JP2010201859A - 印刷物の乾燥方法およびこの方法によって製造された印刷物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の解決しようとする課題は、溶剤を含むインキによって耐熱性の十分でない合成樹脂基材に印刷を行った場合に、基材に浸透した溶剤を効率的に乾燥除去する方法および、この方法によって製造された印刷物を提供することである。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂基材上に、溶剤を含むインキにより印刷層を形成する工程、基材の温度が該基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度より低い温度となる範囲内で1次乾燥する工程、真空中で基材の温度が該基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度より低い温度となる範囲内で2次乾燥する工程、を有することを特徴とする印刷物の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】熱可塑性合成樹脂基材上に、溶剤を含むインキにより印刷層を形成する工程、基材の温度が該基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度より低い温度となる範囲内で1次乾燥する工程、真空中で基材の温度が該基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度より低い温度となる範囲内で2次乾燥する工程、を有することを特徴とする印刷物の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、印刷物の乾燥方法に関し、特に印刷物の基材中に浸み込んだ溶剤成分を効率的に乾燥除去する方法、ならびに、この方法によって製造された印刷物に関する。
グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等、一般に溶剤を含むインキを用いた印刷方法にあっては、印刷後のインキ被膜中に存在する溶剤を乾燥工程によって乾燥除去することが必要とされる。乾燥方法としては、冷風、温風または熱風をインキ被膜の表面に当てて溶剤の乾燥を促進する方法が最も一般的である。
被印刷基材が、金属板のように十分な耐熱性がある場合には、高温の熱風による処理が可能であるが、多くの合成樹脂材料のように耐熱性が十分でない基材の場合、工程上好ましい時間内に十分に乾燥する程度に温度をかけることができない場合が多い。
この問題を解決するため、溶剤を含むインキを用いて基材上に印刷を行い、その後、印刷した基剤を真空中を通すことによってインキ中の溶剤を乾燥せしめることを特徴とする印刷方法が提案されている。この方法は、輪転グラビア印刷のように連続的に印刷する方法に適用することができるものであり、印刷ユニット毎に、真空乾燥ユニットを配置し、インキ中の溶剤を乾燥せしめるようにしたものである。この方法においては、印刷ユニットと真空乾燥ユニットの間に熱乾燥ユニットを配置することも提案されている(特許文献1参照)。
被印刷基材が、インキ中の溶剤を吸収しないような材質であれば、インキ被膜中の溶剤を乾燥除去するだけでよいが、被印刷基材が、インキ中の溶剤を吸収するような性質の材質であって、しかも耐熱性が十分でない場合には、基剤中に吸収されて拡散した溶剤を除去するのは容易ではない。特にスクリーン印刷のように、高沸点の溶剤を使用する印刷法においては、顕著である。
特許文献1に記載の印刷方法においては、連続的に走行する基材を真空環境に投入するために、真空乾燥装置内の真空度を十分に上げて減圧する事が原理的に不可能であるという基本的な問題がある。すなわち、真空乾燥装置内の真空度を保つためには、基材と真空乾燥装置隔壁との間は、何らかの方法でシールする必要があるが、一般的に未乾燥のインキ被膜表面には、触れることができないので、接触を伴うような十分なシールができないためである。この問題を改善するために、真空装置内を複数のチャンバーに分割し、段階的に真空度を上げて減圧していく方法がとられているが、真空度としては、560Torr〜260Torr程度になるのが通常の条件であり、理想的な条件であっても、大気圧−700Torrすなわち60Torr程度と記載されている。この程度の真空度では、熱乾燥の補助的な役割しか期待できず、基材中に浸透した溶剤を除去することは、できない。
本発明の解決しようとする課題は、溶剤を含むインキによって耐熱性の十分でない合成
樹脂基材に印刷を行った場合に、基材に浸透した溶剤を効率的に乾燥除去する方法および、この方法によって製造された印刷物を提供することである。
樹脂基材に印刷を行った場合に、基材に浸透した溶剤を効率的に乾燥除去する方法および、この方法によって製造された印刷物を提供することである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、熱可塑性合成樹脂基材上に、溶剤を含むインキにより印刷層を形成する工程、基材の温度が該基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度より低い温度となる範囲内で1次乾燥する工程、真空中で基材の温度が該基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度より低い温度となる範囲内で2次乾燥する工程、を有することを特徴とする印刷物の製造方法である。
また、請求項2に記載の発明は、前記インキに含まれる溶剤が、沸点60℃以上の溶剤成分を30%以上含んでいることを特徴とする請求項1記載の印刷物の製造方法である。
また、請求項3に記載の発明は、前記インキに含まれる溶剤が、沸点120℃以上の溶剤成分を10%以上含んでいることを特徴とする請求項1または2記載の印刷物の製造方法である。
また、請求項4に記載の発明は、前記基材に用いる熱可塑性合成樹脂が、非結晶性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法である。
また、請求項5に記載の発明は、前記2次乾燥する工程における真空度が1333Pa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法である。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された印刷物である。
本発明の方法によれば、1次乾燥、2次乾燥ともに、基材の温度が、基材として用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度より低い温度となる範囲内で行われるので、加熱によって生じる基材の変形を最小限に留めることができる。
また、真空中で基材を加熱しながら2次乾燥を行うため、基材中に浸透した溶剤を効率よく除去することができる。
また、1次乾燥後に真空中で2次乾燥を行うので、1次乾燥によってインキ被膜中の溶剤は殆ど除去されているため、1次乾燥済みの基材を堆積した状態で、あるいは、巻取った状態で真空チャンバー内に収納することが可能となり、効率よく乾燥作業を行うことができる。
請求項2に記載の方法によれば、前記インキに含まれる溶剤が、沸点60℃以上の溶剤を30%以上含んでいる場合であって、通常の熱乾燥だけでは、効率よく除去することができなかった基材中に浸透した溶剤を、効率よく除去することが可能となる。
請求項3に記載の方法によれば、前記インキに含まれる溶剤が、沸点120℃以上の溶剤成分を10%以上含んでいる場合であって、通常の熱乾燥だけでは、非常に除去が困難であった基材中に浸透した溶剤を、除去することが可能となる。逆に通常の乾燥方法では、除去できなかったような高沸点の溶剤を使用することが可能となるため、スクリーン印刷のように、印刷中にインキ粘度が変化しやすい印刷方法においても、安定した印刷作業が可能となる。
また請求項4に記載の方法によれば、基材に用いる熱可塑性合成樹脂が、非結晶性である場合には、特にインキ中の溶剤が基材に浸透しやすいものであるため、本発明の方法による乾燥方法がさらに有効なものとなる。
また、請求項5に記載の方法によれば、2次乾燥する工程における真空度を1333Pa以下とすることにより、基材中に浸透した溶剤の除去効率がさらに高まる。
請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法による印刷物は、被印刷基材中に含まれる残留溶剤成分が少ないため、残留溶剤に起因するさまざまな品質上の問題や、臭気の問題等が生じる恐れが少ない。
図面に従って、本発明に係る印刷物の製造方法について、詳細に説明する。
図1は、本発明に係る印刷物の製造工程を示した説明図であり、図1(A)は、模式図、図1(B)は、同じ内容を示した断面模式図である。
図1では、スクリーン印刷法による印刷物の製造工程について示している。本発明に係る印刷物の製造方法は、スクリーン印刷法に限らず、グラビア印刷法やフレキソ印刷法等においても応用できるものであるが、本発明の方法が最も効果を発揮するのは、比較的高沸点の溶剤を使用するスクリーン印刷法においてである。
図1は、本発明に係る印刷物の製造工程を示した説明図であり、図1(A)は、模式図、図1(B)は、同じ内容を示した断面模式図である。
図1では、スクリーン印刷法による印刷物の製造工程について示している。本発明に係る印刷物の製造方法は、スクリーン印刷法に限らず、グラビア印刷法やフレキソ印刷法等においても応用できるものであるが、本発明の方法が最も効果を発揮するのは、比較的高沸点の溶剤を使用するスクリーン印刷法においてである。
スクリーン印刷機2によって印刷された熱可塑性合成樹脂製の印刷済み基材1は、搬送コンベア3によって搬送され、熱風式乾燥装置4に導かれ、1次乾燥が行われる。熱風式乾燥装置4の内部では、印刷済み基材1が搬送コンベアによって搬送されながら、上方から熱風5が印刷済み基材表面に当てられ、主に表面に印刷されたインキ被膜中の溶剤を乾燥除去する。この時、熱風の温度は、基材の温度が基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度よりも低い温度範囲内となるように、熱風の温度を調節することが、重要である。
一般的な熱可塑性合成樹脂基材のガラス転移温度としては、ポリ塩化ビニル樹脂で約70〜87℃、ポリスチレン樹脂で約80〜100℃、ポリエステル樹脂で約69〜80℃、ポリカーボネート樹脂で約141〜149℃、ABS樹脂で約120℃である。
これらの熱可塑性合成樹脂基材が、インキに含まれる溶剤を吸収するかどうかについて、簡単に知る方法としては、これらの基材を当該溶剤に48時間程度浸漬して、溶解するかあるいは膨潤による重量変化がある場合は、当該溶剤を吸収するものと知ることができる。
これらの熱可塑性合成樹脂基材が、インキに含まれる溶剤を吸収するかどうかについて、簡単に知る方法としては、これらの基材を当該溶剤に48時間程度浸漬して、溶解するかあるいは膨潤による重量変化がある場合は、当該溶剤を吸収するものと知ることができる。
印刷基材として用いる熱可塑性合成樹脂基材の素材となる熱可塑性合成樹脂としては、
結晶性の材料と、非結晶性の材料とがある。一般に結晶性の材料は、溶剤が浸透しにくく、従って残留溶剤の問題は生じにくいが、非結晶性の材料は溶剤が浸透しやすく、しばしば残留溶剤の問題が生じる。結晶性の材料の例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等が挙げられる。また非結晶性の材料の例としては、ポリスチレン樹脂(PS)、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、テレフタル酸−グリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体樹脂(PETG)、PCとPETGのポリマーアロイ等が挙げられる。本発明に係る印刷物の製造方法によれば、これら非結晶性の材料を印刷基材として使用した場合にも、基材中に浸透した溶剤成分を効率的に除去することができる。
結晶性の材料と、非結晶性の材料とがある。一般に結晶性の材料は、溶剤が浸透しにくく、従って残留溶剤の問題は生じにくいが、非結晶性の材料は溶剤が浸透しやすく、しばしば残留溶剤の問題が生じる。結晶性の材料の例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)等が挙げられる。また非結晶性の材料の例としては、ポリスチレン樹脂(PS)、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、テレフタル酸−グリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体樹脂(PETG)、PCとPETGのポリマーアロイ等が挙げられる。本発明に係る印刷物の製造方法によれば、これら非結晶性の材料を印刷基材として使用した場合にも、基材中に浸透した溶剤成分を効率的に除去することができる。
印刷インキに使用される溶剤の例としては、グラビア印刷にあっては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、キシレン、シクロヘキサノン、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等が使用される。フレキソ印刷にあっては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グリコール系溶剤等の水性溶媒が使用される。スクリーン印刷にあっては、シクロヘキサノン、イソホロン、トリメチルベンゼン、テトラヒドロナフタレン、γ−ブチロラクトン、ブチルセロソルブ等の高沸点溶剤が使用される。
印刷インキに含まれる溶剤が、沸点60℃以上の溶剤成分を30%以上含んでいる場合には、残留溶剤の問題が生じやすく、特に溶剤が基材中に浸透しやすいような組み合わせの場合には著しい。しかし本発明に係る乾燥方法によれば、問題を回避することが可能となる。特に沸点が120℃以上の溶剤成分を10%以上含むインキを用いたような場合には、従来の熱乾燥では、基材中に浸透した溶剤を除去するのには、非常に長時間を要するものであるが、本発明に係る乾燥方法によれば、短時間で除去することが可能となる。
熱風式乾燥装置4の乾燥能力は、熱風5の温度、風量、風速や、印刷済み基材1の炉内における滞留時間等によって決定されるが、炉内の熱輻射の量も少なからず影響するので、実際の作業に当たっては、印刷済み基材1の表面温度を注意深く監視しながら、基材のガラス転移温度を超えないように熱風5の温度を調節する必要がある。1次乾燥工程において、基材の温度を基材に用いた熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度以下に抑制することは、基材の変形や寸法変化を防ぐ意味で、重要である。
1次乾燥の終了した印刷済み基材は、1次乾燥後の印刷済み基材6として、堆積される。図1では、省略されているが、必要に応じて、乾燥後の基材を堆積する前に冷却する装置を設けてもよい。また図では、棒積みとしているが、ラックなどに収納してもよい。積み上げる枚数については、被印刷基材の厚さや重量、表面の凹凸、インキの膜厚、材質等々によってブロッキングの発生しやすさが異なるので、ブロッキングが生じないように個々に設定する必要がある。
次に、1次乾燥後の印刷済み基材6を真空乾燥装置7のチャンバー内に収納して、2次乾燥を行う。真空乾燥装置7は、チャンバー内部の空気を真空ポンプ8によって脱気して低真空にすることができるような装置である。チャンバー内の真空度としては、1333Pa(10Torr)以下であることが望ましく、さらに望ましくは、133Pa(1Torr)以下である。本発明に係る方法においては、真空乾燥による2次乾燥を印刷工程と連続するものとしないで、別工程とし、バッチ処理としたことで、十分な真空度を確保することが可能となった。
チャンバー内を真空にすることにより、印刷済み基材中に浸透した溶剤成分は、蒸発し
やすくなる。基材の温度は、この時の気化熱によって下がるので、これを防ぐ目的と、溶剤成分の蒸発を促進するために、真空乾燥装置7には、熱板9とヒーター10が設置してあり、基材を加熱することができるようになっている。この時、基材の温度が、基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度を超えない温度範囲となるように熱板9やヒーター10の温度を調節する。ヒーター10は、真空中でも熱が伝わるように、赤外線や遠赤外線を輻射するヒーターを用いる。
やすくなる。基材の温度は、この時の気化熱によって下がるので、これを防ぐ目的と、溶剤成分の蒸発を促進するために、真空乾燥装置7には、熱板9とヒーター10が設置してあり、基材を加熱することができるようになっている。この時、基材の温度が、基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度を超えない温度範囲となるように熱板9やヒーター10の温度を調節する。ヒーター10は、真空中でも熱が伝わるように、赤外線や遠赤外線を輻射するヒーターを用いる。
真空乾燥によって2次乾燥を行う場合、熱風乾燥と異なり、基材が重ねられていても、真空度が十分であれば、その隙間から溶剤を蒸発させることができる。真空度が133Pa(1Torr)以下であれば、十分可能である。また1333Pa以下であれば、基材に含まれた溶剤を除去することが可能である。
図2は、ロール状の被印刷基材の2次乾燥に用いる真空乾燥装置7の例を示した模式図である。真空チャンバー内の巻出軸11に未乾燥の製品ロールをセットし、1次乾燥後の印刷済み基材6を引き出して、ガイドロールを経由して巻取軸12に巻き取る。真空チャンバーを密閉した後、チャンバー内は、真空ポンプ8によって脱気する。真空チャンバー内には、ヒーター10を設置し、基材6をガラス転移温度を超えない範囲に加熱することができるようにする。ロールがあまり大きくない場合には、巻き替えをせず、ロールのままチャンバー内に置いて、真空に引くだけでもある程度の効果はあるが、このように、巻出、巻取を行うのが理想的である。
テレフタル酸とシクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールとの共重合体とポリカーボネートとのポリマーアロイからなる非結晶性ポリエステル樹脂の厚さ0.1mmのシートを被印刷基材として使用した。インキは、主剤である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を10〜20%、顔料を10〜20%とし、残りは溶剤とした。溶剤としては、イソホロン、トリメチルベンゼン、シクロヘキサノンを使用した。印刷は、スクリーン印刷法により、乾燥後の膜厚が2.0〜3.0μmとなるようにした。
印刷後の基材は、搬送コンベアによって順次1次乾燥装置である熱風式乾燥装置に送られた。熱風式乾燥装置は、基材の滞留時間が5分となるように設計し、この間被印刷基材に60℃±5℃の熱風を常時当て続けた。乾燥炉から出てきた基材は、この時点でインキ被膜中の溶剤はほぼすべて蒸発しており、短時間であれば基材を重ね合わせてもブロッキングが発生する恐れはなかった。そこで、1次乾燥が終了した被印刷基材は、ストッカーにて50枚単位で積層された状態で排出した。
2次乾燥は、この1次乾燥装置から排出された50枚単位で行い、バッチ式の真空乾燥装置を使用した。60℃に加熱した熱板の上に被印刷基材を積層した状態で載置した。真空乾燥装置の天井部には、ヒーターが設置されており、積層された最上部のシートを60℃に保つようにヒーターの出力を調節した。2次乾燥の真空度を5分後の到達圧力が133Pa(1Torr)となるように設定し、133Paに達した後は5分間の保持を行った。
以上の条件で行った2次乾燥による残留溶剤量の変化を測定した。
図3は、2次乾燥前と2次乾燥後における被印刷基材中の残留溶剤量を示したグラフである。イソホロン、トリメチルベンゼン、シクロヘキサノンそれぞれの溶剤について2次乾燥前、2次乾燥後の1層目、2次乾燥後の50層目の基材について測定した結果である。この結果によると、真空乾燥の前後で残留溶剤量は、イソホロン、シクロヘキサノンにおいては、差が大であり、トリメチルベンゼンでは大差がなかった。また1層目と50層目では、いずれの溶剤においても大差がなかった。トリメチルベンゼンは、基材への浸透が
少ないために、このような結果になったものと推定される。
図3は、2次乾燥前と2次乾燥後における被印刷基材中の残留溶剤量を示したグラフである。イソホロン、トリメチルベンゼン、シクロヘキサノンそれぞれの溶剤について2次乾燥前、2次乾燥後の1層目、2次乾燥後の50層目の基材について測定した結果である。この結果によると、真空乾燥の前後で残留溶剤量は、イソホロン、シクロヘキサノンにおいては、差が大であり、トリメチルベンゼンでは大差がなかった。また1層目と50層目では、いずれの溶剤においても大差がなかった。トリメチルベンゼンは、基材への浸透が
少ないために、このような結果になったものと推定される。
実施例と同じ被印刷基材を用い、同様のインキを用いて印刷、1次乾燥を行った。2次乾燥の条件を以下のように変えて実施した。
2次乾燥の条件として、被印刷基材を重ねず単層とし、真空度を30秒後の到達圧力を1333Pa(10Torr)となるように設定し、その後5分、10分まで保持した時の残留溶剤量を測定した。
図4は、2次乾燥前と2次乾燥後における被印刷基材中の残留溶剤量を示したグラフである。イソホロン、トリメチルベンゼン、シクロヘキサノンそれぞれの溶剤について2次乾燥前、5分後、10分後の残留溶剤量を示している。この結果によると、真空乾燥の前後における残留溶剤量は、実施例1と同様イソホロン、シクロヘキサノンにおいては、差が大であり、トリメチルベンゼンでは大差がなかった。また5分後と10分後では、いずれの溶剤においても大差がなかった。
2次乾燥の条件として、被印刷基材を重ねず単層とし、真空度を30秒後の到達圧力を1333Pa(10Torr)となるように設定し、その後5分、10分まで保持した時の残留溶剤量を測定した。
図4は、2次乾燥前と2次乾燥後における被印刷基材中の残留溶剤量を示したグラフである。イソホロン、トリメチルベンゼン、シクロヘキサノンそれぞれの溶剤について2次乾燥前、5分後、10分後の残留溶剤量を示している。この結果によると、真空乾燥の前後における残留溶剤量は、実施例1と同様イソホロン、シクロヘキサノンにおいては、差が大であり、トリメチルベンゼンでは大差がなかった。また5分後と10分後では、いずれの溶剤においても大差がなかった。
1・・・印刷済み基材
2・・・スクリーン印刷機
3・・・搬送コンベア
4・・・熱風式乾燥装置
5・・・熱風
6・・・1次乾燥後の印刷済み基材
7・・・真空乾燥装置
8・・・真空ポンプ
9・・・熱板
10・・・ヒーター
11・・・巻出軸
12・・・巻取軸
2・・・スクリーン印刷機
3・・・搬送コンベア
4・・・熱風式乾燥装置
5・・・熱風
6・・・1次乾燥後の印刷済み基材
7・・・真空乾燥装置
8・・・真空ポンプ
9・・・熱板
10・・・ヒーター
11・・・巻出軸
12・・・巻取軸
Claims (6)
- 熱可塑性合成樹脂基材上に、溶剤を含むインキにより印刷層を形成する工程、基材の温度が該基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度より低い温度となる範囲内で1次乾燥する工程、真空中で基材の温度が該基材に用いる熱可塑性合成樹脂のガラス転移温度より低い温度となる範囲内で2次乾燥する工程、を有することを特徴とする印刷物の製造方法。
- 前記インキに含まれる溶剤は、沸点60℃以上の溶剤成分を30%以上含んでいることを特徴とする請求項1記載の印刷物の製造方法。
- 前記インキに含まれる溶剤は、沸点120℃以上の溶剤成分を10%以上含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷物の製造方法。
- 前記基材に用いる熱可塑性合成樹脂が、非結晶性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
- 前記2次乾燥する工程における真空度は、1333Pa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された印刷物。
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