JP2010195036A - 繰り出し式筆記具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 筆記具本体を前進させることによって蓋体を回転させてペン先突出穴を開口するに際して、蓋体に回転力を付与する駆動手段を、複数の斜面を有する傾斜面か、又は、凹曲面とする。
【選択図】 図3
Description
このような繰り出し式筆記具の、ペン先の繰り出し操作に連動して、蓋体を駆動する手段としては、前進運動する筆記具本体側と回転運動する蓋体のうち、いずれか一方に傾斜面を配置し、他方にこれと接触する突起などを配置することにより、筆記具本体側の突起が蓋体の傾斜面を押すか、又は、筆記具本体側の傾斜面が蓋体の突起を押すことによって、筆記具本体の前進に伴い蓋体を回転させているものが知られている。
例えば、特開2008−195054号公報(特許文献1)に記載のものでは、蓋体に形成した傾斜溝内を、筆記具本体の突起が、前進移動することにより蓋体の傾斜溝(の傾斜壁)を押して回転運動に変換するものである。
また、特開2008−110527号公報(特許文献2)に記載のものでは、蓋体の内壁に形成した突起を、筆記具本体の側部に形成した平面状の傾斜面が前進移動することにより押して、筆記具本体の前進運動を蓋体の回転運動に変換するものである。
尚、駆動手段としての傾斜面は、筆記具本体の外側部分先端に配置された壁の縁部分として形成したり、筆記具本体に別部材を、一体又は分離可能な部材として組み付けることもできる。また、駆動手段と接触する蓋体の突起は、角のある形状でも、円形状であってもよく、特に円形状とすることによって、筆記具本体の駆動手段とひっかかりなく接触することができ、荷重の上昇を抑えることができる。また、突起の位置として、極力密閉部より離れた位置に突起を設けることによって、筆記具本体との接触点と密閉部までの間により長いペン先を設けることが可能となる。また、突起を小さくすることによって、蓋体の回転における接触点の回転中心への近付きを防止し、回転半径を常に長く保つことが出来るため、より小さいノック荷重で蓋体を回転させることが可能である。ただし、回転半径を長くすると、蓋体が収容された外装体に大きな内部空間を必要とする為、外装体が太くなり、使用者にとって使用しづらい物となってしまう事が考えられる。よって、蓋体の回転中心と突起との距離は、15mm以下とすると良い。
また、突起の大きさとしては、大きい物を用いることにより、繰り返しの耐久において、破損のしやすい突起の根元部分が破損してしまうということを極力抑えることが可能である。
図1に一例を示す。
外装体1内には筆記具本体2を前後動自在に収容している。
筆記具本体2は、先端に繊維収束体よりなるペン先3を備え、内部後方にインキを吸蔵させた吸蔵体4を収容し、ペン先3の後端は吸蔵体4の先端に挿入状に接続しており、筆記具本体2の後端は尾栓5により閉塞されている。尾栓5は、筆記具本体2と螺合により着脱自在とし、気密に装着されており、筆記具本体2の内部に収容される吸蔵体4を交換可能なものとしている。つまり、インキが消費された時に吸蔵体4を交換することができ、製品を使い捨てることなく、繰り返し使用することができるので、廃棄物を少なくし、環境に優しく経済的にも有用なものとすることができる。
また、側壁部10cの内側には内方突起である内側カム部10dが、外側には突起状の外側カム部10eが形成されている。内側カム部10dは筆記具本体2の前進によって傾斜面2fと衝接する部分である。
本実施例では、側壁部10c上で、内側カム部10dと蓋部10aとを最も離れた位置に設けている。内側カム部10dと蓋部10aとを極力離れた位置に形成することによって、蓋部10aと、筆記具本体2と蓋体10の内側カム部10dとの接触点とまでの間に広い空間を設ける事ができ、蓋体10の閉塞状態において、ペン先3の最先端位置から、筆記具本体2と蓋体10の内側カム部10dとの接触点までの長手方向の距離を稼ぐことができ、筆記具本体2の先端に長いペン先3を設ける事ができる。また、内側カム部10dから回転軸10bまでの距離を長くとる事ができ、より小さいノック荷重で蓋体10を回転させることが可能となる。
内側カム部10dは筆記具本体2より荷重を受け、蓋体10を回転させる部位である為、内側カム部10dが小さすぎると動作中に破損のおそれがあり、熱可塑性樹脂にて蓋体を作る場合、突起の断面積は0.2mm2以上が好ましい。しかし、突起を大きくすると、内側カム部10dと筆記具本体2との接触点が移動することとなり、接点の回転中心との距離が短く変化するので、この接触点が移動する距離を極力小さくすることが好ましい。よって、突起の直径は0.4mm〜5.0mm程度とし、前記接触点の移動距離が3mm以内となるようにすることが好ましい。
また、外側カム部10eのカム斜面10fにて、前述のコイルスプリング9による前方付勢力を、環状部材12を介して受け、蓋体10は回転方向にかかる力を受けている。この方向の力は、蓋体10が外装体1の先端開口部1bを閉塞する方向にかかる力であり、即ち、非使用状態では、コイルスプリング9の弾撥付勢力によって蓋体10は外装体1の先端開口部1bを閉塞する状態を保ちつつ、筆記具本体2を後方付勢している。
このとき、蓋体10の内側カム部10dは、傾斜面2f上を、第2傾斜面から第1傾斜面に向かって順に移動する。筆記具本体2の前進運動の力が、傾斜面2fによって、内側カム部10dの回転軌道(図中の矢印B方向)に対する接線の方向(図中の矢印C方向)に近似した方向である、傾斜面の法線方向(図中の矢印D方向)に分力を発生させる。蓋体10の回転に伴い、内側カム部10dの回転軌道(図中の矢印B方向)に対する接線の方向は常に変化するが、傾斜面2fの筆記具本体2の前進方向(図中の矢印A方向)に対する傾斜角度も、接触点の移動に伴い変化するものであるので、接触点の回転軌道に対する接線の方向(図中の矢印C方向)と傾斜面の法線方向(図中の矢印D方向)とのなす角を極小とすることができる。
図7に他の一例を示す。図3に相当する図として示してある。
前述の一例と異なる点は、蓋体10に対する駆動手段である傾斜面2fを、後方から前方に向かって第1〜第4の四つの傾斜角度を持つ面と各傾斜角度の面を結ぶ曲面部分とからなるものにした点である。具体的には、本例のものにおいては、各傾斜角度は、筆記具本体2の前進方向(図中の矢印A方向)に対して、第1傾斜面が90度、第2傾斜面が75度、第3傾斜面が51度、第4傾斜面が18度としてある。蓋体10の内側カム部10dは傾斜面2f上を、第4斜面から第3斜面、第2斜面を通り、第1斜面へと移動する。
傾斜面2fを複数の傾斜角度の面の組み合わせとすることによって、傾斜面2fと内側カム部10dとの各接触点における各傾斜面の法線方向を、傾斜面2fと内側カム部10dとの接触点の回転軌道(図中の矢印B方向)に対する接線の方向に極力近い方向とすることができる(接触点の回転軌道に対する接線の方向(図中の矢印C方向)と傾斜面の法線方向(図中の矢印D方向)とのなす角が小さくなる)。よって、ノック荷重の上昇を抑えることが可能である。特に、今回の実施例では蓋体10の回転の初期段階において接触する傾斜面2fを細かく多段にしている為、回転初期の荷重を特に抑えることができている。
図8に他の一例を示す。図3に相当する図として示してある。
蓋体10に対する駆動手段として、筆記具本体2の先端端面に凹曲面2gを設けたものである。凹曲面2gにすることによって、筆記具本体2の前進方向(図中の矢印A方向)に対する角度を常に変化させることができ、凹曲面2gと内側カム部10dとの各接触点における各凹曲面の接線に対する法線方向を、凹曲面2gと内側カム部10dとの接触点の回転軌道に対する接線の方向に極力近い方向とすることができる。
本実施例では、凹曲面2gは後方から前方に向かって、第1、第2の二つ曲率半径を有する凹曲面2gとなっており、第1曲面の曲率半径が17mm、第2曲面の曲率半径が2.2mmの曲面となっており、二つの曲面の間は極力角とならない様になだらかにつながっている。蓋体10の内側カム部10dは凹曲面2g上を、第2曲面から第1曲面へと移動する。
本例のように、凹曲面2gを、後側の大きな曲率の第1曲面と、先端側の小さな曲率の第2曲面とすることにより、小さな曲率の第2曲面にて蓋体10の回転の初期段階において、凹曲面2gが内側カム部10dに付与する力の方向を、両者の接点の回転軌道の接線よりも前側に向けることによって、初期段階の荷重が多少増加するが、曲率半径が小さい分筆記具本体2の前進量が少なくても蓋体10を大きく回転させることができ、その分必要な前進量を稼げ、ペン先3を長いものとすることができる。また、蓋体10が開こうとする過程の初期段階は、言わば開口の律側段階とも言うべき段階で、操作の開始段階であるから、多少荷重が高いことは気になり難いし、反面、不意にペン先3が突出して周りを汚すなどの誤動作の防止にもなる。大きな曲率の第1曲面に至る段階では、前記の接線方向が軸線に近い方向を向いているので、緩やかな曲面による軽い力でも十分に蓋体10を回転させることができるものである。
このようなものとするために、例えば、外装体1の横断面内径が5.0mm〜25.0mmのもので、回転半径が2.0mm〜10.0mmの蓋体10を取り付け、蓋体10が30°〜90°回転した場合に開口部がペン先3を突出可能に開口するものとした場合、第1曲面の曲率半径を10mm以上、第2曲面の曲率半径を1.0mm〜10mmとすることにより、筆記具本体2の必要な前進量は、1.5mm〜10mmとすることができ、ペン先3の筆記具本体2よりの突出長さを3.0mm〜16mmとすることができる。
図9に示したものは、上述の特許文献1に相当する構造のものである。
説明の都合上、外装体1とコイルスプリング9とO−リング11と環状部材12と弾性気密部材13を断面図として示した。
蓋体10の駆動手段として、筆記具本体2の小径部2aに外方突起2hを形成し、蓋体10の側面部10dに、筆記具本体2の外方突起2hと衝接するカム面10gを設けている。カム面10gは、側壁部10cの一部を切り欠いた部分に形成される切り欠き面であり、筆記具本体2の外方突起2hが蓋体10のカム面10g上を、蓋体を押圧しながら前進する。蓋体10の回転を進めた状態を表した図10に示すように、蓋体10の回転が進むと、蓋体10と外方突起2hとの接触点が、蓋体の回転中心に近づき、接触点の回転半径が短くなり、ノック力が増大して重くなる。
図11に本発明を使用しない従来の繰り出し式筆記具の他の一例を、図3に相当する図として示す。上述の特許文献2に相当する構造のものである。
この従来例においては、蓋体10の駆動手段として、筆記具本体2の小径部2aの先端端部に、筆記具本体2の前進方向(図中の矢印A方向)に対して一定の傾斜角度である75度の傾斜面2iを設けたものである。
筆記具本体2の前進に伴い、傾斜面2iが、蓋体10の内側カム部10dを押圧し、傾斜面2i上を蓋体10の内側カム部10dが滑りつつ移動し、蓋体10を回転させる。
回転初期(図11参照)においては、接触点の回転軌道(図中の矢印B方向)に対する接線方向(図中の矢印C方向)と、傾斜面2iの法線方向(図中の矢印D方向)の角度が80度と大きく異なっており、回転方向にかかる力が極端に小さくなってしまう。よって、蓋体7の回転初期において、大きなノック力がかかってしまう。
ノック荷重の測定結果を、表1及びノック荷重曲線を示したグラフを図12〜図16に示し、モニター試験についての結果を表2に示す。図12は実施例1での蓋体の回転角度におけるノック荷重曲線を示したグラフである。図13は実施例2での蓋体の回転角度におけるノック荷重曲線を示したグラフである。図14は実施例3での蓋体の回転角度におけるノック荷重曲線を示したグラフである。図15は比較例1での蓋体の回転角度におけるノック荷重曲線を示したグラフである。図16は比較例2での蓋体の回転角度におけるノック荷重曲線を示したグラフである。
実施例1〜実施例3では、比較例1、比較例2に比較して最大ノック荷重が低く、ノック力の幅も小さく抑えられている。比較例1、比較例2に関しては、ノック時に違和感を感じるノック荷重1kgfを超えるノック力となっている。また、実施例2、3に関しては、実施例1よりも初期の荷重が抑えられ、ノック力の増大を感じさせないノック感を与えることが可能である。
上述の各例に基づきそれぞれのサンプルを用意し、20人のモニターにノック操作してもらい、感じるノック力について、1点;重たい、2点;重たくは感じない、3点;軽い、のいずれかに評価してもらった。
上述の各例に基づきそれぞれのサンプルを用意し、20人のモニターにノック操作してもらい、ノックの感触について、1点;引っかかりを感じる、2点;大きな引っかかりはないが手に微振動を感じる、3点;引っかかりを感じずスムーズなノック感である、のいずれかに評価してもらった。
1a 孔
1b 先端開口部
2 筆記具本体
2a 小径部
2b 大径部
2c 肩部
2d 係止用突起
2e 解除用突起
2f 傾斜面
2g 凹曲面
2h 外方突起
2i 傾斜面
3 ペン先
4 吸蔵体
5 尾栓
6 ペン先ホルダー
7 クリップ
8 ギア部材
9 コイルスプリング
10 蓋体
10a 蓋部
10b 回転軸
10c 側壁部
10d 内側カム部
10e 外側カム部
10f カム斜面
10g カム面
11 O−リング
12 環状部材
13 弾性気密部材
13a 外側周状当接部
13b 内側周状当接部
Claims (1)
- 操作により、先端にペン先を備える筆記具本体を前進させるに伴って、外装体の先端開口部を閉塞する蓋体を回転させて外装体の先端開口部を開口させると共に、開口した外装体の先端開口部よりペン先を突出させてなる繰り出し式筆記具において、前記筆記具本体は、前記蓋体に接触して筆記具本体の前進運動を伝達して該蓋体に回転運動を与える駆動手段を備え、該駆動手段が、筆記具本体に配置した、角度の異なる複数の傾斜面か、又は、凹曲面状の傾斜面である繰り出し式筆記具。
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