JP2010202496A - 結晶化ガラスおよびそれを用いてなる調理器用トッププレート - Google Patents

結晶化ガラスおよびそれを用いてなる調理器用トッププレート Download PDF

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Abstract

【課題】充分な可視光線の遮蔽性能を有するとともに赤外透過率が高く、しかも長時間使用してもそれらの特性が損なわれにくい結晶化ガラスを提供する。
【解決手段】質量%で、SiO 55〜73%、Al 17〜25%、LiO 2〜5%、TiO 4〜5.5%、SnO 0.05〜0.2%未満、V 0.02〜0.1%、V/(SnO+V)が0.2〜0.4である組成を含有し、AsおよびSbを実質的に含有しないことを特徴とする結晶化ガラス。
【選択図】なし

Description

本発明は、IH(電磁加熱装置)、ハロゲンヒータ等を熱源とする調理器のトッププレートに使用される結晶化ガラスに関する。
IH、ハロゲンヒータ等を熱源とする調理器に用いられるトッププレートには、破損しにくい(機械的強度および耐熱衝撃性が高い)こと、外観が美しいこと、腐食しにくい(化学的耐久性が高い)こと、熱線である赤外線の透過率が高いことなどが要求される。このような特性を満たす材料として、β−石英固溶体(LiO−Al−nSiO(n≧2))を主結晶とする低膨張透明結晶化ガラスがあり、調理器用トッププレートとして用いられている。
低膨張透明結晶化ガラスは、各種ガラス原料を所定割合で混合する調合工程、1600〜1900℃の高温でガラス原料を溶融して均質化された流体とする溶融工程、各種方法により種々の形状に成形する成形工程、歪みを除去するアニール工程、微細な結晶を析出させる結晶化工程を経ることにより製造される。
このようにして製造された低膨張透明結晶化ガラスは、概して可視光に対して透明であるため、そのままトッププレートとして使用すると、当該トッププレート下方に配置されている調理器の内部構造が直接見えてしまい、外観性に劣る。そのため、Vなどの着色剤によって結晶化ガラス自体を着色したり(例えば、特許文献1参照)、結晶化ガラス表面に遮光膜を形成したり(例えば、特許文献2参照)して、可視光を充分遮蔽した状態で使用される。
ところで、Vなどの着色剤によるガラスの着色は、清澄剤として使用されるAsやSbとの相互作用により生じる(強められる)と考えられている。ところが、AsやSbは環境負荷が大きいため、近年、その使用が制限されつつある。従来のガラス組成から単純にAsやSbを除外すると、着色剤による発色効率が低下する傾向がある。着色剤の量を増やすことで可視光遮蔽効果を向上させることも可能であるが、当該方法によると赤外線透過率が低下するという問題がある。
一方、着色剤の発色効率を高める成分として、AsやSbに替えて、例えばSnO等を添加することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。当該方法によれば、環境負荷が小さく、赤外線透過性および可視光遮蔽性に優れたトッププレートを得ることが可能となる。
特公平3−9056号公報 特開2003−68435号公報 特表2004−523446号公報
特許文献3に記載の結晶化ガラスは、使用開始時には優れた赤外線透過性を有するが、長時間使用するにつれて、赤外線透過率が低下するという問題がある。長期間使用しても高赤外線透過率を維持可能であることは、調理性能の面からはもちろんのこと、省エネルギーの観点からも重要である。
したがって、本発明は、充分な可視光線の遮蔽性能を有するとともに、赤外線透過率が高く、しかも長時間使用してもその特性が損なわれにくい結晶化ガラスを提供することを技術課題とする。
本発明者等は鋭意検討した結果、結晶化ガラス中のVとTiOの含有量、およびVとSnOとの混合割合などを特定の範囲に制限することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。
すなわち、本発明は、質量%で、SiO 55〜73%、Al 17〜25%、LiO 2〜5%、TiO 4〜5.5%、SnO 0.05〜0.2%未満、V 0.02〜0.1%、V/(SnO+V)が0.2〜0.4である組成を含有し、AsおよびSbを実質的に含有しないことを特徴とする結晶化ガラスに関する。
既述のように、Vは着色剤としての働きを有する一方で、赤外線透過率を低下させる作用も有する。本発明では、Vの含有量を0.02〜0.1%と極力少なく抑えるとともに、SnOとVの混合割合をV/(SnO+V)が0.2〜0.4となるように調整し、かつTiOの含有量を4〜5.5%と比較的多くなるように調整した結果、高い赤外線透過率を有しながら、充分に調理器装置の内部構造を遮蔽できるようにVの発色効率を高めることが可能となった。このような効果が得られるメカニズムは概ね以下のように説明できる。
ガラス中において、Vイオンは主に3〜5価の状態で存在するが、結晶化ガラスの着色は、マトリックスガラス相に存在する4価のVイオンに起因して生じると推定される。さらに、4価のVイオンがマトリックスガラス相に存在するTiOと結合すると、着色の程度がさらに強まる(可視光透過率が低下する)ことがわかっている。このように、結晶化ガラスの着色は、マトリックスガラス相における4価のVイオンとTiOの量に大きく影響される。
一方で、Vイオンの価数は、Snの存在(特に、Snイオンの酸化還元作用)により変化することがわかっている。即ち、VとSnOの混合割合が着色の程度に影響を与えると考えられる。本発明では、VとSnOの混合割合を上記範囲に制限することにより、4価のVイオンの量が多くなり、Vの発色効果を最大限に引き出すことを可能とする。
ところで、本発明の結晶化ガラスを、例えば調理器用トッププレートとして長期にわたって使用した場合、使用時の加熱により、結晶化がさらに進行する。結晶化が進行すると、マトリックスガラス組成が変化し、マトリックスガラス相において、結晶組成に寄与しない4価のVイオンおよびTiOの濃度が相対的に高まる。その結果、4価のVイオンとTiOの結合状態が変化し、可視領域および赤外領域における透過率が変化することになる。本発明の結晶化ガラスでは、4価のVイオンに対してTiOが過剰に存在しているため、長期使用によるマトリックスガラス組成の変化に対しても、4価のVイオンとTiOの結合状態が変化しにくく、可視光透過率が変化しにくいという特徴も有する。
なお、本発明の結晶化ガラスはβ−石英固溶体を主結晶として含有する結晶化ガラスであるが、長期使用による加熱により、β−石英固溶体からβ−スポジュメン固溶体(LiO−Al−nSiO(n≧4))へ結晶転移が起こり、白濁を生じる性質を有している。結晶化ガラスにおいて白濁が生じると、外観が変化するとともに、散乱により赤外線透過率が低下する。AsおよびSbは結晶転移を促進する作用が大きい成分であり、同様にVも結晶転移を促進する作用を有することが知られている。本発明の結晶化ガラスは、AsおよびSbを実質的に含有しないとともに、Vの含有量も少なくなるよう制限しているため、結晶転移しにくく、長期使用による可視領域および赤外領域の透過率変化が小さいという特徴を有する。
また、AsやSbは環境負荷が大きいとされ、近年はその使用が制限されつつある。本発明の結晶化ガラスは、これらの成分を実質的に含有しないため、廃棄時における環境負荷を低減できる。なお、本発明における「実質的に含有しない」とは、意図してこれらの成分を原料として添加せず、各種ガラス原料に含まれる不純物として混入するレベルをいい、具体的には、含有量が0.1%以下であることを意味する。
第二に、本発明の結晶化ガラスは、NaOの含有量が0.5%以下であることが好ましい。
第三に、本発明の結晶化ガラスは、さらに、ZrOを0〜2.3%含有することが好ましい。
第四に、本発明の結晶化ガラスは、TiOとZrOの合量が4〜6.5%であることが好ましい。
第五に、本発明の結晶化ガラスは、3mm厚での透過率が、波長700nmにおいて35%以下、かつ波長1150nmにおいて85%以上であることが好ましい。なお、本発明において結晶化ガラスの透過率は、表面が鏡面研磨された試料を用いて測定したものをいう。
第六に、本発明は、前記いずれかに記載の結晶化ガラスを用いてなる調理器用トッププレートに関する。
以下に、本発明においてガラスの組成を上記のように限定した理由を述べる。
SiOはガラスの骨格を形成するとともに、β−石英固溶体を構成する成分である。SiOの含有量は55〜73%、好ましくは60〜71%、より好ましくは63〜70%である。SiOの含有量が少なくなると、熱膨張係数が高くなる傾向にあり、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスが得られにくくなる。また、化学的耐久性が低下する傾向にある。一方、SiOの含有量が多くなると、ガラスの溶融性が低下したり、ガラス融液の粘度が大きくなったりして、ガラスの成形が困難になる傾向がある。
Alはガラスの骨格を形成するとともに、β−石英固溶体を構成する成分である。Alの含有量は17〜25%、好ましくは17.5〜24%、より好ましくは18〜22%である。Alの含有量が少なくなると、熱膨張係数が高くなる傾向にあり、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスが得られにくくなる。また、化学的耐久性が低下する傾向にある。一方、Alの含有量が多くなると、ガラスの溶融性が低下したり、ガラス融液の粘度が大きくなったりして、ガラスの成形が困難になる傾向がある。また、ムライト結晶の析出によりガラスが失透する傾向があり、失透部位からガラスにクラックが発生しやすくなるため、成形が困難になる。
LiOはβ−石英固溶体を構成する成分であり、結晶性に大きな影響を与えるとともに、ガラスの粘性を低下させて、溶融性および成形性を向上させる成分である。LiOの含有量は2〜5%、好ましくは2.3〜4.7%、より好ましくは2.5〜4.5%である。LiOの含有量が少なくなると、ムライト結晶によってガラスが失透する傾向があり、失透部位からガラスにクラックが発生しやすくなるため、成形が困難になる。また、ガラスを結晶化させる際に、β−石英固溶体結晶が析出し難しくなり、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスが得られにくくなる。さらに、ガラスの溶融性が低下したり、ガラス融液の粘度が高くなったりする傾向にあり、ガラスの成形が困難になる。一方、LiOの含有量が多くなると、結晶性が強くなりすぎて結晶化工程において粗大結晶が析出しやすく、その結果、白濁して透明な結晶化ガラスが得られなくなったり、破損しやすくなって成形が困難になる。
TiOは結晶化工程で結晶を析出させるための結晶核を構成する成分であるとともに、4価のVイオンの発色を強める作用を有する。TiOの含有量は4〜5.5%、好ましくは4.1〜5.3%、より好ましくは4.2〜5.1%である。TiOの含有量が少なくなると、結晶核として使用されずにマトリックスガラス相に残留する量が少なくなるため、4価のVイオンと結びつきにくく、発色効率が低くなる傾向がある。また、長期間の使用によって結晶化が進行すると、既述のように、ガラスマトリックス中における4価のVイオンとTiOの濃度が高まり、両者の結合状態が変化するため、着色の程度が不当に変化する(特に、色が濃くなる)傾向がある。さらに、充分な数の結晶核が形成されないため、個々の結晶核から成長する結晶の粒径が大きくなって(粗大結晶)、白濁して透明な結晶化ガラスが得られにくい。一方、TiOの含有量が多くなると、溶融工程から成形工程においてガラスが失透する傾向にあり、破損しやすくなるため成形が困難になる。
SnOは着色成分である4価のVイオンを増加させて発色を強める成分である。SnOの含有量は0.05〜0.2%未満、好ましくは0.06〜0.18%、より好ましくは0.07〜0.15%である。SnOの含有量が少なくなると、4価のVイオンが効率よく生成しないため発色効果が強まりにくい。SnOの含有量が多くなると、ガラスを溶融、成形する際に失透する傾向にあり、成形が困難になる。また、SnOの含有量が多くなると、同じ組成であっても溶融条件や結晶化条件のわずかな違いによって、色調が変化しやすくなる傾向がある。
は着色成分である。Vの含有量は0.02〜0.1%、好ましくは0.02〜0.05%である。Vの含有量が少なくなると、着色が薄くなって可視光を充分に遮蔽できなくなる。一方、Vの含有量が多くなると、赤外線の透過率が低下する傾向がある。また、β−石英固溶体からβ−スポジュメン固溶体に結晶転移しやすくなり、白濁の原因となるおそれがある。
とSnOの混合割合は質量比でV/(SnO+V)が0.2〜0.4、好ましくは0.25〜0.35である。VとSnOの混合割合が当該範囲より大きくなっても小さくなっても、4価のVイオンの量が少なくなるため高い発色効果が得られにくい。
さらに、本発明の結晶化ガラスには、上記以外にも、要求される特性を損なわない範囲で種々の成分を添加することができる。
MgOは、LiOの替わりにβ−石英固溶体結晶に固溶する成分である。MgOの含有量は0〜1.5%、好ましくは0〜1.4%、より好ましくは0.1〜1.2%である。MgOの含有量が多くなると、結晶性が強くなりすぎて失透する傾向にあり、その結果、ガラスが破損しやすくなって成形が困難になる。
ZnOは、MgOと同様にβ−石英固溶体結晶に固溶する成分である。ZnOの含有量は0〜1.5%、好ましくは0〜1.4%、より好ましくは0.1〜1.2%である。ZnOの含有量が多くなると、結晶性が強くなりすぎる傾向がある。そのため、緩やかに冷却しながら成形すると、ガラスが失透して破損しやすくなるため、例えばフロート法での成形に不向きとなる。
ZrOは、TiOと同様に結晶化工程で結晶を析出させるための結晶核を構成する成分である。ZrOの含有量は0〜2.3%、好ましくは0〜2.1%、より好ましくは0.1〜1.8%である。ZrOの含有量が多くなると、ガラスの溶融および成形工程において失透する傾向にあり、ガラスの成形が困難になる。
はガラスの分相を促進する成分である。結晶核はガラスが分相する場所に生じやすいことから、Pは結晶核の形成を助ける働きをする。Pの含有量は0〜2%、好ましくは0.1〜1%である。Pの含有量が多くなると、溶融工程において分相するため、所望の組成を有するガラスが得られにくくなるとともに、不透明となる
傾向がある。
TiOとZrOの合量は4〜6.5%、好ましくは4.5〜6%である。これらの成分の合量が多くなると、ガラスの溶融および成形工程において失透する傾向にあり、ガラスの成形が困難になる。一方、これらの成分の合量が少なすぎる場合、結晶核が充分に形成されないため、結晶が粗大化しやすく、結果として、白濁して透明な結晶化ガラスが得られにくくなる。
NaOはガラスの粘性を低下させて、ガラス溶融性および成形性を向上させる成分である。NaOの含有量は0.5%以下、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下である。NaOの含有量が多すぎると、β−石英固溶体からβ−スポジュメン固溶体への結晶転移が促進されるため、結晶の粗大化による白濁が発生しやすい。また、熱膨張係数が高くなる傾向にあり、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスが得られにくくなる。
ガラスの粘性を低下させて、溶融性および成形性を向上させるために、KO、CaO、SrOおよびBaOを合量で5%まで添加することが可能である。なお、CaO、SrOおよびBaOは、ガラスを溶融する際に、失透を引き起こす成分でもあるため、これら成分は合量で2%以下とすることが望ましい。また、CaOはβ−石英固溶体からβ−スポジュメン固溶体への結晶転移を促進する作用を有するためなるべく使用を控えたほうがよい。
清澄剤として、SOやClを必要に応じて単独でまたは組み合わせて添加してもよい。これらの成分の合量は0.5%以下とすることが望ましい。AsおよびSbも清澄剤成分であるが、環境負荷が大きいとされる成分であるため、実質的に含有しないことが重要である。
上記しなかった有色遷移金属元素(例えばCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Cd等)は、赤外線を吸収したり、Snイオンの還元能が失われる(当該有色遷移金属元素がSnイオンと反応し、結果としてVイオンとSnイオンの反応が阻害される)おそれがあるため、できる限り含有しないことが好ましい。
本発明の結晶化ガラスは、3mm厚において波長700nmにおける透過率が35%以下、さらには30%以下であることが好ましく、それにより調理器の内部構造を充分に遮蔽することが可能となる。一方で、LED等を用いて温度や火力などを表示する場合は、3mm厚において波長700nmにおける透過率が15%以上、18%以上、さらには20%以上であることが好ましい。それにより、IH等の調理器のトッププレートに用いた場合、LED等による表示を結晶化ガラスを介して充分に認識することが可能となる。
また別の指標として、本発明の結晶化ガラスは、900℃、50時間の熱処理後に波長700nmにおける吸光度の変化率が10%以下であることが好ましい。吸光度の変化率は以下のようにして算出される。
吸光度=log10(透過率(%)/100)
吸光度変化率=(熱処理後の吸光度−熱処理前の吸光度)/熱処理前の吸光度×100(%)
また、本発明の結晶化ガラスは、3mm厚において波長1150nmにおける透過率が85%、さらには86%以上であると熱線(赤外線)を効率的に透過できるため好ましい。
なお、調理器用トッププレートのような用途に長期間使用しても、高い赤外線透過能が損なわれず、さらには、可視光透過率も変化しにくいことが好ましい。具体的には、本発明の結晶化ガラスは、加速試験として900℃で50時間熱処理した後の波長1150nmにおける透過率の変化量が5%以下、3%以下、2%以下、1.5%以下、特に1%以下であることが好ましい。また、上記加速試験において、波長700nmにおける透過率の変化量が5%以下、3%以下、2%以下、1.5%以下、特に1%以下であることが好ましい。
本発明の結晶化ガラスの30〜750℃の温度範囲での熱膨張係数は、好ましくは−10〜30×10−7/℃、より好ましくは−10〜20×10−7/℃である。熱膨張係数が当該範囲にあると、耐熱衝撃性に優れたガラスとなる。なお、本発明において、熱膨張係数はディラトメーターにより測定した値をいう。
本発明の結晶化ガラスは、以下のようにして製造することができる。
まず、上記組成となるように各種ガラス原料を調合する。必要に応じて、LiOの一部と置換して結晶に固溶するMgOやZnO、ガラスの溶融性および成形性を向上させるための成分、清澄剤等を添加してもよい。
次に、調合したガラス原料を1600〜1900℃の温度で溶融した後、成形し、結晶性ガラスを得る。なお、成形方法としては、ブロー法、プレス法、ロールアウト法、フロート法等の様々な成形方法を適用可能である。
結晶性ガラスをアニールした後、700〜800℃で10分〜10時間熱処理を行い結晶核を形成させ、続いて800〜900℃で10分〜10時間熱処理を行いβ−石英固溶体結晶を成長させて結晶化ガラスを得る。
このようにして製造された結晶化ガラスは、切断、研磨、曲げ加工、リヒートプレス等の後加工を施してもよく、表面に絵付けや膜付け等を施してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
表1〜3は本発明の実施例(試料No.1〜7、12)および比較例(試料No.8〜11、13、14)を示す。
表1〜3に記載の組成となるようにガラス原料を調合し、白金坩堝を用いて1600℃で20時間、さらに1700℃で4時間溶融した。カーボン板の上に5mm厚の2本のスペーサーを載置し、スペーサーの間に溶融ガラスを流し出すとともにローラーで均して板状に成形した。
得られた板状試料を700℃に保持した電気炉に投入し、30分保持してから電源を落として10時間以上かけて炉内で室温まで冷却した。
次いで、冷却後の試料を電気炉で結晶化し、結晶化ガラスを得た。プロファイルは、核形成が770℃で3時間、結晶成長が880℃で1時間とした。
各結晶化ガラスについて、可視および赤外領域における透過率、失透性について評価した。
透過率は、各結晶化ガラスを、両面を鏡面研磨した3mm厚の試料に加工し、分光光度計(日本分光株式会社製 V−760)を用いて700nmおよび1150nmについて測定した。測定条件は、測定範囲1500〜380nm、スキャンスピード200nm/分とした。また、900℃で50時間の熱処理(加速試験)を行なった試料についても同様に透過率を測定した。
失透性は、1350℃に設定した電気炉内にて、白金箔の上に各試料を載置した状態で24時間保持し、失透が生じるか否かで評価した。失透が確認されなければ「○」、失透が確認された場合は「×」とした。
表1〜3から明らかなように、実施例である試料No.1〜7、12は、可視領域の光を充分に遮蔽できるとともに高い赤外線透過率を有し、長期間にわたる使用を想定した加速試験においても可視および赤外領域における透過率変化が小さいことがわかる。
一方、試料No.8は、加速試験後の可視および赤外領域における透過率の変化幅が大きかった。試料No.9および11は、結晶化後の可視領域における透過率が充分に低くなかった。また、試料No.9では失透が確認された。No.10は結晶化後の赤外領域における透過率が充分に高くないとともに、失透が確認された。また、試料No.13および14は、熱処理前後での透過率(吸光度)の変化が大きかった。
本発明の結晶化ガラスは、ガス、IH、ハロゲンヒータ等の調理器用トッププレートとして好適である。また、従来よりβ−石英固溶体を主結晶とする低膨張結晶化ガラスが使用されている高温炉内観察用のぞき窓、防火窓等にも使用可能である。

Claims (6)

  1. 質量%で、SiO 55〜73%、Al 17〜25%、LiO 2〜5%、TiO 4〜5.5%、SnO 0.05〜0.2%未満、V 0.02〜0.1%、V/(SnO+V)が0.2〜0.4である組成を含有し、AsおよびSbを実質的に含有しないことを特徴とする結晶化ガラス。
  2. NaOの含有量が0.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の結晶化ガラス。
  3. さらに、ZrOを0〜2.3%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の結晶化ガラス。
  4. TiOとZrOの合量が4〜6.5%であることを特徴とする請求項3に記載の結晶化ガラス。
  5. 3mm厚での透過率が、波長700nmにおいて35%以下、かつ波長1150nmにおいて85%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の結晶化ガラス。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の結晶化ガラスを用いてなる調理器用トッププレート。
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