JP2010210613A - 中性子増倍体系の未臨界度判定装置、及び未臨界度判定プログラム - Google Patents

中性子増倍体系の未臨界度判定装置、及び未臨界度判定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】中性子増倍体系を臨界にしたり、特殊な中性子検出器を用いるミハルゾ法に基づいた中性子雑音解析法を用いたりすることなく、中性子増倍体系の未臨界度を高い精度で得る。
【解決手段】中性子雑音データを解析することにより中性子増倍体系の未臨界度を判定する未臨界度判定装置において、異なる未臨界度の中性子増倍体系から取得された複数の中性子雑音データを対象に共通の統計解析を行い、各未臨界度ごとに中性子雑音データの統計解析結果を生成する統計解析手段(ステップS103)と、各未臨界度の統計解析結果とこの統計解析結果を実効増倍率その他の未知数を用いて表現する理論式とのフィッティングを行い、各未臨界度ごとに統計解析結果の推定誤差を算出し、この推定誤差の和が最小となるときの実効増倍率を用いて各未臨界度を算出するパラメータ推定手段(ステップS104〜ステップS116)とを備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、中性子増倍体系の未臨界度判定技術に係り、特に、中性子増倍体系の中性子雑音を解析することを通じてその未臨界度を判定する未臨界度判定装置及び未臨界度判定プログラムに関する。
中性子増倍体系の未臨界度は、体系の臨界安全を確保するための有益な情報を有している。原子炉を対象とした未臨界度は、臨界到達の確認や炉停止余裕の確認、燃料交換時の安全解析や新型原子炉・新型燃料を対象とした炉物理解析などの各場面で用いることができ、その判定方法として、負のペリオド法、制御棒落下法、補償法、中性子源増倍法、パルス中性子源法、逆動特性法ならびに中性子雑音解析法が提案されている。
負のペリオド法および制御棒落下法は、その適用に当たって原子炉を一度臨界にしておく必要があり、補償法は予め制御棒を校正しておく必要がある。すなわち、これらの未臨界度判定方法は、体系の臨界操作や制御棒が必要となることから、その適用場面は原子炉の未臨界度判定に限られてしまい、核燃料の輸送容器や核燃料廃棄物の貯蔵施設などの原子炉以外の中性子増倍体系の未臨界度判定には適用できない。
また、パルス中性子源法は加速器を用いて体系に中性子を撃ち込む必要があり、設備の複雑化ないしコスト高を招いて商用ベースの実用化に不利である。
これに対し、中性子雑音解析法は、体系の臨界操作も制御棒も必要なく且つ複雑な設備も伴わないことから、原子炉以外の中性子増倍系に適用でき且つ実用化にも有利である。
従来、中性子雑音解析法を用いた未臨界度判定技術として、以下に列挙するものが提案されている。
(1)中性子増倍体系で観測される中性子パルス相互間の時間間隔tの分布がポアソン分布からずれてe−αtに比例する成分を持つことを利用し即発中性子減衰定数αを得て、αとドル単位の未臨界度の関係“α=(β/Λ)・(1−$)……(A)”にβ(全遅発中性子割合)対Λ(即発中性子生成時間)の比を与えて未臨界度$を得るロッシ・アルファ法を用いた未臨界度判定技術(特許文献1、非特許文献1参照)。
(2)所定の測定時間幅における中性子パルスの計数値Mの分散対平均比がポアソン分布の場合に1からずれることを利用して即発中性子減衰定数αを得て、式(A)にβ/Λの値を与えて未臨界度$を得るファインマン・アルファ法を用いた未臨界度判定技術(特許文献1、非特許文献2参照)。
(3)中性子パルス計数率の周波数特性が原子炉伝達関数で定まり且つその折点角周波数が即発中性子減衰定数αに一致することを利用して即発中性子減衰定数αを得て、式(A)にβ/Λの値を与えて未臨界度$を得る折点周波数法を用いた未臨界度判定技術(非特許文献3参照)。
特開2005−106611号公報
「原子炉物理実験」、日本原子力学会 臨界実験専門委員会(コロナ社) 「京都大学臨界集合体実験装置KUCA実験テキスト−4.中性子相関実験 Feynman-α法」<URL:http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/CAD/Insei/2003Text/Chap4_7-2_r0.pdf.> 日本原子力研究所レポート JAERI−1187, p.75〜78, 1970. 羽様平 他「未臨界度判定技術の開発」、サイクル機構技報 No.14, 2002.
未臨界度判定技術として中性子雑音解析法を用いたものは、いずれも上式(A)のβ/Λの値が必要となる。このβ/Λの値は、実測によって得ることができるが、その場合は原子炉を一度臨界にする必要がある。このため、原子炉の臨界操作が不要であるという中性子雑音解析法の特徴を活かすには、β/Λの値は計算により得ることになる。
ここで、即発中性子生成時間Λと即発中性子寿命lとはl=k・Λ(kは実効増倍率)の関係にあり、体系が臨界(k=1)であればβ/Λ=β/lが成立する。特許文献1で説明される未臨界度測定技術では、この関係が満たされる臨界の計算体系を作成し、全遅発中性子割合βと即発中性子寿命lを汎用核計算コードシステム(SRAC95;旧日本原子力研究所)を用いて算出している。
しかしながら、全遅発中性子割合βが3%程度の誤差で計算されるのに対し、即発中性子寿命の計算誤差は全遅発中性子割合の計算誤差よりも大きくなる。すなわち、中性子雑音解析法を用いて十分な精度で未臨界度を判定するためには、やはり臨界の中性子増倍体系でβ/Λの実測が必要となる。
尚、中性子増倍体系が未臨界のままでもその未臨界度を高い精度で判定できるミハルゾ法を用いた未臨界度判定技術も提案されているが(非特許文献4参照)、ミハルゾ法は中性子源としてCf−252を内蔵した特殊な中性子検出器を中性子増倍体系の周辺に設置する必要があり実用炉への適用は容易ではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、中性子増倍体系を臨界にしたり、特殊な中性子検出器を用いるミハルゾ法に基づいた中性子雑音解析法を用いたりすることなく、中性子増倍体系の未臨界度を高い精度で得ることができる未臨界度判定装置及び未臨界度判定プログラムを提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係る未臨界度判定装置では、中性子増倍体系の未臨界度に応じて固有の傾向を示す発生中性子数の時間的な揺らぎを中性子雑音データとして取得し、この中性子雑音データを解析して中性子増倍体系の未臨界度を判定する未臨界度判定装置において、異なる未臨界度の中性子増倍体系から取得された複数の中性子雑音データを対象に共通の統計解析を行い、各未臨界度ごとに中性子雑音データの統計解析結果を生成する統計解析手段と、前記各未臨界度の統計解析結果とこの統計解析結果と実効増倍率を用いて表現する理論式とのフィッティングを行い、各未臨界度ごとに統計解析結果の推定誤差を算出し、この推定誤差の和が最小となるときの実効増倍率を用いて各未臨界度を算出するパラメータ推定手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る未臨界度判定プログラムでは、中性子増倍体系の未臨界度に応じて固有の傾向を示す発生中性子数の時間的な揺らぎを中性子雑音データとして取得し、この中性子雑音データを解析して中性子増倍体系の未臨界度を判定する処理をコンピュータと協働して実行する未臨界度判定プログラムにおいて、異なる未臨界度の中性子増倍体系から取得された複数の中性子雑音データを対象に共通の統計解析を行い、各未臨界度ごとに中性子雑音データの統計解析結果を生成する処理Aと、前記各未臨界度の統計解析結果とこの統計解析結果を実効増倍率その他の未知数を用いて表現する理論式とのフィッティングを行い、各未臨界度ごとに規格化パワースペクトル密度の推定誤差を算出し、この推定誤差の和が最小となるときの実効増倍率を用いて各未臨界度を算出する処理Bとをコンピュータと協働して実行することを特徴とする。
本発明によれば、中性子増倍体系を臨界にしたり、特殊な中性子検出器を用いるミハルゾ法に基づいた中性子雑音解析法を用いたりすることなく、中性子増倍体系の未臨界度を高い精度で得ることができる。
本発明に係る未臨界度測定装置の第1実施形態を示す機能ブロック図。 図1の未臨界度判定装置の未臨界度判定部にて実行されるパラメータ推定処理の流れを示すフローチャート。 図1の中性子雑音測定手段により測定された中性子計数値の変化(中性子雑音)を示す図。 図1の未臨界度判定装置を用いて行った未臨界度判定の実証試験結果を示す図。 本発明に係る未臨界度測定装置の第2実施形態を示す機能ブロック図。 図5の未臨界度判定装置の未臨界度判定部にて実行されるパラメータ推定処理の流れを示すフローチャート。 図5の未臨界度判定装置を用いて行った未臨界度判定の実証試験結果を示す図。 本発明に係る未臨界度測定装置の第3実施形態を示す機能ブロック図。 図8の未臨界度判定部にて実行されるパラメータ推定処理の流れ(未臨界度判定プログラム)を示すフローチャート。 図8の未臨界度判定部にて実行される全遅発中性子割合推定処理の説明図。 本発明に係る未臨界度測定装置の第4実施形態を示す機能ブロック図。 図11の未臨界度判定部にて実行されるパラメータ推定処理の流れ(未臨界度判定プログラム)を示すフローチャート。 本発明に係る未臨界度判定技術と中性子源増倍法の第1の組み合わせの説明図。 本発明に係る未臨界度判定技術と中性子源増倍法の第2の組み合わせの説明図。
本発明に係る未臨界度判定装置及び未臨界度判定プログラムの実施形態について、原子炉の未臨界度判定に適用した例に基づき、添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明に係る未臨界度判定装置の第1実施形態を示す機能ブロック図である。
本実施形態の未臨界度判定装置Kは、中性子増倍体系の未臨界度に応じて固有の傾向を示す発生中性子数の時間的な揺らぎである中性子雑音データを取得して解析し、その中性子増倍体系の未臨界度を判定する装置である。この未臨界度判定装置Kは、図1に示すように、中性子雑音測定部1、未臨界度判定部2および表示部3を備える。
[中性子雑音測定部]
中性子雑音測定部1は、原子炉の炉心或いは炉心近傍に設けられて炉心で発生する中性子を検出し、電気パルス信号を出力する中性子検出器11と、この電気パルス信号を所要レベルに増幅するアンプ12と、増幅された電気パルス信号のアナログ波形を整形する計測回路13と、波形整形された電気パルス信号に基づいて単位時間当たりの中性子計数率(cps)に応じたアナログ電気信号(中性子計数率信号)を出力するレートメータ14とを有する。
[未臨界度判定部]
未臨界度判定部2は、中性子雑音取得手段21、統計解析手段22およびパラメータ推定手段23を有し、例えば、パーソナルコンピュータ或いはワークステーションを用いて構成される。
中性子雑音取得手段21は、中性子雑音測定部1のレートメータ14から異なる複数の未臨界度に関わる中性子計数率信号を予め定められた時間にわたって受け取り、これを時系列のディジタルデータ(中性子雑音データ)として保存する。
統計解析手段22は、中性子雑音取得手段21から異なる複数の未臨界度に関わる中性子雑音データを受け取り、受け取った各中性子雑音データを対象に周波数解析を行って規格化パワースペクトル密度を生成し保存する。この規格化パワースペクトル密度は、中性子雑音データのパワースペクトル密度を中性子雑音データの平均値すなわち平均中性子計数率で規格化したものであり、次式(1)で表される(非特許文献3参照)。
Figure 2010210613
Figure 2010210613
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パラメータ推定手段23は、規格化パワースペクトル密度の理論式(式(1)〜式(3))を用い、この理論式と統計解析手段22により生成された実測の規格化パワースペクトル密度とのフィッティングを行う。そして、このフィッティングにより種々の未臨界度を判定する。
図2は未臨界度判定装置Kの未臨界度判定部2にて実行されるパラメータ推定処理の流れ(未臨界度判定プログラム)を示すフローチャートである。
ステップS101は、中性子雑音取得手段21が中性子雑音測定部1のレートメータ14から異なる複数の未臨界度で得られた中性子計数率信号を受信するステップである。
ステップS102は、中性子雑音取得手段21がステップS101で受信した各中性子計数率信号に基づいて中性子雑音データを生成・保存するステップである。
ステップS103は、統計解析手段22が各中性子雑音データに基づいて規格化パワースペクトル密度を生成・保存するステップである。このステップS103では、例えば高速フーリエ変換を用いて規格化パワースペクトル密度が生成される。
ステップS104は、パラメータ推定手段23が規格化パワースペクトル密度の理論式(式(1)〜(3))に中性子検出効率εの初期値および即発中性子寿命lの初期値を代入付与するステップである。尚、全遅発中性子割合βとDiven数は既知のものとして取り扱う。
ステップS105は、パラメータ推定手段23がステップS103で保存された規格化パワースペクトル密度の実測値と規格化パワースペクトル密度の理論式との最小二乗法に基づくフィッティングを行うステップである。
ステップS106は、パラメータ推定手段23がステップS105のフィッティングを通じて各未臨界度の実効増倍率kを推定するステップである。
ステップS107は、パラメータ推定手段23がステップS105で推定した全ての未臨界度における規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和Eを算出するステップである。
ステップS108は、即発中性子寿命lを初期値から数%だけ変化させた値を規格化パワースペクトル密度の理論式に代入付与するステップである。
ステップS109はステップS105からステップS107までと同じ処理を行い、推定した全ての未臨界度における規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和Eを算出するステップである。
ステップS110は、中性子検出効率εを初期値から数%だけ変化させた値を規格化パワースペクトル密度の理論式に代入付与するステップである。
ステップS111はステップS105からステップS107までと同じ処理を行い、推定した全ての未臨界度における規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和Eを算出するステップである。
ステップS112は、パラメータ推定手段23が規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和Eは収束判定条件を満たしたか否か(Yes/No)を判定するステップである。この収束計算は、予め設定された収束判定条件を用いて行われる。このステップS112で<No>と判定した場合は、ステップS113に移行する。
ステップS113は規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和Eと前記ステップS109で算出したEとの差が小さくなる方向に中性子検出効率εを修正して規格化パワースペクトル密度の理論式に代入付与し、前記ステップS111で算出した推定誤差の和Eを新たなEとして代入付与するステップである。すなわち、ステップS112で<Yes>と判定するまで中性子検出効率εを修正して行う収束計算を繰り返す。
ステップS114は、ステップS112で<Yes>と判定した場合に実行し、パラメータ推定手段23が規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和Eは収束判定条件を満たしたか否か(Yes/No)を判定するステップである。この収束計算は、予め設定された収束判定条件を用いて行われる。このステップS114で<No>と判定した場合は、ステップS115に移行する。
ステップS115は規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和Eと前記ステップS107で算出したEとの差が小さくなる方向に中性子検出効率εを修正して規格化パワースペクトル密度の理論式に代入付与し、前記ステップS109で算出した推定誤差の和Eを新たなEとして代入付与するステップである。すなわち、ステップS114で<Yes>と判定するまで即発中性子寿命lを修正して行う収束計算を繰り返す。
ステップS116は、ステップS114で<Yes>と判定した場合に実行し、パラメータ推定手段23が中性子検出効率εおよび即発中性子寿命lを修正して行った収束計算により得られた実効増倍率kを用いて、各未臨界度(ドル単位)を算出するステップである。このドル単位の未臨界度$は、次式(4)に従って算出される。
Figure 2010210613
[表示部]
表示部3は、パラメータ推定手段23により判定された未臨界度と共に周波数解析により生成された規格化パワースペクトル密度や未知数パラメータの推定値その他の関連する情報を表示する。この表示部3は、例えば、パーソナルコンピュータ或いはワークステーションのモニタを用いて構成される。
次に、未臨界度判定装置Kの効果について、実証試験の結果を用いて説明する。
[実証試験]
実証試験は未臨界度判定装置Kを用いた未臨界度の判定精度を確認するために行ったものである。
図3は中性子雑音測定部1により測定された中性子計数値の変化(中性子雑音)の一例を示す図である。この中性子計数値の変化は、2wt%濃縮度の二酸化ウラン(UO)燃料を装荷した未臨界度約1ドルの熱中性子炉を対象とし、中性子検出器11としてHe−3検出器を用いて測定した1ミリ秒当りの中性子計数値の変化である。
図4は実証試験の結果を示す図であり、中性子雑音データに基づいて生成した2つの規格化パワースペクトル密度を用いて行ったパラメータ推定処理(図2参照)の結果である。
図4の符号201は未臨界度1ドルにおける規格化パワースペクトル密度(測定値)であり、符号202はパラメータ推定処理を通じて得られた規格化パワースペクトル密度の理論計算値である。一方、図4の符号203は未臨界度2ドルにおける規格化パワースペクトル密度(測定値)であり、符号204はパラメータ推定処理を通じて得られた規格化パワースペクトル密度の理論計算値である。何れのパラメータ推定処理にあっても、遅発中性子生成割合βに0.0078を付与し、Diven数に0.7953を付与している。
この実証試験では、測定値と理論計算値は良く一致しており、中性子検出効率εは0.0038、即発中性子寿命lは47.9(μs)と推定された。
また、未臨界度1ドルおよび未臨界度2ドルにおける即発中性子減衰定数αは、それぞれ328(1/s)および559(1/s)と推定された。
さらに、未臨界度1ドルおよび未臨界度2ドルにおける実効増倍率kは、式(3)および式(4)を用いて算出し、それぞれ0.992および0.981となった。そして、未臨界度1ドルおよび未臨界度2ドルにおける未臨界度は、それぞれ1.0ドルおよび2.5ドルと判定された。
このように、未臨界度判定装置Kにあっては、
(1)異なる未臨界度の原子炉から取得された複数の中性子雑音データを対象に共通の統計解析を行い、各未臨界度ごとに中性子雑音データの統計解析結果を生成する統計解析手段22と、各未臨界度の統計解析結果とこの統計解析結果を実効増倍率その他の未知数を用いて表現する理論式とのフィッティングを行い、各未臨界度ごとに理論式に含まれる未知数の推定誤差を算出し、この推定誤差の和が最小となるときの実効増倍率を用いて各未臨界度を算出するパラメータ推定手段23とを備える。このため、原子炉を一度も臨界にしたり、特殊な中性子検出器を用いるミハルゾ法に基づいた中性子雑音解析法を用いたりすることなく、原子炉の未臨界度を高い精度で得ることができる。
(2)統計解析手段22は、中性子雑音データの統計解析結果として、規格化パワースペクトル密度を生成し、パラメータ推定手段23は、規格化パワースペクトル密度の理論式を用い、この理論式と前記統計解析手段22により生成された規格化パワースペクトル密度の最小二乗法に基づくフィッティングにより各未臨界度の実効増倍率を推定するステップS106と、各実効増倍率の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる未知数を修正して前記フィッティングを繰り返すステップ(ステップS10112〜ステップS115)と、その推定誤差の和が収束判定条件を満たしたときの実効増倍率を用いて各未臨界度を求めるステップS116とを実行する。このため、規格化パワースペクトル密度を用いて(1)の効果を得ることができる。
(3)パラメータ推定手段23は、規格化パワースペクトル密度の理論式として、実効増倍率、中性子検出効率および即発中性子寿命を未知数とする理論式を用い、各規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる中性子検出効率または即発中性子寿命の何れか一方の未知数を修正して上記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたことを条件に、その理論式に含まれる他方の未知数を修正して上記フィッティングを繰り返す。このため、(1)の効果を容易且つ確実に得ることができる。
(4)中性子雑音データとしてレートメータ14を用いて得られる単位時間当たりの中性子計数率を示すものを用いるため、(1)ないし(3)の効果を得るにあたって新規な中性子計数装置を構成する必要が無い。
(第2実施形態)
図5は本発明に係る未臨界度判定装置の第2実施形態を示す機能ブロック図である。本実施形態は、第1実施形態の未臨界度判定装置Kにおけるパラメータ推定処理を変更した例である。尚、第1実施形態と同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は符号末尾に「A」を付して説明する。
本実施形態の未臨界度判定装置K/Aは、図5に示すように、中性子雑音測定部1A、未臨界度判定部2Aおよび表示部3Aを備える。
[中性子雑音測定部]
中性子雑音測定部1Aは、予め設定された測定時間幅すなわちゲート幅における中性子計数を行うマルチチャンネルスケーラ14Aを有する。
この中性子雑音測定部1Aでは、中性子検出器11から出力される検出中性子に基づいた電気パルス信号がアンプ12により増幅され計測回路13によりそのアナログ波形が整形された後、マルチチャンネルスケーラ14Aにてゲート幅当たりの中性子が計数される。このとき、マルチチャンネルスケーラ14Aは、ゲート幅当たりの中性子計数を予め設定された測定回数nに亘って行い、各測定回ごとにゲート幅当たりの中性子計数値信号を出力する。
[未臨界度判定部]
未臨界度判定部2Aは、中性子雑音取得手段21A、統計解析手段22Aおよびパラメータ推定手段23Aを有する。
中性子雑音取得手段21Aは、中性子雑音測定部1Aのマルチチャンネルスケーラ14Aにより出力される測定回数分のゲート幅当たりの中性子計数値信号を受け取り、これを時系列のディジタルデータ(中性子雑音データ)として保存する。
統計解析手段22Aは、中性子雑音取得手段21Aから異なる未臨界度の中性子雑音データを受け取り、受け取った各中性子雑音データを対象に統計解析を行って分散対平均比を算出し保存する。
この統計解析手段22Aは、分散対平均比の算出に際し、先ず、ゲート幅tを対象として測定回数に応じたn個の中性子計数値の分散対平均比を算出し、次いで、ゲート幅2t(2回分の測定時間)を対象としてn/2個の中性子計数値の分散対平均比を算出し、このような処理を所定のゲート幅に亘って順次計算していく。このゲート幅tにおける分散対平均比は、次式(5)で表される。
Figure 2010210613
Figure 2010210613
Figure 2010210613
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パラメータ推定手段23Aは、分散対平均比の理論式(式(5))を用い、この理論式と統計解析手段22Aにより生成された実測の分散対平均比とのフィッティングを行う。そして、このフィッティングにより種々の未臨界度を判定する。
図6は未臨界度判定装置K/Aの未臨界度判定部2Aにて実行されるパラメータ推定処理の流れ(未臨界度判定プログラム)を示すフローチャートである。
ステップS201は、中性子雑音取得手段21Aが中性子雑音測定部1Aのマルチチャンネルスケーラ14Aから異なる複数の未臨界度で得られたゲート幅t当たりの中性子計数値信号を受信するステップである。尚、異なる未臨界度を対象とした中性子計数値の測定は、マルチチャンネルスケーラ14Aが中性子雑音取得手段21Aの制御を受けて異なる時間で中性子を計数することにより行われる。
ステップS202は、中性子雑音取得手段21AがステップS201で受信した各中性子計数値信号に基づいて中性子雑音データを生成して保存するステップである。
ステップS203は、統計解析手段22AがステップS202で保存した各中性子雑音データに基づいて分散対平均比を生成して保存するステップである。
ステップS204は、パラメータ推定手段23Aが分散対平均比の理論式(式(5)、式(8))に中性子検出効率εの初期値および即発中性子寿命lの初期値を代入・付与するステップである。尚、全遅発中性子割合βとDiven数は既知のもとして取り扱う。
ステップS205は、パラメータ推定手段23AがステップS203で保存した分散対平均比の実測値と分散対平均比の理論式とを最小二乗法に基づくフィッティングを行うステップである。
ステップS206は、パラメータ推定手段23AがステップS205のフィッティングを通じて各未臨界度のkを推定するステップである。
ステップS207は、パラメータ推定手段23がステップS205で推定した全ての未臨界度におけるY値の推定誤差の和Eを算出するステップである。
ステップS208は、即発中性子寿命lを初期値から数%だけ変化させた値を分散対平均比の理論式に代入付与するステップである。
ステップS209はステップS205からステップS207までと同じ処理を行い、推定した全ての未臨界度におけるY値の推定誤差の和Eを算出するステップである。
ステップS210は、中性子検出効率εを初期値から数%だけ変化させた値を分散対平均比の理論式に代入付与するステップである。
ステップS211はステップS205からステップS207までと同じ処理を行い、推定した全ての未臨界度におけるY値の推定誤差の和Eを算出するステップである。
ステップS212は、パラメータ推定手段23がY値の推定誤差の和Eは収束判定条件を満たしたか否か(Yes/No)を判定するステップである。この収束計算は、予め設定された収束判定条件を用いて行われる。このステップS212で<No>と判定した場合は、ステップS213に移行する。
ステップS213はY値の推定誤差の和Eと前記ステップS209で算出したEとの差が小さくなる方向に中性子検出効率εを修正して分散対平均比の理論式に代入付与し、前記ステップS211で算出した推定誤差の和Eを新たなEとして代入付与するステップである。すなわち、ステップS212で<Yes>と判定するまで中性子検出効率εを修正して行う収束計算を繰り返す。
ステップS214は、ステップS212で<Yes>と判定した場合に実行し、パラメータ推定手段23がY値の推定誤差の和Eは収束判定条件を満たしたか否か(Yes/No)を判定するステップである。この収束計算は、予め設定された収束判定条件を用いて行われる。このステップS214で<No>と判定した場合は、ステップS215に移行する。
ステップS215はY値の推定誤差の和Eと前記ステップS207で算出したEとの差が小さくなる方向に中性子検出効率εを修正して分散対平均比の理論式に代入付与し、前記ステップS209で算出した推定誤差の和Eを新たなEとして代入付与するステップである。すなわち、ステップS214で<Yes>と判定するまで即発中性子寿命lを修正して行う収束計算を繰り返す。
ステップS216は、ステップS214で<Yes>と判定した場合に実行し、パラメータ推定手段23が中性子検出効率εおよび即発中性子寿命lを修正して行った収束計算により得られた実効増倍率kを用いて、各未臨界度(ドル単位)を算出するステップである。このドル単位の未臨界度$は、式(4)に従って算出される。
[表示部]
表示部3Aは、パラメータ推定手段23Aにより判定された未臨界度と共に統計解析により生成された分散対平均比や未知数パラメータの推定値その他の関連する情報を表示する。
次に、未臨界度判定装置K/Aの効果について、実証試験の結果を用いて説明する。
[実証試験]
実証試験は未臨界度判定装置K/Aを用いた未臨界度の判定精度を確認するために行ったものである。
図7は実証試験の結果を示す図である。この図7は、第1実施形態と同様に未臨界度として1ドルおよび2ドルの条件にて取得した中性子雑音データに基づくパラメータ推定処理(図6参照)の結果である。
図7の符号201A(点データ)は未臨界度1ドルにおける分散対平均比のY値(測定値)であり、符号202A(実線データ)はパラメータ推定処理に基づくそのY値の理論計算値である。一方、図7の符号203A(点データ)は未臨界度2ドルにおける分散対平均比(測定値)であり、符号204A(実線データ)はパラメータ推定処理に基づくそのY値の理論計算値である。何れのパラメータ推定処理にあっても、遅発中性子生成割合βに0.0078を付与し、Diven数に0.7953を付与している。
この実証試験では、Y値の測定値と理論計算値は良く一致しており、中性子検出効率εは0.0044、即発中性子寿命lは52.9(μs)と推定された。
また、未臨界度1ドルおよび未臨界度2ドルにおける即発中性子減衰定数αは、それぞれ294(1/s)および524(1/s)と推定された。
さらに、未臨界度1ドルおよび未臨界度2ドルにおける実効増倍率は、式(3)および式(4)を用いて算出し、それぞれ0.992および0.980となった。そして、未臨界度1ドルおよび未臨界度2ドルにおける未臨界度は、それぞれ1.0ドルおよび2.6ドルと判定された。
このように、未臨界度判定装置K/Aにあっては、
(5)統計解析手段22Aは、中性子雑音データの統計解析結果として、分散対平均比を生成し、パラメータ推定手段23Aは、分散対平均比の理論式を用い、この理論式と統計解析手段22Aにより生成された分散対平均比の最小二乗法に基づくフィッティングにより各未臨界度の実効増倍率を推定するステップS206と、各未臨界度における分散対平均比の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる未知数を修正して上記フィッティングを繰り返すステップS212〜ステップS215と、その推定誤差の和が収束判定条件を満たしたときの実効増倍率を用いて未臨界度を判定するステップS212とを実行する。このため、原子炉を臨界にしたり、特殊な中性子検出器を用いるミハルゾ法に基づいた中性子雑音解析法を用いたりすることなく、原子炉の未臨界度を高い精度で容易に得ることができる。
(6)パラメータ推定手段23Aは、分散対平均比の理論式として、実効増倍率、中性子検出効率および即発中性子寿命を未知数とする理論式を用い、各分散対平均比の偏差の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる中性子検出効率または即発中性子寿命の何れか一方の未知数を修正して上記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたことを条件に、その理論式に含まれる他方の未知数を修正して上記フィッティングを繰り返す。このため、(5)の効果を容易且つ確実に得ることができる。
(第3実施形態)
図8は本発明に係る未臨界度判定装置の第3実施形態を示す機能ブロック図である。本実施形態は、第1実施形態の未臨界度判定部2の構成を変更した例である。尚、第1実施形態と同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は符号末尾に「B」を付して説明する。
未臨界度判定装置K/Bの未臨界度判定部2Bは、パラメータ推定手段23B及び逆計数率生成手段24Bを備える。
パラメータ推定手段23Bは、規格化パワースペクトル密度の理論式(式(1)〜式(3))を用い、この理論式と統計解析手段22により生成された実測の規格化パワースペクトル密度とのフィッティングを行うことにより、種々の未臨界度を判定する。このとき、検出効率ε及び即発中性子寿命lのほか、全遅発中性子割合βについても推定の対象とする。
逆計数率生成手段24Bは、中性子雑音測定部1の計測回路13から出力され中性子検出ごとに出力される電気パルス信号を受け取り、受け取った電気パルス信号に基づいて単位時間当たりの中性子逆計数率1/C(1/cps)をディジタルデータにて生成し、内部メモリに読み出し可能に保存する。
図9は未臨界度判定装置K/Bの未臨界度判定部2Bにて実行されるパラメータ推定処理の流れ(未臨界度判定プログラム)を示すフローチャートである。尚、図9のパラメータ推定処理におけるステップS101〜ステップS116は、図2のパラメータ推定処理におけるステップS101〜ステップS116と同様であるので説明を省略する。
ステップS301−1は、各未臨界度の規格化パワースペクトル密度から折点周波数法により即発中性子減衰定数αを求めるステップである。
ステップS301−2は、各未臨界度に対する即発中性子減衰定数αと中性子逆計数(1/C)をプロットし、線形近似により1/C=0となる点まで外挿し、臨界時のαの値αを求める。
図10は未臨界度判定部2Bにて実行される全遅発中性子割合推定処理の説明図である。パラメータ推定手段23Bは、先ず、前段パラメータ推定処理(テップS101〜ステップS116)で対象とした種々の未臨界度にて生成された中性子逆計数率(1/C)を逆計数率生成手段24Bから読み出す。
ステップS301は、パラメータ推定手段23Bが規格化パワースペクトル密度の理論式(式(1)〜(3))に中性子検出効率ε、即発中性子寿命l、及び全遅発中性子割合β(=l・α)の初期値(計算又は推測による一定値)を代入付与するステップである。尚、Diven数は既知のものとして取り扱う。
次いで、パラメータ推定手段23Bは、図10に示すように、前段パラメータ推定処理で算出した即発中性子減衰定数α(本計算では、未臨界度1ドルについては328(1/s),未臨界度2ドルについては559(1/S))と、逆計数率生成手段24Bに保存され、各即発中性子減衰定数αを算出した時点の中性子逆計数率(1/C)との対応を外挿し、臨界(中性子逆計数率がゼロ)のときの即発中性子減衰定数αを推定する。本計算では、α=182(μs)であった。
そして、パラメータ推定手段23Bは、求めた即発中性子減衰定数α(=182(μs))、このときの実効増倍率k(=1)、前段パラメータ推定処理(ステップS101〜ステップS116)の各処理で推定された即発中性子寿命l(=47.9(μs))の各値を上記の式(3)に代入し、これにより全遅発中性子割合βを推定する。
本計算では、実効増倍率が収束したとき、最終的な全遅発中性子割合β=0.008、未臨界度1ドルのケースについて実効増倍率k=0.993、未臨界度2ドルのケースについて実効増倍率k=0.982であった。又、ドル単位の未臨界度$は、上記の式(4)に従って算出され、未臨界度1ドルのケースについて未臨界度$=0.8、未臨界度$2ドルのケースについて未臨界度=2.1であった。
尚、表示部3には、未臨界度判定部2Bで生成された規格化パワースペクトル密度実効増倍率kや未臨界度$、その他の関連する情報が表示される。
未臨界度判定装置K/Bにあっては、
(7)パラメータ推定手段23Bは、規格化パワースペクトル密度の理論式として、実効増倍率k、中性子検出効率ε、即発中性子寿命l、及び全遅発中性子割合β(=l・α)を未知数とする理論式を用い(最初のステップS301)、各規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる中性子検出効率
Figure 2010210613


または即発中性子寿命lの何れか一方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたことを条件に、その理論式に含まれる他方の未知数を修正してフィッティングを繰り返す(ステップS101〜ステップS116)。そして、未臨界度判定部2Bは、規格化パワースペクトル密度の折点周波数を用いて即発中性子減衰定数αを導出し、導出した即発中性子減衰定数αと、この即発中性子減衰定数αに対応する実効増倍率kの状態で中性子増倍体系から得られた中性子逆計数率(1/C)との対応を外挿し、中性子逆計数率(1/C)がゼロ(実効増倍率
Figure 2010210613


が1)となるときの即発中性子減衰定数αを推定して、推定した即発中性子減衰定数α、即発中性子減衰定数αに対応する実効増倍率kを「α=(1−(1−β)k)/l」の関係式に代入することにより全遅発中性子割合βをβ=l・αとして推定する(ステップS303)。こうして推定した全遅発中性子割合βをステップS301で用いる全遅発中性子割合とする。
よって、本実施形態の未臨界度判定装置K/Bによれば、計算又は推測により設定した全遅発中性子割合βの初期値が実測のみで決まり、計算誤差を含まないので(1)の効果が高められる。
(第4実施形態)
図11は本発明に係る未臨界度判定装置の第4実施形態を示す機能ブロック図である。本実施形態は、第2実施形態の未臨界度判定部2Aの構成を変更した例である。尚、第2実施形態と同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、第2実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は符号末尾に「C」を付して説明する。
未臨界度判定装置K/Cの未臨界度判定部2Cは、パラメータ推定手段23C及び逆計数率生成手段24Cを備える。
パラメータ推定手段23Cは、分散対平均比の理論式(式(5))を用い、この理論式と統計解析手段22Aにより生成された実測の分散対平均比とのフィッティングを行うことにより、種々の未臨界度を判定する。このとき、検出効率ε及び即発中性子寿命lのほか、全遅発中性子割合βについても推定の対象とする。
逆計数率生成手段24Cは、中性子雑音測定部1の計測回路13から出力され中性子検出ごとに出力される電気パルス信号を受け取り、受け取った電気パルス信号に基づいて単位時間当たりの中性子逆計数率(1/C)をディジタルデータにて生成し、内部メモリに読み出し可能に保存する。
図12は未臨界度判定装置K/Bの未臨界度判定部2Cにて実行されるパラメータ推定処理の流れ(未臨界度判定プログラム)を示すフローチャートである。尚、図12のパラメータ推定処理におけるステップS201〜ステップS216は、図6のパラメータ推定処理におけるステップS201〜ステップS216と同様であるので説明を省略する。
ステップS401は、パラメータ推定手段23Cが規格化パワースペクトル密度の理論式(式(5))に中性子検出効率ε、即発中性子寿命l、及び全遅発中性子割合β=l・αの初期値を代入付与するステップである。尚、Diven数は既知のものとして取り扱う。
パラメータ推定手段23Cは、先ず、前段パラメータ推定処理(テップS201〜ステップS216)で対象とした種々の未臨界度にて生成された中性子逆計数率(1/C)を逆計数率生成手段24Cから読み出す。
次いで、パラメータ推定手段23Cは、図10に示したように、前段パラメータ推定処理で算出した即発中性子減衰定数α(本計算では、未臨界度1ドルについては294(1/s),未臨界度2ドルについては524(1/S))と、逆計数率生成手段24Bに保存され、各即発中性子減衰定数αを算出した時点の中性子逆計数率(1/C)との対応を外挿し、臨界(中性子逆計数率がゼロ)のときの即発中性子減衰定数αを推定する。本計算では、α=134(μs)であった。
そして、パラメータ推定手段23Cは、求めた即発中性子減衰定数α(=134(μs))、このときの実効増倍率k(=1)、前段パラメータ推定処理(ステップS201〜ステップS216)の各処理で推定された即発中性子寿命l(=52.9(μs))の各値を上記の式(3)に代入し、これにより全遅発中性子割合βを推定する。
本計算では、実効増倍率が収束したとき、最終的な全遅発中性子割合β=0.0071、未臨界度1ドルのケースについて実効増倍率k=0.991、未臨界度2ドルのケースについて実効増倍率k=0.979であった。又、ドル単位の未臨界度$は、上記の式(4)に従って算出され、未臨界度1ドルのケースについて未臨界度$=1.2、未臨界度$2ドルのケースについて未臨界度=2.9であった。
尚、表示部3には、未臨界度判定部2Cで生成された規格化パワースペクトル密度実効増倍率kや未臨界度$、その他の関連する情報が表示される。
未臨界度判定装置K/Cにあっては、
(8)パラメータ推定手段23Cは、分散対平均比の理論式として、実効増倍率k、中性子検出効率ε、即発中性子寿命l、及び全遅発中性子割合β=l・αを未知数とする理論式を用い、各分散対平均比の1からの偏差の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる中性子検出効率εまたは即発中性子寿命lの何れか一方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたことを条件に、その理論式に含まれる他方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返す(ステップS201〜ステップS216)。そして、パラメータ推定手段23Cは、分散対平均法を用いて即発中性子減衰定数αを導出し、即発中性子減衰定数αと、この即発中性子減衰定数αに対応する実効増倍率kの状態で中性子増倍体系から得られる中性子逆計数率(1/C)との対応を外挿し、中性子逆計数率(1/C)がゼロ(実効増倍率kが1)となるときの即発中性子減衰定数αを推定する。こうして推定した全遅発中性子割合β、即発中性子減衰定数αに対応する実効増倍率kを「α=(1−(1−β)k)/l」の関係式に代入することにより全遅発中性子割合β=l・αを推定し(ステップS403)、この全遅発中性子割合βをステップS401で用いる全遅発中性子割合とする。
よって、未臨界度判定装置K/Cによれば、計算或いは推測により設定した全遅発中性子割合βが実測のみで決まり、計算誤差を含まないので(5)の効果が高められる。
以上、本発明に係る中性子増倍体系の未臨界度判定装置及び未臨界判定プログラム第1実施形態〜第4実施形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の発明の要旨を逸脱しない限り設計の変更や追加等は許容される。
例えば、本発明に係る未臨界度判定装置等を原子炉の未臨界度判定に適用する例を示したが、核燃料の輸送容器や核燃料廃棄物の貯蔵容器或いはその貯蔵施設など、中性子増倍体系であれば適用できる。
また、第1実施形態および第2実施形態では異なる複数の未臨界度の原子炉において、中性子検出効率εおよび即発中性子寿命lはいずれも変化しないことを仮定した。しかし、未臨界度の差異によって例えば即発中性子寿命lの変化が無視できない場合、第1実施形態では、図2のフローチャートにおけるステップS108、ステップS109、ステップS114およびステップS115の処理を削除し、ステップS106の処理にて実効増倍率kと共に即発中性子寿命lを併せて推定することにより、未臨界度を精度良く推定することができる。尚、この場合、ステップS107で算出する推定誤差の和をEとする。
同様に、第2実施形態では、図6のフローチャートにおけるステップS208、ステップS209、ステップS214およびステップS215の処理を削除し、ステップS206の処理にて実効増倍率kと共に即発中性子寿命lを併せて推定することにより、未臨界度を精度良く推定することができる。尚、この場合、ステップS207で算出する推定誤差の和をEとする。
ちなみに、各未臨界度において中性子検出効率εおよび即発中性子寿命lがいずれも変化しないという仮定は、未臨界度の差異が小さい場合に良好に成立する。
また、第1実施形態ではレートメータを用いて得られる単位時間当たりの中性子計数率を示す信号を基に中性子雑音データを生成する例を示したが、第2実施形態と同様にマルチチャンネルスケーラを用いて得られる測定時間幅の中性子計数値を基に中性子雑音データを生成するようにしてもよい。
また、第2実施形態では、マルチチャンネルスケーラのゲート幅を固定して中性子計数値を得て、異なるゲート幅当たりの中性子計数値は未臨界度判定部で算出する例を示したが、マルチチャンネルスケーラのゲート幅や測定回数の設定を変更可能に構成してマルチチャンネルスケーラ側でゲート幅を異ならせて中性子計数値を得るようにしてもよい。何れの方法であっても、最終的に異なる測定時間幅の中性子計数値を算出し、この中性子計数値を対象として分散対平均比の偏差を生成するものであればよい。
また、各実施形態において、中性子を検出した時間データを用い、この時間データから中性子計数率あるいは測定時間幅の中性子数を算出するようにしてもよい。
また、各実施形態では、中性子雑音解析法のうち周波数解析法或いはファインマン・アルファ法を用いた未臨界度判定方法(図2、図6、図9、図12参照)について示したが、ロッシ・アルファ法を用いて異なる複数の未臨界度における中性子パルス相互間の時間間隔の分布から未臨界度を判定するようにしてもよい。
また、本発明に係る未臨界度判定技術は、中性子源増倍法を組み合わせることもできる。この組み合わせによると深い未臨界度であっても高い精度にて判定でき、本発明に係る未臨界度判定技術の適用範囲が拡大する。
図13は本発明に係る未臨界度判定技術と中性子源増倍法の第1の組み合わせの説明図である。
未臨界度判定技術と中性子源増倍法の第1の組み合わせにあっては、先ず、本発明に係る未臨界度判定技術を用いて算出した実効増倍率を基準実効増倍率(k)として用意する。
ここで、中性子源増倍法では、中性子計数率(C)と実効増倍率(k)の関係が次式(9)で表される。
Figure 2010210613
中性子増倍体系において実効増倍率の変化が小さい場合、比例係数αおよび中性子源強度Sは定数とみなせる。体系の実効増倍率がkへと変化したとき、基準実効増倍率(k)、そのときの基準中性子計数率(C)および中性子計数率Cを用いて、実効増倍率kは、次式(10)に従って算出できる。
Figure 2010210613
未臨界度が深くなる場合は、実効増倍率kと中性子計数率Cの積k・Cが一定ではなくなり、式(9)に示される関係が成り立たなくなってくる。この場合は、修正中性子源増倍法(Modified neutron Source Multiplication method: MSM法)を適用するとよい。修正中性子源増倍法に関し、中性子増倍体系の実効増倍率がkへと変化したとき、基準実効増倍率(k)、そのときの基準中性子計数率(C)および中性子計数Cをパラメータとする式(10)は、次式(11)のように与えられる。
Figure 2010210613
式(11)において、k1,c及びk0.cは、それぞれ固有値計算で求められる未臨界度変化後の中性子増倍体系及びその基準体系の実効増倍率であり,RおよびRは、固定源計算から求められる未臨界度変化後の中性子増倍体系及びその基準体系の中性子計数の解析値である。尚、式(11)に対し、それぞれの未臨界度での検出効率の比や実効中性子源強度の比を乗ずることで、1点炉近似の成り立たない大きな体系での空間効果の影響を排除できるほか、測定精度を向上させることができる。修正中性子源法に基づいた実効増倍率kの演算は、例えば、未臨界度判定部に割り当てることができる。
図14は本発明に係る未臨界度判定技術と中性子源増倍法の第2の組み合わせの説明図である。
未臨界度判定技術と中性子源増倍法の第2の組み合わせにあっては、基準実効増倍率(k)に代えて比例係数αを含めた実効的な中性子源強度αSを算出し、次式(12)に従ってαSを用いて実効増倍率(k)を算出する。
Figure 2010210613
K,K/A,K/B,K/C……未臨界度判定装置, 1……中性子雑音測定部, 11……中性子検出器, 12……アンプ, 13……計測回路, 14……レートメータ, 14A……マルチチャンネルスケーラ, 2,2A,2B,2C……未臨界度判定部, 21,21A……中性子雑音取得手段, 22,22A……統計解析手段, 23,23A,23B,23C……パラメータ推定手段, 24B,24C……逆計数率生成手段, 201……未臨界度1ドルにおける規格化パワースペクトル密度(測定値), 202……未臨界度1ドルにおける規格化パワースペクトル密度の理論計算値, 203……未臨界度2ドルにおける規格化パワースペクトル密度(測定値), 204……未臨界度2ドルにおける規格化パワースペクトル密度の理論計算値, 201A……未臨界度1ドルにおける分散対平均比のY値(測定値), 202A……未臨界度1ドルにおける分散対平均比のY値の理論計算値, 203A……未臨界度2ドルにおける分散対平均比のY値(測定値), 204A……未臨界度2ドルにおける分散対平均比のY値の理論計算値, 3,3A……表示部.

Claims (13)

  1. 中性子増倍体系の未臨界度に応じて固有の傾向を示す発生中性子数の時間的な揺らぎを中性子雑音データとして取得し、この中性子雑音データを解析して中性子増倍体系の未臨界度を判定する未臨界度判定装置において、
    異なる未臨界度の中性子増倍体系から取得された複数の中性子雑音データを対象に共通の統計解析を行い、各未臨界度ごとに中性子雑音データの統計解析結果を生成する統計解析手段と、
    前記各未臨界度の統計解析結果とこの統計解析結果を実効増倍率kを用いて表現する理論式とのフィッティングを行い、各未臨界度ごとに統計解析結果の推定誤差を算出し、この推定誤差の和が最小となるときの実効増倍率kを用いて各未臨界度を算出するパラメータ推定手段と、
    を備えることを特徴とする未臨界度判定装置。
  2. 前記統計解析手段は、中性子雑音データの統計解析結果として、規格化パワースペクトル密度を生成し、
    前記パラメータ推定手段は、規格化パワースペクトル密度の理論式を用い、この理論式と前記統計解析手段により生成された規格化パワースペクトル密度との最小二乗法に基づくフィッティングにより各未臨界度の実効増倍率kを推定するステップAと、各規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる未知数を修正して前記フィッティングを繰り返すステップBと、その推定誤差の和が収束判定条件を満たしたときの実効増倍率kを用いて各未臨界度を求めるステップCとを実行することを特徴とする請求項1に記載の未臨界度判定装置。
  3. 前記パラメータ推定手段は、規格化パワースペクトル密度の理論式として、実効増倍率k、中性子検出効率εおよび即発中性子寿命lを未知数とする理論式を用い、ステップBにて各規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる中性子検出効率εまたは即発中性子寿命lの何れか一方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたことを条件に、その理論式に含まれる他方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の未臨界度判定装置。
  4. 前記パラメータ推定手段は、規格化パワースペクトル密度の理論式として、実効増倍率k、中性子検出効率ε、即発中性子寿命l、及び全遅発中性子割合βを未知数とする理論式を用い、
    ステップBでは、全遅発中性子割合βは計算又は推測による一定値とし、各規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる中性子検出効率εまたは即発中性子寿命lの何れか一方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたことを条件に、その理論式に含まれる他方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の未臨界度判定装置。
  5. 前記パラメータ推定手段は、規格化パワースペクトル密度の理論式として、実効増倍率k、中性子検出効率ε、即発中性子寿命l、及び全遅発中性子割合βを未知数とする理論式を用い、
    ステップBでは、折点周波数法で求めた即発中性子減衰定数αと、この即発中性子減衰定数αに対応する実効増倍率kの状態で中性子増倍体系から得られる中性子逆計数率(1/C)との対応を外挿し、中性子逆計数率(1/C)がゼロ(実効増倍率kが1)となるときの即発中性子減衰定数αを推定して、推定した即発中性子減衰定数α、即発中性子減衰定数αに対応する実効増倍率k、及びステップBで算出された即発中性子寿命lを「α=(1−(1−β)k)/l」の関係式に代入することにより全遅発中性子割合βを推定し、この全遅発中性子割合βを用い、各規格化パワースペクトル密度の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる中性子検出効率εまたは即発中性子寿命lの何れか一方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたことを条件に、その理論式に含まれる他方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたときの実効増倍率k、中性子検出効率ε、及び即発中性子寿命lを導出し、
    前記ステップAで推定された実効増倍率kが収束判定条件を満たすまで、ステップA、ステップB及びステップCを繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の未臨界度判定装置。
  6. 前記統計解析手段は、中性子雑音データの統計解析結果として、分散対平均比を生成し、
    前記パラメータ推定手段は、分散対平均比の理論式を用い、この理論式と前記統計解析手段により生成された分散対平均比の最小二乗法に基づくフィッティングにより各未臨界度の実効増倍率kを推定するステップAと、各未臨界度における分散対平均比の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる未知数を修正して前記フィッティングを繰り返すステップBと、その推定誤差の和が収束判定条件を満たしたときの実効増倍率kを用いて各未臨界度を求めるステップCとを実行することを特徴とする請求項1に記載の未臨界度判定装置。
  7. 前記パラメータ推定手段は、分散対平均比の理論式として、実効増倍率k、中性子検出効率εおよび即発中性子寿命lを未知数とする理論式を用い、ステップBにて各分散対平均比の1からの偏差の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる中性子検出効率εまたは即発中性子寿命lの何れか一方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたことを条件に、その理論式に含まれる他方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返すことを特徴とする請求項6に記載の未臨界度判定装置。
  8. 前記パラメータ推定手段は、分散対平均比の理論式として、実効増倍率k、中性子検出効率ε、即発中性子寿命l、及び全遅発中性子割合βを未知数とする理論式を用い、
    ステップBでは、全遅発中性子割合βは計算又は推測による一定値とし、各分散対平均比の1からの偏差の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる中性子検出効率εまたは即発中性子寿命lの何れか一方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたことを条件に、その理論式に含まれる他方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返すことを特徴とする請求項6に記載の未臨界度判定装置。
  9. 前記パラメータ推定手段は、分散対平均比の理論式として、実効増倍率k、中性子検出効率ε及び即発中性子寿命lを未知数とする理論式を用い、
    ステップBでは、折点周波数法で求めた即発中性子減衰定数αと、この即発中性子減衰定数αに対応する実効増倍率kの状態で中性子増倍体系から得られる中性子逆計数率(1/C)との対応を外挿し、中性子逆計数率(1/C)がゼロ(実効増倍率kが1)となるときの即発中性子減衰定数αを推定して、推定した即発中性子減衰定数α、即発中性子減衰定数αに対応する実効増倍率k、及びステップBで算出された即発中性子寿命lを「α=(1−(1−β)k/l」の関係式に代入することにより全遅発中性子割合βを推定し、この全遅発中性子割合βを用い、各分散対平均比の1からの偏差の推定誤差の和が収束判定条件を満たすまで、その理論式に含まれる中性子検出効率εまたは即発中性子寿命lの何れか一方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたことを条件に、その理論式に含まれる他方の未知数を修正して前記フィッティングを繰り返し、収束判定条件を満たしたときの実効増倍率k、中性子検出効率ε、及び即発中性子寿命lを導出し、
    前記ステップAで推定された実効増倍率kが収束判定条件を満たすまで、ステップA、ステップB及びステップCを繰り返すことを特徴とする請求項6に記載の未臨界度判定装置。
  10. 前記中性子雑音データとして、レートメータを用いて得られる単位時間当たりの中性子計数率を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の未臨界度判定装置。
  11. 前記中性子雑音データとして、マルチチャンネルスケーラを用いて得られる測定時間幅の中性子計数値を示すものを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の未臨界度判定装置。
  12. 前記中性子雑音データとして、マルチチャンネルスケーラを用いて得られる複数の測定時刻および測定時間幅の中性子計数値を用い、
    前記統計解析手段は、複数の測定時刻および測定時間幅の中性子計数値を対象として分散対平均比の偏差を生成することを特徴とする請求項7ないし請求項9の何れか1項に記載の未臨界度判定装置。
  13. 中性子増倍体系の未臨界度に応じて固有の傾向を示す発生中性子数の時間的な揺らぎを中性子雑音データとして取得し、この中性子雑音データを解析して中性子増倍体系の未臨界度を判定する処理をコンピュータと協働して実行する未臨界度判定プログラムにおいて、
    異なる未臨界度の中性子増倍体系から取得された複数の中性子雑音データを対象に共通の統計解析を行い、各未臨界度ごとに中性子雑音データの統計解析結果を生成する処理Aと、
    前記各未臨界度の統計解析結果とこの統計解析結果を実効増倍率kを用いて表現する理論式とのフィッティングを行い、各未臨界度ごとに規格化パワースペクトル密度の推定誤差を算出し、この推定誤差の和が最小となるときの実効増倍率kを用いて各未臨界度を算出する処理Bと、
    をコンピュータと協働して実行することを特徴とする未臨界度判定プログラム。
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