JP2023068871A - 排熱回収装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】排ガスと接触する伝熱面の酸露点腐食を防止することができ、これによって排ガスの熱を長期に亘って安定的に回収することができる排熱回収装置を提供する。【解決手段】排ガスと接触する伝熱面を有する排ガス熱交換器51と、伝熱面の温度が酸露点より高くなるように排ガス熱交換器51に通流される熱媒の温度を調整する熱媒温度調整手段54とを備えるものとする。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 第30条第2項適用、令和3年5月18日、株式会社タクマが、松江バイオマス発電株式会社が保有する木質バイオマス発電ボイラー設備に本件発明の「排熱回収装置」を設置する改造工事を行った。
本発明は、バイオマス燃料等の被燃焼物の燃焼に伴い発生した排ガスから熱を回収する排熱回収装置に関する。
廃棄物処理施設において、廃棄物の燃焼に伴い発生する排ガスから回収した熱を利用して発電するようにしたものがある(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載の廃棄物処理施設は、廃棄物を焼却処理する焼却炉と、焼却炉から排出される排ガスを処理する排ガス処理設備と、排ガスから回収した熱を利用して発電する発電設備とを備えている。排ガス処理設備は、焼却炉から排出される排ガスの流れ経路に沿って配設される、過熱器、節炭器、バグフィルタ、及び給水加熱器(潜熱回収装置)に排ガスを順次導入することにより、排ガスの熱を回収するとともに、排ガス中のダスト等を除去し、且つ大気に排出可能なレベルまで排ガスを無害化した後に、煙突を介して排ガスを大気中に放出するように構成されている。発電設備は、発電機が連結された蒸気タービンに、過熱器で発生した過熱蒸気を供給することで発電するように構成されている。
発電設備には、復水器、復水タンク、及び脱気器が付設されている。復水器は、蒸気タービンを経て排出された蒸気を凝縮して復水を生成し、生成された復水が復水タンクに貯留される。復水タンクから給水加熱器に供給される復水(ボイラー給水)は、給水加熱器おいて排ガス中に含まれる蒸気の潜熱まで熱回収することで加熱される。加熱されたボイラー給水は、脱気器へと供給されるため、蒸気タービンから脱気器への抽気蒸気量が低減され、その結果、発電設備での発電量が増加される。
給水加熱器は、過熱器及び節炭器で熱回収を行った後の比較的低温の排ガスから熱回収する排熱回収装置を構成するものである。この給水加熱器には、排ガス迂回ラインが付設されている。排ガス迂回ラインは、バグフィルタからの排ガスを給水加熱器に供給する排ガス供給ラインと、給水加熱器からの排ガスを煙突に供給する排ガス移送ラインとを給水加熱器を迂回するように接続する。
特許文献1に記載の廃棄物処理施設においては、バグフィルタの下流側の排ガスの全流量を流量(F)とした場合における、バグフィルタから給水加熱器に供給する排ガス供給ラインの排ガスの流量(F1)と、給水加熱器を迂回する排ガス迂回ラインの排ガスの流量(F-F1)とを制御することにより、排ガス移送ライン内の排ガスの温度を調整して、排ガス移送ラインの配管内と煙突とにおいて、酸露点腐食又は水蒸気凝縮が発生しないようにされている。
特開2013-204972号公報
特許文献1に記載の廃棄物処理施設では、排ガス迂回ラインを介して給水加熱器を迂回させた排ガスで排ガス移送ラインの配管内を加温することにより、排ガス移送ラインの配管内、及びその下流側の煙突において酸露点以下にならないようされている。しかしながら、排ガス移送ラインの上流側に位置する給水加熱器においては、排ガス中に含まれる蒸気の潜熱まで熱回収することから、排ガスとの熱交換部における排ガスと接触する伝熱面(例えば、伝熱管の外表面)の温度が酸露点以下となり、伝熱面が局所的に酸露点腐食により損傷することがあり、排ガスの熱を長期に亘って安定的に回収することができない虞がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、排ガスと接触する伝熱面の酸露点腐食を防止することができ、これによって排ガスの熱を長期に亘って安定的に回収することができる排熱回収装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る排熱回収装置の特徴構成は、
排ガスと接触する伝熱面を有する排ガス熱交換器と、
前記伝熱面の温度が酸露点より高くなるように前記排ガス熱交換器に通流される熱媒の温度を調整する熱媒温度調整手段と、
を備えることにある。
本構成の排熱回収装置によれば、排ガスと接触する伝熱面を有する排ガス熱交換器において、伝熱面の温度が酸露点より高くなるように、排ガス熱交換器に通流される熱媒の温度が熱媒温度調整手段によって調整される。これにより、排ガスと接触する伝熱面の温度が酸露点より高くなるため、伝熱面の酸露点腐食を防止することができる。その結果、排ガスの熱を長期に亘って安定的に回収することができる。
本発明に係る排熱回収装置において、
タービン復水が導入される復水熱交換器と、
前記排ガス熱交換器と前記復水熱交換器との間で前記熱媒を循環させる熱媒循環路と、
をさらに備え、
前記復水熱交換器での前記熱媒と前記タービン復水との熱交換により前記タービン復水を加温するように構成されることが好ましい。
本構成の排熱回収装置によれば、排ガス熱交換器において排ガスから熱回収した熱媒が、排ガス熱交換器と復水熱交換器との間で循環され、復水熱交換器において熱媒とタービン復水との熱交換によりタービン復水が加温される。これにより、タービン復水中の溶存酸素を除去するために使用される、例えば、蒸気タービンからの抽気蒸気の抽出量を低減することができ、蒸気タービンによる発電量を増加させることができる、あるいは蒸気タービンを常時定格運転している場合(発電量が一定の場合)、蒸気タービンに供給される水蒸気を生成するための燃料等の消費量を低減することができる。
本発明に係る排熱回収装置において、
前記熱媒循環路の圧力を調整する圧力調整手段をさらに備えることが好ましい。
本構成の排熱回収装置によれば、熱媒循環路の圧力を調整する圧力調整手段を備えることにより、熱媒循環路において循環される熱媒が、例えば、水等の液体である場合に、沸騰することがないように、圧力調整手段によって熱媒循環路の圧力を調整(この場合は加圧)することができる。その結果、水等の液体が沸騰することで液体から気体への相変化に伴う気泡の発生を防ぐことができる。これにより、気泡が発生した場合に、熱媒循環路において熱媒が循環されないといったような不具合の発生を確実に防ぐことができる。また、キャビテーションに起因する異常振動騒音の発生や、機器の損傷等も未然に防ぐことができる。
本発明に係る排熱回収装置において、
前記熱媒温度調整手段は、
前記復水熱交換器における前記熱媒の入口側と出口側とを短絡するバイパス管路を備え、
前記復水熱交換器に通流される前記熱媒の流量と前記バイパス管路に通流される前記熱媒の流量とを制御することにより、前記排ガス熱交換器に通流される前記熱媒の温度を調整することが好ましい。
例えば、被燃焼物の性状が変化した場合に、被燃焼物の燃焼に伴い発生した排ガスに含まれるSOxやHCl等の酸性ガス成分(腐食性成分)の濃度が変化することがある。酸性ガス成分の濃度が変化すると、酸露点温度も変化する。本構成の排熱回収装置によれば、例えば、被燃焼物の性状変化等に起因して酸露点温度が変化したとしても、酸露点の変動に対応して伝熱面の温度が酸露点より高くなるように、熱媒温度調整手段が、復水熱交換器に通流される熱媒の流量とバイパス管路に通流される熱媒の流量との制御によって排ガス熱交換器に通流される熱媒の温度を調整することにより、伝熱面の酸露点腐食を確実に防止することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る排熱回収装置が適用されるバイオマス燃焼施設の概略構成を示すブロック図である。
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、発電設備を備えたバイオマス燃焼施設に本発明が適用された例を挙げて説明する。本発明が適用されるバイオマス燃焼施設において燃焼させるバイオマス燃料(被燃焼物)とは、化石燃料以外の植物や農産物等の自然界の有機性資源から抽出した生物由来の燃料である。バイオマス燃料としては、例えば、廃棄木材、間伐材、流木、草類、生活廃棄物、汚泥、家畜の糞尿、エネルギー作物(農作物)、これらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)等が挙げられるが、以下の実施形態では、木質バイオマス燃料(廃棄木材、間伐材、木質チップ、木質ペレット等)や、PKS(Palm Kernel Shell)をはじめとした農作物残渣等の生物由来の有機性資源を含む燃料(植物系燃料)を燃焼するバイオマス燃焼施設、及び当該バイオマス燃料を燃焼したときに発生する排ガスから熱回収して有効利用を図る例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
図1は、本発明の一実施形態に係る排熱回収装置50が適用されるバイオマス燃焼施設1の概略構成を示すブロック図である。
<全体構成>
図1に示すバイオマス燃焼施設1は、図示されない搬送装置によって搬入されるバイオマス燃料を燃焼する燃焼炉2と、燃焼炉2から排出される排ガスを処理する排ガス処理設備3と、排ガスから回収した熱を利用して発電する発電設備4とを備えている。
<燃焼炉>
燃焼炉2としては、バイオマス燃料を燃焼することができれば炉の形式は限定されるものではないが、例えば、ストーカ式燃焼炉や流動床式燃焼炉等を挙げることができる。
ストーカ式燃焼炉は、炉内に配置されたストーカを動かし、ストーカ下部より燃焼空気を送り、バイオマス燃料を乾燥・燃焼・後燃焼させる形式の燃焼炉である。ここで、ストーカとしては、例えば、階段式ストーカとトラベリングストーカとがある。階段式ストーカは、可動火格子と固定火格子とが交互に階段状に配列されたものであり、乾燥段を形成する乾燥ストーカ、燃焼段を形成する燃焼ストーカ、及び後燃焼段を形成する後燃焼ストーカが、バイオマス燃料送り方向の上流側から下流側に向けて順に区分けされている。一方、トラベリングストーカは、炉内においてバイオマス燃料を移動させる方向に所定間隔を存して配される駆動輪及び従動輪に、複数の火格子を互いに回動自在に環状に連結してなる環状火格子体を巻き掛け装着して構成されている。トラベリングストーカにおいては、環状火格子体が周回運動するように駆動され、環状火格子体で受け止めた燃料投入機からのバイオマス燃料を移動させながら環状火格子体上で燃焼させるように構成されている。流動床式燃焼炉は、酸化マグネシウムを主成分とする流動砂(けい砂も含む)を堆積させた流動層の下部から加圧された空気を分散供給して、蓄熱した流動砂を流動させながら、その中でバイオマス燃料を燃焼させる形式の燃焼炉である。
<排ガス処理設備>
排ガス処理設備3は、燃焼炉2から排出される排ガスの流れ経路に沿って配設される、ボイラ(過熱器)11、節炭器12、バグフィルタ(集塵装置)13、誘引通風機14、及び排気筒15を備えている。これらの機器及び装置は、相互間がダクトによって接続されている。
ここで、バグフィルタ13と誘引通風機14とを接続するダクト30は、上流側ダクト部20、第一分岐ダクト部21、第二分岐ダクト部22、及び下流側ダクト部23を含む。ダクト30においては、第一分岐ダクト部21と第二分岐ダクト部22とが並列で配設されている。そして、ダクト30においては、バグフィルタ13からの排ガスを、上流側ダクト部20、第一分岐ダクト部21、及び下流側ダクト部23を介して誘引通風機14へと導く第一排ガス流路部31と、バグフィルタ13からの排ガスを、上流側ダクト部20、第二分岐ダクト部22、及び下流側ダクト部23を介して誘引通風機14へと導く第二排ガス流路部32とが構成されている。
排ガス処理設備3においては、燃焼炉2での燃焼に伴い発生した排ガスが、誘引通風機14の作動による誘引作用により、ボイラ11、節炭器12、及びバグフィルタ13に順次導入された後に、排気筒15を介して大気中に放出される。
<発電設備及びその付帯機器>
発電設備4は、主として、蒸気タービン41、及び蒸気タービン41に連結される発電機42により構成されている。発電設備4には、復水器43、復水タンク44、及び脱気器45が付設されている。
蒸気タービン41には、ボイラ11で発生させた高温・高圧蒸気が供給される。これにより、蒸気タービン41が高速で回転駆動され、蒸気タービン41の回転に伴い発電機42により発電される。復水器43は、蒸気タービン41を経て排出された蒸気を凝縮してタービン復水を生成し、生成されたタービン復水は復水タンク44に貯留される。復水タンク44に貯留されているタービン復水は、後述する排熱回収装置50における復水熱交換器52に導入されて加温される。加温されたタービン復水は、脱気器45に導入される。脱気器45は、加温された復水中の溶存酸素を除去する。脱気器45でタービン復水の脱気を行う際の熱源には、ボイラ11から蒸気タービン41に送られる高温・高圧蒸気の一部や、蒸気タービン41からの抽気蒸気が使用される。脱気器45で脱気されたタービン復水は、節炭器12を介してボイラ11に導入される。
<排熱回収装置>
次に、バイオマス燃料の燃焼に伴い発生した排ガスから熱を回収する排熱回収装置50について説明する。排熱回収装置50は、排ガスと接触する伝熱面を有する排ガス熱交換器51と、復水タンク44からのタービン復水が導入される復水熱交換器52と、排ガス熱交換器51と復水熱交換器52との間で熱媒(本例では比較的温かい水であり、以下において「熱媒」を「温水」と称する。)を循環させる熱媒循環路53と、排ガス熱交換器51の伝熱面の温度が酸露点より高くなるように排ガス熱交換器51に通流される温水の温度を調整する熱媒温度調整手段54と、熱媒循環路53の圧力を調整する圧力調整手段55と、ダクト30における排ガス流れを切り替える切替手段56とを備えている。
<排ガス熱交換器>
排ガス熱交換器51は、第二分岐ダクト部22の途中に介設されている。排ガス熱交換器51は、金属等の熱伝導に優れる材料からなる伝熱管を備え、この伝熱管の内部に温水を流し、伝熱管の外表面(伝熱面)に排ガスを接触させることにより、伝熱管を介して排ガスの熱を温水に間接的に伝えて、第二分岐ダクト部22の内部を流れる排ガスの熱を回収するように構成されている。なお、排ガス熱交換器51は、バグフィルタ13の下流側に配されており、排ガス熱交換器51には、バグフィルタ13でダスト等が除去された後の排ガスが導入される。このような条件で使用される排ガス熱交換器51としては、装置構成のコンパクト化を図るために、伝熱管の表面にフィンが取り付けられたフィン付き伝熱管を用いた高熱交換率のフィン式熱交換器が採用されている。
<復水熱交換器>
復水熱交換器52は、排ガス熱交換器51と対をなすように設けられる。復水熱交換器52としては、例えば、積層した伝熱プレート間に、熱媒循環路53を循環する温水と、復水タンクからのタービン復水とを流して熱交換し、タービン復水を加温する構成のプレート式熱交換器を採用することができる。
<熱媒循環路>
熱媒循環路53は、排ガス熱交換器51と復水熱交換器52とを、熱媒往路配管61及び熱媒復路配管62によって接続することで構成されている。熱媒往路配管61は、復水熱交換器52における温水の出口側と排ガス熱交換器51における温水の入口側とを接続する。熱媒復路配管62は、排ガス熱交換器51における温水の出口側と復水熱交換器52における温水の入口側とを接続する。
熱媒往路配管61には、温水循環ポンプ63が介設されている。温水循環ポンプ63の吸込側と復水熱交換器52の温水の出口側とは、第一往路配管部64によって接続されている。温水循環ポンプ63の吐出側と排ガス熱交換器51の温水の入口側とは、第二往路配管部65によって接続されている。温水循環ポンプ63の作動により、温水循環ポンプ63から高圧で押し出される温水が、熱媒循環路53内で循環するように流れる。
熱媒復路配管62には、三方切替弁66が介設されている。三方切替弁66は、排ガス熱交換器51の出口側からの温水が導入される入口ポートと、入口ポートから導入された温水を導出する第一出口ポート及び第二出口ポートとを有している。三方切替弁66の入口ポートと排ガス熱交換器51の温水の出口側とは、第一復路配管部67によって接続されている。三方切替弁66の第一出口ポートと復水熱交換器52の温水の入口側とは、第二復路配管部68によって接続されている。
<熱媒温度調整手段、バイパス管路>
熱媒温度調整手段54は、三方切替弁66、バイパス配管70、及び温水温度計71を含む。バイパス配管70は、三方切替弁66の第二出口ポートと第一往路配管部64とを接続する配管である。バイパス配管70は、復水熱交換器52における温水の入口側と出口側とを短絡するように復水熱交換器52を迂回して熱媒往路配管61と熱媒復路配管62とに接続されており、本発明のバイパス管路を構成する。三方切替弁66は、排ガス熱交換器51の出口側から第一復路配管部67を介して導入される温水を、第二復路配管部68を介して復水熱交換器52へと流す流路と、バイパス配管70を介して第一往路配管部64へと流す流路とを切り替える。温水温度計71は、第二往路配管部65の内部を流れる温水の温度を測定する。温水温度計71の測定データは、後述する制御装置90に送信される。
<圧力調整手段>
圧力調整手段55は、高圧水供給源73、高圧水供給管74、高圧水制御弁75、膨張管76、膨張タンク77、及び圧力計78を含む。
高圧水供給管74おいて、一端側は、第一往路配管部64における、バイパス配管70が接続される位置と温水循環ポンプ63が接続される位置との間の部分に接続され、他端側は、高圧水供給源73に接続されている。高圧水制御弁75は、高圧水供給管74の途中に介設されている。
膨張管76において、一端側は、第一往路配管部64における、高圧水供給管74が接続される位置と温水循環ポンプ63が接続される位置との間の部分に接続され、他端側は、膨張タンク77に接続されている。膨張タンク77は、熱媒循環路53を循環する温水の温度上昇及び下降による体積変化を吸収することを主な目的として設置されるが、結果として、熱媒循環路53を循環する温水の余剰分も吸収することができる。圧力計78は、膨張管76を介して熱媒循環路53内の圧力を測定できるように膨張管76に付設されている。圧力計78の測定データは、後述する制御装置90に送信される。
<切替手段>
切替手段56は、第一ダンパ81、第二ダンパ82、アクチュエータ83,84を含む。第一ダンパ81は、第一分岐ダクト部21の途中に介設され、第一分岐ダクト部21の流路を開閉する。第二ダンパ82は、第二分岐ダクト部22の途中に介設され、第二分岐ダクト部22の流路を開閉する。アクチュエータ83,84は、制御信号に応じてダンパ81,82を回動駆動する電動モータ等により構成されている。
熱媒温度調整手段54、圧力調整手段55、及び切替手段56は、それぞれコンピュータを主体に構成される制御装置90をさらに含む。
熱媒温度調整手段54においては、制御装置90が、温水の目標温度として設定された設定目標温度と温水温度計71の測定値とを比較し、温水温度計71の測定値が設定目標温度となるように、三方切替弁66に対して制御信号を送信して三方切替弁66の弁開度を調整する。これにより、排ガス熱交換器51を通流する温水の全流量を(q)とした場合における、三方切替弁66から第二復路配管部68を介して復水熱交換器52へと流れる温水の流量(q1)と、三方切替弁66からバイパス配管70を介して第一往路配管部64へと流れる温水の流量(q-q1)とを制御することができる。
圧力調整手段55においては、制御装置90が、熱媒循環路53を循環する温水が沸騰しないように膨張管76の管内の目標圧力として設定された設定目標圧力と圧力計78の測定値とを比較し、圧力計78の測定値が設定目標圧力となるように、高圧水制御弁75に対し制御信号を送信して高圧水制御弁75の弁開度を調整する。これにより、高圧水供給源73から高圧水供給管74を介して第一往路配管部64に供給される高圧水の供給量を制御することができる。
切替手段56においては、制御装置90から各アクチュエータ83,84に対して送信される制御信号にて各ダンパ81,82を選択的に開閉する。これにより、上流側ダクト部20、及び下流側ダクト部23に対し選択的に排ガスを流すことができる。
下流側ダクト部23には、当該ダクト部23内を流れる排ガスに含まれる酸性ガス成分の濃度を検出する酸性ガス濃度分析計85が付設されている。酸性ガス濃度分析計85は、例えば、塩化水素濃度計やSOx濃度計等により構成可能である。塩化水素濃度計としては、例えば、下流側ダクト部23から排ガスの一部を吸い出して当該排ガス中の塩化水素濃度を測定するイオン電極連続分析型の塩化水素濃度計や、レーザー出力部とこれに対応する受光部とを有し、吸収スペクトルから塩化水素濃度を測定するレーザー式の塩化水素濃度計等が挙げられる。SOx濃度計としては、例えば、非分散型赤外線式の二酸化硫黄濃度計等が挙げられる。酸性ガス濃度分析計85の検出データは、制御装置90に送信される。
以上に述べたように構成される排熱回収装置50を備えるバイオマス燃焼施設1において、燃焼炉2でのバイオマス燃料の燃焼に伴い発生した高温の排ガスは、排ガス処理設備3に導入される。排ガス処理設備3において、ボイラ11は、高温の排ガスから熱を回収して高温・高圧蒸気を発生する。節炭器12は、ボイラ11で熱回収された後の排ガスから更に熱を回収する。バグフィルタ13は、節炭器12で熱回収された後の排ガスに含まれるダスト等を除去する。バグフィルタ13でダスト等が除去された後の低温の排ガスの熱は、排熱回収装置50によって回収される。ダスト等が除去された熱回収後の排ガスは、排気筒15を介して大気中に放出される。
バイオマス燃焼施設1において、排熱回収装置50で排熱を回収する場合、制御装置90は、各アクチュエータ83,84に対して所定の制御信号を送信し、各ダンパ81,82の回動角度を調整して、第一ダンパ81を全閉とする一方で、第二ダンパ82を全開とし、全ての排ガスが排ガス熱交換器51に向かうようにする。これにより、排ガスから排熱を排ガス熱交換器51で回収することができる。一方、排熱回収装置50の保守・点検を行う場合や、万一、排熱回収装置50に不具合が生じた場合、制御装置90は、各アクチュエータ83,84に対して所定の制御信号を送信し、各ダンパ81,82の回動角度を調整して、第二ダンパ82を全閉とする一方で、第一ダンパ81を全開とし、全ての排ガスが第一分岐ダクト部21を流れるようにする。これにより、バイオマス燃焼施設1の運転を継続しつつ、排熱回収装置50の保守・点検を行ったり、排熱回収装置50に生じた不具合を解消するための対策を施したりすることができる。
排熱回収装置50では、バグフィルタ13からの190~200℃程度の排ガスから熱回収して145~150℃程度の排ガスを下流側へと送り出している。排熱回収装置50において、排ガスの熱を長期に亘って安定的に回収するためには、排ガス熱交換器51における伝熱面の酸露点腐食を防止する必要があり、そのために、伝熱面の温度が酸露点より高くなるように、排ガス熱交換器51に通流される温水の温度が熱媒温度調整手段54によって調整される。
排ガス熱交換器51を流れる排ガスの酸露点が例えば90℃程度である場合、熱媒循環路53を流れる温水の温度が例えば110℃程度となるように、熱媒温度調整手段54により温水の温度調整動作が行われる。すなわち、熱媒温度調整手段54において、制御装置90は、温水の目標温度として設定された設定目標温度(本例の場合、110℃)と温水温度計71の測定値とを比較し、温水温度計71の測定値が設定目標温度となるように、三方切替弁66に対して制御信号を送信して三方切替弁66の弁開度を調整することにより、三方切替弁66から第二復路配管部68を介して復水熱交換器52へと流れる温水の流量(q1)と、三方切替弁66からバイパス配管70を介して第一往路配管部64へと流れる温水の流量(q-q1)とを制御する。
温水温度計71の測定値が110℃よりも低い場合、制御装置90は、設定目標温度(110℃)と温水温度計71の測定値とを比較し、その差分に応じて、復水熱交換器52へと流れる温水の流量(q1)に対し、バイパス配管70を介して第一往路配管部64へと流れる温水の流量(q-q1)を相対的に増加させるように温水の流量(q1、q-q1)を制御する。
一方、温水温度計71の測定値が110℃よりも高い場合、制御装置90は、設定目標温度(110℃)と温水温度計71の測定値とを比較し、その差分に応じて、バイパス配管70を介して第一往路配管部64へと流れる温水の流量(q-q1)に対し、復水熱交換器52へと流れる温水の流量(q1)を増加させるように温水の流量(q-q1、q1)を制御する。
燃焼炉2に供給されるバイオマス燃料の性状が変化した場合、燃焼炉2での燃焼に伴い発生した排ガスに含まれるSOxやHCl等の酸性ガス成分(腐食性成分)の濃度が変化することがある。酸性ガス成分の濃度が変化すると、酸露点温度も変化する。そこで、酸性ガス濃度分析計85により酸性ガス成分の濃度が変化したことが検出された場合、その濃度変化に応じて、温水の設定目標温度の設定値を変化させる。そして、制御装置90は、変更後の設定目標温度と温水温度計71の測定値とを比較し、温水温度計71の測定値が設定目標温度となるように、三方切替弁66に対して制御信号を送信して三方切替弁66の弁開度を調整することにより、復水熱交換器52へと流れる温水の流量(q1)と、バイパス配管70を介して第一往路配管部64へと流れる温水の流量(q-q1)とを制御する。こうして、酸露点が変動しても、排ガス熱交換器51の伝熱面の温度が酸露点より高くなるように、排ガス熱交換器51に通流される温水の温度を調整することができる。
本実施形態の排熱回収装置50によれば、排ガスと接触する伝熱面を有する排ガス熱交換器51において、伝熱面の温度が酸露点より高くなるように、排ガス熱交換器51に通流される温水の温度が熱媒温度調整手段54によって調整される。これにより、排ガスと接触する伝熱面の温度が酸露点より高くなるため、伝熱面の酸露点腐食を確実に防止することができる。その結果、排ガスの熱を長期に亘って安定的に回収することができる。また、本実施形態のバイオマス燃焼施設1では、排熱回収装置50で熱回収した後の排ガスが誘引通風機14に導入されるので、排ガス温度の低下によるガス体積減少により誘引通風機14の動力を削減することができ、省エネルギー化を図ることができる。
本実施形態では、熱媒循環路53において循環される熱媒として温水が使用されている。温水を使用する場合、沸騰により液体から気体への相変化に伴う気泡の発生を防ぐ必要がある。そこで、圧力調整手段55において、制御装置90は、熱媒循環路53を循環する温水が沸騰しないように膨張管76の管内の目標圧力として設定された設定目標圧力と圧力計78の測定値とを比較し、圧力計78の測定値が設定目標圧力となるように、高圧水制御弁75に対し制御信号を送信して高圧水制御弁75の弁開度を調整することにより、高圧水供給源73から高圧水供給管74を介して第一往路配管部64に供給される高圧水の供給量を制御する。こうして、気泡が発生した場合に、熱媒循環路において熱媒が循環されないといったような不具合の発生を確実に防ぐことができる。また、キャビテーションに起因する異常振動騒音の発生や、機器の損傷等も未然に防ぐことができる。なお、第一往路配管部64への高圧水の供給により、熱媒循環路53を循環する温水の余剰分が生じた場合には、熱媒循環路53の圧力が上昇することになるので、結果としてその余剰分が膨張タンク77によって吸収される。
排熱回収装置50においては、排ガス熱交換器51と復水熱交換器52との間で温水が循環され、復水熱交換器52での温水とタービン復水との熱交換によりタービン復水が加温される。これにより、タービン復水中の溶存酸素を除去するために脱気器45において脱気を行う際の熱源として使用される、例えば、ボイラ11から蒸気タービン41への高温・高圧蒸気の送給ラインからの抽気蒸気や、蒸気タービン41からの抽気蒸気の抽出量を低減することができ、蒸気タービン41による発電量を増加させることができる、あるいは蒸気タービン41を常時定格運転している場合(発電量が一定の場合)、蒸気タービン41に供給される水蒸気を生成するためのバイオマス燃料等の消費量を低減することができる。
以上、本発明の排熱回収装置について、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
本発明の排熱回収装置は、例えば、都市ごみ等の燃焼施設や、下水やし尿の汚泥燃焼施設、木質チップ等のバイオマス燃料の燃焼施設、その他の燃焼施設等での燃焼処理に伴い発生する腐食性成分を含有する排ガスから排熱を回収する用途において利用可能である。
1 バイオマス燃焼施設
50 排熱回収装置
51 排ガス熱交換器
52 復水熱交換器
53 熱媒循環路
54 熱媒温度調整手段
55 圧力調整手段
70 バイパス管路

Claims (4)

  1. 排ガスと接触する伝熱面を有する排ガス熱交換器と、
    前記伝熱面の温度が酸露点より高くなるように前記排ガス熱交換器に通流される熱媒の温度を調整する熱媒温度調整手段と、
    を備える排熱回収装置。
  2. タービン復水が導入される復水熱交換器と、
    前記排ガス熱交換器と前記復水熱交換器との間で前記熱媒を循環させる熱媒循環路と、
    をさらに備え、
    前記復水熱交換器での前記熱媒と前記タービン復水との熱交換により前記タービン復水を加温するように構成される請求項1に記載の排熱回収装置。
  3. 前記熱媒循環路の圧力を調整する圧力調整手段をさらに備える請求項2に記載の排熱回収装置。
  4. 前記熱媒温度調整手段は、
    前記復水熱交換器における前記熱媒の入口側と出口側とを短絡するバイパス管路を備え、
    前記復水熱交換器に通流される前記熱媒の流量と前記バイパス管路に通流される前記熱媒の流量とを制御することにより、前記排ガス熱交換器に通流される前記熱媒の温度を調整する請求項2又は3に記載の排熱回収装置。
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