JP2010215761A - ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのオリゴマー及び一般式(1)で示すメルカプトチアジアゾールから選ばれる一種又は二種以上と着色剤と水とアミノ酸を含有するボールペン用水性インキ組成物。
〔式中RはCH3、NH2、SMのいずれかの置換基を表し、前記Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアルカノールアミンのいずれかを表す。〕前記ボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペン。
【選択図】なし
Description
そこで、前記問題を解決するために、インキ組成物中に2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールを潤滑剤として添加し、水性インキの潤滑性を向上させてボール受け座の摩耗を低減する試みが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
更に、前記メルカプトチアジアゾール及び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのオリゴマーから選ばれる一種以上がインキ組成物全量中0.05〜5重量%の範囲で添加されること、前記アミノ酸がインキ組成物全量中0.1〜5重量%の範囲で添加されること、前記アミノ酸の20℃における水100gへの溶解度が、3〜160gの範囲にあること、前記着色剤が染料であること、前記染料が骨格中に2以上のアゾ基を有する黒色染料、トリフェニルメタン基を有する青色染料のいずれかを含むことを要件とする。
更には、前記いずれかのボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペンを要件とし、前記ボールペンが、水性インキ組成物をレフィル内に内蔵したボールペンレフィルを1本又は複数本収容し、出没機構の作動によって前記ボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する出没式形態であることを要件とする。
前記メルカプトチアジアゾール類としては、一般式(1)のメルカプトチアジアゾールである、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メチル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールや、更にこれらの塩である、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニアやアルカノールアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアルカノールアミン等のアミン塩等が例示できる。更に、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのオリゴマー(2〜10量体)が適用される。
0.05重量%未満では所期の効果を得ることは困難であり、又、5重量%を越えて添加しても摩耗抑制効果の向上は認められないのでこれ以上の添加を要しない。
特に、前記アミノ酸のなかでも、20℃における水100gへの溶解度が3g〜160gの範囲にあるものは、インキ中での安定性が高いため好適であり、前述の不具合をより効率的に抑制できる。
前記アミノ酸として具体的には、L−バリン(5.75)、L−グリシン(22.5)、β−アラニン、D−アラニン、DL−アラニン(いずれも15.8)、L−セリン(38.0)、L−スレオニン(9.0)、L−イソロイシン(4.02)、L−リジン(67.6)、L−アルギニン(14.8)、L−グルタミン(3.72)、L−グルタミン酸(38.0)、L−システイン(16.0)、L−メチオニン(4.8)、L−プロリン(155.0)、L−ヒドロキシプロリン(34.52)、L−ヒスチジン(3.84)等が挙げられ、一種又は二種以上で適用される。尚、前記括弧内の値は20℃における水100gへの溶解度である。
0.1重量%未満では前述の不具合を解消することは困難であり、又、5重量%を越えて添加しても所望の効果の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:S.S.Blue GLL、顔料分22%、山陽色素株式会社製〕、
C.I. Pigment Red 146〔品名:S.S.Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、
C.I.Pigment Red220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペン等に用いられる二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、香料又は香料カプセル顔料などを例示できる。
前記骨格中に2以上のアゾ基を有する黒色染料としては、C.I.ダイレクトブラック19、C.I.ダイレクトブラック154、CASNo.52204−07−6等が挙げられ、トリフェニルメタン基を有する青色染料としては、特に炭素数が30以上である分子量の大きいものが不利であることから、C.I.アシッドブルー90等が挙げられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用することができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
更に、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、N−アシルアミノ酸、N−アシルメチルタウリン、金属石鹸等、汎用の潤滑剤を併用することもできる。
前記剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100〜800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、ポリN−ビニルカルボン酸アミド、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示でき、更には、インキ組成物中にN−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤を併用して添加しても安定した剪断減粘性を付与できる。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンコオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することも可能である。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等からなる汎用のものが適用でき、直径0.1mm〜2.0mm、好ましくは0.15mm〜1.0mmの範囲のものが好適に用いられる。特に、ボール径が0.4mm以下の小径のものでは、筆記距離に対するボールの回転数が多くなることから、本願のインキがより好適に作用する。
前記軸筒にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記軸筒とチップを連結してもよい。
前記軸筒内に収容されるインキ組成物は、インキ組成物が低粘度である場合は軸筒前部にインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容する方法と、多孔質体或いは繊維加工体に前記インキ組成物を含浸させて収容する方法が挙げられる。
尚、前記軸筒は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを外軸内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
出没機構の操作方法としては、例えばノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、外軸後端部や外軸側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、外軸に回転部(後軸等)を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
尚、前記出没式ボールペンは、外軸内に一本のボールペンレフィルを収容したもの以外に、複数のボールペンレフィルを収容してなる複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用水性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラック100L、C.I.ダイレクトブラック19(染料分20%)
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:アシッドブルー105、C.I.アシッドブルー90
(3)アーチケミカルズジャパン社製、商品名:プロキセルXL−2
(4)リン酸エステル系界面活性剤、第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA212C
(5)リン酸エステル系界面活性剤、第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(6)2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
(7)2−メチル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール
(8)2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールの二量体
水に各添加剤を添加しディスパーにて1000rpmで混合攪拌した後、チアジアゾール及びアミノ酸を順に添加して混合攪拌し、更にキサンタンガムを含むものは最後に添加して3000rpmで10分間攪拌することで各インキを調製した。
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
前記実施例1〜3及び比較例1〜3の各インキ組成物1gを、直径0.3mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製チップを備えた直液式ボールペン(パイロットコーポレーション製、LHG−20V3)に充填して試料ボールペンAを作製した。
前記実施例4〜6及び比較例4、5の各インキ組成物1gを、直径0.3mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィルに充填し、該インキの後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを外軸に組み込み、キャップを装着して試料ボールペンBを作製した。
筆記試験
作製直後の試料ボールペンと、筆記可能であることを確認して横置き状態で温度20℃、30日間放置した後の試料ボールペン(各10本)を用いて、自動筆記試験機にて、旧JIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を連続筆記した際の書き切り性と吐出安定性(100m毎のインキ消費量の推移)を確認した。
尚、前記試験機は、筆記荷重50g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で使用した。
前記試験の結果を以下の表に示す。
書き切り性
○:10本すべてが書き切れた。
△:1〜3本書き切れないものがあった。
×:4本以上が書き切ることができなかった。
吐出安定性
○:一定の吐出量で最後まで書き切れた。
×:吐出量にばらつきが見られる又は筆記不能。
Claims (8)
- 前記メルカプトチアジアゾール及び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのオリゴマーから選ばれる一種又は二種以上がインキ組成物全量中0.05〜5重量%の範囲で添加される請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記アミノ酸がインキ組成物全量中0.1〜5重量%の範囲で添加される請求項1又は2に記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記アミノ酸の20℃における水100gへの溶解度が、3〜160gの範囲にある請求項1乃至3のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記着色剤が染料である請求項1乃至4のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記染料が骨格中に2以上のアゾ基を有する黒色染料、トリフェニルメタン基を有する青色染料のいずれかを含む請求項5に記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記請求項1乃至6のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペン。
- 前記ボールペンが、水性インキ組成物をレフィル内に内蔵したボールペンレフィルを1本又は複数本収容し、出没機構の作動によって前記ボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する出没式形態である請求項7記載のボールペン。
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