JP2010203287A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動機が密閉容器内を2つの空間に分割する構造を有した密閉型圧縮機において、これらの空間の圧力差によって電動機に作用する荷重の変動を低減する。
【解決手段】電動機(45)がケーシング(31)内を第1及び第2の空間(S1,S2)に分割する構造の圧縮機に対して、第1の空間(S1)の圧力と第2の空間(S2)の圧力を均圧させる配管(100)を、ケーシング(31)の外部に設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動機で駆動されて流体を圧縮する圧縮機構部を密閉容器内に備えた圧縮機に関するものである。
空気調和機の冷媒回路などで用いられる圧縮機として、作動流体(冷媒)を圧縮する圧縮機構がケーシング内に収容された密閉型圧縮機が知られている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1に開示された圧縮機は、ケーシング内に、上方から電動機(圧縮機モータ)、圧縮機構が配置されている。そして、圧縮された作動流体は、圧縮機構と電動機の間の空間に吐出され、その後、例えば電動機とケーシングの間の隙間(同文献に記載のコアカット部)等を通って電動機の上方の空間に至る。そして、電動機の上方空間の作動流体は、該空間に連通した吐出管を介して該圧縮機の外に吐出される。
また、このような密閉型圧縮機の他の一例として、低段側圧縮機構と高段側圧縮機構とを備える二段圧縮機が知られている(例えば特許文献2を参照)。特許文献2に開示されている二段圧縮機は、二段圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続され、冷媒回路内の冷媒を圧縮する。なお、特許文献1、2に開示されたそれぞれの圧縮機では、冷媒として二酸化炭素が用いられている。
特開2003−262192号公報 特開2007-232263号公報
ところで、特許文献2に記載されている二段圧縮機は、2つの圧縮機構を並列に配置して構成した同能力の圧縮機(説明の便宜上2シリンダ圧縮機と呼ぶ)に比べ、1サイクルあたりのそれぞれの圧縮機構の吸入量、吐出量がおよそ2倍になる。例えば、前記2シリンダ圧縮機のそれぞれの圧縮機構の吸入量が1サイクルあたりN(mm)であるとすれば、前記二段圧縮機の低段側圧縮機構の吸入量は、1サイクルあたり2×N(mm)程度になる。このように1サイクルあたりの吸入量や吐出量が増大すると、吐出された冷媒の圧力変動幅(脈動)も、前記2シリンダ圧縮機と比べて大きくなる。
そのため、前記二段圧縮機に対して、特許文献1に記載の圧縮機のように、電動機の上下の空間を冷媒が通過した後にケーシングから該冷媒が吐出される構造を採用すると、電動機の上下の空間の圧力差も前記2シリンダ圧縮機に比べて大きくなる。このように、電動機の上下の空間に圧力差があると、圧縮機の運転にともなって電動機に作用する荷重が変動する。そして、その荷重変動により電動機が加振されて振動を生じ、騒音が発生したり、圧縮機に接続された配管に不要な応力が加えられたりする可能性がある。また、このような現象は前記の二段圧縮機に限らず、例えば圧縮機構が1つのみの圧縮機であっても、圧縮機の容量が大きくなると現れると考えられる。
本発明は前記の問題に着目してなされたものであり、電動機が密閉容器内を2つの空間に分割する構造を有した密閉型圧縮機において、これらの空間の圧力差によって電動機に作用する荷重の変動を低減することを目的としている。
前記の課題を解決するため、第1の発明は、
電動機(45)で駆動されて流体を圧縮する圧縮機構部(40)を密閉容器(31)内に備えた圧縮機であって、
前記電動機(45)は、前記密閉容器(31)内を第1及び第2の空間(S1,S2)に分割するとともに、前記第1及び第2の空間(S1,S2)を互いに連通して前記流体の流通を許容する連通路(47a,46e)を形成し、
前記圧縮機構部(40)は、前記第1の空間(S1)に収容され、圧縮した前記流体を前記第1の空間(S1)及び前記連通路(47a,46e)を介して前記第2の空間(S2)に吐出し、
前記密閉容器(31)には、前記第2の空間(S2)の流体を該密閉容器(31)の外に導出する吐出管(36)が設けられ、
前記密閉容器(31)の外部には、前記第1の空間(S1)の圧力と前記第2の空間(S2)の圧力を均圧させる均圧手段(100)が設けられていることを特徴とする。
この構成により、圧縮機構部(40)が圧縮した流体は、第1の空間(S1)及び連通路(47a,46e)を介して第2の空間(S2)に吐出される。第2の空間(S2)に吐出された冷媒は、吐出管(36)を介して密閉容器(31)の外に導出される。この際、均圧手段(100)は、第1の空間(S1)の圧力と第2の空間(S2)の圧力とを均圧させる。
また、第2の発明は、
第1の発明の圧縮機において、
前記均圧手段(100)は、前記第1の空間(S1)と前記第2の空間(S2)とを前記密閉容器(31)の外部において連通する配管(100)であることを特徴とする。
この構成により、配管(100)が第1の空間(S1)と第2の空間(S2)とを均圧させる。
また、第3の発明は、
第1又は第2の発明の圧縮機において、
前記圧縮機構部(40)は、直列接続された複数の圧縮機構(41,42)を備え、該複数の圧縮機構(41,42)によって前記流体を圧縮することを特徴とする。
この構成では、直列接続された複数の圧縮機構(41,42)によって圧縮機構部(40)が構成された圧縮機において、第1の空間(S1)と第2の空間(S2)の均圧を図ることが可能になる。
また、第4の発明は、
第1から第3の発明のうちの何れか1つの圧縮機において、
前記連通路(47a,46e)は、前記電動機(45)の外周面に形成された外面凹部(46e)により構成され、
前記均圧手段(100)は、前記連通路(47a,46e)の開口を避けて、前記第1及び第2の空間(S1,S2)のそれぞれに開口していることを特徴とする。
この構成では、均圧手段(100)は、連通路(47a,46e)の開口を避けて、第1及び第2の空間(S1,S2)のそれぞれに開口しているので、該均圧手段(100)は連通路(47a,46e)における流体の流れを阻害することなく第1の空間(S1)と第2の空間(S2)とを均圧させる。
また、第5の発明は、
第1から第4の発明のうちの何れか1つの圧縮機において、
前記流体は、二酸化炭素であることを特徴とする。
この構成では、二酸化炭素を圧縮する圧縮機において、第1の空間(S1)と第2の空間(S2)の均圧を図ることが可能になる。
第1の発明によれば、均圧手段(100)が第1の空間(S1)と第2の空間(S2)とを均圧させるので、これらの空間(S1,S2)の圧力差は、均圧手段(100)が設けられていない圧縮機と比べて小さくなっている。これらの空間(S1,S2)の圧力差がこのように小さくなると、該圧力差によって電動機(45)に作用する荷重の変動も低減する。そして、このように荷重変動が低減すれば、圧縮機における振動の低減や、圧縮機に接続されている配管に作用する応力の緩和が可能になる。
また、第2の発明によれば、均圧手段(100)として配管(100)を用いているので、簡略な構造で第1の空間(S1)と第2の空間(S2)の均圧を実現できる。
また、第3の発明によれば、直列接続された複数の圧縮機構(41,42)によって圧縮機構部(40)が構成された圧縮機のように、圧縮機構部(40)が吐出する流体自体の脈動が大きくなりがちな場合にも、第1の空間(S1)と第2の空間(S2)の均圧を図ることにより、これらの空間(S1,S2)の圧力差によって電動機(45)に作用する荷重変動を低減することが可能になる。
また、第4の発明によれば、均圧手段(100)が連通路(47a,46e)における流体の流れを阻害することがないので、例えば、該流体が電動機(45)を冷却する役割を有している場合などに、その役割が阻害されないようにできる。
また、第5の発明によれば、二酸化炭素を圧縮する圧縮機のように、圧縮機構部(40)が吐出する流体自体の脈動が大きくなりがちな場合にも、第1の空間(S1)と第2の空間(S2)の均圧を図ることにより、第1の空間(S1)と第2の空間(S2)の圧力差によって電動機(45)に作用する荷重変動を低減することが可能になる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態の概要》
本発明の実施形態として、2つの揺動ピストン型のロータリ圧縮機(圧縮機構)を用いた二段圧縮機を例にして説明する。この二段圧縮機は、空気調和機等の冷凍サイクルを行う冷媒回路(図示省略)に接続されて冷媒を圧縮する。その冷媒としては、例えば二酸化炭素(CO)が使用され、この二段圧縮機では冷媒をその臨界圧力以上に圧縮する。この冷凍サイクルの高圧圧力は、例えば13.7MPaに設定されている。
図1は、本発明の実施形態に係る二段圧縮機(30)の縦断面図である。図1に示すように、二段圧縮機(30)は、いわゆる全密閉型圧縮機である。この二段圧縮機(30)では、圧縮機構部(40)、電動機(45)、及び駆動軸(50)が一つのケーシング(31)内に収容されている。そして、本実施形態の二段圧縮機(30)は、圧縮機構部(40)からケーシング(31)の内部空間へ高圧冷媒が吐出される高圧ドーム型に構成されている。このケーシング(31)内では、該ケーシング(31)の上方(図1における上方)に電動機(45)が配置され、電動機(45)よりも下方に圧縮機構部(40)が配置されている。また、駆動軸(50)は、圧縮機構部(40)を上下方向に貫通するように設けられ、圧縮機構部(40)と電動機(45)を連結している。この電動機(45)が回転することで、駆動軸(50)も回転して、圧縮機構部(40)が駆動される。これにより、圧縮機構部(40)では冷媒(流体)が圧縮される。そして、圧縮機構部(40)が圧縮した冷媒は、後に詳述するように、電動機(45)よりも上方の空間(後述する第2の空間(S2))に吐出され、該第2の空間(S2)に開口した吐出管(36)によってケーシング(31)の外へ導出される。
以下では、二段圧縮機(30)の各構成要素について説明する。なお、以下の説明で用いられる、上方(或いは上側)、下方(或いは下側)等の方向を表す語は特に注釈がないかぎり、何れも図1における方向を意味しており、実際の二段圧縮機(30)の設置方向などとは必ずしも一致しない。また、以下の説明において、「均圧させる」とは2つの空間の圧力差を低減させることを意味している。すなわち、均圧後の2つの空間の圧力は、必ずしも等しいわけではない。
《ケーシング(31)》
ケーシング(31)は、縦長円筒形の密閉容器状に形成されている。具体的に、このケーシング(31)は、本体筒部(32)、上側鏡板(33)、及び下側鏡板(34)を備えている。本体筒部(32)は、両端が開口端となった中空円筒状に形成されている。ケーシング(31)では、本体筒部(32)の上端が上側鏡板(33)によって閉塞され、本体筒部(32)の下端が下側鏡板(34)によって閉塞されている。上側鏡板(33)には、吐出管(36)と給電用ターミナル(48)とが、それぞれ上側鏡板(33)を貫通する状態で取り付けられている。前記吐出管(36)は、その一端が電動機(45)の上方の空間(後述の第2の空間(S2))に開口し、他の一端がケーシング(31)の外に開口している。
《電動機(45)》
電動機(45)は、ケーシング(31)の上方寄りに配置され、ケーシング(31)内を上下2つの空間(第1及び第2の空間(S1,S2))に分割している。
この電動機(45)は、いわゆる分布巻電動機と呼ばれる電動機であり、ステータ(46)(固定子)とロータ(47)(回転子)とを備えている。前記ステータ(46)は、円筒状のステータコア(46a)と、該ステータコア(46a)に装着される3相の巻線とを備えている。ステータコア(46a)は、ケーシング(31)の本体筒部(32)に溶接により固定されている。なお、ステータコア(46a)の詳細については後述する。また、ステータ(46)では、各巻線の軸線方向端部が、ステータコア(46a)の軸心方向端部から突出してコイルエンド(46b)に形成されている。そして、各巻線に通電することによって回転磁界を発生させるように構成されている。具体的に、この電動機(45)では、前記巻線がリード線(図示省略)を介して給電用ターミナル(48)に接続されている。
前記ロータ(47)は、内部に永久磁石(図示省略)が嵌め込まれ、ステータ(46)の内側で回転可能に構成されている。前記巻き線に給電用ターミナル(48)を介して電力が供給されると、前記回転磁界によりロータ(47)が回転する。また、このロータ(47)には、駆動軸(50)が嵌め込まれて圧縮機構部(40)と駆動連結されている。これにより、電動機(45)に電力が供給されてロータ(47)が回転すると、駆動軸(50)も回転して圧縮機構部(40)が駆動される。
また、ステータ(46)とロータ(47)との間には隙間(47a)がある。そのため、前記第1の空間(S1)と第2の空間(S2)とはこの隙間(47a)によって連通することになる。すなわち、この隙間は本発明の連通路の一例である。
-ステータコア(46a)-
図2は、ステータコア(46a)の平面図である。ステータコア(46a)は、円筒状に構成されている。そして、このステータコア(46a)では、その内周面に駆動軸(50)の軸線方向に延びる複数の凹溝からなる巻線挿入部(46c)が周方向に等間隔をあけて形成されている。この巻線挿入部(46c)は、例えば24個形成され、この巻線挿入部(46c)に前記3相の巻線の何れかが嵌挿されている。また、ステータコア(46a)の外周面には、コアカット部(46d)が形成されている。コアカット部(46d)は、周方向に等間隔をあけて配置され且つ軸線方向に延びる複数の外面凹部(46e)により構成されている。この外面凹部(46e)は、90°間隔で4箇所においてステータコア(46a)の上端面から下端面に亘って形成されている。
これらのコアカット部(46d)(外面凹部(46e))は、ケーシング(31)内での冷媒及び潤滑油の流通路として設けられるものである。すなわち、これらの外面凹部(46e)も本発明の連通路の一例である。そして、コアカット部(46d)の面積は、ケーシング(31)内面の底面積に対して5%以上の面積に設定されている。例えば、ケーシング(31)の内面の底面積が9852mmであり、コアカット部(46d)の面積が951mmとなっている。
また、ステータコア(46a)の外周面は、コアカット部(46d)以外の部分においてケーシング(31)の本体筒部(32)の内周面に接している。この接している部分が本体筒部(32)と溶接(例えばスポット溶接)により固定されている。つまり、コアカット部(46d)は、ケーシング(31)に接する部分に隣接して形成されている。
《駆動軸(50)》
この例では、駆動軸(50)は、主軸部(51)、第1偏心部(52)、及び第2偏心部(53)を備え、その軸方向が上下方向となる姿勢でケーシング(31)内に配置されている。第1偏心部(52)と第2偏心部(53)は、駆動軸(50)のうち圧縮機構部(40)を貫通する部分に形成されている。駆動軸(50)では、第1偏心部(52)の上方に第2偏心部(53)が配置されている。第1偏心部(52)と第2偏心部(53)は、何れも外径が主軸部(51)の外径よりも大きな円柱状に形成されている。第1偏心部(52)の外径と第2偏心部(53)の外径は、等しくなっている。各偏心部(52,53)の軸心は、主軸部(51)の軸心に対して偏心している。第1偏心部(52)の主軸部(51)に対する偏心方向と、第2偏心部(53)の主軸部(51)に対する偏心方向とは、駆動軸(50)の回転方向において180°ずれている。つまり、第1偏心部(52)と第2偏心部(53)とでは、主軸部(51)に対する偏心方向が逆方向となっている。
駆動軸(50)には、給油通路(54)が形成されている。給油通路(54)は、駆動軸(50)の軸方向へ延びる細長い有底の穴であって、駆動軸(50)の下端から第2偏心部(53)の少し上の位置までに亘って形成されている。給油通路(54)の下端は、駆動軸(50)の下端に開口している。給油通路(54)の上端は、行き止まりになっている。
また、駆動軸(50)には、給油孔(55,56)が形成されている。給油孔(55,56)は、駆動軸(50)の半径方向へ延びる細長い貫通孔である。給油孔(55,56)は、その一端が駆動軸(50)の外周面に開口し、その他端が給油通路(54)に連通している。駆動軸(50)では、第1偏心部(52)の下端に隣接する部分がやや括れた形状となっており、この括れた部分の外周面に第1の給油孔(55)が開口している。また、駆動軸(50)では、第2偏心部(53)の上端に隣接する部分がやや括れた形状となっており、この括れた部分の外周面に第2の給油孔(56)が開口している。また、図示しないが、第1偏心部(52)の外周面と第2偏心部(53)の外周面にも、給油通路(54)に連通する給油孔が開口している。
《圧縮機構部(40)》
圧縮機構部(40)は、下から上へ向かって順に、カバープレート(96)、リアヘッド(90)、低段側シリンダ(60)、中間プレート(95)、高段側シリンダ(70)、及びフロントヘッド(80)が積層されている。図示しないが、積層されたカバープレート(96)、リアヘッド(90)、低段側シリンダ(60)、中間プレート(95)、高段側シリンダ(70)、及びフロントヘッド(80)は、これらを貫通するように設けられた複数本のボルトによって、互いに締結されている。そして、この圧縮機構部(40)は、電動機(45)よりも下方に圧縮機構部(40)が配置されている。すなわち、この圧縮機構部(40)は、前記第1の空間(S1)に収容されているのである。
-低段側シリンダ(60)と高段側シリンダ(70)-
低段側シリンダ(60)と高段側シリンダ(70)のそれぞれは、図1に示すように、やや肉厚の部材である。ただし、高段側シリンダ(70)は、低段側シリンダ(60)よりも肉厚が薄い。また、低段側シリンダ(60)と高段側シリンダ(70)のそれぞれは、その両端面(図1における上端面と下端面)が互いに平行な平坦面となっている。そして、低段側シリンダ(60)と高段側シリンダ(70)のそれぞれには、厚み方向へ貫通する円形断面の貫通孔が形成されている。各シリンダ(60,70)では、貫通孔の側面がシリンダ(60,70)の内周面となっている。各シリンダ(60,70)の貫通孔には、駆動軸(50)が挿通されている。低段側シリンダ(60)の貫通孔内には、駆動軸(50)の第1偏心部(52)が位置している。高段側シリンダ(70)の貫通孔内には、駆動軸(50)の第2偏心部(53)が位置している。
-中間プレート(95)-
中間プレート(95)は、高段側シリンダ(70)よりもやや薄肉の平板状の部材である。中間プレート(95)は、低段側シリンダ(60)と高段側シリンダ(70)の間に挟み込まれている。そして、中間プレート(95)は、その前面(図1における上面)が高段側シリンダ(70)と密着し、その背面(同図における下面)が低段側シリンダ(60)と密着している。また、中間プレート(95)には、厚み方向へ貫通する貫通孔が形成されている。この中間プレート(95)の貫通孔には、駆動軸(50)のうち第1偏心部(52)と第2偏心部(53)の間に位置する部分が挿通されている。
-フロントヘッド(80)-
フロントヘッド(80)は、平板部(81)と筒状部(82)とを備えている。平板部(81)は、高段側シリンダ(70)側を向く面(図1における下面)が平坦面となった平板状の部材である。この平板部(81)の平坦面(同図における下面)は、高段側シリンダ(70)と密着している。筒状部(82)は、円筒状に形成されており、平板部(81)における高段側シリンダ(70)とは逆側の面に立設されている。フロントヘッド(80)には、筒状部(82)の軸方向へ延びる貫通孔が、筒状部(82)から平板部(81)に亘って形成されている。このフロントヘッド(80)の貫通孔には、駆動軸(50)のうち第2偏心部(53)よりもロータ(47)寄りの部分(図1における上側の部分)が挿通されている。この貫通孔の内周面は、駆動軸(50)の主軸部(51)の外周面と摺接する。そして、フロントヘッド(80)では、駆動軸(50)と摺接する部分が、駆動軸(50)を支持するジャーナル軸受である主軸受(83)となっている。
-リアヘッド(90)-
リアヘッド(90)は、低段側シリンダ(60)よりも更に肉厚の平板状の部材である。リアヘッド(90)は、その前面(図1における上面)が低段側シリンダ(60)と密着している。リアヘッド(90)には、厚み方向へ貫通する貫通孔が形成されている。このリアヘッド(90)の貫通孔には、駆動軸(50)のうち第1偏心部(52)よりも下側の部分が挿通されている。この貫通孔の内周面は、駆動軸(50)の主軸部(51)の外周面と摺接する。そして、リアヘッド(90)では、駆動軸(50)と摺接する部分が、駆動軸(50)を支持するジャーナル軸受である副軸受(91)となっている。
-カバープレート(96)-
カバープレート(96)は、比較的薄肉の平板状の部材である。このカバープレート(96)は、リアヘッド(90)の背面(図1における下面)を覆うように設けられている。
-低段側圧縮機構(41)及び高段側圧縮機構(42)-
図3は、低段側圧縮機構(41)の構成を示す横断面図である。また、図4は、高段側圧縮機構(42)の構成を示す横断面図である。図3に示すように、低段側シリンダ(60)には、低段側ピストン(63)が収容されている。また、図4に示すように、高段側シリンダ(70)には、高段側ピストン(73)が収容されている。図3及び図4に示すように、各ピストン(63,73)は、両端が開口したやや厚肉の円筒状に形成されている。各ピストン(63,73)の肉厚(ピストン(63,73)の半径方向の幅)は、それぞれの一端から他端に亘って一定となっている。
各ピストン(63,73)の両端面(図1における上端面と下端面)は、互いに平行な平坦面となっている。低段側ピストン(63)は、その一端面(同図における上端面)が中間プレート(95)の背面と対向し、その他端面(同図における下端面)がリアヘッド(90)の前面と対面している。高段側ピストン(73)は、その一端面(同図における上端面)がフロントヘッド(80)の平板部(81)の平坦面と対向し、その他端面(同図における下端面)が中間プレート(95)の前面と対面している。
低段側ピストン(63)は、その内周面が第1偏心部(52)の外周面と全周に亘って油膜を介して摺接する。低段側ピストン(63)の外径は、低段側シリンダ(60)の内周面の直径よりも短くなっている。このため、低段側シリンダ(60)内では、低段側シリンダ(60)の内周面と低段側ピストン(63)の外周面との間に低段側圧縮室(66)が形成される。低段側圧縮室(66)は、低段側シリンダ(60)と、低段側ピストン(63)と、リアヘッド(90)と、中間プレート(95)とによって囲まれた閉空間である。低段側ピストン(63)の外周面は、その周方向の一箇所において低段側シリンダ(60)の内周面と油膜を介して摺接する。第1偏心部(52)に係合する低段側ピストン(63)は、その外周面が低段側シリンダ(60)の内周面と接する状態で偏心回転する。
高段側ピストン(73)は、その内周面が第2偏心部(53)の外周面と全周に亘って摺接する。高段側ピストン(73)の外径は、高段側シリンダ(70)の内周面の直径よりも短くなっている。このため、高段側シリンダ(70)内では、高段側シリンダ(70)の内周面と高段側ピストン(73)の外周面との間に高段側圧縮室(76)が形成される。高段側圧縮室(76)は、高段側シリンダ(70)と、高段側ピストン(73)と、フロントヘッド(80)と、中間プレート(95)とによって囲まれた閉空間である。高段側ピストン(73)の外周面は、その周方向の一箇所において高段側シリンダ(70)の内周面と摺接する。第2偏心部(53)に係合する高段側ピストン(73)は、その外周面が高段側シリンダ(70)の内周面と接する状態で偏心回転する。
図3及び図4にそれぞれ示すように、低段側ピストン(63)と高段側ピストン(73)のそれぞれには、ブレード(64,74)が一体に形成されている。各ブレード(64,74)は、ピストン(63,73)の外周面から外側へ向かって延びる平板状に形成されている。低段側ピストン(63)と一体に形成されたブレード(64)は、その高さ(図3の紙面に垂直方向の長さ)が、低段側ピストン(63)の高さと等しくなっている。高段側ピストン(73)と一体に形成されたブレード(74)は、その高さ(図4の紙面に垂直方向の長さ)が、高段側ピストン(73)の高さと等しくなっている。
低段側シリンダ(60)と高段側シリンダ(70)のそれぞれには、ブレード(64,74)を挿入するためのブレード溝(61,71)が形成されている。ブレード溝(61,71)は、シリンダ(60,70)の内周面に開口してシリンダ(60,70)の高さ方向(図3、図4の紙面に垂直方向)へ延びる凹溝であって、シリンダ(60,70)の一端面から他端面に亘って形成されている。各シリンダ(60,70)のブレード溝(61,71)には、ブレード(64,74)を支持するためのブッシュ(65,75)が挿入されている。
また、各シリンダ(60,70)には、ブッシュ(65,75)が二つずつ設けられている。低段側シリンダ(60)において、二つのブッシュ(65,65)は、ブレード(64)を両側から挟み込むように配置される。高段側シリンダ(70)において、二つのブッシュ(75,75)は、ブレード(74)を両側から挟み込むように配置されている。各ブッシュ(65,75)は、平坦面となった前面がブレード(64,74)の側面と摺接し、円弧面となった背面がシリンダ(60,70)と摺接する。そして、ブッシュ(65,75)がシリンダ(60,70)に対して回動自在となり、ブレード(64,74)がブッシュ(65,75)に対して進退自在となっている。
低段側シリンダ(60)内に形成された低段側圧縮室(66)は、低段側ピストン(63)と一体に形成されたブレード(64)によって、吸入側空間(67)と吐出側空間(68)に仕切られる。図3では、ブレード(64)の右側が吸入側空間(67)となり、ブレード(64)の左側が吐出側空間(68)となっている。
低段側シリンダ(60)には、低段側吸入ポート(62)が形成されている。低段側吸入ポート(62)は、その終端が低段側シリンダ(60)の内周面に開口している。低段側シリンダ(60)の内周面における低段側吸入ポート(62)の開口位置は、図3におけるブレード溝(61)の右側近傍の位置となっている。低段側吸入ポート(62)は、吸入側空間(67)に連通している。低段側吸入ポート(62)の始端には、吸入管(35)が接続されている。
低段側シリンダ(60)に隣接するリアヘッド(90)には、低段側吐出ポート(93)が形成されている。低段側吐出ポート(93)は、リアヘッド(90)の前面(図1における下側)に開口する円形断面の貫通孔である。リアヘッド(90)の前面における低段側吐出ポート(93)の開口位置は、図3におけるブレード溝(61)の左側近傍で且つ吐出側空間(68)に面する位置となっている。
また、リアヘッド(90)には、その背面(図1における下側)に開口する凹溝が形成されている。このリアヘッド(90)に形成された凹溝は、カバープレート(96)で覆われることによって中間圧通路(92)を形成している。中間圧通路(92)の底面には、低段側吐出ポート(93)が開口すると共に、低段側吐出ポート(93)を開閉するための低段側吐出弁(94)が取り付けられている。この低段側吐出弁(94)は、いわゆるリード弁である。また、中間圧通路(92)には、中間吐出管(37)の一端が開口している。
高段側シリンダ(70)内に形成された高段側圧縮室(76)は、高段側ピストン(73)と一体に形成されたブレード(74)によって、吸入側空間(77)と吐出側空間(78)に仕切られる。図4では、ブレード(74)の右側が吸入側空間(77)となり、ブレード(74)の左側が吐出側空間(78)となっている。
高段側シリンダ(70)には、高段側吸入ポート(72)が形成されている。高段側吸入ポート(72)は、その終端が高段側シリンダ(70)の内周面に開口している。高段側シリンダ(70)の内周面における高段側吸入ポート(72)の開口位置は、図4におけるブレード溝(71)の右側近傍の位置となっている。高段側吸入ポート(72)は、吸入側空間(77)に連通している。高段側吸入ポート(72)の始端には、中間吸入管(38)が接続されている。
高段側シリンダ(70)に隣接するフロントヘッド(80)の平板部(81)には、高段側吐出ポート(84)が形成されている。高段側吐出ポート(84)は、平板部(81)の前面(図1における下面)に開口する円形断面の貫通孔である。平板部(81)の前面における高段側吐出ポート(84)の開口位置は、図4におけるブレード溝(71)の左側近傍で且つ吐出側空間(78)に面する位置となっている。
また、フロントヘッド(80)の平板部(81)には、その背面(図1における上面)に開口する凹陥部が形成されている。この平板部(81)に形成された凹陥部の底面には、高段側吐出ポート(84)が開口すると共に、高段側吐出ポート(84)を開閉するための高段側吐出弁(85)が取り付けられている。この高段側吐出弁(85)は、いわゆるリード弁である。また、平板部(81)の背面には、凹陥部を覆うようにマフラー(86)が取り付けられている。マフラー(86)とフロントヘッド(80)の筒状部(82)との間には、高段側吐出ポート(84)から吐出された冷媒を通過させるための隙間が形成されている。すなわち、高段側吐出ポート(84)から吐出された冷媒は第1の空間(S1)に吐出される。
上述したように、圧縮機構部(40)では、低段側シリンダ(60)、低段側ピストン(63)、リアヘッド(90)、及び中間プレート(95)によって低段側圧縮室(66)が形成されている。また、低段側ピストン(63)と一体に形成されたブレード(64)によって、低段側圧縮室(66)が吸入側空間(67)と吐出側空間(68)に仕切られている。そして、この圧縮機構部(40)では、低段側シリンダ(60)、低段側ピストン(63)、リアヘッド(90)、中間プレート(95)、及びブレード(64)によって、低段側圧縮機構(41)が形成されている。つまり、本実施形態の低段側圧縮機構(41)は、いわゆる揺動ピストン型のロータリ式流体機械である。低段側圧縮機構(41)では、リアヘッド(90)と中間プレート(95)が、低段側シリンダ(60)の端部を閉塞する閉塞部材を構成している。
また、上述したように、圧縮機構部(40)では、高段側シリンダ(70)、高段側ピストン(73)、フロントヘッド(80)、及び中間プレート(95)によって高段側圧縮室(76)が形成されている。また、高段側ピストン(73)と一体に形成されたブレード(74)によって、高段側圧縮室(76)が吸入側空間(77)と吐出側空間(78)に仕切られている。そして、この圧縮機構部(40)では、高段側シリンダ(70)、高段側ピストン(73)、フロントヘッド(80)、中間プレート(95)、及びブレード(74)によって高段側圧縮機構(42)が形成されている。つまり、本実施形態の高段側圧縮機構(42)は、いわゆる揺動ピストン型のロータリ式流体機械である。高段側圧縮機構(42)では、フロントヘッド(80)と中間プレート(95)が、高段側シリンダ(70)の端部を閉塞する閉塞部材を構成している。
《吸入管(35)等の配管》
ケーシング(31)の本体筒部(32)には、吸入管(35)、中間吐出管(37)、及び中間吸入管(38)が取り付けられている。吸入管(35)、中間吐出管(37)、及び中間吸入管(38)は、いずれもやや太い円管状に形成されており、本体筒部(32)を貫通している。本体筒部(32)では、圧縮機構部(40)の低段側シリンダ(60)の側方に吸入管(35)が、圧縮機構部(40)のリアヘッド(90)の側方に中間吐出管(37)が、圧縮機構部(40)の高段側シリンダ(70)の側方に中間吸入管(38)が、それぞれ配置されている。この中間吐出管(37)には接続用配管(39)の一端が接続され、中間吸入管(38)には接続用配管(39)の他端が接続されている。また、接続用配管(39)の途中には、インジェクション用ポートを構成するガスインジェクション用配管(28)が接続されている。
また、圧縮損失低減のために中間吐出管(37)後の配管上に冷媒を冷却するための中間冷却器を設ける場合もある。この場合は中間冷却器後の配管にはインジェクション用配管(28)と中間吸入管(38)が接続される。
このように、それぞれの配管が接続されることにより、低段側圧縮機構(41)と高段側圧縮機構(42)とは直列に接続される。そして、後述するように、低段側圧縮機構(41)が圧縮した冷媒は高段側圧縮機構(42)に吸入されて第1の空間(S1)に吐出される。
《配管(100)》
配管(100)は、ケーシング(31)の外部に配置されて前記第1の空間(S1)の圧力と前記第2の空間(S2)の圧力を均圧させる配管である。すなわち、この配管(100)は、本発明の均圧手段の一例である。具体的には、配管(100)は、円管状に形成され、ケーシング(31)の本体筒部(32)に、例えば溶接などにより該本体筒部(32)の外側から取り付けられている。そして、配管(100)の一端は第1の空間(S1)内に開口し、他の一端は第2の空間(S2)内に開口している。より詳しくは、配管(100)は、図2に示すように、外面凹部(46e)の開口を避けて、第1及び第2の空間(S1,S2)のそれぞれに開口している。
《二段圧縮機(30)の動作》
この二段圧縮機(30)では電動機(45)に電力が供給されると駆動軸(50)が回転し、駆動軸(50)を介して、低段側圧縮機構(41)及び高段側圧縮機構(42)が駆動される。低段側圧縮機構(41)が駆動されると、吸入管(35)へ流入した低圧冷媒は、低段側吸入ポート(62)を通って低段側圧縮室(66)へ吸入される。低段側圧縮機構(41)では、駆動軸(50)によって駆動された低段側ピストン(63)が低段側シリンダ(60)内において偏心回転し、低段側圧縮室(66)内の冷媒が圧縮される。低段側圧縮室(66)内において圧縮された冷媒(中間圧冷媒)は、低段側吐出ポート(93)を通って中間圧通路(92)へ吐出される。中間圧通路(92)へ流入した中間圧冷媒は、中間吐出管(37)を通って接続用配管(39)へ流入し、ガスインジェクション用配管(28)から送り込まれた中間圧のガス冷媒と共に中間吸入管(38)へ流入する。
中間吸入管(38)へ流入した中間圧冷媒は、高段側吸入ポート(72)を通って高段側圧縮室(76)へ吸入される。高段側圧縮機構(42)では、駆動軸(50)によって駆動された高段側ピストン(73)が高段側シリンダ(70)内において偏心回転し、高段側圧縮室(76)内の冷媒が圧縮される。高段側圧縮室(76)内において圧縮された冷媒は、高段側吐出ポート(84)を通ってマフラー(86)の内側の空間へ吐出される。
マフラー(86)とフロントヘッド(80)の筒状部(82)との間には隙間が形成されているので、マフラー(86)内の冷媒は、前記第1の空間(S1)に吐出される。そして、第1の空間(S1)に吐出された冷媒は、ステータ(46)とロータ(47)との間の隙間や、ステータコア(46a)の外周面のコアカット部(46d)(詳しくは外面凹部(46e))を通過して第2の空間(S2)に流入する。この際、コアカット部(46d)や外面凹部(46e)を通過する冷媒は、前記潤滑油を含んでおり、これにより電動機(45)の潤滑と冷却が行われる。
そして、本実施形態では、第1の空間(S1)と第2の空間(S2)とは配管(100)によっても連通しているので、配管(100)は、第1の空間(S1)内の高圧冷媒の一部を第2の空間(S2)に流入させつつ、第1の空間(S1)と第2の空間(S2)とを均圧させる。この配管(100)は、本実施形態では外面凹部(46e)の開口を避けて、第1及び第2の空間(S1,S2)のそれぞれに開口しているので、外面凹部(46e)における冷媒(流体)の流れを阻害することがない。すなわち、前記のように冷媒が電動機(45)を冷却する役割を有している場合などに、その冷却が阻害されることがない。
前記のようにして第2の空間(S2)に流入した高圧冷媒は、吐出管(36)へ流入し、この吐出管(36)を通って二段圧縮機(30)から流出してゆく。すなわち、この圧縮機構部(40)は、圧縮した冷媒を、第1の空間(S1)及び連通路(47a,46e)を介して第2の空間(S2)に吐出するのである。
《本実施形態における効果》
前記のように、この二段圧縮機(30)では、第1の空間(S1)と第2の空間(S2)とは配管(100)によって均圧させられている。それゆえ、第1の空間(S1)の圧力と第2の空間(S2)の圧力との差は、配管(100)が設けられていない二段圧縮機と比べて小さくなっている。そして、第1の空間(S1)と第2の空間(S2)の圧力差がこのように小さくなると、該圧力差によって電動機(45)の上下方向(図1における上下)に作用する荷重変動も低減し、その結果、二段圧縮機(30)における振動の低減や、二段圧縮機(30)に接続されている配管に作用する応力の緩和が可能になる。
特に、二酸化炭素を圧縮する圧縮機では、超臨界状態まで冷媒の圧縮を行う場合があるので、フロン等を圧縮する圧縮機に比べ、圧縮機構が吐出する流体自体の圧力変動は大きくなりがちである。しかし、このように圧力変動が大きな場合にも、本実施形態のように配管(100)によって第1の空間(S1)と第2の空間(S2)の均圧を図ることにより、これらの第1及び第2の空間(S1,S2)の圧力差によって電動機(45)に作用する荷重変動を低減することが可能になる。すなわち、本実施形態は、圧縮機構部(40)が直列接続された複数の圧縮機構(41,42)で構成されている場合や、流体として二酸化炭素が用いられる場合などに特に有用である。
なお、電動機の上下の空間の圧力差に対しては、例えば、電動機の設計変更(例えばステータの設計変更など)を行って電動機とケーシングとの隙間の断面積等を大きくして、電動機の上下の空間の均圧を図ることも考えられる。しかし、これでは電動機の設計変更にともなうコストアップを生ずることになる。また、このような、断面積の拡大はステータを構成する鋼板の面積が減少し、電動機の効率低下にも繋がる。しかしながら、前記配管(100)の設置は、電動機(45)の設計変更(例えば、電動機外周側の隙間の拡大等)に比べ、小さなコストアップでの実現が期待できる。また、配管(100)は電動機(45)の効率には影響しない。
《その他の実施形態》
なお、電動機(45)の形式は例示である。すなわち、上記の実施形態で説明した分布巻電動機には限定されない。その他にも、例えば集中巻電動機等を用いてもよい。
また、配管(100)の形状や数は例示である。例えば複数の配管(100)を設置してもよい。
また、圧縮機構部(40)における圧縮機構の数も例示である。例えば、三段以上の圧縮機構によって圧縮機構部(40)を構成してもよいし、1つの圧縮機構によって圧縮機構部を構成してもよい。同様に、それぞれの圧縮機構の形式も例示である。
本発明は、電動機で駆動されて流体を圧縮する圧縮機構部を密閉容器内に備えた圧縮機として有用である。
本発明の実施形態に係る二段圧縮機(30)の縦断面図である。 ステータコア(46a)の平面図である。 低段側圧縮機構(41)の構成を示す横断面図である。 高段側圧縮機構(42)の構成を示す横断面図である。
30 二段圧縮機(圧縮機)
31 ケーシング(密閉容器)
36 吐出管
40 圧縮機構部
45 電動機
46e 外面凹部
100 配管(均圧手段)
S1 第1の空間
S2 第2の空間

Claims (5)

  1. 電動機(45)で駆動されて流体を圧縮する圧縮機構部(40)を密閉容器(31)内に備えた圧縮機であって、
    前記電動機(45)は、前記密閉容器(31)内を第1及び第2の空間(S1,S2)に分割するとともに、前記第1及び第2の空間(S1,S2)を互いに連通して前記流体の流通を許容する連通路(47a,46e)を形成し、
    前記圧縮機構部(40)は、前記第1の空間(S1)に収容され、圧縮した前記流体を前記第1の空間(S1)及び前記連通路(47a,46e)を介して前記第2の空間(S2)に吐出し、
    前記密閉容器(31)には、前記第2の空間(S2)の流体を該密閉容器(31)の外に導出する吐出管(36)が設けられ、
    前記密閉容器(31)の外部には、前記第1の空間(S1)の圧力と前記第2の空間(S2)の圧力を均圧させる均圧手段(100)が設けられていることを特徴とする圧縮機。
  2. 請求項1の圧縮機において、
    前記均圧手段(100)は、前記第1の空間(S1)と前記第2の空間(S2)とを前記密閉容器(31)の外部において連通する配管(100)であることを特徴とする圧縮機。
  3. 請求項1又は請求項2の圧縮機において、
    前記圧縮機構部(40)は、直列接続された複数の圧縮機構(41,42)を備え、該複数の圧縮機構(41,42)によって前記流体を圧縮することを特徴とする圧縮機。
  4. 請求項1から請求項3のうちの何れか1つの圧縮機において、
    前記連通路(47a,46e)は、前記電動機(45)の外周面に形成された外面凹部(46e)により構成され、
    前記均圧手段(100)は、前記連通路(47a,46e)の開口を避けて、前記第1及び第2の空間(S1,S2)のそれぞれに開口していることを特徴とする圧縮機。
  5. 請求項1から請求項4のうちの何れか1つの圧縮機において、
    前記流体は、二酸化炭素であることを特徴とする圧縮機。
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