JP2010196292A - 建築物の建築工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】雨風等が侵入して建築材料に悪影響を及ぼすのを抑制し、しかも、養生シートを短時間で簡便に被覆できる建築物の建築工法を提供する。
【解決手段】複数の木材7と断熱材4のうち、少なくとも複数の断熱材4を使用して住宅1を建築する建築物の建築工法で、建築途中の住宅1に大型の養生シート10をクレーン車11で吊り上げて被覆し、建築途中の住宅1を雨風等から有効に養生保護する。多数の養生シート10を使用して被覆するのではなく、大型の養生シート10を1枚使用して上方外側から被覆するので、隣接する養生シート10間から雨風が侵入して木材7や断熱材4に悪影響を及ぼすのを抑制防止できる。したがって、乾燥性が要求される木材7や断熱材4の性能低下を防止することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、個人住宅に代表される建築物の建築工法の改良に関するものである。
従来、住宅を建築する場合には、図示しないが、基礎に土台を敷設して1階用の床面を施工し、この1階用の床面に1階用の複数の壁を立て起こして垂直に固定する。このような作業要領で住宅の2階部分を構築し、最後に天井と屋根とを組めば、住宅を建築することができる(特許文献1、2、3)。この住宅の建築の際には、多数の木材と断熱材とが使用され、各木材として、寸法精度等に優れる乾燥したランバー材が一般的に用いられる。
ところで、住宅の建築工事は、日数を要し、この間に雨、風、雪が降ることがある。この場合には、建築途中の建築物の全部又は一部に多数の養生シートが被覆され、雨、風、雪からの保護が図られる。
特開2005−2793号公報 特開2001−311162号公報 特開2008−127839号公報
従来における建築物の建築工法は、以上のように悪天候の場合に建築途中の建築物に多数の養生シートが単に重ねて被覆されるので、隣接する養生シートと養生シートの間から雨、風、雪が侵入して木材や断熱材に悪影響を及ぼし、乾燥性が要求される木材や断熱材の性能が低下してしまうという問題がある。具体的には、土台、壁、天井等を構成する木材が水分を吸収して寸法に狂いが生じたり、反りを招いたり、あるいは断熱材の熱伝導率が大きくなる。さらに、建築途中の建築物に多数の養生シートを被覆する作業は、長時間を要し、しかも、手間がかかり煩雑である。
本発明は上記に鑑みなされたもので、雨風等が侵入して建築材料に悪影響を及ぼすのを抑制し、しかも、養生シートを短時間で簡便に被覆することのできる建築物の建築工法を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、複数の木材と断熱材のうち、少なくとも複数の断熱材を使用して建築物を建築する建築工法であって、
建築中の建築物に大型の養生シートを吊り上げて被覆し、建築中の建築物を保護することを特徴としている。
なお、養生シートの略中央部を移動式のクレーンにより吊り上げ、建築中の建築物上方に養生シートを配し、この養生シートを下降させ、広げることにより、建築中の建築物の略全部を被覆することができる。
また、養生シートの周縁部に複数の貫通孔を設け、この複数の貫通孔に操作用の線条体を通し、この線条体を操作することにより、吊り上げた養生シートを広げることができる。
また、養生シートにより建築中の建築物の略全部を被覆した後、建築中の建築物、あるいはその近傍の地盤に養生シートの下部を固定することができる。
さらに、養生シートとして、ポリエステル樹脂製のシートに塩化ビニル樹脂をコーティングした重量200kg以上のシートを用いることも可能である。
ここで、特許請求の範囲における建築物は、個人用の住宅が主ではあるが、事務所、店舗、倉庫、畜舎、門等、住宅以外の工作物でも良い。この建築物の建築に際しては、木材、鉄筋、断熱材等を使用することができる。建築物の建築工法は、木造軸組工法、2×4工法、鉄筋作り工法、プレハブ工法、ユニット工法等のいずれでも良い。また、養生シートは、平面略矩形、多角形、円形等とすることができる。この養生シートの略中央部には、中央部と、おおよそ中央部と認められる箇所とが含まれる。
本発明において、建築中の建築物を養生シートにより被覆保護する場合には、建築中の建築物に対し、吊り上げた養生シートを下降させ、広げることにより、上方外側から覆えば、建築物が外部から遮断されるので、建築物の建築材料を雨、風、雪、湿気、雹等から保護することができる。
本発明によれば、雨風等が侵入して建築材料に悪影響を及ぼすのを抑制し、しかも、養生シートを短時間で簡便に被覆することができるという効果がある。
また、養生シートの略中央部をクレーンにより吊り上げれば、養生シートの被覆に偏りが少なく、建築中の住宅の略全部を均一に被覆することができる。また、固定式ではなく、移動式のクレーンを使用するので、工事現場の状況に応じてクレーンを設置でき、工事の便宜を図ることができる。
また、養生シートにより建築中の建築物の略全部を被覆した後、建築中の建築物、あるいはその近傍の地盤に養生シートの下部を固定すれば、養生シートのバタツキを防止することができる。
さらに、養生シートとして、ポリエステル樹脂製のシートに塩化ビニル樹脂をコーティングした重量200kg以上のシートを用いれば、優れた耐候性や耐水性を得ることができる他、養生シートの下部を特に固定しなくても、養生シートが煽られて建築材料と接触し、建築材料を損傷させたり、騒音を発生させるのを抑制することが可能になる。
本発明に係る建築物の建築工法の実施形態における基礎に1階用床組を構築した状態を模式的に示す斜視説明図である。 図1の1階用床組の区画空間に断熱材を敷き詰めた状態を模式的に示す斜視説明図である。 図2の1階用床組の周囲に1階用壁パネルを施工する状態を模式的に示す斜視説明図である。 図3の1階用壁パネルの上部に天井パネルを架設する状態を模式的に示す斜視説明図である。 図4の1階の建て込みを完了した状態を模式的に示す斜視説明図である。 本発明に係る建築物の建築工法の実施形態における建築途中の住宅に養生シートを吊り上げて被覆する状態を模式的に示す斜視説明図である。 本発明に係る建築物の建築工法の実施形態における被覆中の養生シートを模式的に示す斜視説明図である。 本発明に係る建築物の建築工法の実施形態における2階の建て込みを完了した状態を模式的に示す斜視説明図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における建築物の建築工法は、図1ないし図8に示すように、建築途中の住宅1に大型の養生シート10を吊り上げて被覆し、建築途中の住宅1の木材7や断熱材4を雨風等から保護するようにしている。
養生シート10は、特に限定されるものではないが、例えば可撓性や耐候性に優れる安価なポリエステル樹脂製のシートと、このシートの表裏面にそれぞれコーティングされる耐水性、難燃性の塩化ビニル樹脂とを備えた厚く重い平面矩形に形成され、建築途中の住宅1の略全部を被覆可能な大きさ(例えば、20m×25m以上、あるいは25m×25m以上)とされており、周縁部の少なくとも四隅に、作業の便宜を図る貫通孔がそれぞれ穿孔される。
養生シート10の厚さは、特に限定されるものではないが、防水の確実化を図る観点から0.50〜0.60mmの範囲、好ましくは0.55〜0.59mmの範囲、より好ましくは0.57〜0.58mmの範囲が良い。また、養生シート10の重量は、特に制限されるものではないが、風等で煽られ、騒音を発生させることがないよう、少なくとも200kg以上、好ましくは300kg以上、より好ましくは500kg以上が良い。
上記構成において、住宅1を2×4工法により建築する場合には、先ず、基礎2上に1階用床組3を構築(図1参照)してその多数の区画空間に断熱材4をそれぞれ敷き詰め(図2参照)、この1階用床組3の周囲に1階用壁パネル5を垂直に複数固定(図3参照)し、この複数の1階用壁パネル5の上部間に天井パネル6を架設(図4参照)して1階の建て込みを完了する(図5参照)。
このような作業要領で住宅1の2階部分を構築するが、この作業の際の天候が悪化して工事を中断する場合には、建築途中の住宅1に対し、1枚の養生シート10をクレーン車(図6に部分的に示す)11で吊り上げて被覆し、建築途中の住宅1の木材7や断熱材4を雨、風、雪、湿気等から効果的に養生保護すれば良い。
具体的には、予め工場から工事現場に養生シート10を運搬しておき、この養生シート10の中央部を略球形に丸めてロープやワイヤ等からなる緊縛材で緊縛するとともに、この緊縛材をクレーン車11のフック12に係止して吊り上げ、クレーン車11の伸縮ブームを伸縮して建築途中の住宅1上方に養生シート10を配置して徐々に降ろし始める(図6参照)。
クレーン車11は、特に限定されるものではないが、工事現場の道路状況に応じて、例えばカーゴクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーン等を適宜使用することができる。
こうして養生シート10を徐々に降ろし始めたら、この養生シート10を降下させつつ手作業により前後左右に適宜展開(図7参照)し、この養生シート10により建築途中の住宅1の略全部を上方外側から被覆するとともに、養生シート10の中央部とクレーン車11のフック12との係止を解除し、その後、養生シート10の下部のバタツキを確実に防止するため、建築途中の住宅1の下部あるいはその近傍の地盤に養生シート10の周縁下部を固定すれば良い。
これらの作業の際、養生シート10の複数の貫通孔に予め挿通しておいた操作用のロープ等を適宜引張り操作すれば、窄んだ養生シート10を容易に拡張することができる。また、養生シート10により建築途中の住宅1の全部を被覆するのが好ましいが、住宅1の木材7や断熱材4に悪影響が生じないのであれば、基礎2の下部等は多少露出しても良い。また、養生シート10の固定に際しては、専用の固定具を使用しても良いが、既存の建築用の釘、ボルト、フック、ゴム等を選択的に用いることもできる。
天候が回復して工事を再開し、養生シート10を除去して住宅1の2階部分を構築したら、天井と屋根とを組み、2階の建て込みを完了する(図8参照)ことにより、住宅1を建築することができる。養生シート10の除去に際しては、例えば養生シート10の周縁下部の固定を解除し、養生シート10の中央部を緊縛材で再び緊縛し、この緊縛材をクレーン車11のフック12に係止して吊り上げた後、クレーン車11の伸縮ブームを伸縮して建築途中の住宅1から養生シート10を移動させれば良い。
上記によれば、多数の養生シート10を使用して被覆するのではなく、大型の養生シート10を1枚使用して上方外側から被覆するので、隣接する養生シート10間から雨風が侵入して1階用床組3、1階用壁パネル5、天井パネル6等を構成する木材7や断熱材4に悪影響を及ぼすのを抑制防止することができる。したがって、乾燥性が要求される木材7や断熱材4の性能低下を確実に防止することができる。また、吊り上げた重い養生シート10を降ろしながら展開被覆するので、養生シート10の重量を活用して短時間で迅速に被覆でき、被覆作業の著しい円滑化、簡素化、容易化を図ることができる。
また、養生シート10の重量が200kg以上であるから、風等で煽られて木材7と接触し、騒音を発生させて周囲の居住者に迷惑をかけることもない。さらに、養生シート10の中央部を吊り上げるので、養生シート10の被覆量に偏りがなく、建築途中の住宅1の一部が露出してその木材7等が風雨に晒され、悪影響を蒙るのを防止することが可能になる。
なお、上記実施形態ではポリエステル樹脂製の養生シート10を示したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、養生シート10は、ポリエチレン樹脂やオレフィン系の合成樹脂等により平面矩形に成形しても良い。また、基礎2に1階用床組3を構築した段階で養生シート10により被覆しても良いし、1階用床組3の区画空間に断熱材4を敷き詰めた段階で養生シート10により被覆しても良い。
また、1階用床組3の周囲に1階用壁パネル5を垂直に複数固定した段階で養生シート10により被覆しても良いし、複数の1階用壁パネル5の上部間に天井パネル6を架設した段階で養生シート10により被覆しても良い。さらに、住宅1の天井と屋根が完成するまでの間、天候に拘わりなく、毎日の工事の終了時に、建築途中の住宅1に養生シート10をクレーン車11で吊り上げて被覆し、建築途中の住宅1を雨、風、雪、湿気等から養生保護することもできる。
1 住宅(建築物)
4 断熱材
7 木材
10 養生シート
11 クレーン車(移動式のクレーン)
12 フック
本発明においては上記課題を解決するため、複数の木材と断熱材とを使用して建築物を建築する建築物の建築工法であって、
大型の養生シートの略中央部を緊縛材で緊縛し、この緊縛材を移動式のクレーンにより吊り上げ、養生シートを建築中の建築物の上方に配して徐々に下降させるとともに、養生シートの周縁部の貫通孔に通した操作用の線条体を操作することで、吊り上げた養生シートを展開して広げることにより、建築中の建築物の略全部を被覆保護することを特徴としている。
なお、養生シートにより建築中の建築物の略全部を被覆した後、建築中の建築物、あるいはその近傍の地盤に養生シートの下部を固定することができる。
また、養生シートとして、ポリエステル樹脂製のシートに塩化ビニル樹脂をコーティングしたシートを用いることができる。
本発明によれば、大型の養生シートの略中央部を緊縛材で緊縛し、この緊縛材を移動式のクレーンにより吊り上げ、養生シートを建築中の建築物の上方に配して徐々に下降させるとともに、養生シートの周縁部の貫通孔に通した操作用の線条体を操作することで、吊り上げた養生シートを展開して広げることにより、建築中の建築物の略全部を被覆保護するので、雨風等が侵入して建築材料に悪影響を及ぼすのを抑制し、しかも、養生シートを短時間で簡便に被覆することができるという効果がある。
また、養生シートの中央部を緊縛材で緊縛してそのまま吊り上げるので、養生シートの被覆量に偏りがなく、建築途中の住宅の一部が露出してその木材等が風雨に晒され、悪影響を蒙るのを防ぐことが可能になる。
本発明においては上記課題を解決するため、乾燥性が要求される複数の木材と断熱材とを使用して住宅建築する建築工法であって、
大型の養生シートの略中央部を緊縛材で緊縛し、この緊縛材を移動式のクレーンにより吊り上げ、養生シートを建築中の住宅の上方に配して徐々に下降させるとともに、養生シートの周縁部の貫通孔に通した操作用の線条体を操作することで、吊り上げた養生シートを展開して広げることにより、建築中の住宅の略全部を被覆保護することを特徴としている。
なお、養生シートにより建築中の住宅の略全部を被覆保護した後、建築中の住宅、あるいはその近傍の地盤に養生シートの下部を固定することができる。
また、養生シートとして、ポリエステル樹脂製のシートに塩化ビニル樹脂をコーディングしたシートを用いることができる。
ここで、特許請求の範囲における住宅の建築に際しては、木材、鉄筋、断熱材等を使用することができる。建築物の建築工法は、木造軸工法、2×4工法、鉄筋作り工法、プレハブ工法、ユニット工法等のいずれでも良い。また、養生シートは、平面矩形、多角形、円形等とすることができる。この養生シートの略中央部には、中央部と、おおよそ中央部と認められる箇所とが含まれる。
本発明によれば、大型の養生シートの略中央部を緊縛材で緊縛し、この緊縛材を移動式のクレーンにより吊り上げ、養生シートを建築中の住宅の上方に配して徐々に下降させるとともに、養生シートの周縁部の貫通孔に通した操作用の線条体を操作することで、吊り上げた養生シートを展開して広げることにより、建築中の住宅の略全部を被覆保護するので、雨風等が侵入して建築材料に悪影響を及ぼすのを抑制することができるという効果がある。したがって、乾燥性が要求される住宅用の複数の木材や断熱材の性能低下、具体的には寸法狂い、反り、熱伝導率の増大を防止することができる。
また、吊り上げた養生シートを降ろしながら展開被覆するので、短時間で簡便に被覆することができる。また、養生シートの略中央部を緊縛材で緊縛してそのまま吊り上げるので、養生シートの被覆量に偏りが少なく、建築中の住宅の一部が露出してその木材等が雨風に晒され、悪影響を蒙るのを防ぐことが可能になる。さらに、固定式ではなく、移動式のクレーンを使用するので、工事現場の状況に応じてクレーンを設置でき、工事の便宜を図ることが可能になる。
また、養生シートにより建築中の住宅の略全部を被覆保護した後、建築中の住宅、あるいはその近傍の地盤に養生シートの下部を固定すれば、養生シートのバタツキ防止が期待できる。
さらに、養生シートとして、ポリエステル樹脂製のシートに塩化ビニル樹脂をコーディングしたシートを用いれば、優れた耐候性や耐水性を得ることができる。

Claims (4)

  1. 複数の木材と断熱材のうち、少なくとも複数の断熱材を使用して建築物を建築する建築物の建築工法であって、
    建築中の建築物に大型の養生シートを吊り上げて被覆し、建築中の建築物を保護することを特徴とする建築物の建築工法。
  2. 養生シートの略中央部を移動式のクレーンにより吊り上げ、建築中の建築物上方に養生シートを配し、この養生シートを下降させ、広げることにより、建築中の建築物の略全部を被覆する請求項1記載の建築物の建築工法。
  3. 養生シートにより建築中の建築物の略全部を被覆した後、建築中の建築物、あるいはその近傍の地盤に養生シートの下部を固定する請求項2記載の建築物の建築工法。
  4. 養生シートとして、ポリエステル樹脂製のシートに塩化ビニル樹脂をコーティングした重量200kg以上のシートを用いる請求項1、2、又は3記載の建築物の建築工法。
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