JP2010215417A - ガス分離用セラミック薄膜の製造方法 - Google Patents

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雅樹 杉本
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Abstract

【課題】セラミック化に伴う体積収縮を低減しクラックの発生を防止できると共に、ピンホール等の欠陥発生も抑制できるガス分離用セラミック薄膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】ガス分離用セラミック薄膜は、セラミックス前駆体であるポリカルボシラン(PCS)またはPCSに他の高分子材料を混合したポリマーブレンドなどのケイ素系混合高分子材料をセラミック基材上に成膜し、真空中や不活性ガス中などの無酸素環境下において電離放射線により架橋した後、アルゴンガスなどの高級不活性ガス中で焼成することにより製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、セラミック前駆体高分子であるポリカルボシラン(PCS)薄膜を不溶化後に焼成転換して得られる、耐熱性、耐食性に優れた炭化ケイ素(SiC)薄膜に係り、特に、水素ガスなどのガス分離に有用なガス分離用セラミック薄膜の製造方法に関する。
膜によるガス分離法は、相変化を伴わず、装置や操作の簡略化が容易で連続運転が可能である等の利点を有する。そのため、省エネルギー型のガス製造装置としての応用が期待されている。例えば、燃料電池等へ供給するための高純度の水素を得る方法として、セラミック製の水素分離膜を使用する方法が注目されている。
セラミック多孔質膜である炭化ケイ素 (SiC)薄膜は、600℃を越える高温でも化学的に安定であり、水蒸気やメタン等の還元ガスとの反応性が低く、耐久性に優れた膜として期待されている。SiC薄膜は、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法や、ケイ素系高分子材料からの前駆体法により、作製される。CVD法は、SiCの原料ガスを高温で反応させ、セラミックや金属の基材表面に堆積させる方法である。この手法で得られたSiC薄膜は、高純度・高密度で化学量論比も1に近いため、ガスの選択透過性等の機能性の付与が困難である。前駆体法は、ポリカルボシラン(Polycarbosilane,PCS)等のケイ素系高分子材料を出発物質として、その成膜-架橋-焼成の工程を経て作製する方法である。この前駆体法により作製されたSiC薄膜は、単結晶に比べて密度の低い非晶質であり、ガス分子を選択透過できるナノホールを有することが明らかになっている(例えば特許文献1及び2、非特許文献1及び2を参照)。
このケイ素系高分子材料をSiCに転換する焼成工程では水素やメタン等の分解ガスを発生して重量が減少し、それ以上に体積が収縮することで密度が上昇する。この収縮は、3次元的な体積収縮が許容されるSiC繊維の製造工程では形状保持の観点では問題にならないが、焼成の際体積変化を伴わない多孔質基材表面をケイ素系高分子薄膜で覆い、これを焼成転換する必要のあるSiC薄膜の製造法においては、膜と基材との収縮量の差が引っ張り応力として作用しクラック等の欠陥の発生原因となる。
例えばPCSを未架橋のまま不活性ガス中で焼成すると、PCSの融点で溶融状態となり、H2やCH4等に加えてPCSの低分子量成分等が放出され、40%以上の質量減少と60%以上の体積収縮を生じる。一方、SiC繊維等の製造法においては、PCSを繊維に成形後、酸化雰囲気中で加熱することで酸素をPCS中に導入し、この酸素を介してPCS分子鎖を架橋して融点以上の温度でも溶融状態にならないように不融化処理するのが一般的である。これにより、焼成工程で放出される低分子量成分が減少し、質量減少は20%程度に低減する。しかし、この酸素は、焼成工程の初期にH2やCH4に加えて、分子サイズの大きいH2OやCO2として放出されるため、体積収縮は50%程度に低減されるにすぎず、SiC薄膜の製造法においては、クラック等の欠陥の発生を抑制することは困難である。
この問題は、膜厚を薄くすることで回避可能であるが、基材表面の起伏が大きく影響するようになる。すなわち基材表面の凸部では膜が薄くなりすぎ、収縮によりピンホール等の欠陥が生じ、凹部では局所的に膜厚が増大し前述したようにクラックが生じる。これらの欠陥は、ガス分離比を低下させる原因となるため、基材として平滑な多孔質基材を使用してピンホールの発生を低減するとともに、成膜-焼成の工程を複数回繰り返して残存する欠陥を消滅する必要がある(例えば特許文献3、非特許文献3を参照)。
特開2005-60493号公報 特開2004-356816号公報 特開2007-76950号公報
L.L.Lee et al. Ind. Eng. Chem. Res. 40 2001, p.612-616 T.Nagano et al. J. Ceram. Soc. Japan p.114, 2006, p.533-538. R.A. Wach et al. Mater. Sci. Eng., B, 140, 2007, p.8189.
従来技術におけるSiC薄膜作製時の欠陥形成の要因を種々検討した結果、多孔質基材表面の凹凸により膜厚が不均一となった部分に、ケイ素系高分子材料からセラミックスへの焼成転換に伴う収縮により引張応力が負荷され、ガス分離比低下の原因となるクラックやピンホール等の欠陥が発生することが判明した。
セラミック薄膜をガス分離膜として応用した場合、特定の分子サイズのガス分子のみがナノホールを選択的に通過する分子ふるい機構によりガスが分離される。従って、高分離比とするためにはピンホールやクラック等の分子サイズに比べて遙かに大きい欠陥は極限までその数を低減する必要があり、またそれらが存在しない理想的な膜であれば、薄いほど透過抵抗が小さく、ガス透過性の高いガス分離膜が作製できる。
しかし、実際のSiC薄膜の作製条件においてはこの欠陥を完全に除去することは困難であるため、成膜から焼成の工程を複数回繰り返してピンホール等の欠陥数を低減する必要があり、これに伴う膜厚の増大によりガス透過性が低下していた。
そのため、表面平滑性の低い多孔質基材表面に成膜した場合であっても、ガス分離比低下の原因となるクラックやピンホール等の欠陥発生ができるだけ少ない、ガス分離用セラミック薄膜の製造方法が求められている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、セラミック化に伴う体積収縮を低減しクラックの発生を防止できると共に、ピンホール等の欠陥発生も抑制できるガス分離用セラミック薄膜の製造方法を提供することにある。
本発明のように、PCSを不活性ガス中で電離放射線照射した場合、PCS分子鎖の一部が切断し活性なラジカルが生成し、これが直接他の分子鎖と再結合して、PCS全体が網目状に架橋される。このため、焼成の際にH2OやCO2が原理的に発生しないことに加え、CH4の主要な発生源であるPCS分子鎖のCH3側鎖も架橋に組み込まれるためCH4の放出量も低減され、焼成に伴う体積収縮は酸化架橋の場合に比べて20%以上小さくできる。
そこで本発明では、ケイ素系高分子薄膜の架橋条件を種々検討し、不活性ガス雰囲気下での電離放射線照射により無酸素架橋して焼成に伴う体積収縮の低減を可能とし、ピンホール等の欠陥の発生を抑制してSiC薄膜の作製を可能とした。
本発明の一つの観点によれば、そのようなガス分離用セラミック薄膜の製造方法は、セラミックス前駆体であるケイ素系混合高分子材料をセラミック基材上に成膜し、無酸素環境下において電離放射線により架橋した後、不活性ガス中で焼成する段階から成る。無酸素架橋では、ケイ素系混合高分子材料が高密度かつ均一に架橋され、さらに、メチル側鎖等も架橋構造に組み込まれて焼成に伴うCH4等の発生が抑制されるため、焼成に伴う体積収縮が抑制される。この結果、ピンホールの発生が低減でき、従来の成膜-架橋-焼成の工程の繰り返し数が大幅に低減される。
本発明によれば、電離放射線による無酸素架橋反応とケイ素系高分子材料の収縮性に関しての顕著な関連性により、作製工程で薄膜に発生するクラックやピンホール等の欠陥数を低減できる。本発明は、多孔質セラミック基材表面にガス分離用SiC薄膜を形成する際に特に有効である。
より詳細には、本発明の製造方法によれば、焼成に伴う収縮が低減されるため、焼成後のSiC薄膜に残存するピンホールやクラック等の欠陥数が減少する。従って従来法より少ない成膜から焼成の工程の回数で、高ガス分離比、高ガス透過性のSiCガス分離膜を作製することが出来る。
また、本発明の製造方法によれば、焼成に伴う収縮が低減できるため、従来法ではガス分離膜の基材として適用が困難であった表面凹凸の大きな多孔質基材の場合においても、ピンホールやクラック等の欠陥の発生を抑制してSiCガス分離膜を作製可能となる。このため、耐熱性や耐水蒸気性に問題のあるγアルミナ等による平滑化の必要性がなくなり、SiC薄膜の使用温度や使用環境の制限が緩和される。
さらにまた、従来技術ではガス透過性増大のための造孔剤や、不融化のための酸素や架橋剤を導入する必要があったが、これらの不純物は耐熱性の低下原因である。本発明の製造方法によれば、これらの不純物は導入されないため、より高い耐熱・耐蝕性のSiCガス分離膜が作製できる。
本発明に係るガス分離用セラミック薄膜の製造方法の工程の一例を示す模式図である。 表面をγアルミナで平滑化した多孔質アルミナ基材上に、本発明の電子線無酸素架橋による工程で成膜したSiC薄膜の成膜回数とガス透過率及びガス分離比の関係を示すグラフである。 表面をγアルミナで平滑化した多孔質アルミナ管上に、本発明の電子線無酸素架橋による工程で成膜したSiC薄膜の成膜回数とガス透過率及びガス分離比の関係を示すグラフである。 平滑化処理を施さない多孔質アルミナ基材上に、本発明の電子線無酸素架橋による工程で成膜したSiC薄膜の成膜回数とガス透過率及びガス分離比の関係を示すグラフである。 電子線無酸素架橋、熱酸化架橋により不融化したPCS薄膜及び未架橋のPCS薄膜を不活性ガス中で焼成した際の膜厚の変化を説明するためのグラフである。
図1に、本発明に係るガス分離用セラミック薄膜の製造方法の工程の一例を示す。セラミック前駆体高分子を所定の濃度で溶解しケイ素系高分子溶液を作製する。ポリカルボシラン(PCS)やポリビニルシラン、ポリチタノカルボシラン等のケイ素系高分子材料をセラミック前駆体高分子として用いる場合、溶媒としてトルエン、シクロヘキサン、THF、ベンゼン、キシレン等の有機溶媒が適用可能である。粒子状物質が溶液中に残存すると、ピンホール等の欠陥の原因となるため、フィルター等を用いての未溶解成分や残存ダスト等を完全に除去することが望ましい。
ケイ素系高分子溶液をスピンコートやディッピング等の方法で、例えば多孔質アルミナ基材上へ成膜する(成膜工程101)。焼成時の収縮によるクラック形成を抑制するため、例えばケイ素系高分子がPCSで有る場合では、1回の成膜で塗布するPCSの膜厚は1μm以下であることが望ましい。
次にケイ素系高分子薄膜に、不活性ガス中または真空中などの無酸素環境下で電離放射線である電子線を照射し、架橋を形成する(架橋工程102)。ケイ素系高分子が電離放射線による無酸素架橋により融点以上の温度でも不融で、溶媒にも不溶となる線量まで照射する必要がある。
セラミックに焼成転換する際の質量残存率を増大し、収縮を低減して欠陥形成を抑制するためには、より大線量の電離放射線照射で十分な架橋を形成することが望ましい。例えばケイ素系高分子がPCSである場合、溶媒に不溶となる電子線線量は約5MGyであるが、質量残存率が80%を越える線量は8MGy以上である。また、必要十分に架橋されたケイ素系高分子材料に15MGy以上照射すると、照射に伴って発生する分解ガスの質量減少のため、質量残存率が低下してしまう。従ってガス分離膜の作製に適した線量は約8〜15MGyである。
電離放射線照射の初期の段階では、ケイ素系高分子の架橋が十分でないため、電離放射線により付与されるエネルギーで融点を越えて温度上昇し、溶融状態となる可能性がある。この場合、薄膜が流れて膜厚に片寄りを生じたり、照射による分解ガスが気泡となり薄膜中に残存して欠陥の原因となるため、ケイ素系高分子薄膜を水や液化炭酸ガスで冷却可能な台上に設置したり、熱伝導率の大きなヘリウムを流通させる等の方法で、ケイ素系高分子の融点以上の温度とならないよう冷却する必要がある。
照射直後においては、電離放射線により形成された活性なラジカルがケイ素系高分子薄膜中に残存しており、空気中に取り出すと、酸素とすみやかに反応する。こうして取り込まれた酸素は、密度の上昇によるガス透過率の低下や、耐熱性の低下の原因となる。従って、照射後大気中に取り出す前に、不活性ガス中で400℃以上に加熱し、ラジカルの消滅処理を実施することが必要である。また照射後大気中に取り出さずに、直接所定の温度まで加熱可能な照射・焼成装置を用いて連続処理することが望ましい。
最後に、架橋されたケイ素系高分子薄膜を不活性ガス中で焼成し、ケイ素系高分子薄膜をSiC薄膜に転換する(焼成工程103)。この際、温度上昇により多孔質セラミック基材は膨張し、ケイ素系高分子薄膜は収縮するため、この収縮率の差によりクラック等の欠陥が生じる。従来法においては、最も大きく収縮する500〜1000℃の温度域では、昇温速度を100℃/h以下とし、収縮率の差による欠陥形成を抑制する必要があった。本発明における電離放射線無酸素架橋では、この収縮が低減されるため、上記の温度域でも200℃/h以上の昇温速度が適用可能であり、焼成工程の効率化が可能である。
この成膜から焼成の工程を、ピンホール等の欠陥が無くなるまで繰り返し、分子ふるい機構により水素等を他のガスと分離可能なセラミックガス分離膜を作製することが可能となる。
焼成により得られるSiC薄膜のガス透過率を増大するためには、膜厚はより小さい方が望ましいが、基材表面の凹凸やダスト等の影響を受けピンホール等の欠陥数が増大し、ガス分離比が低下するため成膜から焼成の工程を繰り返す必要が生じる。そのため、従来の熱酸化架橋法をPCS薄膜に適用した場合、100〜200nmの膜厚に成膜し、成膜から焼成の工程を4回以上繰り返す必要があった。しかし、本発明では無酸素環境下での架橋形成のため収縮が小さく、ピンホールの発生が少ないので、成膜から焼成の繰り返し回数が少なくて済み、その結果膜厚を薄くでき、良好なガス透過性を持つセラミック薄膜が得られる。
また、本発明における電離放射線無酸素架橋法では、焼成工程での収縮が低減されるため、従来法では使用が困難であった表面の凹凸の大きな多孔質セラミックスを基材として適用することが可能となる。たとえば表面層が粒径約100nmのαアルミナである多孔質セラミック基材に、4回の成膜から焼成の工程で分子ふるい機構を示すセラミックガス分離膜を作製することができる。耐熱性、耐水蒸気性等に問題を有するγアルミナを必要としないため、耐熱性・耐水蒸気性等に優れたセラミックガス分離膜の作製が可能である。
次に、多孔質アルミナ基材上に、セラミック前駆体高分子としてポリカルボシラン(PCS)を用いた場合の実施例により本発明をさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
PCS溶液を多孔質アルミナ基材上に、膜厚が約200nmとなるようPCS溶液の濃度及びスピンコート回転数を調節し成膜した。これを水冷機能を有する試料台上に設置して、雰囲気を真空置換可能な電子線照射容器に入れ、ヘリウム流通下で2MeVの電子線を、12MGyまで照射した。電子線線量率は、0.4kGy/s、0.8kGy/s、1.6kGy/sと段階的に大きくした。これは、PCS薄膜が低架橋な初期の段階では、低線量率な電子線照射により温度上昇を抑制し、高架橋化されるのに伴って耐熱温度も上昇するため、線量率を増大させて照射時間を短縮し効率的に照射処理を行うためである。照射後、アルゴン流通下で400℃まで加熱しラジカルの消滅処理を行った。室温まで冷却した後、石英炉心管炉に試料を移し、アルゴン流通下で700℃まで焼成し、その後室温まで放冷した。この成膜から焼成の工程を所定の回数繰り返し、SiC薄膜を作製した。なお、上述の成膜−焼成までの工程は、いずれも大気圧下で行った。
SiC薄膜のガス分離性試験は、膜に隔てられた一方(低圧側)を真空に保ち、もう一方(高圧側)に試験ガスを導入し、低圧側の圧力の増加を測定することでガス透過率を測定する「圧力検出器を用いた圧力法」により計測した。本測定では、1x105Pa (1気圧)の水素または窒素を高圧側に用いた。測定温度は200℃である。
図2から図4に測定結果の詳細を示す。図2は、平均粒径100nmのαアルミナ多孔質基材の表面を平均粒径10nmのγアルミナで平滑化した基材上に、ポリカルボシランをスピンコート法により成膜し、本発明の電子線無酸素架橋法により作製したSiC薄膜の成膜(積層)回数とガス透過率及びガス分離比の関係を示したものである。わずか2回の成膜―焼成の工程で、分離比 (H2/N2):100以上、ガス透過率:10-7(mol/sec/m2/Pa)以上のSiCガス分離膜の作製が可能である。
図3は、外径φ6mmのアルミナ多孔質管の表面を、平均粒径10nmのγアルミナで平滑化した円筒基材上にポリカルボシランをディッピング法により成膜し、本発明の電子線無酸素架橋法により作製したSiC薄膜の成膜(積層)回数とガス透過率及びガス分離比の関係を示したものである。実際のフィルターモジュール等を作製するのに必要な円筒形状の基材にディッピング法による成膜工程のような組み合わせでも、3回の成膜―焼成の工程で、分離比 (H2/N2):60以上のSiCガス分離膜の作製が可能である。
図4は、γアルミナによる平滑層を有しない平均粒径100nmのαアルミナ多孔質基材に、同様の工程でSiC薄膜を作製し、ガス透過率及びガス分離比の測定を行った結果である。1回の成膜‐焼成の工程では、測定限界以上にガスが透過するため計測不能であるが、成膜―焼成を繰り返すことで分離比が上昇し、従来法でγ層平滑化基材にSiCガス分離膜を作製する場合の繰り返し回数と同等である4回で、分離比 (H2/N2):130以上、ガス透過率:10-7(mol/sec/m2/Pa)以上のSiCガス分離膜の作製が可能である。
最後に、本発明と従来技術との効果の相違について、図5を参照してより具体的に説明する。図5は、本発明における電離放射線無酸素架橋法及び従来技術の熱酸化架橋により作製したPCS薄膜、及び未架橋のPCS薄膜をアルゴンガス中で焼成した際の、焼成温度と膜厚の変化率を示したものである。焼成の際、クラックが多数生じて膜が分断され、面積方向にも収縮する場合を除き、PCS薄膜は厚さ方向にのみ変化するため、膜厚の変化率は体積変化率と同等となる。
未架橋のPCS薄膜の場合、400℃までに30%体積収縮し、1000℃では60%に達する。またセラミック収率も60%程度と低い。一方、従来法の熱酸化架橋を施したPCS薄膜の場合、400℃までの収縮は、ほぼ抑制可能であるが、それ以上の温度で収縮が開始し、800℃で50%に達する。一方、本発明で使用する無酸素架橋法の場合、500〜1000℃の温度域で従来法に比べて約20%体積収縮が低減されており、本発明の効果が顕著に示されている。
101 成膜工程
102 架橋工程
103 焼成工程

Claims (8)

  1. セラミックス前駆体であるケイ素系混合高分子材料をセラミック基材上に成膜し、無酸素環境下において電離放射線により架橋した後、不活性ガス中で焼成して、セラミック薄膜を作製するガス分離用セラミック薄膜の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法において、前記ケイ素系高分子材料が、ポリカルボシラン(PCS)またはPCSに他の高分子材料を混合したポリマーブレンドであり、セラミック薄膜が炭化ケイ素(SiC)薄膜であることを特徴とするガス分離用セラミック薄膜の製造方法。
  3. 請求項1記載の製造方法において、前記セラミック基材が表面平滑性のない多孔質基材であることを特徴とするガス分離用セラミック薄膜の製造方法。
  4. 請求項2または3に記載の製造方法において、前記電離放射線が電子線であることを特徴とするガス分離用セラミック薄膜の製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法において、前記電子線の線量が8〜15MGyであって、照射の初期段階において前記ケイ素系高分子材料を融点以下の温度に保持することを特徴とするガス分離用セラミック薄膜の製造方法。
  6. セラミックス前駆体であるポリカルボシラン(PCS)またはPCSに他の高分子材料を混合したポリマーブレンドを多孔質セラミック基材上に成膜し、ヘリウムガス中で電子線により架橋した後、アルゴンガス中で焼成して、セラミック薄膜を作製するガス分離用セラミック薄膜の製造方法。
  7. 請求項6記載の製造方法において、前記アルゴンガス中での焼成工程は、アルゴン流通下でラジカルが消滅するまで加熱した後、一旦室温まで冷却し、その後再びアルゴン流通下でセラミックに転換するまで焼成することを特徴とするガス分離用セラミック薄膜の製造方法。
  8. 請求項6または7記載の製造方法において、前記電子線の線量が8〜15MGyであって、照射の初期段階において前記ケイ素系高分子材料をヘリウムガス冷却によって融点以下の温度に保持することを特徴とするガス分離用セラミック薄膜の製造方法。
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