JP2010196161A - 耐hic性に優れた厚肉高張力熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.02〜0.08%、Mn:0.50〜1.85%、Nb:0.02〜0.10%、 Ti:0.001〜0.05%、B:0.0005%以下を含み、かつ(Ti+Nb/2)/C<4を満足するように含有する鋼素材に、熱間圧延を施し、仕上圧延終了後に、熱延板表面が20℃/s以上マルテンサイト生成臨界冷却速度未満の平均冷却速度で表面温度がAr3変態点以下Ms点以上となるまで加速冷却する第一の冷却工程と、板厚中心が350℃以上600℃未満の温度域の温度になるまで急冷する第二の冷却工程と、板厚中心の温度で350℃以上600℃未満の温度域の巻取温度でコイル状に巻取り、少なくともコイル厚み方向の1/4T〜3/4Tの位置が、350〜600℃の温度域で30min以上保持または滞留する冷却を施す第三の冷却工程とを順次施す。これにより、TS:520MPa以上で表層硬さが230HV以下である耐HIC性に優れた厚肉高張力熱延鋼板を得る。
【選択図】なし
Description
これら高強度溶接鋼管には、高強度と、同時にラインパイプの破壊を防止する観点から優れた低温靭性を保持することが要求されている。このような強度と靭性とを兼備した鋼管を製造するために、鋼管素材である鋼板では、熱間圧延後の加速冷却を利用した変態強化や、Nb、V、Ti等の合金元素の析出物を利用した析出強化等による高強度化と、制御圧延等を利用した組織の微細化等による高靭性化が図られてきた。
このような要求に対し、例えば特許文献1には、耐HIC性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法が提案されている。特許文献1に記載された技術は、API X70以上の高強度電縫鋼管向けの鋼板についてであるが、鋼片を、1000〜1200℃でスラブ加熱し、熱間圧延終了後の鋼板の加速冷却を、鋼板の表面温度が500℃以下となるまで行ったのち、加速冷却を一旦中断し、鋼板の表面温度が500℃以上になるまで復熱させ、その後3〜50℃/sの冷却速度で600℃以下の温度まで加速冷却する耐HIC性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板の製造方法である。特許文献1に記載された技術では、間欠型の加速冷却を採用しており、これにより、板厚方向の温度分布が均一化するとともに、表面側に生成した硬化組織が焼戻し処理を受け、鋼板表面近傍の硬度上昇を抑えつつ、高強度鋼板の耐HIC性が向上することを可能にするとしている。
(1)質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:1.0%以下、Mn:0.50〜1.85%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、 Al:0.1%以下、Nb:0.02〜0.10%、 Ti:0.001〜0.05%、B:0.0005%以下を含み、かつNb、Ti、Cが次(1)式
(Ti+Nb/2)/C < 4 ‥‥(1)
(ここで、Ti、Nb、C:各元素の含有量(質量%))
を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼素材に、粗圧延、仕上圧延からなる熱間圧延を施し、熱延板とするにあたり、前記仕上圧延終了後に、熱延板表面が20℃/s以上マルテンサイト生成臨界冷却速度未満の平均冷却速度で表面温度がAr3変態点以下Ms点以上となるまで加速冷却する第一の冷却工程と、該第一の冷却工程終了後、板厚中心が350℃以上600℃未満の温度域の温度になるまで急冷する第二の冷却工程と、該第二の冷却工程後、板厚中心の温度で350℃以上600℃未満の温度域の巻取温度でコイル状に巻取り、少なくともコイル厚み方向の1/4T〜3/4Tの位置が、350〜600℃の温度域で30min以上保持または滞留する冷却を施す第三の冷却工程とを順次施し、引張強さ:520MPa以上で表層硬さがビッカース硬さで230HV以下であることを特徴とする耐HIC性に優れた厚肉高張力熱延鋼板の製造方法。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.5%以下、Mo:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Ni:4.0%以下、Cu:2.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする厚肉高張力熱延鋼板の製造方法。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記組成を、さらに、次(2)式
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ‥‥(2)
(ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni:各元素の含有量(質量%))
で定義されるCeqが0.32%以下、または次(3)式
Pcm=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B‥‥(3)
(ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni、B:各元素の含有量(質量%))
で定義されるPcmが0.130%以下を満足する組成とすることを特徴とする厚肉高張力熱延鋼板の製造方法。
C:0.02〜0.08%
Cは、鋼の強度を上昇させる作用を有する元素であり、本発明では所望の高強度を確保するために、0.02%以上の含有を必要とする。一方、0.08%を超える過剰な含有は、パーライト等の第二相の組織分率を増大させ、母材靭性および溶接熱影響部靭性を低下させる。このため、Cは0.02〜0.08%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.03〜0.05%である。
Siは、脱酸剤として作用するとともに、固溶強化、焼入れ性の向上を介して、鋼の強度を増加させる作用を有する。このような効果は0.01%以上の含有で認められる。一方、1.0%を超える含有は、電縫溶接時にSiを含有する酸化物を形成し、溶接部品質を低下させるとともに、溶接熱影響部靭性を低下させる。このため、Siは1.0%以下に限定した。なお、好ましくは0.10〜0.40%である。
Mnは、焼入性を向上させる作用を有し、焼入性向上を介し鋼板の強度を増加させる。また、Mnは、MnSを形成しSを固定することにより、Sの粒界偏析を防止してスラブ(鋼素材)割れを抑制する。このような効果を得るためには、0.50%以上の含有を必要とする。一方、1.85%を超える含有は、溶接性、耐HIC性を低下させる。また、多量のMn含有は、スラブ鋳造時の凝固偏析を助長し、鋼板にMn濃化部を残存させ、セパレーションの発生を増加させる。このMn濃化部を消失させるには、1300℃を超える温度に加熱する必要があり、このような熱処理を工業的規模で実施することは現実的でない。このため、Mnは0.50〜1.85%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.80〜1.20%である。
Pは、鋼中に不純物として不可避的に含まれるが、鋼の強度を上昇させる作用を有する。しかし、0.03%を超えて過剰に含有すると溶接性が低下する。このため、Pは0.03%以下に限定した。なお、好ましくは0.01%以下である。
S:0.005%以下
Sは、Pと同様に鋼中に不純物として不可避的に含まれるが、0.005%を超えて過剰に含有すると、スラブ割れを生起させるとともに、熱延鋼板においては粗大なMnSを形成し、延性の低下を生じさせる。このため、Sは0.005%以下に限定した。なお、好ましくは0.001%以下である。
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましい。一方、0.1%を超える含有は、電縫溶接時の、溶接部の清浄性を著しく損なう。このため、Alは0.1%以下に限定した。なお、好ましくは0.04%以下である。
Nbは、オーステナイト粒の粗大化、再結晶を抑制する作用を有する元素であり、熱間仕上圧延におけるオーステナイト未再結晶温度域圧延を可能にするとともに、炭窒化物として微細析出することにより、溶接性を損なうことなく、少ない含有量で熱延鋼板を高強度化する作用を有する。このような効果を得るためには、0.02%以上の含有を必要とする。一方、0.10%を超える過剰な含有は、熱間仕上圧延中の圧延荷重の増大をもたらし、熱間圧延が困難となる場合がある。このため、Nbは0.02〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.03〜0.07%であり、さらに好ましくは0.04〜0.06%である。
Tiは、窒化物を形成しNを固定しスラブ(鋼素材)割れを防止する作用を有するとともに、炭化物として微細析出することにより、鋼板を高強度化させる。このような効果は、0.001%以上の含有で顕著となるが、0.05%を超える含有は析出強化により降伏点が著しく上昇する。このため、Tiは0.001〜0.05%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.005〜0.015%である。
(Ti+(Nb/2))/C<4 ‥‥(1)
を満足するようにNb、Ti、Cの含有量を調整する。
Nb、Tiは、炭化物形成傾向の強い元素で、C含有量が低い場合にはほとんどのCが炭化物となり、フェライト粒内の固溶C量が激減することが想定される。フェライト粒内の固溶C量の激減は、パイプライン施工時の鋼管の円周溶接性に悪影響を及ぼす。フェライト粒内の固溶C量が極度に低減した鋼板を用いて製造された鋼管をラインパイプとして、円周溶接を行った場合には、円周溶接部の熱影響部(HAZ)の粒成長が顕著となり、円周溶接部のHAZ靭性が低下する恐れがある。このため、本発明では、Nb、Ti、Cを(1)式を満足するように調整して含有させる。これにより、フェライト粒内の固溶C量を10ppm以上とすることが可能となり、円周溶接部のHAZ靭性の低下を防止できる。
Bは、粒界に偏析する傾向が強く、焼入性向上を介して鋼の強度増加に寄与する元素である。このような効果は0.0001%以上の含有で認められるが、0.0005%を超える含有は、靭性を低下させる。このため、Bは0.0005%以下に限定した。
上記した成分が基本の成分であるが、本発明では、この基本の組成に加えてさらに、V:0.5%以下、Mo:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Ni:4.0%以下、Cu:2.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.01%以下、REM:0.02%以下、Mg:0.003%以下の1種または2種以上、を必要に応じて、選択して含有できる。
V、Mo、Cr、Ni、Cuはいずれも、焼入れ性を向上させ、鋼板の強度を増加させる元素であり、必要に応じて1種または2種以上を選択して含有できる。
Vは、焼入性を向上させるとともに、炭窒化物を形成して鋼板を高強度化する作用を有する元素であり、このような効果は0.01%以上の含有で顕著となる。一方、0.5%を超える過剰の含有は、溶接性を劣化させる。このため、Vは0.5%以下とすることが好ましい。なお、さらに好ましくは0.08%以下である。
Crは、焼入性を向上させ、鋼板強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果は、0.01%以上の含有で顕著となる。一方、1.0%を超える過剰の含有は、電縫溶接時に溶接欠陥を多発させる傾向となる。このため、Crは1.0%以下に限定することが好ましい。なお、さらに好ましくは0.30%未満である。
Ca:0.010%以下、REM:0.02%以下、Mg:0.003%以下の1種または2種以上
Ca、REM、Mgはいずれも、展伸した粗大な硫化物を球状の硫化物とする硫化物の形態制御に寄与する元素であり、必要に応じて1種または2種以上を選択して含有できる。このような効果を得るためには、Ca:0.001%以上、REM:0.001%以上含有することが望ましいが、Ca:0.010%、REM:0.02%を超える多量の含有は、鋼板の清浄度を低下させる。このため、Ca:0.010%以下、REM:0.02%以下に限定することが好ましい。
ACR={Ca−O×(0.18+130Ca}/1.25S
(ここで、Ca、O、S:各元素の含有量(質量%))
で定義されるACRが1.0〜4.0を満足するように調整して含有することが好ましい。これにより、サワー環境下でも、耐食性、耐腐食割れ性の低下を生じない。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ‥‥(2)
(ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni:各元素の含有量(質量%))
で定義されるCeqが0.32%以下、または次(3)式
Pcm=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B‥‥(3)
(ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni、B:各元素の含有量(質量%))
で定義されるPcmが0.130%以下を満足するように、調整することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
なお、不可避的不純物としては、O:0.005%以下、N:0.008%以下、Sn:0.005%以下が許容できる。
Oは、鋼中では各種の酸化物を形成し、熱間加工性、耐食性、靭性等を低下させる。このため、できるだけ低減することが望ましいが、極端な低減は精錬コストの高騰を招くため、0.005%までは許容できる。
N:0.008%以下
Nは、鋼中に不可避的に含まれる元素であるが、過剰な含有はスラブ鋳造時の割れを多発させるため、できるだけ低減することが望ましいが、0.008%までは許容できる。
Snは、製鋼原料であるスクラップから混入し、鋼中に不可避的に含まれる元素である。Snは結晶粒界等に偏析し易い元素であり、多量に含有すると粒界強度が低下し、靭性の低下を招くが、0.005%までは許容できる。
なお、鋼素材の製造方法としては、上記した組成の溶鋼を転炉等の常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法でスラブ等の鋼素材とすることが好ましいが、本発明では、これに限定されることはない。
鋼素材の製造方法としては、上記した組成の溶鋼を転炉等の常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法でスラブ等の鋼素材とすることが好ましいが、本発明では、これに限定されることはない。
鋼素材の加熱温度は、所望の形状寸法の熱延板に圧延することが可能な温度であればよく、とくに限定する必要はないが、1000〜1300℃の範囲の温度とすることが好ましい。加熱温度が1000℃未満では、変形抵抗が高く圧延負荷が増大し圧延機への負荷が過大となりすぎる。一方、加熱温度が1300℃を超えて高温になると、結晶粒が粗大して低温靭性が低下するうえ、スケール生成量が増大し、歩留りが低下する。このため、熱間圧延における加熱温度は1000〜1300℃とすることが好ましい。
得られたシートバーに、さらに仕上圧延を施し、熱延板とする。
仕上圧延では、高靭性化の観点から、仕上圧延終了温度を800℃以下とし、1000℃以下の温度域での全圧下量(%)を60%以上とすることが好ましい。
第一の冷却工程では、仕上圧延終了後直ちに、熱延板表面が20℃/s以上マルテンサイト生成臨界冷却速度未満の平均冷却速度で表面温度がAr3変態点以下Ms点以上となるまで加速冷却を施す。なお、ここでいう「仕上圧延終了後直ちに」とは、仕上圧延終了後10s以内に冷却を開始することを意味する。
第二の冷却工程を施された後、熱延板は、巻取温度が、板厚中心温度で、350以上600℃未満の温度となるように調整されてコイル状に巻取られ、コイル厚み方向の1/4T〜3/4Tの位置で350℃以上600℃未満の温度域で30min以上保持または滞留する第三の冷却工程を施される。
第三の冷却工程では、コイル状に巻き取られた熱延板は、少なくともコイルの厚み方向に1/4T〜3/4Tの位置が、350℃以上600℃未満の温度域で30 min以上保持あるいは滞留するような冷却を施される。上記した冷却停止温度で急冷を停止し、上記した巻取温度でコイル状に巻取ることにより、そのまま放冷するだけで、コイル厚み方向の1/4T〜3/4Tの位置が、350℃以上600℃未満の温度域で30min以上、保持あるいは滞留する冷却が可能であるが、このような保持または滞留をさらに確実なものにするために、コイル状に巻き取ったのちに、コイルを加熱するか、あるいはコイルボックス等で保管することが好ましい。
上記した本発明の製造方法で得られる熱延鋼板は、上記した組成を有し、鋼板内部ではベイニティックフェライト相またはベイナイト相からなる単相組織(ここで単相とは98%以上である場合をいう)を有し、引張強さ:520MPa以上の高強度と、230HV以下の低表層硬さを有する、耐HIC性に優れた厚肉高張力熱延鋼板である。ここでいう、「ベイニティックフェライト相」とは、針状フェライト、アシキュラー状フェライトをも含むものとする。なお、「表層」とは、鋼板表面から板厚方向に2mm以内の領域をいう。
得られた熱延鋼板から、試験片を採取し、組織観察、硬さ試験、引張試験、衝撃試験、HIC試験を実施し、表面硬さ、引張特性、靭性、円周溶接性および耐HIC特性を評価した。試験方法はつぎのとおりとした。
得られた熱延鋼板から組織観察用試験片を採取し、圧延方向断面を研磨、腐食し、光学顕微鏡(倍率:1000倍)で、表層、板厚中心位置の各位置で、各10視野以上観察し、組織の種類、およびその組織分率を測定した。
(2)硬さ試験
得られた熱延鋼板から、硬さ測定用試験片を採取し、圧延方向断面を研磨し、表面から板厚方向に0.5mmおよび1.0mmの位置における硬さを各5点以上測定し、得られた測定値を算術平均して、該熱延鋼板の表層硬さとした。なお、硬さ測定は、ビッカース硬さ計を用い、試験力0.3kgf(2.9N)で行った。
得られた熱延鋼板から、圧延方向に直交する方向(C方向)が長手方向となるように、API−5Lの規定に準拠して、室温で引張試験を実施し、降伏強さYS、引張強さTSを求めた。
(4)衝撃試験
得られた熱延鋼板の板厚中央部から、圧延方向に直交する方向(C方向)が長手方向となるようにVノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、試験温度:−80℃での吸収エネルギー(J)を求めた。なお、試験片は3本とし、得られた吸収エネルギー値の算術平均をもとめ、その鋼板の吸収エネルギー値vE−80(J)とした。
円周溶接性はy形溶接割れ試験を用いて評価した。得られた熱延鋼板から、試験板を採取し、JIS Z 3158の規定に準拠して室温で試験溶接を実施し、割れの有無を調査した。割れが発生した場合は×、割れの発生が無い場合を○として、円周溶接性を評価した。
(6)HIC試験
得られた熱延鋼板から、長手方向が鋼板の圧延方向となるように、HIC試験片(大きさ:100mm×20mm)を採取し、NACE規格 TM 0284の規定に準拠して、耐HIC性を評価した。なお、試験液は、規定のA溶液とし、試験片を該試験液に浸漬したのち、CLR(%)を測定した。CLRが0%の場合に、HICが発生せず耐HIC性が良好であると判断する。また、ブリスターの発生の有無も調査した。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.02〜0.08%、 Si:1.0%以下、
Mn:0.50〜1.85%、 P:0.03%以下、
S:0.005%以下、 Al:0.1%以下、
Nb:0.02〜0.10%、 Ti:0.001〜0.05%
B:0.0005%以下
を含み、かつNb、Ti、Cが下記(1)式を満足するように含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼素材に、粗圧延、仕上圧延からなる熱間圧延を施し、熱延板とするにあたり、前記仕上圧延終了後に、熱延板表面が20℃/s以上マルテンサイト生成臨界冷却速度未満の平均冷却速度で表面温度がAr3変態点以下Ms点以上となるまで加速冷却する第一の冷却工程と、
該第一の冷却工程終了後、板厚中心が350℃以上600℃未満の温度域の温度になるまで急冷する第二の冷却工程と、
該第二の冷却工程後、板厚中心の温度で350℃以上600℃未満の温度域の巻取温度でコイル状に巻取り、少なくともコイル厚み方向の1/4T〜3/4Tの位置が、350〜600℃の温度域で30min以上保持または滞留する冷却を施す第三の冷却工程と
を順次施し、引張強さ:520MPa以上で表層硬さがビッカース硬さで230HV以下であることを特徴とする耐HIC性に優れた厚肉高張力熱延鋼板の製造方法。
記
(Ti+Nb/2)/C < 4 ‥‥(1)
ここで、Ti、Nb、C:各元素の含有量(質量%) - 前記第二の冷却工程における急冷を、全面核沸騰で、熱流速が1.0Gcal/m2hr以上である冷却とすることを特徴とする請求項1に記載の厚肉高張力熱延鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、V:0.5%以下、Mo:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Ni:4.0%以下、Cu:2.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の厚肉高張力熱延鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.02%以下、Mg:0.003%以下の1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の厚肉高張力熱延鋼板の製造方法。
- 前記組成を、さらに、下記(2)式で定義されるCeqが0.32%以下、または下記(3)式で定義されるPcmが0.130%以下を満足する組成とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の厚肉高張力熱延鋼板の製造方法。
記
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Cu+Ni)/15 ‥‥(2)
Pcm=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B‥‥(3)
ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V、Cu、Ni、B:各元素の含有量(質量%)
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