JP2010202046A - 車両状態推定装置 - Google Patents

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Kensuke Ito
健介 伊藤
Kazuo Yatabe
和男 谷田部
Susumu Komiyama
晋 小宮山
Tetsuya Ikeda
哲也 池田
Yasushi Tomita
靖 冨田
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Abstract

【課題】車両の後輪のコーナリングパワーの推定精度を向上させることを課題とする。
【解決手段】前輪のみを操舵する車両の後輪のコーナリングパワーを求める車両状態推定装置において、車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出器1と、車両の横Gを検出する横G検出器2と、ヨーレイト検出器1で検出されたヨーレイトと、横G検出器2で検出された横Gとに基づいて、横Gからヨーレイトまでの周波数伝達特性G(z)を算出する周波数伝達特性算出器3と、周波数伝達特性算出器3で算出された周波数伝達特性に基づいて、車両の後輪のコーナリングパワーを算出するコーナリングパワー算出器4とを有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両のコーナリングパワーを算出する車両状態推定装置に関する。
従来、この種の技術としては、例えば以下に示す文献に記載されたものが知られている(特許文献1参照)。この文献には、車両横方向の力の釣り合い式と、車両上下軸周りのモーメントの釣り合い式と、車両運動の状態量の物理的関係式との3式によって、ヨーレイトと横Gとを用いることで、前輪の横力変化の影響を分離し、精度良く後輪のコーナリングパワーを推定する技術が記載されている。
特開2003−146154号公報
しかし、上記従来の技術においては、後輪のコーナリングパワーを時系列で計算するため、高周波/低周波ノイズの影響を直接受けてしまい、この影響で推定精度が低下するといった不具合を招くおそれがあった。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コーナリングパワーの推定精度を向上させた車両状態推定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の課題を解決する手段は、前輪のみを操舵する車両の横Gからヨーレイトまでの周波数伝達特性に基づいて、車両後輪のコーナリングパワーを算出することを特徴とする。
本発明によれば、周波数伝達特性における、コーナリングパワーの変化の影響が大きい周波数帯域のみを観測してコーナリングパワーを算出することで、コーナリングパワーの推定精度を向上させることができる。
本発明の特徴に係る横G〜ヨーレイトの周波数伝達特性を示す図である。 本発明の実施例1に係る車両状態装置の構成を示す図である。 実施例1に係る周波数伝達特性算出器の構成を示す図である。 図3示す周波数伝達特性算出器における算出手順を示すフローチャートである。 実施例1に係るコーナリングパワー算出器の構成を示す図である。 図5に示す共振ピークゲイン検出器の構成を示す図である。 図5に示すゲインコーナリングパワー変換器の構成を示す図である。 本発明の実施例2に係るコーナリングパワー算出器の構成を示す図である。 図8に示す共振ピーク周波数検出器の構成を示す図である。 図8に示す周波数コーナリングパワー変換器の構成を示す図である。 本発明の実施例3に係るコーナリングパワー算出器の構成を示す図である。 図11に示す周波数コーナリングパワー変換器の構成を示す図である。 タイヤの種類と後輪コーナリングパワーとの関係を示す図である 本発明の実施例4に係るタイヤ推定器の構成を示す図である。 後輪の横滑りと後輪コーナリングパワーとの関係を示す図である。 本発明の実施例5に係る後輪横滑り判定器の構成を示す図である。
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施例を説明する。
先ず、本発明の実施例1に係る車両状態推定装置を説明する前に、図1を参照して本発明の車両状態推定装置で採用した推定手法を説明する。
車両の横G(車両の横方向に加わる加速度もしくは減速度)からヨーレイト(車両重心の上下方向軸回りの回転加速度)までの周波数伝達特性のゲインは、例えば図1に示すように表される。このような周波数伝達特性において、後輪コーナリングパワー(Cr)が減少すると、その影響は共振ピークゲイン(δG)もしくは共振ピーク周波数(ω’)の変動として現れる。この周波数変動範囲は車両に依存するが、おおよそ1[rad/s]〜10[rad/s]の範囲である。すなわち、この周波数帯域の共振ピークゲインもしくは共振ピーク周波数を観測することで後輪コーナリングパワーを算出することが可能である。
そこで、従来では、後輪コーナリングパワーを時系列で直接演算していたため、全周波数帯域を演算することになり、ノイズの影響を大きく受けやすくなっていた。一方、今回本発明で採用した特徴的な技術では、周波数伝達特性の共振特性における共振ピークに注目することで、従来に比べて観測する周波数帯域を制限し、後輪コーナリングパワーの検出精度を向上させるようにしている。
続いて、図2を参照して本発明の実施例1に係る車両状態推定装置を説明する。図2は本発明の実施例1に係る車両状態推定装置の構成を示す図である。図2において、この実施例1の車両状態推定装置は、車両のヨーレイトγ(t) [rad/s]を検出するヨーレイト検出器1と、車両の横Gαy(t) [m/s/s]を検出する横G検出器2と、ヨーレイトγ(t)および横Gαy(t)から周波数伝達特性G(z)を算出する周波数伝達特性算出器3と、周波数伝達特性G(z)から車両後輪のコーナリングパワーCr(t)を推定するコーナリングパワー算出器4を備えている。また、車両状態推定装置は、右前輪の車輪速を検出する車輪速検出器5と、左前輪の車輪速を検出する車輪速検出器6と、右後輪の車輪速を検出する車輪速検出器7と、左後輪の車輪速を検出する車輪速検出器8と、前輪を転舵するステアリング機構9とを備えている。ここで、上記関数のパラメータとなるtは実時間、zは離散時間周波数領域であることを表す。
図3は図2に示す周波数伝達特性算出器3の構成を示すブロック図である。図3において、検出された横Gαy(t)および検出されたヨーレイトγ(t)から、伝達特性の算出開始を判断する伝達特性算出判定器31と、横Gおよびヨーレイトをフィルタ処理するフィルタ処理装置32と、制御周期を変更するマルチサンプル装置33と、ステア角からヨーレイトの離散時間周波数伝達特性G(z)を逐次演算する適応同定器34とを備えて構成される。
図4は図3に示す周波数伝達特性算出器3における算出手順を示すフローチャートである。
図4において、先ず伝達特性算出判定器31により伝達特性の算出開始を判断する(ステップS101)。本実施例1では車両の旋回時のみ演算を行うため、次式(1)に示すように、例えば横Gが低加速度領域{αym≦αy(t)≦αyp}において、伝達特性の算出フラグSW_Ad(SW_Ad=1で算出、SW_Ad=0で算出せず)の値を0にするとともに、伝達特性算出判定器31から出力される判定横Gαy(t)、判定ヨーレイトγ(t)の値を0とする。一方、αym>αy(t)、αy(t)>αypにおいては、伝達特性の算出フラグSW_Adの値を1にするとともに、伝達特性算出判定器31から出力される判定横Gαy(t)=αy(t)、判定ヨーレイトγ(t)=γ(t)とする。
Figure 2010202046
ここで、αym,αypはそれぞれマイナス側横G閾値、プラス側横G閾値を表す。なお、
直進状態での横Gを0とし、右方向をプラス、左方向をマイナスとする。
次に、フィルタ処理装置32による高周波ノイズの除去を行う(ステップS102)。フィルタは次式(2)に示す二次のローパスフィルタ(LPF)を離散化して用いる。
Figure 2010202046
ここで、sはラプラス演算子、ω [rad/s]はローパスフィルタのカットオフ周波数を表す。本実施例1ではタイヤの応答速度を考慮し、ω=2π×5に設定している。判定横Gαy(t)、判定ヨーレイトγ(t)を同様のローパスフィルタで処理することで、演算後の周波数伝達関数に現れるフィルタの影響を除去することができる。ローパスフィルタで処理後の処理横Gおよび処理ヨーレイトをそれぞれαy(t)**、γ(t)**とする。
次に、マルチサンプル装置33による高周波ノイズの除去を行う(ステップS103)。
マルチサンプル装置33でダウンサンプリングすることで、制御周波数をタイヤの応答周波数ft[Hz]以下に低下させる。これにより、タイヤが応答しない高周波のデータをさらに除去することができ、高精度に周波数伝達関数の推定が可能となる。ここで、一般的にタイヤの応答周波数ftは5[Hz]前後であることが知られている。ダウンサンプリング後のサンプル横Gおよびサンプルヨーレイトをそれぞれαy(t)***、γ(t)***とする。
このように、ローパスフィルタでフィルタ処理した後にダウンサンプリングすることで、ナイキスト周波数の影響を抑えつつ高周波ノイズを除去することができ、路面摩擦係数の推定精度を上げることができる。
最後に、適応同定器34を用いることでサンプル横Gαy(t)***、サンプルヨーレイトγ(t)***の離散時間周波数伝達特性G(z)を逐次演算する(ステップS104)。離散時間周波数伝達特性G(z)は例えば次式(3)で与えられる。
Figure 2010202046
ここで、z−1は離散系での遅延演算子、a0〜an、b0〜bmは時間変化する変数であり、n≦mである。
適応同定器34は、例えば文献「鈴木隆著、アダプティブコントロール コロナ社出版、p95−p122」に記載されている、逐次最小二乗法により入出力信号から周波数伝達特性G(z)のパラメータa0〜an、b0〜bmを逐次演算する手法を用いる。
逐次演算周期は、ダウンサンプリングした周期より小さい周期に設定するのが好ましい。これにより、得られた周波数伝達特性が受けるナイキスト周波数の影響を小さくすることができる。特にダウンサンプリングした周波数近傍の周波数伝達特性を利用する場合に効果がある。本実施例1では、例えば演算周期をヨーレイト検出器1、横G検出器2の検出周期である10[ms]程度に設定した。周波数伝達特性G(z)の次数n,mは大きく設定するのが好ましく、ノイズに強い演算が可能となる。適応同定器34は、SW_Ad=1のときのみ逐次演算し、SW_Ad=0の場合は演算を行わないこととする。これにより、車両の旋回時のみ推定可能となり、周波数伝達特性の演算精度が向上する。
図5は図2に示すコーナリングパワー算出器4の構成を示す図である。図5において、コーナリングパワー算出器4は、離散時間周波数伝達特性G(z)から共振ピークゲインδG(ω’)[dB]を検出する共振ピークゲイン検出器41と、各車輪速検出器5〜8で検出された各車輪速(V1〜V4)から車体速V(t)[km/h]を推定する車体速推定器42と、共振ピークゲインδG(ω’)[dB]及び車体速V(t)[km/h]から車両後輪のコーナリングパワーCr(t)を推定するゲインコーナリングパワー変換器43で構成される。
図6は図5に示す共振ピークゲイン検出器41の構成を示す図である。図6において、共振ピークゲイン検出器41は、離散時間周波数伝達特性G(z)を連続時間周波数伝達関数G(s)に変換する連続時間変換器411と、共振ピークゲインの探索周波数帯を決定する周波数帯発生器412と、連続時間周波数伝達関数G(s)と探索周波数帯から共振ピークゲインδG
(ω’)を探索する共振ピークゲイン探索器413とを備えて構成される。
連続時間変換器411は、次式(4)で示す双一次変換により離散時間周波数伝達特性G(z)を連続時間周波数伝達関数G(s)に変換する。
Figure 2010202046
ここで、Ts[s]は適応同定器34の演算周期を表す。双一次変換を用いることで変換時のナイキスト周波数の影響を小さくすることができる。
周波数帯発生器412は、車両パラメータ及び後輪コーナリングパワーの変動想定量から最小検索周波数ωminと最大検索周波数ωmaxを予め決定しておく。ここで、経験的にωmin=1[rad/s]程度、ωmax=10[rad/s]程度に設定するとよい。
また、後述する二輪モデルの式(9)から、次式(5)で示す共振ピーク周波数を導出し、後輪コーナリングパワーCrを所定の範囲で変化させ、そのときの最小周波数をωmin、最大周波数をωmaxとしてもよい。
Figure 2010202046
上式(5)において、例えばCrの変化幅は10000[N/rad]〜100000[N/rad]程度に設定することで、概ね抜け漏れなく探索することができる。このように検索周波数帯を設定することで、探索範囲を車速によらず設定することができる。
共振ピークゲイン探索器413は、次式(6)で表され、この関数により共振ピークゲインδG(ω’)を探索する。
Figure 2010202046
ここで、maxG{f(x):A≦x≦B}は、関数f(x)の最大値をA≦x≦Bの範囲で探索し、その最大値を求める関数である。探索は、関数f(x)を微分してその極を求める方法を用いてもよいし、もしくは予め設定された所定の値毎にxを変化させて全探索/ランダム探索で求めてもよい。このように探索することで、観測周波数帯域を絞ることができ、演算時間を低減することができる。
図5に戻って、
車体速推定器42は、各車輪速検出器5〜8の検出値V1,V2,V3,V4[km/h]から次式(7)を用いて車体速V(t)を推定する。
Figure 2010202046
図7は図5に示すゲインコーナリングパワー変換器43の構成を示す図である。図7において、ゲインコーナリングパワー変換器43は、車両状態量から共振ピークゲイン
δG’(ω’)を推定する共振ピークゲイン推定器431と、前述した共振ピークゲイン探索器413で得られた共振ピークゲインδG(ω’)と共振ピークゲイン推定器431で推定された推定共振ピークゲインδG’(ω’)の誤差を最小化するコントローラ432とを備えて構成される。
共振ピークゲイン推定器431は、横Gαy(t)からヨーレイトγ(t)までの周波数伝達特性の演算式を用いて、車体速V及び車両後輪のコーナリングパワーCrから共振ピークゲインを推定する。
以下、横Gαy(t)からヨーレイトγ(t)までの周波数伝達特性の演算式を導出する。例えば文献「安部正人著、自動車の運動と制御、山海堂出版、p49〜p47」に記載されている演算式を用いると、前輪を操舵する車両の二輪モデルの横運動は、次式(8)で表される。
Figure 2010202046
ここで、Cf、Cr[N/rad]は前輪、後輪のコーナリングパワーであり、m[kgf]は車両重量、V[km/h]は車体速、lf、lr[m]はそれぞれ、重心から前輪までの距離、重心から後輪までの距離、I[kgm]はヨーモーメント、β[rad]は車体すべり角、γ[rad/s]は車体ヨーレート、δf[rad]はハンドル舵角によるタイヤ切れ角である。
また、横Gαy(t)とヨーレイトγ(t)、すべり角β(t)の関係は、次式(9)でで表される。
Figure 2010202046
上式(8)、(9)をラプラス変換して整理すると、横Gαy(t)からヨーレイトγ(t)までの周波数伝達特性を演算する次式(10)が得られる。
Figure 2010202046
ここで、Ay、Hはそれぞれαy、γのラプラス変換を表し、ωnは分母多項式の固有周波数、ζは分母多項式の減衰係数を表し、l=lf+lyである。
上式(10)は、Cfの影響を分離したCrだけの式となるので、本式により後輪コーナリングパワーCrを推定することで、その推定精度を向上することが可能となる。
次式(11)は、一次/二次の伝達特性の演算式となり、分母多項式の減衰係数ζが1/21/2以下の場合には、共振特性を有することが知られており、その共振ピーク周波数ω’は次式(11)で表される。
Figure 2010202046
上式(10)、(11)から次式(12)を用いて共振ピークゲインδG(ω’)を算出する。
Figure 2010202046
コントローラ432は、比例・積分・微分制御器(PID制御器)により共振ピークゲインδG(ω’)と推定共振ピークゲインδG’(ω’)の誤差を収束させる。PID制御器は、例えば次式(13)で示しように連続値系で設計し、その後前述した式(4)などにより離散化して実装される。
Figure 2010202046
ここで、Kpは比例ゲイン、TIは積分時間、TDは微分時間をそれぞれ表す。PID制御器のパラメータは、例えば文献「山本、他著、PID制御の基礎と応用、朝倉書店出版、p85−p88」に記載されている、ジーグラ・ニコラス法を用いる。
コントローラ432により共振ピークゲインδG(ω’)と推定共振ピークゲイン
δG’(ω’)の誤差が収束すると、コントローラ432の出力が後輪コーナリングパワーCrと一致する。
このように、この実施例1では、先の図1の説明で触れたように周波数伝達特性における共振特性の一つとなる共振ピークゲインに着目することで、従来に比べて観測する周波数帯域を格段に制限することが可能となる。これにより、共振ピークゲインから後輪コーナリングパワーCrを演算することで、高周波/低周波のノイズの影響が少なくなり、かつコーナリングパワー変化の影響を大きく捉えることが可能となる。これにより、コーナリングパワーの推定精度を向上することができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。
この実施例2の特徴とするところは、先の実施例1で説明したコーナリングパワー算出器4を、先の図5に示す構成に代えて図8に示す構成を採用したことにあり、他は先の実施例1と同様である。
図8において、コーナリングパワー算出器4は、離散時間周波数伝達特性G(z)から共振ピーク周波数ω’[rad/s]を検出する共振ピーク周波数検出器44と、共振ピーク周波数ω’[rad/s]から車両後輪のコーナリングパワーCr(t)を推定する周波数コーナリングパワー変換器45とを備えて構成される。
図9は図8に示す共振ピーク周波数検出器44の構成を示すブロック図である。図9において、共振ピーク周波数検出器44は、連続時間変換器411と、周波数帯発生器412と、連続時間周波数伝達関数G(s)と探索周波数帯から共振ピーク周波数ω’[rad/s]を探索する共振ピーク周波数探索器443とで構成される。
連続時間変換器411と周波数帯発生器412は、前述した実施例1の図6で示す連続時間変換器411、周波数帯発生器412と同様なのでその説明は省略する。
共振ピーク周波数探索器443は、次式(14)で表され、この関数により共振ピーク周波数ω’[rad/s]を探索する。
Figure 2010202046
ここで、maxΩ{f(x):A≦x≦B}は、関数f(x)の最大値をA≦x≦Bの範囲で探索し、最大値をとるときのxを求める関数である。探索は、関数f(x)を微分してその極を求める方法を用いてもよいし、もしくは予め設定された所定の値毎にxを変化させて全探索/ランダム探索で求めてもよい。このようにして探索することで、観測周波数帯域を絞ることができ、演算時間を低減することが可能となる。
図10は図8に示す周波数コーナリングパワー変換器45の構成を示すブロック図である。なお、コントローラ432は、前述した実施例1の図7で採用したコントローラ432と同様なので、その説明は省略する。
周波数コーナリングパワー変換器45は、車両状態量から共振ピーク周波数ω’’[rad/s]を推定する共振ピーク周波数推定器451と、前述した共振ピーク周波数検出器44で検出された共振ピーク周波数ω’[rad/s]と共振ピーク周波数推定器451で推定された推定共振ピーク周波数ω’’[rad/s]の誤差を最小化するコントローラ432とを備えて構成される。
共振ピーク周波数推定器451は、横Gαy(t)からヨーレイトγ(t)までの周波数伝達特性の演算式を用いて、車両後輪のコーナリングパワーCrから共振ピーク周波数ω’を推定する。
ここで、既述した減衰係数ζを1/21/2とすると、前述した式(11)は次式(15)に近似することができる。
Figure 2010202046
これにより、上式(15)と既述した式(10)とから、共振ピーク周波数ω’と後輪コーナリングパワーCrとの関係は、次式(16)で表される。
Figure 2010202046
上式(16)は、車体速Vを含まないため、車体速Vの検知が困難な車輪スリップ時や車体後輪横滑り時においても共振ピーク周波数ω’から後輪コーナリングパワーCrを推定することができる。
このように、この実施例2では、周波数伝達特性における共振特性の一つとなる共振ピーク周波数に着目することで、従来に比べて観測する周波数帯域を格段に制限することが可能となる。これにより、共振ピーク周波数から後輪コーナリングパワーCrを演算することで、高周波/低周波のノイズの影響が少なくなり、かつコーナリングパワー変化の影響を大きく捉えることが可能となる。これにより、コーナリングパワーの推定精度を向上することができる。
また、車体速の検知が困難な状況でも後輪コーナリングパワーCrを推定することが可能となる。
次に、本発明の実施例3について説明する。
この実施例3の特徴とするところは、先の実施例1で説明したコーナリングパワー算出器4を、先の図5に示す構成に代えて図11に示す構成を採用したことにあり、他は先の実施例1と同様である。
図11において、コーナリングパワー算出器4は、離散時間周波数伝達特性G(z)から共振ピーク周波数ω’[rad/s]を検出する共振ピーク周波数検出器44と、各車輪速検出器5〜8から車体速V(t)[km/h]を推定する車体速推定器42と、共振ピーク周波数ω’[rad/s]と車体速V(t)[km/h]から車両の後輪コーナリングパワーCr(t)を推定する周波数コーナリングパワー変換器46とを備えて構成される。なお、共振ピーク周波数検出器44と各車輪速検出器5〜8は、先の実施例1の図5、図8で採用したものと同様なので、その説明は省略する。
図12は周波数コーナリングパワー変換器46の構成を示すブロック図である。図12において、周波数コーナリングパワー変換器46は、車両状態量と車体速Vから共振ピーク周波数ω’’[rad/s]を推定する共振ピーク周波数推定器461と、共振ピーク周波数ω’[rad/s]と共振ピーク周波数推定器461で推定された共振ピーク周波数ω’’[rad/s]との誤差を最小化する、前述した図7のコントローラと同様のコントローラ432とを備えて構成される。
共振ピーク周波数推定器461は、横Gαy(t)からヨーレイトγ(t)までの周波数伝達特性の演算式を用いて、車体速Vと車両の後輪コーナリングパワーCrから共振ピーク周波数ω’を推定する。
前述した式(10)と式(11)とから次式(17)を用いて共振ピーク周波数ω’[rad/s]を算出する。
Figure 2010202046
このように、この実施例3では、周波数伝達特性における共振特性の一つとなる共振ピーク周波数に着目することで、従来に比べて観測する周波数帯域を格段に制限することが可能となる。これにより、共振ピーク周波数ならびに車体速から後輪コーナリングパワーCrを演算することで、高周波/低周波のノイズの影響が少なくなり、かつコーナリングパワー変化の影響を大きく捉えることが可能となる。これにより、コーナリングパワーの推定精度を向上することができる。
次に、本発明の実施例4について説明する。
この実施例4の特徴とするところは、先の実施例1〜3のいずれかの実施例で推定した後輪コーナリングパワーCrに基づいて、車両に装着されているタイヤの種類を判定するようにしたことにある。
例えば、通常仕様のサマータイヤに比べて雪道仕様のスタッドレスタイヤは、後輪コーナリングパワーCrの値が大幅に小さくなることが一般的に知られている。図13にサマータイヤとスタッドレスタイヤのタイヤ特性を示す。図13において、横軸のβtはタイヤすべり角、縦軸のFyはタイヤが発生するコーナリングパワーを表している。この実施例4では、図13に示すようなタイヤが有する特性、すなわちタイヤの種類に応じてコーナリングパワーCrが変化する(サマータイヤのコーナリングパワーCr,1>スタッドレスタイヤのコーナリングパワーCr,2)というタイヤの特性に着目して、この特性に基づいて先の実施例1〜3のいずれかで推定されたコーナリングパワーCrの値の大小によってタイヤの種類を推定して判定するようにしている。
図14はこの実施例4でタイヤの種類を推定するタイヤ推定器の構成を示す図である。図14において、タイヤ推定器は、コーナリングパワー集合Cr,n(n=1,2・・・)を出力するタイヤ記憶器11と、現在車両に装着されているタイヤの種類を判定するタイヤ判定器12とを備えて構成される。
タイヤ記憶器11は、コーナリングパワー集合Cr,n(n=1,2・・・)及び各集合に対応したラベル集合Ln(n=1,2・・・)を予めメモリに蓄えておき出力する。
ラベル集合Ln(n=1,2・・・)はタイヤを区別できるものであり、例えばタイヤの名前や記号とする。
タイヤ判定器12は、コーナリングパワー集合Cr,n(n=1,2・・・)と推定された後輪コーナリングパワーCrとを比較し、比較結果において推定された後輪コーナリングパワーCrの値に最も近い値のコーナリングパワー集合を選択し、選択したコーナリングパワー集合に対応したラベルを出力し、タイヤの種類を推定して判別する。
このように、この実施例4では、既述した実施例1〜3で精度良く推定された後輪コーナリングパワーCrと、図13に示す特性とを用いてタイヤの種類を推定しているので、精度良くタイヤの種類を判定することが可能となる。
次に、本発明の実施例5について説明する。
この実施例5の特徴とするところは、先の実施例1〜3のいずれかの実施例で推定した後輪コーナリングパワーCrに基づいて、後輪の横滑りを判定するようにしたことにある。
後輪の横滑りとは、後輪が横すべりを起こし、車両が旋回内側に巻き込む現象である。このような現象が発生するのは、後輪のタイヤ摩擦円を前後方向もしくは横方向で使い切り、車両後輪の横力が抜けることが原因であり、後輪の横滑りが発生すると、コーナリングパワーCrの値(すべり角0からタイヤ発生横力までの傾き)が大幅に小さくなることが一般的に知られている。
図15は後輪横滑り時と定常走行時のタイヤ特性を示す図であり、横軸のβtはタイヤすべり角、縦軸のFyはタイヤが発生する横力を表している。この実施例5では、図14に示すような後輪横滑り時の特性、すなわち後輪の横滑りが発生すると、横滑りが発生しない定常走行時に比べてコーナリングパワーCrが大幅に減少する(後輪横滑り発生時のコーナリングパワーCr’<定常走行時のコーナリングパワーCr)という特性に着目し、この特性に基づいて先の実施例1〜3のいずれかで推定されたコーナリングパワーCrの値の大小によって後輪の横滑りを推定して判定するようにしている。
図16はこの実施例5で後輪の横滑りを推定する後輪横滑り推定器の構成を示す図である。図16において、後輪横滑り推定器は、タイヤの種類から後輪横滑り閾値Crth[rad/N]を出力する閾値記憶器13と、後輪の横滑り状態を判定する後輪横滑り判定器14とを備えて構成される。
閾値記憶器13は、タイヤの種類情報に応じた後輪横滑り閾値Crth[rad/N]を予めメモリに蓄えておき出力する。タイヤの種類情報とは、タイヤを区別できるものであり、例えばタイヤの名前や記号とする。
後輪横滑り判定器14は、後輪横滑り閾値Crth[rad/N]と、先の実施例1〜3のいずれかの実施例で推定された後輪コーナリングパワーCrとを比較し、後輪横滑り判定信号SP_SWを出力する。比較の結果に応じて後輪横滑り判定信号は次式(18)に示すように設定される。
Figure 2010202046
そして、SP_SW=1、すなわち後輪横滑り閾値Crth≧後輪コーナリングパワー
Crである場合に後輪が横滑りしているものと推定して判別する。
このように、この実施例5では、既述した実施例1〜3で精度良く推定された後輪コーナリングパワーCrと、図15に示す特性とを用いて後輪が横滑りを起こしているか否かを推定しているので、精度良く後輪の横滑りを判定することが可能となる。
1…ヨーレイト検出器
2…横G検出器
3…周波数伝達特性算出器
4…コーナリングパワー算出器
5、6,7,8…車輪速検出器
9…ステアリング機構
11…タイヤ記憶器
12…タイヤ判定器
13…閾値記憶器
14…後輪横滑り判定器
31…伝達特性算出判定器
32…フィルタ処理装置
33…マルチサンプル装置
34…適応同定器
41…共振ピークゲイン検出器
42…車体速推定器
43…ゲインコーナリングパワー変換器
44…共振ピーク周波数検出器
45,46…周波数コーナリングパワー変換器
411…連続時間変換器
412…周波数帯発生器
413…共振ピークゲイン探索器
431…共振ピークゲイン推定器
432…コントローラ
443…共振ピーク周波数探索器
451,461…共振ピーク周波数推定器

Claims (7)

  1. 前輪のみを操舵する車両の後輪のコーナリングパワーを求める車両状態推定装置において、
    前記車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、
    前記車両の横G(横加速度)を検出する横G検出手段と、
    前記ヨーレイト検出手段で検出されたヨーレイトと、前記横G検出手段で検出された横Gとに基づいて、横Gからヨーレイトまでの周波数伝達特性を算出する周波数伝達特性算出手段と、
    前記周波数伝達特性算出手段で算出された周波数伝達特性に基づいて、前記車両の後輪のコーナリングパワーを算出するコーナリングパワー算出手段と
    を有することを特徴とする車両状態推定装置。
  2. 前記コーナリングパワー算出手段は、前記周波数伝達特性算出手段で算出された周波数伝達特性における共振特性に基づいて、コーナリングパワーを算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両状態推定装置。
  3. 前記車両の車体速を検出する車体速検出手段と、
    前記周波数伝達特性算出手段で算出された周波数伝達特性に基づいて、周波数伝達特性における共振ピークゲインを検出する共振ピークゲイン検出手段を有し、
    前記コーナリングパワー算出手段は、前記車体速検出手段で検出された車体速と、前記共振ピークゲイン検出手段で検出された、周波数伝達特性の共振特性における共振ピークゲインとに基づいてコーナリングパワーを算出する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両状態推定装置。
  4. 前記周波数伝達特性算出手段で算出された周波数伝達特性に基づいて、周波数伝達特性における共振ピーク周波数を検出する共振ピーク周波数検出手段を有し、
    前記コーナリングパワー算出手段は、前記共振ピーク周波数検出手段で検出された、周波数伝達特性の共振特性における共振ピーク周波数に基づいてコーナリングパワーを算出する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両状態推定装置。
  5. 前記車両の車体速を検出する車体速検出手段を有し、
    前記コーナリングパワー算出手段は、前記共振ピーク周波数検出手段で検出された共振ピーク周波数に加えて、前記車体速検出手段で検出された車体速に基づいて、コーナリングパワーを算出する
    ことを特徴とする請求項4に記載の車両状態推定装置。
  6. 前記車両の後輪に装着される複数のタイヤの種類と、前記複数のタイヤ毎に予め設定されたコーナリングパワーの値とを記憶する記憶手段と、
    前記コーナリングパワー算出手段で算出されたコーナリングパワーと、前記記憶手段に記憶されたコーナリングパワーとの比較結果に基づいて、前記車両の後輪のタイヤの種類を判定するタイヤ種別判定手段と
    を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両状態推定装置。
  7. 前記車両の後輪に装着される複数のタイヤの種類と、前記複数のタイヤ毎に予め設定された横滑りを起こすコーナリングパワーの閾値とを記憶する記憶手段と、
    前記コーナリングパワー算出手段で算出されたコーナリングパワーと、前記記憶手段に記憶された横滑りのコーナリングパワーとの比較結果に基づいて、前記車両の後輪が横滑りを起こしているか否かを判定する横滑り判定手段と
    を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両状態推定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023210534A1 (ja) * 2022-04-28 2023-11-02 三菱自動車工業株式会社 車両の制御装置

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