JP2010196525A - 圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents

圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】未燃燃料やスモークの発生を抑制できる圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置を提供する。
【解決手段】主噴射の前に先行噴射を行い、着火前の燃焼室に、前記先行噴射によるストイキよりリーンの混合気と前記主噴射によるストイキよりリッチの混合気を偏在させ、この状態で燃焼を開始させる予混合燃焼を制御する圧縮着火式内燃機関1の燃焼制御装置30において、前記主噴射による主燃焼の着火時期を検出する着火時期検出手段と、前記着火時期検出手段により検出された着火時期が所定時期になるように前記主燃焼の着火時期を補正する制御手段と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置に関するものである。
圧縮着火式内燃機関において、少量の燃料を主噴射前の上死点近傍で先行噴射させて上死点後に予混合燃焼させ、この先行噴射燃料の燃焼後の膨張行程において、本来圧力及び温度が低下して主噴射だけでは燃焼が安定せず失火するような時期に、燃料を主噴射する燃焼制御方法が提案されている(特許文献1)。
特許第3613666号公報
しかしながら、この燃焼制御方法では、先行噴射燃料の燃焼後の圧縮上死点後に主噴射を実行するため、先行噴射燃料の燃焼によって燃焼室内の温度は上昇するものの、酸素濃度が低下して着火の安定性が相殺される。その結果、着火不良による未燃燃料が増加したり、着火が早過ぎて燃焼が拡散的になりスモークが増加したりするといった問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、未燃燃料やスモークの発生を抑制できる圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置を提供することである。
本発明では、着火前の燃焼室内にストイキよりもリーンの混合気とストイキよりもリッチの混合気とを偏在させ、この偏在状況下で燃焼を開始させる圧縮着火式内燃機関において、主燃焼時期が所定時期になるように補正する。
本発明によれば、比較的拡散・予混合の遅れている一部の燃えやすい当量比のリーン混合気と、比較的拡散・予混合の進んだ一部の燃えやすい当量比のリッチ混合気とが偏在するので、始めに低温酸化反応による予備燃焼が生じ、その後、燃焼室内で拡散・予混合の進んだリッチ混合気と予備燃焼に使われずに残ったリーン混合気とで主燃焼が生じる。その主燃焼時期が所定時期になるように補正するので、スモークや未燃燃料の発生を抑制することができる。
本発明の一実施の形態を適用したディーゼルエンジンを示すブロック図である。 図1のディーゼルエンジンの可変圧縮比機構の一例を示す概略構成図である。 図2のX矢視図である。 図1のディーゼルエンジンの制御構成を示す機能ブロック図である。 図1のディーゼルエンジンの燃焼制御手順を示すフローチャートである。 図1のディーゼルエンジンで行われる低温予混合的燃焼におけるクランク角と熱発生率の関係を示すグラフである。 図4の熱発生率をクランク角で二次微分したグラフである。 図1のディーゼルエンジンで行われる、エンジン負荷及びエンジン回転数に応じた燃焼制御例を示すグラフである。 図1のディーゼルエンジンで行われる、低温予混合的燃焼に対する通常燃焼におけるクランク角と熱発生率の関係を示すグラフである。 図1のディーゼルエンジンで行われる低温予混合的燃焼における予混合制御期間の偏差に対する圧縮比の補正量の制御例を示すグラフである。 図1のディーゼルエンジンで行われる、エンジン負荷に応じた先行噴射量または先行噴射回数の制御例を示すグラフである。 図1のディーゼルエンジンで行われる、エンジン負荷及びエンジン回転数に応じた先行噴射時期の制御例を示すグラフである。 図1のディーゼルエンジンで行われる、酸素濃度を12%,17%,21%とした場合の熱発生率を示すグラフである。 図1のディーゼルエンジンで行われる低温予混合的燃焼の混合気の偏在状態を示す燃焼室の断面図である。 図1のディーゼルエンジンで行われる低温予混合的燃焼制御の上死点における当量比分布をコンピュータシミュレーションにより求めたグラフである。 本発明の他の実施の形態を適用したディーゼルエンジンの制御構成を示す機能ブロック図である。 図16のディーゼルエンジンの燃焼制御手順を示すフローチャートである。 図16のディーゼルエンジンで行われる低温予混合的燃焼における予混合制御期間の偏差に対する吸気温度の補正量の制御例を示すグラフである。 図18の制御を実行するにあたり参照される吸気温度の偏差に対する冷却効率の制御例を示すグラフである。 図18の制御にともなって実行される酸素濃度の偏差に対するEGR率の制御例を示すグラフである。 図16のディーゼルエンジンで行われる、エンジン負荷に応じた先行噴射量または先行噴射回数の制御例を示すグラフである。 図16のディーゼルエンジンで行われる、エンジン負荷及びエンジン回転数に応じた先行噴射時期の制御例を示すグラフである。 本発明のさらに他の実施の形態を適用したディーゼルエンジンを示すブロック図である。 図23のディーゼルエンジンの制御構成を示す機能ブロック図である。 図23のディーゼルエンジンの燃焼制御手順を示すフローチャートである。 図23のディーゼルエンジンで行われる、エンジン負荷及びエンジン回転数に応じた燃焼制御例を示すグラフである。 図23のディーゼルエンジンで行われる低温予混合的燃焼における予混合制御期間の偏差に対する吸気温度及び吸気圧の補正量の制御例を示すグラフである。 図23のディーゼルエンジンで行われる、エンジン負荷に応じた先行噴射量または先行噴射回数の制御例を示すグラフである。 図23のディーゼルエンジンで行われる、エンジン負荷及びエンジン回転数に応じた先行噴射時期の制御例を示すグラフである。
《第1実施形態》
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態を適用したディーゼルエンジンを示すブロック図である。
図1に示すように、ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという。)1は、吸気通路20と排気通路40を備える。
吸気通路20の上流側にはエアクリーナ20aが設けられ、その下流に吸入空気量Qairを検出するためのエアフローメータ7と、吸気温度Tairを検出するための温度センサ8と、吸気圧力Pairを検出するための圧力センサ9が配置されている。また、エアクリーナ20aと吸気コレクタ20bとの間の吸気通路20には、たとえばステッピングモータで構成されたアクチュエータによって開閉駆動される吸気絞り弁6が設けられている。
一方、排気通路40の上流側部分を構成する排気出口通路40aの下流には、排気浄化のため、排気中の粒子状物質であるPM(Particulate Matter)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ16(以下、DPF16と省略する。)が配置されている。なお、DPF16に、排気空燃比がリーンのときに排気中の窒素酸化物NOxをトラップし、トラップしたNOxを排気空燃比がリッチのときに脱離浄化することのできるNOxトラップ触媒および貴金属などの酸化触媒を担持させ、流入する窒素酸化物NOx、炭化水素HC、一酸化炭素COなどの排気成分を除去する機能を持たせることもできる。
吸気通路20の吸気コレクタ20bと排気出口通路40aとの間には、排気還流装置としての、排気の一部を還流するためのEGR通路4と、EGR通路4の途中にEGR通路4を流れる排気を冷却するEGRクーラ17が設けられている。
EGRクーラ17は、比例ソレノイド型の電磁弁やステッッピングモータ等で駆動される制御弁などから構成される水量調整装置44を有する。なお、水量調整装置に代えて電動ファンなどから構成される水温調整装置を用いることもできる。そして、吸気コレクタ20b内に臨んで設けられる作動ガス温度センサ41によって作動ガスの温度が検出され、水量(または水温)を調整することでクーラの冷却効率を変化させてEGRガス温度を調整し、エンジンに流入する作動ガス温度を制御する。また、EGR通路4の吸気コレクタ20bとの接続部には、ステッピングモータにより開度が連続的に制御可能なEGR弁5と、吸気コレクタ20bに導入されるEGRガス温度を検出するEGRガス温度センサ42が設けられている。
エンジン1の各気筒には筒内圧力を検出する圧力センサ2が設けられている。この圧力センサ2は燃焼室内に臨むタイプのものや、座金形状のノッキングセンサタイプのものを用いることができる。
エンジン1の燃料噴射装置10は、いわゆるコモンレール式燃料噴射装置であって、サプライポンプ11と、コモンレール(蓄圧室)14と、気筒毎に設けられた燃料噴射弁15とを有し、サプライポンプ11により加圧された燃料が燃料供給通路12を通ってコモンレール14に一時的に蓄えられたのち、コモンレール14内の高圧燃料が各気筒の燃料噴射弁15に分配される。
コモンレール14には、該コモンレール14内の燃料の圧力および温度を検出するために、圧力センサ34および温度センサ35が設けられている。また、コモンレール14内の燃料圧力を制御するために、サプライポンプ11からの吐出燃料の一部が圧力制御弁13を介して図示しないオーバーフロー通路から燃料供給通路12に戻されるように構成され、この圧力制御弁13がエンジンコントロールユニット30からのデューティ信号に応じてオーバーフロー通路の流路面積を変化させる。これにより、サプライポンプ11からコモンレール14への実質的な燃料吐出量が調整され、コモンレール14内の燃料圧力が制御される。
燃料噴射弁15は、エンジンコントロールユニット30からのON−OFF信号によって開閉される電子式の噴射弁であって、ON信号によって燃料を燃焼室に噴射し、OFF信号によって噴射を停止する。そして、燃料噴射弁15へ印加されるON信号の期間が長いほど燃料噴射量が多くなり、またコモンレール14の燃料圧力が高いほど燃料噴射量が多くなる。図14に示されるように、燃料噴射弁15は燃焼室中央に配置され、その全周からシリンダボア壁方向に向かって燃料噴霧が形成されるように、燃料を噴射する。
また、エンジン1の適宜位置には、内燃機関の温度を代表するものとして、冷却水の温度を検出する水温センサ31が設けられている。
エンジンコントロールユニット30には、圧力センサ2からの圧力信号CP、水温センサ31からの冷却水温度信号Tw、クランク角度検出用クランク角センサ32からのクランク角度信号(エンジン回転数Neの基礎となる)、気筒判別用クランク角センサ33からの気筒判別信号Cy1、コモンレール14の燃料圧力を検出する圧力センサ34からのコモンレール圧力信号Pcr、燃料温度を検出する温度センサ35からの燃料温度信号Tf、負荷に相当するアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ50からのアクセル開度(負荷)信号Acc、エアフローメータ7からの吸入空気量信号Qair、吸気温度センサ8からの吸気温度信号Tair、圧力センサ9からの吸気圧力信号Pair、作動ガス温度センサ41からの温度信号Tgasがそれぞれ入力される。
また、排気通路40のDPF16の出口部又は入口部には、酸素濃度(O2exh)を検出する酸素濃度センサ又は空燃比センサ43が設けられ、酸素濃度センサ又は空燃比センサ43は、たとえば酸素イオン伝導性固体電解質を用いて、排気中の酸素濃度を検出するものを用いることができる。これらの信号もエンジンコントロールユニット30に入力されている。
エンジンコントロールユニット30は、これらの入力信号に基づいて、燃料噴射の噴射量及び噴射時期制御のための圧力制御弁13へのオーバーフロー通路の開度指令信号や燃料噴射弁15への燃料噴射指令信号、吸気絞り弁6への開度指令信号、EGR弁5への開度指令信号、水量調整装置44への水量調整信号等を出力する。
本例のエンジン1は可変圧縮比機構60を備え、後述するように検出された主燃焼の着火時期に応じて圧縮比を調整し、これにより主燃焼の着火時期を所定期間に制御する。本発明で適用される筒内の圧縮比を調整可能とする機構は特に限定されないが、その一例の概要を図2及び図3を参照しながら説明する。
図2は本例に係るディーゼルエンジン1の可変圧縮比機構60の一例を示す概略構成図、図3は図2のX矢視図である。図2において、シリンダブロック62には、ピストン63が進退可能に嵌合するシリンダ61が各気筒毎に形成されている。各シリンダ61の周囲には、ウォータージャケット61aが形成され、各ピストン63の上方には、燃焼室Sが画成されている。
シリンダ61の下方には、クランクシャフト70が気筒列方向に延在している。このクランクシャフト70は、その軸線Oと同軸状に配置されるとともにシリンダブロック62に回転可能に支持されるクランクジャーナル70aと、軸心Oから偏心して各気筒に設けられるクランクピン70bと、軸心Oに対してクランクピン70bと反対側に設けられ、主としてピストン運動の回転1次振動成分を低減するカウンターウェイト70cとを有する。
各ピストン63とクランクピン70bとは、複数のリンク64,67,68を備えた複リンク式可変圧縮比機構によって機械的に連携されている。詳述すると、ピストン43には、スラスト−反スラスト方向(図2の左右方向)と直交する方向に延びるピストンピン65が固定的に設けられ、このピストンピン65に、コンロッド64の上端64aが揺動可能に外嵌して連結されている。このコンロッド64の下端64bとロアリンク67とは、両者64b,67を挿通する連結ピン66によって相対回転可能に連結されている。
ロアリンク67は、キャップ67a及びボルト67bを用いてクランクピン70bに相対回転可能に外嵌して取り付けられている。このロアリンク67と制御リンク68の一端とは、両者67,68を挿通する連結ピン69を介して相対回転可能に連結されている。この制御リンク68の他端は、制御シャフト72の偏心部71に相対回転可能に外嵌している。この制御シャフト72の本体は、ボルト74によりシリンダブロック62へ固定された軸受ブラケット73に相対回転可能に支持されている。また、偏心部71は、制御シャフト本体72の外周に一体的に設けられ、この偏心部71の軸心71aは、制御シャフト本体72の軸心72aに対して所定量偏心している。
図3に示すように、制御シャフト72の一端部にはウォームホイール75が設けられ、このウォームホイール75に噛み合うウォーム77は、駆動部としての電動モータ77により回転駆動される。この電動モータ77が、図1に示すエンジンコントロールユニット30から出力される制御信号により駆動し、エンジン1の着火時期に応じて適宜に駆動制御される。
このような構成により、クランクシャフト70の回転に伴って、クランクピン70b,ロアリンク67,コンロッド64等を介してピストン63がシリンダ61内を昇降移動するとともに、ロアリンク67に連結する制御リンク68が、偏心部71の軸心71aを揺動中心として揺動する。
また、電動モータ77を駆動制御することにより、ウォームホイール75を介して制御シャフト72が軸周りに回転し、この制御シャフト72の軸心72aに対して、制御リンク68の揺動中心となる偏心部71の軸心71aの位置が回転変位する。この結果、ピストン行程が変化して、エンジン1の各気筒の圧縮比が可変制御される。
なお、筒内圧縮比を調節する手段として、吸排気弁のバルブ開閉タイミングが変更可能な可変動弁機構を用いることもできる。
次に、本例の燃焼制御を説明する。
図5はエンジンコントロールユニット30によって行われる燃焼制御を示すフローチャートであり、主噴射終了から主燃焼開始までの期間MPI(予混合制御期間)と、予混合制御期間目標値との偏差(dMPI)に基づいて、主燃焼の着火時期制御を行うものである。なお、図4はその機能ブロック図、図6は本例の低温予混合的燃焼におけるクランク角と熱発生率の関係を示すグラフ、図7は図6の熱発生率をクランク角で二次微分したグラフ、図8はエンジン負荷及びエンジン回転数に応じた燃焼制御例を示すグラフ、図9は本例の低温予混合的燃焼に対する通常燃焼におけるクランク角に対する熱発生率を示すグラフ、図10は本例の低温予混合的燃焼における予混合制御期間の偏差に対する圧縮比の補正量の制御例を示すグラフ、図11はエンジン負荷及びエンジン回転数に応じた先行噴射量または先行噴射回数の制御例を示すグラフ、図12はエンジン負荷及びエンジン回転数に応じた先行噴射時期の制御例を示すグラフである。
ステップS100では、筒内圧力CP、吸入空気量Qair、吸入空気温度Tair、吸入空気圧力Pair、水温Tw、エンジン回転数Ne、気筒判別信号Cyl、コモンレール圧力Pcr、燃料温度Tf、アクセル開度Acc、吸入されるガス温度Tgas、EGR温度Tegr、酸素濃度O2exhに対応する信号をそれぞれ読み込む。
ステップS200では、エンジン回転数Ne、アクセル開度Acc、および水温Tw等から現在の回転数と負荷、エンジンの温度状態を検出する(図3の運転条件検出手段に相当する)。
ステップS300では、コモンレール14による燃料噴射の目標値を算出し、燃料噴射弁15の駆動制御を実行する。この燃料噴射弁15の駆動制御は、圧力制御と噴射時期制御から構成され、まず圧力制御を行う。
コモンレール14の圧力制御は、エンジン回転数Neと負荷Accとをパラメータとして、エンジンコントロールユニット30のROMに予め記憶されている所定のマップを検索することにより、コモンレール14の目標基準圧力Pcr0を求め、この目標基準圧力Pcr0が得られるように圧力制御弁13のフィードバック制御を実行する。次いで燃料の噴射時期制御を行う。
たとえばエンジン回転数Neと負荷Accをパラメータとして、先行燃料噴射量Qpilot、主燃料噴射量Qmain、コモンレール圧力(噴射圧力)Pcr、先行噴射期間Pperiod、主噴射期間Mperiod、主噴射開始時期MIT、先行噴射開始時期PIT、そして先行噴射間隔dIT等を、エンジンコントロールユニット30のROMに予め記憶されている所定のマップデータを検索してそれぞれ求める。
そして、先行噴射量Qpilot、主燃料噴射量Qmainが供給されるように、クランク角度検出用クランク角センサ32のクランク角度信号および気筒判別用クランク角センサ33の気筒判別信号Cylに基づいて、先行噴射開始時期PITよりPperiodの期間、主噴射開始時期MITよりMperiodの期間、噴射すべき気筒の燃料噴射弁15を開弁駆動する。
ステップS400では、エンジン回転数Neと負荷Accとをパラメータとして、コントロールユニット30のROMに予め記憶されている所定のマップを検索することにより、目標圧縮比CR0を検出する。
なお、目標圧縮比CR0は後述する運転領域に応じて設定するのが望ましく、特に図8に示すEGR許可領域でかつ予混合燃焼許可領域B内における目標圧縮比CR0については、噴射すべき大部分の燃料が噴射されるまでは熱発生を発現させないようにするため、負荷と回転数の増大に伴って上昇する圧縮温度を抑制する観点から、目標圧縮比CR0は低下させる。これについては後述する。
ステップS500では、エンジン回転数Neとエンジン負荷Accとから、図8に示すように、予め定められた通常燃焼許可領域A、EGR許可領域でかつ予混合燃焼許可領域B、EGR許可領域でかつ通常燃焼許可領域C、EGR不許可領域Dのいずれかであるかを判定する(図4の燃焼領域判定手段に相当する)。
なお、エンジン回転数とエンジン負荷が、図8に示す中負荷領域である予混合燃焼許可領域Bにある場合は、図11に示す先行噴射の噴射量または噴射回数と図12に示す先行噴射の時期(または主噴射との噴射間隔)をそれぞれ制御し、図6に示す低温予混合的燃焼のための先行噴射が少なくとも1回以上実行される。これに対して、エンジン回転数とエンジン負荷が、図8に示す通常燃焼許可領域AまたはCにある場合は、図9に示すような通常燃焼となるように先行噴射を制御する。通常燃焼では、図4の低温予混合的燃焼に対して、先行噴射の噴射量割合が少なく、先行噴射の噴射時期が遅く、燃焼室内の酸素濃度が高くされる。通常、先行噴射の噴射量割合は10%程度、先行噴射の噴射時期は上死点前10°付近、燃焼室内の酸素濃度は18%程度である。
図6に示すように、本例の低温予混合的燃焼制御(予混合燃焼許可領域Bで実行される制御)では、先行噴射と主噴射により噴射すべき大部分の燃料が噴射された後に、低温酸化反応による予備燃焼が発現し、引き続き高温酸化反応による主燃焼が発現する。
本例の低温予混合的燃焼制御では、燃焼室内は、主噴射が終了するまで低温酸化反応が生じない程度の低酸素濃度の雰囲気にされる。このような低酸素濃度雰囲気の下において、先行噴射によりストイキよりリーンの混合気を燃焼室に形成したのち、主噴射によりストイキよりリッチの混合気を燃焼室に形成し、これによりリーン混合気とリッチ混合気を偏在させる。すなわち先行噴射によって形成されたリーンな混合気と主噴射によって形成された比較的リッチな混合気が二極的に混在する状態で着火・燃焼が開始される(図4の当量比分布形成手段に相当する)。
燃焼室内の酸素濃度、または燃焼室内に吸入される吸気の酸素濃度は、主噴射が終了するまで低温酸化反応が生じない程度の低濃度であり、本例の低温予混合的燃焼では12〜15%であることが望ましい。こうした酸素濃度の制御は、たとえばEGR率を制御することで行うことができる(図4の燃焼温度低下手段に相当する)。
図13はEGR率を変えることにより酸素濃度を12%,17%,21%(21%の場合はEGR無し)とした場合の熱発生率を示すグラフであり、酸素濃度が12%の場合は主噴射が終了するまで低温酸化反応は生じていないが、酸素濃度が17%の場合は主噴射の途中から、21%になると主噴射の前から低温酸化反応が生じている。
主噴射が終了する前に熱発生(酸化反応)が生じると、主噴射の噴霧燃料が噴射直後から拡散的に燃焼してスモークの生成を助長する可能性がある。酸素濃度を12〜15%に低く抑えたことで、主噴射の途中(あるいは以前)の時点で、燃焼室内に存在する混合気の低温酸化反応が生じないようにしている。このような酸素濃度の範囲は、後述の混合気形成(燃料噴射時期と燃料噴射量の設定)と合せて、さらに良好な燃焼を生じさせることができるようになる。
低温予混合的燃焼では、始めに、燃焼室内に偏在させられた先行噴射によるストイキよりもリーンの混合気のうち、比較的拡散・予混合の遅れている一部の燃えやすい当量比のリーン混合気と、同じく燃焼室内に偏在させられた主噴射によるストイキよりもリッチの混合気のうち、比較的拡散・予混合の進んでいる一部の燃えやすい当量比のリッチ混合気とによって、低温酸化反応による予備燃焼が生じる。その後、予備燃焼の終了直後より、予備燃焼に使われずに残り、燃焼室内で拡散・予混合の進んだ、主噴射によるストイキよりもリッチの混合気と、先行噴射によるストイキよりもリーンの混合気とによって、高温酸化反応による主燃焼が生じる。
主燃焼は、予備燃焼に引き続いて生じるため、着火性が安定する。主噴射によるリッチ混合気の主燃焼は拡散的ではあるものの、主燃焼を生じる頃には拡散・予混合が進んでいるため、スモークの生成が抑制される。主噴射によるリッチ混合気の燃焼が拡散的であることに加え、主燃焼は、先行噴射で形成されたリーン混合気の穏やかな燃焼をも伴うので、急峻性が抑えられた燃焼騒音の少ないものとなる。先行噴射で形成されたリーン混合気は、拡散・予混合が進んではいるものの、主燃焼を生じる頃には十分にリーン化しているため、上述の低酸素濃度雰囲気の下でその燃焼は穏やかなものとなる。このように低温予混合的燃焼では燃焼温度を低く抑えることができるため、NOxの生成排出を抑制することができる。
本例の低温予混合的燃焼の先行噴射は、ストイキよりリーンの混合気が燃焼開始時期(主噴射終了時期)に多く形成されるように、クランク角度60°BTDC〜30°BTDCの時期に実行され、主噴射に対する先行噴射の噴射量は20〜40%であることが望ましい。このような燃料噴射時期と燃料噴射量の設定により、熱発生(酸化反応の発現)を生じる時期の燃焼室内には、ストイキよりリーンな混合気とストイキよりリッチな混合気とがそれぞれ燃焼室内に均質化することなく偏在し、さらに燃料成分が到達せずに混合気とならない(吸入空気のままの)空間が形成される(ボア壁付近等)。
先行噴射の噴射時期は、クランク角度60°BTDC〜30°BTDCとされるので、先行噴射によるストイキよりリーンな混合気は、主噴射によるストイキよりリッチな混合気が形成される時期においても、燃焼室内全体にまでは拡散することなく、燃焼室内でボア壁に触れないように偏在して存在する。このような噴射時期に比較的多くの噴射量で先行噴射を実行することで、燃料成分が直接ボア壁に触れ易くなったり燃焼室の隅部(エンド部)にできた混合気が燃焼不良を生じたりしないようにして、燃料によるオイル希釈や未燃焼燃料の排出を防ぎつつ、しかしながら燃焼の急峻性低減に寄与するリーン混合気を多く形成することができる。先行噴射の噴射量は全体の20〜40%と比較的多くしつつも、噴射時期をクランク角度60°BTDC〜30°BTDCとしたので、先行噴射燃料の拡散・予混合が進み、燃えやすい当量比の混合気が過剰に存在しないようにすることができ、上術の低酸素濃度雰囲気になっていることと合わせ、低温酸化反応を主噴射終了後になって発現させることができる。
主噴射の噴射時期は、上死点の近傍、特に上死点直前に噴射を終了することが望ましい。このようにすると上死点以後、中でも上死点直後より低温酸化反応が生じ、その後のピストンが降下(燃焼室容積が拡大)する状況で主燃焼である高温酸化反応が生じるので、燃焼の急峻さが緩和されスモークの発生が抑制されるとともに、熱エネルギーから仕事への変換の効率を高めることができる。
先行噴射と主噴射とを合わせたトータルの燃料噴射量はエンジン負荷によって制御するが、トータルの燃料噴射量が増加することで先行噴射の噴射量が増加する場合やトータルの燃料噴射量は同じであるが主噴射との噴射量割合が調整されて先行噴射の噴射量が増加した場合は、先行噴射の噴射時期を進角させることが望ましい。これにより局所的に濃い混合気ができるのを防いで、先行噴射による混合気の熱発生が主噴射終了までに生じるのを防止しつつ、多くのリーン混合気を形成することができる。
図14は本例の低温予混合的燃焼における混合気の偏在状態を示す燃焼室の断面図、図15は同じく低温予混合的燃焼制御を行なった場合の上死点における当量比分布をコンピュータシミュレーションにより求めたグラフであり、先行噴射を行わない燃焼制御の場合を比較例として示す。
本例の先行噴射によるリーン混合気は、クランク角30°BTDC以前に噴射される一方で主噴射によるリッチ混合気は上死点近傍で噴射される。したがって、図14に示すようにリーンな混合気とリッチな混合気とが一部が重なり合った状態で偏在することになる。つまり、熱発生(酸化反応の発現)を生じる時期の燃焼室内には、ストイキよりリーンな混合気とストイキよりリッチな混合気とがそれぞれ燃焼室内に均質化することなく偏在する。そして、燃料成分が到達せずに混合気とならない(吸入空気のままの)空間が形成される(ボア壁付近等)。先行噴射の燃料噴霧は、ピストン冠面キャビティ外側部分の上空へも到達するが、ボア壁には到達しないようにしているので、上死点付近でピストン冠面キャビティ外側部分と燃焼室の天井(シリンダヘッド面)に挟まれたときも、殆どが隅部(エンド部)に残ることなくキャビティ内側に戻されて、オイル希釈や未燃焼燃料の排出が抑制される。また、図15に示すように、本例の低温予混合的燃焼制御によれば、当量比が1以下のリーンな混合気と、当量比が3以上のリッチな混合気とが、ともに所定当量比のピークと量的分布のかたまりを持って偏在していることが確認できる。
図5に戻り、ステップS600では、ステップS500で判定された燃焼領域がEGR許可領域でかつ予混合燃焼許可領域Bであれば、図6に示す主噴射の予混合制御期間MPI、すなわち主噴射終了と主燃焼開始との間隔を検出する(図4の予混合制御期間検出手段に相当する)。ステップS600において、図6の主噴射終了から主燃焼開始までの期間MPIを検出するにあたり、主噴射の燃焼開始を判定する方法としては、図7に示すように筒内圧力CPの燃焼室内圧力の2回微分値dP/dθ[kPa/deg]を用いることができる。
たとえば、図7のように2回微分値が一度負の値となってから再度上昇し0点をクロスするポイントを主燃焼の開始時期と定義して判定する。このことによって主噴射の燃焼開始時期を検出することができる。ただし、主噴射の燃焼開始時期を検出するためのパラメータは燃焼室内の圧力2回微分値dP/dθ[kPa/deg]に限定されるものでない。たとえば、燃焼室内圧力の2回微分値dP/dθに代えて、図6に示した主噴射の主燃焼熱発生率の上昇開始時期dQ/dθ[J/deg]を用いることもできる。この場合はスライスレベルを設定してスライスレベルのクロスポイントを主燃焼の開始時期と定義して判定するのが望ましい。
なお、主噴射の終了時期は前述の主噴射開始時期MITと主噴射期間Mperiodから求めることができる。
ここで、先行噴射によるリーンな混合気の形成を増加させて燃焼騒音の低減効果を高めるため、図11に示すように負荷の増大に伴って先行噴射量は増加させ、図12に示すように先行噴射の噴射開始時期を進角させることが望ましい。
本例の先行噴射は、HCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition:予混合圧縮着火)燃焼のようにシリンダ内壁に燃料噴霧が直接衝突し付着してしまうような早期に燃料噴射が実行されるものではなく、また従来の拡散燃焼を基本とする先行噴射のように主噴射に近づけて噴射されるものでもない。先行噴射の開始時期は、先行噴射燃料の殆どがピストンキャビティ内に噴射されるタイミングで行われるのが望ましいが、シリンダ内壁への燃料噴霧の衝突をより確実に防止するため、噴射回数を負荷の増大に伴って増加させ、これによりペネトレーションを低下させることも有効である。
図3のステップS700では、予混合制御期間の目標値を算出する(図4の予混合制御期間目標値算出手段に相当する)。つまり、主噴射燃料の着火時期において、燃焼室内に適度にリーン化された先行噴射燃料の混合気と、リーン化されすぎない主噴射燃料の混合気が二極的に存在するように、予め実験等で求めた予混合制御期間を、エンジン回転数Neと負荷Accとをパラメータとして、エンジンコントロールユニット30のROMに予め記憶させておいたマップデータから検索して求める。
次のステップS800では、ステップS600にて検出した予混合制御期間と、ステップS700にて算出した予混合制御期間目標値との偏差(dMPI)に基づいて、筒内圧縮比の補正を行う(図4の着火制御手段に相当する)。
具体的には、図10に示すように、予混合制御期間目標値が予混合制御期間検出値よりも少ない場合、つまりdMPIが(−)の場合は、予混合制御期間を短縮させるために現状よりも圧縮比を大きくする(dCRを+側にする)。逆に、予混合制御期間目標値が予混合制御期間検出値よりも多い場合、つまりdMPIが(+)の場合は予混合制御期間を延長させるため、現状よりも圧縮比を小さくする(dCRを−側にする)。
ステップS900では、補正すべき圧縮比dCRによって目標圧縮比CR0を補正する。
そして、ステップS1000にて、ステップS900で求めた目標圧縮比に基づいて、図2及び図3に示す可変圧縮比機構60の電動モータ77を駆動して圧縮比制御を行い、着火時期制御を行う。
以上のとおり、本例の燃焼制御では、低酸素濃度雰囲気とした着火前の燃焼室内に、ストイキよりリーンの混合気とストイキよりリッチの混合気を偏在させ、この偏在する状況下において燃焼を開始させる。
この低温予混合的燃焼においては、先行噴射によるリーン混合気の中では比較的拡散・予混合の遅れている一部の燃え易い当量比のリーン混合気と、主噴射燃料の中で比較的拡散・予混合の進んだ一部の燃えやすい当量比の混合気とが、図6に示すように上死点付近で低温酸化反応を生じせしめて予備燃焼を形成する。
これによって燃焼室内の温度と圧力が上昇すると、主噴射燃料によるリッチ混合気の高温酸化反応が始まる。予備燃焼が終了する頃には、主噴射燃料は燃焼室内における拡散・予混合も進んでいるため、比較的燃え易い当量比のリッチ混合気となって、高温酸化反応(拡散的燃焼)が生じ始める。
主噴射燃料によるリッチ混合気の高温酸化反応(拡散的燃焼)は、予備燃焼で燃焼しなかった残りのリーン混合気の燃焼(予混合的燃焼)をも生じさせるので、主燃焼はこれらリッチ混合気の燃焼とリーン混合気の燃焼、すなわち拡散的燃焼と予混合的燃焼が混在して構成される。
主燃焼を構成する主噴射燃料はリッチ混合気であって、拡散的燃焼が主体となるが、比較的拡散・予混合化が進んでいるのでスモークを抑えることができる。また拡散的燃焼が主体であるため燃焼の急峻性、すなわち燃焼騒音も緩和される。
一方で、主燃焼を構成するもう1つの混合気である先行噴射によるリーン混合気は、燃焼が穏やかであり、これらが併存することで全体としても燃焼騒音を低下させ、燃焼温度も低下するのでさらにNOxを低減することができる。
そして、リッチ混合気の燃焼に伴いリーン混合気の燃焼が促され、リーン混合気の燃え残りによる未燃HC排出という問題を招くこともない。
つまり、先行噴射燃料によるリーン混合気の中では比較的拡散・予混合の遅れている一部の燃え易い当量比のリーン混合気と、主噴射燃料の中で比較的拡散・予混合の進んだ一部の燃えやすい当量比の混合気によって、上死点付近で低温酸化反応を生じて予備燃焼を生じさせ、その後、燃焼室内で拡散・予混合の進んだ主噴射によるリッチ混合気と予備燃焼に使われず残った先行噴射によるリーン混合気とで主燃焼が行われる。
そして、NOxを低下させるため酸素濃度を大幅に低下させた際に、ストイキをはさんで当量比を濃淡分布させた上で着火する(燃焼が始まる)ようにしたので、リッチ混合気が確実に着火して、着火不良による未燃HCを低減することができる。
一方、淡混合気を分布させるための先行噴射を従来の先行噴射より早い時期に行なうことによって、先行噴射による混合気が上死点前に燃え易い当量比になるのを防ぎ、先行噴射燃料が早い時期に着火して主噴射の噴射時期に火種になるのを抑え、主噴射燃料の拡散的な燃焼を抑制することができる。
また、酸素濃度は大幅に低下しているので、予混合燃焼する濃混合気の燃焼急峻性を緩和することができ、さらに濃淡当量比の混合気が並存するため、濃混合気の予混合燃焼が急峻であっても、淡混合気の緩慢な燃焼がトータルとしての燃焼の急峻性を抑えて燃焼騒音を低減する。
一方で、淡混合気の燃焼が不完全になる傾向があるが、濃混合気の比較的急峻な燃焼が相殺して淡混合気の燃焼を促進させるため、燃焼が不完全になるのを防止することができる。
また、主燃焼の着火時期は、次の燃焼サイクル、すなわちその燃焼室における次の燃焼サイクル(720°CA後)での燃焼への影響が大きい。例えば、着火時期が早かった場合には次サイクルの燃焼室温度は低下して、次サイクルの着火が遅れる。逆に、着火時期が遅かった場合には次サイクルの燃焼室温度が上昇して、次サイクルの着火が早まり、着火時期が不安定になる可能性がある。
このため、本例では主燃焼の着火時期を所定の時期より早いか遅いか、換言すれば予混合期間が短いか長いかを判定し、着火時期の補正を行っているので上述した低温予混合的燃焼をより安定化させて、スモークや未燃燃料の発生を抑制することができる。
《第2実施形態》
本発明の他の実施の形態を適用したディーゼルエンジンについて説明する。図16は本発明の他の実施の形態を適用したディーゼルエンジンの制御構成を示す機能ブロック図である。なお、ディーゼルエンジンのブロック図については図1と同じであるためここに援用し、図1を参照して説明する。
本例も上述した第1実施形態と同様に、主燃焼の着火時期を検出し、この着火時期が所定時期になるように主燃焼の着火時期を補正する制御を実行するが、上述した第1実施形態では着火時期の補正を、可変圧縮比機構60を用いて筒内圧縮比を調整することで行うのに対し、本例ではEGRクーラ17を用いて吸気温度(吸入空気温度または吸入ガス温度ともいう)を制御することにより着火時期の補正を行う。
そのため、図1に示すEGRクーラ17への冷媒の水量を調節する水量調節装置44に対し、エンジンコントロールユニット30から制御信号が出力される。
次に、本例の燃焼制御を説明する。
図17はエンジンコントロールユニット30によって行われる燃焼制御を示すフローチャート、図18は本例の低温予混合的燃焼における予混合制御期間の偏差に対する吸気温度の補正量の制御例を示すグラフ、図19は図18の制御を実行するにあたり参照される吸気温度の偏差に対する冷却効率の制御例を示すグラフ、図20は図18の制御にともなって実行される酸素濃度の偏差に対するEGR率の制御例を示すグラフ、図21はエンジン負荷及びエンジン回転数に応じた先行噴射量または先行噴射回数の制御例を示すグラフ、図22はエンジン負荷及びエンジン回転数に応じた先行噴射時期の制御例を示すグラフである。
なお、図6に示す低温予混合的燃焼におけるクランク角と熱発生率の関係を示すグラフ、図7に示す図6の熱発生率をクランク角で二次微分したグラフ、図8に示すエンジン負荷及びエンジン回転数に応じた燃焼制御例を示すグラフ、図9に示す本例の低温予混合的燃焼に対する通常燃焼におけるクランク角に対する熱発生率を示すグラフはいずれも上述した第1実施形態と同じであるため、ここに援用しこれらの図面を参照して説明する。
まず、図17のステップS100では、筒内圧力CP、吸入空気量Qair、吸入空気温度Tair、吸入空気圧力Pair、水温Tw、エンジン回転数Ne、気筒判別信号Cyl、コモンレール圧力Pcr、燃料温度Tf、アクセル開度Acc、吸入されるガス温度Tgas、EGR温度Tegr、酸素濃度O2exhに対応する信号をそれぞれ読み込む。
ステップS200では、エンジン回転数Ne、アクセル開度Acc、および水温Tw等から現在の回転数と負荷、エンジンの温度状態を検出する(図16の運転条件検出手段に相当する)。
ステップS300では、コモンレール14による燃料噴射の目標値を算出し、燃料噴射弁15の駆動制御を実行する。この燃料噴射弁15の駆動制御は、圧力制御と噴射時期制御から構成され、まず圧力制御を行う。
コモンレール14の圧力制御は、エンジン回転数Neと負荷Accとをパラメータとして、エンジンコントロールユニット30のROMに予め記憶されている所定のマップを検索することにより、コモンレール14の目標基準圧力Pcr0を求め、この目標基準圧力Pcr0が得られるように圧力制御弁13のフィードバック制御を実行する。次いで燃料の噴射時期制御を行う。
たとえばエンジン回転数Neと負荷Accをパラメータとして、先行燃料噴射量Qpilot、主燃料噴射量Qmain、コモンレール圧力(噴射圧力)Pcr、先行噴射期間Pperiod、主噴射期間Mperiod、主噴射開始時期MIT、先行噴射開始時期PIT、そして先行噴射間隔dIT等を、エンジンコントロールユニット30のROMに予め記憶されている所定のマップデータを検索してそれぞれ求める。
そして、先行噴射量Qpilot、主燃料噴射量Qmainが供給されるように、クランク角度検出用クランク角センサ32のクランク角度信号および気筒判別用クランク角センサ33の気筒判別信号Cylに基づいて、先行噴射開始時期PITよりPperiodの期間、主噴射開始時期MITよりMperiodの期間、噴射すべき気筒の燃料噴射弁15を開弁駆動する。
ステップS400では、エンジンに吸入される空気とEGRガスの温度Tgasと酸素濃度Ointといった吸入ガスの物理量を検出する(図16の吸入ガス物理量検出手段に相当する)。なお、酸素濃度Ointは、予め定められたシリンダ吸入作動ガス流量Qcylと吸入空気量QairとからEGR流量Qegrを求めても簡略的に算出できるが(下記式1及び2)、酸素濃度センサを吸気コレクタ20bに設けてもよい。
[式1]Vegr=Vcyl−Vair
[式2]Oint=(21×Qair+Oexh×Qegr)/Qcyl
ステップS500では、エンジン回転数Neとエンジン負荷Accとから、図8に示すように、予め定められた通常燃焼許可領域A、EGR許可領域でかつ予混合燃焼許可領域B、EGR許可領域でかつ通常燃焼許可領域C、EGR不許可領域Dのいずれかであるかを判定する(図16の燃焼領域判定手段に相当する)。
なお、エンジン回転数とエンジン負荷が、図8に示す中負荷領域である予混合燃焼許可領域Bにある場合は、図21に示す先行噴射の噴射量または噴射回数と図22に示す先行噴射の時期(または主噴射との噴射間隔)をそれぞれ制御し、図6に示す低温予混合的燃焼のための先行噴射が少なくとも1回以上実行される。これに対して、エンジン回転数とエンジン負荷が、図8に示す通常燃焼許可領域AまたはCにある場合は、図9に示すような通常燃焼となるように先行噴射を制御する。
図6に示すように、本例の低温予混合的燃焼制御(予混合燃焼許可領域Bで実行される制御)では、先行噴射と主噴射により噴射すべき大部分の燃料が噴射された後に、低温酸化反応による予備燃焼が発現し、引き続き高温酸化反応による主燃焼が発現する。
本例の低温予混合的燃焼制御では、燃焼室内は、主噴射が終了するまで低温酸化反応が生じない程度の低酸素濃度の雰囲気にされる。このような低酸素濃度雰囲気の下において、先行噴射によりストイキよりリーンの混合気を燃焼室に形成したのち、主噴射によりストイキよりリッチの混合気を燃焼室に形成し、これによりリーン混合気とリッチ混合気を偏在させる。すなわち先行噴射によって形成されたリーンな混合気と主噴射によって形成された比較的リッチな混合気が二極的に混在する状態で着火・燃焼が開始される(図16の当量比分布形成手段に相当する)。
燃焼室内の酸素濃度、または燃焼室内に吸入される吸気の酸素濃度は、主噴射が終了するまで低温酸化反応が生じない程度の低濃度であり、本例の低温予混合的燃焼では12〜15%であることが望ましい(図13参照)。こうした酸素濃度の制御は、たとえばEGR率を制御することで行うことができる(図16の燃焼温度低下手段に相当する)。
本例の低温予混合的燃焼の先行噴射は、ストイキよりリーンの混合気が燃焼開始時期(主噴射終了時期)に多く形成されるように、クランク角度60°BTDC〜30°BTDCの時期に実行され、主噴射に対する先行噴射の噴射量は20〜40%であることが望ましい。また、主噴射の噴射時期は、上死点の近傍、特に上死点直前に噴射を終了することが望ましい。
先行噴射と主噴射とを合わせたトータルの燃料噴射量はエンジン負荷によって制御するが、トータルの燃料噴射量が増加することで先行噴射の噴射量が増加する場合やトータルの燃料噴射量は同じであるが主噴射との噴射量割合が調整されて先行噴射の噴射量が増加した場合は、先行噴射の噴射時期を進角させることが望ましい。
図17に戻り、ステップS600では、ステップS500で判定された燃焼領域がEGR許可領域でかつ予混合燃焼許可領域Bであれば、図6に示す主噴射の予混合制御期間MPI、すなわち主噴射終了と主燃焼開始との間隔を検出する(図16の予混合制御期間検出手段に相当する)。ステップS600において、図6の主噴射終了から主燃焼開始までの期間MPIを検出するにあたり、主噴射の燃焼開始を判定する方法としては、図7に示すように筒内圧力CPの燃焼室内圧力の2回微分値dP/dθ[kPa/deg]を用いることができる。
たとえば、図7のように2回微分値が一度負の値となってから再度上昇し0点をクロスするポイントを主燃焼の開始時期と定義して判定する。このことによって主噴射の燃焼開始時期を検出することができる。ただし、主噴射の燃焼開始時期を検出するためのパラメータは燃焼室内の圧力2回微分値dP/dθ[kPa/deg]に限定されるものでない。たとえば、燃焼室内圧力の2回微分値dP/dθに代えて、図6に示した主噴射の主燃焼熱発生率の上昇開始時期dQ/dθ[J/deg]を用いることもできる。この場合はスライスレベルを設定してスライスレベルのクロスポイントを主燃焼の開始時期と定義して判定するのが望ましい。
なお、主噴射の終了時期は前述の主噴射開始時期MITと主噴射期間Mperiodから求めることができる。
ここで、先行噴射によるリーンな混合気の形成を増加させて燃焼騒音の低減効果を高めるため、図21に示すように負荷の増大に伴って先行噴射量は増加させ、図22に示すように先行噴射の噴射開始時期を進角させることが望ましい。
本例の先行噴射は、HCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition:予混合圧縮着火)燃焼のようにシリンダ内壁に燃料噴霧が直接衝突し付着してしまうような早期に燃料噴射が実行されるものではなく、また従来の拡散燃焼を基本とする先行噴射のように主噴射に近づけて噴射されるものでもない。先行噴射の開始時期は、先行噴射燃料の殆どがピストンキャビティ内に噴射されるタイミングで行われるのが望ましいが、シリンダ内壁への燃料噴霧の衝突をより確実に防止するため、噴射回数を負荷の増大に伴って増加させ、これによりペネトレーションを低下させることも有効である。
図17のステップS700では、予混合制御期間の目標値を算出する(図16の予混合制御期間目標値算出手段に相当する)。つまり、主噴射燃料の着火時期において、燃焼室内に適度にリーン化された先行噴射燃料の混合気と、リーン化されすぎない主噴射燃料の混合気が二極的に存在するように、予め実験等で求めた予混合制御期間を、エンジン回転数Neと負荷Accとをパラメータとして、エンジンコントロールユニット30のROMに予め記憶させておいたマップデータから検索して求める。
次のステップS800では、ステップS600にて検出した予混合制御期間と、ステップS700にて算出した予混合制御期間目標値との偏差(dMPI)に基づいて、予めコントロールユニット30のROMにテーブルデータとして記憶させておいた吸入ガス温度の補正値を求める。
例えば図18に示すように、予混合制御期間目標値が予混合制御期間検出値よりも少ない場合、つまりdMPIが(−)の場合は、予混合制御期間を短縮させるため、吸入ガス温度を現状よりも高める(dTgasを+側にする)。逆に、予混合制御期間目標値が予混合制御期間検出値よりも多い場合、つまりdMPIが(+)の場合は、予混合制御期間を延長させるため、吸入ガス温度を現状よりも低下する(dTgasを−側にする)。
ステップS900では、補正すべき吸入ガス温度dTgasによって設定すべきEGRクーラ17の冷却効率を、予めコントロールユニット30のROMに記憶させておいた、図19に示すようなテーブルデータから求める。つまり、予混合制御期間を短縮させるため吸入ガス温度を現状よりも高める(dTgasを+側にする)場合は、冷却効率を低下させ、逆に予混合制御期間を延長させるため吸入ガス温度を現状よりも低下させる(dTgasを−側にする)場合は冷却効率を高める。
さらに、このステップS900では、エンジン回転数Neと負荷Accとをパラメータとして、コントロールユニット30のROMに予め記憶させておいたマップデータから目標酸素濃度Ointを検索して求める。
ここで、目標酸素濃度Ointは、NOx排出量を管理するための目標値であって、吸入ガス(作動ガス)中の酸素濃度Ointを定められた濃度に管理することによってNOx排出量も定められた値に制御することができる。
この目標酸素濃度Ointと前述の酸素濃度検出値Ointとの偏差dO(Oint−Oint)によって、図20に示すようにEGR弁5の駆動信号を補正する駆動補正値Kegrdutyを求める。つまり、dOが(−)の場合は実際値よりも目標値が大きくてEGRガスが入りすぎているのでKegrdutyを小さくし(すなわちEGR弁5を閉弁側に補正し)、逆にdO2が(+)の場合は実際値よりも目標値が小さくてEGRガスが足りないのでKegrdutyを増大する(EGR弁5を開弁側に補正する)。
ステップS1000では、ステップS900で求めた補正値に基づいてEGRクーラ17の水量調整装置44を駆動制御して冷却効率を制御することで吸入ガス温度Tgasを制御する。また、EGR弁5の開弁制御を行うことで酸素濃度Ointの制御を行う。
以上のとおり、本例の燃焼制御では、低酸素濃度雰囲気とした着火前の燃焼室内に、ストイキよりリーンの混合気とストイキよりリッチの混合気を偏在させ、この偏在する状況下において燃焼を開始させる。
この低温予混合的燃焼においては、先行噴射によるリーン混合気の中では比較的拡散・予混合の遅れている一部の燃え易い当量比のリーン混合気と、主噴射燃料の中で比較的拡散・予混合の進んだ一部の燃えやすい当量比の混合気とが、図6に示すように上死点付近で低温酸化反応を生じせしめて予備燃焼を形成する。
これによって燃焼室内の温度と圧力が上昇すると、主噴射燃料によるリッチ混合気の高温酸化反応が始まる。予備燃焼が終了する頃には、主噴射燃料は燃焼室内における拡散・予混合も進んでいるため、比較的燃え易い当量比のリッチ混合気となって、高温酸化反応(拡散的燃焼)が生じ始める。
主噴射燃料によるリッチ混合気の高温酸化反応(拡散的燃焼)は、予備燃焼で燃焼しなかった残りのリーン混合気の燃焼(予混合的燃焼)をも生じさせるので、主燃焼はこれらリッチ混合気の燃焼とリーン混合気の燃焼、すなわち拡散的燃焼と予混合的燃焼が混在して構成される。
主燃焼を構成する主噴射燃料はリッチ混合気であって、拡散的燃焼が主体となるが、比較的拡散・予混合化が進んでいるのでスモークを抑えることができる。また拡散的燃焼が主体であるため燃焼の急峻性、すなわち燃焼騒音も緩和される。
一方で、主燃焼を構成するもう1つの混合気である先行噴射によるリーン混合気は、燃焼が穏やかであり、これらが併存することで全体としても燃焼騒音を低下させ、燃焼温度も低下するのでさらにNOxを低減することができる。
そして、リッチ混合気の燃焼に伴いリーン混合気の燃焼が促され、リーン混合気の燃え残りによる未燃HC排出という問題を招くこともない。
つまり、先行噴射燃料によるリーン混合気の中では比較的拡散・予混合の遅れている一部の燃え易い当量比のリーン混合気と、主噴射燃料の中で比較的拡散・予混合の進んだ一部の燃えやすい当量比の混合気によって、上死点付近で低温酸化反応を生じて予備燃焼を生じさせ、その後、燃焼室内で拡散・予混合の進んだ主噴射によるリッチ混合気と予備燃焼に使われず残った先行噴射によるリーン混合気とで主燃焼が行われる。
そして、NOxを低下させるため酸素濃度を大幅に低下させた際に、ストイキをはさんで当量比を濃淡分布させた上で着火する(燃焼が始まる)ようにしたので、リッチ混合気が確実に着火して、着火不良による未燃HCを低減することができる。
一方、淡混合気を分布させるための先行噴射を従来の先行噴射より早い時期に行なうことによって、先行噴射による混合気が上死点前に燃え易い当量比になるのを防ぎ、先行噴射燃料が早い時期に着火して主噴射の噴射時期に火種になるのを抑え、主噴射燃料の拡散的な燃焼を抑制することができる。
また、酸素濃度は大幅に低下しているので、予混合燃焼する濃混合気の燃焼急峻性を緩和することができ、さらに濃淡当量比の混合気が並存するため、濃混合気の予混合燃焼が急峻であっても、淡混合気の緩慢な燃焼がトータルとしての燃焼の急峻性を抑えて燃焼騒音を低減する。
一方で、淡混合気の燃焼が不完全になる傾向があるが、濃混合気の比較的急峻な燃焼が相殺して淡混合気の燃焼を促進させるため、燃焼が不完全になるのを防止することができる。
また、主燃焼の着火時期は、次の燃焼サイクル、すなわちその燃焼室における次の燃焼サイクル(720°CA後)での燃焼への影響が大きい。例えば、着火時期が早かった場合には次サイクルの燃焼室温度は低下して、次サイクルの着火が遅れる。逆に、着火時期が遅かった場合には次サイクルの燃焼室温度が上昇して、次サイクルの着火が早まり、着火時期が不安定になる可能性がある。
このため、本例では主燃焼の着火時期を所定の時期より早いか遅いか、換言すれば予混合期間が短いか長いかを判定し、着火時期の補正を行っているので上述した低温予混合的燃焼をより安定化させて、スモークや未燃燃料の発生を抑制することができる。
《第3実施形態》
本発明のさらに他の実施の形態を適用したディーゼルエンジンについて説明する。図23は本発明のさらに他の実施の形態を適用したディーゼルエンジンを示すブロック図、図24はその制御構成を示す機能ブロック図である。
本例も上述した第1及び第2実施形態と同様に、主燃焼の着火時期を検出し、この着火時期が所定時期になるように主燃焼の着火時期を補正する制御を実行するが、上述した第1実施形態では着火時期の補正を、可変圧縮比機構60を用いて筒内圧縮比を調整することで行い、第2実施形態では着火時期の補正を、EGRクーラ17を用いて吸気温度を調整することで行うのに対し、本例では過給機のインタークーラ80を用いて吸気温度(吸入空気温度または吸入ガス温度ともいう)を制御することにより着火時期の補正を行う。
本例のディーゼルエンジン1は図1に示すエンジン1に対し、以下の点が相違し、それ以外の構成は同じであるためその説明をここに援用する。
図23に示すように、本例のエンジン1は過給機を備え、当該過給機のコンプレッサ20cは吸気通路20のエアクリーナ20aの下流側に設けられ、過給機のタービン40cは排気通路40の上流側部分の排気出口通路に設けられている。この過給機による過給圧力Pgasは、吸気コレクタ20b内に臨んで設けられた圧力センサ45によって検出される。
排気通路40には、過給機のタービン40cを通過する排気ガス量を変化させて過給圧力を制御するためのバイパス通路40cとバイパス弁40bが設けられている。このバイパス弁40bはバイパス通路面積を可変制御できる構造のものであればよく、ステッピングモータや電子制御式の圧力調整弁を備えた圧力式のアクチュエータによって駆動される開閉弁を用いることができる。
吸気通路20のコンプレッサ20cと吸気コレクタ20bとの間には圧縮されて高温となった吸気を冷却するインタークーラ80が設けられている。インタークーラ80には水量調整装置81または電動ファン等の水温調整装置が設けられ、この水量調整装置81としては、比例ソレノイド型の電磁弁や、ステップモータ等で駆動される制御弁を用いることができる。
そして水量または水温を調整することでインタークーラ80の冷却効率を変化させて吸入空気(ガス)温度を調整し、エンジンに流入する作動ガス温度を制御する。なお、作動ガス温度Tgasは、吸気コレクタ20b内に臨んで設けられる温度センサ41によって検出される。
排気還流装置のEGR通路4は、DPF16の下流側の排気通路40と排気圧力調整弁90との間の排気通路40から分岐して、エアクリーナ20aと過給機のコンプレッサ20cの間の吸気通路20に接続され、排気の一部を還流させる。また、EGR通路4の途中には、EGR通路4を流れる排気を冷却するEGRクーラ17が設けられ、いわゆる低圧クールドEGR系路を構成している。
そして、EGR通路4の吸気通路20との接続部にステッピングモータにて開度が連続的に制御可能なEGR弁5が設けられ、排気圧力調整弁90とEGR弁5の開閉を制御することによってEGR制御が行われる。
次に、本例の燃焼制御を説明する。
図25はエンジンコントロールユニット30によって行われる燃焼制御を示すフローチャート、図26は本例のエンジン負荷及びエンジン回転数に応じた燃焼制御例を示すグラフ、図27は本例の低温予混合的燃焼における予混合制御期間の偏差に対する吸気圧の補正量及びそれにより吸気温度の補正量の制御例を示すグラフ、図28はエンジン負荷及びエンジン回転数に応じた先行噴射量または先行噴射回数の制御例を示すグラフ、図29はエンジン負荷及びエンジン回転数に応じた先行噴射時期の制御例を示すグラフである。
なお、図6に示す低温予混合的燃焼におけるクランク角と熱発生率の関係を示すグラフ、図7に示す図6の熱発生率をクランク角で二次微分したグラフ、図9に示す本例の低温予混合的燃焼に対する通常燃焼におけるクランク角に対する熱発生率を示すグラフはいずれも上述した第1実施形態と同じであるため、ここに援用しこれらの図面を参照して説明する。
まず、図25のステップS100では、筒内圧力CP、吸入空気量Qair、吸入空気温度Tair、吸入空気圧力Pair、水温Tw、エンジン回転数Ne、気筒判別信号Cyl、コモンレール圧力Pcr、燃料温度Tf、アクセル開度Acc、吸入されるガス温度Tgas、EGR温度Tegr、酸素濃度O2exhに対応する信号をそれぞれ読み込む。
ステップS200では、エンジン回転数Ne、アクセル開度Acc、および水温Tw等から現在の回転数と負荷、エンジンの温度状態を検出する(図24の運転条件検出手段に相当する)。
ステップS300では、コモンレール14による燃料噴射の目標値を算出し、燃料噴射弁15の駆動制御を実行する。この燃料噴射弁15の駆動制御は、圧力制御と噴射時期制御から構成され、まず圧力制御を行う。
コモンレール14の圧力制御は、エンジン回転数Neと負荷Accとをパラメータとして、エンジンコントロールユニット30のROMに予め記憶されている所定のマップを検索することにより、コモンレール14の目標基準圧力Pcr0を求め、この目標基準圧力Pcr0が得られるように圧力制御弁13のフィードバック制御を実行する。次いで燃料の噴射時期制御を行う。
たとえばエンジン回転数Neと負荷Accをパラメータとして、先行燃料噴射量Qpilot、主燃料噴射量Qmain、コモンレール圧力(噴射圧力)Pcr、先行噴射期間Pperiod、主噴射期間Mperiod、主噴射開始時期MIT、先行噴射開始時期PIT、そして先行噴射間隔dIT等を、エンジンコントロールユニット30のROMに予め記憶されている所定のマップデータを検索してそれぞれ求める。
そして、先行噴射量Qpilot、主燃料噴射量Qmainが供給されるように、クランク角度検出用クランク角センサ32のクランク角度信号および気筒判別用クランク角センサ33の気筒判別信号Cylに基づいて、先行噴射開始時期PITよりPperiodの期間、主噴射開始時期MITよりMperiodの期間、噴射すべき気筒の燃料噴射弁15を開弁駆動する。
ステップS400では、エンジンに吸入される空気とEGRガスの温度Tgasと圧力Pgasといった吸入ガスの物理量を検出する(図24の吸入ガス物理量検出手段に相当する)。
ステップS500では、エンジン回転数Neとエンジン負荷Accとから、図26に示すように、予め定められた通常燃焼許可領域A、EGR許可領域でかつ予混合燃焼許可領域B、EGR許可領域でかつ通常燃焼許可領域C、EGR不許可領域Dのいずれかであるかを判定する(図24の燃焼領域判定手段に相当する)。
なお、エンジン回転数とエンジン負荷が、図26に示す中負荷領域である予混合燃焼許可領域Bにある場合は、図28に示す先行噴射の噴射量または噴射回数と図29に示す先行噴射の時期(または主噴射との噴射間隔)をそれぞれ制御し、図6に示す低温予混合的燃焼のための先行噴射が少なくとも1回以上実行される。これに対して、エンジン回転数とエンジン負荷が、図26に示す通常燃焼許可領域AまたはCにある場合は、図9に示すような通常燃焼となるように先行噴射を制御する。
図6に示すように、本例の低温予混合的燃焼制御(予混合燃焼許可領域Bで実行される制御)では、先行噴射と主噴射により噴射すべき大部分の燃料が噴射された後に、低温酸化反応による予備燃焼が発現し、引き続き高温酸化反応による主燃焼が発現する。
本例の低温予混合的燃焼制御では、燃焼室内は、主噴射が終了するまで低温酸化反応が生じない程度の低酸素濃度の雰囲気にされる。このような低酸素濃度雰囲気の下において、先行噴射によりストイキよりリーンの混合気を燃焼室に形成したのち、主噴射によりストイキよりリッチの混合気を燃焼室に形成し、これによりリーン混合気とリッチ混合気を偏在させる。すなわち先行噴射によって形成されたリーンな混合気と主噴射によって形成された比較的リッチな混合気が二極的に混在する状態で着火・燃焼が開始される(図24の当量比分布形成手段に相当する)。
燃焼室内の酸素濃度、または燃焼室内に吸入される吸気の酸素濃度は、主噴射が終了するまで低温酸化反応が生じない程度の低濃度であり、本例の低温予混合的燃焼では12〜15%であることが望ましい(図13参照)。こうした酸素濃度の制御は、たとえばEGR率を制御することで行うことができる(図24の燃焼温度低下手段に相当する)。
本例の低温予混合的燃焼の先行噴射は、ストイキよりリーンの混合気が燃焼開始時期(主噴射終了時期)に多く形成されるように、クランク角度60°BTDC〜30°BTDCの時期に実行され、主噴射に対する先行噴射の噴射量は20〜40%であることが望ましい。また、主噴射の噴射時期は、上死点の近傍、特に上死点直前に噴射を終了することが望ましい。
先行噴射と主噴射とを合わせたトータルの燃料噴射量はエンジン負荷によって制御するが、トータルの燃料噴射量が増加することで先行噴射の噴射量が増加する場合やトータルの燃料噴射量は同じであるが主噴射との噴射量割合が調整されて先行噴射の噴射量が増加した場合は、先行噴射の噴射時期を進角させることが望ましい。
図25に戻り、ステップS600では、ステップS500で判定された燃焼領域がEGR許可領域でかつ予混合燃焼許可領域Bであれば、図6に示す主噴射の予混合制御期間MPI、すなわち主噴射終了と主燃焼開始との間隔を検出する(図24の予混合制御期間検出手段に相当する)。ステップS600において、図6の主噴射終了から主燃焼開始までの期間MPIを検出するにあたり、主噴射の燃焼開始を判定する方法としては、図7に示すように筒内圧力CPの燃焼室内圧力の2回微分値dP/dθ[kPa/deg]を用いることができる。
たとえば、図7のように2回微分値が一度負の値となってから再度上昇し0点をクロスするポイントを主燃焼の開始時期と定義して判定する。このことによって主噴射の燃焼開始時期を検出することができる。ただし、主噴射の燃焼開始時期を検出するためのパラメータは燃焼室内の圧力2回微分値dP/dθ[kPa/deg]に限定されるものでない。たとえば、燃焼室内圧力の2回微分値dP/dθに代えて、図6に示した主噴射の主燃焼熱発生率の上昇開始時期dQ/dθ[J/deg]を用いることもできる。この場合はスライスレベルを設定してスライスレベルのクロスポイントを主燃焼の開始時期と定義して判定するのが望ましい。
なお、主噴射の終了時期は前述の主噴射開始時期MITと主噴射期間Mperiodから求めることができる。
ここで、先行噴射によるリーンな混合気の形成を増加させて燃焼騒音の低減効果を高めるため、図28に示すように負荷の増大に伴って先行噴射量は増加させ、図29に示すように先行噴射の噴射開始時期を進角させることが望ましい。
本例の先行噴射は、HCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition:予混合圧縮着火)燃焼のようにシリンダ内壁に燃料噴霧が直接衝突し付着してしまうような早期に燃料噴射が実行されるものではなく、また従来の拡散燃焼を基本とする先行噴射のように主噴射に近づけて噴射されるものでもない。先行噴射の開始時期は、先行噴射燃料の殆どがピストンキャビティ内に噴射されるタイミングで行われるのが望ましいが、シリンダ内壁への燃料噴霧の衝突をより確実に防止するため、噴射回数を負荷の増大に伴って増加させ、これによりペネトレーションを低下させることも有効である。
図25のステップS700では、予混合制御期間の目標値を算出する(図24の予混合制御期間目標値算出手段に相当する)。つまり、主噴射燃料の着火時期において、燃焼室内に適度にリーン化された先行噴射燃料の混合気と、リーン化されすぎない主噴射燃料の混合気が二極的に存在するように、予め実験等で求めた予混合制御期間を、エンジン回転数Neと負荷Accとをパラメータとして、エンジンコントロールユニット30のROMに予め記憶させておいたマップデータから検索して求める。
次のステップS800では、ステップS600にて検出した予混合制御期間と、ステップS700にて算出した予混合制御期間目標値との偏差(dMPI)に基づいて、予めコントロールユニット30のROMにテーブルデータとして記憶させておいた吸入ガス温度の補正値を求める。
例えば図27に示すように、予混合制御期間目標値が予混合制御期間検出値よりも少ない場合、つまりdMPIが(−)の場合は予混合制御期間を短縮させるため、現状よりも吸入ガス温度を高め(dTgasを+側にする)、吸入ガス圧力を高める(dPgasを+側にする)。逆に、予混合制御期間目標値が予混合制御期間検出値よりも多い場合、つまりdMPIが(+)の場合は予混合制御期間を延長させるため、現状よりも吸入ガス温度を低下させ(dTgasを−側にする)、吸入ガス圧力を低下させる(dPgasを−側にする)。
吸気温度と吸気圧力の補正は、両方実施するとより効果的であるが、予混合燃焼許可領域Bの中で優先度を設けて実施してもよい。例えば、一般的に過給圧力が発達しない比較的エンジン負荷が小さい条件では温度を優先的に補正し、過給圧力が発達する比較的エンジン負荷が大きい条件では温度と圧力を補正する。
ステップS900では、補正すべき吸入ガス温度dTgasによって設定すべきインタークーラ80の水量調整装置81の駆動補正信号を、予めコントロールユニット30のROMに記憶させておいたテーブルデータから求め、運転条件(回転数と負荷)に応じて予め定められた現在の駆動信号を補正する。
つまり、予混合制御期間を短縮させるため吸入ガス温度を現状よりも高める(dTgasを+側にする)場合は、冷却効率を低下させるため水量を低下させ、逆に予混合制御期間を延長させるため吸入ガス温度を現状よりも低下させる(dTgasを−側にする)場合は、冷却効率を高めるため水量を増加させる。
一方で、補正すべき吸入ガス圧力dPgasによって設定すべきバイパス弁40bの駆動補正信号を、予めコントロールユニット30のROMに記憶させておいたテーブルデータから求め、運転条件(回転数と負荷)に応じて予め定められた現在の駆動信号を補正する。
つまり、予混合制御期間を短縮させるため吸入ガス圧力を現状よりも高める(dPgasを+側にする)場合は、バイパス弁40bを閉じて圧力を高め、逆に予混合制御期間を延長させるため吸入ガス圧力を現状よりも低下させる(dPgasを−側にする)場合はバイパス弁40bを開いて圧力を低下させる。
ステップS1000では、S900で求めた補正値に基づいてインタークーラ80の水量調整装置81を駆動制御して冷却効率(吸入ガス温度Tgas)を制御し、バイパス弁40bの開弁制御を行う。
以上のとおり、本例の燃焼制御では、低酸素濃度雰囲気とした着火前の燃焼室内に、ストイキよりリーンの混合気とストイキよりリッチの混合気を偏在させ、この偏在する状況下において燃焼を開始させる。
この低温予混合的燃焼においては、先行噴射によるリーン混合気の中では比較的拡散・予混合の遅れている一部の燃え易い当量比のリーン混合気と、主噴射燃料の中で比較的拡散・予混合の進んだ一部の燃えやすい当量比の混合気とが、図6に示すように上死点付近で低温酸化反応を生じせしめて予備燃焼を形成する。
これによって燃焼室内の温度と圧力が上昇すると、主噴射燃料によるリッチ混合気の高温酸化反応が始まる。予備燃焼が終了する頃には、主噴射燃料は燃焼室内における拡散・予混合も進んでいるため、比較的燃え易い当量比のリッチ混合気となって、高温酸化反応(拡散的燃焼)が生じ始める。
主噴射燃料によるリッチ混合気の高温酸化反応(拡散的燃焼)は、予備燃焼で燃焼しなかった残りのリーン混合気の燃焼(予混合的燃焼)をも生じさせるので、主燃焼はこれらリッチ混合気の燃焼とリーン混合気の燃焼、すなわち拡散的燃焼と予混合的燃焼が混在して構成される。
主燃焼を構成する主噴射燃料はリッチ混合気であって、拡散的燃焼が主体となるが、比較的拡散・予混合化が進んでいるのでスモークを抑えることができる。また拡散的燃焼が主体であるため燃焼の急峻性、すなわち燃焼騒音も緩和される。
一方で、主燃焼を構成するもう1つの混合気である先行噴射によるリーン混合気は、燃焼が穏やかであり、これらが併存することで全体としても燃焼騒音を低下させ、燃焼温度も低下するのでさらにNOxを低減することができる。
そして、リッチ混合気の燃焼に伴いリーン混合気の燃焼が促され、リーン混合気の燃え残りによる未燃HC排出という問題を招くこともない。
つまり、先行噴射燃料によるリーン混合気の中では比較的拡散・予混合の遅れている一部の燃え易い当量比のリーン混合気と、主噴射燃料の中で比較的拡散・予混合の進んだ一部の燃えやすい当量比の混合気によって、上死点付近で低温酸化反応を生じて予備燃焼を生じさせ、その後、燃焼室内で拡散・予混合の進んだ主噴射によるリッチ混合気と予備燃焼に使われず残った先行噴射によるリーン混合気とで主燃焼が行われる。
そして、NOxを低下させるため酸素濃度を大幅に低下させた際に、ストイキをはさんで当量比を濃淡分布させた上で着火する(燃焼が始まる)ようにしたので、リッチ混合気が確実に着火して、着火不良による未燃HCを低減することができる。
一方、淡混合気を分布させるための先行噴射を従来の先行噴射より早い時期に行なうことによって、先行噴射による混合気が上死点前に燃え易い当量比になるのを防ぎ、先行噴射燃料が早い時期に着火して主噴射の噴射時期に火種になるのを抑え、主噴射燃料の拡散的な燃焼を抑制することができる。
また、酸素濃度は大幅に低下しているので、予混合燃焼する濃混合気の燃焼急峻性を緩和することができ、さらに濃淡当量比の混合気が並存するため、濃混合気の予混合燃焼が急峻であっても、淡混合気の緩慢な燃焼がトータルとしての燃焼の急峻性を抑えて燃焼騒音を低減する。
一方で、淡混合気の燃焼が不完全になる傾向があるが、濃混合気の比較的急峻な燃焼が相殺して淡混合気の燃焼を促進させるため、燃焼が不完全になるのを防止することができる。
また、主燃焼の着火時期は、次の燃焼サイクル、すなわちその燃焼室における次の燃焼サイクル(720°CA後)での燃焼への影響が大きい。例えば、着火時期が早かった場合には次サイクルの燃焼室温度は低下して、次サイクルの着火が遅れる。逆に、着火時期が遅かった場合には次サイクルの燃焼室温度が上昇して、次サイクルの着火が早まり、着火時期が不安定になる可能性がある。
このため、本例では主燃焼の着火時期を所定の時期より早いか遅いか、換言すれば予混合期間が短いか長いかを判定し、着火時期の補正を行っているので上述した低温予混合的燃焼をより安定化させて、スモークや未燃燃料の発生を抑制することができる。
なお、本発明に係る着火時期検出手段は圧力センサ2に相当し、本発明に係る制御手段はエンジンコントロールユニット30に相当し、本発明に係る圧縮比制御手段は可変圧縮比機構60に相当し、本発明に係る吸気温度制御手段はEGRクーラ17及びインタークーラ80に相当し、本発明に係るNOx検出手段は酸素センサ/空燃比センサ43に相当する。
1…ディーゼルエンジン
2…圧力センサ
4…EGR通路
5…EGR弁
6…吸気絞り弁
7…エアフローメータ
8…温度センサ
9…圧力センサ
11…サプライポンプ
12…燃料供給通路
13…圧力制御弁
14…コモンレール(蓄圧室)
15…燃料噴射弁
16…ディーゼルパティキュレートフィルタDPF
17…EGRクーラ
20…吸気通路
20a…エアクリーナ
20b…吸気コレクタ
20c…コンプレッサ
30…エンジンコントロールユニット
31…水温センサ
32…クランク角度検出用クランク角センサ
33…気筒判別用クランク角センサ
34…圧力センサ
35…温度センサ
40…排気通路
40a…排気出口通路
40b…バイパス弁
40c…バイパス通路
40d…タービン
41…作動ガス温度センサ
42…EGRガス温度センサ
43…酸素センサ/空燃比センサ
44…水量調整装置
45…圧力センサ
50…アクセル開度センサ
60…可変圧縮比機構
80…インタークーラ
81…水量調整装置

Claims (7)

  1. 主噴射の前に先行噴射を行い、着火前の燃焼室に、前記先行噴射によるストイキよりリーンの混合気と前記主噴射によるストイキよりリッチの混合気を偏在させ、この状態で燃焼を開始させる予混合燃焼を制御する圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置において、
    前記主噴射による主燃焼の着火時期を検出する着火時期検出手段と、
    前記着火時期検出手段により検出された着火時期が所定時期になるように前記主燃焼の着火時期を補正する制御手段と、を備えることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置。
  2. 請求項1に記載の圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置において、
    前記制御手段は、筒内の圧縮比を制御する圧縮比制御手段を含み、
    前記圧縮比制御手段は、前記着火時期が早いほど前記筒内の圧縮比を小さくし、前記着火時期が遅いほど前記筒内の圧縮比を大きくすることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置。
  3. 請求項1に記載の圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置において、
    前記制御手段は、筒内への吸気温度を制御する吸気温度制御手段を含み、
    前記吸気温度制御手段は、前記着火時期が早いほど前記吸気温度を低くし、前記着火時期が遅いほど前記吸気温度を高くすることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置。
  4. 請求項3に記載の圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置において、
    前記内燃機関の燃焼室に吸入される吸気の酸素濃度を求める手段をさらに備え、
    前記吸気温度制御手段は、前記EGRガスの冷媒温度を制御する冷却制御手段を含み、
    前記制御手段は、前記着火時期が早いほど前記冷媒温度を低くし、前記着火時期が遅いほど前記冷媒温度を高くするとともに、前記酸素濃度を求める手段により求めた燃焼室に吸入される吸気の酸素濃度に応じて前記EGRガスの再循環量を制御することを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置において、
    前記着火時期検出手段は、筒内圧力の時間的二次微分値に基づいて前記主燃焼の着火時期を検出することを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置において、
    前記先行噴射は、前記主噴射が終了するまで低温酸化反応が生じない酸素濃度雰囲気で行うことを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置。
  7. 請求項6に記載の圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置において、
    前記酸素濃度は、12〜15%であることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の燃焼制御装置。
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