JP2010209534A - 溜めますを有する床構造及び原子力発電所の建屋 - Google Patents

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Abstract

【課題】より簡素化された、溜めますを有する床構造を提供する。
【解決手段】原子炉建屋内の、油を使用する機器を設置したエリア(部屋)の床10に、溜めます5が形成されている。溜めます5に向かって傾斜する傾斜面4が床10の上面に形成される。通常、排水配管7はキャップ8によって密封されている。溜めます5は、キャップ8が排水配管7を密封しているときには、本来の溜めますとして機能する。油を使用する機器から漏洩した油は、傾斜面4に沿って流れ、キャップ8で密封された溜めます5内に流入する。この油はポンプによって容器内に回収される。キャップ8が排水配管7から取り外されているときには、溜めます5はドレン収集口として機能する。保守点検時に床10に漏洩した漏洩水は溜めます5内に流入し、排水配管7内に排出される。
【選択図】図3

Description

本発明は、溜めますを有する床構造及び原子力発電所の建屋に係り、特に、原子力プラント等のプラントに用いられる建屋に適用するのに好適な溜めますを有する床構造及び原子力発電所の建屋に関する。
原子力プラントの原子炉建屋等の建屋において、床の洗浄及び機器の分解点検を行ったときに、床にこぼれた廃液を収集する必要がある。このため、床には廃液を収集するのドレン収集口(例えば、排水口)が形成されている(特開昭63−265032号公報、特開昭63−284495号公報及び特開2003−315495号公報参照)。ドレン収集口に接続された排水配管を建屋内のサンプタンクまで伸ばし、床面上にこぼれた廃液をサンプタンクに導く例もある(特開昭63−284495号公報参照)。
一方、原子力プラントの建屋内で可燃性油を取り扱う危険物設置エリアにおいては、消防法上、機器などから漏洩した油が拡散しないように堰で区分けすると同時に油を集めるための溜めますを床に設置することが要求されている。建屋内の漏洩水が発生する可能性のある、油を使用する機器が設置された危険物設置エリアでは、ドレン収集口及び溜めますを床に設置する必要がある。原子力発電所内における原子力プラントを設置する建屋内に存在する危険物設置エリアとしては、例えば、油を燃料として用いるディーゼル発電機が設置された部屋、軸受けに潤滑油を用いるタービン駆動給水ポンプ及び主蒸気系のタービンが設置された各部屋等がある。
危険物設置エリアの床に油がこぼれた場合には、危険物設置エリアの床に形成された溜めますに向って傾斜面に沿ってこぼれた油が流れ、この油が溜めます内に収集される。溜めます内に溜まった油は、ひしゃくなどで回収されて適切に処理される。
また、危険物設置エリアに設置された機器の保守点検時に、分解されたこの機器から、例えば、漏洩水が発生したとき、この漏洩水は、危険物設置エリアの床に形成されたドレン収集口に向って傾斜面に沿って流れ、ドレン収集口に収集される。
危険物設置エリアでは溜めます及びドレン収集口を床に形成する必要がある。このため、溜めますは油を使用する機器の近くで床に形成され、機器から油がこぼれやすい地点からその溜めますに向って床の傾斜面が形成される。ドレン収集口は漏洩水が生じやすい領域及び保守点検時に水を使う領域に形成される。
危険物設置エリア内には、こぼれた油によって火災が発生した場合に備えて二酸化炭素放出装置が設置されている。危険物設置エリア内で火災が発生したときには、二酸化炭素放出装置から二酸化炭素ガスが放出され、危険物設置エリア内の酸素濃度を下げることにより消火が行われる。
特開昭63−265032号公報 特開昭63−284495号公報 特開2003−315495号公報
溜めます及びドレン収集口を危険物設置エリア内の床に形成するとき、ドレン収集口に向う傾斜面は溜めます内に漏洩水等が流れ込まないように形成される。しかしながら、油を使用する機器から漏洩水が生じる場合もあり、こぼれた油と漏洩水が完全に分かれて溜めます及びドレン収集口にそれぞれ収集されるように傾斜面を形成することは困難である。
危険物設置エリア内でこぼれた油によって火災が発生した場合に二酸化炭素放出装置から放出される二酸化炭素が、ドレン収集口から排水配管を通って建屋内の他のエリアに放出される可能性がある。
本発明の目的は、より簡素化された、溜めますを有する床構造及び原子力発電所の建屋を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、油を使用する機器が設置される床に形成された溜めますと、床の上面に形成され、溜めますに向かって傾斜している傾斜面と、溜めますに接続されて床に埋設され、溜めます内に流入した水を排出する配管と、配管の水流入口部に取り外し可能に取り付けられて前記水流入口部を密封する密封栓とを有することにある。
床に形成された溜めますに接続された配管の水流入部に、密封栓が取り外し可能に取り付けられているので、水流入部が密封栓によって密封されている状態では、その溜めますは本来の溜めますとして機能し、密封栓が水流入部から取り外された状態では、その溜めますは漏洩水受け部として機能する。このため、床に溜めますと漏洩水受け部を別々に形成する必要がないので、溜めますを有する床構造を簡素化することができる。
本発明によれば、溜めますを有する床構造を簡素化することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の溜めますを有する床構造が適用された原子炉建屋の縦断面図である。 実施例1の溜めますを有する床構造が存在する部屋の横断面図である。 実施例1の溜めますを有する床構造の縦断面図である。 本発明の他の実施例である実施例2の溜めますを有する床構造に用いられるキャップの斜視図である。 図4に示すキャップを操作する治具の構成図である。
本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の溜めますを有する床構造を、図1、図2及び図3を用いて説明する。
原子力発電所内に配置され、原子力プラントが設置された原子炉建屋1内には、複数の部屋が形成されている。部屋2は、危険物設置エリアであり、例えば、油を燃料として用いるディーゼル発電機13(図2参照)が設置されている。ディーゼル発電機13には冷却水を供給する冷却水配管(図示せず)も接続されている。残りの複数の部屋3は、油を用いる機器が設置されていなく、危険物設置エリアではない。水供給管14に設けられたフランジ15がディーゼル発電機13に取り付けられる。この水供給管14はフランジ16によって他の水供給管18に接続される。
溜めます5が部屋2内の床の中央部で床10内に形成され、溜めます5の上端は部屋2内に開放されている。例えば、溜めます5の横断面は一辺が30cmの正方形になっており、溜めます5の深さも30cmである。床10はコンクリート製である。ステンレス鋼製の底板6が、溜めます5内の底部に取り付けられている。溜めます5の側面も、図示されていないが、ステンレス鋼のライナが貼り付けられている。排水配管7が底板6に接続され、この排水配管7は溜めます5内に連絡される。部屋2内の床10の上面は、部屋の四方から溜めます5に向う傾斜面4になっている。
キャップ(密封栓)8が、排水配管7の、底板6側の端部(水流入部)の内面に形成されたネジ9に取り外し可能に取り付けられている。キャップ8が排水配管7に取り付けられている状態では、排水配管7は、キャップ8によって密封される。通常は、排水配管7はキャップ8により密封されている。
こぼれた油によって火災が発生した場合に備えて二酸化炭素放出装置(図示せず)が、部屋2内に設置されている。火災発生時に二酸化炭素放出装置から放出される二酸化炭素が、部屋2に設けられた扉(図示せず)と側壁の間に形成される隙間を通して外部に漏洩しないように、扉は気密構造になっている。
各部屋3の床には、図示されていないが、ドレン収集口が形成されている。この床の上面は、ドレン収集口に向って傾斜する傾斜面になっている。排水配管7がドレン収集口の底部に接続されている。ドレン収集口に開放される排水配管7の開放端部には、キャップ8が取り付けられていない。
各階の部屋2内の床に形成されたドレン収集口に接続された各排水配管7、及び部屋2内の溜めます5に連絡された排水配管7は、原子炉建屋1の側壁内に設けられた排水母管11に接続される。排水母管11は、その側壁内を上方より下方に向って伸びており、原子炉建屋1内で最も下方に配置されたサンプタンク12に接続されている。
部屋2内に設置されたディーゼル発電機13から油が漏れた場合には、漏れた油は傾斜面4に沿って溜めます5に向って流れる。排水配管7はキャップ8で密封されているので、溜めます5内に流れ込んだ油は、排水配管7に排出されず、溜めます5内に溜まる。作業員は、まず、ディーゼル発電機13から油が漏れ出るのを防ぐ措置を行う。その後、溜めます5内に溜まった油をひしゃく(またはポンプ)で汲み取って持ち運びできる容器内に回収する。回収された油が充填された容器を適切な場所まで搬送し、容器内の油を適切に処理する。漏洩した油の溜めます5内からの回収は、原子力プラントの運転中及び停止中にかかわらず、油が漏洩したときに行われる。
原子力プラントの運転が停止された後の運転停止期間内で行われる保守点検において、ディーゼル発電機13の保守点検(分解点検)が行われ、フランジ15をディーゼル発電機13から取り外したことを想定する。水供給管14に設けられたポンプの運転が停止されているが、水供給管14内に存在する水が、床上にこぼれ落ちる。この漏洩した水は、傾斜面4に沿って溜めます5に向って流れる。溜めます5内には、油が存在していない。漏洩水は溜めます5内に収集される。作業員がキャップ8を回して排水配管7を密封しているキャップ8を取り外す。溜めます5内に溜まっている漏洩水が、排水配管7及び排水母管11内を通ってサンプタンク12内に導かれる。
本実施例の床構造は、床10に、排水配管7が接続された溜めます5を形成しており、キャップ8が取り外し可能に排水配管7に取り付けられる。溜めます5は、キャップ8が排水配管7を密封しているときには、本来の溜めますとして機能する。キャップ8が排水配管7から取り外されているときには、溜めます5はドレン収集口として機能する。
溜めます5のこれらの機能を、図2を用いて具体的に説明する。
従来の危険物設置エリア内の床構造は、図2において破線で示す溜めます5A及びドレン収集口17を床に形成している。前述したように、従来の危険物設置エリア内の床構造は、溜めます5Aは油を使用する機器(ディーゼル発電機13)の近くで床に形成される。従来の危険物設置エリアの床に形成された溜めます5Aには、排水配管が接続されていない。これは、溜めます5A内に溜まった油が排水配管を通して他の領域に流出するのを避けるためである。ドレン収集口17は漏洩水が生じやすい領域及び保守点検時に水を使う領域に形成される。ディーゼル発電機13から漏れた油は、図2に示す破線の矢印のように溜めます5Aに向って流れる。ドレン収集口17に向う傾斜面を流れる漏洩水は、一点差線で示すように、ドレン収集口17に向って流れる。しかしながら、フランジ15を外した場合には水供給管14内に存在する水が流出するが、この水は溜めます5Aに向って流れる。溜めます5Aには排水配管が接続されていないので、溜めます5A内に溜まった水は、油と同様に、作業員がひしゃく(またはポンプ)で容器に回収する必要が生じる。
本実施例の溜めますを有する床構造では、溜めます5は、前述したように、排水配管7をキャップ8で密封した状態とキャップ8を取り外して排水配管7を開放した状態では異なる機能を発揮する。保守点検時に、フランジ15を取り外して水供給管14内の水が流出して溜めます5内に流入しても、キャップ8を取り外すことによって排水配管7を通してサンプタンク12に容易に排出することができる。
キャップ8で排水配管7が密封されている状態で油が漏洩した場合には、この油は溜めます5内に溜められる。排水配管7がキャップ8で密封されているので、油は排水配管7内に排出されない。溜めます5内に溜まった油はポンプ等で完全に回収することができる。
本実施例は、危険物設置エリアである部屋2内の床に、溜めます及びドレン排出口の両方の機能を発揮できる溜めます5を形成しているので、床構造を簡素化することができる。従来のように、溜めます及びドレン排出口を形成し、溜めます及びドレン排出口のそれぞれに向って傾斜する傾斜面を別々に床に形成する必要がないので、油を用いる機器が設置される領域の床を形成するために要する時間を短縮することができる。
通常、溜めます5をドレン排出口ではなく溜めますとして使用するため、排水配管7がキャップ8で密封されている。このため、万が一、漏洩した油に起因して部屋2内で火災が発生し、消火のために、二酸化炭素放出装置から二酸化炭素を放出しても、この二酸化炭素が排水配管7を通して他の部屋3に漏れることを防止できる。
本実施例の溜めますを有する床構造は、沸騰水型原子力プラント及び加圧水型原子力プラントが設置されている原子力発電所内の原子炉建屋、タービン建屋及び放射性廃棄物処理建屋等の建屋、火力プラントの建屋及び化学プラントの建屋の床構造に適用することができる。前述したタービン駆動給水ポンプ及び主蒸気系のタービンは、タービン建屋内に設置されているので、本実施例の溜めますを有する床構造をタービン建屋の床構造に適用することは、非常に望ましいことである。
本発明の他の実施例である実施例2の溜めますを有する床構造を、図4を用いて説明する。
本実施例の溜めますを有する床構造は、実施例1の溜めますを有する床構造において、溜めます5内に接続された排水配管7を密封するキャップ8を図4に示すキャップ8Aに替えた構成を有する。
キャップ8Aは、頭部19及びネジ部22を有する。ネジ部22は頭部19の下面に設けられる。頭部19の直径はネジ部の直径よりも大きくなっている。キャップハンドル21が頭部19の上面に形成され、一対の孔部20が頭部19に形成されている。キャップ8Aは、通常、溜めます5に接続される排水配管7の溜めます5側の端部を密封している。キャップ8Aは回転用治具23を用いて回転される。
回転用治具23の具体的な構造を、図5を用いて説明する。回転用治具23は、操作棒24にハンドル26を取り付け、一対の連結部25を操作棒24に取り付けて構成される。一対の連結部25がキャップ8Aに形成された一対の孔部20内に挿入される。ハンドル26を回すことによってキャップ8Aのネジ部22が排水配管7のネジ9に噛み合わされ、逆回転させることによってネジ部22とネジ9の噛み合いが解除される。
実施例1において用いられるキャップ8は、キャップ8Aにおいて一対の孔部21を除去した構成を有する。このキャップ8を排水配管7に噛み合わせて排水配管7を密封するときには、作業員がキャップ8のキャップハンドル21を手で持ってキャップ8を回転させる。排水配管7を密封しているキャップ8を排水配管7から取り外す場合にも、キャップハンドル21を手で持って回転させる。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。また、本実施例は、孔部20を形成しているので、上記したように回転用治具23でキャップ8Aを回転させることができる。このため、溜めます5内に溜まった漏洩水内に手を入れる必要が無いので、作業員の汚染防止を図ることができる。
本発明は、原子力プラント、火力プラント及び化学プラントに用いられる建屋内の床構造に適用することができる。
1…原子炉建屋、2,3…部屋、4…傾斜面、5…溜めます、7…排水配管、8,8A…キャップ、10…床、11…排水母管、12…サンプタンク。

Claims (3)

  1. 油を使用する機器が設置される床に形成された溜めますと、前記床の上面に形成され、前記溜めますに向かって傾斜している傾斜面と、前記溜めますに接続されて前記床に埋設され、前記溜めます内に流入した水を排出する配管と、前記配管の水流入口部に取り外し可能に取り付けられて前記水流入口部を密封する密封栓とを有することを特徴とする溜めますを有する床構造。
  2. 回転治具が挿入される孔部が前記密封栓に形成されている請求項1に記載の溜めますを有する床構造。
  3. 油を使用する機器が設置される領域を有する、原子力発電所の建屋において、
    前記機器が設置される前記領域の床に形成された溜めますと、前記床の上面に形成され、前記溜めますに向かって傾斜している傾斜面と、前記溜めますに接続されて前記床に埋設され、前記溜めます内に流入した水を排出する配管と、前記配管の水流入口部に取り外し可能に取り付けられて前記水流入口部を密封する密封栓とを有することを特徴とする原子力発電所の建屋。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015087326A (ja) * 2013-10-31 2015-05-07 三菱重工業株式会社 ジェット燃料排出構造及びこれを用いるキャスク貯蔵建屋

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