JP2010212401A - 光半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エピタキシャル成長の半導体層の光取り出し面において、臨界角内光の透過光はフレネル係数によって制限されて低く、従って、臨界角内光Qの光取り出し効率は低かった。
【解決手段】発光部を形成する発光半導体層11〜14の光取り出し面に屈折率の異なる半導体層1011、1012、…を交互に積層形成した半導体交互積層体101を設けた。半導体交互積層体101は反射防止作用をする。
【選択図】 図2
【解決手段】発光部を形成する発光半導体層11〜14の光取り出し面に屈折率の異なる半導体層1011、1012、…を交互に積層形成した半導体交互積層体101を設けた。半導体交互積層体101は反射防止作用をする。
【選択図】 図2
Description
本発明は発光ダイオード(LED)等の光半導体装置及びその製造方法に関する。
従来の光半導体装置として、GaAs成長基板上にGaAsと格子整合するAlGaInP発光層及びその上にGaAsと格子不整合のGaInP電流拡散層をエピタキシャル成長させ、さらにその上に反射ミラーを化学的気相成長(CVD)法、スパッタリング法等によって形成した半導体積層体を得、次いで、この半導体積層体に支持基板を貼り合わせ、最後に、発光波長の可視光を吸収するGaAs成長基板を除去するものがある(参照:特許文献1、2)。このように、可視光吸収のGaAs成長基板の除去と共に、発光層から反射ミラーへ放射された光は反射ミラーで正反射されて光取り出し面に向かい、その光の一部が光取り出し面から取り出されるので、光の取り出し効率が向上する。
上述の反射ミラーとして臨界角外の入射光の反射率が100%に近い酸化シリコン(SiO2)層と金属層とを組合せたものがある(参照:特許文献3)。この従来の光半導体装置を図21を参照して詳述する。
図21の光半導体装置は、半導体積層体1、支持体2、半導体積層体1と支持体2とを接合する接合層3、n側電極4及びボンディングパッド5よりなる。
半導体積層体1は、GaAs成長基板(図示せず)上に有機金属化学気相成長(MOCVD)法によりエピタキシャル成長させたn型AlGaInPクラッド層11、AlGaInP活性層12、p型AlGaInPクラッド層13及びGaInP電流拡散層14を有する。この場合、n型AlGaInPクラッド層11、AlGaInP活性層12及びp型AlGaInPクラッド層13はダブルヘテロ構造の発光部を形成する。また、n型AlGaInPクラッド層11、AlGaInP活性層12及びp型AlGaInPクラッド層13はGaAsと格子整合し、(AlzGa1-z)1-xInxP(0≦z≦1、0≦x≦1)で表され、他方、GaInP電流拡散層14はGaAsと格子整合せず、Ga1-xInxP(0≦x≦1)で表される。
また、半導体積層体1は、GaInP電流拡散層14下にCVD法等により形成されパターン化された酸化シリコン(SiO2)層15及びその下にスパッタリング法等により形成されたAuZn反射電極層(p側電極)16を有する。この場合、酸化シリコン層15及び反射電極層16は一体となって反射ミラーとして作用する。尚、通常、p型AlGaInPクラッド層13の抵抗率はn型AlGaInPクラッド層11の抵抗率より大きいために、n側電極4と反射電極層(p側電極)16との間の電流密度は周辺部より中心部が大きくなる。このような電流集中を分散してp型AlGaInPクラッド層13の抵抗率を実質的に低下させて発光効率を向上させるためにGaInP電流拡散層14が設けられている。
さらに、半導体積層体1は、反射電極層16のAuZnのZnの外方拡散を防止すると同時に、後工程での共晶材料が反射電極層16へ侵入拡散するのを防止するバリア層17を有する。バリア層17はスパッタリング法等により形成されたTa、Ti、W等の高融点金属もしくはその窒化物よりなる。
このように、半導体積層体1は、エピタキシャル成長の半導体層11〜14以外に、酸化シリコン層15、反射電極層16及びバリア層17を有する。
支持体2は、たとえば高濃度のボロンドープドシリコンよりなる導電性支持基板21、導電性支持基板21の一方の面に設けられた裏面電極層22、導電性支持基板21の他方の面に設けられた中間電極層23、及び密着信頼性を高める密着層24を有する。
接合層3は半導体積層体1及び支持体2を接合させるためのものであり、たとえば、AuSnNiよりなる。接合層3については、後述する。
半導体層11〜14の周囲はメサエッチングされ、半導体層11〜14の全体が樹脂モールド(図示せず)されている。
n側電極4はn型AlGaInPクラッド層11とのオーミック接合のためにたとえばAuGeNiよりなり、また、ボンディングパッド5はたとえばAuよりなる。n側電極4は電流を拡散するために周辺部に位置し、他方、ボンディングパッド5は電流を中央部から供給するために中央部かつn側電極4の一部の上部に位置してn側電極4に電気的に接続されている。
図21の光半導体装置においては、発光層(11,12,13)より上方もしくは下方へ放射され光取り出し面(上面)において臨界角外で放射される臨界角外光Pは光取り出し面(上面)及び反射ミラー特に反射率100%の酸化シリコン層15の反射面において光取り出し面(上面)及び反射面で多重反射を繰返して横方向つまり半導体積層体1内部の半導体層を伝播し続けて最終的に半導体積層体1の半導体層に吸収されて光取り出し面(上面)より取り出すことができない。
他方、図21の光半導体装置においては、発光層(11,12,13)から光取り出し面(上面)へ直接放射もしくは反射ミラー(酸化シリコン層15、反射電極層16)から正反射される臨界角内光Qはフレネル反射成分Q1を除き成分Q2が光取り出し面から取り出される。
しかしながら、図22に示すように、たとえば、光半導体装置の光取り出し面がエポキシ樹脂(n=1.5)で包まれていれば、AlGaInPの屈折率nが3.3であるので、臨界角内光Qの光取り出し面での反射率は、垂直入射の場合、14%程度となり、臨界角内光Qの光取り出し効率は4.5%程度と低い。また、光半導体装置の光取り出し面が空気(n=1.0)であれば、臨界角内光Qの光取り出し面での反射率は、垂直入射の場合、29%程度となり、臨界角内光Qの光取り出し効率は2.0%程度とさらに低い。このように、臨界角内光Qの光取り出し効率はAlGaInPの屈折率と樹脂(もしくは空気)の屈折率との差によるフレネル係数によって制限されるので、低いという課題があった。尚、光取り出し効率は透過光Q2の透過率を立体角毎に算出し、これらを積分することによって得られる。
尚、光取り出し効率を高めるために、AlGaInPクラッド層の外側に接してより低屈折率の透過性半導体層を形成する光半導体装置がある(参照:特許文献4)。この場合、さらに、外側になるに従って屈折率を低くして臨界角外光の全反射を抑えることによって光取り出し効率を高めている。しかしながら、この光半導体装置においては、後述するように、臨界角内光の光取り出し効率の向上はわずかである(参照:図3、図5の1層構造)。
上述の課題を解決するために、本発明に係る光半導体装置は、光発光部を形成する発光半導体層と、この発光半導体層の光取り出し面に、屈折率の異なる第1、第2の半導体層を交互に積層形成した半導体交互積層体とを具備するものである。この半導体交互積層体は反射防止作用をする。この場合、各第1、第2の半導体層の厚さが
λ/(4n)
但し、λは発光半導体層の発光波長、
nは発光波長での各第1、第2の半導体層の屈折率
である。
λ/(4n)
但し、λは発光半導体層の発光波長、
nは発光波長での各第1、第2の半導体層の屈折率
である。
さらに、第1の半導体層の屈折率を第2の半導体層の屈折率より低いとし、第1の半導体層が発光半導体層の光取り出し面に接触しているとき、第1、第2の半導体層の交互積層数は3以上の奇数である。たとえば、図1の(A)に示すように、第1、第2の半導体層の屈折率nL、nH(>nL)とすれば、交互積層数がたとえば5の奇数のために、臨界角内光Qの発光半導体層の半導体交互積層体に接する層(n=3.3)と各第1、第2の半導体層との各界面での各反射波の各位相と、樹脂あるいは空気(n=1.5あるいはn=1.0)と最外側の第1の半導体層(nL)との界面での反射波の位相とが逆相となる。このとき、後述するように、樹脂あるいは空気と最外側の第1の半導体層(nL)との界面での反射波の振幅(強度)は、他の界面における反射波の振幅(強度)より大きい。この結果、上記各反射波を打消し、全体の反射波成分Q1は小さくなり、この分、透過波成分Q2は大きくなる。つまり、臨界角内光Qの光取り出し効率は向上する。
他方、第1の半導体層の屈折率を第2の半導体層の屈折率より高いとし、第1の半導体層が発光半導体層の光取り出し面に接触しているとき、第1、第2の半導体層の交互積層数は偶数である。たとえば、図1の(B)に示すように、第1、第2の半導体層の屈折率nL、nH(<nL)とすれば、交互積層数がたとえば4の偶数のために、臨界角内光Qの発光半導体層の半導体交互積層体に接する層(n=3.3)と各第1、第2の半導体層との各界面での各反射波の各位相と、樹脂あるいは空気(n=1.5あるいはn=1.0)と最外側の第1の半導体層(nL)との界面での反射波の位相とが逆相となる。このとき、後述するように、樹脂あるいは空気と最外側の第1の半導体層(nL)との界面での反射波の振幅(強度)は、他の界面における反射波の振幅(強度)より大きい。この結果、上記各反射波を打消し、全体の反射波成分Q1は小さくなり、この分、透過波成分Q2は大きくなる。つまり、臨界角内光Qの光取り出し効率は向上する。
さらにまた、本発明に係る光半導体装置の製造方法は、光発光部を形成する発光半導体層を形成する工程と、この発光半導体層の光取り出し面に、屈折率の異なる第1、第2の半導体層を交互に積層形成した半導体交互積層体を形成する工程とを具備し、発光半導体層を形成する工程と半導体交互積層体を形成する工程は、同一チャンバ内で連続して成膜するものである。
尚、本発明において、発光半導体層とは、光発光部となる活性層及びクラッド層を含む半導体材料からなる層である。また、発光半導体層には、バッファ層、中間層、電流拡散層などの機能層が適宜含まれてもよい。
本発明によれば、臨界角内光の光取り出し効率を高くできる。
図2は本発明に係る光半導体装置の第1の実施の形態を示す断面図である。図2においては、図21のn型クラッド層11上に半導体交互積層体101を形成してある。半導体交互積層体101は3以上の奇数の半導体層1011、1012、1013、…よりなり、屈折率nLの半導体層1011、1013、…及び屈折率nH(>nL)の半導体層1012、1014、…が交互に積層されている。たとえば、
nL ≦ nCLAD < nH (1)
但し、nCLADはn型クラッド層11の屈折率である。(1)式を満足するために、n型クラッド層11、半導体層1011、1013、…、半導体層1012、1014、…をn型(AlzGa1-z)0.5In0.5Pにより構成する。この場合、Al組成すなわちzが大きくなるに従って屈折率は小さくなると共にバンドギャップは大きくなる。バンドギャップが活性層のバンドギャップ(λ=620)より大きい範囲内においてzを選択する。たとえば、発光波長λ=620nmにおいて、
nL = 3.214 (z=1.0)
nCLAD = 3.310 (z=0.7)
nH = 3.484 (z=0.3)
とすると、上述の(1)式を満足する。さらに、半導体層1011、1013、…の厚さを48.2nm(=λ/(4nL))とし、また、半導体層1012、1014、…の厚さを44.5nm(=λ/(4nH))とする。
nL ≦ nCLAD < nH (1)
但し、nCLADはn型クラッド層11の屈折率である。(1)式を満足するために、n型クラッド層11、半導体層1011、1013、…、半導体層1012、1014、…をn型(AlzGa1-z)0.5In0.5Pにより構成する。この場合、Al組成すなわちzが大きくなるに従って屈折率は小さくなると共にバンドギャップは大きくなる。バンドギャップが活性層のバンドギャップ(λ=620)より大きい範囲内においてzを選択する。たとえば、発光波長λ=620nmにおいて、
nL = 3.214 (z=1.0)
nCLAD = 3.310 (z=0.7)
nH = 3.484 (z=0.3)
とすると、上述の(1)式を満足する。さらに、半導体層1011、1013、…の厚さを48.2nm(=λ/(4nL))とし、また、半導体層1012、1014、…の厚さを44.5nm(=λ/(4nH))とする。
図3の(A)は(1)式を満足する場合の図2の光半導体装置の臨界角内光Qの透過光Q2の透過率を示すグラフである。図3の(A)に示すように、半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数が1層、3層、…、9層となるに従って、透過率は増加するが、ほぼ7層で飽和し、高入射角において低下傾向が見られる。この結果、図3の(B)に示すように、光取り出し効率も1層、3層、5層となるに従って増加するが、5層を超えると効果は減少する。但し、1層のみの場合には、透過率はわずかにしか増加せず、従って、光取り出し効率もわずかにしか増加しない(参照:特許文献4)。
他方、図3の(A)に示すように、半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数が2層、4層、…、8層の場合、透過率は半導体層1011、1012、1013、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。この結果、図3の(B)に示すように、光取り出し効率も2層、4層、…、8層の場合、半導体層1011、1012、1013、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。
このように、(1)式を満足する図2の光半導体装置における半導体交互積層体101の半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数は3以上の奇数でなければならない。これについてさらに説明する。尚、半導体層1011、1012、1013、…の反射については、光の位相が同位相であれば強め合い、逆位相であれば打ち消すという干渉現象と共に、反射には、
低屈折率材料から高屈折率材料へ光が入射して反射した場合には、位相が180°シフトするという固定端反射と、
高屈折率材料から低屈折率材料へ光が入射して反射した場合には、位相シフトは発生しないという自由端反射と
がある。
低屈折率材料から高屈折率材料へ光が入射して反射した場合には、位相が180°シフトするという固定端反射と、
高屈折率材料から低屈折率材料へ光が入射して反射した場合には、位相シフトは発生しないという自由端反射と
がある。
図2の光半導体装置の半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数が3以上の奇数のときに透過率が大きくつまり光取り出し効率が大きくなることについて図4の(A)を参照して説明する。尚、図4の(A)においては、交互積層数を3とする。
図4の(A)に示すごとく、入射光(臨界角内光)Qは、n型クラッド層11(nCLAD = 3.310)と半導体層1011(nL = 3.210)との界面I1、半導体層1011(nL = 3.210)と半導体層1012(nH= 3.484)との界面I2、半導体層1012(nH = 3.484)と半導体層1013(nL= 3.210)との界面I3、及び半導体層1013(nL = 3.210)と樹脂(n=1.585)との界面I4で反射する。これらの反射光をQ1(1)、Q1(2)、Q1(3)及びQ1(4)とする。このとき、界面I1、I2、I3では屈折率差が小さいので、反射光Q1(1)、Q1(2)、Q1(3)の振幅(強度)は小さく、界面I4では屈折率差が大きいので、反射光Q1(4) の振幅(強度)は大きい。他方、反射光Q1(1)、Q1(3)、Q1(4)は位相シフトなしであり、反射光Q1(2)は180°位相シフトする。この結果、同位相の反射光Q1(1)、Q1(2)、Q1(3)の合計と逆位相の反射光Q1(4) とが互いに打ち消し合い、合成波の振幅(強度)は小さくなる。従って、反射率は小さくなり、透過率が大きくなる。尚、交互積層数が増加すると、同相の反射光の合計と、逆位相の反射光との差が小さくなり、結果として反射率がさらに小さくなり、透過率がさらに大きくなる。しかし、交互積層数がさらに増加すると、同相の反射光の合計が、逆位相の反射光より大きくなり、結果として反射率は大きくなり、透過率が小さくなる。
図2の光半導体装置の半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数が偶数のときに透過率が小さくつまり光取り出し効率が小さくなることについて図4の(B)を参照して説明する。尚、図4の(B)においては、交互積層数を4とする。
図4の(B)に示すごとく、入射光(臨界角内光)Qは、n型クラッド層11(nCLAD = 3.310)と半導体層1011(nL = 3.210)との界面I1、半導体層1011(nL = 3.210)と半導体層1012(nH= 3.484)との界面I2、半導体層1012(nH = 3.484)と半導体層1013(nL= 3.210)との界面I3、半導体層1013(nL = 3.210)と半導体層1014(nH= 3.484)との界面I4、及び半導体層1014(nH = 3.484)と樹脂(n=1.585)との界面I5で反射する。これらの反射光をQ1(1)、Q1(2)、Q1(3)、Q1(4) 及びQ1(5)とする。このとき、界面I1、I2、I3、I4では屈折率差が小さいので、反射光Q1(1)、Q1(2)、Q1(3)、Q1(4)の振幅(強度)は小さく、界面I5では屈折率差が大きいので、反射光Q1(5) の振幅(強度)は大きい。他方、反射光Q1(1)、Q1(3)、Q1(5)は位相シフトなしであり、反射光Q1(2) 、Q1(4)は180°位相シフトする。この結果、同位相の反射光Q1(1)、Q1(2)、Q1(3)、Q1(4)の合計と同位相の反射光Q1(5) とが強め合い、合成波の振幅(強度)は大きくなる。従って、反射率は大きくなり、透過率が小さくなる。尚、交互積層数が増加すると、同相の反射光の合計が大きくなり、結果として反射率がさらに大きくなり、透過率がさらに小さくなる。
また、図2の半導体交互積層体101における半導体層1011、1012、1013、…の屈折率nL及び屈折率nH (>nL)を
nL < nH≦ nCLAD (2)
とすることもできる。(2)式を満足するために、たとえば、発光波長λ=620nmにおいて、
nL = 3.214 (z=1.0)
nH = 3.384 (z=0.5)
nCLAD = 3.484 (z=0.3)
とすると、上述の(2)式を満足する。さらに、半導体層1011、1013、…の厚さを48.2nm(=λ/(4nL))とし、また、半導体層1012、1014、…の厚さを43.5nm(=λ/(4nH))とする。
nL < nH≦ nCLAD (2)
とすることもできる。(2)式を満足するために、たとえば、発光波長λ=620nmにおいて、
nL = 3.214 (z=1.0)
nH = 3.384 (z=0.5)
nCLAD = 3.484 (z=0.3)
とすると、上述の(2)式を満足する。さらに、半導体層1011、1013、…の厚さを48.2nm(=λ/(4nL))とし、また、半導体層1012、1014、…の厚さを43.5nm(=λ/(4nH))とする。
図5の(A)は(2)式を満足する場合の図2の光半導体装置の臨界角内光Qの透過光Q2の透過率を示すグラフである。図5の(A)に示すように、半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数が1層、3層、…、9層となるに従って、透過率は増加するが、層数が多くなると高入射角において低下傾向が見られる。この結果、図5の(B)に示すように、光取り出し効率も1層、3層、5層となるに従って増加するが、5層を超えると効果は減少する。但し、1層のみの場合には、透過率はわずかにしか増加せず、従って、光取り出し効率もわずかにしか増加しない。
他方、図5の(A)に示すように、半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数が2層、4層、…、8層の場合、透過率は半導体層1011、1012、1013、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。この結果、図5の(B)に示すように、光取り出し効率も2層、4層、…、8層の場合、半導体層1011、1012、1013、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。
このように、(2)式を満足する図2の光半導体装置における半導体交互積層体101の半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数は3以上の奇数でなければならない。
さらに、図2の半導体交互積層体101における半導体層1011、1012、1013、…の屈折率nL及び屈折率nH (>nL)を
nCLAD ≦ nL < nH (3)
とすることもできる。(3)式を満足するために、たとえば、発光波長λ=620nmにおいて、
nCLAD = 3.214 (z=1.0)
nL = 3.310 (z=0.7)
nH = 3.484 (z=0.3)
とすると、上述の(3)式を満足する。さらに、半導体層1011、1013、…の厚さを46.8nm(=λ/(4nL))とし、また、半導体層1012、1014、…の厚さを44.5nm(=λ/(4nH))とする。
nCLAD ≦ nL < nH (3)
とすることもできる。(3)式を満足するために、たとえば、発光波長λ=620nmにおいて、
nCLAD = 3.214 (z=1.0)
nL = 3.310 (z=0.7)
nH = 3.484 (z=0.3)
とすると、上述の(3)式を満足する。さらに、半導体層1011、1013、…の厚さを46.8nm(=λ/(4nL))とし、また、半導体層1012、1014、…の厚さを44.5nm(=λ/(4nH))とする。
図6の(A)は(3)式を満足する場合の図2の光半導体装置の臨界角内光Qの透過光Q2の透過率を示すグラフである。図6の(A)に示すように、半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数が1層を除き、3層、…、9層となるに従って、透過率は増加するが、ほぼ9層で飽和する。この結果、図6の(B)に示すように、光取り出し効率も1層を除いて、3層、…、7層となるに従って増加するが、7層で飽和する。但し、1層のみの場合には、透過率は低下し、従って、光取り出し効率も低下する。
他方、図6の(A)に示すように、半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数が2層、4層、…、8層の場合、透過率は半導体層1011、1012、1013、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。この結果、図6の(B)に示すように、光取り出し効率も2層、4層、…、8層の場合、半導体層1011、1012、1013、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。
このように、(3)式を満足する図2の光半導体装置における半導体交互積層体101の半導体層1011、1012、1013、…の交互積層数は3以上の奇数でなければならない。つまり、クラッド層、活性層を含む(AlzGa1-z)0.5In0.5P(0≦z≦1)からなる発光半導体層に対し、低屈折率層がAl0.5In0.5P、高屈折率層が(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5Pからなる半導体交互積層体を、低屈折率層を発光半導体層に隣接させて、層数を5層または7層で形成することが好ましい。Al0.5In0.5Pは(AlzGa1-z)0.5In0.5P(0≦z≦1)において屈折率が低く、(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5Pは活性層よりバンドギャップが大きな領域で屈折率が高いため、光半導体装置の特性を損なうことなく、比較的少ない層数で高い光取り出し効率を得ることができる。
図7は本発明に係る光半導体装置の第2の実施の形態を示す断面図である。図7においては、図21のn型クラッド層11上に半導体交互積層体102を形成してある。半導体交互積層体102は偶数の半導体層1021、1022、1023、…よりなり、屈折率nHの半導体層1021、1023、…及び屈折率nL(<nH)の半導体層1022、1024、…が交互に積層されている。たとえば、上述の(1)式を満足するために、n型クラッド層11、半導体層1021、1023、…、半導体層1022、1024、…をn型(AlzGa1-z)0.5In0.5Pにより構成する。たとえば、発光波長λ=620nmにおいて、
nL = 3.214 (z=1.0)
nCLAD = 3.310 (z=0.7)
nH = 3.484 (z=0.3)
とすると、上述の(1)式を満足する。さらに、半導体層1021、1023、…の厚さを44.5nm(=λ/(4nH))とし、また、半導体層1022、1024、…の厚さを48.2nm(=λ/(4nL))とする。
nL = 3.214 (z=1.0)
nCLAD = 3.310 (z=0.7)
nH = 3.484 (z=0.3)
とすると、上述の(1)式を満足する。さらに、半導体層1021、1023、…の厚さを44.5nm(=λ/(4nH))とし、また、半導体層1022、1024、…の厚さを48.2nm(=λ/(4nL))とする。
図8の(A)は(1)式を満足する場合の図7の光半導体装置の臨界角内光Qの透過光Q2の透過率を示すグラフである。図8の(A)に示すように、半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数が2層、4層、…、8層となるに従って、透過率は増加するが、ほぼ6層で飽和し、層数が多くなると高入射角において低下傾向が見られる。この結果、図8の(B)に示すように、光取り出し効率も2層、4層、6層となるに従って増加するが、6層を超えると効果は減少する。
他方、図8の(A)に示すように、半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数が1層、3層、…、9層の場合、透過率は半導体層1021、1022、1023、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。この結果、図8の(B)に示すように、光取り出し効率も1層、3層、…、9層の場合、半導体層1021、1022、1023、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。
このように、(1)式を満足する図7の光半導体装置における半導体交互積層体102の半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数は偶数でなければならない。これについてさらに説明する。
図7の光半導体装置の半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数が偶数のときに透過率が大きくつまり光取り出し効率が大きくなることについて図9の(A)を参照して説明する。尚、図9の(A)においては、交互積層数を4とする。
図9の(A)に示すごとく、入射光(臨界角内光)Qは、n型クラッド層11(nCLAD = 3.310)と半導体層1021(nH = 3.484)との界面I1、半導体層1021(nH = 3.484)と半導体層1022(nL= 3.210)との界面I2、半導体層1022(nL = 3.210)と半導体層1023(nH= 3.484)との界面I3、半導体層1023(nH = 3.484)と半導体層1024(nL= 3.210)との界面I4、及び半導体層1024(nL = 3.210)と樹脂(n=1.585)との界面I5で反射する。これらの反射光をQ1(1)、Q1(2)、Q1(3)、Q1(4)及びQ1(5)とする。このとき、界面I1、I2、I3、I4では屈折率差が小さいので、反射光Q1(1)、Q1(2)、Q1(3)、Q1(4)の振幅(強度)は小さく、界面I5では屈折率差が大きいので、反射光Q1(5) の振幅(強度)は大きい。他方、反射光Q1(2)、Q1(4)、Q1(5)は位相シフトなしであり、反射光Q1(1)、Q1(3)は180°位相シフトする。この結果、同位相の反射光Q1(1)、Q1(2)、Q1(3)、Q1(4)の合計と逆位相の反射光Q1(5) とが互いに打ち消し合い、合成波の振幅(強度)は小さくなる。従って、反射率は小さくなり、透過率が大きくなる。尚、交互積層数が増加すると、同相の反射光の合計と、逆位相の反射光との差が小さくなり、結果として反射率がさらに小さくなり、透過率がさらに大きくなる。
図7の光半導体装置の半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数が奇数のときに透過率が小さくつまり光取り出し効率が小さくなることについて図9の(B)を参照して説明する。尚、図9の(B)においては、交互積層数を3とする。
図9の(B)に示すごとく、入射光(臨界角内光)Qは、n型クラッド層11(nCLAD = 3.310)と半導体層1021(nH = 3.484)との界面I1、半導体層1021(nH = 3.484)と半導体層1022(nL= 3.210)との界面I2、半導体層1022(nL = 3.210)と半導体層1023(nH= 3.484)との界面I3、半導体層1023(nH = 3.484)と樹脂(n=1.585)との界面I4で反射する。これらの反射光をQ1(1)、Q1(2)、Q1(3)及びQ1(4)とする。このとき、界面I1、I2、I3では屈折率差が小さいので、反射光Q1(1)、Q1(2)、Q1(3)の振幅(強度)は小さく、界面I4では屈折率差が大きいので、反射光Q1(4) の振幅(強度)は大きい。他方、反射光Q1(2)、Q1(4)は位相シフトなしであり、反射光Q1(1)、Q1(3)は180°位相シフトする。この結果、同位相の反射光Q1(1)、Q1(2)、Q1(3)の合計と同位相の反射光Q1(4) とが強め合い、合成波の振幅(強度)は大きくなる。従って、反射率は大きくなり、透過率が小さくなる。尚、交互積層数が増加すると、同相の反射光の合計が大きくなり、結果として反射率がさらに大きくなり、透過率がさらに小さくなる。
また、図7の半導体交互積層体102における半導体層1021、1022、1023、…の屈折率nH及び屈折率nL (<nH)を上述の(2)式を満足するために、たとえば、発光波長λ=620nmにおいて、
nL = 3.214 (z=1.0)
nH = 3.384 (z=0.5)
nCLAD = 3.484 (z=0.3)
とする。さらに、半導体層1021、1023、…の厚さを43.5nm(=λ/(4nH))とし、また、半導体層1022、1024、…の厚さを48.2nm(=λ/(4nL))とする。
nL = 3.214 (z=1.0)
nH = 3.384 (z=0.5)
nCLAD = 3.484 (z=0.3)
とする。さらに、半導体層1021、1023、…の厚さを43.5nm(=λ/(4nH))とし、また、半導体層1022、1024、…の厚さを48.2nm(=λ/(4nL))とする。
図10の(A)は(2)式を満足する場合の図7の光半導体装置の臨界角内光Qの透過光Q2の透過率を示すグラフである。図10の(A)に示すように、半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数が2層、4層、…、8層となるに従って、透過率は増加するが、層数が多くなると高入射角において低下傾向が見られる。この結果、図10の(B)に示すように、光取り出し効率も2層、4層、…、8層となるに従って増加するが、8層で飽和傾向が見られる。但し、1層のみの場合には、透過率はわずかに増加し、従って、光取り出し効率もわずかに増加する。
他方、図10の(A)に示すように、半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数が3層、5層、…、9層の場合、透過率は半導体層1021、1022、1023、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。この結果、図10の(B)に示すように、光取り出し効率も3層、5層、…、9層の場合、半導体層1021、1022、1023、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。
このように、(2)式を満足する図7の光半導体装置における半導体交互積層体102の半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数は偶数でなければならない。
さらに、図7の半導体交互積層体102における半導体層1021、1022、1023、…の屈折率nH及び屈折率nL (<nH)を上述の(3)式を満足するために、たとえば、発光波長λ=620nmにおいて、
nCLAD = 3.214 (z=1.0)
nL = 3.310 (z=0.7)
nH = 3.484 (z=0.3)
とする。さらに、半導体層1021、1023、…の厚さを44.5nm(=λ/(4nH))とし、また、半導体層1022、1024、…の厚さを46.8nm(=λ/(4nL))とする。
nCLAD = 3.214 (z=1.0)
nL = 3.310 (z=0.7)
nH = 3.484 (z=0.3)
とする。さらに、半導体層1021、1023、…の厚さを44.5nm(=λ/(4nH))とし、また、半導体層1022、1024、…の厚さを46.8nm(=λ/(4nL))とする。
図11の(A)は(3)式を満足する場合の図7の光半導体装置の臨界角内光Qの透過光Q2の透過率を示すグラフである。図11の(A)に示すように、半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数が、2層、4層、…、8層となるに従って、透過率は増加するが、ほぼ8層で飽和する。この結果、図11の(B)に示すように、光取り出し効率も、2層、4層、6層となるに従って増加するが、6層で飽和する。
他方、図11の(A)に示すように、半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数が1層、3層、…、9層の場合、透過率は半導体層1021、1022、1023、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。この結果、図11の(B)に示すように、光取り出し効率も1層、3層、…、9層の場合、半導体層1021、1022、1023、…が存在しない0層(従来)の場合よりも小さい。
このように、(3)式を満足する図7の光半導体装置における半導体交互積層体102の半導体層1021、1022、1023、…の交互積層数は偶数でなければならない。つまり、クラッド層、活性層を含む(AlzGa1-z)0.5In0.5P(0≦z≦1)からなる発光半導体層に対し、低屈折率層がAl0.5In0.5P、高屈折率層が(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5Pからなる半導体交互積層体を、低屈折率層を発光半導体層に隣接させて、層数を5層または7層で形成することが好ましい。Al0.5In0.5Pは(AlzGa1-z)0.5In0.5P(0≦z≦1)において屈折率が低く、(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5Pは活性層よりバンドギャップが大きな領域で屈折率が高いため、光半導体装置の特性を損なうことなく、比較的少ない層数で高い光取り出し効率を得ることができる。
次に、図2、図7の光半導体装置及びその製造方法を図12〜図15を参照して説明する。
始めに、図12を参照すると、たとえば15°オフ角の厚さ300μmのn型GaAs成長基板10の(100)面上に、半導体交互積層体101(もしくは102)をMOCVD法によりエピタキシャル成長させる。半導体交互積層体101であれば、たとえば厚さ48.2nmのn型Al0.5In0.5P(nL=3.214)及び厚さ44.5nmのn型(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5P(nH=3.484)(前者を第1層)よりなる3以上の交互奇数層を形成し、また、半導体交互積層体102であれば、たとえば厚さ48.2nmのn型Al0.5In0.5P(nL=3.214)及び厚さ44.5nmのn型(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5P(nH=3.484)(後者を第1層)よりなる交互偶数層を形成する。厚さ3.0μmのn型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層11、厚さ0.5μmの活性層12及び厚さ1.0μmのp型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層13をMOCVD法により順次エピタキシャル成長させる。活性層12は多重量子井戸構造(MQW)、単一量子井戸構造(SQW)あるいは単層でもよい。この場合、n型クラッド層11、活性層12及びp型クラッド層13はGaAs成長基板と格子整合する。多重量子井戸構造としては、(AlzGa1-z)0.5In0.5Pの組成をz=0.10、厚さ20nmの井戸層、z=0.56、厚さ10nmのバリア層とし、15ペアの井戸層、バリア層で構成する。尚、活性層12のAl組成zは発光波長に合せて0≦z≦0.4の範囲で調整され、また、n型クラッド層11、p型クラッド層13のAl組成zは0.4≦z≦1.0の範囲で調整される。次いで、厚さ10μmのGa1-xInxP電流拡散層14(x=0.1)をMOCVD法によりエピタキシャル成長させる。この場合、Ga1-xInxP電流拡散層14の組成比xは発光層の光を吸収しないことを条件に定められる。このように、半導体交互積層体101(102)、n型クラッド層11、活性層12、P型クラッド層13及び電流拡散層14は同一のチャンバ内で連続して成膜することができる。つまり、本発明における半導体交互積層体は半導体層から構成されることにより、クラッド層、活性層を含む発光半導体層の成膜と連続して成膜することができるため、本発明の光半導体装置は、一般的な反射防止膜を有する光半導体装置と比較して容易に製造することができる。
GaAs成長基板10のオフ角は、GaAs成長基板の(100)面がどの程度傾いているかを示す角度であり、AlGaInPを成長する場合、製造容易性や安定性の観点から一般的に0〜15°のオフ角の基板が用いられている。本発明は、上記オフ角に限定されることなく、0〜25°のオフ角のGaAs成長基板10を好適に用いることができる。
次に、図13を参照すると、Ga1-xInxP電流拡散層14上にプラズマCVD法、熱CVD法あるいはスパッタリング法で成膜してフォトリソグラフィ/バッファード弗酸(BHF)によるエッチング法あるいはドライエッチング法により厚さ90nmの酸化シリコン(SiO2)層15を形成する。さらに、Ga1-xInxP電流拡散層14及び酸化シリコン層15上に抵抗加熱蒸着法、電子ビーム(EB)蒸着法あるいはスパッタリング法により厚さ300nmのAuZnよりなる反射電極層16を形成する。この場合、酸化シリコン層15がパターン化されるのはGa1-xInxP電流拡散層14とAuZn反射電極層16とのオーミック接合をとるためである。酸化シリコン層15及び反射電極層16が一体となって反射層として機能する。尚、酸化シリコン層15は他の透明な誘電体材料層たとえばAl2O3の層でもよく、また、反射電極層16は他の高反射性金属で形成してもよい。
次に、図14を参照すると、バリア層17及び接着層31を抵抗加熱蒸着法、電子ビーム(EB)蒸着法、スパッタリング法等によって形成する。
バリア層17はTa、Ti、W等の高融点金属もしくはこれらの窒化物、たとえば厚さ100nmのTaN、TiW、TaNを順次積層する。ここで、バリア層17が機能しないと、後工程の熱影響のために順方向電圧Vfの上昇等の電気特性の劣化及び反射ミラー(15,16)の反射率の低下を招き、この結果、光半導体装置の輝度も低下する。
次いで、約500℃の窒素雰囲気下でアニール処理を行い、これにより、酸化シリコン層15の開口部において、Ga1-xInxP電流拡散層14と反射電極層16との間に良好なオーミック接合が形成される。
他方、図15を参照すると、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法等より、導電性支持基板21の一面に裏面電極層22を形成し、導電性支持基板21の他面に、中間電極層23、密着層24、接着層32及び共晶接合層33を形成する。
導電性支持基板21は導電性かつ熱伝導性のたとえばSi、Al、Cu等よりなる。
裏面電極層22及び中間電極層23は導電性支持基板21のSi、Al、Cu等への厚さ100〜300nmたとえば200nmのオーミック金属層であり、後述の熱圧着工程により導電性支持基板21への密着性が向上する。尚、オーミック金属層はPt、Au、Ni、Ti等であり、Si等との良好なオーミック接合のために窒素雰囲気下での合金化処理を適宜行う。
密着層24は中間電極層23と接着層32との密着信頼性を高めるためのものであり、厚さ100〜300nmたとえば150nmのTiよりなる。
接着層32は後述の接合層3を形成する熱圧着工程における共晶接合層33との漏れ性を良くするためのものであり、厚さ50〜150nmたとえば100nmのNi、NiV、Pt等よりなる。
共晶接合層33は厚さ300〜3000nmのAuSnたとえば厚さ600nmのAu:Sn=80wt%:20wt%(=70at%:30at%)により構成される。この場合、AuSnを主成分として適当な添加物を加えてもよい。
次に、図16を参照すると、半導体積層体1側に形成された接着層31と支持体2側に形成された接着層32及び共晶接合層33とを熱圧着して接合する。これにより、図17に示すように、図2、図7の半導体積層体1と支持体2との間には、NiAu接着層31、32及びAuSn共晶接合層33等により新たにAuSnNiよりなる接合層3が新たに形成されることになる。この場合、熱圧着工程は、窒素雰囲気下の接合圧力約1MPaを接合温度330℃を10分間保持することにより行われる。尚、接合材料、接合時の雰囲気、接合温度及び接合時間は使用する共晶材料が溶融し、その特性に変化(例えば、酸化等による接合強度の劣化)を及ぼすことがなく、半導体積層体1と支持体2とが接合されるのに十分な材料、雰囲気、接合温度及び接合時間であればよく、上記の材料、雰囲気、接合温度及び接合時間に限定するものではない。
次に、図18を参照すると、GaAs成長基板10をアンモニア、過酸化水素よりなるエッチャントを用いたウェットエッチング法により除去する。尚、ウェットエッチング法の代りに、ドライエッチング法、機械研磨法、化学機械研磨(CMP)法、あるいはこれらの組合せを用いてもよい。
次に、図19を参照すると、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム(EB)蒸着法、スパッタリング法等及びリフトオフ法を用いることにより、n型AlGaInPクラッド層11上にAlGaInPとオーミック接合するAuGeNiよりなるn側電極4を形成し、次いで、Auよりなるボンディングパッド5を形成する。AuGeNiの代りに、AuGe、AuSn、AuSnNi等を用いてもよい。次いで、窒素雰囲気下で約400℃のアニールにより良好なオーミック接合の合金化を行う。
次に、図20を参照すると、メサエッチング法により半導体層101(102)、11〜14をチップ毎に分離する。
最後に、図示しないが、半導体層101(102)、11〜14及び支持体2をダイシングしてチップ毎に切断し、必要に応じて樹脂モールドする。
尚、上述の実施の形態においては、光半導体装置の半導体層101(102)、11〜14全体を樹脂モールドしているが、本発明は樹脂モールドしない場合にも同様に適用し得る。
また、本発明の半導体交互積層体にはAlGaInP系材料以外にAlGaAs系の他の半導体材料にも適用し得る。この場合、AlGaAsはGaAs基板及びAlGaInP層と格子整合してエピタキシャル成長できるが、Al組成が小さいと発光波長に対して吸収を有するので、ある程度高いAl組成を必要とする。AlGaAs系同士もしくはAlGaInPとの組合せでもよい。
さらに、本発明において、成長基板上にクラッド層、活性層を含む発光半導体層を成長した後に、連続して同一チャンバ内で半導体交互積層体を成膜して光半導体装置を構成することもできる。
1:半導体積層体
2:支持体
3:接合層
4:n側電極
5:ボンディングパッド
10:GaAs成長基板
11:n型クラッド層
12:活性層
13:p型クラッド層
14:電流拡散層
15:SiO2層
16:反射電極層(p側電極)
17:バリア層
21:導電性支持基板
22:中間電極層
23:裏面電極層
24:密着層
31,32:接着層
33:共晶接合層
101、102:半導体交互積層体
1011、1013、…、1022、1024、…:低屈折率nLの半導体層
1012、1014、…、1021、1023、…:高屈折率nHの半導体層
2:支持体
3:接合層
4:n側電極
5:ボンディングパッド
10:GaAs成長基板
11:n型クラッド層
12:活性層
13:p型クラッド層
14:電流拡散層
15:SiO2層
16:反射電極層(p側電極)
17:バリア層
21:導電性支持基板
22:中間電極層
23:裏面電極層
24:密着層
31,32:接着層
33:共晶接合層
101、102:半導体交互積層体
1011、1013、…、1022、1024、…:低屈折率nLの半導体層
1012、1014、…、1021、1023、…:高屈折率nHの半導体層
Claims (4)
- 光発光部を形成する発光半導体層と、
該発光半導体層の光取り出し面に、屈折率の異なる第1、第2の半導体層を交互に積層形成した半導体交互積層体と
を具備し、
前記各第1、第2の半導体層の厚さが
λ/(4n)
但し、λは発光半導体層の発光波長、
nは発光波長での前記各第1、第2の半導体層の屈折率
であり、
前記第1の半導体層の屈折率を前記第2の半導体層の屈折率より低いとし、前記第1の半導体層が前記発光半導体層の光取り出し面に接触しているとき、
前記第1、第2の半導体層の交互積層数が3以上の奇数である光半導体装置。 - 光発光部を形成する発光半導体層と、
該発光半導体層の光取り出し面に、屈折率の異なる第1、第2の半導体層を交互に積層形成した半導体交互積層体と
を具備し、
前記各第1、第2の半導体層の厚さが
λ/(4n)
但し、λは発光半導体層の発光波長、
nは発光波長での前記各第1、第2の半導体層の屈折率
であり、
前記第1の半導体層の屈折率を前記第2の半導体層の屈折率より高いとし、前記第1の半導体層が前記発光半導体層の光取り出し面に接触しているとき、
前記第1、第2の半導体層の交互積層数が偶数である光半導体装置。 - 前記各第1、第2の半導体層のバンドギャップが前記発光半導体層の活性層のバンドギャップより大きい請求項1または2に記載の光半導体装置。
- 請求項1または2に記載の光半導体装置の製造方法であって、
光発光部を形成する発光半導体層を形成する工程と、
該発光半導体層の光取り出し面に、屈折率の異なる第1、第2の半導体層を交互に積層形成した半導体交互積層体を形成する工程とを具備し、
前記発光半導体層を形成する工程と前記半導体交互積層体を形成する工程は、同一チャンバ内で連続して成膜することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
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