JP2010189323A - 抗炎症剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】植物の葉茎部の抽出物を利用し、生体に対し副作用が少なく安全性が高い消化管疾患の予防・治療剤を提供する。
【解決手段】沖縄産紅芋、備瀬(ビセ)、アヤムラサキ、ナカムラサキ、種子島紫、山川紫等の紫イモの葉茎部の生又は乾燥されたものや、紫イモの葉茎部の処理物、例えば粉砕処理、細断処理、乾燥処理、焙煎処理、抽出処理、超音波ホモゲナイズ処理、凍結処理、加熱処理、酵素処理、発酵処理等を2以上組み合わせた処理物を含有する、食道炎、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌又は十二指腸癌、炎症性腸疾患等の消化管疾患の予防・治療用組成物、消化管疾患の予防・改善用機能性食品又は食品素材等。
【選択図】なし
【解決手段】沖縄産紅芋、備瀬(ビセ)、アヤムラサキ、ナカムラサキ、種子島紫、山川紫等の紫イモの葉茎部の生又は乾燥されたものや、紫イモの葉茎部の処理物、例えば粉砕処理、細断処理、乾燥処理、焙煎処理、抽出処理、超音波ホモゲナイズ処理、凍結処理、加熱処理、酵素処理、発酵処理等を2以上組み合わせた処理物を含有する、食道炎、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌又は十二指腸癌、炎症性腸疾患等の消化管疾患の予防・治療用組成物、消化管疾患の予防・改善用機能性食品又は食品素材等。
【選択図】なし
Description
本発明は、消化管疾患の予防・治療用組成物に関し、より詳しくは、紫イモ葉茎部由来の生理活性物質を利用した消化管疾患の予防・治療用組成物や、消化管疾患の予防・治療用の飲食品、消化管疾患の予防・治療用の食品又は食品素材の配合剤として使用する方法等に関する。
サツマイモなどの甘藷は、食物繊維、各種ビタミン、ミネラル等を豊富に含む健康食品であるので、これら甘藷を手軽に食するよう種々の食品形態が開発されている。この中で、アントシアニン色素を含有するムラサキイモ、ムラサキヤマイモなどは、キレイな紫色を呈するだけではなく、抗酸化作用、発癌抑制作用の他にも高血圧、動脈硬化、心臓病などに効果があることが知られ、これらの作用効果から生活習慣病の予防等にも役立つといわれており、魅力的な食品の一つである。
ムラサキイモ類は、従来、蒸し芋や焼き芋の他、和菓子類などのあんこや紫着色材料として利用され、また、麺類、餃子の皮にも添加されている(例えば、特許文献1,2参照)。さらに、ムラサキイモから色素を抽出して、食品に利用する技術として、ムラサキイモ類の生イモから有機酸及び鉱酸から選択された少なくとも一種を含む酸性液で色素を抽出した後、抽出した色素液を食用酢とするムラサキイモの加工方法(例えば、特許文献3参照)や、種子島紫または、その改良品種である紫イモを原料とするリキュールの製造方法において、原料紫イモを蒸煮、または、焙焼した後輪切りにして、30〜35%の栗焼酎に浸漬し、紫イモの色素とエキス分を抽出する紫イモを用いた栗焼酎様リキュールの製造方法(例えば、特許文献4参照)や、特定のスーパーオキシド消去活性等を有する固形又は液状の紫芋焼酎粕を含有する、紫芋由来のアンチエイジング用機能性食品(例えば、特許文献5参照)が知られている。
このように、従来、紫イモは、その塊根部を処理して菓子類、麺類、食酢、リキュール等に利用されているが、紫イモの葉茎部を疾患の予防・治療等のために用いられることは知られていない。
一方、抗生物質や、合成医薬の著しい進歩により、急速に減少した疾病もあるが、逆に以前に比べて増加している疾病や、原因が解明されていない疾病があり、その治療薬が開発されつつある。消化管疾患の一つである炎症性腸疾患もその原因が不明であり、主な疾患として、クローン病と潰瘍性大腸炎があり、患者は全国に約10万人いるとされ、これらは、共に特定疾患として認定されている。また最近、過敏性腸症候群、機能性胃腸症及び機能性腹痛症候群等の消化管疾患が増加傾向にある。
消化管疾患の予防・治療に天然物を利用した技術として、苦参を含有する潰瘍性大腸炎治療剤(例えば、特許文献6参照)や、カッ根黄連黄ゴン湯、またはその抽出物を有効成分として含有する炎症性腸疾患治療剤(例えば、特許文献7参照)や、芍薬を有効成分とする潰瘍性大腸炎治療剤(例えば、特許文献8参照)が知られている。
本発明の課題は、植物の葉茎部を利用し、生体に対し副作用が少なく安全性が高い消化管疾患の予防・治療剤を提供することにある。
本発明者らは、沖縄の環境に適して成育する種々の植物について、長年研究し、種々の薬効を解明してきた。紫イモも沖縄に良好に生育する植物の1つであり、紅芋といわれている。紫イモの塊根部は、種々の食品に利用され、近年では、紫イモに含まれるポリフェノールの一種であるアントシアニンの抗酸化作用、抗癌作用を有することから、注目されている。本発明者らは、従来、利用されていない紫イモ葉茎部にカフェ酸関連ポリフェノールやアントシアニン色素が高濃度に含まれていることを見い出し、紫イモ葉茎部の新たな生理作用を解明すべく鋭意検討した結果、紫イモ葉茎部の抽出成分に、消化管疾患に対して優れた効果があることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎部の処理物を有効成分として含有することを特徴とする消化管疾患の予防・治療用組成物や、(2)紫イモ葉茎部の処理物が、乾燥紫イモ葉茎部の熱水、クエン酸水溶液又はエタノール抽出物であることを特徴とする上記(1)記載の予防・治療用組成物や、(3)紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎部の処理物を、消化管疾患の予防・治療用組成物を製造するために使用する方法や、(4)紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎部の処理物を含有することを特徴とする消化管疾患の予防・改善用機能性食品又は食品素材や、(5)紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎の処理物を添加した食品又は食品素材を、消化管疾患の予防・治療用の食品又は食品素材として使用する方法に関する。
また本発明は、(6)紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎の処理物を、消化管疾患の予防・治療用の食品又は食品素材の配合剤として使用する方法や、(7)紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎部の処理物を食品又は食品素材に添加することを特徴とする消化管疾患の予防・治療用の食品又は食品素材を製造する方法や、(8)紫イモ葉茎部の処理物が、乾燥紫イモ葉茎部の熱水、クエン酸水溶液又はエタノール抽出物であることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれか記載の方法に関する。
本発明により、消化管疾患の予防・治療に極めて有効で、かつ、副作用の少ない消化管疾患の予防・治療用組成物を提供することができる。
本発明の消化管疾患の予防・治療用組成物としては、紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎部処理物を有効成分とするものであれば、特に制限されるものではなく、また、原料となる紫イモの種類についても、特に制限されず、例えば、沖縄産紅芋、備瀬(ビセ)、アヤムラサキ、ナカムラサキ、種子島紫、山川紫、パープルスイートロード、宮農36号、九州109号などを具体的に挙げることができる。
本発明において紫イモ葉茎部とは、紫イモの葉や茎の部分であって、生、半生又は乾燥されたものであってよい。紫イモ葉茎部の処理物における処理としては、紫イモ葉茎部の粉砕処理、細断処理、乾燥処理、焙煎処理、抽出処理、超音波ホモゲナイズ処理、凍結処理、加熱処理、酵素処理、発酵処理等を挙げることができ、これら処理を二以上組み合わせて行ってもよい。植物の生体をそのまま細断又は粉砕してもよく、生の葉茎部の場合は、0.5〜15mmに細断し、クエン酸等の溶媒により抽出後、ろ過し、所定の合成吸着樹脂に吸着後、さらに抽出処理を施すことが好ましい。又、あらかじめ乾燥処理、凍結処理等を施した処理物に細断又は粉砕処理を行ってもよく、例えば、上記紫イモ葉茎部を、風乾処理、40℃〜60℃前後での加熱乾燥処理、天日乾燥処理等の乾燥処理した後、0.05〜1mmに細断又は粉砕し、抽出することができる。
上記溶媒抽出処理に使用する溶媒としては、例えば、水性媒体、有機溶媒等いずれでもよく、また、溶媒は単独で用いてもよいし、複数を組み合わせた混合溶媒として用いてもよい。水性媒体としては、例えば、水、精製水、脱イオン水、蒸留水、又はこれらの加温水や熱水等を挙げることができる。有機溶媒としては、例えば、クエン酸等の酸溶液や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコールやその含水物、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコールやその含水物、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸アルキル、アセトン、エチルメチルケトン等の脂肪族ケトン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油等の食用油脂、メタン、エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン等の液化脂肪族炭化水素、ジメチルスルフォキシド等を挙げることができる。好ましい抽出方法としては、クエン酸等の希釈溶液、7〜15%クエン酸溶液、好ましくは8〜13%クエン酸溶液、より好ましくは10〜12%クエン酸溶液を用いて、1.5時間〜3時間抽出する方法や、熱水抽出の場合は、80〜100℃の熱水を用い、30分〜24時間抽出する方法、アルコール抽出の場合は、エタノール濃度が60〜80容量%のエタノールを用いることが好ましく、この場合、0〜80℃で30分〜5日間抽出する方法等を例示することができる。
抽出プロセスで使用する[紫イモ葉茎部]対[抽出溶媒]の量は、g/ml基準で約2:1から約1:20の間で変化し、約1:4〜1:10が好ましい。抽出物中に含有される紫イモ葉茎部の固形部分は、液体部分から分離される。抽出後は、純度をあげるため、濾過する等、通常行われている精製方法を採用することができる。ある程度純度を高くして得られた抽出物は、乾燥或いは凍結乾燥し、粉末化等して用いることができる。
本発明の消化管疾患の予防・治療用組成物は、上記紫イモ葉茎部エキスの有効成分の他、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤等の各種調剤用配合成分を添加することができる。
本発明の消化管疾患の予防・治療用組成物の調製方法としては、上記紫イモ葉茎部エキスを粉末化し、得られた粉末を常法により顆粒化、カプセル化、錠剤化したり、溶剤に溶解、縣濁、分散等させて液剤を調製する方法等を具体例に例示することができる。このように本発明には、紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎部の処理物を、消化管疾患の予防・治療用組成物を製造するために使用する方法の態様も含まれる。
本発明における消化管疾患とは、例えば、食道、胃又は十二指腸粘膜における炎症、潰瘍又は腫瘍であり、より具体的には、例えば、食道炎、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌又は十二指腸癌、炎症性腸疾患などが挙げられる。
本発明の消化管疾患の予防・治療用組成物は、例えば、食道炎、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌又は十二指腸癌、炎症性腸疾患などの予防・改善作用を有することから、このような患者に経口投与することによる消化管疾患の予防・治療方法に、あるいは、食品に添加配合することにより該食品を消化管疾患の予防・改善作用を有する機能性食品や、薬理組成物食品素材として、有利に用いることができる。かかる本発明の消化管疾患の予防・治療剤は通常経口投与され、その投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、1日あたり1mg〜5g/Kg体重、好ましくは10〜1000mg/Kg体重の範囲で摂取する。尚、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で充分な場合もあるし、或いは範囲を超えて必要な場合もある。1日1回から数回経口投与することができる。本発明の薬剤はそのまま経口投与するほか、後述する食品、食品素材として任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。また、本発明の消化管疾患の予防薬として使用する場合は、予め摂取することにより消化管疾患の罹患率を低下させることができる。予防剤としての摂取方法は治療剤として用いる場合と同様の方法によることができ、摂取量は治療剤より少量から同量とすることができる。
本発明の飲食品としては、上記本発明の消化管疾患の予防・治療用組成物を含有するものであれば特に制限されるものではなく、上記飲食品の種類としては、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、ジュース、牛乳、豆乳、酒類、コーヒー、紅茶、煎茶、ウーロン茶、スポーツ飲料等の各種飲料や、プリン、クッキー、パン、ケーキ、ゼリー、煎餅などの焼き菓子、羊羹などの和菓子、冷菓、チューインガム等のパン・菓子類や、うどん、そば等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、みそ、しょう油、ドレッシング、マヨネーズ、甘味料等の調味類や、チーズ、バター等の乳製品や、豆腐、こんにゃく、その他佃煮、餃子、コロッケ、サラダ等の各種総菜などを挙げることができ、これら飲食品に本発明の消化管疾患の予防・治療用組成物を配合することにより、飲食品に消化管疾患の予防や症状改善機能を付与し、付加価値を高めることができる。
本発明の消化管疾患の予防・治療用組成物の効果を確認するための腸管炎症モデル実験には、ヒトの消化管環境(胃酸による低pH、小腸での胆汁酸の存在)のモデル試験(耐酸性および耐胆汁性)を経て、生残性を有し、ヒト腸管由来の上皮様細胞Caco−2(理化学研究所・細胞開発銀行)を用いることができる。かかる腸管炎症モデル実験における消化管疾患の評価方法については特に限定されないが、炎症マーカーであるミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性量や炎症サイトカインであるTNF−α活性量(炎症マーカーIL−8を使用)などの評価方法を採用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[紫イモ葉茎部のサンプルの調製]
紫イモ(沖縄産紅芋)葉茎部を最大幅15mmに細断し、細断した紫イモ葉茎部に対し、10倍量の10%クエン酸溶液を加え、攪拌で2時間抽出後、ろ紙でろ過した。その後、残渣に再度、同量の10%クエン酸溶液を加え、同様に抽出した。得られた抽出液を合成吸着樹脂(HP−20)に吸着させたのち、エタノールで色素を抽出後、濃縮しエタノールを除去後スプレードライを行い、得られたスプレードライ粉末を供試した。
紫イモ(沖縄産紅芋)葉茎部を最大幅15mmに細断し、細断した紫イモ葉茎部に対し、10倍量の10%クエン酸溶液を加え、攪拌で2時間抽出後、ろ紙でろ過した。その後、残渣に再度、同量の10%クエン酸溶液を加え、同様に抽出した。得られた抽出液を合成吸着樹脂(HP−20)に吸着させたのち、エタノールで色素を抽出後、濃縮しエタノールを除去後スプレードライを行い、得られたスプレードライ粉末を供試した。
[紫イモ葉茎部抽出物の腸管炎症モデル実験]
上記紫イモ葉茎部抽出物5gを水100mlに溶かし滅菌フィルターにてろ過後、その一部を用いて最終的にDMSO溶液として50mg/mLとなるよう準備した。一方、ヒトの消化管環境(胃酸による低pH、小腸での胆汁酸の存在)のモデル試験(耐酸性および耐胆汁性)を経て、生残性を有したヒト腸管由来の上皮様細胞Caco−2細胞株(ATCC)を用意した。このCaco−2細胞の培地としては、10%仔牛胎児血清(FBS、Gibco社)を含む改良DMEN培地(Gibco社、MEM非必須アミノ酸10mM、ペニシリン100U/mlおよびストレプトマイシン100μg/mlに添加・調製済み)を用いた。
Caco−2細胞は、共培養用6ウェルプレート(ファルコン社)に細胞数1〜2×105/wellで播き、37℃、5%CO2存在下で培養し、4日毎に培地を交換し、約21日でコンフルエントに達したものを用いた。コンフルエントの状態は、毎回、抵抗値が250以上を越えたのを目安に揃えた。この細胞のApical側から紫イモエキスのDMSO溶液1μLを目的の濃度となるよう50mLの培地に加えて、24時間培養した。次に、培地を試料を含まない新たなものに交換し、これらの細胞にbatholateral側からTNF−αを10ng/mLの存在下で24時間、48時間、72時間誘導した。その後、Caco−2細胞より放出されたサイトカインIL−8量を市販の酵素免疫測定法(ELISA)キットでプレートリーダー(モルキュラーデバイス社製)を使用して測定した。
上記紫イモ葉茎部抽出物5gを水100mlに溶かし滅菌フィルターにてろ過後、その一部を用いて最終的にDMSO溶液として50mg/mLとなるよう準備した。一方、ヒトの消化管環境(胃酸による低pH、小腸での胆汁酸の存在)のモデル試験(耐酸性および耐胆汁性)を経て、生残性を有したヒト腸管由来の上皮様細胞Caco−2細胞株(ATCC)を用意した。このCaco−2細胞の培地としては、10%仔牛胎児血清(FBS、Gibco社)を含む改良DMEN培地(Gibco社、MEM非必須アミノ酸10mM、ペニシリン100U/mlおよびストレプトマイシン100μg/mlに添加・調製済み)を用いた。
Caco−2細胞は、共培養用6ウェルプレート(ファルコン社)に細胞数1〜2×105/wellで播き、37℃、5%CO2存在下で培養し、4日毎に培地を交換し、約21日でコンフルエントに達したものを用いた。コンフルエントの状態は、毎回、抵抗値が250以上を越えたのを目安に揃えた。この細胞のApical側から紫イモエキスのDMSO溶液1μLを目的の濃度となるよう50mLの培地に加えて、24時間培養した。次に、培地を試料を含まない新たなものに交換し、これらの細胞にbatholateral側からTNF−αを10ng/mLの存在下で24時間、48時間、72時間誘導した。その後、Caco−2細胞より放出されたサイトカインIL−8量を市販の酵素免疫測定法(ELISA)キットでプレートリーダー(モルキュラーデバイス社製)を使用して測定した。
[コントロール、比較例の調製]
コントロールは、紫イモ葉茎部抽出物無添加の培養液を使用して同様に処理して得られたIL−8の値を、比較例として、ビルベリーET、ビルベロン(いずれもアントシアニン含量が多いブルーベリー様植物)をそれぞれ添加した培養液を使用して同様に処理して得られたIL−8の値を測定した。その結果を図1に示す。IL−8量の値が低いほど炎症を抑えている。
コントロールは、紫イモ葉茎部抽出物無添加の培養液を使用して同様に処理して得られたIL−8の値を、比較例として、ビルベリーET、ビルベロン(いずれもアントシアニン含量が多いブルーベリー様植物)をそれぞれ添加した培養液を使用して同様に処理して得られたIL−8の値を測定した。その結果を図1に示す。IL−8量の値が低いほど炎症を抑えている。
図1に示すように、紫イモ葉茎部抽出物は、24時間後では、コントロール(無添加)に対して56%減の値を示し、48時間後では、コントロールに対し51%減を示した。また、アントシアニン含量が高いビルベリーETやビルベロンに比しても、本件発明の紫イモ葉茎部抽出物は、IL−8量が非常に低い値を示していることが分る。
BALB/c系マウスを用い、1週間、標準飼料で予備飼育し、異常のない個体を選別し、1群10匹として実験に供した。なお、試験素材として紫イモ葉茎部エキス、コントロール(無処置)、ビルベリーET,ビルベロンを用いた。上記ラットに8%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)溶液を与えて大腸炎を誘発した。なお、無処置群には、DSSの代わりに生理食塩水のみを投与した。DSS投与翌日から試験飼料に5重量%または10重量%の各素材を添加した試験飼料を水とともに2週間自由摂取させた。なお、無処置群には標準飼料を与えた。標準飼料と試験飼料の組成については表1に示す。
各検体をDSS投与1週間後に屠殺し、各々の検体につき、Disease activity index(体重の減少:0−4 糞の硬さ:0,2,4 直腸の潰瘍:0,2,4)、炎症の指標となる大腸組織中のTNF−α活性を調べた。
その結果、本発明の紫イモ葉茎部エキスを試験飼料に5重量%及び10重量%の各素材を添加した試験飼料を水とともに2週間自由摂取させた試験群の方が、無処置群に比して明らかに体重の減少が少なく、また、糞の硬さ、直腸の潰瘍の程度においても良好であることが分った。濃度的には、紫イモ葉茎部エキスの濃度が10重量である方が前記の程度は良好であった。
炎症性腸疾患の患者30名に対して、30g/日を一回10gとして連続28日間経口投与した。その後、[臨床症状(下痢、粘血便(血液・粘液・膿の混じった軟便、発熱や体重減少などの症状)]と内視鏡所見を行った。その結果、患者30名のうち、7割程度の人が炎症性腸疾患に治癒の傾向を示した。
Claims (8)
- 紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎部の処理物を有効成分として含有することを特徴とする消化管疾患の予防・治療用組成物。
- 紫イモ葉茎部の処理物が、乾燥紫イモ葉茎部の熱水、クエン酸水溶液又はエタノール抽出物であることを特徴とする請求項1記載の予防・治療用組成物。
- 紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎部の処理物を、消化管疾患の予防・治療用組成物を製造するために使用する方法。
- 紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎部の処理物を含有することを特徴とする消化管疾患の予防・改善用機能性食品又は食品素材。
- 紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎の処理物を添加した食品又は食品素材を、消化管疾患の予防・治療用の食品又は食品素材として使用する方法。
- 紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎の処理物を、消化管疾患の予防・治療用の食品又は食品素材の配合剤として使用する方法。
- 紫イモ葉茎部又は紫イモ葉茎部の処理物を食品又は食品素材に添加することを特徴とする消化管疾患の予防・治療用の食品又は食品素材を製造する方法。
- 紫イモ葉茎部の処理物が、乾燥紫イモ葉茎部の熱水、クエン酸水溶液又はエタノール抽出物であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか記載の方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105106645A (zh) * | 2015-09-11 | 2015-12-02 | 郑学深 | 一种中医内科治疗胃溃疡的中药 |
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2009
- 2009-02-18 JP JP2009035783A patent/JP2010189323A/ja active Pending
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