JP2010204572A - 反射スクリーン、映像表示システム - Google Patents

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Abstract

【課題】明るい室内等であってもコントラストが高く、高輝度な画像を得ることができ、製造が容易であり安価で提供できる反射スクリーン、及び、これを備える映像表示システムを提供する。
【解決手段】スクリーン面に直交する断面における断面形状が略台形形状である光透過部12と、光透過部12間に形成され、スクリーン面に沿って光透過部12と交互に配置され、気体が存在する空洞部13と、光透過部12の裏面側であり、その台形形状の頂部に形成された反射部14と、反射部14及び空洞部13より裏面側に設けられた光吸収層16とを備える反射スクリーン10、及び、これを備える映像表示システムとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、前方から投影された映像光を反射させて観察可能とする反射スクリーン、及び、これを備える映像表示システムに関するものである。
従来、この種の反射スクリーンは、透明シートの前面側に光透過拡散層、背面側に光反射用のリニアフレネルレンズ面が設けられたものが知られていた(例えば、特許文献1)。また、特許文献2には、外光によるコントラストの低下を抑え、好適な視野角を得ることを可能にする反射スクリーンの構成が開示されている。さらに、特許文献3には、レンチキュラーレンズと反射部を設けた裏面の直交方向に配列されたリニアフレネルレンズの組み合わせによる反射スクリーンについて記載されている。
この種の反射スクリーンでは、よりコントラストの高い画像を得たいという要求、及び、投影側光源の光量が少ない場合であっても、できる限り高輝度な画像を得たいという要求が常にある。また、高輝度な画像を得られた場合であっても、不要な映り込みを排除することも、常に要求されることである。
さらに、上述した従来の反射スクリーンでは、その製造工程が複雑になり、結果として製造コストが高くなるという問題があった。
特許文献4には、単位プリズム形状の間の谷部分に光吸収部が形成されており、コントラストが高く、高輝度な映像を表示でき、製造が容易な反射スクリーンが開示されている。しかしながら、より製造が容易であり、生産コストを抑え安価に提供できる反射スクリーンとしたいという要求があった。
特開平8−29875号公報 特開平10−62870号公報 特開2002−311507号公報 特開2006−301588号公報
本発明の課題は、明るい室内等であってもコントラストが高く、高輝度な画像を得ることができ、製造が容易であり安価で提供できる反射スクリーン、及び、これを備える映像表示システムを提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、映像源から投影された映像光を反射させて観察可能にする反射スクリーンであって、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能な光透過部(12,22,32)と、前記光透過部とスクリーン面に沿って交互に複数配列され、気体が存在する空洞部(13,23,33)と、を備え、前記光透過部の裏面側には、光を反射する反射部(14)が形成され、前記空洞部及び前記反射部より裏面側に光を吸収する光吸収層(16)が形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(10,20,30)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、前記光透過部(12,22,32)は、スクリーン面に対して直交し、かつ、その配列方向に平行である断面において、裏面側における幅より前記映像源側における幅の方が広い略台形形状であること、を特徴とする反射スクリーン(10,20,30)である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、前記反射部(14)は、前記光透過部(12,22,32)の略台形形状の頂部に対応する部分にのみ形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(10,20,30)である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、前記光透過部(22)は、その配列方向において、非対称な形状であること、を特徴とする反射スクリーン(20)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、前記光透過部(32)と前記空洞部(33)との界面(32a,32b)がスクリーン面の法線方向となす角度(α2,β2)は、前記光透過部と前記空洞部との配列方向の位置に応じて異なる(α3,β3)こと、を特徴とする反射スクリーン(30)である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、前記反射部(14)は、該反射スクリーンの使用状態における垂直方向よりも水平方向の拡散作用が強いこと、を特徴とする反射スクリーン(10,20,30)である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の反射スクリーン(10,20,30)と、前記反射スクリーンに映像光を投影する映像源(Ls1,Ls2)と、を備える映像表示システムである。
請求項8の発明は、請求項7に記載の映像表示システムにおいて、前記映像源(Ls1,Ls2)は、前記反射スクリーン(10,20,30)の使用状態において、前記反射スクリーンの中央を通る法線より下方となる位置に設置されること、を特徴とする映像表示システムである。
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明による反射スクリーンは、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能な光透過部と、光透過部とスクリーン面に沿って交互に複数配列され、気体が存在する空洞部とを備え、光透過部の裏面側には、光を反射する反射部が形成され、空洞部及び反射部より裏面側に光を吸収する光吸収層が形成されている。
空洞部は、気体が存在するため、光透過部と空洞部との屈折率差が大きくなり、映像光は、空洞部と光透過部との境界面で全反射することができるので、映像光の反射損失を少なくできる。また、外光は、空洞部に入射して裏面側へ進み、光吸収部で吸収されるので、不要な外光によるコントラストの低下を御防止できる。以上のことから、本発明によれば、照明等の付いた明るい室内であっても、不要な外光を吸収し、コントラストが高い画像を表示できる。
また、空洞部は、気体が存在するので、製造が容易であり、反射スクリーンを軽量化できる。
(2)光透過部は、スクリーン面に対して直交し、かつ、その配列方向に平行である断面において、裏面側における幅より映像源側における幅の方が広い略台形形状であるので、照明等の付いた明るい室内であっても、映像光を観察者側へ効率よく反射でき、高輝度な画像を表示できる。
(3)反射部は、光透過部の略台形形状の頂部に対応する部分にのみ形成されているので、容易に製造することができる。
(4)光透過部は、その配列方向において、非対称な形状であるので、映像光をより効率よく必要な方向へ戻すことができ、かつ、不要な外光をより効率よく光吸収部側へ向けることができるので、コントラスト向上効果や映像の輝度向上効果を高めることができ、良好な映像を表示できる。
(5)光透過部と空洞部との界面がスクリーン面の法線方向となす角度は、光透過部と空洞部との配列方向の位置に応じて異なるので、反射スクリーンに対する映像光や外光が入射すると想定される方向に応じて最適な形状とすることができ、外光吸収効果を高め、かつ、映像光をより効率よく必要な方向へ戻すことができる。従って、映像源として、例えば、反射スクリーンへ近距離から映像光を投射する短焦点系のプロジェクター等を用いた場合のように、映像光の入射角度が反射スクリーン上の位置によって大きく異なるときにも、コントラストが高く、輝度の高い良好な映像を表示することができる。
(6)反射部は、反射スクリーンの使用状態における垂直方向よりも水平方向の拡散作用が強いので、垂直方向に比べてより広い視野角を確保する必要がある水平方向に対して、視野角を広げることができる。
(7)本発明による反射スクリーンと、反射スクリーンに映像光を投影する映像源とを備える映像表示システムであるので、照明等の付いた明るい室内であっても、コントラストが高く、高輝度な映像を表示できる。
(8)映像源は、反射スクリーンの使用状態において、反射スクリーンの中央を通る法線より下方となる位置に設置されるので、スクリーンの中央の法線方向から映像光を投射するような一般的なスクリーンと映像源との位置関係に加えて、例えば、机上に設置された映像源から映像光を斜め上方へ向けて投射して反射スクリーン上に表示する等、スクリーンの中央より下方から映像光を投射する場合等においても、コントラストが高く、高輝度な映像を表示できる。
第1実施形態の映像表示システムを示す図である。 反射部14を形成する前の光透過部12を裏面側から見た図である。 光透過部12に入射した映像光及び外光の様子を説明する図である。 第2実施形態の反射スクリーン20の垂直方向での断面の拡大図である。 第3実施形態の映像表示システムを示す図である。 第3実施形態の反射スクリーン30の垂直方向での断面の拡大図である。 光透過部32に入射した映像光及び外光の様子を示す図である。
本発明は、明るい室内等であってもコントラストが高く、高輝度な画像を得ることができ、製造が容易であり安価で提供できる反射スクリーン、及び、これを備える映像表示システムを提供するという目的を、スクリーン面に直交する断面における断面形状が略台形形状である光透過部と、光透過部間の谷部分に形成され、スクリーン面に沿って光透過部と交互に配置され、気体が存在する空洞部と、光透過部の裏面側であり、その台形形状の頂部に形成された反射部と、反射部及び空洞部より裏面側に設けられた光吸収層とを備える反射スクリーン、及び、これを備える映像表示システムとすることにより実現した。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の映像表示システムを示す図である。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。特に図1や後述の図5では、室内照明G、映像源Ls1,Ls2、反射スクリーン10,20をまとめて模式的に示しているため、実際とは配置関係が異なり、各光線の入射角度等が後述の説明における大小関係とは異なる部分が含まれている。
また、本明細書中に記載する材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本実施形態の映像表示システムは、反射スクリーン10、映像源Ls1を備えており、映像光を投影するプロジェクター光学エンジン部(映像源)Ls1を、反射スクリーン10の中央を通る法線に対して下方に設置し、図1に示すように、映像光L1を、主に、正面方向や斜め上方へ投射させる配置としている。
なお、本実施形態では、映像源Ls1を反射スクリーン10の中央を通る法線に対して下方に設置する例を挙げて説明するが、反射スクリーン10の中央に対して水平に映像光を投射する配置としてもよい。
また、この映像表示システムは、本実施形態では、室内照明Gが天井等の上方に配置された室内に設置されている。従って、室内照明Gが発する照明光G1等の環境光は、反射スクリーン10に対して主に上方から入射する。
本実施形態の映像表示システム及びこれに用いられる反射スクリーン10は、このような、環境光等が主に反射スクリーンの上方から入射する環境を考慮してなされたものである。
反射スクリーン10は、図1には、スクリーン面に直交し、かつ、反射スクリーン10の使用状態における垂直方向に平行な方向における断面図が示されている。
ここで、スクリーン面とは、反射スクリーン10全体として見たときにおける、反射スクリーン10の平面方向となる面を示すものであり、以下の説明中、及び、特許請求の範囲においても同一の定義として用いている。
また、以下の説明中において、特に断りが有る場合を除いて、垂直方向,水平方向とは、反射スクリーン10の使用状態における垂直方向,水平方向を示すものとする。
さらに、以下の説明中において、反射スクリーン10の垂直方向での断面図とは、図1に示すように、スクリーン面に直交し、かつ、反射スクリーン10の使用状態における垂直方向に平行な方向における断面図を示すものとする。
本実施形態の反射スクリーン10は、基材層11、光透過部12、空洞部13、反射部14、接着層15、光吸収層16、表面処理層17等を備えている。
基材層11は、光透過部12を形成するときに必要な基材となる部分であり、光透過性を有し、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の樹脂製のシート又はフィルム状の部分である。本実施形態では、基材層11は、アクリル樹脂を用いて形成されている。なお、この基材層11には、必要に応じて所定の透過率に減じさせるようなグレー等の染料や顔料等で着色(ティント)が施されていてもよい。
光透過部12は、光透過性を有し、図1に示す断面において、裏面側における幅より映像源側(観察面側)における幅の方が広い略台形形状であり、スクリーン面に沿って(図1では、垂直方向に)複数配列されている。
光透過部12は、紫外線硬化型樹脂を基材層11上に塗布し、型を当て付けた状態で紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させることにより、上述のような略台形形状が賦形される。なお、本実施形態では、光透過部12は、紫外線硬化型樹脂を用いて形成される例を示したが、これに限らず、電離放射線硬化型樹脂等の他の光硬化型樹脂を用いてもよい。また、アクリル樹脂、PET樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて、熱溶融押し出し成形によって形成してもよい。なお、光透過部12を熱溶融押し出し成形で形成する場合には、基材層11を設けない形態としてもよい。
空洞部13は、隣り合う光透過部12の間の谷部分に形成され、空気が存在する部分である。
本実施形態では、図1に示すように、光透過部12と空洞部13とは、スクリーン面に沿って垂直方向に交互に配列されている。
また、本実施形態では、光透過部12及び空洞部13は、垂直方向での断面形状は、垂直方向(光透過部12及び空洞部13の配列方向)において対称(上下方向において対称)な形状である。
反射部14は、光透過部12の略台形形状の頂部に対応する部分にのみ設けられ、映像光を反射して映像源側(観察面側)へ戻す部分である。本実施形態では、反射部14は、シルバー色塗料を用いてグラビアリバースコートにより形成されている。光透過部12は、頂部が突出した形状となっているため、空洞部13を形成する予定の光透過部12の谷部分に塗料が付着することを防ぎながら、反射部14を光透過部12の頂部のみに形成することが容易に行える。
図2は、反射部14を形成する前の光透過部12を裏面側から見た図である。
本実施形態では、反射部14が形成される前の状態において、光透過部12の裏面側の面であり、略台形形状の頂部となる面(図2中に示す光透過部12の上底面12c)に、光透過部12及び空洞部13の配列方向に平行な方向(光透過部12及び空洞部13の長手方向に直交する方向)、すなわち、反射スクリーン10の使用状態における垂直方向に意図的に細かい筋目が残るように仕上げられている(ヘアライン加工)。この微細な筋目は、例えば、サンドペーパー等により、光透過部12の上底面12cを垂直方向に擦ることにより形成してもよいし、予め光透過部12の上底面12cに対応する部分に、微細な筋目に対応した形状が賦形された金型を用いて形成してもよい。
このように、光透過部12の上底面12cに垂直方向に筋目が形成されたことにより、反射面(反射部14と光透過部12との界面)に微細な筋目が形成されていることとなる。これにより、反射部14が反射する光は、垂直方向に比べて、水平方向への拡散反射する成分が多くなる。従って、反射スクリーン10の水平方向への視野角を広げ、水平方向においてどの位置からも見やすい、すなわち、良好に画像を観察できる範囲(角度)が広い反射スクリーン10とすることができる。
図1に戻って、接着層15は、反射部14及び空洞部13と光吸収層16との間に設けられ、略透明であり、粘着性を有する部分である。接着層15は、光吸収層16を、光透過部12等と接合する機能を有している。
光吸収層16は、光を吸収する作用を有する層であり、反射部14及び空洞部13より裏面側に設けられている。光吸収層16は、例えば、黒色の樹脂製のシート状の部材を用いることができる。
本実施形態では、光吸収層16及び接着層15は、黒色のPET樹脂製のシート状の部材の片面に、予め接着材又は粘着材が塗布されたシートを用いているので、反射部14が形成された光透過部12の裏面側にそのシートを貼付することにより、空洞部13を容易に形成できる。なお、光吸収層16及び接着層15は、ドライラミネート法と呼ばれる方法により形成されたシートを用いて形成してもよい。
表面処理層17は、基材層11より映像源側(観察面側)に設けられる層であり、反射防止、防眩、帯電防止、紫外線吸収、ハードコート、防汚等の処理が施される層である。
本実施形態では、表面処理層17は、反射防止処理が施されており、不要な外光の映り込みや映像源の映り込み等を低減する機能を有している。なお、この表面処理層に施す処理は、必要に応じて、適宜選択して自由に施すことができる。
図3は、光透過部12に入射した映像光及び外光の様子を説明する図である。なお、図3では、反射スクリーン10は、垂直方向での断面の拡大図が示されており、理解を容易にするため、基材層11と表面処理層17とは、省略して示してある。
室内照明Gは、反射スクリーン10に対して上方に位置しているため(図1参照)、照明光等の不要な外光の多くは、反射スクリーン10の上方から、大きな入射角度で入射する(図3に示す外光G2)。
光透過部12に入射した外光G2は、光透過部12と空洞部13との界面に対して臨界角を超えない角度で入射するので、空洞部13へ入射して裏面側へ向かい、光吸収層16により吸収される。
また、裏面側から反射スクリーン10へ到達した外光G3は、裏面側に設けられた光吸収層16によって吸収される。
一方、映像源Ls1から投射された映像光の多くは、反射スクリーン10のスクリーン面に対して、略法線方向から入射(L2,L3)、又は、外光G2に比べて小さな入射角度で入射(L4)する。
スクリーン面に対して略法線方向から光透過部12に入射した映像光の一部は、図3に示す映像光L2のように、光透過部12を透過して反射部14で反射して、映像源側へ戻され、観察者O側へ向かう。
また、スクリーン面に対して略法線方向から光透過部12に入射したその他の映像光は、図3に示す映像光L3のように、光透過部12と空洞部13との界面に対して臨界角以上の角度で入射して、その界面で全反射して反射部14へ向かう。映像光L3は、反射部14で反射した後に、光透過部12と空洞部13との界面で再び全反射する等して、観察者O側へ向かう。このとき、映像光L3は、光透過部12と空洞部13との界面では全反射しているので、反射損失を小さく抑えることができ、映像光の光量低下を防止できる。
さらに、下方から斜めに反射スクリーン10へ入射する大部分の映像光L4は、外光G2に比べて反射スクリーン10に対して小さな入射角度で入射する。映像光L4は、図3に示すように、光透過部12と空洞部13との界面に対して臨界角以上の角度で入射するので、その界面で全反射して反射部14へ向かい、反射部14で反射して再度光透過部12と空洞部13との界面で全反射する等して観察者O側へ向かう。
上述のように、本実施例によれば、映像のコントラスト低下の原因となる照明光等の外光を効率よく吸収でき、かつ、映像光を観察者O側へ効率よく戻すことができる。従って、照明が点いている明るい室内であっても、コントラストが高く、高輝度で良好な映像を表示することができる。
また、反射部14の反射面は、垂直方向に比べて強い水平方向への拡散作用を有しているので、水平方向への視野角を広げることができる。従って、水平方向において良好な映像を観察できる領域を増やすことができる。
さらに、空洞部13は、空気が満たされており、製造が容易であり、生産コストを抑えることができるので、高画質の反射スクリーンを安価で提供できる。また、空洞部13には、空気が満たされているので、反射スクリーン10を軽量化することができる。
さらにまた、表面処理層17は、反射防止処理を有しているので、不要な外光の映り込みや、映像源の映り込みを低減でき、画質をより向上させることができる。
なお、本実施形態では、一例として、映像源Ls1を反射スクリーン10の中央を通る法線に対して下方に設置する場合を例に挙げて説明した。これは、このような配置とした場合に、特に顕著に上述の効果を発揮するからである。しかし、このような配置に限らず、反射スクリーン10の中央に対して水平に映像光を投射する配置とした場合にも、本実施形態と同様に、明室環境下であっても、コントラストが高く、高輝度で良好な映像を表示することができる。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態の反射スクリーン20の垂直方向での断面の拡大図である。なお、理解を容易にするために、図4では、表面処理層17及び基材層11は、光透過部22と同じ屈折率であるものとして、反射スクリーン20に入射する後述の外光G4及び映像光L5の様子を示している。
第2実施形態の反射スクリーン20は、垂直方向における断面での光透過部22及び空洞部23の形状が第1実施形態に示した反射スクリーン10と異なる点以外は、第1実施形態に示した反射スクリーン10と略同様の形態である。従って、第1実施形態の反射スクリーンと同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第2実施形態の反射スクリーン20は、基材層11,光透過部22,空洞部23,反射部14,接着層15,光吸収層16,表面処理層17等を備えている。この第2実施形態の反射スクリーン20は、第1実施形態の反射スクリーン10等と略同様の映像表示システムに使用することができる。
光透過部22の空洞部23との界面となる2つの面のうち、映像源Ls1に近い方の面(光透過部22の下側の面)を第1の面22a、映像源Ls1から遠い方の面(光透過部22の上側の面)を第2の面22bとし、第1の面22a,第2の面22bスクリーン面の法線方向となす角度をそれぞれ、α1,β1とする。なお、本実施形態の映像表示システムでは、映像源Ls1は、反射スクリーン20のスクリーン面の中央よりも下方に配置されているので、光透過部22の下側の面を映像源Ls1に近い側の面とした。
本実施形態では、反射スクリーン20の垂直方向における位置に関わらず、α1及びβ1の値は一定であり、α1>β1となっており、光透過部22及び空洞部23は、垂直方向において非対称な形状である。
光透過部22及び空洞部23を、上述のような形態とすることにより、第1の面23aに臨界角を超えない角度で入射する外光(図4に示す外光G4)の量を増やすことができ、また、第2の面23bに対して臨界角以上の角度で入射して全反射する映像光(図4に示す映像光L5)の量を増やすことができる。
従って、本実施形態によれば、上方からの外光をより効率よく光吸収層16側へ向かわせて吸収することができ、かつ、下方からの映像光をより効率よく観察者側へ戻すことができる。よって、コントラストが高く、高輝度で良好な映像を表示することができる。
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態の映像表示システムを示す図である。
第3実施形態の反射スクリーン30は、垂直方向での断面において、光透過部32及び空洞部33の形状が、第1実施形態に示した反射スクリーン10とは異なる点以外は、第1実施形態に示した反射スクリーン10と略同様の形態である。従って、第1実施形態の反射スクリーン10と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態の映像表示システムは、第3実施形態の反射スクリーン30を用いており、映像源Ls2の映像光の投射距離が第1実施形態に示した映像源Ls2に比べて短い点が異なる以外は、第1実施形態に示した映像表示システムと略同様の形態である。
第3実施形態の反射スクリーン30は、基材層11,光透過部32,空洞部33,反射部14,接着層15,光吸収層16,表面処理層17等を有している。
光透過部32及び空洞部33は、光透過部32及び空洞部33の配列方向、すなわち、反射スクリーン30の垂直方向における位置によって、光透過部32と空洞部33との界面が反射スクリーン30の法線方向となす角度が異なる。図5に示すように、映像源Ls2から遠い反射スクリーン30の上方(領域A)と、映像源Ls2に近い反射スクリーン20の下方(領域B)とでは、光透過部32及び空洞部33の形状が異なっている。
図6は、反射スクリーン30の垂直方向での断面の拡大図である。図6(a)は、図5中に示す領域Aでの断面図であり、図6(b)は、図5中に示す領域Bでの断面図である。なお、図6では、理解を容易にするために、基材層11及び表面処理層17を省略して示している。
ここで、光透過部32の空洞部33との界面となる2つ面のうち、映像源Ls2に近い方の面(図6では、光透過部32の下側の面)を第1の面32aとし、映像源Ls2から遠い方の面(図6では、光透過部32の上側の面)を第2の面32bとする。
図6(b)に示すように、映像源Ls2に近い反射スクリーン30の下方では、第1の面32aがスクリーン面の法線方向となす角度α2と、第2の面32bがスクリーン面の法線方向となす角度β2とは略等しく、光透過部32及び空洞部33は、垂直方向において略対称な形状である。
しかし、映像源Ls2から離れるにしたがい、すなわち、反射スクリーン30の上方となるにしたがい、徐々に、第1の面32aがスクリーン面の法線方向となす角度は大きくなり、第2の面32bがスクリーン面の法線方向となす角度は小さくなる。
そして図6(a)に示すように、反射スクリーン30の上方では、第1の面32aがスクリーン面の法線方向となす角度α3が、第2の面32bがスクリーン面の法線方向となす角度β3より大きくなり、光透過部32及び空洞部33は、垂直方向において非対称な形状となっている。
上述のように、本実施形態では、反射スクリーン30の垂直方向に沿って映像源Ls2から離れるにしたがって、光透過部32と空洞部33との界面がスクリーン面の法線方向となす角度が徐々に変化する形態となっている。
図7は、光透過部32に入射した映像光及び外光の様子を示す図である。図7(a)は、図6(a)と同様に、図5に示す領域Aでの断面を示し、図7(b)は、図6(b)と同様に、図5に示す領域Bでの断面を示している。また、図7では、図6と同様に、基材層11及び表面処理層17は省略して示している。
図7(b)に示すように、反射スクリーン30の下方(反射スクリーン30の映像源Ls2に近い側)では、映像源Ls2から投射された映像光は、光透過部32に対してスクリーン面の略法線方向から入射する。そのため、一部の映像光は、図3に示す映像光L2のように、光透過部32を透過して反射部14で反射して観察者O側へ戻される。また、その他の映像光L6は、光透過部32と空洞部33との界面となる第1の面32a及び第2の面32bに対して、臨界角以上の角度で入射する。従って、映像光L6は、第1の面32a,第2の面32bで全反射する。その後、反射部14で反射し、第2の面32b,第1の面32aで再び全反射して観察者O側へ戻される。
一方、外光G5は、反射スクリーン30の上方から反射スクリーン30に対して大きな入射角度で入射するため、光透過部32への入射角度も、映像光L6に比べて大きい。そのため、外光G5は、第1の面32a及び第2の面32bに対して臨界角を超えない角度で入射するので、空洞部33に入射して裏面側へ向かい、光吸収層16によって吸収される。
また、図7(a)に示すように、反射スクリーン30の上方(映像源Ls2から遠い側)では、映像光L7は、斜め下方から反射スクリーン30に入射するため、光透過部32への入射角度は、反射スクリーン30の下方での入射角度(図7(b)参照)に比べて大きい。
ここで、反射スクリーン30の上方では、第2の面32bがスクリーン面の法線方向となす角度β3が、反射スクリーン30の下方で第2の面32bがスクリーン面の法線方向となす角度β2に比べて小さいため、映像光L7の光透過部32への入射角度が下方に比べて大きい反射スクリーン30の上方であっても、映像光L7が第2の面32bに臨界角以上の角度で入射する。
従って、映像光L7の多くは、主に、第2の面32bで全反射して反射部14へ向かう。反射部14で反射した映像光L7は、第1の面32aで再び全反射する等して観察者O側へ戻される。
一方、外光G6は、図7(a)に示すように、反射スクリーン30の上方では、反射スクリーン30の下方での入射角度(図7(b)参照)に比べて、やや小さい入射角度で反射スクリーン30入射するため、光透過部32への入射角度も、反射スクリーン30の下方での入射角度に比べて小さくなる。
ここで、反射スクリーン30の上方で第1の面32aがスクリーン面の法線方向となす角度α3は、反射スクリーン30の下方で第1の面がスクリーン面の法線方向となす角度α2より大きい。従って、外光G6は、多くの成分が第2の面32bに対して臨界角を超えない角度で入射して空洞部33内を裏面側へ向かい、光吸収層16により吸収される。
また、反射スクリーン30の垂直方向における位置に関係なく、反射スクリーン30の裏面側から反射スクリーン30へ入射使用する外光G7は、光吸収層16によって吸収される。
上述のように、本実施形態によれば、スクリーンの垂直方向で、光透過部32及び空洞部33の形状が映像源Ls2から離れるにしたがって変化し、反射スクリーン30の垂直方向の位置に応じてその形状が異なるので、反射スクリーン30上の位置によって異なる映像光及び外光の入射角度に合せて、効率よく映像光を反射して観察者O側へ戻す効果や、外光を効率よく吸収する効果を、さらに高めることができる。
よって、照明が点いた明るい室内等であっても、コントラストが高く、高輝度であって、明るさが均一でムラのない良好な映像を表示することができる。
また、本実施形態の反射スクリーン30は、光透過部32及び空洞部33の形状(すなわち、第1の面32a及び第2の面32bがスクリーン面の法線方向となす角度)を、反射スクリーン30の垂直方向に沿って変化させているので、従来の映像源に比べ、より近い距離からより大きな入射角度で映像光を投射する短焦点系のプロジェクター等を映像源として使用する場合にも、良好な映像を表示できる。
なお、本実施形態では、図7に示すように、映像光の投射距離が短く、反射スクリーン30への入射角度が大きい映像表示システムを例に挙げて説明したが、これはあくまで一例であり、これに限らず、本実施形態に比べて映像光の投射距離が長く、反射スクリーンへの映像光の入射角度が小さい映像表示システム(例えば、図1に示す第1実施形態の映像表示システム)であっても、光透過部32及び空洞部33の形状を適宜設定することにより、良好な映像を表示できる。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、空洞部13,23,33には空気が満たされている例を示したがこれに限らず、例えば、反射スクリーンの水平方向における両端部を密閉して、窒素ガス等の他の気体を充填する等してもよい。
(2)各実施形態において、光透過部12,22,32は、平面を組み合わせた略台形形状である例を示したが、これに限らず、例えば、その一部又は全てが曲面を組み合わせた形状としてもよい。また、光透過部12,22,32は、略台形形状に限らず、例えば、光透過部の空洞部との界面がスクリーンの法線方向に略平行である略矩形形状等の多角形形状としてもよい。
(3)第3実施形態において、光透過部32及び空洞部33は、反射スクリーン30の垂直方向に沿って映像源Ls2から離れるにしたがって、光透過部32と空洞部33との界面である第1の面32a,第2の面32bがスクリーンの法線方向となす角度が徐々に変化する形態となっている例を示したがこれに限らず、例えば、反射スクリーンを垂直方向において幾つかの領域に分け、その領域内で第1の面,第2の面がスクリーン面の法線方向となす角度は一定であり、垂直方向において領域毎に第1の面,第2の面がスクリーン面の法線方向となす角度が変化する形態としてもよい。
(4)各実施形態において、接着層15は、略透明である例を示したが、これに限らず、例えば、光を吸収する黒色顔料又は染料等を混入した黒色の接着層とし、光吸収作用を高めてもよい。
(5)各実施形態において、反射部14は、塗料を用いてグラビアリバースコートにより形成される例を示したが、これに限らず、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット方式による塗布等の形成方法を用いてもよい。
また、本実施形態では、反射部14は、塗料を塗布して形成される例を示したが、これに限らず、例えば、金属箔や転写箔等を用いて形成してもよいし、アルミニウム、銀、クロム等を蒸着して形成してもよいし、それらの金属を蒸着したフィルム等を用いてもよい。
さらに、反射部14は、シルバー色塗料を用いる例を示したが、これに限らず、塗装後の表面がマットとなるつや消しの反射塗料や、塗装後の表面の映り込みの大きい(テカリの強い)グロス白系の塗料、高反射性の白色塗料、マイカ(雲母)やビーズを適宜混入させた塗料等を使用してもよい。これらを適宜使い分けることにより、観察領域や輝度、光源の映り込み防止効果等を制御できる。
(6)各実施形態において、光透過部12の裏面側の面(図2に示す上底面12c)に微細な筋目を形成する例を示したが、これに限らず、例えば、予め、高反射性塗膜等の表面に微細な筋目やエンボス等が形成されたシート又はフィルムを反射部として用いてもよい。
(7)各実施形態において、反射スクリーン10,20,30の観察面側(映像源側)の表面に、反射防止処理等が施された表面処理層17が設けられる例を示したが、これに限らず、例えば、表面処理層17を設けず、基材層11の観察面側(映像源側)表面に微細な凹凸を設けて、反射防止機能を持たせてもよい。
(8)各実施形態において、反射スクリーン10,20,30は、固定式である例を示したが、これに限らず、例えば、不使用時には巻き取って収納可能な巻き取り式の反射スクリーンとしてもよい。
(9)各実施形態において、光透過部12,22,32及び空洞部13,23,33は、同一断面形状で水平方向に延在し、垂直方向に配列される例を示したが、これに限らず、例えば、光透過部及び空洞部を水平方向に配列し、垂直方向に同一の断面形状が延在するように配置してもよく、反射スクリーンが使用される環境や、映像源及び外光源の位置等に合せて適宜自由に選択してよい。
(10)第3実施形態において、反射スクリーン30の下方(図5に示す領域B)では、第1の面32a,第2の面32bがスクリーン面の法線方向となす角度α2,β2は、略等しく、光透過部32及び空洞部33は、上下方向(垂直方向)に対称な形状である例を示したが、これに限らず、映像源や室内照明等の位置に応じて、α2<β2であり、光透過部32及び空洞部33が上下方向に非対称な形状としてもよい。
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
10,20,30 反射スクリーン
11 基材部
12,22,32 光透過部
13,23,33 空洞部
14 反射部
15 接着層
16 光吸収層
17 表面処理層

Claims (8)

  1. 映像源から投影された映像光を反射させて観察可能にする反射スクリーンであって、
    スクリーン面に対して直交する断面において、
    光を透過可能な光透過部と、
    前記光透過部とスクリーン面に沿って交互に複数配列され、気体が存在する空洞部と、
    を備え、
    前記光透過部の裏面側には、光を反射する反射部が形成され、
    前記空洞部及び前記反射部より裏面側に光を吸収する光吸収層が形成されていること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  2. 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記光透過部は、スクリーン面に対して直交し、かつ、その配列方向に平行である断面において、裏面側における幅より前記映像源側における幅の方が広い略台形形状であること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  3. 請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記反射部は、前記光透過部の略台形形状の頂部に対応する部分にのみ形成されていること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記光透過部は、その配列方向において、非対称な形状であること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記光透過部と前記空洞部との界面がスクリーン面の法線方向となす角度は、前記光透過部と前記空洞部との配列方向の位置に応じて異なること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記反射部は、該反射スクリーンの使用状態における垂直方向よりも水平方向の拡散作用が強いこと、
    を特徴とする反射スクリーン。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の反射スクリーンと、
    前記反射スクリーンに映像光を投影する映像源と、
    を備える映像表示システム。
  8. 請求項7に記載の映像表示システムにおいて、
    前記映像源は、前記反射スクリーンの使用状態において、前記反射スクリーンの中央を通る法線より下方となる位置に設置されること、
    を特徴とする映像表示システム。
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