JP2010215480A - 脆性板材の積層方法及び加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 脆性板材の積層作業を効率よく、しかも板材が大型化しても対応可能な脆性板材の積層及び加工方法を提供する。
【解決手段】 液状化させた凝固剤L中に、複数枚の脆性板材Gを間隔を空けて整列配置する工程と、前記脆性板材Gの間隔を縮めるように押圧力を加え、脆性板材Gの集合体とする工程と、脆性板材Gの集合体を凝固剤Lから取り出して凝固剤Lを凝固させ、脆性板材積層体とする工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】 図6
【解決手段】 液状化させた凝固剤L中に、複数枚の脆性板材Gを間隔を空けて整列配置する工程と、前記脆性板材Gの間隔を縮めるように押圧力を加え、脆性板材Gの集合体とする工程と、脆性板材Gの集合体を凝固剤Lから取り出して凝固剤Lを凝固させ、脆性板材積層体とする工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】 図6
Description
本発明は、ガラス板、結晶化ガラス板、セラミックス板等の脆性板材を積層する方法と、これを用いた脆性板材の加工方法に関するものである。
CD、CMOS等のイメージセンサ用カバーガラス、半導体レーザー用ガラス、マイクロレンズアレイ用基板ガラス、ディスプレイ保護用ガラス等に使用されるガラス板は、溶融ガラスを板状に成形し、或いは一旦ブロック状に成形した後スライスして板状とし、これに表面研磨、穴開け、切断、端面加工、長穴加工等の加工や、化学強化等の強化処理を施して実用に供される。ガラス板に各種加工を行うに当たっては、加工効率を高める目的で、凝固剤を用いて複数枚のガラス板を予め積層一体化した後、各種加工を行う方法を採用するのが一般的である。(例えば特許文献1)
ガラス板を積層一体化するための凝固剤として、ワックスが広く使用されている。ワックスを用いてガラス板を積層一体化する代表的な方法には次の2つがある。1つめは、予め加熱しておいたガラス板にワックスを塗布し、これを積み重ねる方法である。2つめは、まず複数のガラス板を所定間隔に整列配置する。次に、加熱して液状化させたワックス中に所定間隔を空けて整列配置したガラス板をゆっくりと沈め、ワックスをガラス板間の空隙に浸入させていく。ガラス板間の空隙に十分にワックスが浸入したら、ガラス板整列体をワックスから引き上げ、降温してワックスを凝固させる。このようにしてガラス板積層体を形成する方法である。
ガラス板を積層一体化するための凝固剤として、ワックスが広く使用されている。ワックスを用いてガラス板を積層一体化する代表的な方法には次の2つがある。1つめは、予め加熱しておいたガラス板にワックスを塗布し、これを積み重ねる方法である。2つめは、まず複数のガラス板を所定間隔に整列配置する。次に、加熱して液状化させたワックス中に所定間隔を空けて整列配置したガラス板をゆっくりと沈め、ワックスをガラス板間の空隙に浸入させていく。ガラス板間の空隙に十分にワックスが浸入したら、ガラス板整列体をワックスから引き上げ、降温してワックスを凝固させる。このようにしてガラス板積層体を形成する方法である。
また最近では、ワックスに代えて低温凝固剤を使用する方法も提案されている。例えば特許文献2では、脆性板材間に低温凝固剤を塗布して積層一体化する方法が記載されている。
ところで、ガラス板にワックスを塗布して積み重ねる方法は、ガラス板に1枚ずつワックスを塗布しなければならないので作業効率が悪い。しかもガラスの面積が大きくなるとワックスの厚みのばらつきが大きくなるという欠点を有している。
ガラス板整列体の空隙にワックスを浸入させていく方法では、予めガラス板同士を小さな間隔で保持しておく必要があり、小径ビーズをガラス板表面に付着させおくことが行われている。従ってこの方法では、積層化を行う前にビーズ付着工程が必要となる。また粘性の高いワックスを浸入させるのに長時間を要する。さらに積層するガラス板が大型化していくと、ガラス板間にワックスを十分に浸入させることが困難になり、ガラス板の大型化の要求に適応することができないという欠点がある。また積層枚数を増やすことを目的としてワックスの厚み、すなわち板ガラス間の間隔を狭くしようとするとワックスを侵入させることができないという問題点もある。
特許文献2に記載の積層方法では、低温凝固剤を基板間に塗布する方法を採用しているために、板材への塗布を一枚ずつ行わなければならず、積層作業が繁雑である。
本発明の目的は、脆性板材の積層作業を効率よく、しかも板材が大型化しても対応可能な脆性板材の積層及び加工方法を提供することである。
本発明者等は、種々の検討を行った結果、液状の凝固剤中に整列配置された複数の板材を、板材間の間隔が縮まるように押圧力を加えることにより、板材同士の間隙への凝固剤の充填(浸入)を短時間で行えることを見いだし、本発明として提案するものである。
即ち、本発明の脆性板材の積層方法は、液状化させた凝固剤中に、複数枚の脆性板材を間隔を空けて整列配置する工程と、前記脆性板材の間隔を縮めるように押圧力を加え、脆性板材の集合体とする工程と、脆性板材の集合体を凝固剤から取り出して凝固剤を凝固させ、脆性板材積層体とする工程とを含むことを特徴とする。
本発明において、「液状化させた凝固剤」とは、粘性が十分に低く、流動可能な状態に維持された凝固剤を指す。「脆性板材」とは、ガラス板、結晶化ガラス板、又はセラミックス板を意味している。またその形状は特に限定されるものではなく、矩形状、円盤状等種々の形状が使用可能である。なお言うまでもないが、同形状、同サイズ、同材質の板材を積層することが重要である。「整列配置する」とは、予め整列させた板材整列体を凝固剤中に浸漬する方法のみならず、凝固剤中で板材を整列させた整列体とする方法も含む。なお整列させた板材の間隔は、必ずしも等間隔である必要はない。「押圧力を加える」とは、片側を固定し、反対側から押圧力を加える方法のみならず、両側から押圧力を加える方法も含む。「凝固させる」とは、凝固剤の温度を低下させて粘度を高め、流動しない状態にすることを意味する。
本発明では、脆性板材を整列させた後、液状の凝固剤中に浸漬することにより、脆性板材を整列配置することが好ましい。
上記構成によれば、板材の整列作業を正確且つスピーディーに行うことができる。
本発明では、スペーサーを介して脆性板材を所定間隔に整列配置すること、また押圧力を加える前にスペーサーを取り外すことが好ましい。
上記構成によれば、板材同士を所望の間隔に保持することが容易になる。なおスペーサーとしては、板材間の間隔を保持し、且つ用意に取り外しできるものであれば、その大きさや形状は特に限定されない。例えば図8に示すような、板材間の間隔を保持するための突出部42を複数備えた長尺のスペーサー4でもよいし、図9に示すような平面視で凸形状を有し、2枚の板材の間隙に突出部42が挿入されるスペーサー4を複数個使用してもよい。
本発明では、液状化された凝固剤が、熱軟化したワックスであることが好ましい。
上記構成によれば、後の加工工程を常温で実施することができる。
本発明では、凝固点以上の温度に保たれた低温凝固剤であることが好ましい。ここで「低温凝固剤」とは20℃以下の凝固点を有する低温凝固剤を意味する。
上記構成によれば、凝固剤を液状化する際に高温に加熱する必要がない。またこの種の低温凝固剤は、一般に低粘性であることから、脆性板材を押圧する作業を短時間で完了することができ、かつ間隙を小さくする、即ち積層するガラスの枚数を多くすることが可能である。
本発明では、脆性板材が、ガラス板であることが好ましい。
本発明の脆性板材の加工方法は、上記した方法によって形成された脆性板材積層体に加工を施した後、凝固剤を液状化させて、脆性板材集合体を解片することを特徴とする。
本発明では、加工が、切断、穴開け、長穴加工及び/又は端面加工であることが好ましい。
本発明では、解片後に脆性板材を洗浄することが好ましい。
本発明の積層方法によれば、複数枚の板材を一度に積層することができるため、効率的である。また予め小径ビーズを板材表面に付着させておく必要がないことから、この準備工程を省くことができる。また板材のサイズに関係なく積層化を行うことが可能である。さらに、積層するガラス間の間隔を小さく出来るため、積層する枚数を多くすることができ、ガラスの加工工程のさらなる効率化に寄与できる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳述する。図1(a)は整列治具に脆性板材を配置した状態を示す概略正面図、図1(b)は同状態の概略側面図、図2は押さえプレートを設置して固定された脆性板材の概略正面図である。図3は脆性板材を凝固剤に浸漬した状態を示す概略正面図である。図4は、押圧力を付与するためのエアシリンダーを取り付けた状態を示す概略正面図である。図5(a)はスペーサーを取り外した状態を示す概略正面図、図5(b)はその概略側面図である。図6は押さえプレートを介して押圧力を加えた状態を示す概略正面図である。図7は凝固剤から取り出した脆性板材を水平方向に載置した状態を示す概略正面図である。
なお本発明のガラス板成形装置は、本実施例に限定されるものではない。
本発明の板材の積層方法は、主として
(1)液状化させた凝固剤中に、脆性板材整列体を整列配置する工程、
(2)押圧力を加えて脆性板材集合体とする工程、
(3)脆性板材集合体を凝固剤から取り出して凝固剤を凝固させ、脆性板材積層体とする工程、とを含む。
(1)液状化させた凝固剤中に、脆性板材整列体を整列配置する工程、
(2)押圧力を加えて脆性板材集合体とする工程、
(3)脆性板材集合体を凝固剤から取り出して凝固剤を凝固させ、脆性板材積層体とする工程、とを含む。
第一の工程は、複数枚の脆性板材を、液状の凝固剤中に整列配置する工程である。なお本実施例では、脆性板材をスペーサーを用いて整列させた後、凝固剤中に浸漬、配置する例を示している。
まず、各種機械加工に供する脆性板材Gを複数枚用意する。脆性板材1は、ガラス板、結晶化ガラス板、セラミックス板の何れであっても差し支えない。またその形状は、矩形状、円盤状等種々の形状が使用できる。
また脆性板材Gが整列配置可能な整列治具を用意する。整列治具は、例えば図1に示すような、ベースプレート1と、板材を下方から支持する複数本(本実施例では2本)の下部支持棒2と、板材の横方向への動きを規制する複数本(本実施例では2本)の側部支持棒3と、スペーサー4、及び後述する押さえプレート5からなっている。ここで下部支持棒2及び側部支持棒3は、ベースプレート1の下部及び上部に設けられた嵌合孔にそれぞれ挿入されており、ベースプレート1の主面に対してほぼ直交する方向に固定される。また下部支持棒2の間隔は、脆性板材Gの板幅より狭く設定されており、側部支持棒3の間隔は、脆性板材Gの板幅より僅かに広く設定されている。さらに整列治具のベースプレート1の両端には、ベースプレート1の主面に対してほぼ直交する方向に一対のスペーサー4が着脱可能に取り付けられている。スペーサー4には、図8に示すように、ベースプレート1に嵌合する嵌合部41と、脆性板材Gを互いに離間させる複数の突出部42と、後述する押さえプレート5と係合する係合部43が形成されている。ここで突出部42の幅は最終的に得られる積層体の板材間隔よりも大きくしてある。なお図中、6はダミー板である。
次に上記整列治具に、複数枚の脆性板材Gを互いに離間させて整列させる。詳述すると、脆性板材Gは、2本の下部支持棒により下方から支持され、また2本の側部支持棒2によって側方への動きが規制されている。またスペーサー4の突出部42によって、隣り合う2枚の脆性板材Gが所定間隔を空けて保持される。
続いて図2に示すように、押さえプレート5を整列治具に取り付ける。押さえプレート5は、ベースプレート1と略同一形状及び同一サイズであり、ベースプレート1と同じ位置に下部支持棒2及び側部支持棒3を挿通可能な貫通孔が設けられている。これらの貫通孔に、下部支持棒2及び側部支持棒3を挿入し、さらにスペーサー4の係合部43を押さえプレート5の端部に係合させることによって、押さえプレート5が整列治具に取り付けられる。
このようにして脆性板材Gの整列体を準備する。
また液状化された凝固剤を用意する。具体的には、凝固剤が液状化する温度に管理された恒温槽7に凝固剤Lを投入し、液状にする。
凝固剤としては、従来広く使用されているワックスや、20℃以下の凝固点を有する低温凝固剤等を使用することができる。ワックスとしてはポリ酢酸ビニル等が使用可能である。また低温凝固剤としては、例えば株式会社エミネントサプライから販売されている商品名マジックウォーター(凝固点17℃)や水が使用できる。なおマジックウォーターや水は、ワックスと比べて洗浄性に優れている。またマジックウォーターは、凝固時の硬度が高いので積層体を効率よく、かつ高品質に機械加工できる。さらにエッチングを行う場合には、低温で行うことになるため、エッチングレートの高い材質であっても所望の形状に面取り加工でき、またその寸法精度も安定する。凝固剤の好ましい使用温度は、ポリ酢酸ビニルが150〜200℃程度、マジックウォーターが20〜40℃程度、水が5〜30℃程度である。
次に、図3に示すように、凝固剤L中に脆性板材Gの整列体を浸漬する。このとき、脆性板材Gは、整列治具内に直立状態で整列配置されているため、凝固剤L中でもその姿勢を保った状態で保持される。脆性板材Gの揺動等が収まった後に、図5に示すように、スペーサー4をベースプレート1及び押さえプレート5から取り外す。この時、出きる限り脆性板材Gに振動を与えないように、スペーサー4を静かに取り外すことが望ましい。脆性部材Gに強い振動を与えると脆性部材Gの位置ずれや転倒等が起こり、精確な積層体を形成することが難しくなる。
このようにして、凝固剤中に、複数枚の脆性板材Gを整列配置することができる。なお上記の方法に代えて、液状凝固剤中に予め浸漬させておいた治具に、脆性板材を整列させていく方法を採用しても良い。また板材の配置姿勢は必ずしも直立状態である必要はなく、水平状態や傾斜状態でも構わない。なお水平状態や傾斜状態で整列させる場合、スペーサーは必ずしも必要でない。スペーサーを使わない場合、脆性板材同士の間隔は、板材の自重と凝固剤の粘性によって決まる。
第二の工程は、押圧力を加える工程である。
板材への押圧は、片側を固定し、反対側から押圧力を加えてもよいし、両側から押圧力を加えても良い。本実施例においては、片側を固定した態様を示している。つまり押さえプレート5がベースプレート1側に移動するように押圧力を加える。ここで押さえプレート5の貫通孔には下部支持棒2及び側部支持棒3が挿通しているため、押さえプレート5はベースプレート1へ向かって正確に案内される。押さえプレート5の移動に伴い、ダミー板6及び脆性板材Gは間隔を順次縮めながらベースプレート1方向に直立状態を維持したまま移動する。
脆性板材Gへの押圧力印加は、例えばエアシリンダーを用いて行うことができる。エアシリンダー8を用いれば、押圧力の大きさを精確に制御することが可能になる。なおエアシリンダー8の取り付けは、スペーサー4を取り外す前に行うことが好ましい。詳述すると、図4に示すように、エアシリンダー8は、シリンダチューブ81をベースプレート1の固定孔に挿入するとともに、押さえプレート5の固定孔にピストンロッド82を挿入固定すればよい。このような構成にすれば、ピストンロッド82をシリンダチューブ81方向に移動させることにより、押さえプレート5がベースプレート1側に引き寄せられて脆性板材に押圧力を付与することが可能になる。
このようにして複数枚の脆性板材Gは、図6に示すように、凝固剤L中で、ベースプレート1と押さえプレート5とで押圧固定された板材集合体となる。この板材集合体は、各脆性板材Gに対して均等に押圧力が印可された状態となっており、板材間に均等な間隙で凝固剤が介在している。
第三の工程は、脆性板材の集合体を凝固剤から取り出して凝固剤を凝固させ、脆性板材積層体とする工程である。
ベースプレート1と押さえプレート5とで押圧固定された脆性板材Gの集合体を、押圧力を付与した状態のまま凝固剤中から取り出し、凝固剤を凝固させる。これによって、脆性板材Gの間隙に存在する凝固剤が凝固して、脆性板材Gが積層一体化する。より好ましい態様は、凝固剤が凝固する温度以下の温度に調整した環境下で、凝固剤Lからの取り出しを行うことである。また凝固剤Lから取り出した脆性板材Gの集合体は、図7に示すように、板材が水平方向となるように載置することが作業性の点から好ましい。
ベースプレート1と押さえプレート5とで押圧固定された脆性板材Gの集合体を、押圧力を付与した状態のまま凝固剤中から取り出し、凝固剤を凝固させる。これによって、脆性板材Gの間隙に存在する凝固剤が凝固して、脆性板材Gが積層一体化する。より好ましい態様は、凝固剤が凝固する温度以下の温度に調整した環境下で、凝固剤Lからの取り出しを行うことである。また凝固剤Lから取り出した脆性板材Gの集合体は、図7に示すように、板材が水平方向となるように載置することが作業性の点から好ましい。
なお凝固剤を凝固させるのに好適な温度としては、例えばポリ酢酸ビニルでは0〜50℃程度、マジックウォーターでは−5〜10℃程度、水では−20〜−5℃程度である。
続いて上記方法で作成した積層体を用いて脆性板材を加工する方法を説明する。
本発明の脆性板材の加工方法は、
(4)脆性板材積層体に加工を施す工程
(5)脆性板材積層体を解片する工程、を含む。
(4)脆性板材積層体に加工を施す工程
(5)脆性板材積層体を解片する工程、を含む。
積層体形成工程に続く第四の工程は、積層体に所望の加工を施す工程である。
加工の種類は限定されるものではなく、例えば切断、穴開け、長穴加工、端面加工等を行うことができる。また複数の加工を連続して行うことも可能である。なお加工工程は、凝固剤が液状化しない温度に保たれた雰囲気下で行うことが重要である。加工工程における好ましい雰囲気温度は、ポリ酢酸ビニルでは0〜50℃程度、マジックウォーターでは−5〜10℃程度、水では−20〜−5℃程度である。
第五の工程は、脆性板材積層体を複数枚の脆性板材に解片する工程である。
この工程は、積層体の板材間に存在する凝固剤を液状化させるものであり、例えば、加工を終えた脆性板材積層体を、凝固剤が液状化する温度に保たれた雰囲気下に持ち込むことにより、或いは雰囲気の温度を上昇させることにより実施することができる。なお凝固剤を液状化させるのに好ましい温度は、ポリ酢酸ビニルでは150〜200℃程度、マジックウォーターでは20〜40℃程度、水では5〜30℃程度である。
なお解片後の脆性板材には、凝固剤が付着していることがあるため、解片後に洗浄することが好ましい。
また解片後に、脆性板材の主表面に対して各種の処理又は加工を施すことが可能である。例えば化学強化等の強化処理や膜付け処理、或いは表面研磨等を施すことができる。
(実験例1)
まず130×180×0.8mmの大きさのAl2O3―Na2O―SiO2系ガラス板Gを用意した。このガラス板G40枚を、図1に示すように、整列治具に整列配置した。なおスペーサー4は、突出部42の幅(ガラス板同士の間隔に対応)が2mmのものを使用した。さらに図2に示すように、押さえプレート5をセットして、ガラス板を固定した。
(実験例1)
まず130×180×0.8mmの大きさのAl2O3―Na2O―SiO2系ガラス板Gを用意した。このガラス板G40枚を、図1に示すように、整列治具に整列配置した。なおスペーサー4は、突出部42の幅(ガラス板同士の間隔に対応)が2mmのものを使用した。さらに図2に示すように、押さえプレート5をセットして、ガラス板を固定した。
また低温凝固剤L(商品名マジックウォーター)を恒温槽7に投入し、30℃に加温して液状にした後、整列治具を低温凝固剤Lに浸漬し(図3)、エアシリンダー8を整列治具に取り付けた(図4)。なおエアシリンダー8は、ボア径φ20mmのものを使用した。
次いで整列治具からスペーサー4を取り外し(図5)、エアシリンダー8を駆動して押さえプレート5を介してガラス板Gに押圧力を与え、ベースプレート1と押さえプレート5により40枚のガラス板Gを集合させた(図6)。なおエアシリンダー8による押圧力は0.2MPaとし、押圧に要した時間は5秒であった。
続いて40枚のガラス板Gの集合体を、押圧力を作用させた状態で恒温槽7から取り出した。さらにガラス板が水平方向となるように定盤上に載置した後(図7)、雰囲気温度を0℃まで低下させ、低温凝固剤を凝固させた。このようにして得られたガラス板積層体は、厚さ5〜10μmの低温凝固剤層を介して、40枚のガラス板が積層一体化したものであった。
次に、得られたガラス板積層体に各種加工を施した。なお加工は、何れも0℃の雰囲気温度下で行った。
まず56×111mmの大きさになるようにガラス板積層体を切断した。切断に当たっては、#270の外周刃を用いた。次に幅2mm×長さ20mmの長穴を形成した。長穴の形成にはφ2mmの#400ダイヤモンド砥石を用いた。さらに55×110mm(コーナー10R)の大きさとなるように端面加工を施した。端面加工には#400のダイヤモンド砥石を用いた。更に加工された積層体を、液温0℃のフッ硫酸に浸漬して、ダイヤ加工によって発生したクラックの除去と稜部の面取り加工を行った。なおフッ硫酸への浸漬時間は30分間とした。
上記加工の完了後に、ガラス板積層体を20℃に加熱し、低温凝固剤を液状化させることによって個々のガラス板に解片した。さらに弱アルカリ洗剤の入った超音波槽で洗浄し、純水槽内ですすぎを行った後、熱風乾燥炉を用いて乾燥した。
その後、ガラス板に化学強化を行って、所望の形状を有する強化ガラスを得た。なお強化は、440℃の硝酸カリウム液に6時間浸漬することにより行った。
(実験例2)
まず150×170×0.5mmの大きさのAl2O3―B2O3―SiO2系ガラス板Gを用意した。このガラス板G40枚を、実験例1と同様にして整列治具に整列配置した。なおスペーサー4は、突出部42の幅(ガラス板同士の間隔に対応)が5mmのものを使用した。
(実験例2)
まず150×170×0.5mmの大きさのAl2O3―B2O3―SiO2系ガラス板Gを用意した。このガラス板G40枚を、実験例1と同様にして整列治具に整列配置した。なおスペーサー4は、突出部42の幅(ガラス板同士の間隔に対応)が5mmのものを使用した。
また凝固剤L(ポリ酢酸ビニル)を恒温槽7に投入し、180℃に加温して液状にした後、実験例1と同様にしてガラス板Gを凝固剤Lに浸漬し、エアシリンダー8を取り付けた。
次いで整列治具からスペーサー4を取り外し、エアシリンダー8を駆動して40枚のガラス板Gを集合させた。なおエアシリンダー8による押圧力は0.4MPaとした。また40枚のガラス板Gを密着させるのに要した時間は5分であった。
続いて40枚のガラス板Gの集合体を、押圧力を作用させた状態で恒温槽7から取り出した。さらにガラス板Gが水平方向となるように定盤上に載置した後、雰囲気温度を30℃に調整して凝固剤Lを凝固させた。このようにして得られたガラス板積層体は、厚さ0.2〜0.25mmの凝固剤層を介して、40枚のガラス板が積層一体化したものであった。
次に、得られたガラス板積層体に各種加工を施した。なお加工は、何れも30℃の雰囲気温度下で行った。
まず10×10mmの大きさになるようにガラス板積層体を切断した。切断に当たっては、#270のダイヤモンド砥石を用いた。次にコーナー部をドリルで角取りした。さらに加工された積層体を、液温30℃のフッ硫酸に浸漬して、クラック除去及び稜部の面取り加工を行った。なおフッ硫酸への浸漬時間は60分間とした。
上記加工の完了後に、実験例1と同様にして洗浄、乾燥を行った。
本発明は、ガラス板、結晶化ガラス板、セラミックス板等の積層及び加工方法として使用できる。特にCD、CMOS等のイメージセンサ用カバーガラス、半導体レーザー用ガラス、マイクロレンズアレイ用基板ガラス、ディスプレイ保護用ガラス等に使用されるガラス板の積層及び加工方法として好適である。
1 ベースプレート
2 下部支持棒
3 側部支持棒
4 スペーサー
5 押さえプレート
6 ダミー板
7 恒温槽
8 エアシリンダー
G 脆性板材
L 液状の凝固剤
2 下部支持棒
3 側部支持棒
4 スペーサー
5 押さえプレート
6 ダミー板
7 恒温槽
8 エアシリンダー
G 脆性板材
L 液状の凝固剤
Claims (10)
- 液状化させた凝固剤中に、複数枚の脆性板材を間隔を空けて整列配置する工程と、前記脆性板材の間隔を縮めるように押圧力を加え、脆性板材の集合体とする工程と、脆性板材の集合体を凝固剤から取り出して凝固剤を凝固させ、脆性板材積層体とする工程とを含むことを特徴とする脆性板材の積層方法。
- 脆性板材を整列させた後、液状の凝固剤中に浸漬することにより、脆性板材を整列配置することを特徴とする請求項1に記載の脆性板材の積層方法。
- スペーサーを介して脆性板材を所定間隔に整列配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の脆性板材の積層方法。
- 押圧力を加える前にスペーサーを取り外すことを特徴とする請求項3に記載の脆性板材の積層方法。
- 液状化された凝固剤が、熱軟化したワックスであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の脆性板材の積層方法。
- 液状化された凝固剤が、凝固点以上の温度に保たれた低温凝固剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の脆性板材の積層方法。
- 脆性板材が、ガラス板であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の脆性板材の積層方法。
- 請求項1〜7の何れかに記載の方法によって形成された脆性板材積層体に加工を施した後、凝固剤を液状化させて、脆性板材積層体を解片することを特徴とする脆性板材の加工方法。
- 加工が、切断、穴開け、長穴加工及び/又は端面加工であることを特徴とする請求項8に記載の脆性板材の加工方法。
- 解片後に脆性板材を洗浄することを特徴とする請求項8又は9に記載の脆性板材の加工方法。
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JP2009067388A Pending JP2010215480A (ja) | 2009-03-19 | 2009-03-19 | 脆性板材の積層方法及び加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010215480A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI556909B (zh) * | 2011-12-01 | 2016-11-11 | 鴻海精密工業股份有限公司 | 自動解蠟裝置及解蠟方法 |
KR102364784B1 (ko) * | 2021-08-20 | 2022-02-18 | 코세스지티 주식회사 | 박형 글래스의 제조 장치 및 그 방법 |
JP7369361B1 (ja) | 2022-09-14 | 2023-10-26 | フジテック株式会社 | 非接触給電式のエレベータ |
-
2009
- 2009-03-19 JP JP2009067388A patent/JP2010215480A/ja active Pending
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KR102364784B1 (ko) * | 2021-08-20 | 2022-02-18 | 코세스지티 주식회사 | 박형 글래스의 제조 장치 및 그 방법 |
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