JP2010196037A - オレフィン重合用触媒およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記成分[W−I]、[W−II]、[X]及び[Z]、並びに必要に応じて使用される成分[Y]からなるオレフィン重合用触媒の製造方法であって、成分[W−I]と成分[X]と成分[Z]とを、成分[W−II]の不存在下、不活性溶媒中で接触させた後、該接触させた成分にオレフィンを接触させて、成分[Z]に対し、オレフィンを重量比で0.01〜100の範囲で予備重合し、その後成分[W−II]と不活性溶媒中で接触させる工程、を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法など。
[W−I]:共役五員環配位子を2つ有する周期律表第4族の遷移金属化合物
[W−II]:共役五員環配位子を2つ有する周期律表第4族の遷移金属化合物であって、[W−I]とは異なる構造の化合物
[X]:イオン交換性層状珪酸塩などの助触媒
[Y]:有機アルミニウム化合物
[Z]:担体
【選択図】なし
Description
最近、メタロセン触媒を用いた製造法が提案され、この製法で得られるプロピレン系重合体は、分子量分布、組成分布が狭いため、べたつき成分となる低分子量ポリマー、高α−オレフィン含量ポリマーの副生が少なく、べたつきやブリードアウトが抑制されるとされている。
メタロセン触媒とは、広義には共役五員環配位子を少なくとも一個有する遷移金属化合物であり、プロピレン重合用としては、架橋構造を有する配位子が一般に使用され、特にアズレニル基、インデニル基、フルオレニル基など共役五員環配位子上の2つの置換基が少なくとも1つの環を形成している錯体が適している。その理由は、プロピレン重合に必要とされる、立体特異性の保持や、連鎖移動の抑制のためには、ある程度嵩高くモノマーの配位場が限られる錯体が適しているからである。
このようなヘテロ原子を配位子中に含有する錯体は、重合活性点と考えられるメタロセンカチオンと反応しうるため、活性点を被毒する可能性が考えられる。
なお、特許文献6には、酸素、窒素等のヘテロ元素を担体に担持させるアンカーの役割として、アルキル鎖を通じてメタロセン錯体に結合させた技術が開示されている。しかしながら、この場合のヘテロ元素は、炭素数2〜6のアルキル鎖がシクロペンタジエニル環とヘテロ元素の間に存在しており、ヘテロ元素自身を活性点近傍に、しかも、金属と結合、配位することなく存在させて、活性点の性質を向上させようという思想ではない。
一方で、成形性を向上させるため、溶融張力を高める成分を添加する方法も知られているが、溶融張力を高める成分の弾性率、強度、耐熱性の不足、あるいは、流動性の低下等、プロピレン系重合体本来の特徴が損なわれてしまうという欠点がある。
架橋する方法としては、重合後、電子線を照射する方法(特許文献7参照。)、過酸化物、過酸化物および架橋助剤をもちいる方法(特許文献8参照。)、また、長鎖分岐を導入する方法としては、プロピレン系重合体にラジカル重合性モノマーをグラフトさせる方法(非特許文献1参照。)、プロピレンとポリエンを共重合させる方法(特許文献9参照。)等が挙げられる。
しかしながら、公知の技術では、マクロマーの生成量とマクロマー共重合量が必ずしも充分ではなく、溶融物性改善の効果は不十分なレベルである。
しかしながら、これらの方法は、活性、分子量、分子量分布、溶融張力の点で充分なものでは無かった。これらを改良するため、2位の位置に嵩高い含酸素化合物である置換基を導入した錯体と4位の位置にアリール基を導入して活性、立体規則性及び分子量をさらに改良した錯体とを組み合わせてこれらを改良する技術が開発されているが、活性、分子量、分子量分布、溶融張力のすべての点を満足させるには不充分であった。
本発明の効果が発現する機構については、単純ではなく、必ずしも現時点で明確ではないが、本発明者らは、以下のメカニズムで効果が発現すると考察している。
一般的にメタロセン錯体は、助触媒と反応すると、アルキル基が1個引き抜かれてメタロセンカチオンを形成すると言われている。また、助触媒がイオン交換性層状珪酸塩の場合も同様であることが分かっている(非特許文献2参照。)。
元のメタロセン錯体自身も、第15、16族ヘテロ元素(以下ヘテロ元素と記述)との反応性があると考えられるが、このメタロセンカチオンの方がヘテロ元素との反応性が格段に大きい。従って、カチオン形成反応の時に、周囲にヘテロ元素が存在すると、生成したカチオンがヘテロ元素と反応して失活してしまう可能性がある。
第1のポイントは、2種類の錯体をほぼ同時に助触媒と反応させるのではなく、一方の錯体と助触媒と担体を充分反応させてから、次の錯体を添加するという点である。
第2のポイントは、最初の錯体と助触媒との接触と、次の錯体と助触媒との接触との間に、オレフィンの予備重合を行い、最初の錯体の活性化、担持反応を完了させてから、次の錯体を添加するという点である。
上記の第1のポイントは、次のように説明できる。助触媒との反応点、特に固体の助触媒(担体に担持された助触媒も含む)との反応点は、その周辺環境、ルイス酸性、などが異なる数種類存在すると考えられ、また、錯体によっても、好ましい助触媒上の反応点が異なると考えられる。
しかしながら、同じモノマー、特にプロピレンなどの立体特異的重合のために設計された錯体同士では、その構造が類似していることから、好ましい助触媒上の反応点も、ほぼ同じであると考えられる。したがって、ほぼ同時に複数の錯体を助触媒と反応させると、異種錯体間での競争が起こったり、また、反応が不完全な時点で、異種錯体がさらに反応したりして、1種類の錯体と助触媒を反応させる場合に較べて、良好な活性点ができる確率が減少することになる。
また、第2のポイントの効果は、次のように考えられる。オレフィンがメタロセン錯体のカチオン化を促進することは、本発明者らの検討で既に知られている(非特許文献3参照。)。また、有機アルミニウムは、メタロセンカチオンと反応して重合活性点を失活させるが、オレフィンで予備重合を行うことで、メタロセンカチオンの失活反応が抑制できることが知られている(非特許文献2参照。)。
これらの検討結果を基に、本発明者らは、オレフィンでの予備重合によって最初の錯体の活性化、担持反応を促進するともに、予備重合することで、最初の錯体のカチオンを安定化させ、次の錯体との反応による失活反応が抑制できると考え、本発明に到達した。
またさらに、第4のポイントは、助触媒が固体に担持されたものであり、さらに2種の錯体のうち一方だけがヘテロ元素含有錯体である場合、最初に助触媒と反応させる錯体として、ヘテロ元素を持つ錯体を選択することである。先に、ヘテロ元素含有錯体をカチオン化させた場合、同時に担持されて自由に動けなくなるとともに、後で添加する錯体が自由に動ける間は、後の添加錯体がまだカチオン化されていないため、被毒をさらに抑制することが可能となる。仮に、この逆の順番の場合には、最初に形成されたカチオンは、担持固定されているが、後で添加するヘテロ元素含有錯体とは、自由に動ける状態で接触することになるため、被毒の確率は増加する。
なお、ヘテロ元素がすでにメタロセンの中心金属に配位している場合、たとえば酸素が遷移金属に直接配位しているフェノキシイミン錯体や窒素が遷移金属に直接配位しているCGCT錯体の場合は、ヘテロ元素と別の錯体との反応性が低下すると考えられ、本発明の効果は若干減少するため、本発明の効果は、特に第4族金属元素に直接結合していない第15〜16族元素をシクロペンタジエニル配位子上もしくはその置換基上に有するメタロセン錯体を使用する場合に、顕著に効果を発揮する。
また、上記技術思想以外に現時点で未解明である点も残っている。たとえば助触媒と反応したカチオンが後で添加した錯体によって追い出され置換される効果、固体との担持反応におけるヘテロ元素の役割、なども、本発明の効果を発現する上で影響していることが考えられ、実際には、上記メカニズムとこれらの作用の複合因子で、活性が向上していると推察される。
成分[W−I]と成分[X]と成分[Z]とを、成分[W−II]の不存在下、不活性溶媒中で接触させた後、該接触させた成分にオレフィンを接触させて、成分[Z]に対し、オレフィンを重量比で0.01〜100の範囲で予備重合し、その後成分[W−II]と不活性溶媒中で接触させる工程、を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
成分[W−I]:共役五員環配位子を2つ有する周期律表第4族の遷移金属化合物
成分[W−II]:共役五員環配位子を2つ有する周期律表第4族の遷移金属化合物であって、成分[W−I]とは異なる構造の化合物
成分[X]:下記[X−1]〜[X−4]からなる群から選ばれる助触媒
[X−1]:アルミニウムオキシ化合物
[X−2]:成分[W]と反応して、成分[W]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
[X−3]:固体酸
[X−4]:イオン交換性層状珪酸塩
成分[Y]:有機アルミニウム化合物
成分[Z]:担体
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分[Y]の存在下で、成分[W−I]又は成分[W−II]と成分[X]を接触させることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、成分[W−I]又は成分[W−II]は、少なくとも1つのアズレニル配位子を含むものであることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、成分[W−I]又は成分[W−II]は、少なくとも1つのインデニル配位子を含むものであることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、成分[W−I]は、少なくとも1つの第15〜16族元素を有するメタロセン錯体であることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明において、成分[W−I]又は成分[W−II]は、予め成分[Z]に担持されたものでないことを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第13の発明によれば、第12の発明に係るオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第15の発明によれば、第14の発明において、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が10以上であることを特徴とするオレフィン重合体が提供される。
(1)第1の発明において、不活性溶媒は、(i)プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカンなどの炭素数3〜20程度の脂肪族炭化水素、(ii)シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカンなどの環状化合物、または(iii)ベンゼンおよびその誘導体(トルエン、キシレン等)の芳香族環を有する炭化水素化合物であることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法。
(2)第1の発明において、不活性溶媒中の接触時間は、24時間以下、さらに好ましくは8時間以下、特に好ましくは5時間以下であることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法。
(3)第1の発明において、不活性溶媒中の接触温度は、−20〜100℃であることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法。
(4)第9の発明において、成分[W−I]は、少なくとも1つの第15〜16族元素をシクロペンタジエニル配位子上またはその置換基上に有するメタロセン錯体であることを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法。
また一方で、通常のプロピレン系重合体、たとえばプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、ブロック共重合体(インパクトコポリマー)、等を高活性で得たい場合や、分子量分布を広げたい場合、組成分布を広げたい場合、さらに多段重合において各段の生成ポリマーの質を制御したい場合、等にも、本発明の触媒は、使用できる。
以下、本発明のオレフィン重合用触媒、その製造方法、重合工程、プロピレン系重合体の特徴等について、詳細に説明する。
本発明の触媒の製造方法で得られる担持メタロセン触媒について、詳しく説明する。
担持メタロセン触媒は、一般に、[W]共役五員環配位子を有する周期律表第4族の遷移金属化合物からなるメタロセン錯体と、それを活性化させる[X]助触媒、並びに必要に応じて使用される[Y]有機アルミニウム化合物、[Z]担体、から構成される。
本発明において用いられるメタロセン錯体としては、立体特異性重合が可能である嵩高い配位子を持つ錯体である。詳しくは、共役五員環配位子を2つ有する周期律表第4族の遷移金属化合物であるメタロセン錯体である。さらに、この錯体を少なくとも2種類使用する。
本発明において、最初に成分[X]と反応させる錯体が[W−I]、次に反応させる錯体が[W−II]である。[W−I]と[W−II]は、構造が同一ではない。更に、成分[W−I]や[W−II]以外の他のメタロセン化合物を併用することもできる。
この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
また、一方の錯体として、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成する錯体を選択し、もう一方からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成することも可能である。この場合、この割合を変化させることで、生成する重合体の平均分子量、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
また、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
Qは、二つの共役五員環などの配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を表し、アルキレン基、シリレン基或いはゲルミレン基であるのが好ましい。
具体的にはメチレン、ジメチルメチレン、エチレン−1,2−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルゲルミレン、ジエチルゲルミレン、ジフェニルゲルミレン、メチルフェニルゲルミレン等が挙げられる。
Mは、周期律表第4〜6族から選ばれる遷移金属の金属原子、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどである。特にジルコニウムまたはハフニウムが好ましい。もっとも好ましいのはハフニウムである。
FおよびGは、補助配位子であり、成分[X]の助触媒と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りFおよびGは、配位子の種類が制限されるものではなく、各々水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、或いはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基などが例示できる。これらのうち好ましいものは炭素数1〜10の炭化水素基、或いはハロゲン原子である。
置換基が環を構成しているシクロペンタジエニル配位子を2個有し、それらが架橋されている構造のメタロセン錯体において、アズレン系のものとしては、ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムが挙げられる。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、などである。
またこの場合、ヘテロ元素自身を活性点近傍に、しかも金属と結合、配位することなく存在させて、活性点の性質を向上させようという思想から、第15〜16族元素と共役五員環配位子とを結合する原子数が1以下であるメタロセン錯体がさらに好ましい。
第15〜16族元素の配位子上の位置に、特に制限は無いが、2位の置換基上に有することが好ましい。さらに好ましくは2位の置換基が、5員又は6員環中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びリン原子よりなる群から選択されるヘテロ原子を含有する単環式又は多環式であることが好ましい。また、好ましくはケイ素もしくはハロゲンを含んでもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であり、ヘテロ芳香族基は、5員環構造が好ましく、ヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好ましく、酸素原子、硫黄原子がより好ましく、酸素原子がさらに好ましい。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル2−−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル2−−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、などを挙げることができる。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム。
助触媒は、メタロセン錯体を活性化する成分で、メタロセン錯体の補助配位子と反応して当該錯体を、オレフィン重合能を有する活性種に変換させ得る化合物であり、具体的には、下記(X−1)〜(X−4)のものが挙げられる。
(X−1)アルミニウムオキシ化合物
(X−2)成分(W)と反応して、成分(W)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
(X−3)固体酸
(X−4)イオン交換性層状珪酸塩
pKaが−8.2以下の酸点の量は、特開2002−53609号公報に記載の方法で測定しても良いが、精密に測定する場合は、特願2007−325541号の実施例に記載のように指示薬の着色を可視紫外スペクトルで定量しながら機器的に定量する方法が好ましい。
ここで、酸とは、物質の分類のカテゴリーの一つであり、ブレンステッド酸又はルイス酸である物質を指すと定義する。また、酸点とは、その物質が酸としての性質を示す構成単位であると定義し、その量は、滴定法などの分析手段により、単位重量あたりの中和に要する2,6−ジメチルピリジン量のモル量で把握される。pKaが−8.2以下の酸点は、「強酸点」と呼ばれる。
本発明で用いる成分[X]は、強い酸点を特定量以上含有することによって重合活性が格段に向上する。
また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。或いは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化物などが例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(W)と反応して、成分(W)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライトなど)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。
珪酸塩は、各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのスメクタイト族;バーミキュライトなどのバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母族;パイロフィライト、タルクなどのパイロフィライト−タルク族;Mg緑泥石などの緑泥石族、セピオライト、パリゴルスカイトなど。
珪酸塩については、天然品または工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すのが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。好ましくは酸処理である。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
本発明において、成分[X]は、予め成分[Z]に担持されたものであることが好ましい。この場合の担持とは、成分[X]と成分[Z]を接触させ、物理的、化学的に両者が相互作用している状態にすることである。また、成分[X]が固体である場合も、成分[X]が成分[Z]を兼ねていると考え、成分[X]が成分[Z]に担持されているものとして取り扱う。
本発明のメタロセン触媒およびその製造においては、必要に応じて、有機アルミニウム化合物が使用される。
有機アルミニウム化合物の役割には2つあり、1つは、メタロセン錯体の補助配位子F,Gが水素、アルキル基以外である場合に、F,Gの部分をアルキル化する役割である。
従って、メタロセン錯体の補助配位子がすでにアルキル化されている場合、またアルミニウムオキシ化合物等アルキル化能を持つ化合物が存在する場合、などは必ずしも成分[Y]を使用しなくてもよい場合がある。
もう一つの役割は、触媒合成系内や担体表面の酸素や水、アルコールなどの被毒物質をスキャベンジする役割である。
したがって、被毒物質が既に除去されている場合や他のスキャベンジ成分、たとえばアルミニウムオキシ化合物や有機金属化合物、大量のメタロセン錯体、等が存在する場合などは、必ずしも成分[Y]を使用しなくてもよい場合がある。
AlR3−iXi
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xは水素、アルコキシ基、iは0≦i≦3の数を示す。但し、Xが水素の場合は、iは0≦i<3とする。)
で示される化合物が使用される。
これらのうち、特にトリアルキルアルミニウム、中でもトリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムが好ましい。
メタロセン触媒系において用いられる担体としては、各種公知の無機或いは有機の微粒子状固体を挙げることができる。
無機固体の例示としては、多孔質酸化物が挙げられ、必要に応じて100〜1,000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
具体的には、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらの混合物、たとえばSiO2−MgO、SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2、SiO2−V2O5、SiO2−Cr2O3、SiO2−TiO2−MgOなどが挙げられる。これらのうち、SiO2またはAl2O3を主成分とするものが好ましい。
重合体の粒子性状を向上させるためには、各種公知の造粒を行うのが好ましい。
また、担体の比表面積は、通常50〜1,000m2/g、好ましくは100〜500m2/gであり、担体の細孔容積は、通常0.1〜2.5cm3/g、好ましくは0.2〜0.5cm3/gである。
1.触媒成分の接触
本発明の触媒およびその製造方法のポイントは、成分[W−I]、[W−II]、[X]及び[Z]、予備重合モノマー、並びに必要に応じて使用される[Y]を、接触させる順番にある。
具体的には、成分[W−I]と成分[X]と成分[Z]を不活性溶媒中、成分[W−II]の不存在下で接触させた後、該接触させた成分にオレフィンを接触させて、オレフィンを成分[Z]に対し、重量比で0.01以上、100以下の範囲で予備重合し、その後成分[W−II]と不活性溶媒中で接触させる工程を含む方法で製造する。また、その後さらに、オレフィンによる予備重合を実施してもよい。
成分[W−I]と成分[X](助触媒)と成分[Z](担体)は、不活性溶媒中、成分[W−II]の不存在下で接触させる。
不活性溶媒とは、メタロセン錯体や有機アルミニウム、助触媒と反応しない(不活性)液体である。不活性溶媒の常温常圧における好ましい沸点は300℃以下、さらに好ましくは200℃以下、特に好ましくは100℃以下である。
具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカンなどの炭素数3〜20程度の脂肪族炭化水素、好ましくは炭素数3〜8の化合物が挙げられ、これらは、環状であっても分岐があってもよいし、さらにこれらに置換基が結合していてもよい。
環状化合物の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカンなどが挙げられる。また、以上の例示化合物の異性体は、すべて使用可能である。
また、単一化学種で構成される必要はなく、ガソリン、灯油、軽油、重油、ケロシンなど複数化学種の混合物であるような液体であってもよい。通常、これらは、モレキュラーシーブ等で脱水し、また乾燥窒素等でバブリングして脱酸素してから使用することが好ましい。
しかし、水酸基、アミノ基、カルボン酸基などの活性水素を含む置換基は、触媒成分と反応する可能性があり、あまり好ましくない。
接触時間の上限は、特に制限されないが、好ましくは24時間以下、さらに好ましくは8時間以下、特に好ましくは5時間以下である。下限より短い場合は、カチオン化が不充分となったり、後工程でのカチオンの失活が起こったりして、活性が低下する。一方、上限より長い場合、副反応が起こったりして、活性が低下する。
なお、この時間には、さらに後述する予備重合時間を含んでもよい。
成分[W−I]の不活性溶媒中での濃度は、高い方が良く、好ましくは3mM以上,より好ましくは4mM以上、特に好ましくは6mM以上である。
(i)成分[W−I]と成分[X]を接触させた後に、成分[Z]を接触させる。
(ii)成分[W−I]と成分[Z]を接触させた後に、成分[X]を接触させる。
(iii)成分[Z]と成分[X]を接触させた後に、成分[W−I]を接触させる(なお、イオン交換性層状珪酸塩などの固体助触媒を担体兼助触媒として使用する場合、成分[Z]と成分[X]は、もともと接触担持されていることになるため、この接触順番となる)。
(iv)成分[W−I]と成分[X]と成分[Z]を、同時に接触させる。
この中で好ましいのは(iii)の順番である。
これにより、[W−I]成分と成分[Y]の反応生成物が反応後すぐに、成分[Z]上に担持された成分[X]、と反応させることができ、長時間[W−I]成分と成分[Y]を反応させて、失活成分を形成することを防止できる。また、形成されたカチオンの周辺にスカベンジャーである成分[Y]を行き渡らせてから、次の錯体[W−II]を添加することができ、錯体間の被毒反応を抑制できる。
なお、これらのいずれの段階においても、過剰の成分を除去するために洗浄操作を加えてもよい。
成分[X]がアルミニウムオキシ化合物の場合は、Al/遷移金属のモル比は、通常10以上100,000以下、さらに100以上20,000以下、特に100以上10,000以下の範囲が適する。一方、成分[X]として、イオン性化合物或いはルイス酸を用いた場合は、対遷移金属のモル比は、0.1〜1,000、好ましくは1〜100、より好ましくは2〜10の範囲である。
本発明の特徴は、成分[W−II]との接触前に、成分[W−I]と成分[X]と成分[Z]の反応生成物にオレフィンを接触させ、予備重合を実施することにある。
この段階で予備重合を実施する目的は、オレフィンがメタロセン錯体のカチオン化を促進し、さらに生成するカチオンが安定化するためである。この効果を発揮するために、予備重合は、複数回に分けて行ってもよく、また、複数のモノマーを混合してもよく、さらに、複数のモノマーによる予備重合を段階的に逐次で実施してもよい。また、温度、濃度、圧力を段階的に変化させてもよい。
さらに、予備重合を行う効果として、本重合を行った際に、溶融物性を向上することができる。その理由として、本発明者らは、本重合を行った際に、重合体粒子間で分岐成分を均一に分布させることができるためと、考えている。反対に、予備重合を行わない場合には、条件によっては、不均一性が顕著になることで、ゲルが生成してしまい、品質を損なうという懸念がある。
オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的に或いは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備重合時の有機溶媒中の固体触媒の濃度は、特に制限されないが、好ましくは50g/L以上、より好ましくは60g/L以上、特に好ましくは70g/L以上である。濃度が高い方がメタロセンの活性化が進行し、高活性触媒となる。
本発明において、上記工程を実施後、この反応生成物と成分[W−II]とを不活性溶媒中で接触させる。
なお、この工程における不活性溶媒の種類、接触濃度、接触温度、接触時間、その他の[Y]との接触順番、等に、特に制限はない。好ましい範囲は上記(1)成分[W−I]と成分[X]と成分[Z]の接触工程と同じであるが、上記工程と同一条件である必要はない。
なお、これらのいずれの段階においても、過剰の成分を除去するために洗浄操作を加えてもよい。
本発明の触媒は、上記1において、あらかじめオレフィンを接触させて少量予備重合されているが、それに加えて、再度予備重合処理に付してもよく、かつ好ましい。予備重合の効果としては、触媒粒子性状の改良、パウダー粒子性状の改良、重合活性の改良、ポリマーの溶融物性の改良があり、重要なポイントである。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。また、予備重合時に、成分[Y]を添加、又は追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
さらに、予備重合を行う効果として、本重合を行った際に、溶融物性を向上することができる。その理由としては、本重合を行った際に、重合体粒子間で分岐成分を均一に分布させることができるためと、考えている。反対に予備重合を行わない場合には、条件によっては、不均一性が顕著になることで、ゲルが生成してしまい、品質を損なうという懸念がある。
重合様式は、本発明のオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。
また、重合温度は、0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、更に好ましくは75℃以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.0MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.5MPa以上である。また上限は4.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは3MPa以下、特に好ましくは2.8MPa以下である。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
そこで水素は、プロピレンに対するモル比で、1.0×10−6以上で用いるのがよく、好ましくは1.0×10−5以上であり、さらに好ましくは1.0×10−4以上用いるのがよい。また、上限に関しては、1.0×10−2以下で用いるのがよく、好ましくは0.9×10−2以下であり、更に好ましくは0.8×10−2以下である。
プロピレン系重合体中の(総)コモノマー含量は、0モル%以上、20モル%以下の範囲であり、上記コモノマーを複数種使用することも可能である。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンである。
この中では、本発明に係るプロピレン系重合体を、溶融物性と触媒活性をバランスよく得るためには、エチレンを5モル%以下で用いるのが好ましい。特に、剛性の高い重合体を得るためには、重合体中に含まれるエチレンを1モル%以下になるように、エチレンを用いるのがよく、更に好ましくはプロピレン単独重合である。
本発明の触媒は、単段重合に用いてもよいし、2段以上の多段重合に用いてもよい。
多段重合を行うことは、触媒粒子の滞留時間分布が狭くなり、ショートパス粒子が減少するため、触媒活性やポリマーの均一性という観点で好ましい。複数の反応器を直列に繋いで各工程を数段階に分けて実施する方法、一つの反応器を用いて各工程を複数回のバッチで実施する方法のいずれも可能である。
反応の様式としては、直列につないだ複数の反応器の最上流の反応器に触媒を連続的に供給し、ポリマーを連続的に抜き出しつつ、後段の重合槽に移送する連続重合の様式がある。なお、ここで述べる連続的という意味は、間欠的である場合も含む。
また、別の例としては、一つの重合槽に触媒を最初に一括で供給して、第一段の重合を行った後でモノマーをパージし、当該重合槽内に存在する触媒を失活させることなく、第二段目の重合をおこなう方法も、例示できる。
キラー化合物とは、重合触媒の活性(特に第2工程の活性)を低下、失活させる化合物である。キラー化合物は、正常な触媒粒子よりも、小さいショートパス粒子を選択的に捕捉し失活させる。また、ポリマー粒子の表面に多くのキラー化合物が作用することから、表面の活性点だけが選択的に失活し、表面のべたつき成分の量が減少し、粒子間のべたつき、反応器壁への付着も抑制される。さらに、キラー化合物の添加は、第2工程の重合活性の制御の手段としても、用いられる。
キラー化合物として、通常は、酸素、エタノール、アセトン等の酸化剤やルイス塩基性化合物が使用される。また、メタロセン触媒を使用する場合は、アルミニウム化合物(スカベンジャー)と反応、相互作用する活性水素を持たず、一方、メタロセン触媒のシングルサイト活性点へは、相互作用する極性基を持っている化合物であってもよい。このような化合物としては、ハロゲン化アルキルやエーテル、ビニルエーテル類が挙げられる。
本発明に係るプロピレン系重合体は、通常のプロピレン系重合体に対し、溶融物性が改良されている場合がある。
本発明において、溶融物性の指標として規定している伸長粘度測定における歪硬化度(λmax)は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、溶融張力が向上する効果がある。その結果、例えば、ブロー成型の時に偏肉がおきにくい。また、発泡成形を行ったときに、独立気泡率を高くできる効果がある。
本発明に係るプロピレン系重合体の伸長粘度測定に於ける(λmax)は、2.0以上であり、好ましくは4.0以上、より好ましくは10.0以上、さらに好ましくは15.0以上、特に好ましくは20.0以上である。
歪硬化度の測定方法に関しては、一軸伸長粘度を測定できれば、どのような方法でも原理的に同一の値が得られ、例えば、公知文献:Polymer 42(2001)8663に測定方法及び測定機器の詳細が記載されている。本発明におけるプロピレン系重合体の測定に当り、好ましい測定方法及び測定機器として、以下を挙げることができる。
・装置:Rheometorics社製 Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:180℃
・歪み速度:0.1/sec
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
・装置:東洋精機社製、Melten Rheometer
・測定温度:180℃
・歪み速度:0.1/sec
・試験片の作成:東洋精機社製キャピログラフを用い、180℃で内径3mmのオリフィスを用いて、速度10〜50mm/minで押し出しストランドを作成する。
歪み速度:0.1/secの場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度ηE(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似し、歪量が4.0となるまでの伸長粘度ηEの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの近似直線上の粘度をηlinとする。
プロピレン系重合体の分岐量を測定する方法として13CNMRを使用することができる。長鎖分岐を含有するプロピレン系重合体の特徴的なピークは、43.9〜44.1ppm,44.5〜44.7ppm及び44.7〜44.9ppmにそれぞれ1つ、合計3つのメチレン炭素が観測され、31.5〜31.7ppmにメチン炭素が観測される。分岐メチン炭素に近接する3つのメチレン炭素が、分子内に不斉炭素を複数持ち、互いに鏡像関係にならない構造の関係(ジアステレオトピック)である為に、非等価に3本に分かれて観測される(Macromolecules,Vol.35、NO.10.2002年、3839−3842頁参照)。
分岐量の算出は、全骨格形成炭素(プロピレンが規則的に結合している炭素に加え、2,1結合または1,3結合している場合のメチレン炭素とメチン炭素の積分値)に対し、31.5〜31.7ppmに観測されるメチン炭素のピーク強度を使用して算出する。
マクロマーの生成は、β−メチル脱離と一般に呼ばれる特殊な連鎖移動反応により生成すると考えており、フリル基含有メタロセン錯体は、本選択性が非常に高いことが分かっている。また、水素を添加することで従来の方法ではβ−メチル脱離反応よりも水素による連鎖移動反応が優勢となるのに対し、原因は不明であるが、本発明に係る製造法では、水素を添加しても、マクロマー生成と生長反応のバランスの変化が小さい特徴があり、水素存在下でもマクロマーの選択性は殆ど変わらないことが分かっている。従って、マクロマー生成工程とマクロマー共重合工程を同時に実施しても、目的とする物性を有するプロピレン系重合体の製造(即ち単段重合)が可能であり、特殊な条件下(低圧、高温重合)でマクロマーを製造し、続いてマクロマー共重合を行う多段重合方法に対し、工業的な製造技術である。
1.用途
本発明に係るプロピレン系重合体は、フィルム、シート、各種容器、各種成形品、各種被覆材などに好適である。
これらの各種製品の成形方法としては、公知の成形法を制限なく、用いることができる。
フィルムやシートの成形法の例としては、空冷インフレーション成形、水冷インフレーション成形、Tダイによる無延伸成形、一軸延伸成形、二軸延伸成形、カレンダー成形などを用いることができる。
また、フィルムやシートとして使用する場合に、多層構成中の層としての使用も可能である。
容器などの成形としては、熱板成形、圧空成形、真空成形、真空圧空成形、ブロー成形、延伸ブロー成形、射出成形、インサート成形等を用いることができる。
本発明に係るプロピレン系重合体においては、必要に応じ、付加的成分(任意成分)を本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することもできる。
配合の方法としては、重合触媒に添加する方法、重合パウダーに添加する方法等が挙げられる。
この付加的成分としては、従来ポリオレフィン樹脂用配合剤として、通常用いられている添加剤、例えば核剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
これら添加剤の配合量は、一般に0.0001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
一般的には、酸化防止剤や中和剤などの添加剤を配合して、混合、溶融、混練された後、製品に成形され使用される。成形時に本発明の効果を著しく損なわない範囲内で他の樹脂、或いは、その他の付加的成分を添加し使用することも可能である。
JIS K6758のプロピレン系重合体試験方法のメルトフローレート(試験条件:230℃、荷重2.16kgf)に従って、測定した。単位はg/10分である。
重量平均分子量(Mw)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られるものであるが、その測定法、測定機器の詳細は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図2のように行う。
また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
銘柄:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
タカラ社製のメルトインデクサーを用い、190℃でオリフィス径1.0mm、長さ8.0mm中を、荷重をかけて押し出し、押し出し速度が0.1g/min.の時に、オリフィスから押し出されたポリマーを、メタノール中で急冷し、その際のストランド径の値をオリフィス径で除した値として算出した。この値は、MFRと相関する値であり、この値が大きいと、スウェルが大きく射出成形したときの製品外観がよくなることを示す。
レオメータを用いて、上記本明細書記載の方法で測定した。
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を使用し、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して結晶化させた後に、10℃/分で200℃まで昇温させた時の融解最大ピーク温度(℃)として求めた。
(1)触媒合成
(i)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理:
撹拌翼と還流装置を取り付けた3Lセパラブルフラスコに、純水2260gを投入し、98%硫酸670gを滴下し、内部温度を90℃にした。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(平均粒径18μm、水澤化学社製、ベンクレイSL)を400g添加後、撹拌した。その後、90℃で3.5時間反応させた。このスラリーを室温の純水2Lに注いだ後でヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過した。得られた固体を3Lの純水でスラリー化し、濾過するという操作をさらに3回繰り返した。
この固体を、5Lビーカー内において硫酸リチウム1水和物432gを純水1920mlに溶解させた水溶液に加えて室温で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、3Lの純水で3回洗浄してケーキを回収し、これを120℃で終夜乾燥して化学処理モンモリロナイトを得た。この化学処理モンモリロナイトのAl/Si値は0.17(mol/mol)であった。
上記(i)で得た化学処理モンモリロナイトを容積1Lのフラスコに入れ、200℃で4時間減圧乾燥した後、精製窒素ガスを大気圧まで導入し乾燥モンモリロナイトを得た。
充分に窒素置換した内容積1Lのフラスコに、上記(ii)で得た乾燥モンモリロナイト10.05gを秤量し、ヘプタン66ml、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液36ml(25.8mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄したのち、溶媒量50mlに調整されたスラリーを得た。
上記(iii)で得たスラリーに、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液2.4ml(420μmol)を加えた。ここに、別のフラスコ(容積200ml)中で、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム93mg(94μmol)にトルエン(20ml)を加えたスラリーを加えて、20℃で20分間撹拌した。
このようにして得られたスラリーに、さらにヘプタン170mlを追加し、十分に窒素置換を行った内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入した。オートクレーブ内の温度が40℃に安定したところでプロピレンを5g/時間の速度で供給し、温度を維持した。30分後プロピレンの供給を停止し、オートクレーブの窒素置換を充分に実施し、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液1.0ml(175μmol)を加えた。
また、別のフラスコ(容積200ml)中で、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム40mg(49μmol)にトルエン(10ml)を加えたスラリーを作成した。これを加えて、オートクレーブ内の温度が40℃に安定したところでプロピレンを5g/時間の速度で供給し、温度を維持した。60分後プロピレンの供給を停止し、さらに1時間40℃を維持した。
その後、残存モノマーをパージして、予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を170ml抜き出した。続いてトリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液8.4ml(6.02mmol)を室温にて加え、その後、減圧乾燥して固体触媒を13.30g回収した。
予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は、0.40であった。
内容積3Lの撹拌機付オートクレーブ内をプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液(140mg/ml)2.86mlを加え、水素を標準状態の体積で0ml、続いて液体プロピレン750gを導入し、75℃に昇温した。上記(1)で得られた予備重合触媒をヘプタンにスラリー化し、固体触媒として100mg(予備重合ポリマーを除く正味の固体触媒の量;以下同様)をヘプタン10mlと共に圧入して重合を開始した。
触媒投入後、60分間槽内温度を75℃に維持したあとエタノール5mLを添加して重合を停止した。残モノマーのパージを行い、回収したポリマーを窒素気流下100℃で2時間乾燥した。収量は265g、MFRは0.03dg/minであった。その評価結果を表1、図1に示す。
触媒量を50mg、水素量を78mLにした以外は、実施例1の(2)と同様に、実施した。収量は266g、MFRは0.84dg/minであった。その評価結果を表1、図1に示す。
触媒量を50mg、水素量を97.5mLにした以外は、実施例1の(2)と同様に、実施した。収量は363g、MFRは5.18dg/minであった。その評価結果を表1、図1に示す。
(1)触媒合成
実施例1の(i)(ii)と同様の操作を実施した。
充分に窒素置換した内容積1Lのフラスコに、得られた乾燥モンモリロナイト9.991gを秤量し、ヘプタン66ml、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液35ml(25.1mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄したのち、溶媒量50mlに調整されたスラリーを得た。
上記(iii)で得たスラリーに、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液0.84ml(600μmol)を加えた。ここに、別のフラスコ(容積200ml)中で、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム41mg(50μmol)にトルエン(10ml)を加えたスラリーを加えた。
この直後(約1分後)、このスラリーに、別のフラスコ(容積200ml)中で、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム100mg(104μmol)にトルエン(20ml)を加えて調製しておいたスラリーを加えて、20℃で60分間撹拌した。
このようにして得られたスラリーに、さらにヘプタン170mlを追加し、十分に窒素置換を行った内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入した。オートクレーブ内の温度が40℃に安定したところでプロピレンを5g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに1時間、40℃を維持した。
その後、残存モノマーをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を145ml抜き出した。続いてトリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液8.4ml(6.02mmol)を室温にて加え、その後、減圧乾燥して固体触媒を25.66g回収した。
予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は、1.53であった。
上記触媒を使用した以外は、実施例1の(2)と同様に実施した。収量は155g、MFRは0.14dg/minであった。その評価結果を表1、図1に示す。
触媒量を50mg、水素量を39mLにした以外は、比較例1と同様に実施した。収量は161g、MFRは1.56dg/min、MEは3.06であった。その評価結果を表1、図1に示す。
水素量を50mLにした以外は、比較例2と同様に実施した。収量は182g、MFRは2.78dg/min、MEは2.98であった。伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)は14.5であった。その評価結果を表1、図1に示す。
(1)触媒合成
実施例1の(i)(ii)と同様の操作を実施した。
充分に窒素置換した内容積1Lのフラスコに、実施例1(ii)で得た乾燥モンモリロナイト10.052gを秤量し、ヘプタン66ml、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液36ml(25.8mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄したのち、溶媒量50mlに調整されたスラリーを得た。
上記(iii)で得たスラリーに、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液2.4ml(420μmol)を加えた。ここに、別のフラスコ(容積200ml)中で、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム103mg(107μmol)にトルエン(20ml)を加えたスラリーを加えて、20℃で20分間撹拌した。
20分経過後このスラリーにさらにトリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液1.0ml(180μmol)を加えた。別のフラスコ(容積200ml)中で、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム42mg(51μmol)にトルエン(10ml)を加えたスラリーを作成した。これを加えて、20℃で60分間撹拌した。
このようにして得られたスラリーに、さらにヘプタン170mlを追加し、十分に窒素置換を行った内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入した。オートクレーブ内の温度が40℃に安定したところでプロピレンを5g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに1時間40℃を維持した。
その後、残存モノマーをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を130ml抜き出した。続いてトリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液8.4ml(6.02mmol)を室温にて加え、その後、減圧乾燥して固体触媒を28.89g回収した。
予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は、1.83であった。
上記(1)で得られた予備重合触媒を固体触媒として100mg使用した以外は、実施例1の(2)と同様に実施した。収量は240g、MFRは0.07dg/minであった。その評価結果を表1、図1に示す。
触媒量を50mg、水素量を50mLにした以外は、比較例4の(2)と同様に、実施した。収量は233g、MFRは0.73dg/minであった。伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)は20.3であった。その評価結果を表1、図1に示す。
水素量を78mLにした以外は、比較例5と同様に実施した。収量は282g、MFRは2.72dg/min、MEは3.29であった。その評価結果を表1、図1に示す。
(1)触媒合成
(i)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理、(ii)乾燥工程、(iii)乾燥モンモリロナイトの有機アルミニウム処理は、実施例1と同様に実施した。
上記(iii)で得たスラリーに、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液1.0ml(175μmol)を加えた。ここに、別のフラスコ(容積200ml)中で、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム40mg(49μmol)にトルエン(10ml)を加えたスラリーを加えて、20℃で20分間撹拌した。
このようにして得られたスラリーに、さらにヘプタン170mlを追加し、充分に窒素置換を行った内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入した。オートクレーブ内の温度が40℃に安定したところでプロピレンを5g/時間の速度で供給し、温度を維持した。30分後プロピレンの供給を停止し、オートクレーブの窒素置換を充分に実施し、トリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液2.4ml(420μmol)を加えた。
また、別のフラスコ(容積200ml)中で、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム93mg(94μmol)にトルエン(20ml)を加えたスラリーを作成しておいた。これを加えて、オートクレーブ内の温度が40℃に安定したところでプロピレンを5g/時間の速度で供給し、温度を維持した。240分後プロピレンの供給を停止し、さらに1時間40℃を維持した。
その後、残存モノマーをパージして、予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を90ml抜き出した。続いてトリイソブチルアルミニウム(TiBA)のヘプタン溶液8.4ml(6.02mmol)を室温にて加え、その後、減圧乾燥して固体触媒を34.37g回収した。
予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は、2.33であった。
実施例1と同様に実施した。結果を表1、図1に示す。
実施例4の触媒を使用した以外は、実施例2と同様に実施した。結果を表1、図1に示す。
水素量を117mLにした以外は、比較例5と同様に実施した。収量は316g、MFRは4.20dg/min、MEは3.05であった。その評価結果を表1、図1に示す。
Claims (15)
- 下記成分[W−I]、[W−II]、[X]及び[Z]、並びに必要に応じて使用される成分[Y]からなるオレフィン重合用触媒の製造方法であって、
成分[W−I]と成分[X]と成分[Z]とを、成分[W−II]の不存在下、不活性溶媒中で接触させた後、該接触させた成分にオレフィンを接触させて、成分[Z]に対し、オレフィンを重量比で0.01〜100の範囲で予備重合し、その後成分[W−II]と不活性溶媒中で接触させる工程、を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法。
成分[W−I]:共役五員環配位子を2つ有する周期律表第4族の遷移金属化合物
成分[W−II]:共役五員環配位子を2つ有する周期律表第4族の遷移金属化合物であって、成分[W−I]とは異なる構造の化合物
成分[X]:下記[X−1]〜[X−4]からなる群から選ばれる助触媒
[X−1]:アルミニウムオキシ化合物
[X−2]:成分[W]と反応して、成分[W]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
[X−3]:固体酸
[X−4]:イオン交換性層状珪酸塩
成分[Y]:有機アルミニウム化合物
成分[Z]:担体 - 予備重合に用いるオレフィンがプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
- 成分[X]は、予め成分[Z]に担持されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
- 成分[Y]の存在下で、成分[W−I]又は成分[W−II]と成分[X]を接触させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
- 成分[W−I]と成分[W−II]の少なくとも1つは、ハフニウムを含む遷移金属化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
- 成分[W−I]又は成分[W−II]は、少なくとも1つのアズレニル配位子を含むものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
- 成分[W−I]又は成分[W−II]は、少なくとも1つのインデニル配位子を含むものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
- 成分[W−I]と成分[W−II]の少なくとも1つの遷移金属化合物は、少なくとも1つの第15〜16族元素をシクロペンタジエニル配位子上またはその置換基上に有するメタロセン錯体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
- 成分[W−I]は、少なくとも1つの第15〜16族元素を有するメタロセン錯体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
- 成分[W−I]又は成分[W−II]は、予め成分[Z]に担持されたものでないことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法で得られたオレフィン重合用触媒に、さらにオレフィンを接触させて、成分[Z]に対し、オレフィンを重量比で0.02〜200の範囲で予備重合することを特徴とするオレフィン重合用触媒の製造方法。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
- 請求項12に記載のオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
- 請求項13に記載の製造方法により得られることを特徴とするオレフィン重合体。
- 伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が10以上であることを特徴とする請求項14に記載のオレフィン重合体。
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