JP2010191820A - 注文割り当て装置、方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

注文割り当て装置、方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 圧延能率とスラブ歩留とに関する条件を満足し、製銑・製鋼工程の操業制約を満足し、精整工程の作業負荷の平準化と出鋼期限日の遵守と同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とを実現する注文割り当て計画を立案する。
【解決手段】 圧延能率とスラブ歩留とに関する所定の条件を満足する鋳造厚の候補を割り当てた結果を注文情報に書き込み、その注文情報を基に、品種別、鋳造厚の候補別、出鋼期限日別に集計した注文重量を格納した注文マトリクスを作成し、キャスト毎の鋳造厚及び出鋼チャージ数と設備・操業に関する制約条件とのオペレーターによる入力を受け付け、キャスト毎に制約式を設定し、精整工程の作業負荷の平準化と出鋼期限日の遵守と同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とに関する評価関数を設定し、制約式を満足する範囲で評価関数を最小にして注文マトリクスに格納された注文の複数のキャストへの最適な割り当てを決定し、出力する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、製鋼プロセスにおいて、2種類の異なる鋳造厚を持つ複数のキャストに鉄鋼製品の複数の注文を自動的に割り当てる注文割り当て装置、方法、コンピュータプログラム及び記憶媒体に関する。
鉄鋼製造業では、工場の生産量増加の観点から単位時間当たりに圧延する重量の最大化が求められることが多い。単位時間当たりに圧延する重量を増加するためには、鋳造厚を大きくしスラブ単重を大きくすること、レバース圧延の場合であれば圧延機のパス回数を少なくすることが望まれるが、スラブ単重と圧延機のパス回数とにはトレードオフの関係がある。即ち、スラブ単重を大きくすると圧延機のパス回数が多くなり、スラブ単重を小さくすると圧延機のパス回数が少なくなる。従って、スラブ単重と圧延機のパス回数とのバランスをとった鋳造厚を注文単位に割り当てる必要がある。さらに、圧延後の冷却の開始温度を所定の値以上に保つために、圧延機のパス回数が増えることによる温度低下を抑制する必要がある。さらに、鋳造後に同一スラブへ割り当て可能な注文量が少ないとスラブ設計時の屑の発生量が多くなり歩留が悪化するため、スラブ屑が大量に発生しないような鋳造厚の割り当てを行わなければならない。さらに、生産量増加の観点から製鋼設備における製品の化学的成分が同一の注文を複数まとめてロット単位で生産することが求められている。
一方で、製品の規格やサイズなどが極めて多岐に亘る上、顧客側の製品使用予定に合わせた納期遵守の要求と工期短縮の要求とが強くなっている。圧延以降の工程は圧延、精整、出荷等の複数の製造工程からなり、製鋼工程でのロットの生産性の追及が他の製造工程の生産性を低下させたり、製鋼工程でのロットまとめが下流工程での製造負荷の集中につながり仕掛増や製造工期増を引き起こしたりすることなどから、製造工程間でのロットまとめによる生産性のトレードオフを考慮した出鋼ロットを作成することが求められる。
また、ロットをまとめることは先作りによる余分な製品在庫や遅作りによる納期遅れを引き起こす。すなわち、生産量の増加と各製造工程の負荷の均等化と納期管理とを達成しつつ、鋳造厚の異なる複数のキャストへ注文を割り当てる必要がある。
これに対し、特許文献1には、生産計上管理日を基準として各工程間の標準工期によって仮出鋼希望日を逆算し、仮出鋼希望日の早い順に材質別に注文を集約してキャストを作成した後、製造工程設備の負荷バランスを基に決められた優先順位に従ってキャストを生産工程に投入することで各生産ラインの稼働率の均等化や納期管理を達成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、下工程である精整工程の負荷の平準化の達成のために、製造工程を基準として分類された各品種を下工程の能力枠に充当した上で鋳造要望日が付与され、鋳造要望日別及び品種別に充当量と鋳造要望量との較差が最小となるように2次計画法により注文を粗製造ロットに割り振る方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、同一スラブに割り当てられる注文重量が少ないことによる歩留悪化を解消するために、同一スラブへの割り当て条件を緩和する方法が開示されている。
特開平5−35748号公報 特開2005−259122号公報 特開2006−281252号公報
特許文献1に記載の発明は、仮出鋼希望日の早い順に材質別に注文を集約してキャストを作成した後、製造工程設備の負荷バランスを基に決められた優先順位に従ってキャストを生産工程に投入することで、納期と工程負荷平準化を考慮した注文割り当て計画を作成することが可能であるが、2種類の鋳造厚を持つ複数のキャストへの注文割り当てとスラブ設計時の歩留は想定されておらず、またロット集約、工程負荷の平準化、納期遵守の最適性が考慮されていないという問題があった。
また、特許文献2に記載の発明は、下工程の能力枠に充当した上で鋳造要望日が付与され、鋳造要望日別及び品種別に充当量と鋳造要望量との較差が最小となるように注文を粗製造ロットに割り当てることで、納期と工程負荷の平準化とを考慮した注文割り当て計画を作成することが可能であるが、2種類の鋳造厚を持つ複数のキャストへの注文割り当てとスラブ設計時の歩留は想定されておらず、粗製造ロットの求め方については特許文献2には何ら開示されていない。
さらに、特許文献3に記載の発明は、予め決められた「圧延対象の注文」に対して、同一スラブグルーピング条件を緩和することでスラブ歩留を向上しているが、圧延対象の注文の求め方については特許文献3には何ら開示されていない。
本発明は、例えば、2種類の異なる鋳造厚を持つ複数のキャストに対して注文を割り当てる業務において、圧延量とスラブ設計時の歩留とを考慮しつつ、ロット集約、すなわち同一鋼種の注文をまとめることで連続鋳造工程のキャストにおける異鋼種の継目の数を最小化し、精整発生量の数日間の移動平均値のうち精整工程の処理能力を超過する量を最小化し、精整工程の作業負荷を平準化し、納期を出鋼から出荷までかかる日数だけ遡った日である出鋼期限日と出鋼計画日との差を最小化することを目的とする。なお、精整工程の作業負荷の発生とは精整工程で作業される注文が出鋼されることを意味し、精整発生量とは精整工程毎に発生する注文の合計枚数を意味する。
本発明の注文割り当て装置は、大小2種類の異なる鋳造厚を持つ複数のキャストに、鉄鋼製品である鋼板の複数の注文を割り当てる注文割り当て作業において、圧延能率とスラブ歩留に関する条件を満足する鋳造厚の候補を注文に割り当てて、製銑・製鋼工程の操業制約を満足し、かつ、精整工程の作業負荷の平準化と出鋼期限日の遵守と同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とを実現する注文の割り当てを行う注文割り当て装置であって、前記注文についての、少なくとも、品種と、製品板厚と、圧延後の板の冷却方法である冷却パターンと、圧延機による板の圧延方法である制御圧延方法と、納期を出鋼から出荷までかかる日数だけ遡った日である出鋼期限日と、重量とを含む注文情報のオペレーターによる入力を受け付ける注文情報入力手段と、前記注文情報入力手段により注文情報が入力された注文において、大小2種類の異なる鋳造厚のうち、鋳造厚の候補として全ての注文に対して小鋳造厚を割り当てるとともに、スラブ歩留まりと圧延能率とに関する所定の条件を満足する注文に対して鋳造厚の候補として大鋳造厚を更に割り当てて、該鋳造厚の候補を注文情報に書き込む鋳造厚候補割り当て手段と、前記鋳造厚候補割り当て手段により鋳造厚の候補が書き込まれた前記注文情報を基に、品種別、鋳造厚の候補別及び出鋼期限日別に集計した注文重量を格納した注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成手段と、キャスト毎に、鋳造厚と、出鋼時の溶鋼を受け取る鍋の杯数である出鋼チャージ数とのオペレーターによる入力を受け付けるキャスト枠入力手段と、設備・操業に関する制約条件のオペレーターによる入力を受け付ける設備操業制約条件入力手段と、前記キャスト枠入力手段によって入力された鋳造厚及び出鋼チャージ数と、前記設備操業制約条件入力手段によって入力された設備・操業に関する制約条件とを用いて、前記キャスト枠入力手段で鋳造厚と出鋼チャージ数とが入力されたキャスト毎に制約式を設定する制約式設定手段と、前記設備操業制約条件入力手段によって入力された設備・操業に関する制約条件を用いて、精整工程の作業負荷の平準化と、出鋼期限日の遵守と、同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とに関する評価関数を設定する評価関数設定手段と、前記注文マトリクス作成手段により作成された注文マトリクスの情報を用いて、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数を最小にする最適化計算を行って前記注文マトリクスに格納された注文の複数のキャストへの最適な割り当てを決定する最適化手段と、前記最適化手段によって決定された注文割り当て結果を出力する注文割り当て結果出力手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の他の態様例では、前記鋳造厚候補割り当て手段は、前記注文の全てに対して、鋳造厚の候補として小鋳造厚を割り当てるとともに、製品板厚と冷却パターンとにより定められる圧延能率に関する条件に基づいて、大鋳造厚を選択可能な注文に対して鋳造厚の候補として大鋳造厚を更に割り当てる仮鋳造厚候補割り当て手段と、前記仮鋳造厚候補割り当て手段により大鋳造厚が鋳造厚の候補として割り当てられた注文が、スラブ設計時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足するか否かを判定するスラブ設計歩留判定手段と、前記仮鋳造厚候補割り当て手段によって鋳造厚の候補として大鋳造厚が割り当てられた注文のうち、前記スラブ設計歩留判定手段により、スラブ設計時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足しないと判定された注文に対して、前記注文情報に書き込まれた鋳造厚の候補から大鋳造厚を除く鋳造厚候補変更手段と、をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記仮鋳造厚候補割り当て手段は、前記注文の全てに対して、鋳造厚の候補として小鋳造厚を割り当て、さらに、製品板厚が、大鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合に小鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合よりも単位時間当たりの圧延重量が大きくなり、かつ、圧延後の冷却開始温度を所定の値以上に確保できる最小板厚であって、冷却パターン毎に予め指定された最小板厚以上であるという、圧延能率に関する条件を満足する注文に対して、鋳造厚の候補として大鋳造厚を割り当てることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記スラブ設計歩留判定手段は、2種類の鋳造厚のうち大鋳造厚が鋳造厚の候補として含まれる注文のうち、所定の出鋼期限日の範囲内で、製品板厚及び制御圧延方法毎に集約した注文重量が所定量以上ある注文を、スラブへの注文割り当て時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足すると判定することを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記キャスト毎に作成する制約式が、製銑と製鋼の休止時間を基にキャスト毎に設定されることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記精整工程の作業負荷の平準化とは、日毎の作業負荷の移動平均値と、日毎の精整処理能力との差分を最小化することであることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記出鋼期限日の遵守とは、品種毎の出鋼計画日と、出鋼期限日との差分を最小化することであることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とは、同一キャスト内に含まれる鋼種の数を最小化することであることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記最適化手段において、混合整数計画法を用いて、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数の値を最小にする最適化計算を行うことにより、前記注文の複数のキャストへの割り当てを最適化することを特徴とする。
本発明の注文割り当て方法は、大小2種類の異なる鋳造厚を持つ複数のキャストに、鉄鋼製品である鋼板の複数の注文を割り当てる注文割り当て作業において、圧延能率とスラブ歩留に関する条件を満足する鋳造厚の候補を注文に割り当てて、製銑・製鋼工程の操業制約を満足し、かつ精整工程の作業負荷の平準化と出鋼期限日の遵守と同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とを実現する注文の割り当てを行う注文割り当て方法であって、前記注文についての、少なくとも、品種と、製品板厚と、圧延後の板の冷却方法である冷却パターンと、圧延機による板の圧延方法である制御圧延方法と、納期を出鋼から出荷までかかる日数だけ遡った日である出鋼期限日と、重量とを含む注文情報のオペレーターによる入力を受け付ける注文情報入力ステップと、前記注文情報入力ステップにより注文情報が入力された注文において、大小2種類の異なる鋳造厚のうち、鋳造厚の候補として全ての注文に対して小鋳造厚を割り当てるとともに、スラブ歩留まりと圧延能率とに関する所定の条件を満足する注文に対して鋳造厚の候補として大鋳造厚を更に割り当てて、該鋳造厚の候補を注文情報に書き込む鋳造厚候補割り当てステップと、前記鋳造厚候補割り当てステップにより鋳造厚の候補が書き込まれた前記注文情報を基に、品種別、鋳造厚の候補別及び出鋼期限日別に集計した注文重量を格納した注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成ステップと、キャスト毎に、鋳造厚と、出鋼時の溶鋼を受け取る鍋の杯数である出鋼チャージ数とのオペレーターによる入力を受け付けるキャスト枠入力ステップと、設備・操業に関する制約条件のオペレーターによる入力を受け付ける設備操業制約条件入力ステップと、前記キャスト枠入力ステップによって入力された鋳造厚及び出鋼チャージ数と、前記設備操業制約条件入力ステップによって鋳造厚と出鋼チャージ数とが入力された設備・操業に関する制約条件とを用いて、前記キャスト枠入力ステップで鋳造厚と出鋼チャージ数とが入力されたキャスト毎に制約式を設定する制約式設定ステップと、前記設備操業制約条件入力ステップによって入力された設備・操業に関する制約条件を用いて、精整工程の作業負荷の平準化と、出鋼期限日の遵守と、同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とに関する評価関数を設定する評価関数設定ステップと、前記注文マトリクス作成ステップにより作成された注文マトリクスの情報を用いて、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数を最小にする最適化計算を行って前記注文マトリクスに格納された注文の複数のキャストへの最適な割り当てを決定する最適化ステップと、前記最適化ステップによって決定された注文割り当て結果を出力する注文割り当て結果出力ステップと、を備えることを特徴とする。
また、本発明の他の態様例では、前記鋳造厚候補割り当てステップは、前記注文の全てに対して、鋳造厚の候補として小鋳造厚を割り当てるとともに、製品板厚と冷却パターンとにより定められる圧延能率に関する条件に基づいて、大鋳造厚を選択可能な注文に対して鋳造厚の候補をとして大鋳造厚を更に割り当てる仮鋳造厚候補割り当てステップと、前記仮鋳造厚候補割り当てステップにより大鋳造厚が鋳造厚の候補として割り当てられた注文が、スラブ設計時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足するか否かを判定するスラブ設計歩留判定ステップと、前記仮鋳造厚候補割り当てステップによって鋳造厚の候補として大鋳造厚が割り当てられた注文のうち、前記スラブ設計歩留判定ステップにより、スラブ設計時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足しないと判定された注文に対して、前記注文情報に書き込まれた鋳造厚の候補から大鋳造厚を除く鋳造厚候補変更ステップと、さらに備えることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記仮鋳造厚候補割り当てステップは、前記注文の全てに対して、鋳造厚の候補として小鋳造厚を割り当て、さらに、製品板厚が、大鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合に小鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合よりも単位時間当たりの圧延重量が大きくなり、かつ、圧延後の冷却開始温度を所定の値以上に確保できる最小板厚であって、冷却パターン毎に予め指定された最小板厚以上であるという、圧延能率に関する条件を満足する注文に対して、鋳造厚の候補として大鋳造厚を割り当てることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記スラブ設計歩留判定ステップは、2種類の鋳造厚のうち大鋳造厚が鋳造厚の候補として含まれる注文のうち、所定の出鋼期限日の範囲内で、製品板厚及び制御圧延方法毎に集約した注文重量が所定量以上ある注文を、スラブへの注文割り当て時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足すると判定することを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記キャスト毎に設定する制約式が、製銑と製鋼の休止時間を基にキャスト毎に設定されることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記精整工程の作業負荷の平準化とは、日毎の作業負荷の移動平均値と日毎の精整処理能力との差分を最小化することであることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記出鋼期限日の遵守とは、品種毎の出鋼計画日と出鋼期限日との差分を最小化することであることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とは、同一キャスト内に含まれる鋼種の数を最小化することであることを特徴とする。
また、本発明のその他の態様例では、前記最適化ステップにおいて、混合整数計画法を用いて、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数の値を最小にする最適化計算を行うことにより、前記注文の複数のキャストへの割り当てを最適化することを特徴とする。
本発明のコンピュータプログラムは、前記注文割り当て方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記コンピュータプログラムを記憶したことを特徴とする。
本発明では、例えば、2種類の異なる鋳造厚を持つ複数のキャストに鉄鋼製品の複数の注文を割り当てる注文割り当て作業において、圧延能率とスラブ歩留に関する条件を満足する鋳造厚の候補を注文に割り当て、さらに、注文が鋳造厚の候補に従ってキャストに割り当てられる際の制約と製銑・製鋼工程の操業制約とを定式化し、数理最適化手法により同一キャスト内の異鋼種継目数と、精整工程の発生量の移動平均値のうち精整工程の処理能力を超過する量と、出鋼期限日と出鋼計画日との差とを最小化することによって、圧延能率とスラブ歩留とを考慮しつつ、ロット集約、精整工程の負荷の平準化及び納期遵守の最適性とを従来よりも保証する出鋼計画を作成することができる。
本発明の注文割り当て装置の実施形態における概略構成の一例を表す図である。 本発明の注文割り当て装置の実施形態における注文割り当て方法の概略の一例を示したフローチャートである。 本発明の実施例を示し、注文情報を示す図である。 本発明の実施例を示し、品種別及び工程別の発生確率を示す図である。 本発明の実施例を示し、大鋳造厚で鋳造可能な冷却パターン毎の最小製品板厚を示す図である。 本発明の実施例を示し、注文マトリクスを示す図である。 本発明の実施例を示し、製銑・製鋼工程の休止状況を示す図である。 本発明の実施例を示し、工程の日単位の処理能力を示す図である。 本発明の実施例を示し、出鋼計画量を鋼種別、出鋼計画日別、キャスト番号別及び鋳造厚別に集約した結果を示す図である。 本発明の実施例を示し、各々のチャージに割り当てられる注文名と品種名と鋳造厚候補とを示す図である。 本発明の実施例を示し、正規化精整負荷を出鋼計画日別に示す図である。 本発明の実施例を示し、出鋼期限日と出鋼計画日との差のヒストグラムを示す図である。 本発明の実施例を示し、鋳造厚の大きい方のキャストに割り当てられた注文の注文重量を、出鋼計画日別、鋼種別、制御圧延方法別及び板厚別に集計した結果を示す図である。
以下に図面等を参照しながら、厚板製造を例に本発明の好適な実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態に係る注文割り当て装置の概略構成図を図1に示す。この注文割り当て装置は、注文情報入力手段101、鋳造厚候補割り当て手段102、注文マトリクス作成手段103、キャスト枠入力手段104、設備操業制約条件入力手段105、制約式設定手段106、評価関数設定手段107、最適化手段108及び注文割り当て結果出力手段109、を備えている。なお、鋳造厚候補割り当て手段102は、仮鋳造厚候補割り当て手段110、スラブ設計歩留判定手段111及び鋳造厚候補変更手段112をさらに備える。
また、図2に、本発明の実施の形態に係る注文割り当て方法のフローを示す。以下、図1および図2に基づいて、本発明の実施の形態による注文割り当ての概略の手順を説明する。
まず、注文情報入力手段101において、少なくとも、品種と製品板厚と冷却パターンと制御圧延方法と出鋼期限日と重量とを含む注文情報のオペレーターによる入力を受け付ける(注文情報入力ステップ(処理)S201)。
次に、仮鋳造厚候補割り当て手段110では、前記注文の全てに対して、鋳造厚の候補(鋳造厚候補)として小鋳造厚を割り当て、さらに、製品板厚が、大鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合に小鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合よりも単位時間当たりの圧延重量が大きくなり、かつ、圧延後の冷却開始温度を所定の値以上に確保できる最小板厚であって、冷却パターン毎に予め指定された最小板厚以上であるという、圧延能率に関する条件を満足する注文に対して、鋳造厚候補として大鋳造厚をさらに割り当てる(仮鋳造厚候補割り当てステップ(処理)S210)。
次に、スラブ設計歩留判定手段111では、2種類の鋳造厚のうち大鋳造厚が鋳造厚候補に含まれる注文のうち、所定の出鋼期限日の範囲内で、製品板厚及び制御圧延方法毎に集約した注文重量が所定量以上ある注文をスラブへの注文割り当て時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足すると判定する(スラブ設計歩留判定ステップ(処理)S211)。
次に、鋳造厚候補変更手段112では、前記スラブ設計歩留判定手段111によりスラブ設計時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足しないと判定された注文に対して、前記注文情報の鋳造厚候補から大鋳造厚を除く。(鋳造厚候補変更ステップ(処理)S212)。
次に、注文マトリクス作成手段103では、前記注文の注文情報を基に、品種別、鋳造厚候補別及び出鋼期限日別に集計した注文重量を格納した注文マトリクスを作成する(注文マトリクス作成ステップ(処理)S203)。
次に、キャスト枠入力手段104では、オペレーターが、キャスト毎に、鋳造厚と、出鋼時の溶鋼を受け取る鍋の杯数である出鋼チャージ数とを入力する(キャスト枠入力ステップ(処理)S204)。
次に、設備操業制約条件入力手段105では、設備・操業に関する制約条件(設備・操業制約条件)をオペレーターが入力する(設備操業制約条件入力ステップ(処理)S205)。
次に、制約式設定手段106では、前記設備操業制約条件入力手段105によって入力した設備・操業制約条件を受けて、製鋼及び製銑の休止時間を基に、キャスト枠入力手段104で鋳造厚と出鋼チャージとが入力されたキャスト単位に制約式を設定する(制約式設定ステップ(処理)S206)。
次に、評価関数設定手段107では、前記設備操業制約条件入力手段105によって入力した設備・操業制約条件を受けて、日毎の精整発生量の移動平均値と日毎の精整処理能力との差の絶対値と、品種毎の出鋼期限日と出鋼計画日との差の絶対値と、同一キャスト内に含まれる鋼種の種類と、の重み付き線形和を作成し評価関数とする(評価関数設定ステップ(処理)S207)。
次に、最適化手段108では、前記制約式設定手段106で設定した制約式を満足する範囲で、前記評価関数設定手段107で設定した評価関数の値を最適化計算により最小にする注文割り当てを算出する(最適化ステップ(処理)S208)。
そして、注文割り当て結果出力手段109では、最適化手段108で算出された注文割り当ての結果を出力する(注文割り当て結果出力ステップ(処理)S209)。
以下、各手段(ステップ、処理)について、詳しく説明する。
前記注文の注文情報として、品種と製品板厚と冷却パターンと制御圧延方法と出鋼期限日と重量とが格納されている。注文情報の例を表1に示す。表1に示すように、各注文について、品種としてA100、A010、B111・・・、製造仕様として、製品板厚、冷却パターン、制御圧延方法及び重量が指定されている。なお、品種名の先頭の文字は鋼種を、2〜4桁目の0−1の数字の列は各精整工程の発生のし易さ(工程パターン)を表している(1は発生し易く、0は発生し易くない)。
Figure 2010191820
品種及び工程番号毎の作業負荷の発生する確率である発生確率の例を表2に示す。表2に示すように、例えば品種A100は、工程1の発生確率が0.3、工程2の発生確率が0.1、工程3の発生確率が0.1であることを示している)。尚、工程番号とは、表2の工程の後に付している数字を指す。
Figure 2010191820
図2に示したように、まず、注文情報入力ステップ(S201)にて、表1に示すデータ項目からなる注文情報を例えば、コンピュータに接続されているハードディスクドライブ、半導体メモリ用リーダ/ライタ等の外部記憶装置に書き込む。または、キーボード、タッチパネル等の外部入力装置から,又は製造工場内等に設置された外部装置である情報処理装置等からネットワークを介して,当該コンピュータに前記注文情報を入力して,当該コンピュータのメモリ中に当該注文情報を書き込む。なお、ネットワークとしては、例えば、インターネット、光ファイバ網,衛生通信網,電話回線網,イーサネット(登録商標)、LAN,専用ケーブルなど各種の専用回線網または公衆回線網であってよい。
次に、仮鋳造厚候補割り当てステップ(S210)にて、前記注文の全てに対して鋳造厚候補として小鋳造厚を割り当て、さらに、製品板厚が、大鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合に小鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合よりも単位時間当たりの圧延重量が大きくなり、かつ、圧延後の冷却開始温度を所定の値以上に確保できる最小板厚であって、冷却パターン毎に予め指定された最小板厚以上であるという、圧延能率に関する条件を満足する注文に対して、鋳造厚候補として大鋳造厚を更に割り当てる。大鋳造厚で鋳造可能な冷却パターン毎の最小の製品板厚の例を表3に示す。表3に示すように、圧延後に冷却が無い注文では、最小の製品板厚を12mmと設定しているが、圧延後に冷却のある冷却パターンXの注文では、最小の製品板厚を12mmよりも大きい13mmに設定している。表3のような冷却パターン毎に定める「大鋳造厚で鋳造可能な最小の製品板厚」の情報を基に、注文の鋳造厚候補に大小両方の鋳造厚を割り当てる。
Figure 2010191820
鋳造厚候補を注文に割り当てた例を表4に示す。表4に示すように、例えば注文1は、製品板厚が14mmであり、冷却パターンが冷却無しであるので、鋳造厚候補には大小両方の鋳造厚が割り当てられ、一方注文3は製品板厚16mm、冷却パターンZであるので、表3から、注文3の鋳造厚候補としては小鋳造厚のみが割り当てられる。
Figure 2010191820
次に、スラブ設計歩留判定ステップ(S211)にて、鋳造厚候補に大鋳造厚が含まれる注文に対して、所定の出鋼期限日の範囲内で、製品板厚及び制御圧延方法毎に集約した、注文重量が所定量例えば50ton以上ある注文を、スラブへの注文割り当て時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足する注文であると判定する。スラブ歩留に関する所定の条件を満足しないと判定された注文は、鋳造厚候補変更ステップ(S212)にて、注文情報の鋳造厚候補から大鋳造厚を除く。表5に鋳造厚候補を変更した例を示す。表5に示すように、鋳造厚候補に大鋳造厚が含まれる注文のうち、例えば、制御圧延方法がCR1、製品板厚が12mm、出鋼期限日が0〜4日の注文の合計重量は80tonである。所定量を50tonとする場合には、この合計重量は所定量以上であるので、注文12、18、30の鋳造厚候補は変更しない。一方、制御圧延方法がCR1、製品板厚が12mm、出鋼期限帯が5〜9日の合計重量は40tonである。所定量を50tonとする場合には、この合計重量は所定量未満であるので、注文12、19では鋳造厚候補から大鋳造厚を除く。なお、ここでは所定量が、スラブ1枚を25tonとした場合に2枚以上組める50tonであるとした。ただし、所定量はこれに限定されるものではない。
Figure 2010191820
次に、注文マトリクス作成ステップ(S203)にて、前記注文の情報を基に、品種別、鋳造厚候補別及び出鋼期限日別の注文重量を格納した注文マトリクスを作成する。表6に注文マトリクスの例を示す。例えば品種A100は、鋳造厚候補が小鋳造厚のみであり、出鋼期限日1の注文重量が30tonであることを意味する。
Figure 2010191820
次に、キャスト枠入力ステップ(S204)にて、オペレーターが、キャスト毎に、鋳造厚と出鋼期限日別の出鋼チャージ数とを入力する。1チャージとは出鋼時の溶鋼を受け取る鍋1杯を意味する。表7に、キャスト毎の鋳造厚及び出鋼計画日別の出鋼チャージ数(表7では出鋼杯数と記載)の例を示す。後述する様に、本実施の形態では、1日24時間を8時間毎に3等分した時間帯(表7では「交代」として、甲、乙、丙と記載)毎に1キャストの鋳造を行う操業を前提としており、表7では、例えば、出鋼計画日の第1日甲番から第2日目乙番までのキャストは2種類の鋳造厚のうち小さい方の鋳造厚で8チャージ鋳造し、第2日目の丙番のキャストには大きい方の鋳造厚で7チャージ鋳造することを意味する。
尚、ここでは、上記8時間の時間帯毎に1キャストの鋳造を行う場合を例に挙げて説明したが、本発明の適用は、上記8時間の時間帯毎に1キャストの鋳造を行う場合に限定されるものではなく、例えば、1日に2キャスト以下、或いは4キャスト以上の鋳造を行う場合にも本発明を適用可能であることは言うまでもない。
Figure 2010191820
次に、設備操業制約条件入力ステップ(S205)にて、オペレーターが各工程の設備稼働状況を入力する。表8に各工程番号の工程の設備稼働状況の例を示す。表8は製銑・製鋼工程1〜4の休止状況を0又は1を用いて表しており、0が休止、1が操業を行うことを示しており、例えば製銑・製鋼工程2は、第1日には乙番と丙番において休止することを意味する。
Figure 2010191820
また、表9は工程番号1〜3の工程の日単位の処理能力を示しており、例えば工程1は、1日に300枚のプレートを処理できることを意味する。
Figure 2010191820
次に制約式設定ステップ(S206)にて、i(i=1,・・・,I)を鋼種番号とし、k(k=1,・・・,K)を出鋼計画日とし、1日24時間を8時間毎に3等分(時間順は甲・乙・丙)したときの時間帯を表すv(v=1(甲),2(乙),3(丙))をキャスト番号とし(表7では「交代」と記載)、s(s=1,2)を鋳造厚(1は小鋳造厚、2は大鋳造厚)とすると、キャスト枠入力ステップ(S204)にてキャスト毎に入力された、鋳造厚及び出鋼チャージ数の情報と、設備操業制約条件入力ステップ(処理)S205により入力された制約条件とを基に、鋼種番号別、出鋼計画日別、キャスト番号別、鋳造厚別の出鋼チャージ数C[i][k][v][s]と、鋼種番号別、出鋼計画日別、キャスト番号別、鋳造厚別の出鋼有無を表す0又は1の変数δ[i][k][v][s](0が出鋼有り、1が出鋼無しを表す)とを用いて、キャスト単位に製銑・製鋼の制約式を設定する。なお、例えば、出鋼チャージ数C[i][k][v][s]は、鋼種番号i、出鋼計画日k、キャスト番号v及び鋳造厚sをパラメータとする変数であることを表している。
ここでいう制約式の設定とは、予め作成された関数型の制約式のパラメータを、設備・操業に関する制約条件に基づいて設定することを意味し、以降の制約式の設定も同様の意味で用いる。キャスト枠入力ステップ(S204)にて入力された、第k日、キャスト番号v、鋳造厚sのキャストの出鋼チャージ数をM[k][v][s]とすると、Cとδとは以下の式(1)の関係で表される。
C[i][k][v][s]−M[k][v][s]×δ[i][k][v][s]≦0 ・・・(1)
第k日、キャスト番号v、第m(m=1,・・・,M)番目の製銑・製鋼工程の設備稼働状況をO[k][v][m](1は稼動、0は休止)とすると、製銑・製鋼工程2(m=2)が休止であり、且つ、製銑・製鋼工程4(m=4)が休止のときに、B鋼種(i=2)が出鋼不可能である場合は以下のような制約式(式(2)、式(3))を設定する。
IF(O[k][v][2]+O[k][v][4]=0)
δ[2][k][v][s]=0 ・・・(2)
else
δ[2][k][v][s]≧0 ・・・(3)
他のキャスト毎の制約条件についても、式(2)、(3)と同様の制約式を設定する。
さらに、第k日、鋼種番号i、工程パターンj(j=1,・・・,J[i])、鋳造厚候補p(p=1は鋳造厚候補に小鋳造厚のみ持ち、p=2は鋳造厚候補に大小両方の鋳造厚を持つ)、キャスト番号v、鋳造厚s、の出鋼計画量x[i][j][p][k][v][s]とC[i][k][v][s]は以下の式(4)の関係で表される。
Figure 2010191820
なお、LOT_SIZEは1チャージ分の出鋼重量である。
鋳造厚候補に大鋳造厚が含まれない注文を大鋳造厚のキャストに割り当てることはできないため、以下の式(5)の関係式が成り立つ。
IF(p=1 ∧ s=2)
x[i][j][p][k][v][s]=0 ・・・(5)
なお、∧は、且つ(and)を表す記号である。
次に、評価関数設定ステップ(S207)にて、制約条件を満足しながら、精整工程の作業負荷の平準化、出鋼期限日の遵守及び同一キャストに含まれる鋼種継目数の最小化を行うことに関する評価関数を設定する。ここでいう評価関数の設定とは、予め作成された関数型の評価関数と関係式のパラメータを、設備・操業に関する制約条件に基づいて設定することを意味し、以降の評価関数の設定も同様の意味で用いる。
精整発生量は発生確率に左右されるので、第k日、工程lの精整発生量y[l][k]は、第k日、鋼種番号i、工程パターンj、鋳造厚候補p、キャスト番号v、鋳造厚sの出鋼計画量x[i][j][p][k][v][s]と、出鋼成分i、工程パターンj、工程番号l(1,・・・,L)の発生確率r[i][j][l]とを用いて以下の式(6)のように関係付けられる。
Figure 2010191820
以下の式(7)は、3日間の精整発生量の移動平均値と精整工程の処理能力y_max[l]との関係式であり、y_dp[l][k]は、3日間の精整発生量の移動平均値のうち、精整工程の処理能力を超過した量である。
Figure 2010191820
y_dp[l][k]が0のときは、3日間の精整発生量の移動平均値が精整工程の処理能力を超過しないことを意味する。すなわち、y_dp[l][k]を最小化することで精整工程の作業負荷の平準化が図られる。
注文マトリクスの出鋼期限日の通りに出鋼する必要はなく、実際の出鋼は出鋼期限日になるべく近くなるように出鋼すればよい。第k日、出鋼成分i、工程パターンj、鋳造厚候補p、キャスト番号v、鋳造厚sの出鋼計画量x[i][j][p][k][v][s]と、第k日、出鋼成分i、工程パターンj、鋳造厚候補p、出鋼期限日t(t=1,・・・,T)の出鋼要望量xt[i][j][p][t]と、第k日、出鋼成分i、工程パターンj、鋳造厚候補p、出鋼期限日t(t=1,・・・,T)の出鋼期限日に間に合わなかった量dm[i][j][p][t]と、第k日、出鋼成分i、工程パターンj、鋳造厚候補p、出鋼期限日t(t=1,・・・,T)の出鋼期限日より先作りした量dp[i][j][p][t]の関係は以下のように関係付けられる。
Figure 2010191820
出鋼期限日からの遅れを少なくするためにはdm[i][j][p][t]を最小化し、出鋼期限日からの先作りを少なくするためにはdp[i][j][p][t]を最小化すればよい。
異鋼種継目数は、キャスト別及び鋼種別の出鋼有無を表す0又は1の変数δ[i][k][v][s]の立案期間内の合計値から立案期間内のキャストの数を引いた数に相当するため、δ[i][k][v][s]の立案期間内の合計値を最小化すればよい。
式(7)〜(9)より、以下の式(10)のような評価関数を設定する。
Figure 2010191820
ここで、W1、W2、W3はそれぞれ、精整負荷の平準化、出鋼期限日の遵守及び同一キャストに含まれる異鋼種継目数の最小化に対する相対的な評価重みである。
次に、最適化ステップ(S208)にて、例えば混合整数計画法により制約式(1)〜(9)を満たしつつ、評価関数(10)が最小となるような出鋼計画量x[i][j][p][k][v][s]を算出すると、与えられた問題に対して厳密な最適解を得ることが可能であるため、好ましい。混合整数計画法とは、目的関数を制約式が線形で表される問題(線形計画問題)の変数の一部に対して、値が整数でなければならないという条件が追加された問題(混合整数計画問題)の厳密解を算出する手法である。
また、本発明の目的は前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
次に、本実施形態に係る注文割り当て方法の実施例について、厚板製造を例に用いてより詳細に説明する。ここでは、注文総量が22131tonの前記注文に対して、10日間の出鋼計画を立案するものとする。注文情報入力手段101において図3に示すような注文情報のオペレーター入力を受け付ける。図3は、注文毎の品種、鋼種、製品板厚(図3では「板厚」と表記)、冷却パターン、制御圧延方法、出鋼期限日、鋳造厚候補、重量の一例を示している。図3に示している鋳造厚候補1と鋳造厚候補2については、以降で説明する。品種は、鋼種と工程パターンとから定義され、例えば注文4は、鋼種がB、全9工程の工程パターンが001100000であることを示している。図4に、品種別及び工程番号別の発生確率の一例を示す。図4に示すように、例えば11行目の品種B001100000の各精整工程の発生確率は、工程3が0.659、工程4が1.341であることを意味している。なお、1枚の注文によって同じ精整工程が複数回発生することもあるため、工程4のように発生確率が1を超えることもあり得る。
次に、仮鋳造厚候補割り当て手段110において、前記注文の全てに対して、鋳造厚候補として小鋳造厚を割り当て、さらに、製品板厚が、冷却パターン毎に予め指定された「大鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合に小鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合よりも単位時間当たりの圧延重量が大きくなり、かつ、圧延後の冷却開始温度を所定の値以上に確保できる最小板厚」以上であるという、圧延能率に関する条件を満足する注文に対して、鋳造厚候補として大鋳造厚を更に割り当てる。
大鋳造厚で鋳造可能な冷却パターン毎の最小の製品板厚を図5に示すように定めると、例えば、注文1は、冷却パターンが冷却無しであり、かつ、製品板厚が24mmであるので(図3を参照)、鋳造厚候補には大小両方の鋳造厚が割り当てられる。このように割り当てた結果を図3の鋳造厚候補1に格納する。鋳造厚候補1が1の注文は小さい方の鋳造厚のみの鋳造が可能であり、鋳造厚候補1が2の注文は大小両方の鋳造厚で鋳造が可能であることを示している。なお、鋼種によっては大鋳造厚で鋳造することが不可能な鋼種も複数あり、例えば注文39では、製品板厚が図5で定められた最小板厚以上であるにも関わらず、鋳造厚候補1に1が割り当てられる。
次に、スラブ設計歩留判定手段111では、鋳造厚候補1に2が割り当てられた注文に対して、所定の出鋼期限日の範囲内で、製品板厚及び制御圧延方法毎に集約した注文重量が所定量、例えば40ton以上ある注文を、スラブへの注文割り当て時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足する注文であると判定する。本実施例では、表5と同様の集計を行う。図3には全ての注文を記載していないが、例えば鋳造厚候補に大鋳造厚が含まれる、すなわち鋳造厚候補1が2の注文に対して、制御圧延方法が制御圧延無しであり、板厚が25mmであり、出鋼期限日が第11日〜第20日の合計重量は40ton未満であるため、注文13は大鋳造厚で鋳造するとスラブへの注文割り当て時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足しないと判定する。
次に、鋳造厚候補変更手段では112では、前記スラブ設計歩留判定手段111でスラブ歩留に関する所定の条件を満足しないと判定された注文に対して、鋳造厚候補から大鋳造厚を除く。例えば、前述したように、図3に示す注文13はスラブ歩留に関する所定の条件を満足しないため、鋳造厚候補2に1を割り当てる。一方、スラブ歩留に関する所定の条件を満足する注文には、鋳造厚候補1と同じ値を鋳造厚候補2に割り当てる。
次に、注文マトリクス作成手段103では、前記注文の注文情報を基に、例えば、図6に示す品種別、鋳造厚候補別及び出鋼期限日別に集計した注文重量を格納した注文マトリクスを作成する。例えば、図6の9行目は、品種がA010010000、鋳造厚候補が1、出鋼期限日が0の注文重量が30tonであることを意味する。前述した出鋼要望量xt[i][j][p][t]は注文マトリクスの各枡の値のことである。
次に、キャスト枠入力手段104では、キャスト枠(キャスト毎の鋳造厚及びキャスト毎の出鋼チャージ数)を入力する。例えば表7において、出鋼計画日が第1日の甲番から第2日目の乙番までのキャストは2種類の鋳造厚のうち小さい方の鋳造厚で8チャージ鋳造し、第2日目の丙番のキャストには大きい方の鋳造厚で7チャージ鋳造することを意味する。
次に、設備操業制約条件105では、各工程の設備稼働の状況を入力する。例えば、図7は製銑・製鋼工程1〜13の休止状況を0又は1を用いて表しており、製銑・製鋼工程4は、第1日の甲番から丙番の間に休止することを意味する。また、図8は、工程1〜9の日単位の処理能力を示しており、例えば、工程1は1日に300枚のプレートを処理できることを意味する。
次に、制約式設定手段106では、i(i=1,・・・,I)を鋼種番号、k(k=1,・・・,K)を出鋼計画日、v(v=1(甲),2(乙),3(丙))をキャスト番号、s(s=1,2)を鋳造厚(1は小鋳造厚、2は大鋳造厚)とすると、上記キャスト毎に入力された鋳造厚及び出鋼チャージ数の情報と、制約条件とを基に、鋼種番号別、出鋼計画日別、キャスト番号別、鋳造厚別の出鋼チャージ数C[i][k][v][s]と、鋼種番号別、出鋼計画日別、キャスト番号別、鋳造厚別の出鋼有無を表す0又は1の変数δ[i][k][v][s]とを用いて、キャスト単位に製銑・製鋼の制約式を設定する。キャスト枠入力ステップ(S204)にて入力された、第k日、キャスト番号v、鋳造厚sのキャストの出鋼チャージ数をM[k][v][s]とすると、前述したように、Cとδとは以下の式(11)の関係で表される。
C[i][k][v][s]−M[k][v][s]×δ[i][k][v][s]≦0 ・・・(11)
第k日、キャスト番号v、第m(m=1,・・・,M)番目の製銑・製鋼工程の設備稼働状況をO[k][v][m](1は稼動、0は休止)とする。また、I1、I2は、化学成分等の特性毎にグルーピングした鋼種の集合を表し、本実施例では鋼種BとGは集合I1、鋼種Hは集合I2に含まれるとする。「製銑・製鋼設備4と製銑製鋼設備5のどちらかが休止し(O[k][v][4]+O[k][v][5]≦1)、かつ、製銑・製鋼設備1と製銑製鋼設備2とが両方稼動しているときは、特性I1の鋼種(鋼種BとG)は出鋼不可能」という制約条件は以下の式(12)のような制約式で表される。
IF(O[k][v][4]+O[k][v][5]≦1 ∧ O[k][v][1]+O[k][v][2]=2 ∧ i∈I1
δ[i][k][v][s]=0 ・・・(12)
なお、他のキャスト毎の制約条件についても、式(12)と同様の制約式を設定する。
さらに、第k日、鋼種番号i、工程パターンj(j=1,・・・,J[i])、鋳造厚候補p(p=1は鋳造厚候補に小鋳造厚のみ持ち、p=2は鋳造厚候補に大小両方の鋳造厚を持つ)、キャスト番号v、鋳造厚s、の出鋼計画量x[i][j][p][k][v][s]とC[i][k][v][s]は以下の式(13)の関係で表される。
Figure 2010191820
なお、LOT_SIZEは1チャージ分の出鋼重量であり、本実施例では250tonとした。
鋳造厚候補に大鋳造厚が含まれない注文を大鋳造厚のキャストに割り当てることはできないため、以下の式(14)の関係式が成り立つ。
IF(p=1 ∧ s=2)
x[i][j][p][k][v][s]=0 ・・・(14)
次に、評価関数設定手段107にて、制約条件を満足しながら、精整工程の作業負荷の平準化、出鋼期限日の遵守及び、同一キャストに含まれる鋼種継目数の最小化に関する評価関数を設定する。
精整発生量は発生確率に左右されるので、第k日、工程lの精整発生量y[l][k]は、第k日、鋼種番号i、工程パターンj、鋳造厚候補p、キャスト番号v、鋳造厚sの出鋼計画量x[i][j][p][k][v][s]と、出鋼成分i、工程パターンj、工程番号l(1,・・・,L)の発生確率r[i][j][l]を用いて以下の式(15)のように関係付けられる。
Figure 2010191820
以下の式(16)は、3日間の精整発生量の移動平均値と精整工程の処理能力y_max[l]との関係式であり、y_dp[l][k]は、3日間の精整発生量の移動平均値のうち、精整工程の処理能力を超過した量である。
Figure 2010191820
ここで、y_dp[l][k]を最小化することで、精整工程の作業負荷の平準化が図られる。
注文マトリクスの出鋼期限日の通りに出鋼する必要はなく、実際の出鋼は出鋼期限日になるべく近くなるように出鋼すればよい。第k日、出鋼成分i、工程パターンj、鋳造厚候補p、キャスト番号v、鋳造厚sの出鋼計画量x[i][j][p][k][v][s]と、第k日、出鋼成分i、工程パターンj、鋳造厚候補p、出鋼期限日t(t=−T1,・・・,−1,0,1
,・・・,T2)の出鋼要望量xt[i][j][p][t]と、第k日、出鋼成分i、工程パターンj、鋳
造厚候補p、出鋼期限日t(t=1,・・・,T)の出鋼期限日に間に合わなかった量dm[i][j][p][t]と、第k日、出鋼成分i、工程パターンj、鋳造厚候補p、出鋼期限日t(t
=1,・・・,T)の出鋼期限日より先作りした量dp[i][j][p][t]との関係は以下のように関係付けられる。
Figure 2010191820
出鋼期限日からの遅れを少なくするためにはdmを最小化し、出鋼期限日からの先作りを少なくするためにはdpを最小化すればよい。
異鋼種継目数は、キャスト別及び鋼種別の出鋼有無を表す0又は1の変数δ[i][k][v][s]の立案期間内の合計値から立案期間内のキャストの数を引いた数に相当するため、δ[i][k][v][s]の立案期間内の合計値を最小化すればよい。
式(15)〜(18)より、以下の(19)のような評価関数を設定する。
Figure 2010191820
ここで、W1、W2、W3はそれぞれ、精整負荷の平準化、出鋼期限日の遵守及び同一キャストに含まれる異鋼種継目数の最小化に対する相対的な評価重みである。
次に、最適化手段108にて、例えば混合整数計画法により制約式(11)〜(18)を満たしつつ、評価関数(19)を最小となるような出鋼計画量x[i][j][p][k][v][s]を算出する。
図9と図10は出鋼計画の一例である。図9は、出鋼計画量x[i][j][p][k][v][s]を鋼種別、出鋼計画日別、キャスト番号別及び鋳造厚別に集約した結果であり、1行が1チャージである。例えば、出鋼計画日が第1日、キャスト番号が1(甲番)、鋳造厚が1(大鋳造厚)のキャストには、鋼種Fが8チャージ割り当てられていることを意味する。さらに、図10は、各々のチャージに割り当てられる注文名と品種名と鋳造厚候補とを示しており、例えば鋳造厚候補が2の注文65は出鋼番号0のチャージに割り当てられている。
本実施例における精整負荷発生量の3日間の移動平均値を各精整処理能力で除した値を正規化精整負荷と呼び、その値を図11に出鋼計画日別に示す。図11に示すように、精整負荷発生量は各精整処理能力値を大きく超過していないことが分かる。また、図7に示すように出鋼計画日の第1日の甲番から丙番にかけて製銑・製鋼設備4は休止であるが、製銑・製鋼工程1と製銑・製鋼工程2は両方稼動しているため、図9に示すように出鋼計画日の第1日の甲番から丙番にかけてB鋼種とG鋼種が計画に組まれておらず、製銑製鋼設備の制約条件に関する制約式である式(12)を満足していることが分かる。
また、本実施例における出鋼期限日と出鋼計画日との差のヒストグラムを図12に示す。図12に示すように、出鋼期限日から大きく外れた遅れ出鋼が存在しないことが分かる。
図13は、鋳造厚の大きい方のキャストに割り当てられた注文の注文重量を、出鋼計画日別、鋼種別、制御圧延方法別及び板厚別に集計した結果である。例えば、出鋼計画日が2であり、鋼種がZであり、制御圧延方法が制御圧延無しであり、製品板厚が32mmの重量合計は1199tonであり、歩留が良いと判定される基準である40ton以上存在することが分かる。このように歩留りが良いと判定される注文重量合計は20834tonであり、全出鋼計画量22131tonの94.1%となっている。一方、鋳造厚候補変更手段112を実施しなかった際の出鋼計画では、歩留りが良いと判定される注文重量合計は19770tonであり、全出鋼計画量22131tonの89.5%となり、鋳造厚候補変更手段112を実施した出鋼計画の方がスラブ設計時の歩留が良いことが分かる。さらに、1キャスト当たりの同鋼種のチャージ数の平均値は従来ではおよそ3程度であったが、本発明を用いることで4以上に改善された。
本実施例にかかる注文割り当て方法では、図4のような複数の注文に対して、それぞれの設備・納期等の制約条件下で、2種類の鋳造厚を持つ複数のキャストに注文を割り当てる出鋼計画を立案することができた。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
101 注文情報入力手段
102 鋳造厚候補割り当て手段
103 注文マトリクス作成手段
104 キャスト枠入力手段
105 設備操業制約条件入力手段
106 制約式設定手段
107 評価関数設定手段
108 最適化手段
109 注文割り当て結果出力手段
110 仮鋳造厚候補割り当て手段
111 スラブ設計歩留判定手段
112 鋳造厚候補変更手段
S201 注文データベース格納ステップ
S202 鋳造厚候補割り当てステップ
S203 注文マトリクス作成ステップ
S204 キャスト枠入力ステップ
S205 設備操業制約条件入力ステップ
S206 制約式設定ステップ
S207 評価関数設定ステップ
S208 最適化ステップ
S209 注文割り当て結果出力ステップ
S210仮鋳造厚候補割り当てステップ
S211 スラブ設計歩留判定ステップ
S212 鋳造厚候補変更ステップ

Claims (20)

  1. 大小2種類の異なる鋳造厚を持つ複数のキャストに、鉄鋼製品である鋼板の複数の注文を割り当てる注文割り当て作業において、圧延能率とスラブ歩留に関する条件を満足する鋳造厚の候補を注文に割り当てて、製銑・製鋼工程の操業制約を満足し、かつ、精整工程の作業負荷の平準化と出鋼期限日の遵守と同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とを実現する注文の割り当てを行う注文割り当て装置であって、
    前記注文についての、少なくとも、品種と、製品板厚と、圧延後の板の冷却方法である冷却パターンと、圧延機による板の圧延方法である制御圧延方法と、納期を出鋼から出荷までかかる日数だけ遡った日である出鋼期限日と、重量とを含む注文情報のオペレーターによる入力を受け付ける注文情報入力手段と、
    前記注文情報入力手段により注文情報が入力された注文において、大小2種類の異なる鋳造厚のうち、鋳造厚の候補として全ての注文に対して小鋳造厚を割り当てるとともに、スラブ歩留まりと圧延能率とに関する所定の条件を満足する注文に対して鋳造厚の候補として大鋳造厚を更に割り当てて、該鋳造厚の候補を注文情報に書き込む鋳造厚候補割り当て手段と、
    前記鋳造厚候補割り当て手段により鋳造厚の候補が書き込まれた前記注文情報を基に、品種別、鋳造厚の候補別及び出鋼期限日別に集計した注文重量を格納した注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成手段と、
    キャスト毎に、鋳造厚と、出鋼時の溶鋼を受け取る鍋の杯数である出鋼チャージ数とのオペレーターによる入力を受け付けるキャスト枠入力手段と、
    設備・操業に関する制約条件のオペレーターによる入力を受け付ける設備操業制約条件入力手段と、
    前記キャスト枠入力手段によって入力された鋳造厚及び出鋼チャージ数と、前記設備操業制約条件入力手段によって入力された設備・操業に関する制約条件とを用いて、前記キャスト枠入力手段で鋳造厚と出鋼チャージ数とが入力されたキャスト毎に制約式を設定する制約式設定手段と、
    前記設備操業制約条件入力手段によって入力された設備・操業に関する制約条件を用いて、精整工程の作業負荷の平準化と、出鋼期限日の遵守と、同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とに関する評価関数を設定する評価関数設定手段と、
    前記注文マトリクス作成手段により作成された注文マトリクスの情報を用いて、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数を最小にする最適化計算を行って前記注文マトリクスに格納された注文の複数のキャストへの最適な割り当てを決定する最適化手段と、
    前記最適化手段によって決定された注文割り当て結果を出力する注文割り当て結果出力手段と、
    を備えることを特徴とする注文割り当て装置。
  2. 前記鋳造厚候補割り当て手段は、
    前記注文の全てに対して、鋳造厚の候補として小鋳造厚を割り当てるとともに、製品板厚と冷却パターンとにより定められる圧延能率に関する条件に基づいて、大鋳造厚を選択可能な注文に対して鋳造厚の候補として大鋳造厚を更に割り当てる仮鋳造厚候補割り当て手段と、
    前記仮鋳造厚候補割り当て手段により大鋳造厚が鋳造厚の候補として割り当てられた注文が、スラブ設計時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足するか否かを判定するスラブ設計歩留判定手段と、
    前記仮鋳造厚候補割り当て手段によって鋳造厚の候補として大鋳造厚が割り当てられた注文のうち、前記スラブ設計歩留判定手段により、スラブ設計時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足しないと判定された注文に対して、前記注文情報に書き込まれた鋳造厚の候補から大鋳造厚を除く鋳造厚候補変更手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の注文割り当て装置。
  3. 前記仮鋳造厚候補割り当て手段は、前記注文の全てに対して、鋳造厚の候補として小鋳造厚を割り当て、さらに、製品板厚が、大鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合に小鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合よりも単位時間当たりの圧延重量が大きくなり、かつ、圧延後の冷却開始温度を所定の値以上に確保できる最小板厚であって、冷却パターン毎に予め指定された最小板厚以上であるという、圧延能率に関する条件を満足する注文に対して、鋳造厚の候補として大鋳造厚を割り当てることを特徴とする請求項2に記載の注文割り当て装置。
  4. 前記スラブ設計歩留判定手段は、2種類の鋳造厚のうち大鋳造厚が鋳造厚の候補として含まれる注文のうち、所定の出鋼期限日の範囲内で、製品板厚及び制御圧延方法毎に集約した注文重量が所定量以上ある注文を、スラブへの注文割り当て時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足すると判定することを特徴とする請求項2または3に記載の注文割り当て装置。
  5. 前記キャスト毎に作成する制約式が、製銑と製鋼の休止時間を基にキャスト毎に設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の注文割り当て装置。
  6. 前記精整工程の作業負荷の平準化とは、日毎の作業負荷の移動平均値と、日毎の精整処理能力との差分を最小化することであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の注文割り当て装置。
  7. 前記出鋼期限日の遵守とは、品種毎の出鋼計画日と、出鋼期限日との差分を最小化することであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の注文割り当て装置。
  8. 前記同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とは、同一キャスト内に含まれる鋼種の数を最小化することであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の注文割り当て装置。
  9. 前記最適化手段において、混合整数計画法を用いて、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数の値を最小にする最適化計算を行うことにより、前記注文の複数のキャストへの割り当てを最適化することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の注文割り当て装置。
  10. 大小2種類の異なる鋳造厚を持つ複数のキャストに、鉄鋼製品である鋼板の複数の注文を割り当てる注文割り当て作業において、圧延能率とスラブ歩留に関する条件を満足する鋳造厚の候補を注文に割り当てて、製銑・製鋼工程の操業制約を満足し、かつ精整工程の作業負荷の平準化と出鋼期限日の遵守と同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とを実現する注文の割り当てを行う注文割り当て方法であって、
    前記注文についての、少なくとも、品種と、製品板厚と、圧延後の板の冷却方法である冷却パターンと、圧延機による板の圧延方法である制御圧延方法と、納期を出鋼から出荷までかかる日数だけ遡った日である出鋼期限日と、重量とを含む注文情報のオペレーターによる入力を受け付ける注文情報入力ステップと、
    前記注文情報入力ステップにより注文情報が入力された注文において、大小2種類の異なる鋳造厚のうち、鋳造厚の候補として全ての注文に対して小鋳造厚を割り当てるとともに、スラブ歩留まりと圧延能率とに関する所定の条件を満足する注文に対して鋳造厚の候補として大鋳造厚を更に割り当てて、該鋳造厚の候補を注文情報に書き込む鋳造厚候補割り当てステップと、
    前記鋳造厚候補割り当てステップにより鋳造厚の候補が書き込まれた前記注文情報を基に、品種別、鋳造厚の候補別及び出鋼期限日別に集計した注文重量を格納した注文マトリクスを作成する注文マトリクス作成ステップと、
    キャスト毎に、鋳造厚と、出鋼時の溶鋼を受け取る鍋の杯数である出鋼チャージ数とのオペレーターによる入力を受け付けるキャスト枠入力ステップと、
    設備・操業に関する制約条件のオペレーターによる入力を受け付ける設備操業制約条件入力ステップと、
    前記キャスト枠入力ステップによって入力された鋳造厚及び出鋼チャージ数と、前記設備操業制約条件入力ステップによって鋳造厚と出鋼チャージ数とが入力された設備・操業に関する制約条件とを用いて、前記キャスト枠入力ステップで鋳造厚と出鋼チャージ数とが入力されたキャスト毎に制約式を設定する制約式設定ステップと、
    前記設備操業制約条件入力ステップによって入力された設備・操業に関する制約条件を用いて、精整工程の作業負荷の平準化と、出鋼期限日の遵守と、同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とに関する評価関数を設定する評価関数設定ステップと、
    前記注文マトリクス作成ステップにより作成された注文マトリクスの情報を用いて、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数を最小にする最適化計算を行って前記注文マトリクスに格納された注文の複数のキャストへの最適な割り当てを決定する最適化ステップと、
    前記最適化ステップによって決定された注文割り当て結果を出力する注文割り当て結果出力ステップと、
    を備えることを特徴とする注文割り当て方法。
  11. 前記鋳造厚候補割り当てステップは、
    前記注文の全てに対して、鋳造厚の候補として小鋳造厚を割り当てるとともに、製品板厚と冷却パターンとにより定められる圧延能率に関する条件に基づいて、大鋳造厚を選択可能な注文に対して鋳造厚の候補をとして大鋳造厚を更に割り当てる仮鋳造厚候補割り当てステップと、
    前記仮鋳造厚候補割り当てステップにより大鋳造厚が鋳造厚の候補として割り当てられた注文が、スラブ設計時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足するか否かを判定するスラブ設計歩留判定ステップと、
    前記仮鋳造厚候補割り当てステップによって鋳造厚の候補として大鋳造厚が割り当てられた注文のうち、前記スラブ設計歩留判定ステップにより、スラブ設計時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足しないと判定された注文に対して、前記注文情報に書き込まれた鋳造厚の候補から大鋳造厚を除く鋳造厚候補変更ステップと、
    をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の注文割り当て方法。
  12. 前記仮鋳造厚候補割り当てステップは、前記注文の全てに対して、鋳造厚の候補として小鋳造厚を割り当て、さらに、製品板厚が、大鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合に小鋳造厚で鋳造したスラブを圧延する場合よりも単位時間当たりの圧延重量が大きくなり、かつ、圧延後の冷却開始温度を所定の値以上に確保できる最小板厚であって、冷却パターン毎に予め指定された最小板厚以上であるという、圧延能率に関する条件を満足する注文に対して、鋳造厚の候補として大鋳造厚を割り当てることを特徴とする請求項11に記載の注文割り当て方法。
  13. 前記スラブ設計歩留判定ステップは、2種類の鋳造厚のうち大鋳造厚が鋳造厚の候補として含まれる注文のうち、所定の出鋼期限日の範囲内で、製品板厚及び制御圧延方法毎に集約した注文重量が所定量以上ある注文を、スラブへの注文割り当て時のスラブ歩留に関する所定の条件を満足すると判定することを特徴とする請求項11または12に記載の注文割り当て方法。
  14. 前記キャスト毎に設定する制約式が、製銑と製鋼の休止時間を基にキャスト毎に設定されることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の注文割り当て方法。
  15. 前記精整工程の作業負荷の平準化とは、日毎の作業負荷の移動平均値と日毎の精整処理能力との差分を最小化することであることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の注文割り当て方法。
  16. 前記出鋼期限日の遵守とは、品種毎の出鋼計画日と出鋼期限日との差分を最小化することであることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載の注文割り当て方法。
  17. 前記同一キャスト内の異鋼種継目数の最小化とは、同一キャスト内に含まれる鋼種の数を最小化することであることを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の注文割り当て方法。
  18. 前記最適化ステップにおいて、混合整数計画法を用いて、前記制約式を満足する範囲で前記評価関数の値を最小にする最適化計算を行うことにより、前記注文の複数のキャストへの割り当てを最適化することを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載の注文割り当て方法。
  19. 請求項10〜18のいずれか1項に記載の注文割り当て方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  20. 請求項19に記載のコンピュータプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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