JP2010189701A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率的に基板温度を変化させ、又、装置隔壁に熱応力による変形をもたらさずに、安定して成膜することができる成膜装置を実現する。
【解決手段】成膜の原料となる原料ガスが原料ガス導入口17から導入された反応槽10内で、処理対象の基板1は、陽極13上に載置される。反応槽10内にあって、陽極3の下方に、反応槽10内の気密を維持した状態で移動して陽極13からの距離を自由に変えることのできる冷却プレート21が配置されている。冷却プレート21には、シャフト22を介して循環水冷却機25から、温度制御された冷却水が与えられ、陽極13を、隔壁を介さず冷却することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、成膜装置に関する。
ナノダイヤモンド(ND)とカーボンナノウォール(CNW)とで電子放出面を構成したND/CNWエミッタは、電子放出特性に優れることが、下記特許文献1に示されている。
ND/CNWエミッタは、プラズマCVD成膜装置によって、作製可能である。
プラズマCVDプロセスによって基板上に所定の薄膜を成膜する際には、基板温度が成膜速度、膜質を決定する最も重要なパラメータとなる。例えば、ND/CNWエミッタは、DCプラズマCVD法によって作製されるが、その作製の過程は、プラズマに暴露された基板上にまず、グラフェンシート集合体であるCNWを成膜し、その後、基板温度を数十℃程度低下させることでCNW層上にND層を形成する。
プラズマCVD法によって基板温度を制御する方法としては、プラズマへの印加電力、反応槽内圧力を減少させることで、プラズマが基板へ与える熱流速を変化させる方法と、基板からヒートシンクへ熱流束を変化させる方法とがある。
プラズマの温度を変えることによって基板温度を低下させる最も簡便な方法は、プラズマを誘起する電力を減少させることである。しかし、電力を減少させると、プラズマ中の気体、電子温度が下がるだけでなく、堆積物の原料となる活性種の分布範囲が小さくなるため、有効な成膜面積が小さくなるという問題がある。このため、CNW層上にND層を形成する場合のように、基板温度を大きく減少させる場合には、プラズマ自体に大きな影響を与えないで基板温度を変化させる後者の方法が望ましい。
そのような基板温度の制御方法としては、以下の1),2),3)のような技術が周知である。
1)基板が載置される電極(或いはステージ)の背面に流体を通す管を設け、管に流入させる流体の温度を制御することで基板温度を変化させる方法。
2)反応槽内で基板自体を、温度調節機能が備わった基板載置台から離したり、あるいは載置させたりすることで大きく基板温度を変化させる方法(下記特許文献2参照)。
3)流体を通すことで温度が制御された温度制御部材と、基板(あるいは基板を載せたステージ、電極)が載置されている反応槽隔壁との距離、あるいは、隔壁との接触面積を変化させることで、基板から流体までの熱抵抗を変化させて基板温度を制御する方法。
尚、ND/CNWエミッタを作製する際に好適な基板温度の測定方法には、下記特許文献3に示されたものが公知なっている。
特許文献3に示された基板温度の測定方法は、プラズマ雰囲気で加熱される基板の温度を測定する温度測定装置であって、予め、基板からの熱輻射による放射輝度が、輝度計の計測誤差以下の状態のプラズマ発光のスペクトルを測定しておいてから、測定されたスペクトルのうち、プラズマ誘起電力を変化させても各波長の放射輝度比が変化しない波長領域を選定し、基板に関するプランクの放射式或いはその近似式と前記スペクトルを線形結合した式を、その選定された波長領域において、基板の熱輻射とプラズマ発光が重畳したスペクトルに非線形最小自乗法によりフィッティングさせることで、基板に加熱処理している際の基板の温度を、フィットされた式のパラメータより算出する。
特開2006−179457号公報 特開2008−235309号公報 特開2007−64857号公報
前述の1)の方法では、一般に、循環させる流体の温度は、上昇させるより下降させる方が難しいため、微妙な制御を行うためには、一度冷却してからヒータによって制御しなければならないため、エネルギーのロスが大きい。又、循環される流体は、冷却される循環水冷却機内の量を含めるとその熱容量が、基板やそれが載置されるステージに対して非常に大きなものとなるため、基板温度を大きく変化させるときには、エネルギーのロスはさらに大きなものとなる。
2)の方法では、比較的簡便に基板温度を大きく変化させうるが、プラズマCVD法などの場合ではプラズマの分布状態に対する基板の配置が、合成される膜特性や成膜領域を大きく変化させる問題がある。このため、基板自体を移動させる本手法は、基板温度のみを変化させたい場合には不適当である。
3)の方法は、比較的プラズマ条件を変化させずに基板温度を大きく(数十℃程度)変化させうる方法であるが、以下の理由により真空槽の耐久性及び成膜の安定性に問題が生じる。
通常、減圧された状態を維持しなければならない成膜過程において、反応槽の隔壁は大気圧差に耐えるよう、ある程度の厚みをもたせた金属、或いは石英ガラスで作製される。しかし、基板温度を変化させるために隔壁の裏表で大きな温度勾配を生じさせると、隔壁に熱応力による変形が生じる。
この変形により隔壁と基板や基板載置台との接触面積が減少し、基板と温度制御部材までの間の熱抵抗が増大する。この熱抵抗の増大が、基板温度に所定の変化をもたらすために必要となる冷却力を増大させるため、装置の運転を続けるに従って隔壁に生じる熱応力と、それによる変形量がさらに増大する。このような悪循環は、隔壁を厚くすることで抑制されるが、隔壁厚さの増大は、温度制御部材と基板間の熱流束に対して、隔壁を通して装置本体に逃げる熱流束の大きさを増大させることになり、温度制御域を減少させる問題がある。又、隔壁を通して装置本体に流れる熱流束の増大は、基板温度を高い状態に維持したい場合に、エネルギーの損失を増大させる。
本発明は、以上のような現情を鑑みてなされた発明であり、プラズマを誘起する電極と基板の位置関係、すなわちプラズマと基板の位置関係を変えることなく、効率的に基板温度を変化させ、又、装置隔壁に熱応力による変形をもたらさずに、安定して成膜することができる成膜装置を実現することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の観点に係る成膜装置は、
処理対象体に成膜をする成膜装置であって、
反応槽と、
成膜の原料となる原料ガスを前記反応槽内に流通させる手段と、
前記反応槽内にあって処理対象体が載置されるステージと、
前記反応槽内にあって、前記ステージの下方に位置し、該反応槽の気密を維持した状態で移動して前記ステージからの距離を自由に変えることのできる温度制御された温度制御用部材と、
を備えることを特徴する。
尚、前記ステージが、前記反応槽内にプラズマを誘起するための陰極又は陽極であってもよい。
又、前記反応槽内に複数の支柱によって固定されて前記ステージを所定の位置に支持し、前記ステージの下側を下方に露出させる孔が形成されたステージサポートを有してもよい。
又、前記温度制御用部材に接触させない状態で、前記ステージの下側と前記温度制御用部材とを覆う保護カバーを有してもよい。
又、前記温度制御用部材の上側と、前記ステージの下側とに、該温度制御用部材の移動方向と平行方向に放熱板がそれぞれ設置され、各々の放熱板は該温度制御用部材が移動することによって接触せずに放熱板同士が対向するようにしてもよい。
又、前記温度制御用部材と前記ステージとの間に、抜き差し可能で熱輻射光に対して高反射率の材料によって形成された反射板を有してもよい。
又、前記温度制御用部材が前記ステージから最も離れた位置にある状態で、前記ステージからの熱輻射光に対して高反射率の材料で構成された反射板による扉を該温度制御用部材の上側で開閉する開閉機構を有してもよい。
本発明によれば、プラズマと基板の位置関係を変えることなく、効率的に基板温度を変化させ、又、装置隔壁に熱応力による変形をもたらさずに、安定して成膜することができる成膜装置を実現することができる。
本発明の第1の実施形態に係るプラズマCVD成膜装置を示す構成図である。 プラズマCVD成膜装置の底部から見た電極サポート及び陽極を示す図である。 従来型のプラズマCVD成膜装置を示す構成図である。 図1の構成例と図3の構成例の装置において、冷却板の操作によって基板温度がどのように変化するかを、分光的に評価した結果を示す図である。 基板の温度と放射率変化を示す図である。 図1の装置での成膜によって得られたND/CNW膜による電子放出特性を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るプラズマCVD成膜装置の要部を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るプラズマCVD成膜装置の要部を示す図である。 本発明の第3の実施形態のプラズマCVD成膜装置の要部を示す図である。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプラズマCVD成膜装置を示す構成図である。
図2は、プラズマCVD成膜装置の底部側から見た電極サポート及び陽極を示す図である。
このプラズマCVD成膜装置は、処理対象のニッケル等の基板1の表面に膜を形成する装置であり、反応槽10を備えている。
反応槽10は、平板上の底部10aと、底部10aから立設されて反応槽10の内部を囲む側隔壁10bと、側隔壁10bの上側に取り付けられて反応槽10の内部を上側から覆う甲板部10cとを備え、基板1を外気から遮断する。
底部10aには、例えば3本の支柱11が立てられ、3本の支柱11の上端に、円板状の例えばステンレス製の電極サポート12が取り付けられている。電極サポート12の上面に例えばモリブデン製の陽極13が載置されている。陽極13の表面に基板1が載置される。電極サポート12の中央部には、陽極13の裏面を下側に露出させるための孔があけられている。
反応槽10の底部10aには、円筒状の保護カバー14が立てられ、保護カバー14の内周面が電極サポート12及び支柱11を、隙間をあけて囲んでいる。
陽極13の上方に陰極15が支持されている。陰極15は、陽極13及びそれに載置された基板1に対向している。
陽極13及び陰極15には、反応槽10に形成された図示しない挿通孔から挿通されたリード16a,16bがそれぞれ接続されている。リード16a,16bが挿通された挿通孔は、電流導入端子やシール剤等で封止され、反応槽10の内部の気密性を保っている。
反応槽10の甲板部10cには、原料ガス導入口17が形成され、反応槽10の底部10aには、排気口18が形成されている。排気口18は、図示しない可変バルブを介して図示しない排気装置に接続されている。反応槽10の側隔壁10bには、石英ガラス製の覗き窓19が配置されている。
陽極13の下側には、陽極13を冷却するための冷却機構20が配置されている。冷却機構20は、陽極13の裏面と対向する円板状の冷却プレート21と冷却プレート21を下側から支持するシャフト22と、シャフト22を上下に昇降させることにより、冷却プレート21を昇降させる昇降装置23と、フレキシブルチューブ24と、反応槽10の外部に設けられた循環水冷却機25とで、構成されている。底部10aには、凹部10dが形成され、昇降装置23が冷却プレート21を陽極13から大きく離した状態では、冷却プレート21が凹部10dに収まるようになっている。
冷却プレート21の内部には、図示しない水路が形成され、冷却水が流通するようになっている。シャフト22の内部には、冷却プレート21に冷却水を導く図示しない水路と、冷却プレート21から排出された水を循環水冷却機25に排出する図示しない水路が形成されている。循環水冷却機25は、シャフト22を介して冷却水を冷却プレート21に送り、冷却プレート21から排出された水を再び冷却して、冷却プレート21に送る。
フレキシブルチューブ24の上端は、冷却プレート21の下側に固着され、フレキシブルチューブ24の下端は底部10aの凹部10dの最下部に接続され、冷却プレート21及びシャフト22を昇降させても、反応槽10の気密が保たれるようになっている。
反応槽10の外部には、分光輝度計30と制御部31とが備えられている。
分光輝度計30は、覗き窓19を介して基板1の表面からの光スペクトルを計測する。制御部31は、光スペクトルの計測結果から基板1の温度及び放射率を同時に求め、これに応じて陰極15に印加する電圧及び電流を制御する。
以上の構成のプラズマCVD成膜装置は、流量制御された原料ガス(水素、メタンガス)が原料ガス導入口17から反応槽10内に導入される。又、可変バルブを介して排気装置に接続された排気口18は、図示しない圧力計からのデータに応じて可変バルブを制御することで、排気速度が制御され、反応槽10内の圧力は減圧された状態で一定に保たれる。
原料ガス雰囲気で陰極15、陽極13間に所定の電圧を印加することで、プラズマの陽光柱が基板1の上方に発生する。基板1を陽光柱40に曝した状態で、基板1の温度を制御することで、グラフェンシートの集合体であるカーボンナノウォール(CNW)の層やナノメートルサイズの結晶集合体であるナノダイヤモンド(ND)の層からなる複合層を基板1に連続的に成膜することが可能である。このようなND/CNWの複合層を持つ構造体は、電界放出型光源のエミッタとして、非常に優れた電子放出特性を示す。
ND/CNWの複合層を持つND/CNWエミッタを作製する場合、成膜過程において基板1の温度と放射率をその場計測するため、基板1からの光のスペクトルを、覗き窓19を通して分光輝度計30で定期的に計測する。制御部31は、計測されたスペクトルから基板1の温度と放射率を同時にリアルタイムで計算する。この制御部31は、測定されたスペクトルから、基板1からの熱輻射光の寄与分を、事前に測定したプラズマ光のみのスペクトルを利用した非線形最小自乗法によって評価することで、基板1の温度と、(相対的な)基板1の輻射率をリアルタイムに算出できる。又、その結果をうけてプラズマを誘起するために陰極に印加される電圧、電流を制御することができる。
ND層やCNW層を成膜する際に堆積物の膜特性を決定する最も支配的な要因は基板1の温度であり、成膜領域を確保しつつ膜質を制御するためには、プラズマ条件と、ほとんど独立に基板1の温度を制御する操作が必要となる。冷却機構20は、循環水冷却機25によって20℃に管理された水を冷却プレート21の内部に循環させ、基板1が載置される陽極13の背面に冷却プレート21を近づけたり、遠ざけたりすることで、陽極13上に載置された基板1の温度を変化させる。
この冷却プレート21と基板1が載置される陽極13との間の放射伝熱をできるだけ妨げないように、電極サポート12の中央部にあけられた孔を、冷却プレート21の外径に近い大きさとすることが望ましい。
電極サポート12を、できるだけ細い支柱11を使用して必要最小限の本数で支えることにより、支柱11を通して反応槽10に逃げる熱流速を最小限に抑えることが望ましい。又、支柱11を円筒、又は円柱型にすることで支柱11に生じる熱応力による変形を、最小限に抑えることができる。
冷却プレート21と陽極13との間の熱伝導は基本的に輻射伝熱であるため、冷却プレート21や陽極13の背面などに不必要な堆積が生じると、両者の表面の放射率が変化して、同じ構成でも陽極13と冷却プレート21間の熱流束が変化してしまう。保護カバー14は、この輻射伝熱に影響を及ぼす堆積を抑制するために、陽光柱内で生まれた活性なガスが直接電極サポート12の内側に入ってこないようにする。又、保護カバー14は電極サポート12や支柱11から輻射伝熱によって反応槽10に逃げる熱流束を抑える効果も期待できる。又、保護カバー14は、冷却プレート21に直接接触させないため、強い温度勾配が生じず、保護カバー14の熱応力による変形はごく僅かである。
図3は、従来型のプラズマCVD成膜装置を示す構成図であり、図1と共通する要素には共通の符合が付されている。
冷却プレート21が反応槽10の隔壁の外部にある本実施形態に対し、図3に示されるような従来型のプラズマCVD成膜装置は、反応槽10の底部10aの一部を反応槽10の内側に凸状になるように形成し、凸状となった凸部10eの頂部に陽極13が載置され、その下方から冷却プレート21を近づける。即ち、冷却プレート21が反応槽10の隔壁の外部にある。このような装置では、基板1の温度冷却時に、凸部10eの隔壁は反応槽10内部側と大気側との間で強い温度勾配に曝される。この熱応力による隔壁の変形を小さくするために、凸部10eは厚い金属で作製される。
図4に、図1の構成例と図3の構成例の装置において、冷却板の操作によって基板温度がどのように変化するかを、公知の前記特許文献3の手法に基づいて分光的に評価した結果を示す。
試料には、厚さ0.7mmの低抵抗P型Si基板(抵抗率:1〜10Ω・cm)を使用し、反応槽10内部に、原料ガスを水素500sccm、メタンガス55sccmで導入し、ガス圧60Torrとなるように維持した。電極間隔は60mmとし、冷却プレート21が最も下げられた状態(冷却プレート21と陽極13の背面の間の距離x1、冷却プレート21と凸部10eの隔壁との間の距離x2が各々55mm)でプラズマからの熱流束により各々の基板1の表面温度が980℃に維持するよう電極間に流れる電流量を調節した。基板1の温度が安定した後、電流量一定のままで、冷却プレート21を段階的に近づけていき、冷却プレート21の操作から5分後に計測された基板1の温度の値を評価した。冷却プレート21に流される循環水は、循環水冷却機25によって、入水温度が常に20℃に保たれ、約5L/minで流された。図3凸部10eの隔壁は厚さ10mmの調質鋼で作製されたものを使用した。
図4(1)に示されるように、本実施形態のプラズマCVD成膜装置の冷却機構20によれば、冷却プレート21の位置x1が、30mm以下になると基板1の温度が下がり始め、その後、冷却プレート21の位置x1が3mmのところでほぼ900℃に達し、基板温度を80℃下げることができた。
一方、図4(2)に示される従来型のプラズマCVD成膜装置による実験結果では、凸部10eの厚い隔壁が熱抵抗となることで、冷却プレート21と凸部10eの隔壁との距離x2を1mmまで近づけても基板温度の低下は5℃であった。又、さらに、凸部10eの隔壁と冷却プレート21の間の距離x2を操作可能な最小距離である0.5mmまで近づけても、15℃程度しか基板1の温度は下がらなかった。冷却プレート21と凸部10eの隔壁を接触させることで40℃程度基板1の温度を下げることが可能ではあるが、接触と非接触の間で大きな温度差があり、その間での温度調整はできなかった。又、このような実験を繰り返すことで、隔壁の変形が進み、冷却可能な基板温度幅は徐々に減少していった。
以上の結果から、本実施形態における冷却機構20が温度制御幅の大きさや操作の安定性において従来型のプラズマCVD成膜装置よりも、優越した特性をもつことが示された。
次に、本実施形態のプラズマCVD成膜装置で、Ni基板1上にND/CNWを成膜した際の、CNW成膜後の冷却によるND成膜過程における、基板温度と放射率変化を示す。
図5は、基板の温度と放射率変化を示す図である。
試料として0.5mm厚さのNi基板1を用いた。前処理として基板1に50nm粒径のダイヤモンド粉末を10μg/cm塗布する処理を行った。その後、基板1を陽極13に載置した状態で反応槽10の内部を減圧し、原料ガスを水素500sccm、メタンガス55sccmで導入し、排気速度を調節することでガス圧60Torrとなるように維持した。電極間隔は60mmとし、x1が55mmの状態で基板1温度を990℃となるように維持することでCNWの成膜を2時間行った。その後、(図5では時刻0:30から)冷却プレート21を徐々にx1=4mmまで上昇させることで基板1の温度を低下させ、NDの成膜を行った。基板1の温度を冷却させることで、CNW膜上にNDが成膜され、基板1の放射率が、CNW成膜時のプラトー値(図5では1とした)に対して、徐々に0.7まで減少した。
この成膜によって得られたND/CNW膜による電子放出特性を図6に示す。電界強度、及び電子放出密度を、1×10−4Pa以下の真空槽内で、ND/CNW膜表面と陽極とを距離を2.9mmで対向させ、陽極側に500Hzのパルス電圧を印加した際の電圧変化とND/CNW層を流れる電流変化をオシロスコープによって記録することで評価した。
図6に示されるように、Ni基板1上のND/CNW膜は、1mA/cm2の電子放出をもたらす電界強度(閾値電界強度)が0.95V/μmであった。これは、実用的な電子放出素子に期待されるメルクマールである閾値電界強度1V/μm以下を達成しており、本実施形態のプラズマCVD成膜装置によって、Ni基板1上にもND/CNW膜を成膜することが可能であることが示された。
[第2の実施形態]
図7及び図8は、本発明の第2の実施形態に係るプラズマCVD成膜装置の要部を示す図であり、図1中の要素と共通する要素には共通の符合が付されている。
前述の第1の実施形態のプラズマCVD成膜装置の冷却過程の実験結果をしめす図4(1)では、冷却プレート21が陽極13に対して近づくほど、距離ステップΔx1に対する温度変化量が大きくなっている。これは、陽極13の背面のとある一点から冷却プレート21全体を望む立体角Ω=tan−1(R/x1)(但し、Rは冷却プレート21の半径)が、x1が小さくなるほど非線形的に大きくなることで、両者間の輻射伝熱を大きくするためである。このような傾向は、冷却機構20による温度変化量を大きく、かつ微細に制御したい場合に問題となる可能性がある。
そこで、この第2の実施形態のプラズマCVD成膜装置では、陽極13の裏面に伝熱フィン13a及び伝熱フィン13bが形成し、冷却プレート21の上側面に伝熱フィン21a及び伝熱フィン21bが形成されている。
伝熱フィン13aは、円筒状をなし、軸が陽極13の裏面から下方を向いている。
伝熱フィン13bは、円筒状をなし、伝熱フィン13aと同軸であると共に、伝熱フィン13aの外径よりも、伝熱フィン13bの内径が大きくなっている。
伝熱フィン21aは、円筒状をなし、軸が冷却プレート21の上面から上方を向いている。伝熱フィン21bは、円筒状をなし、伝熱フィン21aと同軸であると共に、伝熱フィン21aの外径よりも、伝熱フィン21bの内径が大きくなっている。
伝熱フィン13a及び伝熱フィン13bと伝熱フィン21a及び伝熱フィン21bとは、接触しない構成であるとともに、冷却プレート21が陽極13に近づいたとき、伝熱フィン21aの外周面が伝熱フィン13aの内周面と対向し、伝熱フィン21bの外周面が伝熱フィン13bの内周面と対向するようになっている。
このような構成を採用することにより、陽極13と、冷却プレート21の対向面積を実質的に増大させることができ、輻射熱によって交換される熱エネルギーを増大させることができる。
又、熱交換に最も寄与する最近接しあった状態の伝熱フィンの対向面積が、冷却プレート21が近づくにつれて、その距離に対して線形的に増大していくので、第1の実施形態の冷却プレート21と陽極13が近接しているときに生じる温度変化の非線形性が緩和される。
[第3の実施形態]
図9は、本発明の第3の実施形態のプラズマCVD成膜装置の要部を示す図であり、図1中の要素と共通する要素には共通の符合が付されている。
このプラズマCVD成膜装置は、金属板で構成され、陽極13からの輻射熱を反射するカバー50と、カバー50で底部10aの凹部10dの上側を開閉する反射板開閉機構51を備え、他の構成は第1の実施形態のプラズマCVD成膜装置と同様になっている。
前述の第1の実施形態のプラズマCVD成膜装置では、冷却プレート21を陽極13から離すにしたがって、陽極13のある点から冷却プレート21を望む立体角は減少し、陽極13から冷却プレート21に伝わる熱流束は少なくなっていくが、冷却プレート21の可動範囲はフレキシブルチューブ24の伸縮性の限界によって制限される。よって、冷却プレート21を最も陽極13から離した状態にあっても、熱輻射によって冷却プレート21へ伝わる熱流速が、陽極13から電極サポート12、支柱11を通じて装置に拡散される熱流速に対して無視できない量になる場合がある。
これに対し、図9の本実施形態のプラズマCVD成膜装置では、冷却プレート21が最下点にある状態で、反射板開閉機構51がカバー50で凹部10dの上方を閉じる。これにより、冷却プレート21に向かう輻射熱はカバー50によって陽極13側に反射され、陽極13から冷却プレート21に向かう熱流速が減少し、基板1の温度を高温に維持するときの損失を最小限に抑えることか可能となる。
尚、カバー50は、図9のような開閉式だけでなく、温度制御用部材の冷却プレート21と陽極13との間にカバー50を抜き差しする機構を設け、冷却プレート21と陽極13との間にカバー50を差し入れて陽極13から冷却プレート21に向かう輻射熱をカバー50で反射させるようにしてもよい。
1 基板
10 反応槽
10a 底部
10b 側隔壁
10c 甲板部
10d 凹部
11 支柱
12 電極サポート
13 陽極
13a 伝熱フィン
13b 伝熱フィン
14 保護カバー
15 陰極
17 原料ガス導入口
18 排気口
20 冷却機構
21 冷却プレート
21a 伝熱フィン
21b 伝熱フィン
22 シャフト
23 昇降装置
24 フレキシブルチューブ
25 循環水冷却機
30 分光輝度計
31 制御部
40 陽光柱
50 カバー
51 反射板開閉機構

Claims (7)

  1. 処理対象体に成膜をする成膜装置であって、
    反応槽と、
    成膜の原料となる原料ガスを前記反応槽内に流通させる手段と、
    前記反応槽内にあって処理対象体が載置されるステージと、
    前記反応槽内にあって、前記ステージの下方に位置し、該反応槽の気密を維持した状態で移動して前記ステージからの距離を自由に変えることのできる温度制御された温度制御用部材と、
    を備えることを特徴する成膜装置。
  2. 前記ステージが、前記反応槽内にプラズマを誘起するための陰極又は陽極であることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記反応槽内に複数の支柱によって固定されて前記ステージを所定の位置に支持し、前記ステージの下側を下方に露出させる孔が形成されたステージサポートを有することを特徴する請求項1又は2に記載の成膜装置。
  4. 前記温度制御用部材に接触させない状態で、前記ステージの下側と前記温度制御用部材とを覆う保護カバーを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の成膜装置。
  5. 前記温度制御用部材の上側と、前記ステージの下側とに、該温度制御用部材の移動方向と平行方向に放熱板がそれぞれ設置され、各々の放熱板は該温度制御用部材が移動することによって接触せずに放熱板同士が対向することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の成膜装置。
  6. 前記温度制御用部材と前記ステージとの間に、抜き差し可能で熱輻射光に対して高反射率の材料によって形成された反射板を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の成膜装置。
  7. 前記温度制御用部材が前記ステージから最も離れた位置にある状態で、前記ステージからの熱輻射光に対して高反射率の材料で構成された反射板による扉を該温度制御用部材の上側で開閉する開閉機構を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれが1項に記載の成膜装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10504513A (ja) * 1994-06-28 1998-05-06 ブリティッシュ・テクノロジー・グループ・リミテッド 基板の均一加熱用装置

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