JP2010205913A - 太陽電池モジュールの製造方法、および太陽電池モジュールの製造装置 - Google Patents

太陽電池モジュールの製造方法、および太陽電池モジュールの製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な方法ながらも、従来よりも高精度にセル電極と、それに対向する配線の相対的位置合わせが可能となる、太陽電池モジュールの製造方法および太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】配線2aが形成された基板3の配線形成面とセル電極16が形成された太陽電池セル4の電極形成面とを対向配置し、基板3と太陽電池セル4との間に空隙を設けることにより、互いに対向するセル電極16及び配線2aからなるコンデンサを共振回路の一部とする発振回路を構成し、基板3と太陽電池セル4との相対的な位置関係を変化させ、前記発振回路から出力される信号の発振周波数を観測した結果に基づいて、基板3と太陽電池セル4との相対的な位置関係を決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に太陽電池モジュールの配線接続方式に関し、特に、太陽電池セルと配線との相対的位置関係を最適化することのできる太陽電池モジュール製造方法に関する。
近年、エネルギ資源の枯渇に関する問題や、大気中におけるCOの増加のような地球環境に関する問題等から、クリーンなエネルギの開発が望まれており、特に、太陽電池セルを用いた太陽光発電が新しいエネルギ源として開発、実用化され、発展の道を歩んでいる。
従来の太陽電池セル(以降単にセルと称する)においては、例えば単結晶のシリコン基板または多結晶のシリコン基板の、太陽光が入射する側の表面、即ち受光面に、上述したシリコン基板の導電型と反対の導電型となる不純物を拡散し、受光面近傍にpn接合を形成する。さらに、受光面に一方の電極を配置し、受光面の反対側にある表面、即ち裏面に他方の電極を配置する。
上記タイプの太陽電池では受光面側に電極が存在し、これが太陽光を遮るために太陽電池の発電に寄与する面積が失われるという欠点をもっている。従って、近年では、太陽電池セルの高効率化の一手段として、受光面側の電極による損失、いわゆる「シャドウロス」を無くすため、受光面に電極がなく、p領域に接続される電極とn領域に接続される電極との両方を裏面に形成した「裏面電極型太陽電池セル」が開発されている。非特許文献1では裏面電極型太陽電池セルの構造の一例が開示されている。裏面電極型セルは、電極によるシャドウロスが無く、入射してくる太陽光を100%太陽電池セルに取り込むことができる。このため、原理的にセルの高効率化が可能となる。
上記両タイプのセルのモジュール化について述べる。
従来型セルの場合、まずセルのp及びn電極にインターコネクターと呼ばれるリードをハンダ付けし、電気的出力をセル外部に取り出せるようにする。これら複数のセルのインターコネクターを電気的に接続することにより、太陽電池ストリングを形成し、さらに複数の上記太陽電池ストリングを電気的に接続する。最後に樹脂等の封止材(例:EVA;Ethylene Vinyl Acetate)で封止し、その外側を表面透過材(例:板ガラス)及びバックカバー(例:白色PET材)を挟合し、ラミネート・キュア処理を施し、太陽電池モジュールが作製される。従来型のセルでは、pとnの2つの電極はセルの受光面側と裏面側に分離して存在しているので、これらに接続される少なくとも2本のインターコネクターはセルの受光面側と裏面側の両面に存在する。そして、インターコネクター間の絶縁は、両電極間に存在するシリコン基板によって保持される。
しかし、裏面電極型セルの場合、pとnの2種類の電極はセルの裏面側に局在しているので、2種類の電極からの電気的出力の取り出しは、セルの裏面に接する、ただ一つの平面によってなされねばならない。さらにpとn電極は同一平面上において絶縁されねばならない。この要求を満たすため、同型セルからの電気出力取り出しには、インターコネクターではなく、セル裏面に密着する基板が用いられる場合もある。この場合、基板にはセル裏面の電極に対向する位置に配線が印刷されている。セル裏面と基板の界面において、電極と配線が完全に密着することにより電気出力の取り出しが可能になる。1つの基板には複数のセルが集積されるので、セル同士を電気的に接続する役目も兼ねている。
このように、従来型の太陽電池セルと裏面電極型セルにおいてモジュールの作製方法を比較した場合、前者では、pとnの2種類の電極はそれぞれセルの二つの面、即ち表面と裏面から取り出せばよいのに対して、後者では一つの面、即ち裏面側のみから取り出される点が異なっている。
DEVELOPMENT OF 20% EFFICIENCY MASS PRODUCTION SI SOLAR CELLS, Kyotaro Nakamura et al, 20th EUPVSEC, 6-10 Jun 2005, Barcelona, Spain
裏面電極型セルのモジュール化には従来型セルのそれには存在しなかった難しさが存在する。セル裏面に密着する基板を電気的出力の取り出しに用いる場合、セルと基板の位置合わせが困難である。セルに数百ミクロンピッチで設けられた電極と、基板に印刷された該電極に対向する配線とは相対的位置が正確に合致した状態で接合されなければならない。
この作業が、例えばもっとも単純に、視覚的に読み取られたSi(シリコン)ウェハの外形を基準に行われた場合を考える。ウェハの製造、特にスライス時におけるの形状バラツキ等が存在すると、基板外形を所定の位置に設置したとしても、基板裏面に存在する電極とそれが接触すべき基板側の配線との相対的位置が最適でないことが起こり得る。最悪の場合、セル電極と基板上の配線とを接合することにより、p型の導電型を有する部分とn型の導電型を有する部分とが短絡し、その結果デバイスとして機能しないことになってしまう。
次に、例えば、太陽電池電極と基板側の配線の位置関係を探るために、両者間に直流電圧を印加し、両者間の直流導通により相対的位置合わせを行ったとしても、単に「電極と配線がどこか一点で接触している」との情報が得られるに過ぎず、両者が全ての領域で完全かつ最適に接触しているという確証は無い。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも簡易に、従来よりも高精度に、セル電極とそれに対向する配線の相対的位置合わせが可能となる、太陽電池モジュールの製造方法を提供することにある。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、前記課題を解決するために、配線が形成された基板の配線形成面とセル電極が形成された太陽電池セルの電極形成面とを対向配置し、前記基板と前記太陽電池セルとの間に空隙を設けることにより、互いに対向する前記セル電極及び前記配線からなるコンデンサを共振回路の一部とする発振回路を構成し、前記基板と前記太陽電池セルとの相対的な位置関係を変化させ、前記発振回路から出力される信号の発振周波数を観測した結果に基づいて、前記基板と前記太陽電池セルとの相対的な位置関係を決定することを特徴とする。
上記空気絶縁層の厚みを一定に保ち、基板と前記太陽電池セルとの相対的な位置関係を変化させる。この相対的な位置関係を変化させるための手段として、前記太陽電池セルを基板に対して平行方向および回転方向に移動させる。上記配線の直上に上記セル電極が位置したとき、即ち、セルと基板との相対的位置関係が最適化されたとき、上記配線と上記セル電極との対向する部分の面積が最大になる。よって上記コンデンサの静電容量は最大になる。前記発振周波数は前記コンデンサの静電容量に反比例するので、このとき発振周波数は最小になる。したがって、発振周波数を観測しながら基板と前記太陽電池セルとの相対的な位置関係を変化させ、発振周波数が最小となる位置で前記太陽電池セルを前記基板に固定すれば、両者の相対的位置を最適化した状態で、前記太陽電池セルの前記基板への組み付けが可能になる。
本発明によれば、簡易な方法ながらも、従来よりも高精度にセル電極と、それに対向する配線の相対的位置合わせが可能となる、太陽電池モジュールの製造方法および太陽電池モジュールを提供することが可能となる。
前記太陽電池モジュールの製造方法では、前記発振周波数による位置合わせの工程の前に、前記配線と、前記セル電極との位置の粗調を行う工程を有してもよい。
これにより、前記セル電極と前記配線とが一本ずつ、またはそれ以上ずれた状態で対向してしまうことを防ぐことが可能となる。
前記太陽電池モジュールの製造方法では、前記セル電極と、前記配線との間隔は、数十マイクロメートルから数百マイクロメートルであってもよい。
前記太陽電池モジュールの製造方法では、前記太陽電池セルは、前記太陽電池セルを前記基板上に配置するための装置により保持されてもよい。
前記太陽電池モジュールの製造方法では、前記太陽電池セルに用いる基板の導電型をn型とした場合、n側の前記セル電極とそれに対向すべき前記配線とが前記コンデンサを構成し、前記太陽電池セルに用いる基板の導電型をp型とした場合、p側の前記セル電極とそれに対向すべき前記配線とが前記コンデンサを構成してもよい。
前記太陽電池モジュールの製造方法では、前記発振周波数の観測を、VFコンバータと電圧計との組み合わせ、周波数カウンタ、スピーカー、またはCRブリッジで行ってもよい。
前記太陽電池モジュールの製造方法では、前記配線は、インターコネクター、フォトリソグラフィー法やエッチング法、めっき法等の方法にて硬質基板上にパターニングされた硬質基板配線、またはフレキシブル樹脂基板配線であってもよい。
前記太陽電池モジュールの製造方法では、前記空隙には、絶縁体膜、絶縁樹脂、絶縁テープまたは絶縁性突起物を設けてもよい。
本発明の太陽電池モジュールの製造装置は、前記いずれかの製造方法を用いて太陽電池モジュールを製造するための太陽電池モジュールの製造装置であって、前記基板を保持する基板保持手段と、前記太陽電池セルを保持するセル保持手段と、前記基板と前記太陽電池セルとの相対的な位置関係を変化させる移動手段と、前記コンデンサを除く前記発振回路と、前記コンデンサと、前記コンデンサを除く前記発振回路とを電気的に接続する接続手段と、前記発振周波数を観測する観測手段と、を備えたことを特徴とする。
また、前記太陽電池モジュールの製造装置では、前記観測手段は、VFコンバータと電圧計との組み合わせ、周波数カウンタ、スピーカー、またはCRブリッジであってもよい。
これらの製造装置により、前記太陽電池セルと前記基板との相対的位置を最適化した状態で、前記太陽電池セルの前記基板への組み付けが可能になる。
本方式は、従来よりも簡易に、従来よりも高精度に、セル電極とそれに対向する配線の相対的位置合わせを可能とする。以下に本方式を用いた場合の進歩性の詳細を示す。
第一に、本発明では、セルの外形を基準にするのではなく、セル電極とそれに対向する基板上配線の位置関係を基準として、前記基板と前記太陽電池セルとの相対的な位置関係を決定するため、セル外形のバラツキに関係なく、両電極の相対的位置合わせがより確実なものとなり、結果として、太陽電池モジュール特性・信頼性・歩留向上が期待できる。
第二に、上記CCDカメラ等にて視覚検出して基板上にセルマウントを行う方法では、精度向上のためには、視覚検出機構の多点化、視覚検出機構そのものの分解能の向上、セルマウンターの電気配線猥雑化に伴うシステム全体の大型化等の必要がある。これに対して、本発明の実施形態に係る方法によれば、用いなくてもよく、併用してもよい、最低限かつ低精度の視覚素子と、セルを平行移動させる機構と、VFコンバータと電圧計との組み合わせ、周波数カウンタ、スピーカー、またはCRブリッジ等の周波数検出素子とを設けるだけでよい。よって、上記セル外形基準視覚検出によるシステム、即ち上記CCDカメラ等にて視覚検出して基板上にセルマウントを行う方法を用いるシステムよりも簡易なシステムを構築でき、システム全体のコストダウンも期待できる。
第三に、本発明の実施形態に係る方法によれば、セル電極のパターンの変更、または基板上の配線パターンの変更を行う必要がある場合でも、システムを変更する必要がない。
(a)は、本発明の実施例に係る、基板、太陽電池セル及び外部回路の関係を示す図であり、(b)は、(a)のA部の拡大図である。 本発明の実施例に係る、配線とセル電極とによって構築される擬似的コンデンサを用いた発振回路、及び周波数カウンタからなる回路の等価回路図である。 本発明の実施例に係る、基板と太陽電池セルの平面図である。 本発明の他の実施例に係る、(a)セル電極と配線との相対位置が一致した状態及び、(b)一本ずつずれた状態で対向していることを示す側面図である。 本発明の実施例に係る、セル電極と配線との相対位置の調節機構を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図及び(c)は(a)のB部の拡大図である。 (a)は、本発明の実施例に係る、太陽電池セルと配線とが完全に対向していることを示す図であり、(b)は、本発明の実施例に係る、太陽電池セルと配線との一部が対向していることを示す図である。 (a)は本発明の他の実施例に係る、セルマウンター及び該セルマウンターに用いられるコンピュータを示す斜視図であり、(b)は(a)のC部の配線図である。 本発明の他の実施例に係る、基板に太陽電池セルをマウントすることを示す平面図である。 (a)は、本発明の他の実施例に係る、太陽電池セルからの電極取り出し機構を裏面から見た図であり、(b)は、本発明の他の実施例に係る、太陽電池セルを側面から見た図である。
〔実施例〕
本発明の一実施形態について、裏面電極型太陽電池セルのモジュール化を例に挙げ、太陽電池モジュール形成方法を実施例1、実施例2、および図1〜図9に基づいて説明する。
本実施例中の数値は、太陽電池セル及び配線パターンデザインを鑑みた値、かつ、発振周波数をモニタリングしやすい値として挙げたものであるが、特にこの値に限定されず、同様のシステムに適用されうる。
本実施例では、交流の周波数を検出できる測定装置として周波数カウンタを用いているが、周波数をモニタリング(観測)できる素子であれば、VFコンバータと電圧計との組み合わせ、スピーカー、またはCRブリッジを用いても良い。
〔実施例1〕
本実施例1では、太陽電池セル1枚と基板上の配線との位置を制御することにより太陽電池セルをマウントする方法についての簡易実験を行った。実験方法及び実験結果を、図面および数式に基づいて説明すると以下の通りである。
(1)図1(a)のように、フレーム底板1(これ以降単に底板1と称する)上に配線2がパターニングされた基板3を密着固定した。本実施例1では底板1の面積が基板3の面積よりも大きいが、底板1の面積と基板3の面積とを等しくしてもよい。また、図1(b)は、図1(a)のA部の拡大図である。
金属である配線2は、櫛形の構造を有している。配線2は、±X方向に伸びる複数の配線2aと、配線2aの全てを接続する、Y方向に伸びる配線2bとを有している。本実験は本発明の原理的な検証を目的としており、できる限りシンプルな系で動作を確認したい。よって、配線2aの内の一本と、配線2aに対向する太陽電池セル4(以降単にセル4と称する)に設けられた、セル電極16の内の一つとの相対的位置を最適化することとした。
まず、符号5で示される配線パターンの一端を切除加工し、配線2aの片端にはんだ付け等にてワイヤ配線6aの一端を接続し、セル電極16の片端にはんだ付け等にてワイヤ配線6bの一端を接続した。これにより、ワイヤ配線6aの一端とワイヤ配線6bの一端との間に、配線2a及びセル電極16によるコンデンサが構成される。
その後、ワイヤ配線6a,6bの他端を、抵抗R1,R2、及びインバータゲート素子INV1,INV2で構成される外部回路7に接続した。この結果、配線2a及びセル電極16により構成されるコンデンサと、外部回路7により発振回路が構成される。その発振出力は周波数カウンタ8に入力される。
抵抗R1は保護抵抗であり、抵抗値は2MΩである。抵抗R2の抵抗値は1MΩである。また、インバータゲート素子INV1,INV2はCMOSタイプのものである。特に限定しないが、例えば74HC04等を用いる。
以上の構成を等価回路で表すと、図2の等価回路となる。抵抗R2及び、セル電極16と配線2aとによって構築される擬似的コンデンサ17が共振回路を形成する。抵抗R2の抵抗値をR、擬似的コンデンサ17の静電容量をCとすると、発振回路60の発振周波数f(Hz)は、f=1/(2.2CR)((1)式)で表される。(1)式より、発振周波数fと静電容量Cとは反比例の関係にある。
外部回路7は一例として示したものである。太陽電池セル4と配線2との間の静電容量を共振回路におけるコンデンサとして用いるタイプの発振回路であれば、他の形態であっても構わない。
(2)図3のように、基板3上には、セル位置合わせ用のアライメントマーク11が基板の4隅に設けられている。セル4の外周をアライメントマーク11にあわせることにより、セルと基板の相互位置関係の粗調を行った。粗調の必要性を図3のyz断面図である図4を用いて説明する。本発明においては、図4(a)に示すように、ある配線34の直上に本来位置合わせすべきセル電極35が位置すれば問題は無い。しかし図4(b)に示すように、本来位置合わせすべきセル電極35に隣接するセル電極36が対向しても、発振周波数fが最小となり、セルと基板の相対位置が最適であると判断されてしまう。すなわちセル電極と配線とが間違った位置関係であっても、それが合っていると誤認されてしまい、セル電極と配線とが一本ずつ、またはそれ以上ずれた状態で対向してしまう可能性がある。本実施形態における粗調とは、セル電極と配線とが一本ずつ、またはそれ以上ずれた状態で対向してしまうことが無いように、図3における基板3上の粗調用のアライメントマーク11を基準として、基板3に対する太陽電池セル4の位置を大まかに定めることを意味する。
(3)図5に示されるように、セル4及び基板3は、セル4の周辺に枠組みされたフレーム13に覆われており、ビスの回転可動方向が±Y方向と平行になるようにフレーム13に設けられた2つのビス14が設けられている。ビス14の先端はセル4の端に接触しており、ビス14を締めたり緩めたりすることで、セル4は平行移動方向(Y方向)にのみ位置調整が可能である。また、フレーム13にはスケール15を組み込み、セル4の移動量が分かるようにした。セル4の外形際近傍に位置する箇所の基板3上に、セル4と基板3との間に空隙9を設けるための絶縁性物質10を貼付した。絶縁性物質10としては、例えばテープや絶縁硬化樹脂が用いられ、本実施例1では厚さ50μmのカプトンテープを用いることとした。
(4)また、図6のように、セル電極16の面積をS、セル電極16と配線2aとの間に設けられた空隙9の距離をdとすると、セル電極16と配線2aによって構築される擬似的コンデンサの静電容量Cは、以下に示す(2)式で表される。ここで、εは空隙9における誘電率であり、空隙が空気中であるのでε=ε=8.854×10−12[F/m]である。また、Sはセル電極16と配線2aとの対向する部分の面積である。
Figure 2010205913
(3)で述べたように、ビス14の頭を回して、セル4を±Y方向に平行移動すれば、あるタイミングで、図6(a)に示すようにセル電極16と配線2aとが完全に対向し、静電容量Cは最大となるので、発振周波数fは最小となる。空隙9の距離dは常に50μmである。また、面積Sの一例として、S=25mm程度であるから、セル電極16と配線2aとが完全に対向したときの最大の静電容量Cは、(2)式より約4pF程度となる。このとき、発振周波数は(1)式より284kHz程度となる。なお、面積Sが25mm程度である理由は、セル電極幅が200um程度であり、セル電極長さが125mm程度であるためである。
また、別のあるタイミングでは、セル電極16と配線2aとが完全に対向しない。このとき、図6(b)に示されるようにセル電極16と配線2aとの間の対向する部分の面積がS’となり、図6(a)における面積Sよりも小さくなる。よって、図6(b)に示される状態では、図6(a)に示される状態よりも静電容量Cが小さくなるので発振周波数fはより高くなる。
したがって、発振周波数を観測しながらセル4をY方向に平行移動し、発振周波数が最小となる位置にセル4を固定するにより、セル電極16と配線2aの相対的位置の最適化が実現される。
〔実施例2〕
本実施例2では、実際に配線がパターニングされた基板上にセルをマウントしていき、1枚の太陽電池モジュールを作製する方法について以下に説明する。
図7(a)は、装置の全体像である。図7(b)は、図7(a)において+z方向から−z方向を見たときのC部の配線図である。
(1)セルマウンター18の底板1は、基板20を保持する。基板20は、4×3=12個の太陽電池セル21を有する太陽電池モジュールを作製することを想定されている。基材(ここでは基板20)をシワなく設置しておく必要があるため、底板1には吸着機能等を持たせる必要がある。底板1は、例えばステンレス鋼(SUS)製であり、底板1の厚みは、数mm〜数cm程度である。
(2)セルピックアップアームは、太陽電池セル21を吸着し基板20へと導く。セルピックアップアームに内蔵されているセル吸着器42は、太陽電池セル21の四隅近傍部に1本ずつ計4本設けられている。
(3)図7(b)に示すように、基板20上には、〔実施例1〕と同様な粗調用のアライメントマーク11が備えられており、太陽電池セル21は、CCDカメラ45等により得られた視覚的情報をもとに〔実施例1〕にならう方法により、大まかな位置が定められる。
(4)本発明による方法により、太陽電池セルと基板の相対位置が厳密に定められる。これについては後述する。
(5)太陽電池セル21は、位置が固定された後で、ディスペンサ43により接着剤(セル位置硬化樹脂)を塗布される。なお、太陽電池セル21の位置が固定される前に、予め接着剤を塗布してもよい。
(6)UVプローブ44は、ディスペンサ43により塗布された接着剤を硬化させる。ディスペンサ43により塗布された接着剤が熱硬化型の硬化剤である場合、UVプローブ44は熱源として動作する。
(7)(2)〜(6)を全ての太陽電池セルに対し繰り返すことにより、マウントが完了する。
(8)太陽電池セルのマウントが完了した後、各セル電極と各セル電極に対応する配線とを接合し、封止材による挟合、表面透過材及びバックカバーによる挟合、及びラミネート・キュア処理がなされ、太陽電池モジュールが作製される。
コンピュータ41は、上記の制御全般を司る。より具体的には、CCDカメラ45等によるセルの画像認識、実施例2の主目的であるセル電極(後述する図9中30)と配線(後述する図8中19)とにより構成されるコンデンサを用いた発振回路60(図2)から出力される信号の発振周波数を検出及び、検出された周波数の情報を元にしたセルの位置制御(後述するセルピックアップアームの制御)を行っても良い。
上記工程中の(4)を詳細に述べる。
図8はセルマウンター18を上から見た図である。底板1上に配線19がパターニングされた基板20と共に、図1で示した外部回路7をセルマウンター18に組み込む。外部回路7は、例えば底板1上のセルマウントに支障を来たさない位置等に設置することが想定される。外部回路7の出力と周波数カウンタ8の入力とを同軸ケーブルにより接続する。周波数カウンタ8を用いたのはあくまでも例であり、上述したように周波数がモニタリングできる装置であれば特に限定されない。
本実施例2では、基板20上にパターニングされた配線19、及び太陽電池セル21における複数の独立したn側のセル電極(後述する図9中30)すべてが、発振周波数を決定する擬似コンデンサにおける2つの電極となる。配線19は取り出しピン26を通じ、一方、n側のセル電極は後述するコの字形状金属端子31を通じて外部回路7につながっている。2つの電極の間に必要な絶縁部は、セルピックアップアーム(図7のセル吸着器42)にて、太陽電池セル21を、配線19に対しz方向にある一定の空隙、例えば50〜100μm程度を有するように保持することにより形成される。
図9に太陽電池セル21からの電極取出し法を示す。太陽電池セル21において複数の独立したn側のセル電極30のすべてが、コンデンサにおける片方の電極となるため、これらは電気的に短絡されねばならない。図9(a)及び図9(b)に示すように、上記セルピックアップアームには、コの字形状金属端子31が設けられている。コの字形状金属端子31の下部は、複数のn側のセル電極30の全てに接触し上記の短絡を実現している。なお、このコの字形状金属端子31は、p側のセル電極32に触れないように留意する必要がある。
上記状態で、擬似的コンデンサと外部回路7とにより構成される発振回路が出力する信号の発振周波数を周波数カウンタ8にて観測しながら、上記セルピックアップアームにより、図8の矢印33が示す方向への平行移動及び、矢印33Aが示す方向への回転移動を太陽電池セル21に対して行い、上記発振周波数が最小となる箇所が、セル電極30と配線19とが完全に対向した箇所ということになる。
なお、本実施の形態において、太陽電池セル4,21に用いる基板の導電型をn型とした場合、n側のセル電極30とそれに対向すべき上記配線がコンデンサを構成し、太陽電池セル4,21をp型とした場合、p側のセル電極32とそれに対向すべき上記配線がコンデンサを構成してもよい。
また、配線は、インターコネクター、フォトリソグラフィー法やエッチング法、めっき法等の方法にて硬質基板上にパターニングされた硬質基板配線、またはフレキシブル樹脂基板配線であってもよい。
さらに、空隙9には、絶縁体膜、絶縁樹脂、絶縁テープまたは絶縁性突起物を設けてもよいが、これに限定されず、設けなくてもよい。
さらに、セル電極と、配線との間隔は、数十マイクロメートルから数百マイクロメートルであってもよい。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、簡易な方法ながらも、従来よりも高精度にセル電極と、それに対向する配線の相対的位置合わせが可能となるので、裏面電極型太陽電池セルを用いた太陽電池モジュールの製造に好適に用いることが出来る。
また、本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、受光面近傍にpn接合を形成すると共に、受光面に一方の電極を配置し、受光面の反対側にある表面、即ち裏面に他方の電極を配置して製造された太陽電池セルを用いた太陽電池モジュールの製造にも好適に用いることが出来る。
1 フレーム底板(基板保持手段)
2,2a,2b,19,34 配線
3,20 基板
4,21 太陽電池セル
5 配線パターンの一端
6a,6b ワイヤ配線
7 外部回路(コンデンサを除く発振回路)
8 周波数カウンタ(観測手段)
9 空隙
10 絶縁性物質
11 アライメントマーク
13 フレーム
14 ビス
15 スケール
16,30,32,35,36 セル電極
17 擬似的コンデンサ
18 セルマウンター
26 取り出しピン(接続手段)
31 コの字形状金属端子(接続手段)
33,33A 矢印
41 コンピュータ
42 セル吸着器(セル保持手段、移動手段)
43 ディスペンサ
44 UVプローブ
45 CCDカメラ
60 発振回路
C 静電容量
f 発振周波数
INV1,INV2 インバータゲート素子
R 抵抗値
R1,R2 抵抗
S、S’ 面積
d 距離
ε,ε0 誘電率

Claims (10)

  1. 配線が形成された基板の配線形成面とセル電極が形成された太陽電池セルの電極形成面とを対向配置し、前記基板と前記太陽電池セルとの間に空隙を設けることにより、互いに対向する前記セル電極及び前記配線からなるコンデンサを共振回路の一部とする発振回路を構成し、
    前記基板と前記太陽電池セルとの相対的な位置関係を変化させ、前記発振回路から出力される信号の発振周波数を観測した結果に基づいて、前記基板と前記太陽電池セルとの相対的な位置関係を決定することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
  2. 前記発振周波数による位置合わせの工程の前に、前記配線と、前記セル電極との位置の粗調を行う工程を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  3. 前記セル電極と、前記配線との間隔は、数十マイクロメートルから数百マイクロメートルであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  4. 前記太陽電池セルは、前記太陽電池セルを前記基板上に配置するための装置により保持されることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  5. 前記太陽電池セルに用いる基板の導電型をn型とした場合、n側の前記セル電極とそれに対向すべき前記配線とが前記コンデンサを構成し、
    前記太陽電池セルに用いる基板の導電型をp型とした場合、p側の前記セル電極とそれに対向すべき前記配線とが前記コンデンサを構成することを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  6. 前記発振周波数の観測を、VFコンバータと電圧計との組み合わせ、周波数カウンタ、スピーカー、またはCRブリッジで行うことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  7. 前記配線は、インターコネクター、フォトリソグラフィー法やエッチング法、めっき法等の方法にて硬質基板上にパターニングされた硬質基板配線、またはフレキシブル樹脂基板配線であることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  8. 前記空隙には、絶縁体膜、絶縁樹脂、絶縁テープまたは絶縁性突起物を設けていることを特徴とする請求項7に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法を用いて太陽電池モジュールを製造するための太陽電池モジュールの製造装置であって、
    前記基板を保持する基板保持手段と、
    前記太陽電池セルを保持するセル保持手段と、
    前記基板と前記太陽電池セルとの相対的な位置関係を変化させる移動手段と、
    前記コンデンサを除く前記発振回路と、
    前記コンデンサと、前記コンデンサを除く前記発振回路とを電気的に接続する接続手段と、
    前記発振周波数を観測する観測手段と、を備えたことを特徴とする太陽電池モジュールの製造装置。
  10. 前記観測手段は、VFコンバータと電圧計との組み合わせ、周波数カウンタ、スピーカー、またはCRブリッジであることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
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