み、ゆるやかに攪拌を開始し80℃まで昇温した。その後、80℃にて、上記溶液を2時間かけて少量ずつ連続滴下した。滴下後、更に80℃にて3時間重合を行い、その後、100℃に昇温して1時間攪拌を行って重合を終了した。その後、得られた反応溶液を多量のシクロヘキサン中に滴下して生成物を凝固させた。次いで、得られた凝固物を水洗後、凝固物と同質量のテトラヒドロフランに再溶解し、多量のシクロヘキサンに滴下して再度凝固させた。この再溶解及び凝固を行うサイクルを計3回行った後、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥して重合体A1を得た。
得られた重合体A1の収率は90%であり、Mwは11,000であり、Mw/Mnは2.3であった。重合体A1は、末端シアノ基(前記[a]と末端シアノ基との間にイソプロピレン基を介する構造)、前記式(1)に示す構造単位、及び前記式(2)に示す構造単位を有する重合体である。
<重合体A2>
本合成例2は、前記合成例1におけるN,N−ジメチルアクリルアミド(Am1、株式会社興人製)を10g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に10モル%)、メチルメタクリレート(Am2、三菱マテリアル株式会社製)90g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に90モル%)、として前記合成例1と同様に行って重合体A2を得た。
得られた重合体A2のMwは10,000であった。重合体A2は、末端シアノ基(前記[a]と末端シアノ基との間にイソプロピレン基を介する構造)、前記式(1)に示す構造単位及び前記式(2)に示す構造単位を有する重合体である。
<重合体A3>
本合成例3は、前記合成例1におけるN,N−ジメチルアクリルアミド(Am1、株式会社興人製)を20g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に20モル%)、メチルメタクリレート(Am2、三菱マテリアル株式会社製)80g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に80モル%)、として前記合成例1と同様に行って重合体A3を得た。
得られた重合体A3のMwは9,000であった。重合体A3は、末端シアノ基(前記[a]と末端シアノ基との間にイソプロピレン基を介する構造)、前記式(1)に示す構造単位及び前記式(2)に示す構造単位を有する重合体である。
<重合体A4>
本合成例4は、前記合成例1におけるN,N−ジメチルアクリルアミド(Am1、株式会社興人製)を20g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に20モル%)、メチルメタクリレート(Am2、三菱マテリアル株式会社製)80g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に80モル%)、重合開始剤として2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.0gを用いた以外は前記合成例1と同様に行って重合体A4を得た。
得られた重合体A4のMwは8500であった。重合体A4は、末端シアノ基(前記[a]と末端シアノ基との間にイソプロピレン基を介する構造)、前記式(1)に示す構造単位及び前記式(2)に示す構造単位を有する重合体である。
<重合体A5>
本合成例5は、前記合成例1におけるメチルメタクリレート(Am2、三菱マテリアル株式会社製)100gとして前記合成例1と同様に行って重合体A5を得た。
得られた重合体A5のMwは10,000であった。重合体A5は、末端シアノ基(前記[a]と末端シアノ基との間にイソプロピレン基を介する構造)、前記式(2)に示す構造単位を有し且つ前記式(1)に示す構造単位を有さない重合体である。
<重合体A6>
本合成例6は、前記合成例1におけるN,N−ジメチルアクリルアミド(Am1、株式会社興人製)を10g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に10モル%)、メチルメタクリレート(Am2、三菱マテリアル株式会社製)90g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に90モル%)、2,2’−アゾビスバレロニトリル(重合開始剤)5.0g、として前記合成例1と同様に行って重合体A6を得た。
得られた重合体A2のMwは12,000であった。重合体A2は、末端シアノ基(前記[a]と末端シアノ基との間に−CHCHCHCH−を介する構造)、前記式(1)に示す構造単位及び前記式(2)に示す構造単位を有する重合体である。
<重合体A7>
本発明の酸転写樹脂膜形成用組成物における重合体(A)に相当しない比較例の重合体A7として、重合開始剤にジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを使用した樹脂を用いた。この重合体A7の詳細は以下の通りである。
即ち、前記合成例1におけるN,N−ジメチルアクリルアミド(Am1、株式会社興人製)を20g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に20モル%)、メチルメタクリレート(Am2、三菱マテリアル株式会社製)80g(Am1とAm2との合計を100モル%とした場合に80モル%)、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート5.0gを用いた以外は前記合成例1と同様に行って重合体A6を得た。
得られた重合体A7のMwは11500であった。重合体A5は、末端シアノ基を含有せず、前記式(1)に示す構造単位及び前記式(2)に示す構造単位を有する重合体である。
重合体A1〜A7における各単量体の配合等は以下の通りである。
Figure 2010215818
「Am1」;N,N−ジメチルアクリルアミド
「Am2」;メチルメタクリレート
(2)他成分との混合
下記表2に示すように、上記(1)で得られた重合体A1〜A7の各重合体(A)100質量部、下記酸発生剤(B)3質量部又は50質量部、溶媒(C)400〜2000質量部、及び、界面活性剤(D)0.05質量部を混合し、攪拌により均一な溶液とした。この溶液を孔径0.5μmのカプセルフィルターでろ過して19種類の樹脂組成物(実施例1〜18及び比較例1)を得た。
酸発生剤(B)として、下記酸発生剤B1〜B8を用いた。
酸発生剤B1;4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート(株式会社ADEKA製)
酸発生剤B2;2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エセニル]−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン(日本カーバイド工業株式会社製)
酸発生剤B3〔式(8)〕;みどり化学株式会社製、品名「NAI−100」
Figure 2010215818
酸発生剤B4〔式(9)〕;みどり化学株式会社製、品名「NAI−101」
Figure 2010215818
酸発生剤B5〔式(10)〕;みどり化学株式会社製、品名「NAI−106」
Figure 2010215818
酸発生剤B6;〔式(13)〕;みどり化学株式会社製、品名「NAI−1002」
Figure 2010215818
酸発生剤B7;〔式(14)〕;みどり化学株式会社製、品名「NAI−1003」
Figure 2010215818
酸発生剤B8;〔式(15)〕;みどり化学株式会社製、品名「NAI−1004」
Figure 2010215818
溶剤(C)として、下記溶剤C1及び溶剤C2を用いた。
溶剤C1;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤C2;γ−ブチロラクトン
界面活性剤(D)として、JSR株式会社製の商品名「ダイナフロー」を用いた。
Figure 2010215818
尚、表2内の「*」は、本発明の範囲外を示す。
[2]樹脂組成物の評価
前記[1]で得られた各樹脂組成物の特性を評価するために各々の樹脂組成物を用いて第1分子層が有する保護基を選択的に除去した後、蛍光標識を行い、各スポットの形状評価及びインターミキシング評価を行った。
(1)第1分子層形成工程
ガラス基板を洗浄溶液(95%のエタノール水溶液1L、水12mL、水酸化ナトリウム120g)に12時間浸漬した後、数回水洗して空気中で乾燥させた。次いで、このガラス基板にアミノ基を固定するための表面処理を施した。即ち、ガラス基板を0.1体積%のアミノプロピルトリエトキシシランのエタノール溶液に浸漬し、常温で5分間撹拌した。その後、エタノールで3回洗浄し、真空オーブンを用いて120℃で20分間乾燥し、更に、アルゴンガス雰囲気中で12時間放置した後、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、単に「DMF」という)に浸漬し、更に、ジクロロメタンで洗浄して前記表面処理を行った。
その後、表面処理されたガラス基板を、30mMの6−N−t−ブトキシカルボニルアミノカプロン酸(本実施例における第1分子)、及び、3gのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を、含むDMF溶液0.5mlに浸漬し、80℃で1時間撹拌しながら反応させた。その後、未反応のアミノ基(前記アミノプロピルトリエトキシシランに起因するガラス基板上のアミノ基であって、前記6−N−t−ブトキシカルボニルアミノカプロン酸が結合されなかったアミノ基)をアセチル基により保護するために、無水酢酸とピリジンとの混合溶液(無水酢酸1体積部+ピリジン3体積部)内で1時間撹拌しながら反応させた。その結果、アミノ基が酸に不安定な保護基(アセチル基)で保護された第1分子からなる第1分子層(リンカー層)が、ガラス基板上に形成された。
(2)樹脂組成物層形成工程
前記[1]で得られた各樹脂組成物(実施例1〜17及び比較例1)を、前記[2](1)で得られた第1分子層が形成されたガラス基板上にスピンコーターを用いてコーティングした後、ホットプレート上にて110℃で1分間加熱して、厚さ150nmの各樹脂組成物層を形成した。
(3)保護基除去工程
パターンマスク(50μm×50μmのスクエアーパターン)を介して、前記(2)までに得られたガラス基板の樹脂組成物層の表面に、超高圧水銀灯(OSRAM社製、形式「HBO」、出力1,000W)を用いて100〜1000mJ/cmの紫外光を照射し、樹脂組成物層内で酸を発生させた。尚、露光量は、照度計〔株式会社オーク製作所製、形式「UV−M10」(照度計)に、形式「プローブUV−35」(受光器)をつないだ装置〕により確認した。
次いで、前記露光後のガラス基板を、再度、ホットプレート上にて110℃で1分間加熱して、樹脂組成物層内に発生された酸を第1分子層へ転写した。
(4)樹脂組成物層除去工程
前記(3)までに得られたガラス基板をアセトニトリルに30秒間浸漬して、前記樹脂組成物層を除去した。
(5)第2分子結合工程
前記(3)の工程で第1分子から保護基が解離されて形成されると共に、前記(4)の工程でガラス基板表面に露出されアミノ基(遊離アミノ基)に、1mMのフロレシンイソチオシアネート(Aldrich社製、本実施例における第2分子)を含むDMF溶液中において、常温で1時間反応させて蛍光標識を形成した。その後、エタノール、水及びエタノールの順に洗浄した後、乾燥させて暗室に保管した。
(6)スポット形状の評価
前記(5)までに得られたガラス基板を、顕微レーザーラマン分光装置(Renishaw社製)を用いて、ガラス基板表面に形成された全スポットについて、イソチオシアネート基による吸収領域として観察すると共に、各スポット形状がパターンマスクに正確に対応した50μm×50μmに形成されているかを確認した。そして、上記吸収領域が50μm×50μmの形状に対して欠損が認められる数を換算し、下記基準に基づいて評価し、下記表3前記表2に示した。
「○」;全スポットに欠損が認められない。
「△」;全スポット数に対して50%以下のスポットに欠損が認められた。
「×」;全数に対して50%を越えるスポットに欠損が認められた。
(7)インターミキシングの評価
前記(5)までに得られたガラス基板を、顕微レーザーラマン分光装置(Renishaw社)を用いて、ガラス基板表面に形成された全スポットについて、スルホン酸基(酸発生剤の部分構造)の吸収の有無について観察し、下記基準に基づいて評価し、下記表3に示した。
「○」;全スポットでスルホン酸基の吸収が観察されない。
「△」;全スポット数100%に対して、スルホン酸基の吸収が観察されたスポット数が0%より多く30%以下である。
「×」;全スポット数100%に対して、スルホン酸基の吸収が観察されたスポット数が30%より多く100%以下である。
Figure 2010215818
尚、本発明においては、上記の具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
10;基板、
20;第1分子層、21;保護基が解離された部位、P;保護基、
30;樹脂組成物層(酸転写樹脂層)、31;酸発生部位、
41;第2分子の残基からなる部位、42;第3分子(他の第2分子)の残基からなる部位、50;マスク、
PR1;第1分子層形成工程、PR2;樹脂組成物層(酸転写樹脂層)形成工程、PR3;露光工程(保護基除去工程の一部)、PR4;酸転写工程(保護基除去工程の一部)、PR5;樹脂組成物層(酸転写樹脂層)除去工程、PR6;第2分子結合工程、
PR7;樹脂組成物層(酸転写樹脂層)形成工程、PR8;露光工程、PR9;酸転写工程、PR10;樹脂組成物層(酸転写樹脂層)除去工程、PR11;第3分子結合工程。

Claims (8)

  1. (A)末端にシアノ基を有する重合体と、
    (B)感放射線性酸発生剤と、を含有することを特徴とするバイオチップを製造するための樹脂組成物。
  2. 前記(A)末端にシアノ基を有する重合体のゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィーにより算出される重量平均分子量が1,000〜500,000である請求項1に記載のバイオチップを製造するための樹脂組成物。
  3. 前記(A)末端にシアノ基を有する重合体は、下記式(1)に示す構造単位を有する請求項1又は2に記載のバイオチップを製造するための樹脂組成物。
    Figure 2010215818
    〔式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状の炭化水素基、炭素数3〜10の環状の炭化水素基を表す。また、R及びRは互いに結合して、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子の群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有する3〜10員環の単環式ヘテロ環を形成してもよい。〕
  4. 前記(A)末端にシアノ基を有する重合体は、下記式(2)に示す構造単位を有する請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のバイオチップを製造するための樹脂組成物。
    Figure 2010215818
    〔式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは1価の有機基を表す。〕
  5. 前記(B)感放射線性酸発生剤は、イミドスルホネート基を有する化合物である請求項1乃至4のうちのいずれかに記載のバイオチップを製造するための樹脂組成物。
  6. (a)酸に不安定な保護基を有する第1分子からなる第1分子層を基板上に直接的又は間接的に結合させる第1分子層形成工程、
    (b)前記第1分子層上に請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の樹脂組成物をコーティングして樹脂組成物層を形成する樹脂組成物層形成工程、
    (c)前記樹脂組成物層を露光及び熱処理して、露光された部分に対応する前記第1分子層を構成する前記第1分子から前記保護基を除去する保護基除去工程、
    (d)前記樹脂組成物層を除去する樹脂組成物層除去工程、及び、
    (f)前記保護基が除去された第1分子に第2分子を結合させる第2分子結合工程、を含むバイオチップの製造方法。
  7. 前記基板の少なくとも表面は、シリコン、二酸化ケイ素、ガラス、ポリプロピレン又はポリアクリルアミドからなる請求項6に記載のバイオチップの製造方法。
  8. 前記第2分子が、ヌクレオチド、アミノ酸、単糖類又はこれらから選択される2以上の分子が結合された結合体である請求項6又は7に記載のバイオチップの製造方法。
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