JP2010213446A - 車両用コンデンサ放電機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の衝突時に高圧の直流電力を蓄えているコンデンサからの放電を簡易な構成でごく短時間に完了することができる車両用コンデンサ放電機構を提供する。
【解決手段】車両用コンデンサ放電機構50は、ケース10の底壁部11の外面に尖った先端部を向けて設けられ、車体2に対して電気的に導通可能な導電性の穿刺部材60,62と、車両衝突時にケース10が受ける衝撃荷重によってケース10が変位したとき穿刺部材62が底壁部11を貫通してコンデンサ15に突き刺さる位置に穿刺部材60,62を車体2で支持すると共に、コンデンサ15に突き刺さった穿刺部材62から車体2への導電経路を形成する支持構造52,56,64とを含む。穿刺部材62は車両衝突時にコンデンサ15に突き刺さってコンデンサ内部で電極間短絡を生じさせる。
【選択図】図4
【解決手段】車両用コンデンサ放電機構50は、ケース10の底壁部11の外面に尖った先端部を向けて設けられ、車体2に対して電気的に導通可能な導電性の穿刺部材60,62と、車両衝突時にケース10が受ける衝撃荷重によってケース10が変位したとき穿刺部材62が底壁部11を貫通してコンデンサ15に突き刺さる位置に穿刺部材60,62を車体2で支持すると共に、コンデンサ15に突き刺さった穿刺部材62から車体2への導電経路を形成する支持構造52,56,64とを含む。穿刺部材62は車両衝突時にコンデンサ15に突き刺さってコンデンサ内部で電極間短絡を生じさせる。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両用コンデンサ放電機構に係り、特に、コンデンサに蓄電された高圧の直流電圧を車両衝突時に速やかに放電させることができる車両用コンデンサ放電機構に関する。
従来、直流電圧を充電可能なバッテリ等の電源装置と、電源装置から供給される直流電圧を所定条件下で目標電圧値まで昇圧させるコンバータと、コンバータから出力される高圧の直流電圧を蓄電して平滑化させて出力するコンデンサと、コンデンサから出力された高圧の直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、インバータから出力される交流電圧が印加されて駆動されることにより走行用動力を出力する交流モータと、を備えたハイブリッド自動車が知られている。
このようなハイブリッド自動車では、車両の安全性向上のために、車両衝突時にコンデンサに蓄電された高電圧の直流電力を速やかに放電することが必要とされる。特に、米国法規FMVSS305に規定される基準を満たすためには、5秒以内といった短時間でコンデンサからの放電を完了させることが求められる。
例えば、特許文献1(特開2005−20952号公報)には、車両の衝突時においても高電圧電力が蓄えられてコンデンサによる危険性を排除するべく、車両衝突信号が検知されたときシステムメインリレーをオフしてバッテリからの電力供給を停止させると共に、インバータ回路に含まれる電力用スイッチング素子を交流モータにトルクが発生しないようにスイッチング制御することが記載されている。
また、特許文献2(特開2003−189415号公報)には、燃料電池を搭載した電気自動車が事故を起こした場合に燃料電池に蓄えられている電気エネルギーを放出させて車両の安全性を確保するために、事故時の衝撃によって燃料電池または電池収容ケースのいずれかが移動して燃料電池の両端部が抵抗体である電池収容ケースに接触する構成とすることで、燃料電池の正極と負極とを電池収容ケースを介して短絡させ、これにより燃料電池に蓄えられた電気エネルギーを電池収容ケースに流して消費させることが記載されている。
さらに、特許文献3(特開平9−306545号公報)には、電池が機械的に内側に圧壊された際に発生する異常発熱を構造的に防止するために、電池巻き芯空間部に部品を正極集電体と負極集電体との間にそれぞれ対向するように設置し、電池が内側へ圧壊されたときに上記各集電体が前記部材にそれぞれ接触して電気的短絡を生じる構造とすることが記載されている。
上記特許文献1に記載される技術を用いても上記構成のハイブリッド自動車のコンデンサからの放電を行うことはできるが、放電完了までに時間がかかるために上述したような短時間での放電完了を実現するのは困難である。
また、上記特許文献2に記載される技術は、燃料電池の両端部を短絡させる抵抗体である電池収容ケースで燃料電池に蓄えられている電気エネルギーを消費させるのにもある程度の時間を要するため、この技術を上記構成のハイブリッド自動車のコンデンサに適用したとしても上述したような短時間での放電完了はできない。
さらに、上記特許文献3に記載される技術を上記ハイブリッド自動車のコンデンサに適用すると、コンデンサの内部に短絡部材を設ける必要があり、コンデンサ自体の製造コストが高くなるという問題がある。
本発明の目的は、車両の衝突時に高電圧の直流電力を蓄えているコンデンサからの放電を簡易な構成でごく短時間に完了することができる車両用コンデンサ放電機構を提供することにある。
本発明に係る車両用コンデンサ放電機構は、電源装置から供給されコンバータで昇圧された高圧の直流電圧を、交流モータ駆動用の交流電圧に変換するインバータへ供給する前に、蓄電して平滑化するコンデンサを内部に収容する筐体状のケースが車体に対して固定される車両に用いられる車両用コンデンサ放電機構であって、
前記ケースの壁部のうち内面が前記コンデンサに近接または接触する一壁部の外面に尖った先端部を向けて設けられ、前記車体に対して電気的に導通可能な導電性の穿刺部材と、
車両衝突時に前記ケースが受ける衝撃荷重によって前記ケースが変位したとき前記穿刺部材が前記一壁部を貫通して前記コンデンサに突き刺さる位置に前記穿刺部材を前記車体に支持すると共に、前記コンデンサに突き刺さった前記穿刺部材から前記車体への導電経路を形成する支持構造と、を含み、
前記穿刺部材は前記車両衝突時に前記コンデンサに突き刺さってコンデンサ内部で電極間短絡を生じさせるものである。
前記ケースの壁部のうち内面が前記コンデンサに近接または接触する一壁部の外面に尖った先端部を向けて設けられ、前記車体に対して電気的に導通可能な導電性の穿刺部材と、
車両衝突時に前記ケースが受ける衝撃荷重によって前記ケースが変位したとき前記穿刺部材が前記一壁部を貫通して前記コンデンサに突き刺さる位置に前記穿刺部材を前記車体に支持すると共に、前記コンデンサに突き刺さった前記穿刺部材から前記車体への導電経路を形成する支持構造と、を含み、
前記穿刺部材は前記車両衝突時に前記コンデンサに突き刺さってコンデンサ内部で電極間短絡を生じさせるものである。
ここで、本発明の車両用コンデンサ放電機構は、モータのみを動力源として有する電気自動車に適用されてもよいし、あるいは、モータに加えてエンジンを走行用動力出力源または発電機駆動源として有するハイブリッド自動車に適用されてもよい。
本発明に係る車両用コンデンサ放電機構において、前記ケースの一壁部は底壁部であり、前記支持構造は、前記ケースの底壁部に下方へ突設された取付部と、この取付部に回動可能に軸支され、端部上面に前記穿刺部材が上方に向けて突設される回動部材と、車体に対して固定され前記回動部材の端部に係合して前記回動部材の回動を規制する規制部材とで構成されてもよい。
また、本発明に係る車両用コンデンサ放電機構において、前記回動部材は、車両の前後方向に平行な鉛直方向面に沿って回動可能に軸支されており、前記穿刺部材は、前記取付部に対して車両後方側に位置する前記回動部材の端部上面に突設されていてもよい。
また、本発明に係る車両用コンデンサ放電機構において、前記穿刺部材が前記取付部に対して車両前方側に位置する前記回動部材の端部上面にも突設されていてもよい。
また、本発明に係る車両用コンデンサ放電機構において、車両に対して左右方向からの衝突時にコンデンサ放電機能を果たす別の穿刺部材および支持構造を更に含み、前記別の支持構造における回動部材は、車両の左右方向に平行な鉛直方向面に沿って回動可能に軸支されており、前記穿刺部材は、前記取付部に対して車両左側および車両右側の少なくとも一方に位置する前記回動部材の端部上面に突設されていてもよい。
本発明に係る車両用コンデンサ放電機構によれば、車両衝突時にケースが受ける衝撃荷重によってケースが変位したとき穿刺部材がケースの一壁部を貫通してコンデンサに突き刺さる位置に穿刺部材を車体で支持し、穿刺部材が車両衝突時にコンデンサに突き刺さってコンデンサ内部で電極間短絡を生じさせる。これにより、コンデンサに蓄えられている高電圧の電力は導電性の穿刺部材および導電経路を形成する支持構造を介して接地電位の車体へと放電させることができる。その結果、高電圧電力を蓄えたコンデンサからごく短時間で放電を完了させることができ、車両の安全性を向上させることができる。
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
図1は、本発明の一実施形態である車両用コンデンサ放電機構(以下、適宜に「コンデンサ放電機構」とだけいう。)が適用されるインバータケース10がハイブリッド自動車等の電動車両1に搭載されている様子を概略的に示す。インバータケース10は、電動車両1の車体2の前方(FR)内部に形成される駆動ユニット収容室またはエンジンルーム3内に搭載されている。インバータケース10内には、後述するインバータ16(図2参照)が車体2に対して直接に又は図示しないブラケットを介して間接的にねじ止め等の方法で固定されている。
図2は、電動車両1に搭載される電源装置12、コンバータ14、コンデンサ15、インバータ16、交流モータMG、および制御部18を示す図である。本実施形態におけるインバータケース10は、コンバータ14、コンデンサ15およびインバータ16をその内部に収容している。
電源装置12は、電動車両1の後部または床下部に搭載されて、直流電圧の供給源として機能する。電源装置12は、直流電圧または電力を蓄電可能なリチウムイオン電池等の二次電池、化学反応を伴わずに蓄電可能なキャパシタ、水素等を燃料ガスとして発電可能な燃料電池等によって好適に構成される。また、電源装置12の端子間電圧である電源電圧Vbは、電圧センサ20によって検出されて制御部18へ入力されるよう構成されている。
電源装置12の正極および負極の各端子は、システムメインリレーSMR1,SMR2を介してコンバータ14に電気的に接続されている。システムメインリレーSMR1,SMR2は、制御部18から送信されるスイッチング信号を受けてオン・オフ制御される。
コンバータ14は、電源装置12から供給される直流電圧を昇圧する機能を有すると共に、インバータ側から供給される直流電圧を降圧する機能も有する。コンバータ14は、リアクトルLと、電力用スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」という)E1,E2と、ダイオードD1,D2とから構成される。スイッチング素子E1,E2としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、または電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。
スイッチング素子E1,E2は、システムメインリレーSMR1を介して電源装置12の正極端子に接続される電力ライン22と、システムメインリレーSMR2を介して電源装置12の負極端子に接続される接地ライン24との間に直列に接続されている。
ダイオードD1,D2は、各スイッチング素子E1,E2に対して、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すようにそれぞれ並列接続されている。リアクトルLは、一端がスイッチング素子E1,E2間の接地ライン24に接続され、他端がシステムメインリレーSMR1を介して電源装置12に接続されている。スイッチング素子E1,E2は、制御部18からのスイッチング信号S1,S2を受けてオン・オフ制御される。
コンデンサ15は、コンバータ14とインバータ16との間において電力ライン22および接地ライン24間に接続されている。コンデンサ15は、コンバータ14から出力される昇圧後の高圧の直流電圧を一旦蓄電して平滑化する機能を有し、平滑化された高圧の直流電圧をインバータ16へ出力する。コンデンサ15は、正極端子および負極端子間に例えば樹脂フィルム等の誘電体を介在させたものをコンデンサケース内部に収容して構成されている。コンデンサ15の端子間電圧であるシステム電圧VHは、電圧センサ26によって検出されて制御部18へ入力されるようになっている。
インバータ16は、コンデンサ15から供給される高圧の直流電圧を三相交流電圧に変換して交流モータMGに印加する機能を有する。インバータ16は、電力ライン22および接地ライン24との間に互いに並列に設けられる、U相アーム28、V相アーム30、およびW相アーム32を含む。各相アーム28,30,33は、電力ライン22および接地ライン24間に直列接続された2つのスイッチング素子と、各スイッチング素子に対して逆並列にそれぞれ接続された2つのダイオードとからそれぞれ構成される。
より詳細には、U相アーム28はスイッチング素子E3,E4およびダイオードD3,D4からなり、V相アーム30はスイッチング素子E5,E6およびダイオードD5,D6からなり、W相アーム32はスイッチング素子E7,E8およびダイオードD7,D8からなっている。各スイッチング素子E3〜E8には、例えばIGBT等を好適に用いることができる。スイッチング素子E3〜E8は、制御部18からのスイッチング信号S3〜S8を受けてオン・オフ制御される。
動力出力源である交流モータMGには、三相同期型交流モータが好適に用いられる。インバータ16の各相アーム28,30,32の中間点は、交流モータMGのU相、V相およびW相の各相コイルの各一端にそれぞれ接続されている。各相コイルの各他端は、交流モータMG内の中性点に共通接続されている。また、U相およびV相の各コイルに流れる電流は、電流センサ34によってそれぞれ検出されて制御部18へ入力され、電流センサが設けられていないW相コイルの電流は三相電流の総和がゼロになる関係から算出されるようになっている。さらに、交流モータMGには、例えばレゾルバ等から構成される回転角センサ36が設けてあり、回転角センサ36によって検出される交流モータMGのロータ回転角が制御部18へ入力されるようになっている。
制御部18は、外部の電子制御ユニット(ECU)から入力されるトルク指令Tr*に基いて、コンバータ14用のスイッチング信号S1,S2、および、インバータ16用スイッチング信号S3〜S8を生成してコンバータ14とインバータとに出力することで、交流モータMGが上記トルク指令値Tr*に一致したトルクで駆動されるよう制御する機能を有する。
なお、ここではトルク指令Tr*が外部ECUから制御部18に入力されるものとして説明するが、これに限定されず、制御部18が車両のアクセル開度等の入力を受けて、それに応じて予め記憶しているマップまたはテーブルを参照してトルク指令Tr*を自ら導出するよう構成されてもよい。また、制御部18は、コンバータ14やインバータ16等と共にインバータケース10内に収容されていてもよい。
図3は、本実施形態のコンデンサ放電機構50が適用されたインバータケース10を車両左側から見た側面図であり、図中左側が車両前方(FR)側に相当し、図中右側が車両後方(RE)側に相当し、図中の上下方向が鉛直方向に相当し、図中の奥行き方向が左右方向に相当する。
インバータケース10は、内部にあるインバータ16の高速スイッチング等に起因して発生する高周波の電磁波をシールドする機能を付与するために導電性材料で形成されており、例えばアルミダイキャスト製のものが好適に用いられる。あるいは、インバータケース10は、金属板を絞り加工するか、又は曲げ加工や溶接等して形成されてもよい。
インバータケース10は、例えば三段重箱のような筐体状をなし、上ケース部10a、中間ケース部10b、および下ケース部10cで構成されている。上ケース部10aおよび下ケース部10cは、下端部または上端部が略矩形状に開口する蓋状をなし、その側壁端部には貫通孔を有する取付タブ38がそれぞれ複数突設されている。
中間ケース部10bは、上端部および下端部に略矩形状の開口部を有する枠体をなす側壁部40と、側壁部40の上下方向下端寄りの位置で側壁部40の内面と一体に連結される底板部42とを有する。また、側壁部40の外周側面には、縦方向に貫通したねじ穴44を有する複数のボス部46が膨出形成されており、このボス部46のねじ穴44に上ケース部10aおよび下ケース部10cの各取付タブ38の貫通孔を介してボルト48を絞め付けることにより、各ケース部10a,10b,10cが一体の筐体をなすよう連結される。
上ケース部10aの内壁上面には、コンバータ14が固定されている。中間ケース部10bの底板部42の上面42aには、インバータ16がコンバータ14との間に隙間を空けた状態で固定されている。
一方、中間ケース部10bの底板部42の下面42bには、コンデンサ15が固定されている。コンデンサ15の下面は、インバータケース10の一壁部である底壁部、すなわち下ケース部10cの底壁部11の内面11aに近接して対向している。
なお、本実施形態ではコンデンサ15が中間ケース部10bの底板部42の下面42b上に固定されて下ケース部10cの底壁部11の内面11aに対して非接触状態に配置されているものとして説明するが、これに限定されるものではなく、コンデンサ15が下ケース部10cの底壁部11の内面11a上に接触して固定されていてもよい。
インバータケース10は、車体2に固定された皿状部材であるインバータトレイ4上に図示しないブラケットによって取り付けられている。この取付状態では、インバータトレイ4とインバータケース10の底壁部11との間には、所定の隙間5が確保されている。なお、ここではインバータケース10は、インバータトレイ4を介して車体2に固定されるものとして説明するが、インバータケース10および後述するコンデンサ放電機構50は車体2に対して直に固定されていてもよい。
インバータケース10の下ケース部10cの底壁部11には、下方に延伸する取付部52が突設されている。この取付部52は、所定間隔を置いて対向する2つの同一形状の取付板によって形成され、各取付板の先端部近傍には軸支穴54がそれぞれ形成されている。この一対の取付板によって構成される取付部52は、下ケース部10cと一体に成形されてもよいし、あるいは、別部材として形成された取付板が溶接等の方法で下ケース部10cの底壁部11上に固定されてもよい。
上記取付部52には、細長い平板状の回動部材56が取り付けられている。回動部材56の前後方向の略中央位置の左右両側には軸部58がそれぞれ突設されており、この軸部58が上記取付板の軸支穴54に嵌挿されることで回動部材56が取付部52により車両前後方向に平行な鉛直方向面に沿って回動可能に軸支されている。
回動部材56の前後方向の端部近傍の上面には、2つの錘状の穿刺部材60,62が尖った先端部を下ケース部10cの底壁部11に向けた状態で固定されている。穿刺部材60,62は、導電性を有する例えば金属製の錘状部材で形成されており、上記回動部材56もまた導電性材料で形成されている。
ここで、穿刺部材60,62は、上記のような錘状部材に限定されるものではなく、後述するように車両衝突時の衝撃によって下ケース部10cの底壁部11を貫通してコンデンサ15に突き刺さることができればどのような形状であってもよく、例えば先端部だけが錘状をなし先端部以外が同一断面形状の略杭のような棒状部材で構成されてもよい。
また、本実施形態では、2つの穿刺部材60,62、すなわち車両衝突時にインバータケース10に対して車両前方から衝撃荷重が作用した場合に機能する穿刺部材62と、車両後方から衝撃荷重が作用した場合に機能する穿刺部材60とを設けているが、これに限定されるものではない。例えば、インバータケース10が車体2の前部に形成される駆動ユニット収容室3内に設置されていることでインバータケース10に対して車両後方から衝撃荷重が加わることが想定できない場合等には、穿刺部材60を省略して穿刺部材62だけを設けてもよい。
図3に示すように、インバータトレイ4上には、2つの規制部材64が上記回動部材を挟んで両側に立設されている。各規制部材64の上端部は、回動部材56の前後方向の端部に係合可能なように略直角に折り曲げられている。これにより、回動部材56は、その端部が規制部材64の先端部に当接しない範囲において若干の回動が許容されるだけであって、それ以上の回動は車体2に固定された規制部材64によって規制されることになる。したがって、この意味において回動部材56は車体2によって又は車体2に対して回動が規制された状態に支持されると言える。
また、規制部材64は回動部材56の前後方向両側に配置されていることで、インバータケース10の前後方向に大きく移動するのを規制する役割も果たす。さらに、規制部材64は、例えば金属等の導電性材料で形成されており、車両衝突時に穿刺部材60,62がコンバータ14に突き刺さったときに穿刺部材60,62から車体2へと至る導電経路を回動部材56と共に形成することになる。
また、規制部材64は回動部材56の前後方向両側に配置されていることで、インバータケース10の前後方向に大きく移動するのを規制する役割も果たす。さらに、規制部材64は、例えば金属等の導電性材料で形成されており、車両衝突時に穿刺部材60,62がコンバータ14に突き刺さったときに穿刺部材60,62から車体2へと至る導電経路を回動部材56と共に形成することになる。
なお、上記で説明した取付部52、回動部材56、および規制部材64が、本実施形態のコンデンサ放電機構50における支持構造を構成し、この支持構造と上記穿刺部材60,62によってコンデンサ放電機構50が構成されている。
続いて、上記構成からなるコンデンサ放電機構50の動作について図4を参照して説明する。なお、図4に示すインバータケース10については、取付タブ38やボス部46の図示を省略してある。
電動車両1の前部が衝突したとき、変形した車体2によって直接に又は駆動ユニット収容室3内においてインバータケース10よりも前方に配置される他の部品を介して間接的に、インバータケース10に対して矢印66で示す衝撃荷重が作用する。
このようにインバータケース10に衝撃荷重が前方から作用したとき、インバータケース10はブラケットの変形またはブラケットから外れることによって後方(RE)側へ移動しようとする。
このときの後方移動距離は、衝撃荷重の大きさ、インバータケース10の後方に隣接して配置される別の部品との間の隙間、その別部品の変形具合および取付強度等に応じて変わってくる。しかし、本実施形態では、インバータケース10に取付部52を介して連結されている回動部材56が規制部材64に係合することによってインバータケース10の後方移動が規制され、これに伴ってインバータケース10には取付部52を介して下方へ引っ張る力が作用することになる。
このように前方からの衝撃荷重と上記下方への引っ張り力とが加わったインバータケース10は、若干後方移動しつつ前部が上方へ持ち上がるように時計回り方向へ回転変位する。このとき、回動部材56は前方側の規制部材64によって回動が規制されることで穿刺部材62は車体2に対して固定されていると同様の状態になるため、上記のように回転変位してきたインバータケース10の底壁部11を貫通して穿刺部材62の先端部がコンデンサ15に突き刺さる。これにより、図5に示すように、コンデンサ15の内部において誘電体15aを挟んで対向する正極端子15bと負極端子15cとが短絡し、その結果、コンデンサ15に蓄えられている高圧の直流電圧が穿刺部材62から回動部材56および規制部材64を介して接地電位の車体2へと速やかに放電される。
一方、車両後部の衝突によってインバータケース10に矢印67で示す衝撃荷重が作用した場合には、上述したのとは逆の作用によって、インバータケース10が反時計周り方向に回転変位して、穿刺部材60がインバータケース10の底壁部11を貫通してコンデンサ15に突き刺さり、コンデンサ15の内部において端子間短絡を生じさせることになる。
このように、本実施形態のコンデンサ放電機構によれば、電動車両1の前後方向の衝突時に穿刺部材62または60がインバータケース10内のコンデンサ15に突き刺さって内部短絡を生じさせ、コンデンサ15に蓄えられた高圧の直流電圧を速やかに車体2へと放電させることができる。これにより、簡易な構成で車両衝突時における感電の危険性を抑制でき、車両の安全性向上を図れる。
上記で説明した穿刺部材60やその支持構造52,56,64は、車両前後方向の衝突時のためのコンデンサ放電機能を果たすものであるが、車両左右方向の衝突時についても同様のコンデンサ放電機能を果たすように、別の穿刺部材および支持構造を付加的に設けてもよい。図6を参照して前記別の穿刺部材および支持構造について説明する。
図6は、図3に示すインバータケース10を車両前方(FR)側から見た側面図であり、図中右側が車両左側(LE)に相当し、図中左側が車両右側(RI)に相当する。図3を参照して既述した同一又は類似の部材および部分には同一または類似の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
図6に示すように、インバータケース10の底壁部11の下方の空間5には、車両側部の衝突時にコンバータ放電機能を果たす別の穿刺部材60a,62aおよびそのための支持構造52a,56a,64aが更に設けられている。ここで、両端上面に穿刺部材60a,62aが固定された回動部材56aは、取付部52aに軸支されて車両左右方向に平行な鉛直方向面に沿って回動可能になっている。また、インバータトレイ4上に立設された規制部材64aによって回動部材56aの回動が規制される点についても同様である。
図6に示されるインバータケース10では、車両左側部の衝突により矢印68で示す衝撃荷重が作用したとき、上記と同様の原理によってインバータケース10が反時計周り方向に回転変位して穿刺部材60aが底壁部11を貫通してコンバータ14に突き刺さってコンデンサ放電機能を果たすことになる。一方、車両右側部の衝突により矢印69で示す衝撃荷重がインバータケース10に作用したとき、上記と同様の原理によってインバータケース10が時計周り方向に回転変位して穿刺部材62aが底壁部11を貫通してコンバータ14に突き刺さってコンバータ放電機能を果たすことになる。なお、この場合、インバータケース10への衝撃荷重の作用方向を考慮して、いずれか一方の穿刺部材60aまたは62aを省略してもよい。
このように、上記別の穿刺部材60a,62aおよびその支持構造52a,56a,64aを更に設けることで、電動車両1の衝突時にインバータケース10に対して前後左右のいずれの方向から衝撃荷重が作用した場合でも、インバータケース10内のコンデンサ15に蓄えられた高圧の直流電圧を速やかに放電させることができる。
次に、図7を参照して本発明に係る別の実施形態のコンデンサ放電機構51について説明するが、既述した同一又は類似の部材および部分には同一または類似の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
図7は、別の実施形態のコンデンサ放電機構51が適用されたインバータケース10を車両左側から見た側面図であり、図中左側が車両前方(FR)側に相当し、図中右側が車両後方(RE)側に相当し、図中の上下方向が鉛直方向に相当し、図中の奥行き方向が左右方向に相当する。
図7に示すコンデンサ放電機構51では、インバータトレイ4上に略コ字状の側面形状をなす固定部材65が立設されている。固定部材65の上面は、車両前後方向に沿って延伸する平面として形成されている。固定部材65の上面両端部側には、穿刺部材60,62が立設されている。
インバータケース10の底壁部11から下方へ延伸する取付部52は、穿刺部材60,62間の中央位置で固定部材65に設けた軸部58が嵌挿されることによって回動可能に連結されている。本実施形態のコンデンサ放電機構51では、上記固定部材65および取付部52が本発明における支持構造に相当する。
他の構成については、図3を参照して説明したのと同様である。このコンデンサ放電機構51によっても、上記と同様のコンデンサ放電機能を奏することができる。また、上記回動部材56および規制部材64を一体化して固定部材65として形成されていることで、構成がより簡易なものになる。
なお、図7に示すコンデンサ放電機構51においても車両前部の衝突時だけを想定して車両前方側に配置されている穿刺部材60を省略してもよい。また、車両側部の衝突時にコンデンサ放電機能を果たすように、別の固定部材および取付部を図6に示すのと同様に設けてもよい。この場合、インバータケース10への衝撃荷重の作用方向(左側または右側)を考慮して、いずれか一方の穿刺部材を省略してもよい。
1 電動車両、2 車体、3 駆動ユニット収容室、4 インバータトレイ、5 隙間、10 インバータケース、10a 上ケース部、10b 中間ケース部、10c 下ケース部、11 底壁部、12 電源装置、14 コンバータ、15 コンデンサ、16 インバータ、18 制御部、50,51 車両用コンデンサ放電機構、52,52a 取付部、52,56,64 支持構造、52a,56a,64a 支持構造、56,56a 回動部材、58 軸部、60,60a,62, 62a 穿刺部材、64,64a 規制部材、65 固定部材。
Claims (9)
- 電源装置から供給されてコンバータで昇圧された高圧の直流電圧を、交流モータ駆動用の交流電圧に変換するインバータへ供給する前に、蓄電して平滑化するコンデンサを内部に収容する筐体状のケースが車体に対して固定される車両に用いられる車両用コンデンサ放電機構であって、
前記ケースの壁部のうち内面が前記コンデンサに近接または接触する一壁部の外面に尖った先端部を向けて設けられ、前記車体に対して電気的に導通可能な導電性の穿刺部材と、
車両衝突時に前記ケースが受ける衝撃荷重によって前記ケースが変位したとき前記穿刺部材が前記一壁部を貫通して前記コンデンサに突き刺さる位置に前記穿刺部材を前記車体で支持すると共に、前記コンデンサに突き刺さった前記穿刺部材から前記車体への導電経路を形成する支持構造と、を含み、
前記穿刺部材は前記車両衝突時に前記コンデンサに突き刺さってコンデンサ内部で電極間短絡を生じさせる、車両用コンデンサ放電機構。 - 請求項1に記載の車両用コンデンサ放電機構において、
前記ケースの一壁部は底壁部であり、
前記支持構造は、前記ケースの底壁部に下方へ向けて突設された取付部と、この取付部に回動可能に軸支され、端部上面に前記穿刺部材が上方へ向けて突設される回動部材と、車体に対して固定され前記回動部材の端部に係合して前記回動部材の回動を規制する規制部材とで構成されることを特徴とする車両用コンデンサ放電機構。 - 請求項2に記載の車両用コンデンサ放電機構において、
前記回動部材は、車両の前後方向に平行な鉛直方向面に沿って回動可能に軸支されており、前記穿刺部材は、前記取付部に対して車両後方側に位置する前記回動部材の端部上面に突設されていることを特徴とする車両用コンデンサ放電機構。 - 請求項3に記載の車両用コンデンサ放電機構において、
前記穿刺部材が前記取付部に対して車両前方側に位置する前記回動部材の端部上面にも突設されていることを特徴とする車両用コンデンサ放電機構。 - 請求項4に記載の車両用コンデンサ放電機構において、
車両に対して左右方向からの衝突時にコンデンサ放電機能を果たす別の穿刺部材および支持構造を更に含み、前記別の支持構造における回動部材は、車両の左右方向に平行な鉛直方向面に沿って回動可能に軸支されており、前記穿刺部材は、前記取付部に対して車両左側および車両右側の少なくとも一方に位置する前記回動部材の端部上面に突設されていることを特徴とする車両用コンデンサ放電機構。 - 請求項1に記載の車両用コンデンサ放電機構において、
前記ケースの一壁部は底壁部であり、
前記支持構造は、車両に対して固定され上面端部に前記穿刺部材が上方に向けて突設される固定部材と、前記ケースの底壁部に下方へ突設され前記固定部材に回動可能に連結される取付部とで構成されることを特徴とする車両用コンデンサ放電機構。 - 請求項6に記載の車両用コンデンサ放電機構において、
前記固定部材は車両の前後方向に沿って延伸する上面を有し、前記穿刺部材は、前記固定部材への取付部の連結部に対して車両後方側に位置する前記上面端部に突設されていることを特徴とする車両用コンデンサ放電機構。 - 請求項7に記載の車両用コンデンサ放電機構において、
前記穿刺部材が前記固定部材への取付部の連結部に対して車両前方側に位置する前記上面端部にも突設されていることを特徴とする車両用コンデンサ放電機構。 - 請求項8に記載の車両用コンデンサ放電機構において、
車両に対して左右方向からの衝突時にコンデンサ放電機能を果たす別の穿刺部材および支持構造を更に含み、前記別の支持構造における固定部材は車両の左右方向に沿った上面を有し、前記穿刺部材は、前記固定部材への取付部の連結部に対して車両左側および車両右側の少なくとも一方に位置する前記上面端部に突設されていることを特徴とする車両用コンデンサ放電機構。
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JP2011125183A (ja) * | 2009-12-14 | 2011-06-23 | Toyota Motor Corp | 電源装置 |
JP2012186887A (ja) * | 2011-03-03 | 2012-09-27 | Toyota Motor Corp | 車両用衝突検知装置 |
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2009
- 2009-03-10 JP JP2009056389A patent/JP2010213446A/ja active Pending
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