JP2006077074A - ボールペン用水性インキ組成物及びそれを用いたボールペン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 キサンタンガム又はサクシノグリカンから選ばれる剪断減粘性付与剤と、ポリビニルピロリドンと、着色剤と、水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含むボールペン用水性インキ組成物であって、前記剪断減粘性付与剤とポリビニルピロリドンの含有比率が1:1〜1:5.5であるボールペン用水性インキ組成物。前記ポリビニルピロリドンが、インキ組成物全量中0.1〜4重量%の範囲で含有されてなる。前記ボールペン用水性インキ組成物を、ボールペンチップを直接又は中継部材を介して取り付けたインキ収容管内に直接充填してなるボールペン。
【選択図】 なし
Description
前記ボールペンに充填されるインキ組成物は剪断減粘性付与剤を含有してなり、剪断応力が加わらない静置時は高粘度を示してボールペン機構内で安定的に保持され、筆記時のボールの回転により生じる剪断応力によってボール近傍で低粘度化して紙面に転写される機能を備えている。
しかし、前記剪断減粘性付与剤を添加することにより、ペン先近傍でインキの乾燥固化(所謂、ドライアップ)が生じ易くなるため、筆記先端部で目詰まりを起こし、カスレや筆記不能が発生することがある。そこで、耐ドライアップ性能を付与するために糖アルコールや特定のエステル等の各種化合物の添加がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
更に、前記ボールペン用水性インキ組成物を、ボールペンチップを直接又は中継部材を介して取り付けたインキ収容管内に直接充填してなるボールペンを要件とする。更に、前記ボールペンが、0.4mm以下のボール径を有するボールを備えてなることを要件とする。
前記ポリビニルピロリドンは、インキ組成物全量中0.1〜4重量%の範囲、好ましくは1〜3重量%の範囲で含有される。添加量が0.1重量%より少ないと充分な耐ドライアップ性能が得られ難く、4重量%以下で所望の効果は得られるためそれ以上の添加は要さない。
酸性染料としては、
ニューコクシン(C.I.16255)、
タートラジン(C.I.19140)、
アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、
ギニアグリーン(C.I.42085)、
ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、
アシッドバイオレット6BN(C.I.43525)、
ソルブルブルー(C.I.42755)、
ナフタレングリーン(C.I.44025)、
エオシン(C.I.45380)、
フロキシン(C.I.45410)、
エリスロシン(C.I.45430)、
ニグロシン(C.I.50420)、
アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
クリソイジン(C.I.11270)、
メチルバイオレットFN(C.I.42535)、
クリスタルバイオレット(C.I.42555)、
マラカイトグリーン(C.I.42000)、
ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、
ローダミンB(C.I.45170)、
アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、
メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
コンゴーレッド(C.I.22120)、
ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、
バイオレットBB(C.I.27905)、
ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、
カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、
ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、
フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
前記着色剤として染料を用いた場合、キャップを要しないノック式のボールペンに適用する系では特にドライアップが顕著であり、耐ドライアップ性能は重要な要件となる。
C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、
C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
また、水溶性樹脂を用いた水分散顔料としては、
C.I.Pigment Black 7〔商品名:WA color Black A25 、顔料分15%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Green 7〔商品名:WA−S color Green、顔料分8%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Violet 23〔商品名:マイクロピグモ WMVT−5、顔料分20%、オリエント化学工業(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 83〔商品名:エマコールNSイエロー4618、顔料分30%、山陽色素(株)製〕が挙げられる。
前記金属光沢顔料としては、アルミニウムや真鍮等の金属粉、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、金属蒸着膜の片面又は両面に透明又は着色透明フィルムを設けた金属光沢フィルム片を細かく裁断したもの、透明性樹脂層を複数積層した虹彩性フィルムを細かく裁断したものを例示できる。
なお、前記アルミニウムや真鍮等の金属粉を用いる場合、前記金属粉の表面を透明性樹脂や着色透明性樹脂で被覆したものが好適に用いられ、インキ組成物中での安定性に優れる。
前記顔料分散剤としてはアニオン、ノニオン等の界面活性剤、ポリアクリル酸、スチレンアクリル酸等のアニオン性高分子、PVA等の非イオン性高分子等が用いられる。
前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用することもできる。
その他、必要に応じてpH調整剤、防錆剤、防腐剤或いは防黴剤、潤滑剤を添加することができる。
前記pH調整剤としては、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、トリエタノールアミンやジエタノールアミン等の水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等が挙げられる。
前記防錆剤としては、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、チオ硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩、サポニン、ジアルキルチオ尿素等が挙げられる。
前記防腐剤或いは防黴剤としては、石炭酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等が挙げられる。
前記潤滑剤としては、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩等が挙げられる。
その他、溶剤の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン、アニオン、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等の消泡剤を添加することもできる。
前記ボールペンの構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、ボールを先端部に装着したボールペンチップを直接又は中継部材を介して連通してなるインキ収容管(軸筒)内に、インキを直接収容したボールペン、前記構造のボールペンをレフィールとして軸筒内に収容したボールペン、前記構造のボールペンのインキの後端面に逆流防止用の液栓を密接した構造のボールペン等が挙げられる。
更に、前記レフィール形態のインキ収容管が、筆記部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、ノック式、回転式、スライド式等の出没機構を有するボールペン等も挙げられる。
前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.2〜3.0mm径程度のものが適用できるが、好ましくは0.2〜0.4mm、より好ましくは0.2〜0.3mmのものが用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、中継部材(ホルダー)を介してインキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなり、具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と共に、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用水性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
(1)アシッドレッド87、ダイワ化成(株)製、商品名:エオシン
(2)アシッドレッド92、アイゼン保土谷(株)製、商品名:フロキシン
(3)アシッドイエロー9、ランクセス(株)製、商品名:スペシャルイエローNS
(4)アシッドブルー90、オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブルー105
(5)カーボンブラック(ピグメントブラック7)30%活性剤分散液、山陽色素(株)製、商品名:サンダイブラックC
(6)BASF社製、商品名:ルビテックK−17
(7)BASF社製、商品名:ルビテックK−30
(8)BASF社製、商品名:ルビテックK−90
(9)サクシノグリカン、三晶(株)製、商品名:レオザン
(10)キサンタンガム、三晶(株)製、商品名:KELZAN ST
(11)1,2−ベンズチアゾリン−3−オン、アビシア(株)製、商品名:プロキセルXL−2
実施例4及び比較例4については、水に剪断減粘性付与剤以外の成分を添加し、混合攪拌した後、剪断減粘性付与剤を添加して、25℃で、ディスパーにて400rpm、1時間攪拌することで調製した。
前記以外の実施例及び比較例のインキについては、水と有機溶剤からなる溶媒中に染料を投入し、60℃に加温して溶解した後、冷却して残りの成分を添加して、25℃で、ディスパーにて400rpm、1時間攪拌することで調製した。
基油としてポリブテン85部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド15部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
前記各インキ組成物を直径0.25mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプ(内径3.8mm)の一端に嵌着されたボールペンレフィルに充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、試料ボールペンを作製した。
耐ドライアップ試験
組み立て後、筆記可能であることを確認した試料ボールペンを、ペン先を露出した状態で横置き状態にて25℃の環境下に30日間放置した後、JIS P3201筆記用紙Aに手書きで螺旋状の丸を一行に12個連続筆記し、何個目から正常に筆記できるかを確認した。
初期状態の各インキ組成物の粘度と、前記各インキ組成物をそれぞれポリ容器に入れて密封し、50℃で30日間放置した後の粘度とを測定した後、経時による粘度変化を確認した。尚、これらの粘度は20℃、10rpmで測定した。
前記試験の結果を以下の表に示す。
耐ドライアップ試験
◎:書き出しより筆記可能。
○:書き出しのみややカスレが見られる。
△:筆跡にカスレを生じるが、2行以内に回復。
×:2行以内に筆記できない、或いは筆記不能。
インキ粘度測定試験
○:1割未満の粘度変化。
×:1割以上の粘度変化。
Claims (5)
- キサンタンガム又はサクシノグリカンから選ばれる剪断減粘性付与剤と、ポリビニルピロリドンと、着色剤と、水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含むボールペン用水性インキ組成物であって、前記剪断減粘性付与剤とポリビニルピロリドンの含有比率が1:1〜1:5.5であることを特徴とするボールペン用水性インキ組成物。
- 前記ポリビニルピロリドンが、インキ組成物全量中0.1〜4重量%の範囲で含有されてなる請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記水溶性有機溶剤が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2−ピロリドンのいずれかである請求項1又は2記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物を、ボールペンチップを直接又は中継部材を介して取り付けたインキ収容管内に直接充填してなるボールペン。
- 前記ボールペンが、0.4mm以下のボール径を有するボールを備えてなる請求項4記載のボールペン。
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