JP2010209526A - 引戸の閉じ支援装置、およびその施工方法 - Google Patents

引戸の閉じ支援装置、およびその施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガイドレールに対する組み付けや取り外しを、より少ない手間で簡便に行なえる引戸の閉じ支援装置と、その施工方法を提供する。
【解決手段】ガイドレール2の内部に、戸パネル1を支持するランナー3と、閉じ支援ユニット4とを収容する。閉じ支援ユニット4は、閉止構造と、切換構造と、制動用のダンパー22とをケース23に収容して構成する。ケース23の一端はランナー3に連結し、ケース23の他端は移行体38で支持する。ケース23および移行体38のそれぞれは、ガイドレール2に対してレール開口2bから出し入れ可能に形成する。以て、レール内部に挿入した移行体38を、レール開口2bを横断する姿勢に変位操作して、閉じ支援ユニット4をガイドレール2に組み込み可能とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、引戸の戸パネルを閉じ端寄りにおいて自動的にゆっくりと閉じ操作できる閉じ支援装置、およびその施工方法に関する。
この種の閉じ支援装置において、ユニット部品化された閉じ支援ユニットをガイドレールの内部に配置する形態の閉じ支援装置が先に提案されている(特許文献1)。そこでは、閉じばねとエアーダンパー、および閉じばねを蓄力姿勢に保持し、あるいは閉じばねの蓄力保持状態を解除する切換構造などを、断面C字状のケースに組み込んで閉じ支援ユニットを構成している。閉じ支援ユニットの一端は戸パネルを吊持するランナーに連結され、他端はスライドピースで支持してある。ガイドレールの上壁の内面には、切換構造のロックアームを解除姿勢に切り換え操作する突起状の切換具が固定してある。
同様の閉じ支援ユニットは、特許文献2にもみることができ、そこでは閉じ支援ユニットの一端をランナーに連結し、他端を補助ローラーで支持している。先のケースに相当する枠体は、それぞれ断面コ字状の下枠と上枠とを結合して四角筒状に形成してあり、その内部に閉じばねと、エアダンパーと、切換構造などを収容している。
本発明の閉じ支援ユニットに関して、戸パネルの制動をシリンダー型のオイルダンパーで行なうことは特許文献3に公知である。そこでは、ケースの内部にオイルダンパーを配置し、ケース上面の前後に一対の閉じばねを配置している。
特開2009−013772号公報(段落番号0027、図3参照) 特開2005−350912号公報(段落番号0031、図7参照) 特開2008−285933号公報(段落番号0039、図1参照)
従来の閉じ支援ユニットによれば、閉じ支援装置の殆どの構成部品がケース(または枠体)に組み込まれてユニット部品化してあるので、施工現場における施工の手間を軽減することができる。また、施工現場で閉じ支援ユニットを組み立てる必要がないので、組み立てミスを生じる余地もない。しかし、いずれの場合にも、閉じ支援ユニットをランナーとともにガイドレールの一端からレール内へ装填し、その状態のままでガイドレールを開口枠に固定する必要がある。そのため、閉じ支援ユニットの組み付けに多くの手間が掛かる。
閉じ支援ユニットは、その組み付けが適正である限り、長期にわたってメンテナンスの必要はない。しかし、施工時の組み立てが粗雑であると、使用期間が短いにもかかわらず機能不良に陥ることがある。また、ダンパーのシール不良によって充分な緩衝作用を適正に発揮できなくなることがある。こうした場合には、機能不良に陥った部品や摩耗した部品の交換や補修をする必要があるが、施工時に手間を要したのと同様に、閉じ支援ユニットをガイドレールから取り外す作業にも多くの手間が掛かる。
閉じ支援装置をガイドレールに組み込む場合には、既存のガイドレールを利用するのがコスト面から見て有利である。しかし、その場合には、閉じ支援ユニットがランナーの走行を阻害しないことを満足し、さらにガイドレールの内部空間の範囲内で閉じ支援ユニットを構成することが必然となり、設計の自由度が大きく制約される。既存のガイドレールを利用するには、閉じ支援ユニットのコンパクト化を実現するしかない。しかし、閉じ支援ユニットの殆どの部分をエアーダンパーが占める、特許文献1・2の閉じ支援ユニットにおいては、小型化を実現するのが難しい。例えば、閉じ支援ユニットを単にスケールダウンしたとしても、エアーダンパーの制動力や制動ストロークが不足するため実用にならない。
本発明の目的は、ガイドレールに対する組み付けや取り外しをより少ない手間で簡便に行なえる引戸の閉じ支援装置と、その施工方法を提供することにある。
本発明に係る引戸の閉じ支援装置においては、ガイドレール2の内部に、戸パネル1を支持するランナー3と、閉じ支援ユニット4とが収容してある。閉じ支援ユニット4は、閉じばね21の張力で戸パネル1を閉じ操作する閉止構造と、閉じばね21を蓄力できる状態と、蓄力された張力を出力できる状態とに閉止構造を切り換える切換構造と、戸パネル1の閉じ動作を制動するダンパー22とをケース23に収容して構成する。ケース23の一端はランナー3に連結し、ケース23の他端は移行体38で支持する。ケース23および移行体38のそれぞれは、ガイドレール2に対してレール開口2bから出し入れ可能に形成する。以て、レール内部に挿入した移行体38を、レール開口2bを横断する姿勢に変位操作して、閉じ支援ユニット4をガイドレール2に組み込む。
図1に示すように移行体は、遊転自在な一対のローラー38で構成する。両ローラー38の直径寸法dは、レール開口2bの開口幅Eより小く設定する。以て、両ローラー38の中心軸線をレール開口2bの長手方向線と平行に保持し、かつ閉じ支援ユニット4の全体を縦長に支持した状態で、両ローラー38をレール開口2bに出し入れ可能とする。
図14に示すように移行体は、レール壁2aでスライド案内されるスライダー38で構成する。スライダー38は、レール開口2bを内外に挟持する外挟持ブロック85および内挟持ブロック86と、これら両者を連結する連結軸87とを含む。内挟持ブロック86は、レール開口2bに出し入れできる着脱姿勢と、レール開口2bを前後に横断する掛止姿勢とに姿勢変更できるよう固定ブロック85で支持する。以て、内挟持ブロック86を着脱姿勢にした状態で、スライダー38および閉じ支援ユニット4をレール開口2bに出し入れ可能とする。
閉止構造は、ケース23の一端に固定される固定ブロック33と、ケース23でスライド案内される可動ブロック34とこれら両ブロック33・34に掛止される閉じばね21とを含む。固定ブロック33に移行体38を装着する。閉じ支援ユニット4の浮き離れを規制する規制片40を固定ブロック33に設ける。
本発明に係る閉じ支援装置の施工方法においては、閉じ端寄りにおいて戸パネル1をゆっくりと閉じ操作する横長の閉じ支援ユニット4の一端に、ガイドレール2のレール開口2bに出し入れできる一対のローラー38を設ける。両ローラー38の中心軸線をレール開口2bの長手方向線と平行に保持し、かつ閉じ支援ユニット4の全体を縦長に支持した状態で、両ローラー38をレール開口2bからガイドレール2内に差し込む。次に、両ローラー38の中心軸線がレール開口2bの長手方向線と直交する向きに、閉じ支援ユニット4の全体を回転操作して、レール開口2bを前後に跨ぐ状態で両ローラー38を前後のレール壁2aに掛止する。さらに、閉じ支援ユニット4の全体を、両ローラー38を支点にして揺動操作してレール開口2bからガイドレール2内に差し込む。最後に、閉じ支援ユニット4の揺動先端側の端部を、ガイドレール2に組み込まれたランナー3に連結する。
本発明に係る閉じ支援装置の別の施工方法においては、閉じ端寄りにおいて戸パネル1をゆっくりと閉じ操作する横長の閉じ支援ユニット4の一端に、ガイドレール2のレール開口2bに出し入れできるスライダー38を設ける。スライダー38は、レール開口2bを内外に挟持する外挟持ブロック85および内挟持ブロック86と、これら両者85・86を連結する連結軸87とを備えている。スライダー38の内挟持ブロック86を着脱姿勢にした状態で、スライダー38および閉じ支援ユニット4をレール開口2bから差し込む。次に、内挟持ブロック86を連結軸87で回動操作して、レール開口2aを前後に横断する状態で内挟持ブロック86を前後のレール壁2aに掛止する。最後に、閉じ支援ユニット4の端部をガイドレール2に組み込まれたランナー3に連結する。
本発明の閉じ支援装置においては、閉じばね21、閉止構造、切換構造、ダンパー22と、これらの部材を収容するケース23などで、閉じ支援ユニット4を1個のユニット部品として構成した。また、ケース23と、ケース23の一端を支持する移行体38のそれぞれを、ガイドレール2に対してレール開口2bから出し入れ可能として、閉じ支援ユニット4をガイドレール2に後組みできるようにした。具体的には、レール内部に挿入した移行体38を、レール開口2bを横断する姿勢に変位操作することにより、閉じ支援ユニット4をレール開口2bからガイドレール2に組み込めるようにした。
したがって、本発明の閉じ支援装置によれば、ガイドレール2に対する閉じ支援ユニット4の組み付けや取り外しを、より少ない手間で簡便に行なうことができ、閉じ支援ユニット4がユニット部品化してあることとも相俟って、施工現場における施工の手間をさらに軽減できる。また、閉じ支援ユニット4が、レール開口2bからガイドレール2内に組み込めるほどコンパクトに構成してあるので、既存のガイドレールであっても、閉じ支援ユニット4を適用できることがあり、従来のこの種の閉じ支援装置に比べて汎用性を向上できる。
遊転自在な一対のローラー38で移行体を構成し、両ローラー38の直径寸法dをレール開口2bの開口幅Eより小く設定すると、両ローラー38をレール開口2bに簡単に出し入れでき、閉じ支援ユニット4のガイドレール2に対する組み付けの手間をさらに省くことができる。詳しくは、両ローラー38の中心軸線をレール開口2bの長手方向線と平行に保持し、かつ閉じ支援ユニット4の全体を縦長に支持した状態で、両ローラー38をレール開口2bに差し込むことができる。さらに、閉じ支援ユニット4の全体を回転操作するだけで、レール開口2bを前後に跨ぐ状態で両ローラー38を前後のレール壁2aに掛止できる。閉じ支援ユニット4をガイドレール2から取り外すときの手間も同様に省くことができる。
レール壁2aに沿ってスライドできるスライダー38で移行体を構成し、スライダー38を外挟持ブロック85および内挟持ブロック86と連結軸87などで構成すると、内挟持ブロック86を着脱姿勢にした状態で、スライダー38および閉じ支援ユニット4をレール開口2bに出し入れできる。また、レール内に差し込んだ内挟持ブロック86を連結軸87で操作して、レール開口2bを前後に横断する掛止姿勢に切り換えることができる。このように、内外一対の挟持ブロック85・86で移行体を構成すると、内挟持ブロック86を掛止姿勢に切り換えて固定した状態において、閉じ支援ユニット4を概ね水平姿勢に保持できる。したがって、閉じ支援ユニット4のランナー3に対する連結作業をより簡便に行なえる。
ケース23の一端に固定される固定ブロック33に、閉じ支援ユニット4の浮き上がりを規制する規制片40を設けると、移行体38をガイドレール2内に差し込む際に、規制片40がレール壁2aに接当して移行体38が必要以上に差し込まれるのを規制して、レール内部に挿入した移行体38の変位操作を的確に行なえる。とくに、移行体38が外挟持ブロック85および内挟持ブロック86で構成してある場合には、外挟持ブロック85をガイドレール2に押し付けて、連結軸87による内挟持ブロック86の姿勢変更を確実に行なえる。使用状態においては、閉じ支援ユニット4がレール壁2aから浮き離れ、あるいは閉じ支援ユニット4がレール内部に落ち込むのを規制片40で規制して、閉じ支援ユニット4を適正な使用姿勢に保持できる。
本発明に係る閉じ支援装置の施工方法においては、閉じ支援ユニット4を所定の姿勢に保持した後、両ローラー38をレール開口2bから差し込み、閉じ支援ユニット4の全体を回転操作するだけで、両ローラー38を前後のレール壁2aに簡単にしかも確実に掛止できる。また、閉じ支援ユニット4をレール開口2bからガイドレール2内に差し込んでランナー3と連結することにより、閉じ支援ユニット4の取り付けを完了できる。このように、本発明の施工方法によれば、従来の施工方法に比べて、閉じ支援ユニット4の組み付け作業をより少ない手間で確実に行なえる。また、必要時には、閉じ支援ユニット4をより簡単にガイドレール2から取り外すことができる。開口枠に固定した状態のガイドレール2に、閉じ支援ユニット4を後組みできるので、ガイドレール2の取り付け作業を簡便化できる利点もある。
本発明に係る閉じ支援装置の別の施工方法においては、スライダー38の内挟持ブロック86を着脱姿勢にした状態で、スライダー38と閉じ支援ユニット4をレール開口2bから差し込み、内挟持ブロック86を掛止姿勢に切り換えることにより前後のレール壁2aに簡単にしかも確実に掛止できる。また、閉じ支援ユニット4の端部をランナー3と連結することにより、閉じ支援ユニット4の取り付けを完了できる。したがって、本発明の施工方法によれば、上記の施工方法と同様に、ガイドレール2に対する閉じ支援ユニット4の組み付け作業をより少ない手間で確実に行なえる。開口枠に固定した状態のガイドレール2に、閉じ支援ユニット4を後組みできるので、ガイドレール2の取り付け作業を簡便化できる利点もある。
閉じ支援ユニットの組み付け手順を示す説明図である。 引戸の正面図である。 閉じ支援装置の縦断正面図である。 閉じ支援ユニットの一部を破断した分解正面図である。 切換構造の分解斜視図である。 戸パネルを閉じた状態における切換構造の縦断正面図である。 戸パネルを開放し始めた状態における閉じ支援ユニットの縦断正面図である。 図7におけるA−A線断面図である。 図7におけるB−B線断面図である。 ロックアームの切り換え動作を示す縦断正面図である。 トリガーアームの切り換え動作を示す縦断正面図である。 戸パネルを開放した状態における切換構造の縦断正面図である。 戸パネルを閉じ操作するときの切換構造の動作を示す縦断正面図である。 移行体の別の実施例を示す平面図である。 図14におけるC−C線断面図である。 閉じ支援ユニットの組み付け手順を示す説明図である。
(実施例) 図1ないし図13は本発明に係る閉じ支援装置を引戸に適用した実施例を示す。図2に示す引戸は、ウォークインクロゼットや屋内収納室の出入口を1枚構造の戸パネル1で開閉する場合を示している。なお、本発明における上下、左右とは、図2に示す交差矢印と上下、左右、前後の文字表示に従うものとする。出入口に設けられる開口枠の上部には、戸パネル1を開閉案内するガイドレール2が固定してあり、その内部に戸パネル1を吊持するランナー3と、閉じ支援ユニット4が収容してある。ランナー3は、戸パネル1の上部上隅に装着されるランナー台5に対してランナー軸6を介して連結してある。ランナー3で吊持された戸パネル1のふらつきを規制するために、戸パネル1の下面に設けたスライド溝7を床面に固定したガイド8で案内している。符号9は把手である。
図8に示すように、ガイドレール2は、下向きに開口する断面C字状のアルミニウム条材からなり、その下端に前後一対のレール壁2aが対向状に形成され、両レール壁2aの間に先のランナー軸6を通すためのレール開口2bが設けてある。この実施例におけるガイドレール2は、閉じ支援装置を備えていない引戸のランナー用に設けられた既存のガイドレールをそのまま利用しており、一般的なガイドレールに比べてレール内面の上下寸法が小さく設定してある。
図3においてランナー3は、左右に長いランナーブロック12と、ランナーブロック12の前後面の左右に配置される4個のローラー13と、前後で対になるローラー13を軸支するローラー軸14などで構成してある。ランナーブロック12の一側上部には、閉じ支援ユニット4を連結するための連結座15が横向きに突設されて、その肉壁の内部に板ナット(ナット体)16が装着してある。ランナー3は、戸パネル1の閉じ端側と開放端側とを吊持するが、閉じ端側のランナー3の連結座15に閉じ支援ユニット4の端部がボルト17で連結される。図12に示すように、支援ユニット4を連結座15に締結した状態では、ボルト17のねじ軸上端は板ナット16に臨む上側のボルト穴に達するが、ボルト穴の直径寸法をボルト17の直径寸法より小さく設定しておき、ねじ軸を板ナット16と同時にボルト穴にもねじ込むことにより、ボルト17が緩むのを確実に防止できる。
閉じ支援装置は、ガイドレール2内に組み付けられる閉じ支援ユニット4と、ガイドレール2の上壁内面に固定される切換具20とで構成する。図3において閉じ支援ユニット4は、閉じばね21の張力で戸パネル1を閉じ操作する閉止構造と、切換具20で切り換え操作される切換構造と、戸パネルの閉じ動作を制動するダンパー22と、これらの部材を収容するケース23などで構成する。切換具20で切換構造を切り換え操作することにより、閉止構造の閉じばね21を蓄力できる状態と、閉じばね21の張力を出力できる状態とに切り換えることができる。
ケース23は、断面がC字状のステンレス条材からなり、その内部に閉じばね21、閉止構造、切換構造、ダンパー22が組み付けられる。図4および図5においてケース23の上面側には、先の各部材の浮き上がりを規制する規制壁23aが折り曲げてある。ケース23の閉じ端寄りの底壁にはロック開口25が形成され、ケース23の底壁の中央付近にダンパー22を保持する爪26が上向きに折り起こしてある。ケース23の閉じ端にはパイロット片27がピン28でかしめ固定してあり、同様にケース23の開放端には固定ブロック33がピン29でかしめ固定してある。パイロット片27に臨むケース23の前後壁には、ローラー窓30が形成してある。
閉止構造は、引っ張りばねからなる閉じばね21と、閉じばね21の一端が掛止される固定ブロック33と、同ばね21の他端が形成される可動ブロック34とで構成する。固定ブロック33は射出成形品からなり、可動ブロック34との対向側面の上下に、閉じばね21用の掛止片35と、ダンパー22の端部を受け止める保持凹部36とが形成してある。また、固定ブロック33の開放端側の側面にはブラケット37が横向きに突設され、ブラケット37の突端の前後に設けた一対のローラー(移行体)38をローラー軸39で遊転自在に軸支している。ブラケット37より下側の固定ブロック33の前後には、閉じ支援ユニット4の浮き上がりを規制する規制片40が張り出してある。図9に示すように、固定ブロック33の内部には振止めローラー41が配置されて、ピン29で遊転自在に軸支してある。固定ブロック33は、ピン29を利用してケース23の開放端に固定してある。
可動ブロック34は、横長四角形状の射出成形品からなり、その内部に閉じ端側と下面側へ向かって開口する連繋凹部42が形成してある。可動ブロック34の固定ブロック33との対向面の上下には、閉じばね21用の掛止片43と、ダンパー22のピストンロッド47を係合する係止凹部44とが形成してある。閉じばね21は、ケース23に組まれた固定ブロック33と可動ブロック34の各掛止片35・43に掛止されて、両ブロック33・34を互いに近づく向きに引き寄せ操作する。可動ブロック34は、ケース23で相対スライド可能に案内支持してある。
ダンパー22は、シリンダー46の内部にオイルが封入してあるシリンダー型のオイルダンパーからなり、ピストンおよびピストンロッド47がシリンダー46内へ相対的に退入移動するときの運動エネルギーを吸収して制動する。つまり、戸パネル1が閉じ移動するときに制動作用を発揮でき、したがって、戸パネル1が乱暴に閉じ操作されるような場合でも、その閉じ動作をゆっくりとしたものにできる。シリンダー46は、固定ブロック33の保持凹部36と、ケース23の爪26との間に移動不能に嵌め込み装着される。ピストンロッド47の突端に固定したキャップ48は、先の係止凹部44に下面側から係止固定してある。ダンパー22の上側の空間を利用して、先の閉じばね21が配置してある。
図4および図5において切換構造は、トリガーベース51と、トリガーベース51でシーソー揺動可能に支持されるトリガーアーム52と、先に述べたパイロット片27、および可動ブロック34に組み付けられるロックアーム53などで構成する。トリガーベース51は、角軸状のスライド軸55と、トリガーアーム52を収容するアームホルダ56とを一体に備えた射出成形品からなり、スライド軸55が可動ブロック34の連繋凹部42で左右スライド自在に案内支持してある。トリガーベース51の全体は、スライド軸55と連繋凹部42の内奥端との間に配置した復帰ばね57で、閉じ端側へ向かって進出付勢してある。復帰ばね57は圧縮コイルばねからなる。
トリガーアーム52は、左右に長いアーム状の射出成形品からなり、その左右中途部がトリガーベース51に固定したピン60で揺動可能に支持してある。ピン60より右側のアーム上面には、切換具20と係脱するトリガー爪61が形成され、ピン60より左側ののアーム部分は、パイロット片27で押し上げ操作される受動アーム62としてある。トリガーアーム52は、アームホルダ56の内部に配置したトリガーばね63で、トリガー爪61が切換具20と係合する向き(上向き)に付勢してある。トリガーばね63は圧縮コイルばねからなる。
ロックアーム53は、左右に長いくさび状の射出成形品からなり、大半の部分が可動ブロック34の連繋凹部42の下側に収容されて、可動ブロック34に固定したピン65でシーソー揺動可能に支持してある。ロックアーム53の右端の上隅には、復帰ばね57の付勢力に抗してトリガーベース51を受け止める段部66が切り欠いてある。段部66に連続する円弧周面が、ケース23に設けたロック開口25と係合するロック係合部67になっている。
ロックアーム53は、トリガーベース51が可動ブロック34に対してスライド変位するとき変位操作されて、ロック係合部67がロック開口25に係合するロック姿勢(図10(b)に示す状態)と、ロック係合部67がロック開口25から離脱するロック解除姿勢(図10(a)に示す状態)とに揺動できる。そのために、トリガーアーム52のスライド軸55の下面に、先の段部66の出入りを許す逃げ凹部68が上凹み状に形成してある。また、段部66で受け止められるストッパー部69が、逃げ凹部68の開放端側に隣接する状態で形成してある。さらに、スライド軸55の基端下面に、ロック状態のロックアーム53をロック解除操作する操作面70が斜めに形成してある。ロック解除状態において逃げ凹部68に入り込んだ段部66は、逃げ凹部68の開放端側の斜面71を受け止めている(図10(a)参照)。
パイロット片27は、横長四角形状のジョイント部72と、ジョイント部72の右端下部に突設されるくさび状のパイロット爪73とを一体に備えた射出成形品からなる。ジョイント部72の内部には振止めローラー74が配置されて、ピン28で遊転自在に軸支してある。パイロット爪73は、受動アーム62の下面にもぐりこんでトリガーアーム52を揺動操作し、トリガー爪61と受溝79との係合を解除する。ケース23の左右端に配置される振止めローラー41・74は、前後のレール壁2aの対向面で受け止められて、閉じ支援ユニット4が蛇行するのを規制する。パイロット片27のジョイント部72は、閉じ端側のランナー3の連結座15の下面に接合されて、板ナット16に下方からねじ込まれるボルト17で連結される。
図12において切換具20は、ガイドレール2の上壁にビスで締結されるベース78を有し、ベース78の下面中央にトリガーアーム52の姿勢を切り換える台形状の突起を設け、突起の下面にトリガー爪61と係脱する受溝79を形成してなる。受溝79を含む先の突起は、ガイドレール2の前後方向の中央に位置しているので、ランナー3が開閉移動するとき、切換具20がランナーブロック12やローラー13と干渉することはない。受溝79の左の溝側面には、トリガー爪61の先端を受け止める第1受面80が形成してある。また、受溝79の右の溝側面には、トリガー爪61を受け止める第2受面81が形成してある。
以上のように構成した閉じ支援装置によれば、切換具20を除く構成部品の全てをケース23に組み付けて閉じ支援ユニット4としてユニット部品化するので、施工時に閉じ支援装置の組み立てを行なう必要がなく、その分だけ施工の手間を省くことができる。また、ダンパー22として、充分な制動力を発揮できるにもかかわらず、小形でコンパクトなシリンダー型のオイルダンパーを使用するので、閉じ支援ユニット4の全体をコンパクト化して、既存のガイドレール2であっても支障なく適用できる、汎用性に優れた閉じ支援ユニット4が得られる。
トリガーベース51、トリガーアーム52、パイロット片27と、可動ブロック34に組み付けられるロックアーム53などで切換構造を構成し、トリガーアーム52およびロックアーム53の姿勢の切り換えを各機構部品の機械的な動作によって行なうので、戸パネル1の開閉を円滑に、しかもより小さな力で軽快に行なえる。また、戸パネル1の大きさや重量が異なる場合でも切換構造を共通して適用できる。
支援ユニット4におけるケース23の前後幅、および振止めローラ41・74の直径寸法は、レール開口2bの開口幅Eより僅かに小さく設定してある。同様に、両ローラー38の直径寸法dは、レール開口2bの開口幅Eより僅かに小さく設定してあり(図9参照)。支援ユニット4は従来の閉じ支援ユニットに比べて著しくコンパクト化されており、その全長は戸パネル1の左右幅の約4割以下でしかない。
図6に示すように、戸パネル1が閉じ状態にあるとき、トリガーアーム52のトリガー爪61は、切換具20の受溝79に落ち込んで係合状態になっている。ロックアーム53はロック解除姿勢に保持されて、段部66の一部が逃げ凹部68の内部に入り込んでいる。この状態のトリガーベース51には復帰ばね57の付勢力が作用しており、復帰ばね57の付勢力は、逃げ凹部68の斜面71を介してロックアーム53にも作用している。そのため、ロックアーム53には時計回転方向の揺動モーメントが作用している。しかし、ロックアーム53の下面がケース23の底壁で受け止められているため、ロックアーム53が揺動することはない。閉じばね21は、固定ブロック33と可動ブロック34とを接近する向きに引き寄せて全体が縮んだ状態になっている。パイロット片27とトリガーアーム52の間隔寸法は最大の状態になっている。
(開放時の閉止構造および切換構造の動作)
上記の状態から戸パネル1を開放操作すると、トリガーアーム52が切換具20で受け止められているため可動ブロック34は移動できず、図7に示すようにケース23、固定ブロック33、シリンダー46がランナー3に同行して開放方向へ移動する。固定ブロック33が移動するのに伴なって、閉じばね21は徐々に伸長変形されて蓄力する。閉じばね21が伸長するのに伴なって、図10(a)に示すように、パイロット爪73がトリガーアーム52の受動アーム62の近傍まで接近し、さらにロック開口25がロックアーム53の下方位置に接近する。
ケース23に設けたロック開口25がロックアーム53の真下に位置した状態では、図10(b)に示すように、時計回転方向の揺動モーメントを受けたロックアーム53が、ロック開口25に落ち込んでロック姿勢に切り換わり、ロック係合部67がロック開口25の開口縁で受け止められる。この状態では、可動ブロック34が固定ブロック33側へ移動しようとするのを、ロックアーム53が阻止しており、したがって閉じばね21を伸長した蓄力状態に保持できる。
ロックアーム53がロック開口25に落ち込むのと同時に、段部66と斜面71との係合が解除されるので、トリガーベース51は復帰ばね57で閉じ端側へ押し出され、そのストッパー部69が段部66で受け止められる。ロックアーム53がロック開口25に落ち込んだ直後に、パイロット爪73が受動アーム62の下面にもぐり込んで、トリガーアーム52の全体をトリガーばね63の付勢力に抗して時計回転方向へ揺動させる。これにより、トリガー爪61は図10(b)に示すように、その上端が第2受面81の下端付近まで下降し、ケース23の開口面から僅かに露出する状態に保持される。
引き続き戸パネル1を開放操作することにより、図11(a)に示すようにトリガー爪61が受溝79の第2受面81に接当する。そして、受動アーム62がパイロット爪73の斜面上部まで押し上げられた状態では、図11(b)に示すように、トリガー爪61が受溝79から抜け出て係合解除状態に切り換わる。先に説明したように、トリガー爪61が係合解除状態に切り換わるのに先行して、トリガーアーム52はパイロット爪73で揺動操作されて、トリガー爪61の上端が第2受面81の下端近傍に位置保持してある。そのため、トリガー爪61が受溝79から抜け出るのに必要なトリガーアーム52の揺動角度を極く小さくして、トリガー爪61が受溝79から抜け出る動作を円滑に行なって、戸パネル1をより軽快に開放操作できる。同時に、トリガー爪61が第2受面81に接当する時の接当音を抑止できる。因みに、トリガー爪61が受溝79内に大きく入り込んだ状態のままで戸パネル1を開放操作すると、トリガーアーム52を大きく下方揺動してトリガー爪61を受溝79から離脱させる必要があり、戸パネル1の開放動作がぎくしゃくする。また、トリガー爪61が第2受面81に接当する時の接当音が大きくなってしまう。以後は、図12に示すように、ロックアーム53がロック姿勢に切り換わった状態を維持したままで、閉じ支援ユニット4がランナー3に同行移動する。このとき、トリガーアーム52はパイロット爪73で受け止められて、トリガー爪61の突端の一部がケース23の開口面より上方に突出している。
(閉じ時の閉止構造および切換構造の動作)
任意の開放位置から戸パネル1を閉じ操作すると、図13(a)に示すように、閉じ端側のランナー3が切換具20の下面を通過し、さらに、トリガー爪61の突端が受溝79の第2受面81の下面をくぐり抜けたのち、第1受面80に接当する。そのため、トリガーアーム52およびトリガーベース51は閉じ方向へ移動できないが、ケース23、固定ブロック33、可動ブロック34は、復帰ばね57を圧縮変形させながら閉じ方向へ移動する。この移動に伴なって、パイロット爪73が受動アーム62から抜け出し、その分だけトリガーアーム52が受溝79側へ揺動する。同時に、ロックアーム53の閉じ端側の端部が、トリガーベース51に設けた操作面70に接当して、反時計回転方向へと揺動される。その結果、図13(b)に示すように、ロックアーム53がロック開口25から抜け出てロック解除姿勢に切り換わる。
ロックアーム53がロック解除状態に切り換わった状態では、ロックアーム53による可動ブロック34の移動規制作用は解除されるものの、今度はトリガー爪61が受溝79と係合して、可動ブロック34の移動を規制する。そのためケース23、固定ブロック33などが、閉じばね21に引っ張られて閉じ端側へ移動し、戸パネル1を閉止操作する。このとき、ダンパー22によって閉じ動作が制動されるので、戸パネル1はゆっくりと閉じ移動する。
施工時の勘違いや錯誤などによって、戸パネル1を左右のランナーに吊り込んだ状態において、ロックアーム53がロック解除姿勢に切り換わっている場合には、ロックアーム53をロック姿勢にリセットする必要がある。本発明の閉じ支援ユニット4によれば、閉じ支援ユニット4をガイドレール2から取り外す必要もなく、ロックアーム53のリセット作業を誰もが簡単に行なえる。
ロックアーム53がロック解除姿勢に切り換わっている場合には、可動ブロック34が閉じばね21で固定ブロック33側へ引き寄せられている。戸パネル1を閉じ端まで移動操作すると、図6に示すようにトリガー爪61が受溝79に落ち込み係合して、可動ブロック34の移動が規制される。この状態で、戸パネル1を開放操作すると、先に説明したように、ケース23を可動ブロック34に対してスライド変位させて閉じばね21を蓄力でき、ばねの伸長ストロークの終端寄りでロックアーム53をロック姿勢に切り換えることができる。つまり、戸パネル1を一旦閉じ操作した後、開放操作するだけの簡単な操作で、ロックアーム53をリセットし、閉じ支援機能を適正に機能させることができる。トリガー爪61が受溝79に落ち込み係合する時のリセット動作を容易化するために、受溝79の左右幅をトリガー爪61の左右幅より僅かに大きく設定している。
(閉じ支援ユニットの施工方法)
閉じ支援ユニット4は、以下の手順に従って施工することにより、簡便にガイドレール2内に組み込むことができる。まず、ランナー3が装填されたガイドレール2を開口枠の上枠に締結する。次に、図1(a)に示すように、ローラー38の中心軸線をレール開口2bの長手方向線と平行に保持し、さらに閉じ支援ユニット4の全体を縦長に支持する。この状態で両ローラー38をレール開口2bからガイドレール2内に差し込み、想像線で示すように、両ローラー38の中心軸線がレール開口2bの長手方向線と直交する向きに、閉じ支援ユニット4の全体を回転操作する。
次に、図1(b)に示すように、レール開口2bを前後に跨ぐ状態で両ローラー38を前後のレール壁2aに掛止する。さらに、図1(c)に示すように、閉じ支援ユニット4の全体を、両ローラー38を支点にして上向きに揺動操作して、レール開口2bからガイドレール2内に差し込む。最後に閉じ支援ユニット4端部に設けたパイロット片27のジョイント部72を、閉じ端側のランナー3の連結座15の下面にあてがって、パイロット片27の下方から差し込んだボルト17を板ナット16にねじ込んで、閉じ支援ユニット4をランナー3に連結する。
上記のように、本発明の閉じ支援ユニット4は、レール開口2bからレール内部に挿入したローラー38を、レール開口2bを横断する姿勢に変位操作するだけで、閉じ支援ユニット4をレール開口2bからガイドレール2の内部に組み込むことができる。したがって、ランナーとともにガイドレールに先組みする必要があった従来の閉じ支援ユニットに比べて、閉じ支援ユニット4のガイドレール2に対する組み付けをより少ない手間で簡便に行なえる。また、何らかの理由で機能不良に陥った部品や摩耗した部品の交換や補修をする必要がある場合でも、先に説明した手順を逆にたどることにより、閉じ支援ユニット4をガイドレール2から簡単に取り外すことができる。
本発明の閉じ支援装置は以下の形態で実施することができる。
ガイドレール2の内部に、戸パネル1を支持するランナー3と、閉じ支援ユニット4とが収容されており、
閉じ支援ユニット4は、閉じばね21の張力で戸パネル1を閉じ操作する閉止構造と、閉止構造を切り換える切換構造と、戸パネル1の閉じ動作を制動するダンパー22とをケース23に収容して構成されており、
閉止構造は、ケース23の一端に固定される固定ブロック33と、ケース23で相対スライド可能に案内支持される可動ブロック34と、両端が両ブロック33・34に軽視される閉じばね21とで構成されており、
切換構造は、可動ブロック34で復帰ばね57を介して左右スライド可能に支持されるトリガーベース51と、トリガーベース51でシーソー揺動可能に支持されて、切換具20の受溝79に係脱するトリガーアーム52と、トリガーアーム52を係合付勢するトリガーばね63と、可動ブロック34で支持されて、ケース23のロック開口25に係脱するロックアーム53と、閉じ端側のランナー3に固定されるパイロット片27とで構成されており、
戸パネル1の開閉動作に連動して、トリガーアーム52の受溝79に対する係脱状態を切換具20とパイロット片27とで切り換え、さらにロックアーム53のロック開口25に対する係脱状態をトリガーベース51で切り換えて、閉じばね21を蓄力できる状態と、蓄力された閉じばね21を保持する状態と、閉じばね21の張力を出力できる状態とに切り換えることができることを特徴とする引戸の閉じ支援装置。
上記の閉じ支援装置によれば、閉じ状態の戸パネル1を開放操作するだけで、閉じばね21を蓄力された状態に復帰保持でき、同時にダンパー22を制動待機状態に復帰保持できる。したがって、使用者は、通常の戸パネルと同様に、単に戸パネル1を開閉操作するだけで、閉じ端において閉じ支援機能と制動機能とを発揮させて、戸パネル1の閉じ忘れや、乱暴に閉じ操作されるときの跳ね返りを防止できる。
戸パネル1を閉じた状態において、トリガーアーム52のトリガー爪61が切換具20の受溝79と係合して、可動ブロック34の移動を規制しており、
戸パネル1を閉じ位置から開放操作するのに連動して、ケース23および固定ブロック33が戸パネル1と同行移動して閉じばね21を蓄力し、ロックアーム53がロック開口25と係合して閉じばね21の蓄力状態を保持でき、
引き続き戸パネル1を開放操作することにより、トリガーアーム52をパイロット片27でトリガーばね63の付勢力に抗しながら操作して受溝79との係合を解除できる閉じ支援装置であって、
トリガー爪61が受溝79から離脱するのに先行して、トリガーアーム52をパイロット爪73で揺動操作してトリガー爪61の上端が受溝79の下端近傍に位置保持してある引戸の閉じ支援装置。
上記の閉じ支援装置によれば、トリガー爪61が受溝79から抜け出るのに必要な揺動角度を極力小さくして、トリガー爪61が受溝79から抜け出る動作を円滑に行なって、戸パネル1をより軽快に開放操作できる。また、トリガー爪61が受溝79に接当する時の接当音を抑止して静音化できる。
ロックアーム53がロック解除状態に切り換わり、閉じばね21が収縮している状態において、戸パネル1の閉じ端からトリガーアーム52のトリガー爪61までの距離と、閉じ端から切換具20の受溝79までの距離とが一致させてあり、
任意の開放位置から戸パネル1を閉じ操作してトリガー爪61を受溝79に落ち込み係合させ、引き続き戸パネル1を開放操作して閉じばね21を蓄力し、ロックアーム53をロック状態にリセットできる引戸の閉じ支援装置。
上記の閉じ支援装置によれば、施工時の勘違いや錯誤などによって、閉じ支援装置が正しく組み付けられなかった場合や、何らかの原因でロックアーム53がロック解除状態に切り換わってしまったような場合であっても、閉じ支援装置をガイドレール2から取外す必要もなく、単に戸パネル1を閉じ操作したのち開放操作するだけで、ロックアーム53をロック状態にリセットすることができる。したがって、ユーザーや施工業者にとってリセット作業を簡便にしかも迅速に行なえる閉じ支援装置とすることができる。
上記の実施例では、ケース23の一端をローラー38で支持したが、その必要はなく、図14ないし図16に示すスライダー38(移行体)でケース23を支持することができる。スライダー38は、レール開口2bを内外に挟持する外挟持ブロック85および内挟持ブロック86と、これら両者を連結する連結軸87などで構成する。
外挟持ブロック85は断面が凸字状に形成してあり、その下部前後に規制片40が張り出してある。外挟持ブロック85は固定ブロック33と一体に形成されており、その中央に連結軸87用の挿通穴89が形成してある。挿通穴89の上端と下端とには、内挟持ブロック86を支持する円形の受座90と、連結軸87用の締結座91とがそれぞれ凹み形成してある。外挟持ブロック85の上面の対角隅部には、内挟持ブロック86を着脱姿勢で位置保持する角軸状のストッパー92が突設してある。
内挟持ブロック86は、四角形状の橋絡部94と、橋絡部94の下面に膨出されるボス部95を一体に備えた射出成形品からなり、橋絡部94の対角隅部に先のストッパー92で受け止められる位置決め用の切欠96が形成してある。また、切欠96に連続する短辺部には、固定ブロック33との接当を避ける逃げ面97が部分円弧状に形成してある。短辺部の対向間隔T1がレール開口2bの開口幅Eより大きく設定してあるのに対し、長辺部の対向間隔T2はレール開口2bの開口幅Eより小さく設定してある。内挟持ブロック86の中央には、連結軸87用の挿通穴98が上下貫通状に形成され、その中途部に板ナット99が嵌め込んである。
連結軸87は、下端に操作頭部101を有するボルトからなり、ねじ軸の上端に抜け止め用の座金102がかしめ固定してある。操作頭部101には操作溝103が凹み形成してある。内挟持ブロック86のボス部95を、外挟持ブロック85の受座90に嵌め込んだ状態で、連結軸87を両挟持ブロック85・86の挿通穴89・98に下方から差し込み、さらに連結軸87のねじ軸を板ナット99にねじ込んだ後、座金102をねじ軸の上端にかしめ固定することにより、内挟持ブロック86および連結軸87を外挟持ブロック85に対して分離不能に一体化できる。
上記の状態の内挟持ブロック86は、連結軸87を僅かに緩めることにより、円形の受座90に沿って90度だけ回転変位できる。詳しくは、図14に想像線で示すように、位置決め用の切欠96がストッパー92で受け止められる着脱姿勢と、図14に実線で示すように、橋絡部94の長辺部分がストッパー92で受け止められる掛止姿勢とに姿勢変更できる。したがって、着脱姿勢にした内挟持ブロック86をレール開口2bからレール内へ差し込み、その状態で操作頭部101をドライバーで回動操作することにより、橋絡部94がレール開口2bを前後に横断する掛止姿勢に変更することができる。この後、連結軸87を締め込むことにより、内挟持ブロック86を外挟持ブロック85側へ引き寄せて、内挟持ブロック86を遊動不能に固定できる。この状態のスライダー38は、前後のレール壁2aで支持されてスライド自在に移行案内される。
開放端側がスライダー38で支持してある閉じ支援ユニット4は、図16に示す要領でガイドレール2に組み込む。まず、ランナー3が装填されたガイドレール2を開口枠の上枠に締結する。次に、内挟持ブロック86を着脱姿勢にしたうえで、スライダー38および閉じ支援ユニット4を概ね水平姿勢にして、レール開口2aからレール内へ差し込む。この状態で内挟持ブロック86を連結軸87で回動操作して、レール開口2aを前後に横断する掛止姿勢にし、図15に示すように橋絡部94を前後のレール壁2aに掛止する。この状態で連結軸87を締め込んで、内挟持ブロック86を外挟持ブロック85に固定する。
最後に閉じ支援ユニット4端部に設けたパイロット片27のジョイント部72を、閉じ端側のランナー3の連結座15の下面にあてがって、パイロット片27の下方から差し込んだボルト17を板ナット16にねじ込んで、閉じ支援ユニット4をランナー3に連結する。支援ユニット4を取り外す場合には、ボルト17を緩めて抜き取り、さらに連結軸87を緩めて内挟持ブロック86を着脱姿勢に戻すだけでよい。
上記の実施例では、戸パネル1が吊車型のランナー3で支持してある場合について説明したが、本発明の閉じ支援ユニット4は、戸パネル1が戸車型のランナー3で支持してある場合にも支障なく適用できる。閉じ支援ユニット4とランナー3とは、ボルト17で締結する必要はなく、ピンや、互いに嵌合する係合構造で連結することができる。
1 戸パネル
2 ガイドレール
2b レール開口
3 ランナー
4 閉じ支援ユニット
21 閉じばね
22 ダンパー
23 ケース
38 移行体(ローラー)

Claims (6)

  1. ガイドレール(2)の内部に、戸パネル(1)を支持するランナー(3)と、閉じ支援ユニット(4)とが収容されており、
    閉じ支援ユニット(4)は、閉じばね(21)の張力で戸パネル(1)を閉じ操作する閉止構造と、閉じばね(21)を蓄力できる状態と、蓄力された張力を出力できる状態とに閉止構造を切り換える切換構造と、戸パネル(1)の閉じ動作を制動するダンパー(22)とをケース(23)に収容して構成されており、
    ケース(23)の一端はランナー(3)に連結され、ケース(23)の他端は移行体(38)で支持されており、
    ケース(23)および移行体(38)のそれぞれが、ガイドレール(2)に対してレール開口(2b)から出し入れ可能に形成されており、
    レール内部に挿入した移行体(38)を、レール開口(2b)を横断する姿勢に変位操作して、閉じ支援ユニット(4)をガイドレール(2)に組み込む引戸の閉じ支援装置。
  2. 移行体が、遊転自在な一対のローラー(38)で構成されており、
    使用状態における両ローラー(38)の直径寸法(d)が、レール開口(2b)の前後寸法(E)より小く設定されており、
    両ローラー(38)の中心軸線をレール開口(2b)の長手方向線と平行に保持し、かつ閉じ支援ユニット(4)の全体を縦長に支持した状態で、両ローラー(38)をレール開口(2b)に出し入れできる請求項1記載の引戸の閉じ支援装置。
  3. 移行体が、レール壁(2a)でスライド案内されるスライダー(38)で構成されており、
    スライダー(38)は、レール開口(2b)を内外に挟持する外挟持ブロック(85)および内挟持ブロック(86)と、これら両者を連結する連結軸(87)とを含み、
    内挟持ブロック(86)は、レール開口(2b)に出し入れできる着脱姿勢と、レール開口(2b)を前後に横断する掛止姿勢とに姿勢変更できるよう固定ブロック(85)で支持されており、
    内挟持ブロック(86)を着脱姿勢にした状態で、スライダー(38)および閉じ支援ユニット(4)をレール開口(2b)に出し入れできる請求項1記載の引戸の閉じ支援装置。
  4. 閉止構造が、ケース(23)の一端に固定される固定ブロック(33)と、ケース(23)でスライド案内される可動ブロック(34)とこれら両ブロック(33・34)に掛止される閉じばね(21)とを含み、
    固定ブロック(33)に移行体(38)が装着されており、
    閉じ支援ユニット(4)の浮き離れを規制する規制片(40)が固定ブロック(33)に設けてある請求項1、2または3に記載の引戸の閉じ支援装置。
  5. 閉じ端寄りにおいて戸パネル(1)をゆっくりと閉じ操作する横長の閉じ支援ユニット(4)の一端に、ガイドレール(2)のレール開口(2b)に出し入れできる一対のローラー(38)が設けられており、
    両ローラー(38)の中心軸線をレール開口(2b)の長手方向線と平行に保持し、かつ閉じ支援ユニット(4)の全体を縦長に支持した状態で、両ローラー(38)をレール開口(2b)からガイドレール(2)内に差し込み、
    両ローラー(38)の中心軸線がレール開口(2b)の長手方向線と直交する向きに、閉じ支援ユニット(4)の全体を回転操作して、レール開口(2b)を前後に跨ぐ状態で両ローラー(38)を前後のレール壁(2a)に掛止し、
    閉じ支援ユニット(4)の全体を、両ローラー(38)を支点にして揺動操作してレール開口(2b)からガイドレール(2)内に差し込み、
    閉じ支援ユニット(4)の端部をガイドレール(2)に組み込まれたランナー(3)に連結する閉じ支援装置の施工方法。
  6. 閉じ端寄りにおいて戸パネル(1)をゆっくりと閉じ操作する横長の閉じ支援ユニット(4)の一端に、ガイドレール(2)のレール開口(2b)に出し入れできるスライダー(38)が設けられており、
    スライダー(38)は、レール開口(2b)を内外に挟持する外挟持ブロック(85)および内挟持ブロック(86)と、これら両者(85・86)を連結する連結軸(87)とを備えており、
    スライダー(38)の内挟持ブロック(86)を着脱姿勢にした状態で、スライダー(38)および閉じ支援ユニット(4)をレール開口(2b)から差し込み、
    内挟持ブロック(86)を連結軸(87)で回動操作して、レール開口(2a)を前後に横断する状態で内挟持ブロック(86)を前後のレール壁(2a)に掛止し、
    閉じ支援ユニット(4)の揺動先端側の端部を、ガイドレール(2)に組み込まれたランナー(3)に連結する閉じ支援装置の施工方法。
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