JP2010214285A - ガス処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被処理ガスの流れ方向に対して吸着剤層が直列に2段以上配設された吸着装置によりガス中の吸着質を吸着除去するガス処理方法であって、ガス性状と吸着操作条件に基づきガス中の吸着質濃度を所定値にまで低減することができる吸着帯長さを求め、前記吸着剤層の厚さを前記吸着帯長さに設定し、最下流段の吸着剤層から排出されるガス中の吸着質濃度が所定値以上になった時に最下流段の吸着剤層を最上流段に移設すると共に、移設後の最上流段の吸着剤層以外の吸着剤層を新規の吸着剤層に交換することを特徴とするガス処理方法。
【選択図】 図1
Description
以下、図8に基づいて吸着剤の変化の様子を説明する。
なお、吸着帯は「吸着質を所望の濃度にまで低減させるために必要な吸着剤の厚み部分」と言い換えることができる。
(2)図8(a)の状態からさらにガスを送気し続けると、吸着平衡に達してそれ以上吸着質を吸着できない飽和状態に達した部分(平衡吸着帯)が吸着剤層の上流側に形成され、ガス送気時間の経過とともにその厚みは徐々に増加していく。平衡吸着帯の増加とともに、吸着帯は上流側から下流側へ移動する。送気条件等使用条件が一定であれば、吸着帯長さも一定に保たれたまま移動する。
吸着帯が移動している状態においては、吸着剤層には上流側から下流側に向かって、平衡吸着帯、吸着帯、未吸着帯が形成されている。(図8(b)参照)
(3)図8(b)の状態からさらにガスを送気し続けると、吸着帯の下流端が吸着剤層出口に達する(未吸着帯がなくなる)と、出口から排出されるガス中に吸着剤に吸着しきれなかった吸着質がでてくる。この状態を破過といい、この時点を破過点といい、吸着剤は寿命を迎えることとなる。
図9は特許文献1に開示された脱臭管理方法を説明する説明図であり、図9(a)が図8と同様に吸着剤の変化の様子を示しており、図9(b)が吸着帯を示す部分に描かれている曲線の説明図である。図9(a)の(A)は吸着開始からある時間経過後の状態を示し、図9(a)の(B)は破過時の状態を示し、図9(a)の(C)は移設交換直後の状態を示し、図9(a)の(D)は再び破過時に達した状態を示している。
また、図9(b)の横軸は吸着質濃度を示し、縦軸はガス流れ上流からの吸着剤層厚を示している。図9(b)から分かるように、吸着帯においては、被処理ガスが吸着帯を通過するに従って吸着質濃度が徐々に低下して吸着帯の下流端では被処理ガスの吸着質濃度が所望の濃度にまで低減される。
以下、図9に基づいて特許文献1に開示された脱臭管理方法について説明する。
以上のような脱臭管理方法を行うことで、吸着剤の吸着容量をほぼ100%使うことができ、吸着剤の使用量を削減できる。
しかし、下流段の吸着塔が破過に達した時点で、下流段の吸着塔の吸着剤層内には平衡吸着帯が存在しているため、下流段の吸着塔を上流段の吸着塔に移設して通ガスを再開した時点で、上流段の吸着塔に平衡吸着帯が存在することになる。そのため、上流段と下流段の両方の吸着塔の吸着剤を新品に交換する場合にくらべて破過に達するまでの時間が短くなる。その結果、吸着剤の交換頻度が増加し、交換作業費用の増加と、交換作業時間中の吸着装置の停止時間が増加するという問題点がある。
ガス性状と吸着操作条件に基づきガス中の吸着質濃度を所定値にまで低減することができる吸着帯長さを求め、
前記吸着剤層の厚さを前記吸着帯長さに設定し、
最下流段の吸着剤層から排出されるガス中の吸着質濃度が所定値以上になった時に最下流段の吸着剤層を最上流段に移設すると共に、移設後の最上流段の吸着剤層以外の吸着剤層を新規の吸着剤層に交換することを特徴とするものである。
該吸着剤カートリッジは、カートリッジ内において、複数の平板状の吸着剤層からなる吸着剤層が平行に配置されてなり、吸着剤層の一方の側面側に供給された被処理ガスが吸着剤層を通過して他方の側面側に抜けるようなガス流れが形成されており、吸着剤カートリッジに送られたガスは複数の吸着剤層に分配され吸着除去処理されるように構成されており、
ガス性状と吸着操作条件に基づきガス中の吸着質濃度を所定値にまで低減することができる吸着帯長さを求め、
前記吸着剤層の厚さを前記吸着帯長さに設定し、
最下流段の吸着剤カートリッジから排出されるガス中の吸着質濃度が所定値以上になった時に最下流段の吸着剤カートリッジを最上流段に移設すると共に、移設後の最上流段の吸着剤カートリッジ以外の吸着剤カートリッジの吸着剤を新規の吸着剤に交換することを特徴とするものである。
図1は本発明の一実施の形態に係るガス中の吸着質を吸着除去するガス処理方法を説明する説明図、図2はガス処理方法に使用するガス処理装置の説明図である。
まず、図2に基づいて本実施の形態のガス処理方法に使用するガス処理装置について説明する。
本実施の形態に係るガス処理装置1は、吸着塔3内に吸着剤層5が被処理ガスの流れ方向に対して直列に上流段、中流段、下流段と3段配設されてなるものである。そして、各吸着剤層5の厚さは吸着帯長さに設定されている。
吸着帯長さとは、前述したように、吸着質を所望の濃度にまで低減させるために必要な吸着剤の厚みであり、吸着帯長さは以下に説明するようにして決定する。
吸着帯長さは、処理前の吸着質濃度がC0の被処理ガスに対して、その濃度を、吸着質の所定の除去率例えば95%に相当する吸着質濃度である0.05C0にまで低減できる吸着剤層厚さである。
まず、被処理ガスのガス性状の調査を行い、ガス温度や水分濃度、ダスト濃度、吸着質の濃度、吸着質の吸着性能を阻害する物質の有無、その濃度等のガス性状を把握する。さらに、吸着装置内のガス流速や空間速度等の吸着操作条件を定める。そして、ガス性状と吸着操作条件に基づきガス中の吸着質濃度を所定値にまで低減することができる吸着帯長さを求める。すなわち、把握したガス性状と定めた吸着操作条件で実験を行い、その結果に基づき吸着帯長さを決定する。また、過去の運転実績データから類推してもよい。
なお、吸着剤としては活性炭やゼオライト、シリカゲル等の通常用いられる吸着剤を用いることができ、吸着質の種類やガス条件に応じて適宜選択して用いる。
吸着装置入口でのガス中の吸着質濃度C0のガスを流すと、吸着帯が形成され、吸着剤層5には、上流側から順に平衡吸着帯、吸着帯、未吸着帯が形成される。このとき、吸着装置出口濃度は0.05C0である。通ガス時間の経過に伴い吸着帯が下流側に移動し、吸着帯上流の平衡吸着帯が増加していく。(図1の(A)参照)
破過に達すると、下流段の吸着剤層5を上流段に移設し、上流段と中流段の平衡吸着帯となった吸着剤層5を廃棄し新規の吸着剤層5に交換して、中流段と下流段として設置する。
移設交換後、通ガスを再開すると時間の経過と共に吸着帯が下流側に移動し、吸着帯よりも上流の平衡吸着帯が増加していく。
吸着帯の下流端が下流段の吸着剤層出口にまで達すると破過となり(図1の(D)参照)、図1の(B)の時点で行ったのと同様に吸着剤層5を移設交換する(図1の(C)参照)。これ以降は、図1の(D)の時点に到達すると図1の(C)に示す状態になるように吸着剤層5の移設交換を行うというサイクルを繰り返す。
また、本実施の形態においては、一つの吸着塔3内に吸着剤層5を3段設置しているので、吸着剤交換時の作業性に優れると共に省スペース化が図られ好ましい。
なお、上記の説明においては特に言及していないが、ガスを効率的に吸着剤層を通過させるために送風のためのブロワーを別途設けるようにするのが望ましい。
また、上記の実施の形態1では一つの吸着塔3内に吸着剤層5を3段設置した例を示したが、
吸着剤層5の段数は3段に限定されるものではなく、2段でも、あるいは4段以上でもよい。
さらに、上記の実施の形態1では一つの吸着塔3内に吸着剤層5を複数段設ける例であるが、一つの塔に一つの吸着剤層5を設け、このような吸着塔3をガス流れに対して直交するように複数段設けるようにしてもよい。図3はこのようなものの一例であり、一つの吸着塔3に一つの吸着剤層5を設け、このような吸着塔3を直列に2個連結したものである。
また、本発明で用いる吸着装置としては吸着塔3に吸着剤をそのまま充填する形態も可能であるが、図4に示すような着脱可能な吸着剤カートリッジ7に吸着剤を充填してなる吸着剤層5を形成し、図5に示すように複数段の吸着剤カートリッジ7を吸着塔3に設置するような形態であってもよい。
図4に示すように、吸着剤カートリッジ7の上流端面にはガス入口9と蓋部11が交互に設けられている。また、吸着剤カートリッジ7の下流端面においては、前記上流端面のガス入口9に対応する部位には蓋部11が設けられ、前記上流端面の蓋部11に対応する部位にはガス出口13が設けられている。
図4に示す吸着剤層厚は吸着帯長さに設定されており、それ故、図5に示す下流段の吸着剤カートリッジ7が破過に達したら、これを上流段に移設し、この上流段以外の段の吸着剤カートリッジ7を新品に交換することにより、実施形態1と同様に吸着剤の吸着容量をほぼ100%使いきることができると共に全ての段の吸着剤層5を新品に交換する場合と比べた時の寿命の大幅な低下を抑えることができ、吸着剤の交換頻度の増加を最低限に抑えることができる。
また、吸着質を含有するガスと吸着剤層5が側流式で接触する構造であるため、ガスが接触する吸着剤層5の面積を大きくとることができ、吸着塔3の設置面積が小さく経済的である。また、吸着剤層5は吸着帯長さと同じ層厚に設定され、通常は数センチメートル程度と非常に薄いため圧力損失を小さくでき、ブロワーが小型化され経済的である。
さらに、吸着剤層5は互いに平行でかつ面対称な配置となっており、かつ吸着剤が蓋部11との間に隙間が生じないように圧密充填されているため、高い吸着性能を発揮するためには必須であるガス流れの均一化が可能となり、ガスのショートパス(吹き抜け)が防止され、吸着剤層5とガスとの接触効率が高く、吸着時において高い性能が発揮される。
またさらに、カートリッジ構造を有しているため、吸着塔3からのカートリッジの着脱が容易であり、吸着剤の交換や装置内の点検等のメンテナンスを容易に行なうことができる。
行った実験は、ベンゼンを5ppm含有したガスを、活性炭を用いて吸着処理するというものである。なお、ガス流量は20Nm3/h、ガス温度は70℃であった。
事前に予備試験を行い、吸着帯長さを求めた結果、吸着帯長さは5cmとなった。そこで、活性炭10kgを、1層あたり5cmで直列4段となるように(1層あたり2.5kg)吸着塔内に充填して通ガスを開始し、出口ベンゼン濃度を継続的に測定した。通ガス開始後52日経過した時点で出口ベンゼン濃度が対象ガスの濃度5ppmの5%に相当する0.25ppmとなり、破過に達した。この破過時点で通ガスを停止し、最下流段の活性炭層を最上流段に移設し、この最上流段以外の段には新品の活性炭を計7.5kg充填した。通ガスを再開し、出口ベンゼン濃度を継続的に測定したところ、通ガス開始後45日経過した時点で出口ベンゼン濃度が0.25ppmとなり破過に達した。すなわち活性炭の交換間隔は45日である。
比較実験として、上記の実施例と同じベンゼンを5ppm含有したガスを、活性炭を用いて吸着処理する以下に示す実験を行った。なお、ガス流量は20Nm3/h、ガス温度は70℃であり、これらの条件は上記実施例と同じである。
活性炭10kgを5kgずつ吸着塔2塔に充填し、吸着塔が直列2段となるように設置した。通ガスを開始し、2段目の吸着塔出口ベンゼン濃度を継続的に測定した。通ガス開始後52日経過した時点で出口ベンゼン濃度が0.25ppmとなり、破過に達した。この破過時点で通ガスを停止し、下流段の吸着塔をそのまま上流段に移設し、上流段の吸着塔は使用済の活性炭を抜き出して新品の活性炭5kgを充填し、下流段に設置した。通ガスを再開し、再度出口ベンゼン濃度を継続的に測定したところ、通ガス開始後30日経過した時点で出口ベンゼン濃度が0.25ppmとなり破過に達した。すなわち活性炭の交換間隔は30日である。
3 吸着塔
5 吸着剤層
7 吸着剤カートリッジ
9 ガス入口
11 蓋部
13 ガス出口
Claims (4)
- 被処理ガスの流れ方向に対して吸着剤層が直列に2段以上配設された吸着装置によりガス中の吸着質を吸着除去するガス処理方法であって、
ガス性状と吸着操作条件に基づきガス中の吸着質濃度を所定値にまで低減することができる吸着帯長さを求め、
前記吸着剤層の厚さを前記吸着帯長さに設定し、
最下流段の吸着剤層から排出されるガス中の吸着質濃度が所定値以上になった時に最下流段の吸着剤層を最上流段に移設すると共に、移設後の最上流段の吸着剤層以外の吸着剤層を新規の吸着剤層に交換することを特徴とするガス処理方法。 - 吸着装置は、吸着剤層を有する吸着塔を直列に2段以上配設してなることを特徴とする請求項1に記載のガス処理方法。
- 吸着装置は、直列に2段以上配設された吸着剤層を有する吸着塔からなることを特徴とする請求項1に記載のガス処理方法。
- 被処理ガスの流れ方向に対して吸着剤カートリッジが直列に2段以上でかつ着脱可能に配設された吸着装置によりガス中の吸着質を吸着除去するガス処理方法であって、
該吸着剤カートリッジは、カートリッジ内において、複数の平板状の吸着剤層からなる吸着剤層が平行に配置されてなり、吸着剤層の一方の側面側に供給された被処理ガスが吸着剤層を通過して他方の側面側に抜けるようなガス流れが形成されており、吸着剤カートリッジに送られたガスは複数の吸着剤層に分配され吸着除去処理されるように構成されており、
ガス性状と吸着操作条件に基づきガス中の吸着質濃度を所定値にまで低減することができる吸着帯長さを求め、
前記吸着剤層の厚さを前記吸着帯長さに設定し、
最下流段の吸着剤カートリッジから排出されるガス中の吸着質濃度が所定値以上になった時に最下流段の吸着剤カートリッジを最上流段に移設すると共に、移設後の最上流段の吸着剤カートリッジ以外の吸着剤カートリッジの吸着剤を新規の吸着剤に交換することを特徴とするガス処理方法。
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