本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1には、本発明の実施形態における第1例の除湿装置を概略的に示している。本例の除湿装置の除湿装置本体1は、吸入口2と吐出口3とを開口させて設け、該吸入口2と該吐出口3を連通させる除湿用風路4を内部に貫通形成した構造である。除湿用風路4中には、送風手段5および除湿手段6を配置している。上記送風手段5は、除湿用風路4中に配置した送風ファン7から成り、該送風ファン7を回転駆動させることで吸入口2から吐出口3へと向かう流れを生じさせる。なお、本文中にて用いる除湿用風路4の「上流側」および「下流側」は、送風ファン7で発生させる流れを基準とする。
除湿用風路4の途中に除湿室18を設けると共に、該除湿室18に蒸発器19と凝縮器20を備えることで除湿手段6を構成する。ここで、吸着剤により除湿手段6を構成してもよい。また、除湿室18の底部には排水口21が設けてあり、底部は排水口21側程低くなるような傾斜面となっている。除湿装置本体1内の下部には水溜め部13が設けてあり、上記除湿室18の底部に設けた排水口21から流下した水を溜めるようになっている。
本例では、送風手段5を成す送風ファン7を、除湿手段6よりも下流側に配置しているが、除湿手段6よりも上流側であっても構わない。
そして、上記構成から成る除湿装置本体1に、放電によって各種の有効成分を発生させることのできる有効成分発生装置50を備えている。以下においては、図2に基づいて有効成分発生装置50の構成について詳述する。
図2に示すように、有効成分発生装置50は、装置全体の外殻を成すケース51の外面に吸入口52と吐出口53を開口させ、ケース51内に、吸入口52と吐出口53を連通する有効成分発生用風路54を貫通形成したものである。有効成分発生用風路54内には送風部55を上流側に配置し、有効成分発生部56を下流側に配置している。送風部55は専用の送風ファンから成り、該送風ファンを回転駆動させることでケース51外の空気を吸入口52から有効成分発生用風路54内に導入して吐出口53から外部に吐出する。
有効成分発生部56は、微小な放電空間S内においてマイクロメータサイズの微小なプラズマ(以下「マイクロプラズマ」という。)を高密度で生じさせるものであり、円板状を成す絶縁スペーサ57の上流側の近傍箇所に、絶縁スペーサ57よりも小径の円板状に設けた電極部58を配置することで構成している。絶縁スペーサ57と電極部58との間には、数100μm程度の略均等な幅で隙間59を介在させている。絶縁スペーサ57の中央には、貫通孔60を数100μm程度の微小径で設けている。
電極部58の材質としては、電極として好適に用いられる公知の適宜材質が採用可能であり、金属材料に限らず、導電性樹脂等の材質も用いることができる。また、絶縁スペーサ57の材質についても適宜材質が採用可能であるが、アルミナのようなセラミック材料が好適に用いられる。
絶縁スペーサ57と電極部58の間に形成される微小幅の隙間59は、その外周縁部分にて周囲の有効成分発生用風路54と連通し、且つ、その中央部分にて絶縁スペーサ57の貫通孔60と連通している。貫通孔60は、その上流端にて上記隙間59と連通し、且つ、その下流端にて下流側の有効成分発生用風路54と連通している。
したがって、送風部55が発生させる送風は、図中の矢印に示すように、まず上流側の電極部58の平板面に当たり、該電極部58の外周面に沿って迂回した後に、上記隙間59を通って絶縁スペーサ57の貫通孔60に至る流れと、絶縁スペーサ57の外周面に沿う流れとに分流し、貫通孔60の下流側にて合流した後に吐出口53からケース51の外部に吐出される。
電極部58には高圧印加部61の負極側を接続させており、高圧印加部61によって有効成分発生部56の電極部58に高電圧を印加させると、絶縁スペーサ57に設けた貫通孔60と、絶縁スペーサ57と電極部58の間に形成した隙間59の両方において、マイクロプラズマ放電が開始される。つまり、本例においては、上記隙間59およびこれと下流側にて連通する上記貫通孔60で、絶縁スペーサ57に沿った微小な放電空間Sが形成されており、この放電空間S内において、マイクロプラズマ放電が生じるようになっている。
本例の有効成分発生装置50において、有効成分を生成してケース51の外部に送り出すには、送風部55によって有効成分発生用風路54内に外気を導入して有効成分発生部56に向けて送風し、且つ、高圧印加部61によって有効成分発生部56の電極部58に高電圧を印加させ、放電空間Sにてマイクロプラズマ放電を生じさせる。このマイクロプラズマ放電により、放電空間S(即ち、隙間59および貫通孔60)内において、コロナ放電等と比較して非常に高密度で有効成分が生成される。
送風部55によって有効成分発生部56に向けて送られた送風は、電極部58の上流側を向く平板面と外周面に沿って流れ、絶縁スペーサ57の外周縁部と当たる位置にまで送り込まれる。絶縁スペーサ57の外周縁部に当たった送風は、その一部が隙間59内に送り込まれ、残りの一部が絶縁スペーサ57を迂回する流路に送り込まれる。
隙間59内に送り込まれた送風は、該隙間59と貫通孔60から成る放電空間S内で生じた大量の有効成分を下流側に搬送させ、電極部58と絶縁スペーサ57の熱を奪ったうえで、貫通孔60を通じて下流側へと送り出される。また、絶縁スペーサ57を迂回する側に分流した送風は、絶縁スペーサ57の熱を奪ったうえで、貫通孔60から送り出される送風と合流し、合流後の十分な風量を伴ったうえで吐出口53から外部へと送り出される。この十分な風量の吐出風に乗って、有効成分発生部56のマイクロプラズマ放電によって大量生成された有効成分は外部空間に向けて勢い良く吐出される。
このように、本例の有効成分発生装置50によれば、有効成分発生部56の電極部58と絶縁スペーサ57を送風により効率的に放熱させながら、放電空間S内のマイクロプラズマ放電により大量の有効成分を生成することができる。しかも、ここで生じた大量の有効成分を送風により効率的に貫通孔60内から下流側に搬送させ、絶縁スペーサ57の外周面から熱を奪うように分流させた送風と合流させたうえで、十分な風量を伴って外部に吐出させることができる。
ここで生成および放出される有効成分は、例えばヒドロキシラジカル、スーパーオキサイドラジカル、硝酸イオン、窒素酸化物等である。上記各有効成分の発生バランスは、放電条件等を適宜調整することで調整可能である。例えば、ヒドロキシラジカルやスーパーオキサイドラジカルを優位に発生させて外部に放出した場合には、脱臭効果や、除菌効果、アレルゲン不活性化効果、農薬分解効果、有機物分解(汚れ除去)効果等が得られる。また、硝酸イオンや窒素酸化物を優位に発生させて外部に放出した場合には、髪や肌を弱酸性に保つという効果や、髪や肌の保水性を向上させるという効果等が得られる。
上記有効成分を発生させるための放電としては、数百μA〜数十mA程度の放電を生じさせることが好ましい。この放電により、電極部58の温度は数十〜数百℃程度上昇することになる。これに対して、本発明では有効成分発生部56を有効成分発生用風路54内に配置し、送風部55から送り込まれる送風が、有効成分発生部56の放電空間Sを通過し、且つ、電極部58の外周面を通過して迂回しながら該電極部58の熱を奪うように設けているので、温度上昇は抑制される。
そして、上記構成の有効成分発生装置50を除湿装置本体1に備えて成る除湿装置においては、有効成分発生装置50の吐出口53から放出される各種の有効成分を、除湿装置本体1の吐出口3から放出される除湿空気に乗せて室内空間に拡散させることができる。ここでは、有効成分としてヒドロキシラジカル、スーパーオキサイドラジカル等を放出することで、室内空気や室内壁面の付着物に対して、脱臭、除菌、アレルゲン物質の除去等を行うといった効果が得られる。また、これら有効成分を除湿空気に乗せて送り出すことで、上記効果に加えて、室内空間の湿度を下げ、カビの繁殖を抑えるという効果が得られる。
本例においては、有効成分発生装置50を除湿用風路4外に設置し、除湿空気を外部に放出する吐出口3と、有効成分を外部に放出する吐出口53とを、同一方向を向くようにして近傍個所に別々に設けている。これに対して、以下の第2〜第8例で述べるように、有効成分発生装置50を、除湿用風路4内に向けて有効成分を放出するように設置してもよい。
図3には、本発明の実施形態における第2例の除湿装置を概略的に示している。なお、上記した第1例と同様の構成については詳細な説明を省略し、第1例とは相違する特徴的な構成についてのみ詳述する。
本例の除湿装置においては、有効成分発生装置50を除湿用風路4内の送風手段5と除湿手段6の間の箇所に配置している。本例の有効成分発生装置50は、第1例のようにケース51内に専用の送風部55を備えてユニット化したものではなく、有効成分発生用風路54内に空気を送り込む送風手段として、除湿装置本体1の送風手段5を兼用した構造になっている。
また、除湿装置本体1には、除湿手段6によって生成した水を溜める水溜め部13内から有効成分発生装置50へと水分を順次搬送するための搬送体12を備えている。搬送体12は毛細管現象によって一端側から他端側へと水を搬送するものであり、例えばフェルト等から成る。図3(a)のように、本例では搬送体12の一端を水溜め部13内に位置させ、搬送体12の他端側を、有効成分発生用風路54内の有効成分発生部56の絶縁スペーサ57よりも下流側であり且つ放電空間Sの直近傍となる箇所に、位置させている。これにより、有効成分発生部56の下流側に位置する搬送体12の他端部に水を順次供給し、放電空間Sの下流側近傍の箇所に対して、水分を直接的に供給することができる。
有効成分発生用風路54内での実際の放電部分は、風圧により放電空間Sよりも下流側にまで広がるため、放電空間Sの下流側近傍にまで水分を供給することで、下流側に広がった放電部分に水分を供給して有効成分の生成反応を大幅に促進させることができる。促進される生成反応として具体的には、高エネルギ下で酸素分子(O2)に水分子(H2O)を反応させてヒドロキシラジカル(・OH)を生成するといった反応が考えられる。また、窒素分子(N2)やこれから発生する各種成分と、水分子(H2O)が反応することで、ヒドロキシラジカル(・OH)を生成する反応も考えられる。更に、これらの反応促進に伴って、ヒドロキシラジカル(・OH)から過酸化水素(H2O2)を生成する反応も促進されると考えられる。上記構成から成る本例の除湿装置によれば、有効成分発生部56の放電空間S内のマイクロプラズマ放電により大量の有効成分を生成させ、ここで生じた大量の有効成分を、除湿用風路4内にて上流側から送り込まれる送風に乗せて、吐出口3を通じて室内空間へと放出することができる。しかも、この放電空間Sから風圧により下流側に広がるように形成される放電部分には搬送体12を通じて直接的に水分が供給されるので、更に大量の有効成分(ヒドロキシラジカル、過酸化水素等)が生成および放出されるものとなる。なお、図3(b)のように、搬送体12の一端を水溜め部13内に位置させ、搬送体12の他端側を、有効成分発生用風路54内の有効成分発生部56の絶縁スペーサ57よりも上流側であり且つ放電空間Sの直近傍となる箇所に、位置させても良い。これにより、有効成分発生部56の上流側に位置する搬送体12の他端部に水を順次供給し、放電空間Sの放電部分に水分を供給して有効成分の生成反応を大幅に促進させることができる。促進される生成反応は図3(a)の場合と同様である。また、搬送体12の一端を水溜め部13内に位置させ、搬送体12の他端側を二つに分岐させ、一方を有効成分発生用風路54内の有効成分発生部56の絶縁スペーサ57よりも上流側で且つ放電空間Sの直近傍となる箇所に位置させ、もう一方を該絶縁スペーサ57よりも下流側で且つ放電空間Sの直近傍となる箇所に位置させても良い。または、搬送体12を二つ並べて、両搬送体12の一端を水溜め部13内に位置させ、他端をそれぞれ、有効成分発生用風路54内の有効成分発生部56の絶縁スペーサ57よりも上流側で且つ放電空間Sの直近傍となる箇所と、該絶縁スペーサ57よりも下流側で且つ放電空間Sの直近傍となる箇所に位置させても良い。こうすることで、図3(a)、図3(b)と同様の効果が得られる。
また、以下に述べる第3〜第7例の除湿装置においても搬送体12を備えていないが、第2例と同様の搬送体12を備えてもよいことは勿論である。
図4には、本発明の実施形態における第3例の除湿装置を概略的に示している。なお、第1例の構成と同様の構成については詳細な説明を省略し、第1例と相違する構成についてのみ詳述する。本例の除湿装置においては、有効成分発生装置50を除湿用風路4内の送風手段5と除湿手段6より下流の箇所に配置している。本例の有効成分発生装置50は、第1例のようにケース51内に専用の送風部55を備えてユニット化したものではなく、有効成分発生用風路54内に空気を送り込む送風手段として、除湿装置本体1の送風手段5を兼用した構造になっている。上記構成の有効成分発生装置50を除湿装置本体1に備えて成る除湿装置においては、有効成分発生装置50の吐出口53から放出される各種の有効成分を、除湿装置本体1の吐出口3から放出される除湿空気に乗せて室内空間に拡散させることができる。ここでは、有効成分としてヒドロキシラジカル、スーパーオキサイドラジカル等を放出することで、室内空気や室内壁面の付着物に対して、脱臭、除菌、アレルゲン物質の除去等を行うといった効果が得られる。また、これら有効成分を除湿空気に乗せて送り出すことで、上記効果に加えて、室内空間の湿度を下げ、カビの繁殖を抑えるという効果が得られる。
図5には、本発明の実施形態における第4例の除湿装置を概略的に示している。なお、上記した第1例と同様の構成については詳細な説明を省略し、第1例とは相違する特徴的な構成についてのみ詳述する。本例の有効成分発生装置50は、第1例のようにケース51内に専用の送風部55を備えてユニット化したものではなく、有効成分発生用風路54内に空気を送り込む送風手段として、除湿装置本体1の送風手段5を兼用した構造になっている。本例の除湿装置においては、有効成分発生装置50を、除湿用風路4中の除湿手段6が設けてある個所に向けて吐出口53を開口させるように設けている。これにより、吐出口53から除湿用風路4内に向けて、有効成分発生部56にて発生させたヒドロキシラジカル、スーパーオキサイドラジカル等の有効成分を放出することができる。これら大量の有効成分を除湿用風路4内に拡散させることで、該除湿用風路4の内壁や除湿手段6の脱臭、除菌、アレルゲン物質の不活性化等を効果的に行うことができる。なお、有効成分発生装置50を、除湿用風路4中における除湿手段6よりも上流側の箇所に向けて放出するように設けてもよい。
図6には、本発明の実施形態における第5例の除湿装置を概略的に示している。なお、上記した第1例と同様の構成については詳細な説明を省略し、第1例とは相違する特徴的な構成についてのみ詳述する。本例の有効成分発生装置50は、第1例と同様にケース51内に専用の送風部55を備えてユニット化したものである。本例の除湿装置においては、有効成分発生装置50から有効成分を放出する箇所を切り替えるための切替手段として、ケース51に可動式隔壁13を備えている。可動式隔壁13は、上下方向へのスライド移動によって吐出口53の位置を切り替えるものである。図示例では、図6(a)に示すように可動式隔壁13が下方に位置するときには吐出口53が上側に形成され、吐出口53から放出される有効成分は除湿手段6および送風手段5よりも下流側の箇所に向けて放出される。また、図6(b)に示すように可動式隔壁13が上方に位置するときには吐出口53が下側に形成され、吐出口53から放出される有効成分は除湿手段6が設けてある箇所に向けて放出される。したがって、例えば通常の除湿運転時には、図6(a)のように可動式隔壁13を上方に位置させ、ヒドロキシラジカル、スーパーオキサイドラジカル等の有効成分を除湿手段6および送風手段5よりも下流側の箇所に向けて放出させ、該有効成分を除湿空気に乗せて吐出口3から室内空間に拡散させる。これによって、室内空間の湿度を保持しつつ、室内空気や室内壁面の付着物に対して脱臭、除菌、アレルゲン物質の除去等を行うことができる。そして、例えば除湿用風路4の内壁や除湿手段6に臭い成分が蓄積してきたときには、可動式隔壁13を下方にスライド移動させて図6(b)のように位置させ、吐出口53を切り替える。このとき、該除湿用風路4の内壁や除湿手段6の脱臭、除菌、アレルゲン物質の不活性化等を行うことができる。このときの放出方向としては、除湿手段6よりも上流側の箇所に向けて有効成分を放出するように設けてあってもよい。
図7には、本発明の実施形態における第6例の除湿装置を概略的に示している。なお、上記した第1例と同様の構成については詳細な説明を省略し、第1例とは相違する特徴的な構成についてのみ詳述する。本例の有効成分発生装置50は、第1例のようにケース51内に専用の送風部55を備えてユニット化したものではなく、有効成分発生用風路54内に空気を送り込む送風手段として、除湿装置本体1の送風手段5を兼用した構造になっている。本例の除湿装置においては、二つの有効成分発生装置50を設けている。一方の有効成分発生装置50の吐出口53からは、除湿手段6および送風手段5よりも下流側の箇所に向けて有効成分を放出させるものである。他方の有効成分発生装置50の吐出口53は、除湿手段6が設けてある箇所に向けて有効成分を放出させるものである。したがって、ヒドロキシラジカル、スーパーオキサイドラジカル等の有効成分を、一方の吐出口53から除湿手段6や送風手段5よりも下流側の箇所に向けて放出させ、該有効成分を除湿空気に乗せて室内空間に拡散させることができる。これによって、室内空間の湿度を保持しつつ、室内空気や室内壁面の付着物に対して脱臭、除菌、アレルゲン物質の除去等を行うことができる。また、上記有効成分を、他方の吐出口53から除湿手段6に向けても吐出させ、除湿用風路4の内壁や除湿手段6の脱臭、除菌、アレルゲン物質の不活性化等を行うことができる。ここで、他方の吐出口53からの有効成分の放出方向は、除湿手段6よりも上流側の箇所に向けて放出するような設定であってもよい。
図8には、本発明の実施形態における第7例の除湿装置を概略的に示している。ここで、第7例の除湿装置は、有効成分発生装置50の吐出口53を両端部に形成し、除湿手段6が設けてある箇所と、除湿手段6および送風手段5よりも下流側の箇所の両方に対して同時に、有効成分を放出するようにしている。したがって、空気清浄用風路4の内壁や除湿手段6の脱臭、除菌、アレルゲン物質の不活性化等と、室内空気や室内壁面の付着物に対して脱臭、除菌、アレルゲン物質の除去等を、両方同時に行うことができる。また、第5例において可動式隔壁13のスライド移動を上下中心位置で止めることでも、同様の効果が得られる。
図9には、本発明の実施形態における第8例の除湿装置を概略的に示している。なお、上記した第1例と同様の構成については詳細な説明を省略し、第1例とは相違する特徴的な構成についてのみ詳述する。本例の有効成分発生装置50は、第1例と同様にケース51内に専用の送風部55を備えてユニット化したものである。
本例の除湿装置においては、有効成分発生装置50を、水溜め部13に向けて有効成分を放出するように設けている。これにより、有効成分発生部56にて大量に発生させたヒドロキシラジカル、スーパーオキサイドラジカル等の有効成分を、水溜め部13と、水溜め部13内に貯留される水の脱臭、除菌等を効果的に行うことができる。ここで、排水口21の上方に送風手段8を設けることで、有効成分発生部56にて大量に発生させたヒドロキシラジカル、スーパーオキサイドラジカル等の有効成分に一部を、除湿用風路4内に向けて、放出することができる。これら大量の有効成分を除湿用風路4内に拡散させることで、該除湿用風路4の内壁や除湿手段6の脱臭、除菌、アレルゲン物質の不活性化等を効果的に行うことができる。
上記した第1〜第8例の除湿装置においては、有効成分発生部56を、電極部58の下流側に微小幅の隙間59を空けて絶縁スペーサ57を配置し、絶縁スペーサ57の中央に微小径の貫通孔60を設けることで形成している(図2参照)。しかし、有効成分発生部56の構成はこれに限定されるわけではなく、各種の変形例が適宜採用可能である。
本発明の有効成分発生装置50で用いる有効成分発生部56としては、電極部58と、電極部58に密着して又は近傍に配置される絶縁スペーサ57とを備え、電極部58に高電圧を印加することで、絶縁スペーサ57に沿って形成される微小な放電空間S内において放電を生じさせるものであればよい。上記放電空間Sは、絶縁スペーサ57自体に設けた微小径の貫通孔60であってもよいし、絶縁スペーサ57と電極部58の間に設けた微小幅の隙間59であってもよい。また、上記の貫通孔60と隙間59の両方で放電空間Sを形成するものであってもよい。
以下においては、有効成分発生装置50の各種の変形例について、図10〜図18に基づいて説明する。但し、図2に示す有効成分発生装置50や他の変形例と同様の構成については、詳しい説明を省略する。
図10に示す変形例では、電極部58においてもその中央に貫通孔62を形成している。電極部58側の貫通孔62は、該電極部58と絶縁スペーサ57の間にある隙間59を介して、絶縁スペーサ57側の貫通孔60と一直線上に並ぶように形成している。また、電極部58と絶縁スペーサ57とは、略同径の円板状に形成している。
図10の変形例によれば、電極部58の貫通孔62を通じて放電空間Sを成す貫通孔60にまで直接的に風を送り込むことができる。したがって、放電空間Sで生成した有効成分を外部に向けて大量に且つ勢いよく放出することができるという利点がある。また、貫通孔62を通過する送風によって電極部58の熱を更に効果的に奪うことができるという利点もある。
なお、絶縁スペーサ57と電極部58の間に隙間59を設けず、両者57,58を密着させた構成にしてもよい。この場合には、電極部58と密着した絶縁スペーサ57が、放熱フィンのようにも機能する。
図11に示す変形例は、電極部58においてその中心部を囲む複数箇所に貫通孔62を形成している点で、図10に示す変形例とは相違している。電極部58側のそれぞれの貫通孔62は、絶縁スペーサ57側の貫通孔62と一直線上に並ばないように、有効成分発生用風路54の軸方向からみて位置をずらして形成している。図11の変形例によれば、上流からの送風が電極部58の複数の貫通孔62を通過し、更に隙間59を通って迂回したうえで絶縁スペーサ57の貫通孔60を通過するので、送風によって電極部58や絶縁スペーサ57の熱を効率的に奪うことができるという利点がある。なお、電極部58の熱を更に効率的に奪うために、該電極部58を、貫通孔62を多数有する網状のものに形成することも好ましい。
図12に示す変形例は、絶縁スペーサ57と電極部58において、共に複数の貫通孔60,62を設けている点で、図10に示す変形例とは相違している。絶縁スペーサ57側の貫通孔60と電極部58側の貫通孔62とは、1対1で、隙間59を介して一直線上に並ぶように形成している。図12の変形例によれば、放電空間Sとして複数の貫通孔60を利用できるので全体の有効成分生成量を増大させることができ、しかも、各貫通孔60には電極部58の各貫通孔62を通じて直接的に風を送り込むことができる。したがって、外部に向けて有効成分を大量に且つ勢いよく放出することができるという利点がある。
なお、図12の変形例においても、電極部58と絶縁スペーサ57を密着させた構成にした場合には、絶縁スペーサ57を放熱フィンのように機能させることができる。
図13に示す変形例は、絶縁スペーサ57に複数の貫通孔60を設けている点と、各貫通孔60の位置を、電極部58側の貫通孔62と一直線上に並ばないように有効成分発生用風路54の軸方向からみてずらして形成している点で、図10に示す変形例とは相違している。図13の変形例によれば、放電空間Sとして複数の貫通孔60を利用できるので全体の有効成分生成量を増大させることができる。また、電極部58の貫通孔62を通過した送風は、隙間59を通って迂回したうえで絶縁スペーサ57の各貫通孔60を通過するので、送風によって電極部58や絶縁スペーサ57の熱を更に効率的に奪うことができる。
図14に示す変形例は、板状の絶縁スペーサ57の厚み方向の両側に、同じく板状である金属製の電極部58を密着配置したものであり、絶縁スペーサ57を一対の電極部58で挟み込んだ構造となっている。一対の電極部58は高圧印加部61を介して電気接続させており、両電極部58間に高電圧が印加されるようになっている。絶縁スペーサ57および電極部58には、それぞれ厚み方向に貫通する貫通孔60,62を同一開口形状で設けている。絶縁スペーサ57と電極部58の上記密着配置により、絶縁スペーサ57の貫通孔60と両側の電極部58の貫通孔62とが、厚み方向に一直線状に連通している。上記貫通孔60,62の孔径Dはともに数100μm程度である。
また、有効成分発生用風路54の有効成分発生部56が配置される部分には、第1流路R1と第2流路R2とを分岐させて形成している。第1流路R1は、上流側から送り込まれる送風の一部を上記有効成分発生部56の貫通孔60,62内に導入し、該貫通孔60,62内を通過させた後に下流側に吐出させるものである。第2流路R2は、上流側から送り込まれる送風の他部(即ち、有効成分発生部56に送り込まれる送風全体のうち第1流路R1に流入した分を除く部分)を両側の電極部58の外周面に沿って迂回するように流したうえで、下流側に吐出させるものである。
第1流路R1と第2流路R2との分岐部分には、第1流路R1と第2流路R2に流入する送風の割合を可変するための調整弁63を備えている。上記調整弁63は、第1流路R1に流入する送風の流量を略一定量に保持するように適宜制御される。
第1流路R1と第2流路R2とは、隔壁部64により仕切っている。隔壁部64は、第1流路R1の上流側部分(つまり、分岐部分から貫通孔60,62内にまで送風を導く部分)とこれに並設される第2流路R2の上流側部分とを仕切る管状の隔壁64aと、第1流路R1の下流側部分(つまり、貫通孔60,62から吐出された送風を合流部分にまで導く部分)とこれに並設される第2流路R2の下流側部分とを仕切る同じく管状の隔壁64bと、から成る。両隔壁64a,64bはその端部を電極部58の平板面に密着させて設置している。
図14の変形例において、高圧印加部61により一対の電極部58間に高電圧を印加させると、絶縁スペーサ57の貫通孔60から成る放電空間S内でマイクロプラズマ放電が開始され、高密度で有効成分が生成される。
ここで、第1流路R1の上流側部分を通って有効成分発生部56の貫通孔60,62内にまで一直線状に導入された送風は、貫通孔60から成る放電空間S内において高密度で生成される有効成分を、下流側に搬出させる。他方、第2流路R2の上流側部分を通って導入された送風は、上流側の電極部58の平板面および外周面、絶縁スペーサ57の外周面、下流側の電極部58の外周面および平板面に沿って側面視コ字状に回り込むように流下し、両電極部58の熱を奪った後に、下流側に放出される。
このとき、第1流路R1に流入する送風の流量を略一定量に保持するように調整弁63の開口を制御することで、貫通孔60内のマイクロプラズマ放電は全体の風量に影響されることなく安定的に行われる。
図15に示す変形例は、絶縁スペーサ57と上流側および下流側の電極部58との間に、数100μm程度の略均等な幅で隙間59を介在させている点と、下流側の電極部58の貫通孔62を、絶縁スペーサ57や上流側の電極部58の貫通孔60,62よりも十分に大きな口径で設けている点と、隔壁部64や調整弁63を設けていない点において、図14に示す変形例とは相違している。
有効成分発生用風路54に送り込まれた送風は、まず上流側の電極部58の平板面と当たる部分において、上流側の電極部58の貫通孔62を通って絶縁スペーサ57の貫通孔60に至る流れと、上流側の電極部58の外周面に沿って迂回する流れとに分流する。絶縁スペーサ57の貫通孔60を通過した流れは、下流側の電極部58に設けた大径の貫通孔62を通じて更に下流側へと送り出される。上流側の電極部58の外周面に沿って迂回した流れは、絶縁スペーサ57の外周面と下流側の電極部58の外周面に沿って更に下流側へと送り出された後に、下流側の電極部58の貫通孔62を通過した流れと合流する。
また、上流側の電極部58の外周面に沿って送り出された流れの一部は、上流側の電極部58と絶縁スペーサ57との間にある隙間59を通じて、絶縁スペーサ57の貫通孔60に送り込まれる。また、上流側の電極部58の外周面からそのまま絶縁スペーサ57の外周面に沿って送り出された流れの一部は、絶縁スペーサ57と下流側の電極部58との間にある隙間59を通じて、下流側の電極部58の貫通孔62に送り込まれる。
図15に示す変形例において、一対の電極部58間に高電圧を印加させると、絶縁スペーサ57に設けた貫通孔60と、該絶縁スペーサ57と上流側の電極部58の間に形成した隙間59と、該絶縁スペーサ57と下流側の電極部58の間に形成した隙間59において、マイクロプラズマ放電が開始される。つまり、絶縁スペーサ57の貫通孔60と、上流側および下流側の隙間59とで、絶縁スペーサ57に沿った微小な放電空間Sが形成されている。下流側の電極部58の貫通孔62は上記のように大径に設けているので、この放電空間Sで生成した有効成分が下流側の電極部58に付着することは抑制されている。
図16に示す変形例は、絶縁スペーサ57と上流側の電極部58を密着させている点において、図15に示す変形例とは相違している。図16の変形例においては、絶縁スペーサ57の貫通孔60と、絶縁スペーサ57と下流側の電極部58との間にある隙間59とで、絶縁スペーサ57に沿った微小な放電空間Sが形成されている。
なお、放電空間Sを成す隙間59を、絶縁スペーサ57と上流側の電極部58との間に設け、下流側の電極部58は絶縁スペーサ57と密着するように設けてもよい。この場合であっても、放電空間Sで生じる大量の有効成分を下流側に搬送し、且つ、有効成分発生部56の熱を効率的に奪うことができる。
図17に示す変形例は、図14に示す変形例において更に、下流側の電極部58の下流端と連通するように液溜め部76を配置し、更に、液溜め部76内に液体を供給する液供給手段66と、液溜め部76内の液体を霧化する霧化部67とを備えたものである。なお、図15に示す変形例と同様に、隔壁部64や調整弁63は備えていない。
上記液供給手段66は、結露水が生じる冷却面68を有する冷却装置69と、該冷却面68と液溜め部76との間に配置される液供給管70とから成る。冷却装置69は、複数設けてあるペルチェ素子71の放熱側に放熱フィン72を接続させ、該ペルチェ素子71の冷却側に冷却板73を接続させた構造である。
有効成分発生用風路54中には、有効成分発生部56を迂回した後に下流側で合流する冷却風路74を分岐させて設けている。上記冷却装置69の冷却板73は、冷却風路74中に露出させてある。上記冷却装置69の放熱フィン72は、有効成分発生用風路54中の冷却風路74を分岐させた箇所よりも下流側であり且つ有効成分発生部56よりも上流側の箇所に、露出させてある。
冷却面68は冷却板73の表面に形成したものであり、空気中の水分をもとにして冷却面68上に生成した結露水を、液供給管70を介して同じく管状の液溜め部76にまで順次供給するようになっている。図示例では、液供給管70と液溜め部76とを、クランク型の一連の管状に形成してあるが、液供給管70の代わりに、フェルト等の繊維状の部材や、発泡性材料やセラミックから成る多孔質部材を配置して液体を搬送するように設けてもよい。また、液溜め部76をタンク状に設けてもよい。更に、液供給手段66の構成を、シリカゲルやゼオライト等の吸湿剤を用いて空気中の水分を回収および放出させるといった、他の構成にしてもよい。
上記霧化部67は超音波振動子75を有したものであり、液溜め部76から供給された液体を超音波振動により霧化させたうえで外部に放出するようになっている。なお、霧化部67としては上記構成に限定されず、表面弾性波を利用して霧化させる構造、加圧して壁面に叩き付ける構造、ポンプを用いてスプレー状に噴霧させる構造、静電霧化を利用する構造(図18に基づいて後述する変形例を参照)等の、他の構造であってもよい。また、霧化部67に替えて、液溜め部76内の液体を風や熱を利用して気化させたうえで外部に放出させる気化部を備えてもよい。
図17の変形例においては、有効成分発生部56の放電空間S(貫通孔60)内で生成した有効成分が液溜め部76内に直接的に送り込まれ、液溜め部76内の液体に有効成分を溶解させた後に、霧化部67にて霧化させる。つまり、有効成分が濃縮して溶解された状態のミストMが、外部に向けて放出される。
ここで、有効成分として優位に生成されたスーパーオキサイドラジカルやヒドロキシラジカルが水に溶解した場合には、過酸化水素水が生成される。したがって、外部に放出されるミストMは過酸化水素水を含むミストとなり、脱臭や除菌等の効果を発揮する。また、有効成分として優位に生成された硝酸イオンや窒素酸化物が水に溶解した場合には、硝酸が生成される。したがって、外部に放出されるミストMは硝酸を含むミストとなり、毛髪を弱酸性化するという効果や、頭皮の皮脂量を低減し且つフケを抑制するという効果や、毛髪や頭皮に水分を補給して水分量を増大させるという効果を発揮する。つまり、放電空間Sで生じる上記有効成分を液中に直接送り込み、溶解させることで、結露水から成る該液を、脱臭や除菌等の効果や髪質改善効果を発揮するものに改質することができる。
また、有効成分発生部56の下流側に液溜め部76を配置して密着させたことにより、放電により加熱された電極部58や絶縁スペーサ57を冷却するという効果も得られる。なお、貫通孔60,62は非常に微小径であるため、液溜め部76内の液体が貫通孔60,62内に浸入することは防止される。
また、放電空間Sの下流側の直近傍に液溜め部76が存在することにより、有効成分の生成反応を大幅に促進させるという効果も得られる。というのも、放電空間S側から送り出される空気で液溜め部76内には微細な気泡が発生し、この放電空間S近傍の気泡内では放電が生じる。この微細気泡内の放電部分において、周囲の液体の水分が供給されることにより有効成分の生成反応が促進されるのである。
ここで促進される生成反応としては、第2例で述べた反応と同様の反応である。
図示例では絶縁スペーサ57の両側に電極部58を配置しているが、片側にだけ(例えば上流側にだけ)電極部58を配置する構成であってもよい。この場合であっても、絶縁スペーサ57の貫通孔60と連通するように液溜め部76を備えることで、該液溜め部76内に有効成分を直接送り込んで溶解させることができる。
図18に示す変形例は、液溜め部76内にある液体を霧化させるための手段として、静電霧化現象を利用している点において、図17に示す変形例とは相違している。
この変形例の場合、絶縁スペーサ57の上流側に電極部58を密着配置するとともに、該絶縁スペーサ57の下流側にはタンク型の液溜め部76を密着配置させ、絶縁スペーサ57の貫通孔60の下流端を、液溜め部76内に連通させている。上流側の電極部58と対を成す下流側の電極部58は、液溜め部76内に配置しており、液溜め部76内に貯留される液体を介して一対の電極部58間に電圧を印加し、絶縁スペーサ57の貫通孔60内にてマイクロプラズマ放電を生じるようになっている。
また、図18の変形例では、液溜め部76内の下流側の電極部58が、静電霧化用の電極を兼ねている。液溜め部76からは、液溜め部76内の液体を静電霧化用に順次供給するための液搬送部77を突設しており、毛細管現象によって液搬送部77の先端にまで搬送された液体に対して、液溜め部内の電極部58が静電霧化用の高電圧を印加するようになっている。
液搬送部77の先端に搬送された液体は、高電圧印加によってテイラーコーンを生じ、静電霧化現象によって弾けるように多量のミストMを順次発生させる。このように、霧化部67として、液溜め部76内の液体を静電霧化により霧化させる構成を採用することで、有効成分が溶解した液体を、ナノメータサイズを含む非常に小さな粒径であり且つ帯電したミストMとして、外部に放出できるといった利点がある。なお、静電霧化用の電極として下流側の電極部58を兼用するのではなく、専用の電極を設けてあってもよい。
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。