JP2010196592A - エンジンのメカニカルガバナ - Google Patents

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Abstract

【課題】スプリング係止部等の接触部分の耐摩耗性を高めることができるエンジンのメカニカルガバナを提供する。
【解決手段】調速レバー1のスプリング基端係止部材2にガバナスプリング3のスプリング基端フック4を係止させ、ガバナレバー5のスプリング先端係止部材6にガバナスプリング3のスプリング先端フック7を係止させた、エンジンのメカニカルガバナにおいて、ガバナスプリング3には、窒化処理により、スプリング先端フック7の表面部分に窒化層8を形成したものを用い、スプリング先端係止部材6には、鋼材の浸炭焼き入れ処理により、表面部分に浸炭層9を形成したものを用い、この浸炭層9にスプリング先端フック7の窒化層8を接触させた。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンのメカニカルガバナに関し、詳しくは、スプリング係止部等の耐摩耗性が高いエンジンのメカニカルガバナに関する。
従来、調速レバーのスプリング基端係止部材にガバナスプリングのスプリング基端フックを係止させ、ガバナレバーのスプリング先端係止部材にガバナスプリングのスプリング先端フックを係止させたエンジンのメカニカルガバナがある(例えば、特許文献1)。
この種のメカニカルガバナによれば、ガバナスプリングのガバナスプリング力とガバナ力との力の釣り合いで燃料調量部を調量制御することができる利点がある。
この従来技術では、ガバナレバーのスプリング先端係止部の素材には浸炭焼き入れ処理等を行うことができない強度保証鋼が用いられ、ガバナスプリングにはバネ特性の狂いを防止する等の観点から、浸炭焼き入れ処理等は行われていない。
特開2003−286867号公報(図1、図2参照)
《問題》 スプリング先端係止部等の耐摩耗性が十分に得られない場合がある。
従来、ガバナレバーのスプリング先端係止部の素材には浸炭焼き入れ処理等を行うことができない強度保証鋼が用いられ、ガバナスプリングにはバネ特性の狂いを防止する等の観点から、浸炭焼き入れ処理等は行われていないので、スプリング先端係止部とスプリング先端フックの各接触部分の耐摩耗性が十分に得られない場合がある。
このため、経時的に上記各接触部分が磨耗し、ガバナスプリング力が低下し、出力低下を起こすことがある。
なお、上記各接触部分の磨耗を避けるため、スプリング先端係止部にカラーを取り付けることや、ガバナスプリングの線径を大きくして上記各接触部分の面圧を下げることも考えられる。しかし、前者では部品点数が増加し、後者ではガバナスプリング力の増加に伴ってメカニカルガバナが大型化する問題が起こる。
本発明の課題は、スプリング係止部等の接触部分の耐摩耗性を高めることができるエンジンのメカニカルガバナを提供することにある。
本発明者らは、スプリング係止部材とガバナスプリングに各種素材を用い、これに各種熱処理や表面処理を施し、表面組織や表面硬さの異なる各種接触部分の組み合わせで耐摩耗性実験を実施した結果、最も耐磨耗性に優れた接触部分の組み合わせを発見し、この発明に至った。
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1(A)に例示するように、調速レバー(1)のスプリング基端係止部材(2)にガバナスプリング(3)のスプリング基端フック(4)を係止させ、ガバナレバー(5)のスプリング先端係止部材(6)にガバナスプリング(3)のスプリング先端フック(7)を係止させた、エンジンのメカニカルガバナにおいて、
図1(A)(B)に例示するように、ガバナスプリング(3)には、窒化処理により、スプリング先端フック(7)の表面部分に窒化層(8)を形成したものを用い、
スプリング先端係止部材(6)には、鋼材の浸炭焼き入れ処理により、表面部分に浸炭層(9)を形成したものを用い、この浸炭層(9)にスプリング先端フック(7)の窒化層(8)を接触させた、ことを特徴とするエンジンのメカニカルガバナ。
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1(A)に例示するように、調速レバー(1)のスプリング基端係止部材(2)にガバナスプリング(3)のスプリング基端フック(4)を係止させ、ガバナレバー(5)のスプリング先端係止部材(6)にガバナスプリング(3)のスプリング先端フック(7)を係止させた、エンジンのメカニカルガバナにおいて、
図1(A)(C)に例示するように、ガバナスプリング(3)には、窒化処理により、スプリング基端フック(4)の表面部分に窒化層(8)を形成したものを用い、
スプリング基端係止部材(2)には、鋼材の浸炭焼き入れ処理により、表面部分に浸炭層(9)を形成したものを用い、この浸炭層(9)にスプリング基端フック(4)の窒化層(8)を接触させた、ことを特徴とするエンジンのメカニカルガバナ。
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 スプリング先端係止部等の耐摩耗性を高めることができる。
図1(A)(B)に例示するように、ガバナスプリング(3)には、窒化処理により、スプリング先端フック(7)の表面部分に窒化層(8)を形成したものを用い、スプリング先端係止部材(6)には、鋼材の浸炭焼き入れ処理により、表面部分に浸炭層(9)を形成したものを用い、この浸炭層(9)にスプリング先端フック(7)の窒化層(8)を接触させたので、スプリング先端係止部材(6)とスプリング先端フック(7)の各接触部分の耐摩耗性を高めることができる。
このため、この各接触部分の経時的な磨耗が抑制され、ガバナスプリング力(3a)の低下による出力低下が起こりにくい。
各接触部分の耐摩耗性を高めることができる理由は明確ではないが、窒化層(8)と浸炭層(9)の金属組織同士の相性がよく、相互になじみやすいことに加え、窒化層(8)から浸炭層(9)に力が加わることにより、浸炭層(9)を構成するオーステナイト組織が変態によって硬化し、窒化層(8)の硬さに適合する硬さのマルテンサイト組織に変化するためではないかと推定される。
《効果》 部品点数を増加させる必要がない。
図1(A)(B)に例示するように、ガバナスプリング(3)とスプリング先端係止部材(6)の熱処理に基づいて、各接触部分の耐摩耗性を高めるので、スプリング先端係止部材(6)にカラーを取り付ける場合と異なり、部品点数を増加させる必要がない。
《効果》 メカニカルガバナの大型化を避けることができる。
図1(A)(B)に例示するように、ガバナスプリング(3)とスプリング先端係止部材(6)の熱処理に基づいて、各接触部分の耐摩耗性を高めるので、ガバナスプリング(3)の線径を大きくする場合と異なり、ガバナスプリング力(3a)が増加せず、メカニカルガバナ(15)の大型化を避けることができる。
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 前記耐摩耗性が特に高い。
ガバナスプリング(3)には、300°C以上、500°C未満の処理温度で窒化処理したものを用いたので、前記耐摩耗性が特に高い。
その理由は、明確ではないが、この温度範囲で窒化処理された窒化層(8)の金属組織は浸炭層(9)の金属組織との相性が特に良く、相互のなじみが特に良いためではないかと推定される。
《効果》 ガバナスプリングのバネ特性の狂いを防止することができる。
ガバナスプリング(3)には、300°C以上、500°C未満の処理温度で窒化処理したものを用いたので、ガバナスプリング(3)がバネ鋼材が窒化処理による熱影響を受けにくく、ガバナスプリング(3)のバネ特性の狂いを防止することができる。
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 前記耐摩耗性が特に高い。
ガバナスプリング(3)には、窒化層(8)での表面硬さがビッカース硬さでHv450以上、Hv650未満となるものを用いたので、前記耐摩耗性が特に高い。
その理由は、明確ではないが、この表面硬さを有する窒化層(8)が浸炭層(9)を窒化層(8)との適合性が特に高い硬さに変えるためではないかと推定される。
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 メカニカルガバナを安価に製造することができる。
ガバナレバー(5)には、鋼材の板金を曲げ加工したもの用い、スプリング先端係止部材(6)には、これを取り付けたガバナレバー(5)と一緒に浸炭焼き入れ処理したものを用いたので、簡素な熱処理による低廉部品で、メカニカルガバナ(15)を安価に製造することができる。
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に準じた効果が得られる。すなわち、これら効果の記載は、「浸炭焼き入れ処理」を「光輝焼き入れ処理」に、「浸炭層(9)」の文言を「光輝硬質層」と読み替えて適用される。
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 スプリング基端係止部等の耐摩耗性を高めることができる。
図1(A)(C)に例示するように、ガバナスプリング(3)には、窒化処理により、スプリング基端フック(4)の表面部分に窒化層(8)を形成したものを用い、スプリング基端係止部材(2)には、鋼材の浸炭焼き入れ処理により、表面部分に浸炭層(9)を形成したものを用い、この浸炭層(9)にスプリング基端フック(4)の窒化層(8)を接触させたので、スプリング基端係止部(2)とスプリング基端フック(4)の各接触部分の耐摩耗性を高めることができる。
このため、この各接触部分の経時的な磨耗が抑制され、ガバナスプリング力(3a)の低下による大きな出力低下が起こらない。
各接触部分の耐摩耗性を高めることができる理由は明確ではないが、請求項1の効果で述べた、金属組織同士の相性やなじみ、浸炭層(9)の変態による硬化に基づくものと推定される。
《効果》 部品点数を増加させる必要がない。
図1(A)(C)に例示するように、ガバナスプリング(3)とスプリング基端係止部材(2)の熱処理に基づいて耐摩耗性を高めるので、スプリング基端係止部材(2)にカラーを取り付ける場合のように、部品点数を増加させる必要がない。
《効果》 メカニカルガバナの大型化を避けることができる。
図1(A)(C)に例示するように、ガバナスプリング(3)とスプリング基端係止部材(2)の熱処理に基づいて、各接触部分の耐摩耗性を高めるので、ガバナスプリング(3)の線径を大きくする場合とは異なり、ガバナスプリング力(3a)が増加せず、メカニカルガバナ(15)の大型化を避けることができる。
(請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に準じた効果が得られる。すなわち、これら効果の記載は、「浸炭焼き入れ処理」を「光輝焼き入れ処理」に、「浸炭層(9)」の文言を「光輝硬質層」と読み替えて適用される。
本発明の実施形態に係るエンジンのメカニカルガバナを説明する図で、図1(A)はメカニカルガバナとガバナケースの縦断背面図、図1(B)はスプリング先端係止部材とスプリング先端フックの接触部分の拡大断面図、図1(C)はスプリング基端係止部材とスプリング基端フックの接触部分の拡大断面図である。 図1のメカニカルガバナとガバナケースの縦断側面図である。 図1のメカニカルガバナの模式図である。
図1〜図3は本発明の実施形態に係るエンジンのメカニカルガバナを説明する図であり、この実施形態では、メカニカルガバナを備えた立形の多気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
このエンジンの概要は、次の通りである。
図2に示すように、シリンダブロック(図外)の横にポンプケース(11)を配置し、このポンプケース(11)内に列型の燃料噴射ポンプ(12)と燃料噴射カム軸(13)を収容し、ポンプケース(11)の後部にガバナケース(14)を配置し、このガバナケース(14)内にメカニカルガバナ(15)を収容している。ガバナケース(14)にはエンジン停止用ソレノイド(16)とブーストコンペンセータ(17)を取り付けている。
メカニカルガバナ(15)の構成は、次の通りである。
図2に示すように、メカニカルガバナ(15)のガバナレバー(5)をガバナ力入力レバー(18)とスプリング力入力レバー(19)とで構成し、各レバー(18)(19)をガバナレバー軸(20)で揺動自在に枢支し、ガバナ力入力レバー(18)の入力部にガバナ力発生手段(21)を当接させ、ガバナ力入力レバー(18)の出力部に燃料噴射ポンプ(12)の燃料調量部(22)を連動連結し、スプリング力入力レバー(19)をガバナスプリング(3)を介して調速レバー(1)に連動連結している。
メカニカルガバナ(15)の具体的構造は、次の通りである。
図1、図2に示すように、ガバナ力入力レバー(18)とスプリング力入力レバー(19)とは、いずれも板金の折り曲げ成型品である。調速レバー(1)は板金の打ち抜き成形品である。スプリング力入力レバー(19)には、金属棒のスプリング先端係止部材(6)を架設して取り付け、調速レバー(1)には、金属棒のスプリング基端係止部材(2)を片持ち状で取り付けている。ガバナレバー軸(20)は、ガバナケース(33)に架設している。図2に示すように、ガバナ力発生手段(21)は、フライウェイト(23)とガバナスリーブ(24)からなる。燃料噴射カム軸(13)の後端部をガバナケース(14)内に突出させ、この突出部にフライウェイト(23)とガバナスリーブ(24)とを取り付けている。ガバナ力入力レバー(18)の出力部には、連動プレート(25)を介して、燃料噴射ポンプ(12)の燃料調量部(22)を連動連結している。この燃料調量部(22)は、燃料調量ラックである。
図2に示すように、スプリング力入力レバー(19)にトルクアップ装置(26)に取り付け、トルクアップ装置(26)をホルダ(27)とトルクピン(28)とトルクバネ(29)とで構成し、ホルダ(27)にトルクピン(28)とトルクバネ(29)とを取り付け、トルクバネ力(29a)でトルクピン(28)をその先端突出方向に付勢し、トルクピン(28)先端をガバナ力入力レバー(18)に当接させ、燃料制限具(30)をスプリング力入力レバー(19)に臨ませている。
トルクアップ装置(26)の機能は、次の通りである。
図3に示すように、調速レバー(1)を高速位置に設定した場合、部分負荷運転時には、ガバナスプリング力(3a)とガバナ力(21a)とでトルクピン(28)をその基端方向に押し込んだまま、ガバナスプリング力(3a)とガバナ力(21a)との不釣合い力で、ガバナ力入力レバー(18)とスプリング力入力レバー(19)とを一体に揺動させることにより、燃料調量部(22)を部分負荷調量領域(31)で調量移動させる。定格負荷運転時には、燃料制限具(30)にスプリング力入力レバー(19)を当接させることにより、燃料調量部(22)を定格負荷調量位置(32)に位置させる。過負荷運転時には、燃料制限具(30)にスプリング力入力レバー(19)を当接させたまま、ガバナ力(21a)とトルクバネ力(29a)との不釣合い力により、トルクピン(28)先端の出代に応じて、ガバナ力入力レバー(18)のみを揺動させることにより、燃料調量部(22)を過負荷調量領域(33)で調量移動させる。尚、図3中の符号(34)は始動用スプリング、(34a)は始動用スプリング力である。
スプリング先端係止部材(6)とスプリング先端フック(7)の各接触部分の耐摩耗性、スプリング基端係止部材(2)とスプリング基端フック(4)の各接触部分の耐摩耗性を高める工夫は、次の通りである。
図1(A)に示すように、調速レバー(1)のスプリング基端係止部材(2)にガバナスプリング(3)のスプリング基端フック(4)を係止させ、ガバナレバー(5)のスプリング先端係止部材(6)にガバナスプリング(3)のスプリング先端フック(7)を係止させている。
図1(B)(C)に示すように、ガバナスプリング(3)には、窒化処理により、スプリング先端フック(7)、スプリング基端フック(4)、その他の部分の各表面部分に窒化層(8)を形成したものを用いている。
スプリング先端係止部材(6)及びスプリング基端係止部材(2)には、鋼材を浸炭焼き入れ処理して、各表面部分に浸炭層(9)を形成したものを用い、この浸炭層(9)にスプリング先端フック(7)及びスプリング基端フック(4)の窒化層(8)を接触させている。
ガバナスプリング(3)には、バネ用鋼材であるピアノ線SWP−Aをガス窒化法を用いて、アンモニアガス雰囲気下、300°C以上、500°C未満の処理温度で、3時間〜5時間の処理時間で、低温窒化処理したものを用いている。
処理温度が 500°Cを越えると、熱影響によりガバナスプリング(3)のバネ特性が狂うおそれがあり、処理温度が300°C未満では窒化層(8)の表面硬さを適正な値、すなわちビッカース硬さでHv450以上、Hv650未満の値にすることができない場合があるからである。
このような観点から、低温窒化処理は、350°C以上、450°C未満の処理温度とするのがより望ましい。
スプリング先端係止部材(6)及びスプリング基端係止部材(2)には、鋼材である低炭素鋼を浸炭焼き入れ処理したものを用いている。
この浸炭焼き入れ処理では、一酸化炭素の雰囲気下、850°C〜930°Cの処理温度で、5時間〜8時間の処理時間で焼入れ処理を行った後、ガス窒化法により、アンモニアガス雰囲気下、800°C〜870°Cの処理温度で、2時間〜5時間の処理時間で窒化処理を行い、その後、150°C〜300°Cの処理温度で、2時間〜5時間の処理時間で焼戻し処理を行う。
この浸炭焼き入れ処理は、鋼材の表面に炭素を拡散させた後、鋼材の表面の金属組織をオーステナイト層にするもので、正確には浸炭浸窒処理といわれるものである。
ガバナレバー(5)には、低炭素鋼の鋼材の板金を曲げ加工したもの用い、スプリング先端係止部材(6) 及びスプリング基端係止部材(2)には、これを取り付けたガバナレバー(5)と一緒に上記の方法で浸炭焼き入れ処理したものを用いている。
スプリング先端係止部材(6)及びスプリング基端係止部材(2)には、低炭素鋼の鋼材を光輝焼き入れ処理により、表面部分に光輝硬質層を形成したものを用い、この光輝硬質層にスプリング先端フック(7)及びスプリング基端フック(4)の窒化層(8)を接触させたものを用いてもよい。
この光輝焼き入れ処理では、鋼材を4時間〜8時間、850°C〜930°Cの温度に加熱した後、光輝焼き入れ油に浸漬して急冷し、その後、2時間〜5時間の処理時間、150°C〜300°Cの処理温度で焼き戻し処理を行う。
ガバナレバー(5)には、低炭素鋼の鋼材の板金を曲げ加工したもの用い、スプリング先端係止部材(6)及びスプリング基端係止部材(2)には、これを取り付けたガバナレバー(5)と一緒に上記の方法で光輝焼き入れ処理したものを用いている。
上記のように熱処理された、ガバナスプリング(3)、スプリング先端係止部材(6)、スプリング基端係止部材(2)を用いると、このような熱処理がされていないものを用いた場合に比べ、スプリング先端係止部材(6)とスプリング先端フック(7)の各接触部分の耐摩耗性、スプリング基端係止部(2)とスプリング基端フック(4)の各接触部分の耐摩耗性を格段に高めることができた。
(1) 調速レバー
(2) スプリング基端係止部材
(3) ガバナスプリング
(4) スプリング基端フック
(5) ガバナレバー
(6) スプリング先端係止部材
(7) スプリング先端フック
(8) 窒化層
(9) 浸炭層

Claims (7)

  1. 調速レバー(1)のスプリング基端係止部材(2)にガバナスプリング(3)のスプリング基端フック(4)を係止させ、ガバナレバー(5)のスプリング先端係止部材(6)にガバナスプリング(3)のスプリング先端フック(7)を係止させた、エンジンのメカニカルガバナにおいて、
    ガバナスプリング(3)には、窒化処理により、スプリング先端フック(7)の表面部分に窒化層(8)を形成したものを用い、
    スプリング先端係止部材(6)には、鋼材の浸炭焼き入れ処理により、表面部分に浸炭層(9)を形成したものを用い、この浸炭層(9)にスプリング先端フック(7)の窒化層(8)を接触させた、ことを特徴とするエンジンのメカニカルガバナ。
  2. 請求項1に記載したエンジンのメカニカルガバナにおいて、
    ガバナスプリング(3)には、300°C以上、500°C未満の処理温度で低温窒化処理したものを用いた、ことを特徴とするエンジンのメカニカルガバナ。
  3. 請求項1または請求項2に記載したエンジンのメカニカルガバナにおいて、
    ガバナスプリング(3)には、窒化層(8)での表面硬さがビッカース硬さでHv450以上、Hv650未満となるものを用いた、ことを特徴とするエンジンのメカニカルガバナ。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載したエンジンのメカニカルガバナにおいて、
    ガバナレバー(5)には、鋼材の板金を曲げ加工したもの用い、
    スプリング先端係止部材(6)には、これを取り付けたガバナレバー(5)と一緒に浸炭焼き入れ処理したものを用いた、ことを特徴とするエンジンのメカニカルガバナ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載したエンジンのメカニカルガバナにおいて、
    スプリング先端係止部材(6)には、浸炭焼き入れ処理により、表面部分に浸炭層(9)を形成したものを用い、この浸炭層(9)にスプリング先端フック(7)の窒化層(8)を接触させたことに代えて、
    スプリング先端係止部材(6)には、光輝焼き入れ処理により、表面部分に光輝硬質層を形成したものを用い、この光輝硬質層にスプリング先端フック(7)の窒化層(8)を接触させた、ことを特徴とするエンジンのメカニカルガバナ。
  6. 調速レバー(1)のスプリング基端係止部材(2)にガバナスプリング(3)のスプリング基端フック(4)を係止させ、ガバナレバー(5)のスプリング先端係止部材(6)にガバナスプリング(3)のスプリング先端フック(7)を係止させた、エンジンのメカニカルガバナにおいて、
    ガバナスプリング(3)には、窒化処理により、スプリング基端フック(4)の表面部分に窒化層(8)を形成したものを用い、
    スプリング基端係止部材(2)には、鋼材の浸炭焼き入れ処理により、表面部分に浸炭層(9)を形成したものを用い、この浸炭層(9)にスプリング基端フック(4)の窒化層(8)を接触させた、ことを特徴とするエンジンのメカニカルガバナ。
  7. 請求項6に記載したエンジンのメカニカルガバナにおいて、
    スプリング基端係止部材(2)には、浸炭焼き入れ処理により、表面部分に浸炭層(9)を形成したものを用い、この浸炭層(9)にスプリング基端フック(4)の窒化層(8)を接触させたことに代えて、
    スプリング基端係止部材(2)には、光輝焼き入れ処理により、表面部分に光輝硬質層を形成したものを用い、この光輝硬質層にスプリング基端フック(4)の窒化層(8)を接触させた、ことを特徴とするエンジンのメカニカルガバナ。
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