JP2010215473A - スルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い触媒活性を有するスルホン酸基含有炭素質材料の成型体を提供する。そのことにより固定相流通式反応方式に適用可能とする。
【解決手段】炭素質粉末をスルホン化処理することにより得られた粉末状のスルホン酸基含有炭素質材料を結着剤とともに成型、硬化し、スルホン酸基含有量0.3mmol/g以上の成型体を得る。それにより高い触媒活性を維持しながらスルホン酸基含有炭素質材料の成型体を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】炭素質粉末をスルホン化処理することにより得られた粉末状のスルホン酸基含有炭素質材料を結着剤とともに成型、硬化し、スルホン酸基含有量0.3mmol/g以上の成型体を得る。それにより高い触媒活性を維持しながらスルホン酸基含有炭素質材料の成型体を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明はスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法およびその用途に関する。
硫酸は様々な化学反応に広く用いられている重要な触媒である。しかし一般的に大量に必要とすること、装置の腐食の問題があること、さらには反応後の生成物からの硫酸触媒の分離、回収、精製、再利用の工程など煩雑な工程が必要であること、或いは生成物中に残留する硫酸の中和、およびそれにより生成する塩の除去および廃棄、排水処理などの工程を必要とすること、さらにこれら工程では多くのエネルギーを要することなど多くの問題がある。
固体酸触媒は、硫酸等の鉱酸触媒の代替として利用することにより、装置の腐食がなく、上記の反応後の種々の工程が省略もしくは大幅に簡略化されることから、各種化学反応に対する触媒として有用であり、様々な固体酸が開発されている。代表的な固体酸としては、シリカ・アルミナ、結晶性アルミノ珪酸塩(ゼオライト)、ヘテロポリ酸などの無機化合物がある。
固体酸触媒は、硫酸等の鉱酸触媒の代替として利用することにより、装置の腐食がなく、上記の反応後の種々の工程が省略もしくは大幅に簡略化されることから、各種化学反応に対する触媒として有用であり、様々な固体酸が開発されている。代表的な固体酸としては、シリカ・アルミナ、結晶性アルミノ珪酸塩(ゼオライト)、ヘテロポリ酸などの無機化合物がある。
一方、オレフィンの水和反応はアルコール類やケトン類の製造のために工業的に重要な反応であり、この反応には酸触媒が使用される。イソプロピルアルコール又は2−ブタノールは、プロピレンまたはn−ブテンの水和を利用した各種方法によって製造される(非特許文献1、非特許文献2)。水和反応工程の多くのプロセスでは硫酸を触媒として使用しているが、前記の問題点の他に副生物が多い問題もあり、これらの問題を解消する目的で、固体酸触媒も一部使用されている。この場合、前記した無機固体酸触媒は一般には水の存在下には活性が低下することから使用されず、無機担体にリン酸を担持した触媒等が使用されるが、反応中にリン酸が担体上から脱離する問題がある。さらに架橋ポリスチレン骨格上にスルホン酸基を有するポリマーである強酸型イオン交換樹脂も使用されるが、耐熱性が低い、高価である等の問題から使用範囲が限定されている。耐熱性を有するフッ素置換オレフィンポリマーをベースとする超強固体酸「ナフィオン」(デュポン社登録商標)なども開発されているが、工業用途に利用するには高価に過ぎる。
そうした中、芳香族化合物や糖類といった有機物を比較的低温で炭化処理およびスルホン化処理して得られるスルホン酸基を含有する炭素質材料が開発され、触媒として種々の化学反応に高活性であること、耐熱性に優れること、低コストであること等から最近注目を集めており、脂肪酸のエステル化反応、エステルの加水分解反応、アルキル化反応、オレフィンの水和反応等の触媒としての評価が試みられている(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、特許文献1、特許文献2)。
ところで前述の先行公開技術において得られるスルホン酸基含有炭素質材料は、粉末状或いは粒状である。また前記公開技術においては、スルホン酸基含有炭素質材料は全て粉状或いは粒状の状態で反応触媒として用いられており、反応方式も攪拌型回分式反応器を用い、粉末状のスルホン酸基含有炭素質材料を懸濁させて使用している。しかしながら化学プロセスで多く採用されている、固定触媒層を用いた流通式反応方式に応用しようとした場合は、前記粉状或いは粒状のスルホン酸基含有炭素質材料は適用できない。これら粉状のスルホン酸基含有炭素質材料に関しては、それをプロトン伝導材料として応用するために加圧成型した試みは存在するが、固体酸触媒として用いるために成型し、固定触媒層を用いた流通式反応方式に適用しようとした試みはなされていないことから、工業的に応用可能な酸量と機械強度および表面積を有するスルホン酸基含有炭素質材料の成型体触媒の開発が望まれている。
触媒, 18(6),180(1976)
石油学会誌, 34(3), 201(1991)
堂免他,「カーボン系固体強酸の合成条件と触媒作用」,日本化学会第85回春季 年会(2005),2B5-43
Hara,M. et al. Nature,438(10),178,November (2005)
原他,PETROTECH,29(6),411(2006)
本発明の課題は、オレフィン水和反応等の各種酸触媒反応に対して高活性を有しかつ、固定相流通式触媒反応に応用可能な、十分な機械強度と表面積を有するスルホン酸基含有炭素質材料の成型体の製造方法およびそれにより得られた成型体触媒の用途を提供することにある。
前記従来技術の問題点に鑑みて、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、粉末状で得られたスルホン酸基含有炭素質材料に結着剤を混合して成型した後、その成型体を硬化することにより、粉末状のスルホン酸基含有炭素質材料が本来有していたスルホン酸量を維持したまま、十分な機械強度と表面積を有するスルホン酸基含有炭素質材料の成型体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一は粉状スルホン酸基含有炭素質材料と結着剤との混合物を成型した後、成型物を硬化することによりスルホン酸基含有炭素質材料成型体を製造する方法であって、硬化して得られるスルホン酸基含有炭素質材料成型体のスルホン酸基含有量が0.3mmol/g以上であることを特徴とするスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第二は得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の強度が1N/mm以上であることを特徴とする本発明の第一に記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第三は粉状スルホン酸基含有炭素質材料100重量部に対する結着剤の量が3〜50重量部であることを特徴とする本発明の第一又は第二のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第四は結着剤が有機結着剤であることを特徴とする本発明の第一〜第三のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第五は本発明の第一に記載の硬化を熱処理により行うものであることを特徴とする本発明の第一〜第五のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第六は熱処理温度が230℃以下であることを特徴とする本発明の第一〜第五のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第七は本発明の第一〜第六のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、オレフィンの水和反応を行なうことを特徴とするオレフィン水和生成物の製造方法である。
本発明の第八は本発明の第一〜第六のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、オレフィンのエーテル化反応を行うことを特徴とするエーテル類の製造方法である。
本発明の第九は本発明の第一〜第六のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、カルボン酸とアルコールとをエステル化反応させることを特徴とするエステル類の製造方法である。
本発明の第十は本発明の第一〜第六のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、カルボン酸とオレフィンとをエステル化反応することを特徴とするエステル類の製造方法である。
本発明の第十一は本発明の第一〜第六のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、エステル結合またはエーテル結合を含有する有機化合物の加水分解反応を行うことを特徴とする、アルコールおよび/または脂肪酸の製造方法である。
本発明の第十二は本発明の第七に記載の製造方法により得られたオレフィン水和物の脱水素反応を行うことを特徴とするケトン類の製造方法である。
本発明の第十三はオレフィン水和物が2-ブタノールであり、脱水素反応により得られたケトンがメチルエチルケトンである、本発明の第十二記載のケトン類の製造方法である。
本発明の第十四は本発明の第一〜第六のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下で行うことを特徴とするアラルキルヒドロペルオキシドの酸分解反応によるフェノール類の製造方法である。
本発明の第十五はアラルキルヒドロペルオキシドがクメンヒドロペルオキシドであり、酸分解反応で製造されるものがフェノール及びアセトンであるところの本発明の第十四記載のアラルキルヒドロペルオキシドの酸分解反応によるフェノール類の製造方法である。
本発明の第二は得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の強度が1N/mm以上であることを特徴とする本発明の第一に記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第三は粉状スルホン酸基含有炭素質材料100重量部に対する結着剤の量が3〜50重量部であることを特徴とする本発明の第一又は第二のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第四は結着剤が有機結着剤であることを特徴とする本発明の第一〜第三のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第五は本発明の第一に記載の硬化を熱処理により行うものであることを特徴とする本発明の第一〜第五のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第六は熱処理温度が230℃以下であることを特徴とする本発明の第一〜第五のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法である。
本発明の第七は本発明の第一〜第六のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、オレフィンの水和反応を行なうことを特徴とするオレフィン水和生成物の製造方法である。
本発明の第八は本発明の第一〜第六のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、オレフィンのエーテル化反応を行うことを特徴とするエーテル類の製造方法である。
本発明の第九は本発明の第一〜第六のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、カルボン酸とアルコールとをエステル化反応させることを特徴とするエステル類の製造方法である。
本発明の第十は本発明の第一〜第六のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、カルボン酸とオレフィンとをエステル化反応することを特徴とするエステル類の製造方法である。
本発明の第十一は本発明の第一〜第六のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、エステル結合またはエーテル結合を含有する有機化合物の加水分解反応を行うことを特徴とする、アルコールおよび/または脂肪酸の製造方法である。
本発明の第十二は本発明の第七に記載の製造方法により得られたオレフィン水和物の脱水素反応を行うことを特徴とするケトン類の製造方法である。
本発明の第十三はオレフィン水和物が2-ブタノールであり、脱水素反応により得られたケトンがメチルエチルケトンである、本発明の第十二記載のケトン類の製造方法である。
本発明の第十四は本発明の第一〜第六のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下で行うことを特徴とするアラルキルヒドロペルオキシドの酸分解反応によるフェノール類の製造方法である。
本発明の第十五はアラルキルヒドロペルオキシドがクメンヒドロペルオキシドであり、酸分解反応で製造されるものがフェノール及びアセトンであるところの本発明の第十四記載のアラルキルヒドロペルオキシドの酸分解反応によるフェノール類の製造方法である。
本発明の製造方法で得られたスルホン酸基含有炭素質材料の成型体は応用上十分な酸量と機械的な強度を有する。したがって化学工業で広く用いられている固定相流通式反応方式に応用してオレフィンの水和反応、オレフィンのアルコールによるエーテル化反応、エステルやエーテルの加水分解反応、アルコールまたはオレフィンとカルボン酸とのエステル化反応、アラルキルヒドロペルオキシドの酸分解反応等、化学工業的に重要な各種の固体酸触媒反応を効率良く経済的に行うことが出来る。
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
本発明のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法は、粉末状のスルホン酸基含有炭素質材料を製造しそれに結着剤を混合して成型した後、その成型体を硬化する方法である。
粉末状のスルホン酸基含有炭素質材料はスルホン酸基含有炭素質材料を製造しそれを粉末化することにより得られる。
本発明のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法は、粉末状のスルホン酸基含有炭素質材料を製造しそれに結着剤を混合して成型した後、その成型体を硬化する方法である。
粉末状のスルホン酸基含有炭素質材料はスルホン酸基含有炭素質材料を製造しそれを粉末化することにより得られる。
(粉末状スルホン酸基含有炭素質材料の製造)
スルホン酸基含有炭素質材料の製造方法は従来知られている方法で行うことが出来る。すなわち出発原料である有機合成化合物あるいは天然有機化合物を炭化処理およびスルホン化処理して得られる。
(スルホン酸基含有炭素質材料製造のための原料について)
スルホン酸基含有炭素質材料を製造するための原料は、炭化が可能な有機物であればいずれも適用可能である。例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、コロネン等の芳香族炭化水素等の有機低分子量化合物、重油、石油系ピッチ・タール等の石油系重質炭化水素混合物、糖類・デンプン・セルロース・アミロース・等の天然有機物、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、或いはポリエチレン、ポリアクリルアミド等の熱可塑性樹脂などの有機高分子化合物などが挙げられる。これらの有機物の中でもセルロースあるいはセルロースを含有する有機物を原料に用いた場合、得られるスルホン酸基含有炭素質材料の耐熱性が優れており特に好ましい。さらにはセルロースを含有する有機物として天然の木本類や草本類を用いた場合は、それらが安価に入手できることから経済的に特に好ましい。また、フェノール樹脂を原料に用いた場合、得られるスルホン酸基含有炭素質材料の固体酸としての活性が優れており特に好ましい。また、原料有機物としてレゾルシノール樹脂を用いた場合は得られるスルホン酸基含有炭素質材料はアルキル化反応やオレフィンの二量化反応などの、非水溶液系の酸触媒反応に対して高い活性を示し好ましい。
スルホン酸基含有炭素質材料の製造方法は従来知られている方法で行うことが出来る。すなわち出発原料である有機合成化合物あるいは天然有機化合物を炭化処理およびスルホン化処理して得られる。
(スルホン酸基含有炭素質材料製造のための原料について)
スルホン酸基含有炭素質材料を製造するための原料は、炭化が可能な有機物であればいずれも適用可能である。例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、コロネン等の芳香族炭化水素等の有機低分子量化合物、重油、石油系ピッチ・タール等の石油系重質炭化水素混合物、糖類・デンプン・セルロース・アミロース・等の天然有機物、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、或いはポリエチレン、ポリアクリルアミド等の熱可塑性樹脂などの有機高分子化合物などが挙げられる。これらの有機物の中でもセルロースあるいはセルロースを含有する有機物を原料に用いた場合、得られるスルホン酸基含有炭素質材料の耐熱性が優れており特に好ましい。さらにはセルロースを含有する有機物として天然の木本類や草本類を用いた場合は、それらが安価に入手できることから経済的に特に好ましい。また、フェノール樹脂を原料に用いた場合、得られるスルホン酸基含有炭素質材料の固体酸としての活性が優れており特に好ましい。また、原料有機物としてレゾルシノール樹脂を用いた場合は得られるスルホン酸基含有炭素質材料はアルキル化反応やオレフィンの二量化反応などの、非水溶液系の酸触媒反応に対して高い活性を示し好ましい。
(炭化−スルホン化処理について)
前記原料有機物の炭化処理は、好ましくは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で加熱することにより行われ、それにより無定形の黒色固体(炭化物)が得られる。
スルホン化処理は、濃硫酸または発煙硫酸中で加熱することにより行われ、それにより前記炭化物の骨格にスルホン酸基が付加される。炭化処理とスルホン化処理を同時に行う方法、炭化処理の後にスルホン化処理を行う方法のどちらも可能であるが、炭化処理の後にスルホン化処理を行う方法が好ましい。
炭化処理およびスルホン化処理の条件は、使用する原料有機物の種類、目的とするスルホン酸基含有炭素質材料の性状により適宜選択されるが、炭化処理とスルホン化処理を別工程にて行う場合について好ましい態様を以下に記載する。
前記原料有機物の炭化処理は、好ましくは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で加熱することにより行われ、それにより無定形の黒色固体(炭化物)が得られる。
スルホン化処理は、濃硫酸または発煙硫酸中で加熱することにより行われ、それにより前記炭化物の骨格にスルホン酸基が付加される。炭化処理とスルホン化処理を同時に行う方法、炭化処理の後にスルホン化処理を行う方法のどちらも可能であるが、炭化処理の後にスルホン化処理を行う方法が好ましい。
炭化処理およびスルホン化処理の条件は、使用する原料有機物の種類、目的とするスルホン酸基含有炭素質材料の性状により適宜選択されるが、炭化処理とスルホン化処理を別工程にて行う場合について好ましい態様を以下に記載する。
炭化処理のための加熱は窒素、アルゴン等の不活性気体雰囲気下で行う。好ましい温度は300〜600℃、である。炭化処理の温度が前記範囲の下限に満たない場合には、これをスルホン化処理して得られるスルホン酸基含有炭素質材料の耐熱性が劣る、あるいは水又は有機物への溶解分が多いなどの問題を生じる傾向にある。一方、前記範囲の上限を超える温度の場合には、これをスルホン化処理しても十分な量のスルホン酸基を付与することができず、したがって本発明の製造方法の目的物である十分なスルホン酸基を有するスルホン酸基含有炭素質材料の成型体が得られない。
炭化処理のための加熱時間は、1〜100時間、好ましくは2〜15時間である。炭化処理の時間が前記範囲の下限に満たない場合には、これをスルホン化処理して得られるスルホン酸基含有炭素質材料の耐熱性が劣る、あるいは水または有機物等への溶解分が多いなどの問題を生じる傾向にある。一方、前記範囲の上限の時間で必要な炭化は十分進行しており、それを超える時間をかけることは不要である。
スルホン化処理に使用するスルホン化剤は濃硫酸又は発煙硫酸である。製造されるスルホン酸基含有炭素質材料のスルホン酸基含量を大きくするためには、発煙硫酸を使用することが好ましい。これにより、種々の反応に高い触媒活性を有するスルホン酸基含有炭素質材料が得られる。使用する濃硫酸又は発煙硫酸の量は特に限定されないが、スルホン化を行う炭化物の量の5〜100倍(質量比)、好ましくは10〜80倍である。この範囲の下限に満たない場合には、炭化物に十分な量のスルホン酸基を付与することができず、得られるスルホン酸基含有炭素質材料の種々の化学反応に対する触媒活性が不十分なものとなる傾向にある。一方、この範囲の上限を超える場合には、必要以上の濃硫酸又は発煙硫酸を使用することとなり、使用済みの硫酸の処理を含めコスト上昇をもたらす。
スルホン化処理の温度は、好ましくは40〜250℃である。スルホン化処理の温度がこの範囲の下限に満たない場合には、炭化物に十分な量のスルホン酸基を付与することができず、本発明の製造方法の目的物である、スルホン酸基含有炭素質材料の成型体に十分なスルホン酸基を付与することが出来ず、種々の化学反応に対する触媒活性が不十分なものとなる。一方、この範囲の上限を超える温度の場合には、付加したスルホン酸基が分解する傾向となる。またスルホン化処理の操作が困難となる。
スルホン化処理の時間は適宜選択できるが、15分以上かつ30時間以下の範囲で行うのが好ましい。スルホン化処理の時間がこの範囲の下限に満たない場合には、炭化物に十分なスルホン基を付与することができず、酸量が飽和してない。そのため得られるスルホン酸基含有炭素質材料としては種々の化学反応に対する触媒活性が不十分なものとならざるを得ない。一方、この範囲の上限の時間で必要なスルホン化は十分進行しており、それを超える時間を掛けることは不要である。
炭化およびスルホン化処理工程後には、水で洗浄することにより余剰の硫酸を除去し、さらに乾燥することによって、スルホン酸基含有炭素質材料を得ることができる。洗浄は水で行うことが出来るが、好ましくは熱水で行われる。熱水による洗浄は、例えばソックスレー抽出法等により、約100℃での還流下で行うのが簡便である。加圧下にさらなる高温で洗浄することにより、洗浄時間を短縮することも可能である。なお、スルホン酸基含有炭素質材料の表面積を大きくするために上記の炭化処理工程で得た炭化物をスルホン化処理する前に賦活処理することも可能である。
(スルホン酸基含有炭素質材料の粉砕)
上記工程より得られるスルホン酸基含有炭素質材料は通常粉末の状態で得られる。これらを本発明の次の工程である、結着剤と混合して成型し硬化してスルホン酸基含有炭素質材料成型体を得る工程に供するためには予め粉砕して粒度をそろえておくことが望ましい。
(粉状スルホン酸基含有炭素質材料の性状)
上記工程より得られるスルホン酸基含有炭素質材料は通常粉末の状態で得られる。これらを本発明の次の工程である、結着剤と混合して成型し硬化してスルホン酸基含有炭素質材料成型体を得る工程に供するためには予め粉砕して粒度をそろえておくことが望ましい。
(粉状スルホン酸基含有炭素質材料の性状)
(酸基含有量について)
粉状のスルホン酸基含有炭素質材料の酸基含有量は、好ましくは0.5mmol/g、以上、さらに好ましくは1.0mmol/g以上である。酸基の含有量が0.5mmol/g未満の場合には、本発明の製造方法で得られるスルホン酸基含有炭素質材料成型体の酸量を0.3mmol/g以上とすることが困難になり当該成型体の種々の化学反応に対する固体酸触媒としての活性が不十分となる傾向にある。なおここでいう酸基含有量とは、スルホン酸基含有量である。
スルホン酸基含有量は、塩化ナトリウム溶液を用いたイオン交換容量測定により算出した。すなわち、所定量のスルホン酸基含有炭素質材料を塩化ナトリウム水溶液に加え入れて一定時間撹拌し、スルホン酸基のプロトンとナトリウムイオンとを交換させた。イオン交換により生成したHClの量を中和滴定により定量して、スルホン酸量を算出した。
イオン交換反応は以下のように表される。
R−SO3H+NaCl → R−SO3Na+HCl
ここで、Rはスルホン酸基含有炭素質材料のスルホン酸基を除いたカーボン残基を表す。
粉状のスルホン酸基含有炭素質材料の酸基含有量は、好ましくは0.5mmol/g、以上、さらに好ましくは1.0mmol/g以上である。酸基の含有量が0.5mmol/g未満の場合には、本発明の製造方法で得られるスルホン酸基含有炭素質材料成型体の酸量を0.3mmol/g以上とすることが困難になり当該成型体の種々の化学反応に対する固体酸触媒としての活性が不十分となる傾向にある。なおここでいう酸基含有量とは、スルホン酸基含有量である。
スルホン酸基含有量は、塩化ナトリウム溶液を用いたイオン交換容量測定により算出した。すなわち、所定量のスルホン酸基含有炭素質材料を塩化ナトリウム水溶液に加え入れて一定時間撹拌し、スルホン酸基のプロトンとナトリウムイオンとを交換させた。イオン交換により生成したHClの量を中和滴定により定量して、スルホン酸量を算出した。
イオン交換反応は以下のように表される。
R−SO3H+NaCl → R−SO3Na+HCl
ここで、Rはスルホン酸基含有炭素質材料のスルホン酸基を除いたカーボン残基を表す。
(粉状スルホン酸基含有炭素質材料の成型物の製造)
次の工程であるスルホン酸基含有炭素質材料を成型する方法について説明する。
成型は、粉状のスルホン酸基含有炭素質材料に結着剤を混合し、成型することにより行われる。
結着剤は粉状のスルホン酸基含有炭素質材料の成型性の向上、成型されたスルホン酸基含有炭素質材料の圧縮強度、耐摩耗性等の機械的特性の向上を目的に配合するものであり、アルミナ、シリカ・アルミナ、アルミナボリア、モンモリロナイトをはじめとする粘土鉱物などの無機結着剤、フェノール樹脂やキシレン樹脂、テフロン(デュポン社の登録商標)、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、リグニン、デンブンなどの有機結着剤が用いられるが、この中ではポリビニルアルコールが低温で硬化可能な点で好ましく用いられる。粉状スルホン酸基含有炭素質材料と結着剤の使用割合は好ましくはスルホン酸基含有炭素質材料100重量部に対して結着剤が3〜50重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。結着剤の量が3重量部未満では成形体中の結着剤の分散が十分でなく、必要な成形性の向上、機械的な強度を上げることが出来ない。一方、50重量部を越えると成形物に占めるスルホン酸基含有炭素質材料の比率が小さくなるとともに、結着剤がスルホン酸基含有炭素質材料の酸点を被覆することにより触媒活性が阻害され、好ましい性質を有するスルホン酸基含有炭素質材料成型体が得られない。
成型方法は、特に限定されないが、押出し成型機、打錠成型機などさまざまな公知の方法が用いられる。
次の工程であるスルホン酸基含有炭素質材料を成型する方法について説明する。
成型は、粉状のスルホン酸基含有炭素質材料に結着剤を混合し、成型することにより行われる。
結着剤は粉状のスルホン酸基含有炭素質材料の成型性の向上、成型されたスルホン酸基含有炭素質材料の圧縮強度、耐摩耗性等の機械的特性の向上を目的に配合するものであり、アルミナ、シリカ・アルミナ、アルミナボリア、モンモリロナイトをはじめとする粘土鉱物などの無機結着剤、フェノール樹脂やキシレン樹脂、テフロン(デュポン社の登録商標)、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、リグニン、デンブンなどの有機結着剤が用いられるが、この中ではポリビニルアルコールが低温で硬化可能な点で好ましく用いられる。粉状スルホン酸基含有炭素質材料と結着剤の使用割合は好ましくはスルホン酸基含有炭素質材料100重量部に対して結着剤が3〜50重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。結着剤の量が3重量部未満では成形体中の結着剤の分散が十分でなく、必要な成形性の向上、機械的な強度を上げることが出来ない。一方、50重量部を越えると成形物に占めるスルホン酸基含有炭素質材料の比率が小さくなるとともに、結着剤がスルホン酸基含有炭素質材料の酸点を被覆することにより触媒活性が阻害され、好ましい性質を有するスルホン酸基含有炭素質材料成型体が得られない。
成型方法は、特に限定されないが、押出し成型機、打錠成型機などさまざまな公知の方法が用いられる。
(粉状スルホン酸基含有炭素質材料の成型物の硬化)
次の工程である成型したスルホン酸基含有炭素質材料を硬化してスルホン酸基含有炭素質材料成型体を製造する方法について説明する。
この工程は、前の工程で成形された粉状スルホン酸基含有炭素質材料を加熱又は紫外線を照射するなどして成型体の強度を高めるために行う。加熱により硬化させる場合、加熱処理温度は230℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは210℃以下である。熱処理温度が230℃を超えると粉状のスルホン酸基含有炭素質材料が本来有していたスルホン酸基が分解して飛散したり、焼結などにより成型品の表面積が減少するなどの問題が生ずる。また、熱処理後のスルホン酸基含有炭素質材料成型品はその圧縮強度が1N/mm以上であることが望ましい。なおここで圧縮強度とは、木屋式硬度計を用い、円筒状の成型体を半径方向に圧縮して破壊したときの強度を言い、N/mmの単位で表される数値である。圧縮強度が1N/mmに満たない場合は固定相反応器に触媒を充填し反応に用いた場合、触媒の粉砕等により反応器の閉塞などの問題が生ずる。また、熱処理後の成型品はそのスルホン酸基含有量が0.3mmol/g以上であることが望ましい。スルホン酸基含有量が0.3mmol/gに満たない場合は、固体酸触媒としての活性が劣るものとなる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
次の工程である成型したスルホン酸基含有炭素質材料を硬化してスルホン酸基含有炭素質材料成型体を製造する方法について説明する。
この工程は、前の工程で成形された粉状スルホン酸基含有炭素質材料を加熱又は紫外線を照射するなどして成型体の強度を高めるために行う。加熱により硬化させる場合、加熱処理温度は230℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは210℃以下である。熱処理温度が230℃を超えると粉状のスルホン酸基含有炭素質材料が本来有していたスルホン酸基が分解して飛散したり、焼結などにより成型品の表面積が減少するなどの問題が生ずる。また、熱処理後のスルホン酸基含有炭素質材料成型品はその圧縮強度が1N/mm以上であることが望ましい。なおここで圧縮強度とは、木屋式硬度計を用い、円筒状の成型体を半径方向に圧縮して破壊したときの強度を言い、N/mmの単位で表される数値である。圧縮強度が1N/mmに満たない場合は固定相反応器に触媒を充填し反応に用いた場合、触媒の粉砕等により反応器の閉塞などの問題が生ずる。また、熱処理後の成型品はそのスルホン酸基含有量が0.3mmol/g以上であることが望ましい。スルホン酸基含有量が0.3mmol/gに満たない場合は、固体酸触媒としての活性が劣るものとなる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<実施例1>
(粉状スルホン酸基含有炭素質材料の製造)
セルロース粉末(旭化成ケミカルズ社製セオラスTG-101)3.0kgを30L金属製容器に入れ、窒素ガス流通下、5rpmで撹拌しながら、400℃で4時間加熱することにより炭素質粉末を得た。
5Lガラス容器に98%濃硫酸2kgを入れて100rpmで撹拌しながら、炭素質粉末200gを投入した。140℃に昇温して2時間維持した後、50℃以下になるまで放冷した。硫酸の10倍量の純水に、スラリー状になった硫酸液を撹拌しながら添加し、10分間撹拌を継続し、吸引ろ過によりスルホン酸基含有炭素質材料を回収した。洗浄水中に硫酸が検出されなくなるまでスルホン酸基含有炭素質材料を純水で洗浄し、60℃で24時間乾燥させ、粉状スルホン酸基含有炭素質材料αを得た。このもののスルホン酸量は0.75mmol/gであった。
(粉状スルホン酸基含有炭素質材料の製造)
セルロース粉末(旭化成ケミカルズ社製セオラスTG-101)3.0kgを30L金属製容器に入れ、窒素ガス流通下、5rpmで撹拌しながら、400℃で4時間加熱することにより炭素質粉末を得た。
5Lガラス容器に98%濃硫酸2kgを入れて100rpmで撹拌しながら、炭素質粉末200gを投入した。140℃に昇温して2時間維持した後、50℃以下になるまで放冷した。硫酸の10倍量の純水に、スラリー状になった硫酸液を撹拌しながら添加し、10分間撹拌を継続し、吸引ろ過によりスルホン酸基含有炭素質材料を回収した。洗浄水中に硫酸が検出されなくなるまでスルホン酸基含有炭素質材料を純水で洗浄し、60℃で24時間乾燥させ、粉状スルホン酸基含有炭素質材料αを得た。このもののスルホン酸量は0.75mmol/gであった。
(スルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造)
得られた粉状スルホン酸基含有炭素質材料α142.5gにバインダーとしてポリビニルアルコール7.5g(日本酢ビ・ポバールビ社製)を2Lのニーダーに入れ、純水122gを加えた。混錬しながら助剤としてセオラスTG-101(旭化成ケミカルズ社製)4.5gおよびポリエチレンオキサイド(アルコックスE-160:明成化学工業社製)4.5gを添加し、30分混錬を続けた。その後、ピストン押出機を用いて3mmφの径で押出し、60℃で24時間乾燥させることで円筒状のスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを得た。スルホン酸量は0.70mmol/g、圧縮強度は23.4N/mmであった。なお、強度は成型体20個を110℃で1時間処理した後、デシケータ内で冷却し、木屋式硬度計を用いて測定した。すなわち、円筒状のスルホン酸基含有炭素質材料Aを横置きし、直径5mmの圧子により一定速度で成型体に半径方向から圧力を加え、成型体が破壊されたときの加重量を円筒状のスルホン酸基含有炭素質材料Aの長さで除し単位長さあたりの強度(N/mm)とした。
得られた粉状スルホン酸基含有炭素質材料α142.5gにバインダーとしてポリビニルアルコール7.5g(日本酢ビ・ポバールビ社製)を2Lのニーダーに入れ、純水122gを加えた。混錬しながら助剤としてセオラスTG-101(旭化成ケミカルズ社製)4.5gおよびポリエチレンオキサイド(アルコックスE-160:明成化学工業社製)4.5gを添加し、30分混錬を続けた。その後、ピストン押出機を用いて3mmφの径で押出し、60℃で24時間乾燥させることで円筒状のスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを得た。スルホン酸量は0.70mmol/g、圧縮強度は23.4N/mmであった。なお、強度は成型体20個を110℃で1時間処理した後、デシケータ内で冷却し、木屋式硬度計を用いて測定した。すなわち、円筒状のスルホン酸基含有炭素質材料Aを横置きし、直径5mmの圧子により一定速度で成型体に半径方向から圧力を加え、成型体が破壊されたときの加重量を円筒状のスルホン酸基含有炭素質材料Aの長さで除し単位長さあたりの強度(N/mm)とした。
(オレフィンの水和反応)
100ccの撹拌機付きオートクレーブに、蒸留水9.00g(0.50モル)とジオキサン(溶媒)15.30gを仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.2g加えて密閉し、プロピレンを10.4g(0.25モル)封入した。次いで、500rpmで撹拌しながら120℃まで昇温し、窒素により5MPaに圧力調整を行った後、120℃に保ったまま2時間水和反応を行った。反応終了後は、反応液を冷却してから水素炎イオン化型検出器付ガスクロマトグラフィ(FID-GC)により定量分析を行った。その結果、単位触媒量、単位時間当たりに換算したイソプロピルアルコールの生成量は0.34mmol/g-cat./hrであった。結果を表1に示す。
100ccの撹拌機付きオートクレーブに、蒸留水9.00g(0.50モル)とジオキサン(溶媒)15.30gを仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.2g加えて密閉し、プロピレンを10.4g(0.25モル)封入した。次いで、500rpmで撹拌しながら120℃まで昇温し、窒素により5MPaに圧力調整を行った後、120℃に保ったまま2時間水和反応を行った。反応終了後は、反応液を冷却してから水素炎イオン化型検出器付ガスクロマトグラフィ(FID-GC)により定量分析を行った。その結果、単位触媒量、単位時間当たりに換算したイソプロピルアルコールの生成量は0.34mmol/g-cat./hrであった。結果を表1に示す。
(オレフィンのエーテル化反応)
100ccの撹拌機付きオートクレーブに、2−プロパノール29.75g(0.50モル)を仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.20g加えて密閉し、プロピレンを11.5g(0.27モル)封入した。次いで、500rpmで撹拌しながら110℃まで昇温し、窒素により5MPaに圧力調整を行った後、120℃に保ったまま2時間エーテル化反応を行った。反応終了後は、反応液を冷却してからFID-GCにより定量分析を行った。その結果、単位触媒量、単位時間当たりに換算したジイソプロピルエーテルの生成量は0.28mmol/g-cat./hrであった。結果を表1に示す。
100ccの撹拌機付きオートクレーブに、2−プロパノール29.75g(0.50モル)を仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.20g加えて密閉し、プロピレンを11.5g(0.27モル)封入した。次いで、500rpmで撹拌しながら110℃まで昇温し、窒素により5MPaに圧力調整を行った後、120℃に保ったまま2時間エーテル化反応を行った。反応終了後は、反応液を冷却してからFID-GCにより定量分析を行った。その結果、単位触媒量、単位時間当たりに換算したジイソプロピルエーテルの生成量は0.28mmol/g-cat./hrであった。結果を表1に示す。
(カルボン酸とエタノールのエステル化反応)
50ccの三口フラスコに、エタノール7.67g(0.17mol)および酢酸1.00g(0.017mol)を仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.20g入れて、80℃で1hr撹拌し、エステル化反応を行なった。反応終了後は、反応液を冷却してからFID-GCにより定量分析を行った。その結果、酢酸エチルの収率(生成した酢酸エチル(mol)/仕込みの酢酸(mol))は25%であった。結果を表1に示す。
50ccの三口フラスコに、エタノール7.67g(0.17mol)および酢酸1.00g(0.017mol)を仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.20g入れて、80℃で1hr撹拌し、エステル化反応を行なった。反応終了後は、反応液を冷却してからFID-GCにより定量分析を行った。その結果、酢酸エチルの収率(生成した酢酸エチル(mol)/仕込みの酢酸(mol))は25%であった。結果を表1に示す。
(オレフィンのエステル化反応)
100ccの撹拌機付きオートクレーブに、酢酸36.3g(0.6モル)を仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.5g加えて密閉し、プロピレンを16.7g(0.4モル)封入した。窒素により2.0MPaに圧力を調整した後、500rpmで撹拌しながら80℃まで昇温し、4時間エステル化反応を行なった。反応終了後は、反応液を冷却してから、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Aと反応液とを分離してFID-GCにより定量分析を行い、酢酸イソプロピルが117mg生成していることを確認した。結果を表1に示す。
100ccの撹拌機付きオートクレーブに、酢酸36.3g(0.6モル)を仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.5g加えて密閉し、プロピレンを16.7g(0.4モル)封入した。窒素により2.0MPaに圧力を調整した後、500rpmで撹拌しながら80℃まで昇温し、4時間エステル化反応を行なった。反応終了後は、反応液を冷却してから、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Aと反応液とを分離してFID-GCにより定量分析を行い、酢酸イソプロピルが117mg生成していることを確認した。結果を表1に示す。
(エステルの加水分解反応)
50ccの三口フラスコに、酢酸エチル2.6g(0.03mol)および水27.1g(1.5mol)を仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.20g入れて、80℃で2hr撹拌し、酢酸エチルの加水分解反応を行なった。反応終了後は、反応液を冷却してからFID-GCにより定量分析を行った。その結果、酢酸エチルの転化率(酢酸エチル減少率)は14%であった。結果を表1に示す。
50ccの三口フラスコに、酢酸エチル2.6g(0.03mol)および水27.1g(1.5mol)を仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.20g入れて、80℃で2hr撹拌し、酢酸エチルの加水分解反応を行なった。反応終了後は、反応液を冷却してからFID-GCにより定量分析を行った。その結果、酢酸エチルの転化率(酢酸エチル減少率)は14%であった。結果を表1に示す。
(ケトンの合成反応)
500ccの撹拌機付きオートクレーブに、蒸留水45.0g(2.5モル)を仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを4.0g加えて密閉し、ブテンを92.5g(1.65モル)封入した。次いで、700rpmで撹拌しながら150℃まで昇温し、窒素により5MPaに圧力調整を行った後、150℃に保ったまま7.5時間水和反応を行った。反応終了後は、反応液を冷却してから熱伝導度型検出器付きガスクロマトグラフィ(TCD-GC)により定量分析を行い、5.4gの2-ブタノールが得られていることを確認した。その後反応液を蒸留し、さらにモレキュラーシーブにて脱水処理することにより純度90%の2-ブタノールを3.7gを得た。
100ccの撹拌機付きオートクレーブに、その2-ブタノール1.0gと銅亜鉛触媒(アルドリッチ社製)0.1gを加え密閉し、次いで、700rpmで撹拌しながら500℃まで昇温し、1時間脱水素反応を行った。反応終了後は、反応液を冷却してからTCD-GCにより定量分析を行い、0.22gのメチルエチルケトンが得られていることを確認した。
500ccの撹拌機付きオートクレーブに、蒸留水45.0g(2.5モル)を仕込み、固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを4.0g加えて密閉し、ブテンを92.5g(1.65モル)封入した。次いで、700rpmで撹拌しながら150℃まで昇温し、窒素により5MPaに圧力調整を行った後、150℃に保ったまま7.5時間水和反応を行った。反応終了後は、反応液を冷却してから熱伝導度型検出器付きガスクロマトグラフィ(TCD-GC)により定量分析を行い、5.4gの2-ブタノールが得られていることを確認した。その後反応液を蒸留し、さらにモレキュラーシーブにて脱水処理することにより純度90%の2-ブタノールを3.7gを得た。
100ccの撹拌機付きオートクレーブに、その2-ブタノール1.0gと銅亜鉛触媒(アルドリッチ社製)0.1gを加え密閉し、次いで、700rpmで撹拌しながら500℃まで昇温し、1時間脱水素反応を行った。反応終了後は、反応液を冷却してからTCD-GCにより定量分析を行い、0.22gのメチルエチルケトンが得られていることを確認した。
(酸分解反応)
100ccの三口フラスコにエタノール13.8gと固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.2g仕込み、窒素雰囲気下で78℃に加熱・撹拌した(エタノールは還流状態にある)。そこへクメンヒドロペルオキシド(含有量88質量%)7.4gを15分かけて滴下した。滴下完了から30分後に反応液をサンプリングし、FID-GCにより定量分析を行った。その結果、フェノールの収率は21%(生成したフェノール(mol)/仕込みのクメンヒドロペルオキシド(mol))であった。結果を表−1に示す。
なお上記の各種反応に触媒として用いたスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを、反応終了後観察したが、何れの場合も破砕は認められなかった。
100ccの三口フラスコにエタノール13.8gと固体酸触媒としてスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを0.2g仕込み、窒素雰囲気下で78℃に加熱・撹拌した(エタノールは還流状態にある)。そこへクメンヒドロペルオキシド(含有量88質量%)7.4gを15分かけて滴下した。滴下完了から30分後に反応液をサンプリングし、FID-GCにより定量分析を行った。その結果、フェノールの収率は21%(生成したフェノール(mol)/仕込みのクメンヒドロペルオキシド(mol))であった。結果を表−1に示す。
なお上記の各種反応に触媒として用いたスルホン酸基含有炭素質材料成型体Aを、反応終了後観察したが、何れの場合も破砕は認められなかった。
<比較例1>
(スルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法)
粉状スルホン酸基含有炭素質材料α100重量部に、結着剤としてシリカアルミナ40重量部を加え30分混錬を続けた、その後、実施例1と同様にして3mmφのシリンダー状に押出成型した。これを350℃で1時間加熱処理することによって硬化させ、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Bを得た。成型体Bのスルホン酸量は0.15mmol/gで、結着剤とスルホン酸基含有炭素質材料の比率から予測されるよりもスルホン酸量は著しく少なく、成形時の熱処理によりスルホン酸量の減少が著しかった。
(各種反応)
実施例1と同様にして各種反応を実施した。結果を表-1に示す。結果より、比較例1のスルホン酸基含有炭素質材料成型体Bの各種反応に対する活性は実施例1に比べて著しく低かった。
(スルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法)
粉状スルホン酸基含有炭素質材料α100重量部に、結着剤としてシリカアルミナ40重量部を加え30分混錬を続けた、その後、実施例1と同様にして3mmφのシリンダー状に押出成型した。これを350℃で1時間加熱処理することによって硬化させ、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Bを得た。成型体Bのスルホン酸量は0.15mmol/gで、結着剤とスルホン酸基含有炭素質材料の比率から予測されるよりもスルホン酸量は著しく少なく、成形時の熱処理によりスルホン酸量の減少が著しかった。
(各種反応)
実施例1と同様にして各種反応を実施した。結果を表-1に示す。結果より、比較例1のスルホン酸基含有炭素質材料成型体Bの各種反応に対する活性は実施例1に比べて著しく低かった。
<比較例2>
(スルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法)
粉状スルホン酸基含有炭素質材料α100重量部に、結着剤としてエポキシ樹脂82重量部及びアセトン82重量部からなる溶液を加え10分混錬を続けた、その後、実施例1と同様にして3mmφのシリンダー状に押出成型した。これを120℃で24時間乾燥させることによって硬化させ、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Cを得た。このものの圧縮強度は38.4N/mm、スルホン酸量は0.02mmol/gであった。このスルホン酸量は成型体に占めるスルホン酸基含有炭素質材料の比率から予想されるよりも著しく小さかった。元素分析により、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Cには0.02mmol/gより多量のスルホン酸が残存していることが確認されており、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Cにおいては粉状スルホン酸基含有炭素質材料が有していたスルホン酸点が結着剤により被覆されていることが分かった。
(各種反応)
実施例1と同様にして各種反応を実施した。結果を表‐1に示す。結果より、比較例2のスルホン酸基含有炭素質材料成型体Cの各種反応に対する活性は実施例1に比べて著しく低かった。
(スルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法)
粉状スルホン酸基含有炭素質材料α100重量部に、結着剤としてエポキシ樹脂82重量部及びアセトン82重量部からなる溶液を加え10分混錬を続けた、その後、実施例1と同様にして3mmφのシリンダー状に押出成型した。これを120℃で24時間乾燥させることによって硬化させ、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Cを得た。このものの圧縮強度は38.4N/mm、スルホン酸量は0.02mmol/gであった。このスルホン酸量は成型体に占めるスルホン酸基含有炭素質材料の比率から予想されるよりも著しく小さかった。元素分析により、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Cには0.02mmol/gより多量のスルホン酸が残存していることが確認されており、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Cにおいては粉状スルホン酸基含有炭素質材料が有していたスルホン酸点が結着剤により被覆されていることが分かった。
(各種反応)
実施例1と同様にして各種反応を実施した。結果を表‐1に示す。結果より、比較例2のスルホン酸基含有炭素質材料成型体Cの各種反応に対する活性は実施例1に比べて著しく低かった。
<実施例2>
スルホン酸基含有炭素質材料成型体Aをさらに圧縮強度を上げるために210℃で2時間再度熱処理し、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Dを得た。この物のスルホン酸量は0.54mmol/gであった。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Dを用い、実施例1と同じ条件でカルボン酸とエタノールのエステル化反応を行った。結果を表−1に示す。210℃で再処理したにもかかわらず酸量の減少は少なくエステル化反応活性も実施例1と遜色なかった。
スルホン酸基含有炭素質材料成型体Aをさらに圧縮強度を上げるために210℃で2時間再度熱処理し、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Dを得た。この物のスルホン酸量は0.54mmol/gであった。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Dを用い、実施例1と同じ条件でカルボン酸とエタノールのエステル化反応を行った。結果を表−1に示す。210℃で再処理したにもかかわらず酸量の減少は少なくエステル化反応活性も実施例1と遜色なかった。
<比較例3>
スルホン酸基含有炭素質材料成型体Aをさらに圧縮強度を上げるために250℃で2時間再度熱処理し、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Eを得た。この物のスルホン酸量は0.25mmol/gであった。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Eを用い、実施例1と同じ条件でカルボン酸とエタノールのエステル化反応を行った。結果を表−1に示す。実施例2の210℃於ける熱処理に比べ250℃での熱処理はスルホン酸量を著しく減少させ、エステル化反応活性も著しく低下することが分かった。
スルホン酸基含有炭素質材料成型体Aをさらに圧縮強度を上げるために250℃で2時間再度熱処理し、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Eを得た。この物のスルホン酸量は0.25mmol/gであった。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Eを用い、実施例1と同じ条件でカルボン酸とエタノールのエステル化反応を行った。結果を表−1に示す。実施例2の210℃於ける熱処理に比べ250℃での熱処理はスルホン酸量を著しく減少させ、エステル化反応活性も著しく低下することが分かった。
<実施例3>
(シリカバインダー(1)の調製)
シリカゾル(日揮触媒化成製SN−30)50gにシランカップリング剤A−187(日本ユニカー製)10gを添加し、常温で1時間撹拌を行なった。続いて、50%硫酸1.3gを添加し、常温で1時間撹拌してシリカバインダー(1)を得た。
(スルホン酸基含有炭素質材料成型体Fの調製)
粉状スルホン酸基含有炭素質材料α100重量部にシリカバインダー(1)を45.4重量部および助剤としてポリエチレンオキサイド4.5gを添加し、30分混錬した。その後、ピストン型押出機で3mmφの径で押し出し、60℃で24時間乾燥させて、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Fを得た。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Fのスルホン酸量は0.36mmol/g、圧縮強度は6.8N/mmであった。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Fを用い、実施例1と同じ条件でカルボン酸とエタノールのエステル化反応を行った。結果を表−1に示す。酸量の減少は少なくエステル化反応活性も実施例1よりも優れていた。
(シリカバインダー(1)の調製)
シリカゾル(日揮触媒化成製SN−30)50gにシランカップリング剤A−187(日本ユニカー製)10gを添加し、常温で1時間撹拌を行なった。続いて、50%硫酸1.3gを添加し、常温で1時間撹拌してシリカバインダー(1)を得た。
(スルホン酸基含有炭素質材料成型体Fの調製)
粉状スルホン酸基含有炭素質材料α100重量部にシリカバインダー(1)を45.4重量部および助剤としてポリエチレンオキサイド4.5gを添加し、30分混錬した。その後、ピストン型押出機で3mmφの径で押し出し、60℃で24時間乾燥させて、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Fを得た。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Fのスルホン酸量は0.36mmol/g、圧縮強度は6.8N/mmであった。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Fを用い、実施例1と同じ条件でカルボン酸とエタノールのエステル化反応を行った。結果を表−1に示す。酸量の減少は少なくエステル化反応活性も実施例1よりも優れていた。
<実施例4>
(シリカバインダー(2)の調製)
シリカゾル(日揮触媒化成製SN−30)30gにシランカップリング剤であるグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー製A−187)6gを添加し、常温で1時間撹拌を行なった。続いて、50%硫酸0.8gを添加し、常温で1時間撹拌した。さらに、SH基を有するシランカップリング剤KBM−803(信越化学社製)6gをイソプロピルアルコール(関東化学社製、特級)37.5gで希釈した溶液を添加し、常温で1時間撹拌した。最後に、過酸化水素水4.0gを添加し、1時間撹拌した後、55℃で2時間静置した。これを冷却し、シリカバインダー(2)を得た。
(スルホン酸基含有炭素質材料成型体Gの調製)
粉状スルホン酸基含有炭素質材料α100重量部にシリカバインダー(1)を63.9重量部および助剤としてポリエチレンオキサイド4.5gを添加し、30分混錬した。その後、ピストン型押出機で3mmφの径で押し出し、60℃で24時間乾燥させて、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Gを得た。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Gのスルホン酸量は0.50mmol/g、圧縮強度は4.4N/mmであった。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Gを用い、実施例1と同じ条件でカルボン酸とエタノールのエステル化反応を行った。結果を表−1に示す。酸量の減少は少なくエステル化反応活性も実施例1よりも優れていた。
(シリカバインダー(2)の調製)
シリカゾル(日揮触媒化成製SN−30)30gにシランカップリング剤であるグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー製A−187)6gを添加し、常温で1時間撹拌を行なった。続いて、50%硫酸0.8gを添加し、常温で1時間撹拌した。さらに、SH基を有するシランカップリング剤KBM−803(信越化学社製)6gをイソプロピルアルコール(関東化学社製、特級)37.5gで希釈した溶液を添加し、常温で1時間撹拌した。最後に、過酸化水素水4.0gを添加し、1時間撹拌した後、55℃で2時間静置した。これを冷却し、シリカバインダー(2)を得た。
(スルホン酸基含有炭素質材料成型体Gの調製)
粉状スルホン酸基含有炭素質材料α100重量部にシリカバインダー(1)を63.9重量部および助剤としてポリエチレンオキサイド4.5gを添加し、30分混錬した。その後、ピストン型押出機で3mmφの径で押し出し、60℃で24時間乾燥させて、スルホン酸基含有炭素質材料成型体Gを得た。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Gのスルホン酸量は0.50mmol/g、圧縮強度は4.4N/mmであった。スルホン酸基含有炭素質材料成型体Gを用い、実施例1と同じ条件でカルボン酸とエタノールのエステル化反応を行った。結果を表−1に示す。酸量の減少は少なくエステル化反応活性も実施例1よりも優れていた。
以上の実施例および比較例より、従来粉体状でしか用いられてなかったスルホン酸基含有炭素質材料が成型体として使用できること明らかになった。また、成型体のスルホン酸基含有量の下限界を制御することにより、固体酸触媒として高い触媒活性が得られること、さらには、成型物を熱処理により硬化しスルホン酸基含有炭素質材料成型体を得る場合の有効なスルホン酸量を保持する望ましい熱処理温度も明らかになった。
本発明は、粉末スルホン酸基含有炭素質材料を結着剤とともに成型、硬化し、高い触媒活性を有し、高い圧縮強度を有するスルホン酸基含有炭素質材料の成型体を提供し、それによりオレフィンの水和、エーテル化、エステル化、カルボン酸とアルコールのエステル化等の各種反応を固定床流通式反応方式において適用可能である。
Claims (15)
- 粉状スルホン酸基含有炭素質材料と結着剤との混合物を成型した後、成型物を硬化することによりスルホン酸基含有炭素質材料成型体を製造する方法であって、硬化して得られるスルホン酸基含有炭素質材料成型体のスルホン酸基含有量が0.3mmol/g以上であることを特徴とするスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法。
- 得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の強度が1N/mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法。
- 粉状スルホン酸基含有炭素質材料100重量部に対する結着剤の量が3〜50重量部であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法。
- 結着剤が有機結着剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法。
- 請求項1に記載の硬化を熱処理により行うものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法。
- 熱処理温度が230℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、オレフィンの水和反応を行なうことを特徴とするオレフィン水和生成物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、オレフィンのエーテル化反応を行うことを特徴とするエーテル類の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、カルボン酸とアルコールとをエステル化反応させることを特徴とするエステル類の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、カルボン酸とオレフィンとをエステル化反応することを特徴とするエステル類の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下に、エステル結合またはエーテル結合を含有する有機化合物の加水分解反応を行うことを特徴とする、アルコールおよび/または脂肪酸の製造方法。
- 請求項7記載の製造方法により得られたオレフィン水和物の脱水素反応を行うことを特徴とするケトン類の製造方法。
- オレフィン水和物が2-ブタノールであり、脱水素反応により得られたケトンがメチルエチルケトンである、請求項12記載のケトン類の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られたスルホン酸基含有炭素質材料成型体の存在下で行うことを特徴とするアラルキルヒドロペルオキシドの酸分解反応によるフェノール類の製造方法。
- アラルキルヒドロペルオキシドがクメンヒドロペルオキシドであり、酸分解反応で製造されるものがフェノール及びアセトンであるところの請求項14記載のアラルキルヒドロペルオキシドの酸分解反応によるフェノール類の製造方法。
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2009
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