JP2010202817A - アレルゲン低減化組成物、及びアレルゲン低減化布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性を低下することなく、アレルゲン低減化効果が得られるアレルゲン低減化組成物及びアレルゲン低減化布帛を提供する。
【解決手段】化学構造式中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するリン酸エステルを含むアレルゲン低減化組成物である。また、該アレルゲン低減化組成物が付与されたアレルゲン低減化布帛である。前記リン酸エステルとしては下記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
(RO)m−PO−(OH)n (1)
(式中、Rは炭化水素基、nは1又は2、mは3−nである。)
【選択図】なし
【解決手段】化学構造式中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するリン酸エステルを含むアレルゲン低減化組成物である。また、該アレルゲン低減化組成物が付与されたアレルゲン低減化布帛である。前記リン酸エステルとしては下記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
(RO)m−PO−(OH)n (1)
(式中、Rは炭化水素基、nは1又は2、mは3−nである。)
【選択図】なし
Description
本発明は、ハウスダスト、ダニ、カビ、花粉などのアレルゲンを低減化するアレルゲン低減化組成物、及び、該組成物が付与されたアレルゲン低減化布帛に関するものである。
近年、花粉症やアレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎、気管支喘息などのアレルギー性疾患が問題となっている。アレルギー性疾患は、ハウスダスト、ダニ、カビ、花粉、ペットのフケなどの環境中のアレルゲンが原因となって引き起こされるため、アレルゲンを環境中から低減化することが求められており、種々の提案がなされている。
例えば、下記特許文献1には、環境をタンニン酸で処理することによってアレルゲンを除去する方法と、タンニン酸と、キャリアーとしてアルコールを含有する抗アレルゲン剤が開示されている。また、アレルゲンを除去する方法として、該抗アレルゲン剤を空調装置に組み入れたり、壁、床、衣類、ベッド枕、カーテン、床カバー、他の洗浄しうる製品を該抗アレルゲン剤で洗ったりすることでアレルゲンを除去する方法が開示されている。
下記特許文献2には、茶抽出物、ハイドロキシアパタイト、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、没食子酸および没食子酸と炭素数1から4までのアルコールとのエステル化合物によって環境を処理することによりアレルゲンを除去する方法と、前記化合物を含有する抗アレルゲン組成物により、タンニン酸と同等あるいはそれ以上のアレルゲン除去効果が得られることが開示されている。また、アレルゲン除去の方法としては、該抗アレルゲン組成物を散布、噴霧、塗布、蒸散したり、衣類を洗浄したり、空気浄化装置中のフィルターへ処理したりするなどの方法が開示されている。
下記特許文献3には、シリコーン化合物を含むアレルゲン低減化組成物により、アレルゲン低減化効果が安定的に得られ、しかも被処理物に対して変色等の外観変化を与えることなく、アレルゲンのIgE抗体との結合能力を低下させる、アレルゲンの不活化によるアレルゲン低減化技術が開示されている。また、アレルゲン低減化の方法としては、組成物を対象物や対象空間に、噴霧、塗布、揮散したり、組成物を染み込ませた拭具で対象物を拭いたりすることが開示されている。
下記特許文献4には、芳香族ヒドロキシ化合物、アルカリ金属の炭酸塩、明礬、ラウリルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩を有効成分とするアレルゲン低減化剤により、アレルゲンが付着した生活用品表面を汚染したり破損したりすることなく、アレルゲンを効果的に低減化することが開示されている。また、リン酸塩と、硫酸亜鉛及び/又は酢酸鉛を有効成分とするアレルゲン低減化剤も開示されている。また、アレルゲン低減化の方法としては、生活用品の原材料(樹脂・繊維)などにあらかじめ処理したり、繊維集合体等の基材に含浸し清拭シートのように使用したり、洗濯時に使用する洗剤や柔軟仕上げ材等に添加したりすることが開示されている。
上記のように従来、アレルゲン低減化物質として、タンニン酸、茶抽出物、没食子酸、シリコーン化合物などが知られていた。しかしながら、これらのアレルゲン低減化物質を布帛に付与した場合、アレルゲン低減化効果は得られるものの、アレルゲン低減化物質そのものが燃えやすいため、これを付与した布帛の難燃性が低下するという問題があり、高い難燃性能を求められる用途、例えば、車両内装用布帛として用いることは困難であった。
なお、上記特許文献4には、有効成分としてリン酸塩を用いたアレルゲン低減化剤が開示されているが、同文献においてリン酸塩は硫酸亜鉛及び/又は酢酸鉛との併用を必須とするものであり、またこのリン酸塩は水系溶媒に溶解したときにPO4 3-イオンを生成するものであって、本発明特有のリン酸エステルによるアレルゲン低減化効果については開示されていない。また、同文献のリン酸塩では、十分な難燃効果が期待できず、しかも分子量が小さいために、フォギング(車内で揮発し窓ガラスで凝縮することで白く曇らせる現象)が生じるおそれがある。
本発明の課題は、難燃性を低下させることなく、アレルゲン低減化効果が得られるアレルゲン低減化組成物及びアレルゲン低減化布帛を提供することにある。
本発明に係るアレルゲン低減化組成物は、化学構造式中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するリン酸エステルを含む組成物である。また、本発明に係るアレルゲン低減化布帛は、該アレルゲン低減化組成物が付与された布帛である。
本発明によれば、化学構造式中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するリン酸エステルを用いることにより、アレルゲン低減化効果を発揮することができる。また、このリン酸エステルにより、布帛などの処理物に対して難燃効果を付与することができる。
本発明に係るアレルゲン低減化組成物は、アレルゲン低減化物質として、化学構造式中に少なくとも1個のヒドロキシル基(OH基)を有するリン酸エステルを含有するものである。
リン酸エステルがヒドロキシル基を有さない場合、アレルゲン低減化効果は得られない。その理由は、リン酸エステルの有するヒドロキシル基が、アレルゲンの抗原性を発現させる部分であるエピトープに対して化学的相互作用(被覆または分解)を及ぼすことで、アレルゲンのIgE抗体との結合能力を低下させることにより、アレルゲン性を失うためと推測される。リン酸エステル中のヒドロキシル基の数は1個以上であることが肝要であり、抗アレルゲン性能の観点から、2個であることが好ましい。なお、このリン酸エステルが有するヒドロキシル基としては、リン酸のリン原子に直接結合されたOHだけでなく、リン原子に結合された−OR基(Rは炭化水素基)のRに結合されたOHであってもよい。すなわち、リン酸エステルの化学構造式中に少なくとも1つのヒドロキシル基があればよい。
アレルゲン低減化物質として上記リン酸エステルを用いることにより、また、難燃効果を発揮することができる。すなわち、該アレルゲン低減化組成物で処理された布帛に着火した場合、アレルゲン低減化物質である前記リン酸エステルが分解して炭化層形成および炭化促進などして、難燃層を形成する。該難燃層の断熱効果や酸素遮断効果により難燃効果が得られる。
前記リン酸エステルの具体例としては、例えば、メチルアシッドホスフェート(即ち、モノメチルホスフェート、ジメチルホスフェート、又はその混合物)、エチルアシッドホスフェート(即ち、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフェート、又はその混合物)、プロピルアシッドホスフェート(即ち、モノプロピルホスフェート、ジプロピルホスフェート、又はその混合物)、ブチルアシッドホスフェート(即ち、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、又はその混合物)、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(即ち、モノ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、又はその混合物)、イソデシルアシッドホスフェート(即ち、モノイソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート、又はその混合物)、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、イソステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ジフェニルホスフェート、ジキシレニルホスフェート、ジクレジルホスフェート、更にはこれらの縮合物や塩(例えば、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェートなどのメラミン塩)が挙げられる。また、リン原子に直接結合していないヒドロキシル基を有するものとして、例えば、レゾルシニルジフェニルホスフェートのようなフェノール基を分子内に持つリン酸エステルでもよい。これらのリン酸エステルは2種以上併用してもよい。なお、塩の場合も、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する必要があり、例えば、モノエステルの2個のヒドロキシル基のうちの一方のみが塩であるものや、リン酸のヒドロキシル基は塩であるがリン原子に直接結合していないヒドロキシル基を有するものなどが挙げられる。
前記リン酸エステルとしては、下記一般式(1)で表される化合物が特に好ましく用いられる。
(RO)m−PO−(OH)n (1)
式中、Rは炭化水素基であり、nは1又は2であり、mは3−nである。前記Rは、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基でも、アリール基、アラルキル基等の芳香族炭化水素基でもよい。また、前記Rの炭素数は、大きすぎるとエピトープに対するヒドロキシル基の化学的相互作用が該炭化水素基により妨げられる可能性が高くなるので、30以下であることが好ましく、より好ましくは18以下、更に好ましくは12以下である。また、この炭素数は、車両内装材として用いる場合のフォギングを防止する点からは2以上であることが好ましく、より好ましくは4以上である。前記Rは、特には炭素数18以下のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは4〜12のアルキル基である。
式中、Rは炭化水素基であり、nは1又は2であり、mは3−nである。前記Rは、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基でも、アリール基、アラルキル基等の芳香族炭化水素基でもよい。また、前記Rの炭素数は、大きすぎるとエピトープに対するヒドロキシル基の化学的相互作用が該炭化水素基により妨げられる可能性が高くなるので、30以下であることが好ましく、より好ましくは18以下、更に好ましくは12以下である。また、この炭素数は、車両内装材として用いる場合のフォギングを防止する点からは2以上であることが好ましく、より好ましくは4以上である。前記Rは、特には炭素数18以下のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは4〜12のアルキル基である。
前記式(1)で表されるリン酸エステルとして市販されているものには、例えば、メチルアシッドホスフェート(モノメチルホスフェートとジメチルホスフェートの混合物、平均分子量=119、大八化学工業株式会社製「AP−1」)、ブチルアシッドホスフェート(モノブチルホスフェートとジブチルホスフェートの混合物、平均分子量=182、大八化学工業株式会社製「AP−4」)、ジブチルホスフェート(大八化学工業株式会社製「DP−4」)、モノブチルホスフェート(大八化学工業株式会社製「MP−4」)、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(モノ(2−エチルヘキシル)ホスフェートとビス(2−エチルヘキシル)ホスフェートの混合物、平均分子量=266、大八化学工業株式会社製「AP−8」)、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(大八化学工業株式会社製「DP−8R」)、イソデシルアシッドホスフェート(モノイソデシルホスフェートとジイソデシルホスフェートの混合物、平均分子量=308、大八化学工業株式会社製「AP−10」)、モノイソデシルホスフェート(大八化学工業株式会社製「MP−10」)、ジイソデシルホスフェート(大八化学工業株式会社製「DP−10R」)などが挙げられ、好適に使用することができる。
本発明に係るアレルゲン低減化組成物の剤形としては、固体状、ペースト状、液状どれでもよく、特に限定されない。好ましくは、布帛に適量を均一付与しやすいという観点から液状である。
液状のアレルゲン低減化組成物とする場合、その溶媒あるいは分散媒としては、水や、水と有機溶剤との混合液などの液体を用いることができ、環境負荷の観点から、水を用いることが好ましい。また、液状とする場合、アレルゲン低減化組成物中における前記リン酸エステルの好ましい濃度範囲としては、0.02〜60%ows(on the weight of solution)が好ましく、さらには0.5〜25%owsが好ましい。0.02%ows未満の場合、多量に付与しなれば十分なアレルゲン低減化効果が得られない虞がある。60%owsを超える場合、該組成物を付与した布帛の風合いが粗硬になる虞がある。
本発明に係るアレルゲン低減化組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。例えば、忌避剤、帯電防止剤、界面活性剤、高分子化合物、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、染料、顔料、キレート剤、還元剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、香料、色素、消泡剤、整泡剤などが挙げられる。布帛へのアレルゲン物質の付着を軽減させるという観点から忌避剤を添加することが好ましく、また、アレルゲン不活化効果を向上させるという観点から帯電防止剤を添加することが好ましい。忌避剤としては、例えば、脂肪族トルアミド、テルペン化合物、脂肪族カルボン酸エステル、桂皮酸誘導体、有機酸エステルなどが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、アルキルリン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、多価アルコール、吸湿性無機塩、第4級アンモニウム塩、イミダゾリン、ベタインなどが挙げられる。
本発明に係るアレルゲン低減化組成物の使用方法としては、有効成分である前記リン酸エステルにより、環境中のアレルゲンを低減化することができる態様であれば、特に限定されるものではない。例えば、組成物を対象空間や対象物に噴霧したり、組成物を対象物に塗布又は含浸させたり、組成物を対象空間中に自然揮発させたり、組成物を浸み込ませたシートで対象物を拭くなど、種々の態様が挙げられる。
また、アレルゲンを低減化する対象空間、対象物としても特に限定するものではなく、対象空間としては、例えば、居住空間や車などの車内空間が挙げられ、対象物としては、ソファ、カーペット、カーテン、クッション、畳などの居住空間内の生活用品、カーシートなどの車両内装材などが挙げられる。前記組成物は、このような対象空間に浮遊したり、対象物に付着したりした環境中のアレルゲンを低減化するものであり、かかるアレルゲンの具体例としては、ハウスダスト、ダニ、カビ、花粉(スギ、ヒノキ、ブタクサ)、ペットのフケなどが挙げられ、特に限定されない。
本発明に係るアレルゲン低減化組成物は、上記のようにアレルゲン低減化効果とともに、難燃効果を有するため、繊維処理に用いることが好適であり、特には布帛に処理して用いることが好適である。そこで、次に、該アレルゲン低減化組成物が付与されたアレルゲン低減化布帛について説明する。
該アレルゲン低減化布帛において、アレルゲン低減化物質である前記リン酸エステルの付着量としては、0.1〜50g/m2であることが好ましい。これにより、布帛に存在するアレルゲンを効果的に低減することができ、また布帛の難燃性を向上させることができる。付着量が0.1g/m2未満であると、十分なアレルゲン低減化効果を得にくく、逆に50g/m2を超える場合は、布帛の風合いが粗硬となる。リン酸エステルの付着量は、より好ましくは、3〜20g/m2である。
アレルゲン低減化組成物の布帛への付着方法としては、浸漬法、パディング法、スプレー法、捺染法、コーティング法などの公知慣例の方法を用いることができ、なかでも、布帛全体に所望の量を付着できるという観点から、パディング法を用いることが好ましい。
本発明で用いることのできる布帛としては、特に限定されず公知慣用の織編物、不織布が挙げられる。
該布帛に用いることができる繊維材料としても、特に限定されず、公知慣用の天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維を用いることができる。なかでも産業資材などの耐久性が求められる用途においては、合成繊維を用いることが好ましく、特に好ましくはポリエステル繊維を用いることである。
該布帛に用いることができる糸条の形態としても、特に限定されず、紡績糸(短繊維糸)、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸(以上、長繊維糸)のいずれであってもよく、さらには長繊維と短繊維を組み合わせた長短複合紡績糸であってもよい。マルチフィラメント糸は、必要に応じて撚りをかけてもよいし、仮撚加工や流体撹乱処理などの加工を施してもよい。
該布帛に用いることができる糸条の繊度(単糸繊度に対して、総繊度という場合もある)は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択すればよいが、織物であれば、通常、22〜5000dtex、好ましくは33〜1100dtexのものが用いられ、編物であれば、通常22〜1000dtex、好ましくは33〜660dtexのものが用いられる。糸条の繊度が下限値を下回ると、布帛の表面積が大きくなりアレルゲン物質が付着しやすくなる虞がある。糸条の繊度が上限値を上回ると、得られる布帛の風合いが粗硬になる虞がある。
該布帛に用いることができる糸条の単糸繊度は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択すればよいが、0.06〜33dtexであることが好ましく、0.1〜5dtexであることがより好ましい。単糸繊度が0.06dtex未満であると、布帛の表面積が大きくなりアレルゲン物質が付着しやすくなる虞がある。単糸繊度が33dtexを超えると、得られる布帛の風合いが粗硬になる虞がある。
該布帛として好ましく用いられる織編物の密度は特に限定されるものではなく、用途により適宜設定すればよいが、織物であれば、通常、経糸密度が20〜300本/インチ、緯糸密度が16〜300本/インチであることが好ましく、さらには経糸密度が80〜240本/インチ、緯糸密度が80〜240本/インチであることが好ましい。また、編物であれば、14〜60ウェール/インチ、25〜100コース/インチであることが好ましく、さらには35〜55ウェール/インチ、60〜90コース/インチであることが好ましい。これらの密度が下限値を下回ると、布帛の空隙にアレルゲン物質が付着しやすくなる虞がある。逆に、密度が上限値を上回ると、得られる布帛の風合いが粗硬になる虞がある。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[アレルゲン低減化効果の評価]
実施例及び比較例で得られた布帛を5cm四方にカットした試験片を各10枚作製した。ダルベッコPBS溶液(−)「ニッスイ」(日本製薬株式会社製)16.5重量部に、ダニアレルゲンとして精製ダニ抗原Der f1(ニチニチ製薬株式会社製「ダニ抗原Der f1測定キット」)を、50×10−6重量部を分散させて調整アレルゲン液を作製し、前記試験片に対して該調整アレルゲン液をローラーにて試験片表面全面に0.5ml塗布し、室温にて自然乾燥させて評価サンプルを作製した。この評価サンプルを、室温にて7日間放置後のアレルゲン量をELISA法により測定し、1m2あたりの初期Der f1量からの減少量を算出し、以下の基準に従って、評価した。
◎:100μg/m2以上
○:50以上100μg/m2未満
△:15以上50μg/m2未満
×:0以上15μg/m2未満
実施例及び比較例で得られた布帛を5cm四方にカットした試験片を各10枚作製した。ダルベッコPBS溶液(−)「ニッスイ」(日本製薬株式会社製)16.5重量部に、ダニアレルゲンとして精製ダニ抗原Der f1(ニチニチ製薬株式会社製「ダニ抗原Der f1測定キット」)を、50×10−6重量部を分散させて調整アレルゲン液を作製し、前記試験片に対して該調整アレルゲン液をローラーにて試験片表面全面に0.5ml塗布し、室温にて自然乾燥させて評価サンプルを作製した。この評価サンプルを、室温にて7日間放置後のアレルゲン量をELISA法により測定し、1m2あたりの初期Der f1量からの減少量を算出し、以下の基準に従って、評価した。
◎:100μg/m2以上
○:50以上100μg/m2未満
△:15以上50μg/m2未満
×:0以上15μg/m2未満
[難燃性の評価]
米国自動車安全基準FMVSS302の試験方法に準拠して評価した。実施例及び比較例で得られた布帛を長さ350mm、幅100mmに裁断し、得られた試験片の端部に、ガスバーナーで15秒間接炎させ、着火操作を行い、着火した炎が端部から38mmの位置に設けた標線を越えてから消火するまでの距離と時間を測定した。経、緯方向でそれぞれ10点ずつ測定して、燃焼速度を算出し、以下の基準に従って判定した。
○:試験片に着火しなかったもの、または、着火した炎が標線前に消火したもの
△:燃焼速度の最大値が80mm/分以下のもの
×:燃焼速度の最大値が80mm/分を超えるもの
米国自動車安全基準FMVSS302の試験方法に準拠して評価した。実施例及び比較例で得られた布帛を長さ350mm、幅100mmに裁断し、得られた試験片の端部に、ガスバーナーで15秒間接炎させ、着火操作を行い、着火した炎が端部から38mmの位置に設けた標線を越えてから消火するまでの距離と時間を測定した。経、緯方向でそれぞれ10点ずつ測定して、燃焼速度を算出し、以下の基準に従って判定した。
○:試験片に着火しなかったもの、または、着火した炎が標線前に消火したもの
△:燃焼速度の最大値が80mm/分以下のもの
×:燃焼速度の最大値が80mm/分を超えるもの
リン酸エステルとしてジブチルホスフェート(ヒドロキシル基数:1個、大八化学工業株式会社製「DP−4」)を6重量部用い、溶媒として蒸留水100重量部と混合攪拌して、アレルゲン低減化組成物を得た。
得られたアレルゲン低減化組成物をポリエステルトリコット(目付け400g/m2、糸条繊度=167dtex、単糸繊度=3.5dtex、密度:28ウェール/インチ、38コース/インチ)にディッピングにて、布帛表面にリン酸エステルの付着量が5g/m2となるように塗布し、次いで、ヒートセッターにて150℃で3分間熱処理して、実施例1のアレルゲン低減化布帛を得た。
リン酸エステルの付着量を0.1g/m2となるように塗布した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例2のアレルゲン低減化布帛を得た。
リン酸エステルの付着量を10g/m2となるように塗布した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例3のアレルゲン低減化布帛を得た。
リン酸エステルの付着量を20g/m2となるように塗布した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例4のアレルゲン低減化布帛を得た。
リン酸エステルの付着量を50g/m2となるように塗布した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例5のアレルゲン低減化布帛を得た。
リン酸エステルとしてモノブチルホスフェート(ヒドロキシル基数:2個、大八化学工業株式会社製「MP−4」)を6重量部用い、溶媒として蒸留水100重量部と混合攪拌して、アレルゲン低減化組成物を得た。得られたアレルゲン低減化組成物を用い、その他は全て実施例1と同様にして、実施例6のアレルゲン低減化布帛を得た。
リン酸エステルとしてジイソデシルホスフェート(ヒドロキシル基数:1個、大八化学工業株式会社製「DP−10R」)を6重量部用い、溶媒として蒸留水100重量部と混合攪拌して、アレルゲン低減化組成物を得た。得られたアレルゲン低減化組成物を用い、その他は全て実施例1と同様にして、実施例7のアレルゲン低減化布帛を得た。
リン酸エステルとしてビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(ヒドロキシル基数:1個、大八化学工業株式会社製「DP−8R」)を6重量部用い、溶媒として蒸留水100重量部と混合攪拌して、アレルゲン低減化組成物を得た。得られたアレルゲン低減化組成物を用い、その他は全て実施例1と同様にして、実施例8のアレルゲン低減化布帛を得た。
リン酸エステルとしてモノイソデシルホスフェート(ヒドロキシル基数:2個、大八化学工業株式会社製「MP−10」)を6重量部用い、溶媒として蒸留水100重量部と混合攪拌して、アレルゲン低減化組成物を得た。得られたアレルゲン低減化組成物を用い、その他は全て実施例1と同様にして、実施例9のアレルゲン低減化布帛を得た。
ブランクとして、上記ポリエステルトリコットの未処理品を比較例1の布帛とした。
リン酸エステルとしてトリブチルホスフェート(ヒドロキシル基数:0個、大八化学工業株式会社製「TBP」)を6重量部用い、溶媒として蒸留水100重量部と混合攪拌して、組成物を得た。得られた組成物を用い、その他は全て実施例1と同様にして、比較例2の布帛を得た。
リン酸エステルの替わりにタンニン酸(東京化成工業株式会社製)を6重量部用い、溶媒として蒸留水100重量部と混合攪拌して、組成物を得た。得られた組成物を用い、その他は全て実施例1と同様にして、比較例3の布帛を得た。
表1に示すように、分子中にヒドロキシル基を有しないリン酸エステルを用いた比較例2では、難燃効果は得られたものの、アレルゲン低減化効果は認められなかった。また、従来のアレルゲン低減化剤であるタンニン酸を用いた比較例3では、アレルゲン低減化効果は得られたものの、難燃効果については、これが得られないばかりか、未処理布帛である比較例1に対しても悪化していた。
これに対し、アレルゲン低減化物質としてヒドロキシル基を有するリン酸エステルを用いた実施例1〜9であると、アレルゲン低減化効果が得られるとともに、難燃効果も得られた。
Claims (5)
- 化学構造式中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するリン酸エステルを含むことを特徴とするアレルゲン低減化組成物。
- 前記リン酸エステルが下記一般式(1)で表される化合物である請求項1記載のアレルゲン低減化組成物。
(RO)m−PO−(OH)n (1)
(式中、Rは炭化水素基、nは1又は2、mは3−nである。) - 前記一般式(1)中のRが炭素数18以下のアルキル基である請求項2記載のアレルゲン低減化組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアレルゲン低減化組成物が付与されたアレルゲン低減化布帛。
- 前記リン酸エステルの付着量が0.1〜50g/m2である請求項4記載のアレルゲン低減化布帛。
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JP2009051772A Pending JP2010202817A (ja) | 2009-03-05 | 2009-03-05 | アレルゲン低減化組成物、及びアレルゲン低減化布帛 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010202817A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018172475A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 大和化学工業株式会社 | 抗アレルゲン組成物及び該組成物によって処理された繊維・不織布又は繊維・不織布製品 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61502058A (ja) * | 1984-10-09 | 1986-09-18 | インタ−フエイス リサ−チ コ−ポレ−シヨン | 殺微生物混合物およびその製造方法 |
JPH0216731B2 (ja) * | 1984-07-11 | 1990-04-18 | Univ Sydney | |
JPH02504401A (ja) * | 1987-08-03 | 1990-12-13 | インターフェイス リサーチ コーポレイション | 殺微生物性洗浄処方物または消毒処方物およびその製造方法 |
JPH06279273A (ja) * | 1993-03-30 | 1994-10-04 | Earth Chem Corp Ltd | 環境からアレルゲンを除去する方法および抗ア レルゲン組成物 |
JP2005206801A (ja) * | 2003-12-25 | 2005-08-04 | Lion Corp | 環境中アレルゲン低減化組成物、環境中アレルゲン低減化剤、及び環境中アレルゲン低減化方法 |
-
2009
- 2009-03-05 JP JP2009051772A patent/JP2010202817A/ja active Pending
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