JP2010203647A - 排熱回収方法および排熱回収システム - Google Patents

排熱回収方法および排熱回収システム Download PDF

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Abstract

【課題】 高温の排ガスから効率良く熱回収を行うことができる排熱回収方法および排熱回収システムを提供する。
【解決手段】 廃棄物(11a)のガス化溶融処理または焼却処理によって発生し、燃焼処理された排ガスの顕熱を回収する排熱回収方法において、ボイラ(4)によって排ガスの熱を回収し、90℃以上かつ100℃よりも低い第1の温度状態の冷却水を、ボイラを通過した排ガスとの間の熱交換によって、略100℃となる第2の温度状態に変換する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、廃棄物を燃焼させた際に発生する高温の排ガスに対して、熱回収および冷却を行う排熱回収方法および排熱回収システムに関するものである。
廃棄物を燃焼させると、高温の排ガスが発生するが、この排ガスをボイラに導いて、熱回収を行うようにしているものがある。図5を用いて、従来におけるごみのガス化溶融システムについて説明する。
ごみピット111に収容されたごみ111aは、ごみクレーン110により溶融炉101の頂部から投入され、溶融炉101内におけるごみ111aの熱分解によって発生したガスは、ガス管102を経由して、燃焼室103にて燃焼される。燃焼室103での燃焼に必要な空気は、燃焼空気送風機108から燃焼室103に供給される。燃焼ガスの温度は、850〜1050℃の高温になり、後段のボイラ104にて熱回収される。
ボイラ104は、水冷壁で構成されており、燃焼室103からの排ガスは、放射冷却部104eで冷却され、さらに、過熱器104d、蒸発器104c、節炭器104bにより冷却、熱回収される。
ボイラ104には、ボイラ給水ポンプ109からボイラ用の水が供給され、供給された水は、節炭器104bを経由して、気水分離ドラム104aに導かれる。気水分離ドラム104a内の水は、水冷壁および蒸発器104cに供給され、蒸気となって気水分離ドラムに戻る。気水分離ドラムの蒸気は、過熱器104dに送られ、過熱蒸気となって、ボイラ104から取り出される。この蒸気は、通常、蒸気タービンに送られ、発電に用いられる。
ボイラ104を通過した排ガスの温度は、約200℃となっており、減温塔105にて、水スプレーノズル105aを用いた蒸発冷却方式により、約150〜170℃に冷却される。減温塔105からバグフィルタ(集塵器)106に移動した排ガスは、バグフィルタ106で除塵された後、誘引送風機107から煙突に送られる。ここで、減温塔105にて排ガスを冷却する目的は、バグフィルタ106に供給される排ガスの温度がバグフィルタ106で用いられているろ布の耐熱温度を超えてしまうのを防止するためと、バグフィルタ106において排ガスに含まれる塩化水素を除去する効率を高めるためである。
特開昭61−157333号公報 特開2002−228139号公報
図5に示す構成では、減温塔105において、水を噴霧させて排ガスを冷却しているため、熱回収という観点からはエネルギの損失となってしまう。
ここで、減温塔105での冷却処理を省略するためには、ボイラ104において、減温塔105での温度範囲(基準温度範囲、例えば、150〜170℃)まで排ガスを冷却させることが望ましい。しかしながら、例えば、ボイラ104のうち、最も下流に位置する節炭器104bにおいて、排ガスの温度を所定の温度に低下させようとしても、節炭器104bを通過した後の排ガスの温度を制御することはできない。節炭器104bに供給されるボイラ用の水量は、気水分離ドラム104aの水位や蒸気の発生量に基づいて決定されるためである。
また、節炭器104bに供給される水の温度は、節炭器104bの伝熱管が低温腐食等してしまうのを防止するために、通常、約110〜140℃に設定されており、節炭器104bで熱交換された水の温度は、約160℃となる。このような構成では、節炭器104bにおいて、排ガスの温度を上述した基準温度範囲まで低下させることは困難である。
本発明の主な目的は、高温の排ガスから効率良く熱回収を行うことができる排熱回収方法および排熱回収システムを提供することにある。
本願第1の発明は、廃棄物のガス化溶融処理または焼却処理によって発生し、燃焼処理された排ガスの顕熱を回収する排熱回収方法において、ボイラによって排ガスの熱を回収し、90℃以上かつ100℃よりも低い第1の温度状態の冷却水を、ボイラを通過した排ガスとの間の熱交換によって、一部が蒸気化した気水混合状態の略100℃となる第2の温度状態に変換することを特徴とする。
ここで、第2の温度状態の気水混合水を用いて、燃焼処理に用いられる燃焼空気を温めることができる。また、燃焼空気を加温した後の冷却水を、第1の温度状態に戻るため、排ガスとの熱交換に再度用いることができる。すなわち、冷却水を循環させて利用することができる。さらに、第2の温度状態の冷却水は、燃焼空気の加温に用いるとともに、その一部を排ガスとの熱交換に用いられる冷却水を第1の温度状態に維持するために用いることができる。
本願第2の発明は、廃棄物のガス化溶融処理または焼却処理によって発生し、燃焼処理された排ガスの顕熱を回収する排熱回収システムにおいて、排ガスとの熱交換によって蒸気を発生させて熱回収を行うボイラと、ボイラを通過した排ガスに対して、冷却水を用いて熱交換を行わせる排ガス用熱交換器と、排ガス用熱交換器に対して、冷却水を90℃以上かつ100℃よりも低い第1の温度状態で供給する供給機構と、を有している。そして、排ガス用熱交換器は、供給機構から供給された冷却水を、排ガスとの間の熱交換によって、略100℃の気水混合状態である第2の温度状態に変換する。
ここで、第2の温度状態の冷却水を用いて、燃焼処理に用いられる燃焼空気を温める燃焼空気用熱交換器を設けることができる。また、排ガス用熱交換器と隣り合う位置に配置され、ボイラからの排ガスを熱交換させずに通過させる通路と、通路内における排ガスの移動量を調節するためのダンパと、を設けることができる。
一方、燃焼空気を加温した後の冷却水が導かれ、排ガス用熱交換器に供給される冷却水を収容する給水タンクを設けることができる。そして、第2の温度状態の冷却水を燃焼空気用熱交換器に導くダクトから分岐され、第2の温度状態の冷却水を給水タンクに導く分岐ダクトと、分岐ダクトを介して給水タンクに導かれる冷却水の量を調節するための弁と、給水タンク内の水温を検出するための水温センサと、水温センサによる検出温度に基づいて、弁の駆動を制御するコントローラと、を設けることができる。ここで、コントローラは、検出温度が90℃以上かつ100℃よりも低くなるように、弁の開閉状態を制御して、給水タンクに導かれる第2の温度状態の冷却水の量を調節することができる。
本願第3の発明は、廃棄物のガス化溶融処理または焼却処理によって発生し、燃焼処理された排ガスの温度を調節する温度調節システムにおいて、排ガスの移動経路内に配置され、冷却水を用いた熱交換によって排ガスの冷却を行わせる伝熱管と、伝熱管と隣り合って配置され、排ガスを冷却させることなく通過させる通路と、通路内における排ガスの通過量を調節するためのダンパと、を有することを特徴とする。
そして、ダンパの駆動を制御するコントローラと、伝熱管および通路を通過した排ガスの温度を検出するための温度センサと、を設けることができる。ここで、コントローラは、温度センサによる検出温度が基準温度範囲の下限値よりも低ければ、通路における排ガスの通過量を増加させ、検出温度が基準温度範囲の上限値よりも高ければ、通路における排ガスの通過量を減少させることができる。
本願第1および第2の発明によれば、ボイラで熱交換された排ガスに対して、第1の温度状態の冷却水を用いて熱交換を行わせることができる。これにより、ボイラでは回収することができない熱エネルギを、冷却水を用いて回収することができる。第1の温度状態から第2の温度状態に変換された冷却水は、例えば、燃焼処理で用いられる燃焼空気を温めるために用いることができ、熱エネルギを効率良く利用することができる。
本発明の実施例1であるガス化溶融システムの構成を示す図である。 実施例1のボイラ出口側における一部の構成を示す図である。 図2のA−A断面図である。 排ガスバイパス制御弁における排ガスの温度調節処理を示すフローチャートである。 従来のガス化溶融システムの構成を示す図である。
以下、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例1である排熱回収システムを備えたガス化溶融システムについて、図1を用いて説明する。
ごみピット11に収容されたごみ11aは、ごみクレーン10によって搬送されて、溶融炉1内に、この頂部から投入される。ごみ11aは、溶融炉1内において、高温雰囲気のもとで熱分解され、熱分解によって発生した排ガスは、ガス管2を通過して、燃焼室3に導かれる。燃料室3では、燃焼空気を用いて、排ガスの燃焼が行われる。
ここで、燃焼室3には、燃焼空気送風機8が接続されており、燃焼空気送風機8から燃焼室3内に空気が供給されるようになっている。燃焼空気送風機8から送り出される空気の温度は、常温となっているが、燃焼空気送風機8からの空気は、後述するように、空気熱交換器14からの熱を受けて温められるようになっている。
燃焼室3での燃焼処理によって、排ガスは、例えば、850〜1050℃の高温状態となり、ボイラ4に導かれる。ボイラ4は、水冷壁で構成されており、燃焼室3からの排ガスは、放射冷却部4e、過熱器4d、蒸発器4c、節炭器4bおよび排ガス熱交換器12に対して、この順に接触することにより、熱交換が行われる。
ボイラ給水ポンプ9は、ボイラ4への給水を行い、ボイラ給水ポンプ9から供給された水は、節炭器4bを通過して、気水分離ドラム4aに導かれる。ボイラ給水ポンプ9からの水は、節炭器4bの伝熱管を移動する際に、節炭器4bを通過する排ガスから熱を受ける。例えば、節炭器4bに供給される水温は110〜140℃であり、節炭器4bでの熱交換後の水温は、約160℃〜180℃前後となる。気水分離ドラム4aの水は、水冷壁および蒸発器4cに導かれ、蒸発器4c等を移動する排ガスからの熱を受けて、蒸気となる。
蒸発器4cで生成された蒸気は、気水分離ドラムを介して、過熱器4dに導かれる。そして、過熱器4dでは、過熱器4dを通過する排ガスによって、過熱蒸気が生成され、ボイラ4から取り出される。ボイラ4から取り出された過熱蒸気は、蒸気タービンに供給され、蒸気タービンの駆動によって発電機で電力を生成している。なお、排ガス熱交換器12の具体的な構成および動作について、後述する。
上述したように、燃焼室3で生成された高温の排ガスは、ボイラ4を通過することにより、冷却されて、熱回収が行われる。そして、ボイラ4を通過した排ガスは、バグフィルタ(集塵器)6に導かれて、排ガスに含まれる塵(塩化水素、硫黄酸化物、飛灰等)が除去される。具体的には、バグフィルタ6内には、複数のろ布6aが設けられており、ボイラ4からの排ガスを、ろ布6aを通過させることにより、集塵処理が行われる。
バグフィルタ6を通過した排ガスは、誘引送風機7を介して、煙突に供給され、煙突から大気中に排出される。ここで、図5に示す従来の構成では、ボイラ104およびバグフィルタ106の間に、減温塔105が配置されているが、本実施例では、減温塔105が省略されており、ボイラ4からの排ガスが直接、バグフィルタ6内に導かれるようになっている。
また、本実施例のボイラ4では、節炭器4bに対して、排ガスの移動方向における下流側に、排ガス熱交換器12を配置している。排ガス熱交換器12は、節炭器4bを通過した排ガスと接触して、この排ガスの熱を吸収する。なお、本実施例では、排ガス熱交換器12を、ボイラ4内に設けているが、これに限るものではなく、ボイラ4およびバグフィルタ6の間における排ガスの移動経路上に配置することができる。すなわち、バグフィルタ6内に排ガスが進入する前に、排ガス熱交換器12を用いて、排ガスの温度を低下させておけばよい。
排ガス熱交換器12の具体的な構成について、図2および図3を用いて説明する。ここで、図2は、排ガス熱交換器12の周辺構造を示す拡大図である。また、図3は、図2のA−A断面図であって、排ガス熱交換器12の構成を示す上面図である。
排ガス熱交換器12は、ベアチューブで構成された伝熱管12aを有している。ボイラ4のうち、排ガス熱交換器12が位置する領域は、3つの領域C1〜C3に分けられており、領域C2,C3には、伝熱管12aが配置されている。また、領域C2,C3の間に位置する領域C1には、排ガスバイパス制御弁15が配置されている。排ガスバイパス制御弁15の構成については、後述する。
伝熱管12aには、循環ポンプ13(図1参照)から水が供給されるようになっており、伝熱管12a内を移動する水によって、伝熱管12aの外面に接触した排ガスが冷却される。循環ポンプ13は、給水タンク17に収容された水を、伝熱管12aに供給する。伝熱管12aに供給される水の温度は、90℃以上であって、100℃よりも低くなっている。90℃以上の水を伝熱管12aに供給することにより、伝熱管12aの温度を、90℃以上(100℃よりも低い)に維持でき、伝熱管12aが低温腐食してしまうのを抑制することができる。
伝熱管12a内の水は、伝熱管12aを通過する排ガスからの熱を受けて、略100℃の気液混合水(蒸気および水が混合したもの)となる。節炭器4bを通過した排ガスの温度、言い換えれば、排ガス熱交換器12に進入する排ガスの温度は、平均200℃程度となっており、伝熱管12aに供給される90℃以上の水によって、排ガスの温度を効率良く低下させることができる。すなわち、伝熱管12aの伝熱面積を増加させることなく、排ガス熱交換器12において排ガスの冷却を行うことができる。
伝熱管12a内で発生した気液混合水は、排ガス熱交換器12から取り出されて、循環ダクト25を介して、燃焼空気熱交換器14に導かれる。燃焼空気熱交換器14は、燃焼空気送風機8および燃焼室3を接続するダクト26に設けられており、排ガス熱交換器12から導かれた気液混合水の熱を、ダクト26内を移動する空気に伝達させる。これにより、燃焼空気送風機8から送り出された空気は、温められた状態で燃焼室3に供給される。また、燃焼空気熱交換器14での熱交換によって、気液混合水は液化し、この水は、給水タンク17に導かれる。
燃焼空気熱交換器14によって温められた空気を燃焼室3に供給することにより、燃焼室3での燃焼効率を向上させることができる。また、ボイラ4に導かれる排ガスの熱量を増加させることができ、ボイラ4における蒸気の発生量を増加させることができる。さらに、従来の構成(図5)において減温塔105で廃棄されている熱エネルギを用いて、燃焼室3に供給される空気を温めているため、燃焼室3で生成された熱エネルギを効率良く利用することができる。
なお、燃焼空気熱交換器14の伝熱管を移動する空気には、ダストがないため、燃焼空気熱交換器14の伝熱管として、例えば、フィンチューブを用いることができる。
給水タンク17内には、スタートアップ用にヒータ24が配置されており、ヒータ24で発生した熱によって、給水タンク17内の水温を、90℃以上であって、100℃よりも低くしている。ヒータ24の熱源としては、例えば、蒸気を用いることができる。
また、本実施例のガス化溶融システムを起動させる前に、給水タンク17内の水温を予め上昇させておけば、排ガス熱交換器12における伝熱管12aの低温腐食を抑制したり、バグフィルタ6の入口温度を上昇させやすくしたりすることができる。なお、給水タンク17には、外部(大気)との間で空気の移動を許容させるための通気管18が設けられている。そして、通気管18を設けることにより、給水タンク17内の水温が100℃を超えてしまうのを阻止している。
本実施例では、循環ダクト25に分岐ダクト27が接続されており、分岐ダクト27は、伝熱管12aからの気液混合水の一部を給水タンク17内に導くようにしている。ここで、分岐ダクト27には、水量調節弁22が設けられており、給水タンク17に導かれる気液混合水の量が調節される。
水量調節弁22の動作は、水温制御装置21によって制御される。具体的には、水温制御装置21は、水温センサ23の出力に基づいて、給水タンク17内の水温を検出し、この検出結果に基づいて、水量調節弁22の駆動を制御する。
ここで、水温センサ23による検出温度が90℃よりも低ければ、水量調節弁22を開き方向に動作させることにより、伝熱管12aから給水タンク17に向かう気液混合水の量を増加させる。これにより、給水タンク17内に高温の気液混合水が混ざり、給水タンク17内の水温を上昇させることができる。また、通常の状態では、給水タンク17内の水温が90℃以上であり、水量調節弁22は閉じている。
このような制御を行うことにより、給水タンク17内の水温を90℃以上であって、100℃よりも低い温度に維持することができる。
次に、排ガスバイパス制御弁15の構成について、説明する。なお、本実施例では、1つの排ガスバイパス制御弁15を用いているが、排ガスバイパス制御弁15を複数用いることもできる。
排ガスバイパス制御弁15は、ケーシング15aと、ケーシング15aに回転可能に支持された回転軸15bと、回転軸15bの外周に形成された弁板(ダンパ)15cと、を有している。回転軸15bは、アクチュエータ16に接続されており、アクチュエータ16からの駆動力を受けて回転するようになっている。
回転軸15bは、矢印Rで示す方向に回転するようになっており、ケーシング15aにおける排ガスの移動通路を概ね塞いだり、ケーシング15aにおける排ガスの移動を許容したりする。また、回転軸15bの回転角度を調節することにより、ケーシング15aを通過する排ガスの量を調節することができる。そして、弁板15cを、ケーシング15aの壁面と略平行となるように位置させれば、排ガスバイパス制御弁15における排ガスの通過量を最も多くすることができる。
ボイラ4および除塵機6を接続するダクト28内には、ガス温度センサ20が設けられている。ガス温度センサ20は、ダクト28内を通過する排ガスの温度を検出するために設けられている。なお、ガス温度センサ20は、ボイラ4(排ガス熱交換器12)およびバグフィルタ6の間に位置していればよく、この範囲内において、ガス温度センサ20の配置位置を適宜設定することができる。
排ガス温度制御装置19は、ガス温度センサ20の出力信号に基づいて、排ガスの温度を検出する。また、排ガス温度制御装置19は、ガス温度センサ20による検出温度に基づいて、アクチュエータ16の駆動を制御する。
ここで、排ガス温度制御装置19における具体的な処理動作について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS10において、排ガス温度制御装置19は、ガス温度センサ20の出力に基づいて、排ガスの温度を検出する。そして、ステップS11において、ステップS10で検出された排ガスの温度が基準温度範囲の下限値よりも低いか否かを判別する。基準温度範囲とは、バグフィルタ6に導くことができる排ガスの温度範囲であり、予め設定されている。例えば、基準温度範囲を、150(下限値)〜170(上限値)℃に設定することができる。
ここで、排ガスの温度が150℃よりも低くなってしまうと、バグフィルタ6のケーシング等が低温腐食してしまうおそれがある。また、排ガスの温度が170℃を超えてしまうと、バグフィルタ6の入口煙道に噴霧された消石灰による、バグフィルタ6のろ布6a表面における塩化水素の捕集効果が低下してしまうおそれがある。さらに、排ガスの温度が170℃を超えてしまう場合には、バグフィルタ6のろ布6aとして、耐熱用のろ布6aを用いなければならず、コストアップとなってしまう。そして、排ガスの温度が200℃を超えてしまうと、耐熱用のろ布6aを用いることもできなくなってしまう。
ステップS11において、検出温度が下限値よりも低い場合には、ステップS12に進み、そうでない場合には、ステップS13に進む。
ステップS12において、排ガス温度制御装置19は、アクチュエータ16を駆動することにより、排ガスバイパス制御弁15における排ガスの通過量を増加させる。節炭器4bからの排ガスは、図2に示すように、伝熱管12aを通過する成分と、排ガスバイパス制御弁15を通過する成分とに分けられる。ここで、伝熱管12aを通過する排ガスは、上述したように、伝熱管12a内を移動する水(90〜100℃)との熱交換によって、冷却される。一方、排ガスバイパス制御弁15に進入した排ガスは、冷却されることなく、排ガスバイパス制御弁15を通過する。
このため、排ガスバイパス制御弁15を通過する排ガスの量を増加させれば、ガス温度センサ20によって検出される排ガスの温度を上昇させることができる。
ステップS13において、排ガス温度制御装置19は、ステップS10で検出された排ガスの温度が基準温度範囲の上限値よりも高いか否かを判別する。ここで、検出温度が上限値よりも高ければ、ステップS14に進み、そうでなければ、本処理を終了する。
ステップS14において、排ガス温度制御装置19は、アクチュエータ16を駆動することにより、排ガスバイパス制御弁15における排ガスの通過量を減少させる。排ガスの通過量を減少させれば、ガス温度センサ20によって検出される排ガスの温度を低下させることができる。
上述した制御を行うことにより、ガス温度センサ20によって検出される排ガスの温度、言い換えれば、バグフィルタ6に導かれる排ガスの温度を基準温度範囲内に維持することができる。これにより、バグフィルタ6内のろ布6aに対して、過度の熱的負荷がかかるのを抑制したり、ろ布6aにおける集塵効率を向上させたりすることができる。
本実施例では、熱交換された排ガスと熱交換されていない排ガスとを混合させることにより、バグフィルタ6に導かれる排ガスの温度を調節している。ここで、特許文献1に記載の技術でも、温度が互いに異なる排ガスを混合させることにより、ボイラ出口における排ガスの温度を調節している。しかしながら、本実施例(本発明)は、特許文献1とは異なる構成で、排ガスの温度を調節している。
すなわち、本実施例では、ボイラ4における排ガスの移動経路内(水冷壁内)に、伝熱管12aが配置される領域(領域C2,C3)と、排ガスバイパス制御弁15が配置される領域(領域C1)とを設けている。このように構成すれば、簡素な構成で、バグフィルタ6に導かれる排ガスの温度を調節することができる。一方、特許文献1に記載の構成では、新たなダクトを追加しているため、構造が複雑になってしまう。
1:ガス化溶融炉 2:ガス管
3:燃焼室 4:ボイラ
4a:気水分離ドラム 4b:節炭器
4c:蒸発器 4d:過熱器
4e:放射冷却部 6:バグフィルタ
6a:ろ布 7:誘引送風機
8:燃焼空気送風機 9:ボイラ給水ポンプ
10:ごみクレーン 11:ごみピット
11a:ごみ 12:排ガス熱交換器
13:循環ポンプ 14:燃焼空気熱交換器
15:排ガスバイパス制御弁 15a:ケーシング
15b:回転軸 15c:弁板
16:アクチュエータ 17:給水タンク
18:通気管 19:排ガス温度制御装置
20:ガス温度センサ 21:水温制御装置
22:水量調節弁 23:水温センサ
24:ヒータ 25〜28:ダクト

Claims (11)

  1. 廃棄物のガス化溶融処理または焼却処理によって発生し、燃焼処理された排ガスの顕熱を回収する排熱回収方法において、
    ボイラによって前記排ガスの熱を回収し、
    90℃以上かつ100℃よりも低い第1の温度状態の冷却水を、前記ボイラを通過した前記排ガスとの間の熱交換によって、略100℃で気水混合状態となる第2の温度状態に変換することを特徴とする排熱回収方法。
  2. 前記第2の温度状態の前記冷却水を用いて、前記燃焼処理に用いられる燃焼空気を温めることを特徴とする請求項1に記載の排熱回収方法。
  3. 前記燃焼空気を加温した後の前記冷却水を、前記第1の温度状態で、前記排ガスとの熱交換に再度用いることを特徴とする請求項2に記載の排熱回収方法。
  4. 前記第2の温度状態の前記冷却水は、前記燃焼空気の加温に用いられるとともに、前記排ガスとの熱交換に用いられる前記冷却水を前記第1の温度状態に維持するために用いられることを特徴とする請求項2または3に記載の排熱回収方法。
  5. 廃棄物のガス化溶融処理または焼却処理によって発生し、燃焼処理された排ガスの顕熱を回収する排熱回収システムにおいて、
    前記排ガスとの熱交換によって蒸気を発生させて熱回収を行うボイラと、
    前記ボイラを通過した前記排ガスに対して、冷却水を用いて熱交換を行わせる排ガス用熱交換器と、
    前記排ガス用熱交換器に対して、前記冷却水を90℃以上かつ100℃よりも低い第1の温度状態で供給する供給機構と、を有し、
    前記排ガス用熱交換器は、前記供給機構から供給された前記冷却水を、前記排ガスとの間の熱交換によって、略100℃で気水混合状態となる第2の温度状態に変換することを特徴とする排熱回収システム。
  6. 前記第2の温度状態の冷却水を用いて、前記燃焼処理に用いられる燃焼空気を温める燃焼空気用熱交換器を有することを特徴とする請求項5に記載の排熱回収システム。
  7. 前記排ガス用熱交換器と隣り合う位置に配置され、前記ボイラからの前記排ガスを熱交換させずに通過させる通路と、
    前記通路内における前記排ガスの移動量を調節するためのダンパと、
    を有することを特徴とする請求項5または6に記載の排熱回収システム。
  8. 前記燃焼空気を加温した後の前記冷却水が導かれ、前記排ガス用熱交換器に供給される前記冷却水を収容する給水タンクを有することを特徴とする請求項6に記載の排熱回収システム。
  9. 前記第2の温度状態の前記冷却水を前記燃焼空気用熱交換器に導くダクトから分岐され、前記第2の温度状態の前記冷却水を前記給水タンクに導く分岐ダクトと、
    前記分岐ダクトを介して前記給水タンクに導かれる前記冷却水の量を調節するための弁と、
    前記給水タンク内の水温を検出するための水温センサと、
    前記水温センサによる検出温度に基づいて、前記弁の駆動を制御するコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、前記検出温度が90℃以上かつ100℃よりも低くなるように、前記弁の開閉状態を制御して、前記給水タンクに導かれる前記第2の温度状態の前記冷却水の量を調節することを特徴とする請求項8に記載の排熱回収システム。
  10. 廃棄物のガス化溶融処理または焼却処理によって発生し、燃焼処理された排ガスの温度を調節する温度調節システムにおいて、
    前記排ガスの移動経路内に配置され、冷却水を用いた熱交換によって前記排ガスの冷却を行わせる伝熱管と、
    前記伝熱管と隣り合って配置され、前記排ガスを冷却させることなく通過させる通路と、
    前記通路内における前記排ガスの通過量を調節するためのダンパと、
    を有することを特徴とする温度調節システム。
  11. 前記ダンパの駆動を制御するコントローラと、
    前記伝熱管および前記通路を通過した前記排ガスの温度を検出するための温度センサと、を有し、
    前記コントローラは、前記温度センサによる検出温度が基準温度範囲の下限値よりも低ければ、前記通路における前記排ガスの通過量を増加させ、前記検出温度が前記基準温度範囲の上限値よりも高ければ、前記通路における前記排ガスの通過量を減少させることを特徴とする請求項10に記載の温度調節システム。
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