JP2010214259A - 音響インク塗布装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク滴を効率良く飛翔するとともに均一な液量のインク滴を再現性よく飛翔できる音響インク塗布装置を提供する。
【解決手段】音波を発生させる音波発生手段と、音波発生手段で発生した音波を音波集束位置に集束させるための音波集束手段と、音波集束手段で集束した音波を音波集束手段の前方に進行させるための音波伝達部材と、音波集束位置を含む音波伝達部材表面に配置されたフィルムと、フィルムの音波伝達部材と反対側の面に形成され、集束した音波ビームによりインク滴として飛翔されるインク層とを具備し、インク層はフィルム表面に音波集束位置における音波ビームを横切って形成され、かつ音波ビームの幅よりも狭い幅を持つ細線状またはドット状をなすことを特徴とする音響インク塗布装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、音響インク塗布装置に関し、特に音波発生素子から音波を発生させて、この音波を集束させてインク滴を飛翔させる音響インク塗布装置に関する。
液体インクを小さな液滴として記録媒体上に飛翔させて画像を記録するインクジェット記録装置は、普通紙などに直接記録できる。また、インクジェット記録装置はインクなどの材料消費の面で低コスト化が図れ、騒音が少なく、現像や定着などの処理が不要であるなどの多くの利点を有する。そのため、最近では、紙のような画像の印刷の用途だけでなく、液状電子材料の塗布やダイレクトパターニング等の工業分野へも利用範囲を広げつつある。
インクジェット記録装置は、多くの方式が考案されている。代表的なインクジェット記録装置は、発熱体の熱により発生するバブルの圧力を利用して液滴を飛翔させる方式、圧電体の変位による圧力パルスで液滴を飛翔させる方式がある。
しかしながら、これらの方式のインクジェット記録装置は液体インクの溶媒の蒸発や揮発によってインクの濃縮が生じ易い。また、径の小さなノズルを用いると目詰まりが発生し、インク滴の飛翔に支障を生じる。そのため、高精細な画像記録にはノズルの目詰まり防止のためノズル洗浄手段を付加したり、目詰まりの発生が少ないインク材料を選定して使用したり、する必要が生じ、使用範囲が限定される。さらに、工業分野への応用では、種々の粒子(金属または酸化物の粒子)を混合したインクが使用されることもある。この場合には、ノズルの目詰まりがより顕著となる。
これに対して、振動子から発生する音波を集束させてその音圧でインク液面からインク滴を吐出させる超音波方式のインクジェット記録装置が提案されている(非特許文献1)。この方式はノズルを必要とせず、非常に小さな径のインク滴を飛翔させることができる。このため、高解像度化にも適し、使用できるインク材料に対する制約も少ない、利点を有する。
しかしながら、工業分野で用いられるような粘度の高いインクは概して音波の減衰も大きく、液滴の飛翔に大きなパワーが必要となる。粘度が著しく高いインクの場合は飛翔できない問題も生じる。また、例えばインクの消費に伴うインクの液面変動により振動子から発生する音波を集束させる位置(音波集束位置)のずれが発生し、結果的にインクが飛翔しなくなる。このような場合は、液面変動に対処するためのヘッド位置の調整機構が必要となり、装置の複雑化を招く。
これらの問題を回避する手段として、特許文献1では音波の進行路部分に音波を伝える物質を用いてインク層を薄くする技術が提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、薄層にインクを供給しなければならない。このため、粘度の高いインクを細い隙間に送り込むこと自体が困難になる。多数の開口があるためにヘッド全体にインクを行き渡らせることも困難になる。また、多数の開口があるために、上方へのインクの飛翔は可能であるが、下方へのインクの飛翔はインク漏れ対策が必要となる。水平方向へのインクの飛翔は、上部と下部に水圧差が生じるためインク流量調整が極めて困難となり、構造も複雑になる。
このようなことから、特許文献2には前記特許文献1の抱える課題を解決することを目指し、予めフィルム上に薄いインク層を形成し、そのフィルムを回転機構で音波伝播物質上を搬送させることによって、インクの供給とインクの塗布を分離させる技術が提案されている。フィルム上に予め厚さの整ったインク層を形成することによって、液面変動に対処するためのヘッド位置の調整機構が不要で、インクの飛翔方向を任意に選べる、利点を有する。また、特許文献3にはインク中から沈降する粒状物やその他の付着物が音響レンズの凹部に堆積し、音響ビームの集束外れを引き起こすことを回避するために、前記音響レンズ凹部に予め固体材料を充填して面一化することが開示されている。この特許文献3の発明では、プリントヘッドをインク中に浸漬することを回避するために、インクを配した移動担持体を前記面一化上面に当接させるといった構成も含まれている。しかしながら、移動担持体に配するインク形態に関する記述はない。
特開平6−238884号公報 特開2008−105396号公報 特開昭63−166547号公報
J. Appl. Phys. 65 (9), 3441, 1989
本発明は、特許文献2に記載の発明をさらに改良することによりインク滴を効率良く飛翔するとともに、均一な液量のインク滴を再現性よく飛翔できる音響インク塗布装置を提供することを目的とする。
本発明によると、集束した音波ビームによりインク滴を飛翔させる音響インク塗布装置であって、
音波集束位置に配置されるインク保持部材と、
前記インク保持部材の前記音波が照射される面と反対側の面に形成されたインク層と
を具備し、
前記インク層は、前記インク保持部材の面に前記音波集束位置における音波ビームを横切って形成され、かつ前記音波ビームの幅よりも狭い幅を持つ細線状またはドット状をなすことを特徴とする音響インク塗布装置が提供される。
本発明によると、音波を発生させる音波発生手段と、
前記音波発生手段で発生した音波を音波集束位置に集束させるための音波集束手段と、
前記音波集束手段で集束した音波を前記音波集束手段の前方に進行させるための音波伝達部材と、
前記音波集束位置を含む前記音波伝達部材表面に配置されたフィルムと、
前記フィルムの前記音波伝達部材と反対側の面に形成され、集束した音波ビームによりインク滴として飛翔されるインク層と
を具備し、
前記インク層は、前記フィルム表面に前記音波集束位置における音波ビームを横切って形成され、かつ前記音波ビームの幅よりも狭い幅を持つ細線状またはドット状をなすことを特徴とする音響インク塗布装置が提供される。
本発明によれば、インク滴を効率良く飛翔するとともに、均一な液量のインク滴を再現性よく飛翔できる音響インク塗布装置を提供できる。
実施形態に係る音響インク塗布装置を示す断面図。 図1の音響インク塗布装置に組み込まれるフィルムを示す上面図。 図1の音響インク塗布装置に組み込まれる他の形態のフィルムを示す上面図。 図1の音響インク塗布装置に組み込まれるさらに他の形態のフィルムを示す断面図。 従来の音響インク塗布装置に組み込まれるフィルムを示す上面図。
以下、本発明の実施形態に係る音響インク塗布装置を詳細に説明する。
実施形態に係る音響インク塗布装置は、集束した音波によりインク滴を飛翔させる音響インク塗布装置であって、音波集束位置に配置されるインク保持部材を備える。インク保持部材の音波が照射される面と反対側の面には、インク層が形成されている。インク層は、インク保持部材の面に音波集束位置における音波ビームを横切って形成され、かつ前記音波ビームの幅よりも狭い幅を持つ細線状またはドット状をなす
実施形態の好ましい音響インク塗布装置は、次のような構造を有する。
音響インク塗布装置は、音波を発生させる音波発生手段と、音波発生手段で発生した音波を音波集束位置に集束させるための音波集束手段と、音波集束手段で集束した音波を音波集束手段の前方に進行させるための音波伝達部材と、音波集束位置を含む前記音波伝達部材表面に配置されたフィルムと、フィルムの音波伝達部材と反対側の面に形成され、集束した音波ビームによりインク滴として飛翔されるインク層とを具備する。インク層は、フィルム表面に前記音波集束位置における音波ビームを横切って形成され、かつ音波ビームの幅よりも狭い幅を持つ細線状またはドット状をなす。
ここで、「音波ビームの幅」とは音波ビームが円形の場合、直径を意味し、音波ビームが矩形の場合、短辺を意味する。
次に、実施形態の好ましい音響インク塗布装置を図1、図2を参照して詳細に説明する。図1は、音響インク塗布装置の断面図、図2は図1の音響インク塗布装置に組み込まれるフィルムの上面図である。
容器1の底面には、音波を発生させる音波発生手段である例えば円盤状振動素子2が配置されている。音波を集束させる音波集束手段である音波集束部材3は、容器1底部内に配置されている。音波を進行させる音波伝達部材4は、音波集束部材3上部の容器1内に配置されている。フィルム5は、音波集束部材3で音波を集束させる音波集束位置6を含む音波伝達部材4表面に一方向に移動可能に配置されている。集束した音波ビームによりインク滴として飛翔されるインク層7は、図2に示すようにフィルム5の音波伝達部材4と反対側の面に音波集束位置6における音波ビーム(例えば円形音波ビーム)8を横切って形成されている。インク層7は、円形音波ビームの幅(直径)よりも狭い幅を持つ細線状をなす。また、細線状のインク層7はフィルム5の移動方向に平行してフィルム5表面に配置されている。
円盤状振動素子2は、例えば円盤状の圧電体11とこの圧電体11の上下面に形成された円盤状の電極12a,12bとから構成されている。圧電体11は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛、チタン酸バリウムのような圧電セラミックス;ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、マグネシウム・ニオブ酸鉛とチタン酸鉛の複合酸化物、インジウム・ニオブ酸鉛とチタン酸鉛の複合酸化物のような圧電単結晶;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような高分子圧電体;または酸化亜鉛のような圧電半導体;を用いることができる。電極12a,12bには、振動素子2を駆動するための駆動回路9が接続されている。駆動回路9は外部から入力される画像記録データに基づき、圧電体11を駆動して音波を発生させる。なお、振動素子2は単一構造の他に、一次元のアレイ状に配列したり、二次元のアレイ状に配列したり、してもよい。
音波集束部材3は、振動素子2により発生した音波を音波集束位置6に集束させる役割を担う。音波集束部材3は、例えばガラスの上面(音波伝達部材4側の面)を円弧状に研磨した凹面レンズを用いることができる。音波集束部材3の材質は、ガラスの他に、アルミナのような無機系材料、エポキシ樹脂を用いることができる。また音波集束部材3は、音波伝達部材4側の面に金属膜または金属系酸化膜、窒化膜、ポリオレフィン系樹脂膜を被覆する表面処理を施して耐久性を向上させたものでもよい。音波集束部材3の音響インピーダンスは、振動素子2を構成する圧電体11の音響インピーダンス(ZP)と音波伝達部材4の音響インピーダンス(ZL)の中間値であり、その幾何平均[√(ZP・ZL)]に近いことが音波の効率的な伝播のためには望ましい。
音波伝達部材4は、音波集束部材3で集束しつつある音波が進行する部分で、容器1内に収納される音波伝達物質から作られる。音波伝達物質は、音波減衰の小さいものが好ましく、例えば水のような液体が好適である。
このような容器1、振動素子2、音波集束部材3および音波伝達部材4によりヘッドユニット10を構成している。
一方向に移動可能なフィルム5は、駆動機構(図示せず)を用いて音波伝達部材4の表面に沿って搬送される。フィルム5の厚さは、特に規定しないが、その表面のインク層7に発生された音波が効率良く伝播するように薄い方が望ましい。フィルム5の材質も特に規定しないが、耐溶剤性の良好なポリイミドが好ましい。また、フィルム5はインク層7の形成領域以外の領域に撥水処理または撥油処理が施されていることが望ましい。
インク層7は、図2に示す細線状に限らず、図3に示すように音波ビーム8の幅よりも狭い幅を持つドット状でもよい。このようなドット状のインク層7は、細線状のインク層7と同様、フィルム5の音波伝達部材4と反対側の面に音波集束位置6における音波ビーム(例えば円形音波ビーム)8を横切って形成される。また、ドット状のインク層7はフィルム5の移動方向に平行してフィルム5表面に配置される。ドットの長さは、特に制限されないが、円形音波ビームの直径よりも短くすることが好ましい。すなわち、1つのドット状インク層7は円形音波ビーム8の領域内に納まる大きさにすることが好ましい。
また、インク層7は図4に示すようにフィルム5に音波集束位置における音波ビーム8を横切って音波ビーム8の幅よりも狭い細線状の凹部13を形成し、この凹部13内にインクを埋没させてインク層7を形成してもよい。凹部は、細線状の他にドット状にしてもよい。
このような細線状またはドット状のインク層7の幅は、例えば音波ビーム8の幅の5/10〜9/10の幅にすることが好ましい。
インク層7は、例えばフィルム5の上部に設置されたスクリーン印刷装置、ディスペンス装置のような既存の塗布手段でフィルム5上に塗布することにより形成できる。また、同様な手段を用いてインクを塗布したフィルムを別途準備して、ヘッドユニット10に設置してもよい。
塗布するインクは、フィルム5上で流れが生じない程度の粘度を有することが好ましい。ただし、塗布するインクの粘度が低い場合でも、前述のようにインク層の形成領域以外の領域に撥水処理または撥油処理を施すことによってインクの流れを抑止することができる。
インク層7には、金属粒子、酸化物粒子のような粒子を分散させることを許容する。金属粒子は、例えば金、銀、銅、ニッケル、白金を用いることができる。酸化物粒子は例えばシリカ(SiO2)や二酸化チタン(TiO2)、また、赤、緑、青、黄色の蛍光体材料およびそれらを組み合わせた混合物を用いることができる。粒子の平均粒径は、5〜50μmであることが好ましい。このように小さい粒径の粒子を分散させたインクは、容易に飛翔できる。
インクの飛翔後にフィルム5上に残留するインクを回収して再利用するために、例えばスクレーパ(図示せず)を用いることができる。スクレーパは、材質は特に問わないが、フィルム5との摩擦が大きいと安定的に駆動できないため、金属または摩擦の小さいゴムが好ましい。インクの再利用については、回収されたインクを収納して濃縮しない処理、例えば攪拌、添加剤追加、凝集物不純物濾過を行ってもよい。また、回収したインクに新しいインクを添加する再使用型でもよい。
次に、図1、図2に示す音響インク塗布装置の作用を説明する。
画像記録データを駆動回路9に入力すると、円盤状振動素子2の圧電体11が駆動して音波を発生する。音波は、音波集束部材3で集束され、音波伝達部材4を進行して音波集束位置6に集束する。集束された円形音波ビーム8の圧力によって音波集束位置6を含む音波伝達部材4表面に配置されたフィルム5のインク層7の液面にメニスカスが生成され、インク滴に分離し飛翔する。集束した円形音波ビーム8でインク層7からインク滴として飛翔させる際、インク層7をフィルム5に音波集束位置6における円形音波ビーム8を横切り、円形音波ビーム8の幅よりも狭い幅を持つ細線状に形成することによって、小さいエネルギーでインク層7から均一な液量のインク滴を再現性よく飛翔させて被塗布物に塗布できる。
すなわち、超音波方式のインクジェットではインク液面に音波を集束させてその音圧でインク液面からインク滴を吐出させるため、焦点が結ばれるインク液面上では音圧分布を有する。一般的に、焦点近傍における音波ビーム幅は下式で表される。
W=A×λ×F/D
ここで、W:ビーム幅、A:音波発生振動子の形状に関わる定数(円盤状振動子の場合、2.44)、λ:波長、F:焦点距離、D:口径である。
ビーム幅(円盤状振動素子の場合はビーム径)の範囲において最大の音圧が得られ、その範囲外では音圧は低下する。焦点中央が隆起し、インクの表面張力に音圧が打ち勝った時点で液滴が分離して飛翔するのが超音波方式のインクジェットの原理である。
特許文献2に記載の図5のように音波集束位置を含む領域にフィルム21を配置し、フィルム21表面にインク層22を音波集束位置における円形音波ビーム23の直径よりも広い領域に渡って形成すると、集束された音波ビーム23の全ての円周外縁にインク層22が存在する。このため、円形音波ビーム23でインク層22を隆起させてインク滴を形成する際、隆起したインクのすそ野は全て飛翔されないインク層と結合する。その結果、インク滴の形成にあたっては隆起したインクのすそ野の全体と結合した飛翔されないインク層の結合力を絶つ大きなエネルギーを付与することが必要になる。すなわち、インク滴の形成・分離に大きなエネルギーが必要になる。特に、インク層の粘度が上昇すると、インク滴の形成・分離に必要なエネルギーがより一層大きくなる。
また、隆起したインクのすそ野の全体と結合した飛翔されないインク層の結合力を絶って液滴を形成するため、その結合境界で液滴側へのインクの持ち出し量が変動して、結果的に飛翔するインク滴の量がばらつく。
さらに、インク層22に粒子が分散された場合、円形音波ビーム23の音圧変動の大きい円周全体にインク層22が存在するため、粒子が円形音波ビーム23の円周に位置する確率を増大させる。その結果、円形音波ビーム23の円周において粒子がインク滴に含まれて飛翔する状況と粒子がインク層22に取り残される状況の頻度が安定しないため、インク滴の径(液量)のばらつきが起こり易くなる。特に、飛翔するインク滴の大きさに対して比較的大きい粒子が分散されたインク層では、この現象が顕著になる。
このようなことから図2に示すようにフィルム5の音波集束位置6に円形音波ビーム8を横切って円形音波ビーム8の幅よりも狭い幅を持つ細線状のインク層7を形成することによって、集束した円形音波ビーム8でインク層7を隆起させてインク滴を形成する際、隆起したインクのすそ野の一部(細線状のインク層7の長手方向の辺)は飛翔されないインク層7と結合が絶たれる。つまり、前述した図5に示す形態に比べて隆起したインクと飛翔されないインク層7との間の結合力を低くすることができる。その結果、小さいエネルギーで隆起したインクを飛翔されないインク層との結合力を絶ってインク滴を形成できる。すなわち、小さいエネルギーでインク滴の形成・分離を行うことができる。
また、隆起したインクと飛翔されないインク層7との結合力を低くできるため、円形音波ビーム8内のインク層7から飛翔するインク滴の液量変動を阻止できる。その結果、均一な液量のインク滴を再現性よく飛翔できる。
さらに、図2に示すように細線状のインク層7に粒子を分散させた場合、円形音波ビーム8の音圧変動の大きい円周の一部にインク層7が存在しないため、粒子が円形音波ビーム8の円周に位置する確率を低下できる。その結果、円形音波ビーム8の円周において粒子がインク滴に含まれて飛翔する状況と粒子がインク層7に取り残される状況の頻度が安定するため、インク滴径(液量)のばらつきを抑え、均一な液量のインク滴(粒子分散インク滴)を再現性よく飛翔できる。
図3に示すようにフィルム5の音波集束位置6に円形音波ビーム8を横切って円形音波ビーム8の幅よりも狭い幅を持つドット状のインク層7を形成すると共に、1つのドット状インク層7を円形音波ビーム8の円周領域内に位置させることによって、円形音波ビーム8でインク層7を隆起させてインク滴を形成する際、廻りのインク層7との結合力の影響を受けないため、より一層小さいエネルギーでインク滴の形成・分離を行うことができる。また、インク層7への粒子の分散の有無に関係なく、円形音波ビーム8内のドット状インク層7の全てをインク滴に形成できるため、均一な液量のインク滴を再現性よく飛翔できる。
さらに、フィルム5の音波集束位置6に音波ビーム8の幅よりも狭い幅を持つ細長状またはドット状のインク層7を形成することによって、フィルム5に供給するインク量を低減でき、低コスト化を図ることができる。
1…容器、2…振動素子、3…音波集束部材、4…音波伝達部材、5…フィルム、6…音波集束位置、7…インク層、8…音波ビーム。

Claims (6)

  1. 集束した音波ビームによりインク滴を飛翔させる音響インク塗布装置であって、
    音波集束位置に配置されるインク保持部材と、
    前記インク保持部材の前記音波が照射される面と反対側の面に形成されたインク層と
    を具備し、
    前記インク層は、前記インク保持部材の面に前記音波集束位置における音波ビームを横切って形成され、かつ前記音波ビームの幅よりも狭い幅を持つ細線状またはドット状をなすことを特徴とする音響インク塗布装置。
  2. 音波を発生させる音波発生手段と、
    前記音波発生手段で発生した音波を音波集束位置に集束させるための音波集束手段と、
    前記音波集束手段で集束した音波を前記音波集束手段の前方に進行させるための音波伝達部材と、
    前記音波集束位置を含む前記音波伝達部材表面に配置されたフィルムと、
    前記フィルムの前記音波伝達部材と反対側の面に形成され、集束した音波ビームによりインク滴として飛翔されるインク層と
    を具備し、
    前記インク層は、前記フィルム表面に前記音波集束位置における音波ビームを横切って形成され、かつ前記音波ビームの幅よりも狭い幅を持つ細線状またはドット状をなすことを特徴とする音響インク塗布装置。
  3. 前記ドット状をなすインク層は、前記音波集束位置における音波ビームの領域内に入ることを特徴とする請求項1または2記載の音響インク塗布装置。
  4. 前記インク層は粒子を分散して含有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の音響インク塗布装置。
  5. 前記フィルムは、前記インク層の形成領域以外に撥水処理または撥油処理が施されていることを特徴とする請求項2ないし4いずれか記載の音響インク塗布装置。
  6. 前記フィルムは、前記音波のビーム幅よりも狭い細線状またはドット状の凹部が形成され、前記インク層は前記凹部内に埋没されて形成されることを特徴とする請求項2ないし5いずれか記載の音響インク塗布装置。
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