JP2010196705A - 遠心圧縮機 - Google Patents

Abstract

【課題】シュラウドと羽根車の間のクリアランスが良好に定められた遠心圧縮機を再現可能に製造すると同時に、ディフューザの半径方向ベーンとシュラウドとの間の半径方向隙間が存在しないことを確保する安価で簡単な方法を提供する。
【解決手段】本発明は、遠心圧縮機（１）に関する。遠心圧縮機（１）は、羽根車（６）と、ディフューザ（３）と、シュラウド（４）を有する。ディフューザ（３）及びシュラウド（４）の一方は、複数の凹部（２８）を有し、ディフューザ（３）及びシュラウド（４）の他方は、複数の半径方向ベーン（１５）を有する。シュラウド（４）は、各半径方向ベーン（１５）がそれぞれの凹部（２８）内へ突出するように、羽根車（６）及びディフューザ（３）を覆う。
【選択図】図３

Description

本発明は、遠心圧縮機に関する。

既知の設計の遠心圧縮機は、羽根車と、ベーン付きディフューザとを有し、羽根車及びティフューザは、静止したシュラウドによって覆われている。性能を最大にするために、羽根車とシュラウドの間のクリアランスは、理想的には、できるだけ小さく、しかも、圧縮機の使用中に生じる羽根車及びシュラウドの小さい変化を許容する。加えて、シュラウドとディフューザのベーンとの間にクリアランスが存在しないことが理想的であり、その理由は、クリアランスにより、作動流体がその方向を変えずにベーンの上を流れる経路が形成されるからである。

シュラウドと羽根車との間に良好に定められた小さいクリアランスを有する遠心圧縮機を再現可能に製造すると同時に、シュラウドとディフューザベーンの間のクリアランスがないことを確保することは、製造公差に起因して、一般的に困難である。

第１の側面では、本発明は、羽根車と、ディフューザと、シュラウドとを有する遠心圧縮機であって、ディフューザ及びシュラウドの一方は、複数の凹部を有し、ディフューザ及びシュラウドの他方は、複数の半径方向ベーンを有し、シュラウドは、半径方向ベーンの各々がそれぞれの凹部の中に突出するように、羽根車及びディフューザを覆う遠心圧縮機を提供する。

シュラウドとディフューザは、チャンバを定め、羽根車によって放出された作動流体をチャンバ内で膨張させる。半径方向ベーンは、チャンバ内に配置され、膨張中の流体の向きを変えるように作用する。半径方向ベーンが突出する凹部を設けることによって、ベーンとシュラウド又はディフューザとの間の半径方向隙間を生じさせることなしに、シュラウドと羽根車との間の良好に定められるクリアランスが得られるように、ディフューザ及び羽根車に対するシュラウドの位置を調整することができる。その結果、高性能の圧縮機を実現することができる。

ディフューザに対するシュラウドの位置を調節することによって、半径方向ベーンの各々とシュラウド又はディフューザとの間の軸線方向の隙間が形成される。軸線方向の隙間が形成されるけれども、この隙間は、回旋状経路を構成し、ベーンとシュラウド又はディフューザとの間に、直接的な半径方向隙間又は経路は存在しない。その結果、羽根車により放出された作動流体は、半径方向ベーンにぶつかり、半径方向ベーンによって向きが変えられる。このことは、半径方向ベーンの各々とシュラウド又はディフューザとの間に明確な半径方向隙間が存在する構成に対して対照的であり、かかる構成は、作動流体が、その向きを変えることなしにベーンの上又は下を通過する直接的な経路を有するであろう。

好ましくは、シュラウドは、半径方向ベーンの各々とそれぞれの凹部の壁との間の軸線方向の間隔よりも小さい量だけ、羽根車から軸線方向に間隔を隔てる。即ち、シュラウドと羽根車の間のクリアランスは、半径方向ベーンの各々の頂部又は底部のところの軸線方向隙間よりも小さい。このことは、シュラウドを、最初に羽根車に接触するように作ることができるという利点を有する。この場合、シュラウドを、良好に定められたクリアランスを形成するために予め定められた量だけ羽根車から分離させることができる。

有利には、半径方向ベーンの各々は、それぞれの凹部の中に第１の量だけ軸線方向に突出し、シュラウドは、羽根車から第２の量だけ軸線方向に間隔を隔て、各凹部は、第１の量と第２の量の和よりも大きい深さを有する。その結果、最初に、シュラウドを羽根車に接触させ、次いで、ベーンを凹部の中に突出させたままクリアランス形成するようにシュラウドを羽根車から分離させることが可能なシュラウドを作ることができる。

シュラウドは、中央孔有するベル形の壁を有するのがよい。この場合、第１の部分が羽根車を覆い、第２の部分がディフューザを覆う。この場合、第１の部分の内面は、羽根車のブレードの縁部に一致する輪郭を有する。

羽根車は、理想的には、シャフトに取付けられ、このシャフトは、ディフューザに回転可能に取付けられる。シャフトをディフューザに直接取付けることによって、羽根車とディフューザの正確な整列を可能にする。特に、シャフトの回転軸線がディフューザに対して同心であると共に垂直になるように、シャフトがディフューザに取付けられる。

好ましくは、羽根車、ディフューザ及びシュラウドは各々、プラスチックで作られ、それにより、遠心圧縮機のコストを著しく減少させる。プラスチックは、一般的には、良好に定められるシュラウドと羽根車の間のクリアランスを確保するのに通常必要な公差を可能にすることができないけれども、半径方向ベーンが突出する凹部は、公差の積重なりを吸収するように作用し、かくして、その他の仕方では不適切であると見なされる材料を用いて、良好に定められたクリアランスを達成することができる。

第２の側面では、本発明は、遠心圧縮機用のシュラウドディフューザ組立体であって、シュラウドと、ディフューザとを有し、シュラウド及びディフューザの一方は、複数の凹部を有し、シュラウド及びディフューザの他方は、複数の半径方向ベーンを有し、シュラウドが、半径方向ベーンの各々がそれぞれの凹部の中に突出するようにディフューザを覆うことが可能に作られる、シュラウドディフューザ組立体を提供する。

シュラウドは、遠心圧縮機の羽根車を更に覆うためのものである。既に注目したように、半径方向ベーンが突出する凹部を設けることによって、各半径方向ベーンの頂部又は底部のところに半径方向隙間を作ることなしに良好に定められたクリアランスを得るように、シュラウドは、羽根車に対して位置決めされるのがよい。

有利には、シュラウドは、半径方向ベーンの各々が凹部の壁から軸線方向に間隔を隔てるようにディフューザを覆うように作られる。即ち、軸線方向隙間が、有利には、半径方向ベーンの各々の頂部又は底部のところに存在する。軸線方向隙間を各半径方向ベーンの頂部又は底部のところに設けることによって、シュラウドがディフューザに対して位置決めされる程度の遊びがある。従って、羽根車に対するシュラウドの位置を、最適な、即ち、良好に定められたクリアランスを達成するように調節するのがよい。軸線方向隙間が半径方向ベーンの各々の頂部又は底部のところに存在するけれども、半径方向ベーンの各々は、凹部の中に突出したままであり、かくして、半径方向ベーンの各々に関連した半径方向隙間はない。

シュラウドは、中央孔を有するベル形の壁と、遠心圧縮機の羽根車を覆う第１の部分と、ディフューザを覆う第２の部分とを有するのがよい。更に、シュラウドは、ベル形の壁から上方に延びる支持壁と、支持壁とベル形の壁との間を延びる複数の支柱とを含むのがよい。この場合、支柱及び支持壁は、ベル形の壁に対する良好な構造的支持体を構成し、ベル形の壁をより薄く作ることができる。

好ましくは、シュラウドは、ディフューザを覆うようにディフューザに直接固着されるのがよい。その結果、ディフューザに対するシュラウドの位置を調整して、シュラウドと羽根車の間のクリアランスを定めた後、シュラウドを、クリアランスを維持するように直接ディフューザに固着される。

ディフューザは、有利には、ハブと、周壁と、ハブと周壁との間を延びる複数の軸線方向ベーンとを有し、シュラウドは、周壁を覆うように作られるのがよい。その結果、シュラウド及びディフューザは、組立体の中を通る流体の流れを半径方向から軸線方向に差し向けるように協働する。シュラウドは、下方に突出した湾曲縁部を有し、湾曲縁部は、ディフューザの周壁内に着座するのがよい。このことは、シュラウドが滑らかな連続表面を有する利点を有し、流体が、滑らかな連続表面の上で、半径方向から軸線方向に向きを変え、それにより、圧力損失を最小にする。

半径方向ベーンは、好ましくは、２次元翼型であり、それにより、良好な流量範囲にわたって、良好な圧力回復が得られる。

第３の側面では、本発明は、遠心圧縮機の羽根車及びディフューザを覆うシュラウドであって、中央孔を有するベル形の壁と、羽根車を覆う第１の部分と、ディフューザを覆う第２の部分とを有し、第１の部分の表面は、羽根車のブレードの縁部に一致する輪郭を有し、第２の部分の表面に、複数の凹部が形成され、凹部の各々は、ディフューザのそれぞれの半径方向ベーンの一部分を受入れるように寸法決めされる、シュラウドを提供する。

第４の側面では、本発明は、遠心圧縮機を組立てる方法であって、羽根車、ディフューザ、及びシュラウドを準備するステップを有し、シュラウド及びディフューザの一方は、複数の凹部を有し、シュラウド及びディフューザの他方は、複数の半径方向ベーンを有し、更に、羽根車及びディフューザを、シュラウドが羽根車に接触し且つ半径方向ベーンの各々がそれぞれの凹部の中に突出するように、シュラウドで覆うステップと、シュラウドを、半径方向ベーンの各々がそれぞれの凹部の中に突出したままシュラウドと羽根車の間のクリアランスを定めるように、羽根車及びディフューザから分離させるステップと、を有する方法を提供する。

好ましくは、この方法は、更に、羽根車をシャフトに取付けるステップと、シャフトをディフューザに回転可能に取付けるステップとを有する。その結果、羽根車は、ディフューザに対して正確に整列される。

ディフューザは、ハブと、周壁と、ハブと周壁との間を延びる複数の軸線方向ベーンとを有し、この方法は、更に、シュラウドを周壁に固着させるステップを有する。この場合、シュラウドとディフューザは、圧縮機の中を通る流体の流れを半径方向から軸線方向に差し向けるように協働する。好ましくは、シュラウドは、周壁に接着される。その結果、シュラウドを羽根車及びディフューザから分離させた後、シュラウドと羽根車との間のクリアランスを維持したまま、シュラウドをディフューザに有効に固着させることができる。加えて、効果的なシ−ルがシュラウドとディフューザとの間に作られることにより、その他の仕方では漏れに起因して生じるおそれのある圧力損失を防止することができる。

羽根車、ディフューザ及びシュラウドのうちの１つ又は２つ以上は、成形プロセス、例えば射出成形又は圧縮成形を使用することによって、プラスチックで作られるのがよい。その結果、その他の仕方では使用することが排除される材料及びプロセスを使用して、圧縮機を製造することができる。

本明細書において参照する用語「軸線方向」及び「半径方向」（例えば、軸線方向隙間、軸線方向クリアランス、軸線方向、半径方向）はそれぞれ、圧縮機の回転軸線に対して平行な方向及び垂直な方向を意味すると理解すべきである。軸線方向ベーン及び半径方向ベーンはそれぞれ、軸線方向及び半径方向に移動する流体に作用するベーンを意味すると理解すべきである。

本発明をより容易に理解するために、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を例示として説明する。

本発明による遠心圧縮機の第１の分解図である。 図１の遠心圧縮機の第２の分解図である。 図１及び図２の遠心圧縮機の断面図である。 本発明による変形例の別の遠心圧縮機の断面図である。

図１〜図３の遠心圧縮機１は、ロータ２と、ディフューザ３と、シュラウド４を有している。

ロータ２は、シャフト５を有し、このシャフト５に、羽根車６と軸受カートリッジ７が取付けられている。羽根車６は、ハブ８を備えた半開放羽根車であり、複数のブレード９がハブ８の周りに支持されている。軸受カートリッジ７は、１対の間隔を隔てた軸受１０を有し、１対の軸受１０に、ばね１１によって予圧が付与され、スリ−ブ１２によって包囲されている。

ディフューザ３は、ハブ１３と、周壁１４と、複数の半径方向ベーン１５と、複数の軸線方向ベーン１６を有している。ハブ１３の上面に、中央部分１８及び外側環状部１９を定める段部１７が形成されている。半径方向ベーン１５は、外側環状部１９の周囲で周方向に間隔を隔てた２次元翼型である。周壁１４は、ハブ１３から間隔を隔て且つそれを包囲している。軸線方向ベーン１６は、周壁１４とハブ１３との間に延び且つ周壁１４をハブ１３に固着させる２次元翼型である。

ロータ２は、ディフューザ３に軸受カートリッジ７によって回転可能に取付けられており、軸受カートリッジ７は、ディフューザ３のハブ１３の中央ボア２０内に固着されている。

シュラウド４は、ベル形の壁２１、外側支持壁２２、及び、ベル形の壁２１と外側支持壁２２との間を延びる複数の支柱２３を有している。

ベル形の壁２１は、環状に対称（軸対称）であり、流体入口として使用される中央孔２４と、羽根車６を覆う第１の部分２５と、ディフューザ４を覆う第２の部分２６を有している。第１の部分２５は、内面を有し、この内面は、羽根車のブレード９の頂縁に一致する輪郭を有している。第２の部分２６は、内面を有し、この内面は、下方に突出した湾曲縁部２７に延びる平らな領域を含んでいる。

複数の凹部２８が、第２の部分２６の内面の周囲に形成されている。各凹部２８は、ディフューザ３のそれぞれの半径方向ベーン１５の一部分を受入れるように寸法決めされている。特に、各凹部２８の断面輪郭は、それぞれの半径方向ベーン１５の断面輪郭に一致している。しかしながら、各凹部２８の断面積は、公差の積重なりを計算に入れて、半径方向ベーン１５の断面積よりも僅かに大きく、このことを以下に詳細に説明する。

外側支持壁２２は、ベル形の壁２１の周囲から上方に延びている。外側支持壁２２の直径方向の段部は、環状隆起部２９を定めている。支柱２３は、ベル形の壁２１と外側支持壁２２との間を半径方向に延び、構造的支持部を構成する。

シュラウド４は、羽根車６とディフューザ３の両方を覆うようにディフューザ３に取付けられている。特に、シュラウド４の第１の部分２５は、羽根車６を覆い、第２の部分２６は、ディフューザ３を覆っている。シュラウド４の環状隆起部２９は、ディフューザ３の周壁１４に接着剤３０によって固着されている。かくして、流体通路が、シュラウド４の入口２４とディフューザ３の軸線方向出口との間に形成されている。ディフューザ３の周壁１４は、シュラウド４の下方に突出した縁部２７を包囲している。シュラウド４の縁部２７が下方に湾曲しているので、シュラウド４は、滑らかな連続表面を有し、作動流体は、連続表面の上で半径方向から軸線方向に向きが変えられ、それにより、圧力損失を最小にする。

シュラウド４は、羽根車６とシュラウド４の間を延びるクリアランスが存在するように、ディフューザ３に取付けられている。加えて、ディフューザ３の各半径方向ベーン１５は、シュラウド４のそれぞれの凹部２８の中に突出している。かくして、遠心圧縮機１は、シュラウド４とディフューザ３の半径方向ベーン１５との間に半径方向隙間が存在しないことを確保しながら、シュラウド４と羽根車６との間のクリアランスを有している。ここで説明するように、シュラウド４がディフューザ３に取付けられている仕方は、良好に定められたクリアランスがシュラウド４と羽根車６の間に形成されることを確保する。

遠心圧縮機１を組立てるとき、最初に、軸受カートリッジ７をディフューザのハブ１３の中央ボア２０内に固着することによって、ロータ２をディフューザ３に取付ける。次いで、シュラウド４によって、ロータ及びディフューザの組立体２，３を覆い、シュラウド４を羽根車６のブレード９に接触させる。このことは、シュラウド４をジグの一方の半部に取付け、ロータ及びディフューザの組立体２，３をジグの他方の半部に取付け、２つの半部を同軸に整列させ、２つの半部を、シュラウド４と羽根車６が互いに接触するまで近づけることによって達成される。シュラウド４とディフューザ３の相対的整列を達成し、それにより、ディフューザ３の各半径方向ベーン１５がシュラウド４のそれぞれの凹部２８の中に突出する。各凹部２８は、シュラウド４が羽根車６に接触することを防止するのに十分な深さのものであり、即ち、シュラウド４が羽根車６に接触するとき、各半径方向ベーン１５がシュラウド３から軸線方向に間隔を隔て、換言すると、各半径方向ベーン１５の頂部とシュラウド４との間の軸線方向隙間が存在する。各半径方向ベーン１５は、最終的なシュラウドと羽根車との間のクリアランスよりも大きい量だけ、それぞれの凹部２８の中に突出し、その利点は、間もなく明らかになる。次いで、シュラウド４を、ロータ及びディフューザの組立体２，３から、シュラウド４と羽根車６との間の軸線方向クリアランスを定める量だけ分離させる（引離す）。

上述したように、分離の前、各半径方向ベーン１５は、それぞれの凹部２８の中に、シュラウドと羽根車との間のクリアランスよりも大きな量だけ突出している。その結果、分離の後、各半径方向ベーン１５は、それぞれの凹部２８中に突出したままである。最後に、シュラウド４の環状隆起部２９とディフューザ３の周壁１４との間に形成された環状隙間に、接着剤３０を塗布する。接着剤３０を、しみ込み時間の間放置して硬化させ、シュラウド４とディフューザ３の間のシ−ルを形成する。

遠心圧縮機１の製造及び組立てに伴う寸法公差及び幾何学的形状公差が存在する。例えば、特定の半径方向ベーン１５の幅、高さ及び食い違い角に関連した寸法公差が存在し、ディフューザ３とシュラウド４の整列に関連した幾何学的形状公差が存在する。各半径方向ベーン１５をそれぞれの凹部２８の中に自由に突出させるために、各凹部２８の断面積は、それぞれの半径方向ベーン１５の断面積よりも、少なくとも公差の積重なりを計算に入れた量だけ大きい。同様に、各凹部２８の深さは、ベーンの突出長さ（即ち、半径方向ベーン１５がそれぞれの凹部２８の中に軸線方向に突出する距離）と、シュラウドと羽根車の間のクリアランス（即ち、シュラウド４が羽根車６から軸線方向に隔てられた距離）との合計よりも、少なくとも公差の積重なりを計算に入れた量だけ大きい。

組立てられた遠心圧縮機１の各半径方向ベーン１５の頂部とシュラウド４との間に小さい隙間が存在するけれども、この隙間は、回旋状の経路を構成しており、即ち、半径方向ベーン１５とシュラウド４との間に直接的な半径方向経路は存在しない。その結果、羽根車６によって放出された作動流体は、半径方向ベーン１５にぶつかり、半径方向ベーン１５によって向きが変えられる。このことは、半径方向ベーンの頂部とシュラウドとの間に明らかな半径方向隙間が存在する構成と対照的であり、かかる構成は、作動流体が、その向きを変えることなしにベーンの頂部の上を通過する直接的な半径方向経路を有している。

上述した実施形態では、ディフューザ３は、半径方向ベーン１５と軸線方向ベーン１６の両方を有している。しかしながら、ディフューザ３が軸線方向ベーン１６を有することは、本質的ではない。更に、ディフューザ３又は遠心圧縮機１が軸線方向出口を有することも、本質的ではない。遠心圧縮機１は、例えば、スクロ−ル又は他のコレクタ（図示せず））を有していてもよい。しかしながら、シュラウド４は、ディフューザ３の半径方向ベーン１５がシュラウド４の凹部２８の中に突出するように、羽根車６及びディフューザ３を覆ったままである。

上述したディフューザ３は、単一の列の半径方向ベーン１５を有するカスケ−ド（翼列）型ディフューザである。しかしながら、同様に、ディフューザ３は、複数の列の半径方向ベーンを有してしてもよく、その場合、シュラウド４は、半径方向ベーンと同じ数の列の凹部を有する。更に、ディフューザ３は、カスケ−ド型ディフューザではなく、チャネル型ディフューザであってもよい。

上述したシュラウド４は、平らな領域を備えた第２の部分２６を含んでおり、平らな領域は、ディフューザ３のハブ１３の上面と平行に延びている。変形例として、第２の部分２６は、異なる流れ容積の拡張を達成するように、ハブ１３に対して傾けられ且つ／又は湾曲していてもよい。

上述した実施形態では、ディフューザ３は、複数の半径方向ベーン１５を有し、シュラウド４は、複数の凹部２８を有している。図４は、変形実施形態を示し、この変形実施形態では、ディフューザ３ではなくシュラウド４が、複数の半径方向ベーン１５を有し、シュラウド４ではなくディフューザ３が、複数の凹部２８を有している。半径方向ベーン１５は、シュラウド３の第２の部分２６の内面の周りで周方向に間隔を隔てており、凹部２８は、ディフューザ３のハブ１３の外側環状部１９の周りに形成されている。他の全ての点に関し、遠心圧縮機１及びその製造及び組立て方法は変わっていない。

従来の遠心圧縮機であれば、公差の積重なりの結果として、典型的には、シュラウドと羽根車の間のクリアランス、又は、シュラウドとディフューザの半径方向ベーンとの間に隙間のかなり大きいばらつきが生じる。従って、公差の積重なりを許容限度内に保つことを確保するためには、高精度の製造が必要とされる。しかしながら、高精度の製造を採用することは、遠心圧縮機のコストを増大させる。更に、望ましい特性（例えば、重量、強度、熱的特性及びコストの面において）を有するいくつかの材料は、それを使用することから除外され、その理由は、必要な構成要素を要求される公差で製造することができないからである。

本発明の遠心圧縮機１であれば、公差の積重なりの問題は、ディフューザベーン１５が突出する凹部２８を設けることによって解決される。凹部２８は、半径方向ベーン１５が凹部２８の中に公差の積重なりを吸収する量だけ自由に突出するように寸法決めされている。従って、本発明は、シュラウドと羽根車の間のクリアランスが良好に定められた遠心圧縮機を再現可能に製造すると同時に、ディフューザの半径方向ベーンとシュラウドとの間の半径方向隙間が存在しないことを確保する安価で簡単な方法を提供する。更に、本発明は、その他の仕方では許容限度を超える公差をが生じさせる製造プロセス及び材料の使用を可能にする。特に、羽根車６、ディフューザ３及びシュラウド４の各々が、プラスチック材料で作られ、圧縮成形又は射出成形によって得られてもよい。

１ 遠心圧縮機
２ ロ−タ
３ ディフューザ
４ シュラウド
６ 羽根車
７ 軸受カートリッジ
８ ハブ
９ ブレード
１３ ハブ
１４ 周壁
１５ 半径方向ベーン
１６ 軸線方向ベーン
２１ ベル形の壁
２４ 中央孔
２５ 第１の部分
２６ 第２の部分
２７ 湾曲縁部
２８ 凹部

Claims (20)

1. 羽根車と、ディフューザと、シュラウドとを有する遠心圧縮機であって、
   ディフューザ及びシュラウドの一方は、複数の凹部を有し、
   ディフューザ及びシュラウドの他方は、複数の半径方向ベーンを有し、
   シュラウドは、前記半径方向ベーンの各々がそれぞれの前記凹部の中に突出するように、羽根車及びディフューザを覆う、遠心圧縮機。
2. 前記半径方向ベーンの各々は、それぞれの凹部の壁から軸線方向に間隔を隔てる、請求項１に記載の遠心圧縮機。
3. シュラウドは、前記半径方向ベーンの各々とそれぞれの前記凹部の壁との間の軸線方向の間隔よりも小さい量だけ、羽根車から軸線方向に間隔を隔てる、請求項２に記載の遠心圧縮機。
4. 前記半径方向ベーンの各々は、それぞれの凹部の中に第１の量だけ軸線方向に突出し、シュラウドは、羽根車から第２の量だけ軸線方向に間隔を隔て、各凹部は、前記第１の量と前記第２の量の和よりも大きい深さを有する、請求項１〜３の何れか１項に記載の遠心圧縮機。
5. 羽根車は、ハブを有する半開放羽根車であり、複数のブレードが前記ハブの周りに支持される、請求項１〜４の何れか１項に記載の遠心圧縮機。
6. シュラウドは、中央孔を有するベル形の壁と、羽根車を覆う第１の部分と、ディフューザを覆う第２の部分とを有し、前記第１の部分の表面は、羽根車のブレードの縁に一致する輪郭を有する、請求項１〜５の何れか１項に記載の遠心圧縮機。
7. ディフューザは、ハブと、周壁と、前記ハブと前記周壁との間を延びる複数の軸線方向ベーンとを有し、
   シュラウドは、前記周壁の周りでディフューザに取付けられる、請求項１〜６の何れか１項に記載の遠心圧縮機。
8. 羽根車、ディフューザ、及びシュラウドは各々、プラスチックで作られる、請求項１〜７の何れか１項に記載の遠心圧縮機。
9. 遠心圧縮機用のシュラウド及びディフューザの組立体であって、
   シュラウドと、ディフューザとを有し、
   シュラウド及びディフューザの一方は、複数の凹部を有し、
   シュラウド及びディフューザの他方は、複数の半径方向ベーンを有し、
   シュラウドは、前記半径方向ベーンの各々がそれぞれの前記凹部の中に突出するように、ディフューザを覆うように作られる、シュラウド及びディフューザの組立体。
10. シュラウドは、前記半径方向ベーンの各々が前記凹部の壁から軸線方向に間隔を隔てるようにディフューザを覆うように作られる、請求項９に記載のシュラウド及びディフューザの組立体。
11. シュラウドは、中央孔を有するベル形の壁と、遠心圧縮機の羽根車を覆う第１の部分と、ディフューザを覆う第２の部分とを有し、
    前記第１の部分の表面は、羽根車のブレードの縁に一致する輪郭を有する、請求項９又は１０に記載のシュラウド及びディフューザの組立体。
12. シュラウドは、ディフューザを覆うようにディフューザに直接固着される、請求項９〜１１の何れか１項に記載のシュラウド及びディフューザの組立体。
13. ディフューザは、ハブと、周壁と、前記ハブと前記周壁との間を延びる複数の軸線方向ベーンとを有する、請求項９〜１２の何れか１項に記載のシュラウド及びディフューザの組立体。
14. シュラウドは、下方に突出した湾曲縁部を有し、
    シュラウドは、前記周壁が前記下方に突出した湾曲縁部を包囲するようにディフューザを覆うように作られる、請求項１３に記載のシュラウド及びディフューザの組立体。
15. 遠心圧縮機の羽根車及びディフューザを覆うシュラウドであって、
    中央孔を有するベル形の壁と、羽根車を覆う第１の部分と、ディフューザを覆う第２の部分とを有し、
    前記第１の部分の表面は、羽根車のブレードの縁部に一致する輪郭を有し、
    前記第２の部分の表面に、複数の凹部が形成され、前記凹部の各々は、ディフューザのそれぞれの半径方向ベーンの一部分を受入れるように寸法決めされる、シュラウド。
16. 更に、前記ベル形の壁から上方に延びる支持壁と、前記支持壁と前記ベル形の壁との間を延びる複数の支柱とを有する、請求項１５に記載のシュラウド。
17. 前記第２の部分は、下方に突出した湾曲縁部を有する、請求項１５又は１６に記載のシュラウド。
18. 遠心圧縮機を組立てる方法であって、
    羽根車、ディフューザ、及びシュラウドを準備するステップを有し、シュラウド及びディフューザの一方は、複数の凹部を有し、シュラウド及びディフューザの他方は、複数の半径方向ベーンを有し、
    更に、羽根車及びディフューザを、シュラウドが羽根車に接触し且つ前記半径方向ベーンの各々がそれぞれの前記凹部の中に突出するように、シュラウドで覆うステップと、
    シュラウドを、前記半径方向ベーンの各々がそれぞれの前記凹部の中に突出したままシュラウドと羽根車の間のクリアランスを定めるように、羽根車及びディフューザから分離させるステップと、を有する方法。
19. シュラウドは、羽根車のブレードに接触する、請求項１８に記載の方法。
20. ディフューザは、ハブと、周壁と、前記ハブと前記周壁との間を延びる複数の軸線方向ベーンとを有し、
    前記方法は、更に、シュラウドを前記周壁に固着させるステップを有する、請求項１８又は１９に記載の方法。

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