JP2010195927A - イオン性樹状ポリエステル - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な合成方法により、優れた化学安定性を有し極性溶媒中に溶解し、かつ大きな溶液粘度低下効果を示す樹状ポリエステルを提供する事を課題とする。
【解決手段】芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および、芳香族ジカルボニル単位(R)から選ばれる少なくとも1種の構造単位と3官能の有機残基(B)とを含み、上記P、Q、R、およびBの含有量の合計に対してBの含有量が7.5〜50モル%の範囲であり、かつ分子末端基がイオン性の結合を有する樹状ポリエステル。
【選択図】なし

Description

本発明は、分子末端をイオン化する事によって水溶性を付加し、水中溶解性を向上させた樹状ポリエステルに関するものである。
近年、分岐構造と多官能性を有する巨大分子構造体の応用開発が進んでいる。この巨大分子構造体は、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー、スターバースト(星形)ポリマー、ブラシ(櫛形)ポリマーなどの多様な分子形態を含み、それぞれが興味深い性質を有している(非特許文献1)。
その中でもハイパーブランチポリマーは、一般的に、デンドリマーやその他の巨大分子構造体のような多段階合成を必要としないため、コスト面で有利であり樹脂成型品・塗料・印刷インク・表面被覆材やワニスなどへの添加剤としての用途を中心とした工業的な応用開発が進みつつある。上記に示したような分岐構造を有する巨大分子構造体は、同等の分子量を有する同分子組成の直鎖高分子と比較して分子サイズが小さく、分子間の絡み合いが少ないことから低粘度であり、これまでポリマー水溶液やポリマー分散液のレオロジー改質剤として応用開発がなされており、高い減粘効果、分散性、化学的安定性を満たしうる材料開発が求められている(非特許文献2)。
例えば特許文献1では、液晶ポリエステルに分岐構造を導入した樹状ポリエステルが開示されている。得られた樹状ポリエステルは、化学安定性が高く、熱可塑性樹脂に添加することによりガスバリア性や溶融流動性を向上させるとことが可能であるが、疎水性が高く水溶液系での使用には適していない。
特許文献2では多分岐ポリアミドおよびコポリアミドとその製造方法が開示されており、分子末端変性を行うことにより親水性/疎水性の添加剤として熱可塑性樹脂の溶融粘度低下に効果があることが記載されているが、水溶液中での粘度低下効果は不明である。
また特許文献3においては、水性溶媒中で疎水粒子の表面に吸着する両親媒性デンドリティックポリマーを含む分散剤が開示されている。分子末端にイオン性官能基が多数配列されることにより得られる、高い電荷密度を有するデンドリティックポリマーが、粒子のコロイド分散系を安定化することが記載されている。
特許文献4では、分子内にカルボキシル基を有するハイパーブランチポリエステルの製造方法および水系分散体が開示されている。市販のハイパーブランチポリエステルの末端変性を行い、カルボン酸塩とヒドロキシル基を分子末端に有するハイパーブランチポリエステルを得ることにより、良好な分散安定性を得ているが、水溶液中での粘度低下効果は不明でありレオロジー改質剤としての用途は限定的である。
特開2008−069339 特表2002−544307 特表2002―533198 特開2006−274138
デンドリティック高分子、NTS出版(2005年) 分岐ポリマーのナノテクノロジー、アイピーシー(2000年)
本発明は、簡易な合成方法により、優れた化学安定性を有し極性溶媒中に溶解し、かつ大きな溶液粘度低下効果を示す樹状ポリエステルを提供する事を課題とする。
発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、芳香族多分岐ポリエステルの末端構造をイオン化し、精密に制御する事により、優れた化学安定性、極性溶媒溶解性、および高い溶液粘度低下効果を具備したこれまでにない樹状ポリエステルが得られることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、
(1)芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および、芳香族ジカルボニル単位(R)から選ばれる少なくとも1種の構造単位と3官能の有機残基(B)とを含み、上記P、Q、R、およびBの含有量の合計に対してBの含有量が7.5〜50モル%の範囲であり、かつ分子末端基がイオン性の結合を有する樹状ポリエステル、
(2)芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および芳香族ジカルボニル単位(R)が、それぞれ下式(1)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位である(1)に記載の樹状ポリエステル、
Figure 2010195927
(ここで、R1、R2およびR3は、それぞれ下式で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位である。)
Figure 2010195927
(ただし、式中Yは、水素原子、ハロゲン原子およびアルキル基から選ばれる少なくとも1種である。式中nは2〜8の整数である。)
(3)分子末端基が金属イオンとイオン性の結合を形成している(1)〜(2)のいずれかに記載の樹状ポリエステル、
(4)金属イオンが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である(1)〜(3)のいずれかに記載の樹状ポリエステル、
(5)金属イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンから選ばれる少なくとも1種である(1)〜(4)のいずれかに記載の樹状ポリエステル、
(6)数平均分子量が1000〜100,000の範囲にある(1)〜(5)のいずれかに記載の樹状ポリエステル、を提供するものである。
本発明の樹状ポリエステルは、末端をイオン化することにより親水性が付与され両親媒性となり、本発明のイオン化樹状ポリエステルを極性溶媒に対して添加することで難溶性の疎水性化合物や粒子を極性溶媒中に微分散化することが可能となる。また、本発明の樹状ポリエステルを添加することにより、低分子及び高分子有機化合物などを水や有機溶媒に溶解せしめた溶液の溶液粘度を大きく低下させることが可能である。
本発明の樹状ポリエステルは、上記の優れた特性により、塗布性や化学的安定性に優れた塗料、インキ、コーティング剤および繊維製品や紙製品の処理剤として有用である。
本発明の樹状ポリエステルは、芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および、芳香族ジカルボニル単位(R)から選ばれる少なくとも1種の構造単位と3官能の有機残基(B)とを含み、かつ、上記P、Q、RおよびBの含有量の合計に対してBの含有量が7.5〜50モル%の範囲にあり、かつ分子末端基がイオン性の結合を有する樹状ポリエステルである。
ここで、芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および、芳香族ジカルボニル単位(R)は、それぞれ下式(2)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 2010195927
ここで、R1およびR3は、それぞれ芳香族残基である。R2は、芳香族残基または脂肪族残基である。R1、R2、およびR3は、それぞれ複数の構造単位を含んでも良い。
上記の芳香族残基としては、置換または非置換のフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられ、脂肪族残基としてはエチレン、プロピレン、ブチレンなどが挙げられる。R1、R2およびR3は、好ましくは、それぞれ下式で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種以上の構造単位である。
Figure 2010195927
ただし、式中Yは、水素原子、ハロゲン原子およびアルキル基から選ばれる少なくとも1種である。式中nは2〜8の整数である。ここで好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4が好ましい。
本発明の樹状ポリエステルは、3官能の有機残基(B)が、互いにエステル結合および/またはアミド結合により直接、あるいは、枝構造部分P、QまたはRを介して結合した、3分岐の分岐構造を基本骨格としている。分岐構造は、3分岐など単一の基本骨格で形成されていてもよいし、3分岐と4分岐、3分岐と5分岐など複数の基本骨格が共存していてもよい。ポリマーの全てが該基本骨格からなる必要はなく、たとえば末端封鎖のために末端に他の構造が含まれても良い。また、樹状ポリエステル中には、Bの3つの官能基が全て反応している構造、2つだけが反応している構造、および1つだけが反応している構造が混在していてもよい。好ましくはBの3つの官能基が全て反応した構造が、B全体に対して15モル%以上であることが好ましく、より好ましくは20モル%以上であり、さらに好ましくは30モル%以上である。Bは3官能化合物の有機残基であることが好ましい。上記3分岐の基本骨格を模式的に示すと、下式(3)で示される。
Figure 2010195927
3官能の有機残基(B)の含有量は、上記P、Q、R、およびBの含有量の合計に対して7.5〜50モル%の範囲である。7.5モル%より少ない場合、得られたポリエステルは樹状構造に起因する効果を十分に得られず、末端基の数が低下し、極性溶媒に対する親和性が低下するため望ましくない。また、極性溶媒に添加した場合の溶液粘度低下効果が低下するため望ましくない。Bの含有量が50モル%より多い場合には、分子内での架橋反応を回避することが困難であり、ゲル化反応の抑制が困難となるなど製造上好ましくない。
Bの含有量は、好ましくは10〜40モル%であり、さらに好ましくは15〜35モル%である。このとき高い溶液粘度低下効果を示す。ここで、Bの含有量は樹状ポリエステルの枝構造および分岐構造を構成する構造単位に対しての値であり、末端構造を構成する残基は含まない。ここで、枝構造とは、樹状ポリエステル中でのP、Q、Rのいずれかを含有してなる直鎖ポリエステル構造を意味しており、分岐構造とは、B由来の構造を意味している。
本発明の樹状ポリエステルは、分子末端基がイオン性の結合を有する必要がある。このとき、分極した極性溶媒中が分子末端に存在するイオン性の結合と溶媒和し、樹状ポリエステルを電離せしめることができる。極性溶媒中に電離した樹状ポリエステルは、溶媒中に分子が均一に分散し、透明性を維持したまま溶液粘度を大幅に減少させることが可能となる。分子末端基に全くイオン性の結合を有しない場合、樹状ポリエステルは電離することができず溶媒中で凝集し、不均一な混合液を形成し溶液粘度低下効果を発現することはできない。
本発明の効果を発現させるためには、樹状ポリエステルの全ての末端基にイオン性の結合を有することが必ずしも必要ではなく、イオン性の結合と非イオン性の結合を有する末端基とが混在していても良いが、樹状ポリエステルの全末端基に対するイオン性の結合を有する末端が占める割合(末端イオン化率)は60%以上であることが望ましく、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。この時、樹状ポリエステルは溶媒中で凝集することなく、高い溶液粘度低下効果を発現する。
ここでいうイオン性の結合とは、カチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)間での静電引力による化学結合を意味しており、本発明の樹状ポリエステルの末端基のイオン性結合を構成するカチオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオンなどの金属イオンや、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機物イオンが挙げられる。その中でも、金属イオンが好ましく、更に好ましくはアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属であり、最も好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオンまたはカルシウムイオンである。このとき、樹状ポリエステルの極性溶媒に対する親和性と溶液粘度低下効果とがバランス良く発現する。
アニオンとしては、カルボキシレートイオン、アルコキシレートイオン、ニトレートイオン、スルホレートイオン、ホスホネートイオンが挙げられ、その中でもカルボキシレートイオンまたはアルコキシレートイオンが好ましく、特に好ましくはカルボキシレートイオンである。
3官能の有機残基Bとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基を含有する化合物の残基であることが好ましく、例えば、フロログルシノール、トリメシン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、α−レゾルシル酸、4−ヒドロキシ−1,2−ベンゼンジカルボン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸などの残基が好ましく、さらに好ましくは、トリメシン酸、α−レゾルシル酸の残基であり、最も好ましくはトリメシン酸の残基である。
また、樹状ポリエステルの芳香族ヒドロキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、芳香族ジカルボニル単位(R)は、樹状ポリエステルの分岐間の枝構造部分を構成する単位である。p、qおよびrはそれぞれ構造単位P、QおよびRの平均含有量(モル比)であり、このp、qおよびrの値は、例えば、樹状ポリエステルをペンタフルオロフェノール50重量%:重クロロホルム50重量%の混合溶媒に溶解し、40℃でプロトン核の核磁気共鳴スペクトル分析を行い、それぞれの構造単位に由来するピーク強度比から求めることができる。各構造単位のピーク面積強度比から、平均含有率を算出し、小数点3桁は四捨五入する。
pとqの比率およびpとrの比率(p/q、p/r)は、いずれも5/95〜95/5の範囲が好ましく、より好ましくは10/90〜90/10であり、さらに好ましくは20/80〜80/20である。この範囲であれば、液晶性が発現しやすく好ましい。p/qおよびp/rの比率を95/5以下とすることで、樹状ポリエステルの融点を適当な範囲とすることができるため好ましい。また、p/qおよびp/rを5/95以上とすることで樹状ポリエステルの化学的安定性が増加し好ましい。
前記一般式(2)において、R1は芳香族オキシカルボニル単位由来の構造単位であり、具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位などが挙げられる。好ましくはp−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位であり、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位部併用することも可能である。また本発明の効果を損なわない範囲でグリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位を含有しても良い。
R2は芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位由来の構造単位であり、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなど由来の構造単位が挙げられる。好ましくは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、およびエチレングリコール由来の構造単位であり、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとハイドロキノンもしくは4,4’−ジヒドロキシビフェニルとエチレングリコール由来の構造単位が含まれることが好ましい。
R3は芳香族ジカルボニル単位由来の構造単位であり、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸など由来の構造単位が挙げられる。好ましくはテレフタル酸またはイソフタル酸由来の構造単位であり、特に両者を併用した場合に融点調節がしやすく好ましい。セバシン酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸由来の構造単位が一部含まれていてもよい。
本発明の樹状ポリエステルの枝構造部分は、主としてポリエステル骨格からなることが好ましいが、カーボネート構造やアミド構造、ウレタン構造などを、特性に大きな影響を与えない程度に導入することも可能である。中でもアミド構造を導入することが両親媒性付与の観点から好ましい。アミド結合の導入の方法としては、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、テトラメチレンジアミンペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、あるいは芳香族のアミン化合物などを共重合することが好ましい。中でもp−アミノフェノールまたはp−アミノ安息香酸の共重合が好ましい。
樹状ポリエステルの枝構造部分の具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位およびテレフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位、テレフタル酸由来の構造単位およびイソフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位、ハイドロキノン由来の構造単位、テレフタル酸由来の構造単位およびイソフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、エチレングリコール由来の構造単位およびテレフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、エチレングリコール由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位およびテレフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、ハイドロキノン由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位、テレフタル酸由来の構造単位および2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位、ハイドロキノン由来の構造単位およびテレフタル酸由来の構造単位からなるものなどが挙げられる。
特に好ましいのは、枝構造部分が、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成されること、もしくは、下記構造単位(I)、(II)、(VI)および(IV)から構成されることである。
Figure 2010195927
Figure 2010195927
枝構造部分が、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される場合には、構造単位(I)の含有量pは、各構造単位の合計p+q+rに対して30〜70モル%が好ましく、より好ましくは45〜60モル%である。
また、構造単位(II)の含有量q(II)は、構造単位(II)および(III)の合計含有量qに対して60〜75モル%が好ましく、より好ましくは65〜73モル%である。また、構造単位(IV)の含有量r(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計含有量rに対して60〜92モル%が好ましく、より好ましくは60〜70モル%、さらに好ましくは62〜68モル%である。
このような場合には、本発明の効果である、溶液粘度低下効果が顕著に発現するため好ましい。
前記のように、構造単位(II)および(III)の合計含有量qと(IV)および(V)の合計含有量rは実質的に等モルであることが好ましいが、いずれかの成分を過剰に加えてもよい。
枝構造部分が、上記構造単位(I)、(II)、(VI)および(IV)から構成される場合には、上記構造単位(I)の含有量pは、p+q+rに対して30〜90モル%が好ましく、40〜80モル%がより好ましい。また、構造単位(VI)の含有量q(VI)は、(II)と(VI)の合計含有量qに対して70〜5モル%が好ましく、60〜8モル%がより好ましい。
本発明において、樹状ポリエステルの製造方法は、前記R1で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、R2で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体およびR3で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、および、3官能以上の多官能単量体を反応させる方法であって、該多官能単量体の添加量(モル)が、樹状ポリエステルを構成する全単量体(モル)に対して7.5モル%以上として製造する方法が好ましい。多官能単量体の添加量は、より好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上である。また、添加量の上限としては、50モル%以下が好ましく、より好ましくは35モル%以下である。
また、上記反応に際して、R1、R2およびR3で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体をアシル化した後、3官能以上の多官能単量体を反応させる態様も好ましい。また、R1、R2およびR3で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、および、3官能以上の多官能単量体をアシル化した後、重合反応させる態様も好ましい。
前記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)とトリメシン酸残基から構成される樹状ポリエステルを製造する場合を例に挙げて、好ましい製造方法を説明する。
(1)p−アセトキシ安息香酸、4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼン、テレフタル酸およびイソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルオリゴマーを合成した後、トリメシン酸を加えて脱酢酸重合反応させて製造する方法。
(2)p−アセトキシ安息香酸、4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼン、テレフタル酸、イソフタル酸およびトリメシン酸から脱酢酸縮重合反応によって製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸およびイソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルオリゴマーを合成し、さらにトリメシン酸を加えて脱酢酸重合反応させて製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸およびトリメシン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(5)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸ジフェニルエステルおよびイソフタル酸ジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルオリゴマーを合成した後、トリメシン酸を加えて脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
(6)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸ジフェニルエステル、イソフタル酸ジフェニルエステルおよびトリメシン酸のフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
(7)p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸にジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンを加え、脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
なかでも(1)〜(5)の製造方法が好ましく、(3)および(4)の方法がより好ましく、鎖長制御と立体規制の点から(4)の製造方法が最も好ましい。
(4)の製造方法において、無水酢酸の使用量は、鎖長制御の点からフェノール性水酸基の合計の0.95当量以上1.15当量以下であることが好ましく、1.00当量以上1.12当量以下であることがより好ましく、最も好ましくは1.02当量以上1.10当量以下である。無水酢酸量を制御すること、ジヒドロキシモノマーおよびジカルボン酸モノマーのいずれかを過剰に添加すること等により、末端基を制御することが可能である。
脱酢酸重縮合反応を行う場合には、樹状ポリエステルが溶融する温度で、場合によっては減圧下で反応させ、所定量の酢酸を留出させ、重縮合反応を促進させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸および無水酢酸を、攪拌翼および留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込む。混合物を、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱して、水酸基をアセチル化させた後、200〜350℃まで昇温して脱酢酸重縮合反応を行い、酢酸を留出させる。
アセチル化させる条件としては、反応温度は、130〜170℃の範囲が好ましく、より好ましくは135〜155℃の範囲である。反応時間は、0.5〜6時間が好ましく、より好ましくは1〜2時間である。
重縮合させる温度は、樹状ポリエステルが溶融する温度であり、好ましくは樹状ポリエステルの融点+10℃以上の温度である。具体的には、例えば、200〜350℃の範囲であり、240〜300℃が好ましい。重縮合させるときの雰囲気は、常圧窒素下でも問題ないが、減圧すると反応が早く進み、系内の残留酢酸が少なくなるため好ましい。減圧度は、0.1mmHg(13.3Pa)〜200mmHg(26600Pa)が好ましく、より好ましくは10mmHg(1330Pa)〜100mmHg(13300Pa)である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いし、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
重縮合反応が完了した後、反応容器内を樹状ポリエステルが溶融する温度に保ち、例えば、0.01〜1.0kg/cm(0.001〜0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口より、樹状ポリエステルをストランド状に吐出する。吐出口には断続的に開閉する機構を設け、液滴状に吐出することも可能である。吐出した樹状ポリエステルは、空気中もしくは水中を通過して冷却された後、必要に応じて、カッティングもしくは粉砕される。
得られたペレット状、粒状または粉状の樹状ポリエステルは、さらに必要に応じて、熱乾燥や真空乾燥により水、酢酸などを除く。また、重合度の微調整、あるいは、さらに重合度を上げるために、固相重合をすることも可能である。固相重合は、例えば、上記により得られた樹状ポリエステルを、窒素気流下または減圧下において、樹状ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、150〜250℃)の温度範囲で1〜50時間加熱する方法が挙げられる。
樹状ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明では、分子量を制御するために単官能カルボン酸を重合系中に添加することができる。単官能カルボン酸を添加することにより、過剰な重合反応を抑制し、ゲル化などの副反応の発生を抑制することができる。単官能カルボン酸は、特に限定されないが、反応性、耐熱性やハンドリング性の観点から、安息香酸またはその誘導体であることが好ましい。具体的には、安息香酸、4−tert−ブチル安息香酸、3−tert−ブチル安息香酸、4−クロロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、2−メチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸、3,4−ジメチル安息香酸、2,3−ジメチル安息香酸、2,4−ジメチル安息香酸、2,5−ジメチル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、4−エチル安息香酸などを添加することが可能である。添加方法は、樹状ポリエステルの重合反応開始前に添加する方法、重合反応途中に添加する方法のいずれを用いてもよい。
樹状ポリエステルの末端にイオン性の結合を導入する方法としては、前記の方法で得られた樹状ポリエステルと塩基性金属化合物または塩基性有機化合物とを反応させる方法が好ましく用いられる。以下、樹状ポリエステルの末端と反応し、イオン性の結合を導入せしめることを可能とする下記に代表される化合物を、イオン性結合導入剤と称する。塩基性金属化合物の例としては、金属水酸化物、金属アルコキシド、金属酸化物および塩基性金属塩を挙げることができ、またそれらを併用することもできる。その中でも金属水酸化物または金属アルコキシドが好ましく、金属水酸化物が最も好ましい。金属水酸化物の具体例としては、前記のように水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムまたはそれらの混合物が好ましく用いられる。
塩基性有機化合物の具体例としては、アンモニア、ピリジン、イミダゾールなどが挙げられる。
樹状ポリエステルとイオン性結合導入剤との反応は、樹状ポリエステルおよび樹状ポリエステル1重量部に対して10〜1000重量部の範囲の量の極性溶媒中で反応させることが望ましい。ここでいう極性溶媒とは、20℃における比誘電率が20以上の液体を意味しており、このような極性溶媒として水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどが好ましく用いられ、水を用いるのが好適である。反応は通常20℃〜80℃で1〜96時間の範囲内で行うことが適当である。イオン性結合導入剤の添加量は、反応せしめる樹状ポリエステルのモル当量と末端基数の積に対してモル当量比が1.00〜1.10の範囲であることが望ましい。さらに望ましくは1.05〜1.08である。1.00以下の場合、樹状ポリエステル末端へのイオン性結合の導入が十分でなく、1.10より多い場合、樹状ポリエステル枝鎖エステル結合の切断など副反応が起こる可能性がある。
ここでいう樹状ポリエステル末端基数は、樹状ポリエステルの数平均分子量とモノマー組成比から平均重合度を算出した後、平均重合度と分岐成分(B)の含有量から決定することができる。分岐成分(B)が3分岐の場合、末端基数は(平均重合度×分岐成分含有量(%)/100)+2で表され、例えば、平均重合度50、3分岐成分含有量20%の時、末端基数は12である。
樹状ポリエステル末端へのイオン性結合の導入量はフーリエ変換赤外分光(FT−IR)測定により決定することができる。例えば、末端にカルボン酸ナトリウム塩を有する樹状ポリエステルを、KBr錠剤法を用いて測定し、カルボン酸由来のカルボニル炭素−酸素二重結合の伸縮振動ピークと、カルボン酸塩由来のカルボニル炭素−酸素二重結合の伸縮振動ピークとの強度比により決定することができる。また、金属イオンとのイオン性結合を導入した樹状ポリエステルにおいては、誘導プラズマ結合(ICP)発光分光法を用いて樹状ポリエステル中に含まれる金属含有量を決定することもできる。
本発明の樹状ポリエステルは、数平均分子量は1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜50,000、最も好ましくは1,000〜20,000の範囲である。なお、この数平均分子量は、樹状ポリエステルが可溶な溶媒、例えば1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール溶媒を溶離液として用いたGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により絶対分子量として測定した値である。
本発明の樹状ポリエステルは、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンウレア、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂などのインキ組成物や塗料組成物のバインダーとして用いられる熱可塑性樹脂や、デンプン、マンナンなどの多糖類、ポリグルタミン酸などのポリアミノ酸およびタンパク質を水やアルコール、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に溶解せしめた溶液100重量部に対して、0.05〜10重量部添加する事で上記溶液の溶液粘度を低下させることができる。
本発明の樹状ポリエステルはレオロジー改質剤や架橋剤として接着剤、印刷インク、塗布剤、被覆剤、塗料、ワニス、コーティング剤および繊維製品や紙等の処理剤として有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
攪拌翼および留出管を備えた500mLの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸58.6g(0.42モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル37.7g(0.20モル)、テレフタル酸6.60g(0.040モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト12.7g(0.066モル)、トリメシン酸51.3g(0.24モル)および安息香酸11.1g(0.09モル)を加えて、無水酢酸93.1g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で1.5時間反応させた。その後、2時間で290℃まで昇温した。その後、重合温度を290℃で1時間保持した後、内容物を冷水中に吐出した。得られたカルボン酸末端樹状ポリエステルを、乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した後、ブレンダーを用いて粉砕し、得られた樹状ポリエステル粉末を、真空加熱乾燥機を用いて100℃で12時間加熱真空乾燥した。
この樹状ポリエステルの分子量はペンタフルオロフェノール/クロロホルム(体積混合比75/25)混合溶媒を使用して、GPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定したところ、数平均分子量3,600であり、末端基数は8.1であった。
粉砕したカルボン酸末端樹状ポリエステル粉末1gを300mLフラスコに入れ、200mLの蒸留水を加えた後、水酸化ナトリウム95mgを加え50℃で72時間撹拌し末端カルボン酸をイオン化した。反応終了後、反応溶液を濃縮し得られた固形残分をエタノールで洗浄した後、50℃で16時間真空乾燥し、末端がカルボン酸ナトリウム塩である樹状ポリエステルA−1を得た。
得られた樹状ポリエステルに関して、(1)〜(3)の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)末端イオン化率
フーリエ変換赤外分光(FT−IR)装置を用いてFT−IRスペクトルを測定し、1698cm−1に検出されたカルボン酸由来のカルボニル炭素−酸素二重結合の伸縮振動ピークと、1605cm−1に検出されたカルボン酸塩由来のカルボニル炭素−酸素二重結合の伸縮振動ピークとの強度比を求め、全末端基に対するイオン化末端基の比率を百分率で算出した。
(2)分子量
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール溶媒を使用して、GPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定し、数平均分子量を求めた。
(3)溶解性
樹状ポリエステル0.1gと蒸留水100mLをガラス容器内で混合し、磁気撹拌子を用いて50℃で6時間撹拌し、その後混合溶液を24時間静置した後の溶液状態を目視で判定した。透明:○、白濁:△、沈殿物あり:×
実施例2
実施例1と同様にしてカルボン酸末端樹状ポリエステルを合成した。
粉砕したカルボン酸末端樹状ポリエステル粉末1gを300mLフラスコに入れ、200mLの蒸留水を加えた後、水酸化カリウム133mgを加え50℃で72時間撹拌し末端カルボン酸をイオン化した。反応終了後、反応溶液を濃縮し得られた固形残分をエタノールで洗浄した後、50℃で16時間真空乾燥し、末端がカルボン酸カリウム塩である樹状ポリエステルA−2を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例3
実施例1と同様にしてカルボン酸末端樹状ポリエステルを合成した。
粉砕したカルボン酸末端樹状ポリエステル粉末1gを300mLフラスコに入れ、200mLの蒸留水を加えた後、水酸化マグネシウム65mgを加え50℃で72時間撹拌し末端カルボン酸をイオン化した。反応終了後、反応溶液を濃縮し得られた固形残分をエタノールで洗浄した後、50℃で16時間真空乾燥し、末端がカルボン酸マグネシウム塩である樹状ポリエステルA−3を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例4
実施例1と同様にしてカルボン酸末端樹状ポリエステルを合成した。
粉砕したカルボン酸末端樹状ポリエステル粉末1gを300mLフラスコに入れ、200mLの蒸留水を加えた後、水酸化カルシウム83mgを加え50℃で72時間撹拌し末端カルボン酸をイオン化した。反応終了後、反応溶液を濃縮し得られた固形残分をエタノールで洗浄した後、50℃で16時間真空乾燥し、末端がカルボン酸マグネシウム塩である樹状ポリエステルA−4を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
実施例5
攪拌翼および留出管を備えた500mLの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸60.8g(0.44モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル16.5g(0.09モル)、テレフタル酸6.85g(0.041モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト13.2g(0.069モル)、トリメシン酸14.9g(0.071モル)および安息香酸4.87g(0.040モル)を加えて、無水酢酸69.3g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で1.5時間反応させた。その後、2時間で290℃まで昇温した。その後、重合温度を290℃で1時間保持した後、内容物を冷水中に吐出した。得られたカルボン酸末端樹状ポリエステルを、乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した後、ブレンダーを用いて粉砕し、得られた樹状ポリエステル粉末を、真空加熱乾燥機を用いて100℃で12時間加熱真空乾燥した。
この樹状ポリエステルの分子量はペンタフルオロフェノール/クロロホルム(体積混合比75/25)混合溶媒を使用して、GPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定したところ、数平均分子量4,000であり、末端基数は4.9であった。
粉砕したカルボン酸末端樹状ポリエステル粉末1gを300mLフラスコに入れ、200mLの蒸留水を加えた後、水酸化ナトリウム52mgを加え50℃で72時間撹拌し末端カルボン酸をイオン化した。反応終了後、反応溶液を濃縮し得られた固形残分をエタノールで洗浄した後、50℃で16時間真空乾燥し、末端がカルボン酸ナトリウム塩である樹状ポリエステルA−5を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。
比較例1
攪拌翼および留出管を備えた500mLの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸88.4g(0.64モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル17.0g(0.09モル)、テレフタル酸9.97g(0.060モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト19.2g(0.10モル)、トリメシン酸9.87g(0.047モル)および安息香酸5.02g(0.041モル)を加えて、無水酢酸92.4g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で1.5時間反応させた。その後、2時間で290℃まで昇温した。その後、重合温度を290℃で1時間保持した後、内容物を冷水中に吐出した。得られたカルボン酸末端樹状ポリエステルを、乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した後、ブレンダーを用いて粉砕し、得られた樹状ポリエステル粉末を、真空加熱乾燥機を用いて100℃で12時間加熱真空乾燥した。
この樹状ポリエステルの分子量はペンタフルオロフェノール/クロロホルム(体積混合比75/25)混合溶媒を使用して、GPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定したところ、数平均分子量3,200であり、末端基数は3.2であった。
粉砕したカルボン酸末端樹状ポリエステル粉末1gを300mLフラスコに入れ、200mLの蒸留水を加えた後、水酸化ナトリウム42mgを加え50℃で96時間撹拌し末端カルボン酸をイオン化した。反応終了後、反応溶液を孔径0.45μmφのメンブレンフィルターでろ過して得られた固体をエタノールで洗浄した後、50℃で16時間真空乾燥し、末端がカルボン酸ナトリウム塩である樹状ポリエステルB−1を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。なお、分子量測定の溶媒はペンタフルオロフェノール/クロロホルム(体積混合比75/25)混合溶媒を使用した。
比較例2
実施例1と同様にしてカルボン酸末端樹状ポリエステルを合成した。
粉砕したカルボン酸末端樹状ポリエステル粉末1gを300mLフラスコに入れ、200mLの蒸留水を加えた後、水酸化ナトリウム65mgを加え50℃で96時間撹拌し末端カルボン酸をイオン化した。反応終了後、反応溶液を孔径0.45μmφのメンブレンフィルターでろ過して得られた固体をエタノールで洗浄した後、50℃で16時間真空乾燥し、末端がカルボン酸ナトリウム塩である樹状ポリエステルB−2を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。なお、分子量測定の溶媒はペンタフルオロフェノール/クロロホルム(体積混合比75/25)混合溶媒を使用した。
比較例3
実施例1と同様にしてカルボン酸末端樹状ポリエステルを合成した。
粉砕したカルボン酸末端樹状ポリエステル粉末1gを300mLフラスコに入れ、200mLの蒸留水を加えた後、水酸化ナトリウム35mgを加え50℃で96時間撹拌し末端カルボン酸をイオン化した。反応終了後、反応溶液を孔径0.45μmφのメンブレンフィルターでろ過して得られた固体をエタノールで洗浄した後、50℃で16時間真空乾燥し、末端がカルボン酸ナトリウム塩である樹状ポリエステルB−3を得た。実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示す。なお、分子量測定の溶媒はペンタフルオロフェノール/クロロホルム(体積混合比75/25)混合溶媒を使用した。
比較例4
実施例1と同様にしてカルボン酸末端樹状ポリエステルを合成し、ポリエステルB−4を得た。この樹状ポリエステルの分子量はペンタフルオロフェノール/クロロホルム(体積混合比75/25)混合溶媒を使用して測定したところ、数平均分子量3,300であった。
Figure 2010195927
表1からも明らかなように、本発明の末端にイオン性の結合を有する樹状ポリエステルは、その特異的な樹状構造と末端構造により水溶性となることが分かる。一方、樹状ポリエステルの分岐や末端イオン化率が十分でない樹状ポリエステルは凝集や沈殿を生じ、均一な溶液を形成することはできない。
実施例6〜12、比較例5〜9
水溶性ポリマー(C−1)10重量部を蒸留水90重量部に投入し、撹拌しながら室温から95℃まで加熱した。温度を保持しながら60〜90分撹拌し、水溶性ポリマー(C−1)が全量溶解した後、水溶液を40℃まで冷却した。その後、樹状ポリエステルを所定重量部加え、更に3時間温度を保持しながら撹拌した後、水溶液を20℃まで冷却した。調整した水溶液はB型回転粘度計(東機産業株式会社製DVL―BII)を用いて、温度20℃、回転速度20rpmにおける溶液粘度を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2010195927
表2から明らかなように、本発明の、高度に分岐し分子末端に多数のイオン性の結合を有する樹状ポリエステルをポリマー水溶液に添加した場合、樹状ポリエステルの特異な構造により水溶性ポリマー分子間の絡み合いを低下させ、その結果溶液粘度を大幅に低下させることができる。
一方、樹状ポリエステルの分岐や末端イオン化率が十分でない樹状ポリエステルは、ポリマー溶液の粘度低下に寄与しないことが分かる。
参考例
本実施例および比較例に用いた水溶性ポリマーは以下の通りである。
C−1:ポリビニルアルコール 株式会社クラレ製クラレポバールPVA−117(けん化率>98%、重合度1700)

Claims (6)

  1. 芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および、芳香族ジカルボニル単位(R)から選ばれる少なくとも1種の構造単位と3官能の有機残基(B)とを含み、上記P、Q、R、およびBの含有量の合計に対してBの含有量が7.5〜50モル%の範囲であり、かつ分子末端基がイオン性の結合を有する樹状ポリエステル。
  2. 芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および芳香族ジカルボニル単位(R)が、それぞれ下式(1)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位である請求項1に記載の樹状ポリエステル。
    Figure 2010195927
    (ここで、R1、R2およびR3は、それぞれ下式で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位である。)
    Figure 2010195927
    (ただし、式中Yは、水素原子、ハロゲン原子およびアルキル基から選ばれる少なくとも1種である。式中nは2〜8の整数である。)
  3. 分子末端基が金属イオンとイオン性の結合を形成している請求項1〜2のいずれかに記載の樹状ポリエステル。
  4. 金属イオンが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である請求項1〜3のいずれかに記載の樹状ポリエステル。
  5. 金属イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の樹状ポリエステル。
  6. 数平均分子量が1000〜100,000の範囲にある請求項1〜5のいずれかに記載の樹状ポリエステル。
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