JP2010188497A - 有機分子膜被覆ナノ結晶粒子と有機分子膜被覆ナノ粒子の製造方法。 - Google Patents

有機分子膜被覆ナノ結晶粒子と有機分子膜被覆ナノ粒子の製造方法。 Download PDF

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【課題】
本発明は、欠陥のない有機分子膜被覆ナノ結晶粒子を提供するのみならず、これを含む有機分子膜被覆ナノ粒子の製造工程を極めて簡便にすることができた製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、ナノ結晶粒子の表面が有機分子膜にて被覆されてなる有機分子膜被覆ナノ結晶粒子であって、前記ナノ結晶粒子の表面全体が有機分子膜にて被覆されていることを特徴とし、有機分子膜被覆ナノ粒子の製造方法であって、ナノ粒子の母材となるターゲット材料を表面修飾用の有機分子液中に浸漬した状態でレーザー照射し、前記ターゲット材料から前記有機分子液中にナノ粒子を放散させ、その表面に前記有機分子を結合させることを特徴とする。
本発明は、上記の製造方法において、前記ターゲット材料が、前記レーザー照射によって放散されたナノ粒子の表面に酸化膜が生じない性質を有することを特徴とし、前記ターゲット材料が、予め表面を水素終端化されていることを特徴とする。
【選択図】 図7

Description

本発明は、ナノ結晶粒子の表面が有機分子膜にて被覆されてなる有機分子膜被覆ナノ結晶粒子と有機分子膜被覆ナノ粒子の製造方法に関する。
有機誘導体化に優れたナノ結晶粒子の作製は、従来、特許文献1から9にあるようなナノ結晶粒子の作製後、非特許文献2にあるような有機単分子表面修飾、或いは、特許文献10にあるように、総じて、図7の左側に示すフローにより製造されていた。つまり、ナノ結晶粒子の合成、その後、当該表面への有機分子膜の被覆により達成される。
当該方法により得られた有機分子膜被覆ナノ結晶粒子は、粒子表面の一部に有機分子が存在しない部分を有するものであった。
また、従来の方法は、ナノ結晶粒子の生成と、得られた粒子表面への有機分子の修飾とを別工程で行う必要があるとされていた。
本発明は、このような欠陥のない有機分子膜被覆ナノ結晶粒子を提供するのみならず、これを含む有機分子膜被覆ナノ粒子の製造工程を極めて簡便にすることができた製造方法を提供することを目的とする。
発明1は、ナノ結晶粒子の表面が有機分子膜にて被覆されてなる有機分子膜被覆ナノ結晶粒子であって、前記ナノ結晶粒子の表面全体が有機分子膜にて被覆されていることを特徴とする。
発明2は、有機分子膜被覆ナノ粒子の製造方法であって、ナノ粒子の母材となるターゲット材料を表面修飾用の有機分子液中に浸漬した状態でレーザー照射して、前記ターゲット材料から前記有機分子液中にナノ粒子を放散させ、その表面に前記有機分子を結合させることを特徴とする。
発明3は、発明2の製造方法において、前記ターゲット材料が、前記レーザー照射によって放散されたナノ粒子の表面に酸化膜が生じない性質を有することを特徴とする。
発明4は、発明2の製造方法において、前記ターゲット材料が、予め表面を水素終端化されていることを特徴とする。
従来より望まれていた被覆欠陥がない有機分子膜被覆ナノ結晶粒子であり、これを用いた無機有機融合体の製造において、その製造を安定化させることができるものである。
また、発明2の製造方法により、従来に比べ極めて簡便な方法で、有機分子膜被覆ナノ粒子を生成できた。
このような有機分子膜被覆ナノ粒子が得られる理由は、レーザー照射により放出されたクラスターが、表面修飾用の有機分子液中で急冷され、ナノ粒子構造を構築すると同時に、その表面が前記有機分子と結合するために得られた現象である。
また、クラスターの放出時点で非酸化雰囲気を維持することにより、当該粒子表面はラジカル(未結合手)で終端されており極めて活性が高いので、そこへ1−アルケン等の有機分子が容易に結合することとなり、粒子表面に欠陥なく有機分子を結合させることができたものと考えられる。
特に、粒子成分がSiである場合は、Si―C界面結合を有した無機有機融合体を構築することで、ナノ結晶粒子の表面エネルギーが下げられることにより安定化するためであると考えられる。
本発明のナノ粒子の製造過程を模式的に示したものである。(A)は、水素終端化シリコンウェハーをレーザーアブレーションした直後のシリコンクラスターの状態、(B)は、溶液中で瞬時に冷やされ構築されたシリコンナノ結晶粒子の状態、(C)は、1-アルケンがシリコンナノ結晶最表面原子と化学反応することで固定化され、アルキル単分子膜を形成した状態をそれぞれ示す図である。 実験No.1のナノ結晶粒子の存在様態を示す透過型電子顕微鏡写真。 実験No.1のナノ結晶粒子の構造様態を示すラマンスペクトルを示すグラフ。 実験No.1のナノ結晶粒子の表面様態を示すフーリエ変換型赤外分光スペクトル示すグラフ。 実験No.1のナノ結晶粒子コロイド分散液のフォトトルミネッセンス(PL)スペクトルを示すグラフ。 実験No.37のナノ結晶粒子のフーリエ変換型赤外分光スペクトルを示す。 従来技術と本発明との工程の相違を示すフロー。
以下の実施例の製造方法では、シリコンを例にしたが、金属原子及び/又は炭素原子を含むナノ粒子を発生させることが可能なターゲット材料を用いることも可能である。このような材料としては、各種の金属、金属化合物及び炭素からなる群から少なくとも一つの材料が選択される。また、このような金属材料としては、各種の遷移元素金属、典型元素金属、半金属(メタロイド)、又はそれらの合金を用いることができ、例えば、Cu、Al、Ti、Si、Cr、Pt、Au、Ag、Pd、Zr、Mg、Ni、Fe、Co、Zn、Sn、W、Be、Ge、Mn、Mo、Nb、Ta、Hf、それらを主成分とする合金等が挙げられ、中でもCu、Al、Ti、Si、Znを含むものが好ましい。
なお、ここでいう金属材料は、例えば、シリコン、ゲルマニウム、炭化珪素、砒化ガリウム、InP、ZnTe等の半導体であってもよい。また、金属化合物材料としては、各種の遷移元素金属、典型元素金属又は半金属の酸化物、窒化物、炭化物等が挙げられ、中でも酸化亜鉛、チタニア、アルミナ、マグネシア、ベリリア、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、Fe、Cr、W、Mo、V等の金属元素の炭化物が好ましい。
なお、ここでいう金属化合物材料は複数の金属元素を含有していてもよく、更に非金属元素を含んでいてもよい。液相としては、1−アルケンを実施例に示したが、これは、ターゲット材料をシリコンとした場合に、Si-C結合による修飾が本発明においても可能なことを明らかにする為である。
逆に比較例1は、Si-C結合が生じない有機分子を用いた例を明らかにする為に示した。
この両者より明らかな通り、材料的に結合可能な無機粒子と有機分子の組み合わせであれば、本発明の方法によりナノ粒子表面を有機分子で修飾することが可能である。
よって、前記各ターゲット材料を用いる場合は、それぞれから生成される無機粒子に対して結合可能な末端基を有している有機分子であれば、液相成分としえると考えられる。
なお、実施例において、1−アルケンに代わり、不飽和結合逆末端部位をメチル基からアルデヒド基、カルボキシル基、アルコキシ基、スルホ基、フェニル基、エチル基、プロピル基へ置換した分子を用いた場合も、各々の機能性官能基を末端に有するシリコンナノ結晶粒子が作製可能である。
さらに、液相成分として用いる有機分子が高粘度などで当該方法に用いることが困難な場合は、これを溶媒和して用いることも考えられるが、この場合、その溶媒は、比較例2に示すような、粒子に対して活性の因子を持たないものを選択することで、溶媒による誤修飾をさけることができる。
下記実施例においては、粒子表面が酸化被膜で覆われると修飾するのは不可能であるから、もし溶媒を用いるとしても、水は使用できないと考えられる。また、含水有機溶媒の使用も有機分子の被覆密度を低下させるので好ましくない。
本実施例では、特許文献1に示す液相レーザーアブレーション装置を用い、表1の実験No.1から35に示す条件で液相レーザーアブレーションを行って、ナノ粒子試料を得た。
具体的には、表1の実験No.1から35に示す、1−アルケン(CnH2n)100%の常温の液相中に、水素終端化シリコンウェハーを浸漬し、Nd:YAGレーザ(波長によりそれぞれ所定の照射密度でレーザー照射し、その後30分経過後に、前記ウェハを液相より取り出し、エバポレータなどにより未反応の液相成分を除去して、大気中に取出し、ナノ結晶粒子を得た。
試料の分析は、日立分光蛍光光度計F−7000を用いたPL(Photoluminescence:フォトルミネッセンス)測定、FT−IR(フーリエ赤外分光法)測定、及び、TEM(Transmission Electron Microscopy)によって、評価した。
その結果、当該試料は、いずれも高い分子密度を有するアルキル単分子膜にキャッピングされ、平均粒子サイズが5nm以下のダイヤモンド構造を有した非酸化シリコンナノ結晶粒子から構成されていた。
つまり、シリコンナノ粒子の表面が外気に曝されても、酸化しなかったことを示し、当該粒子の全周囲が液相を構成した有機単分子により修飾されていることが明らかとなった。
比較例1
表1の実験No.36,37の条件下で、前記実施例と同様にしてナノ結晶粒子を得た。
前記実施例と同様な方法で得られたナノ結晶粒子を分析した結果、平均粒径5nm以下のダイヤモンド構造を有するナノ結晶粒子であり、その表面は、有機単分子修飾されなかったため、大気中へ取り出した際に、粒子表面が酸化され、酸化シリコン膜により被覆されたナノ結晶粒子から構成されていた。
比較例2
非特許文献7に示された従来法に基づき、四塩化ケイ素(0.01 M)をテトラオクチルアンモニウムブロミド共存下、無水トルエン中で、LiAlHにより水素還元した。3時間後、少量のメタノールを加えることで、還元剤をクエンチし、続いて、六塩化白金酸共存下、1−オクテンを加え、室温下で反応させた。
精製は、濾過後、シリカゲルクロマトグラフィーを用いて行った。得られたナノ粒子を前記実施例と同様な方法で分析した結果、オクタン単分子膜で被覆された、平均粒径5nm以下の非酸化シリコンナノ粒子から構成されていることが確認されたが、ラマン分光法によりナノ粒子の多くはダイヤモンド構造を有してはいなかった。
(表1の実験No.38)
比較例3
非特許文献8に示された従来法に基づき、四塩化ケイ素(0.01 M)をテトラオクチルアンモニウムブロミド共存下、無水トルエンと無水1,2−ジメトキシエタンの混合溶液中において、ナトリウムビフェニリドにより還元した。3時間後、オクタノールを加え、室温下で12時間反応させた。精製は、濾過後、シリカゲルクロマトグラフィーを用いて行った。得られたナノ粒子を前記実施例と同様な方法で分析した結果、オクトキシ基でキャッピングされた平均粒径5 nm以下のシリコンナノ粒子の形成から構成されていることが確認されたが、オクトキシ単分子の密度が低く、ナノ粒子表面における未被覆表面領域において酸化シリコン膜が形成されていることがFT−IRより確認された。
また、ラマン分光法によりナノ粒子の多くはダイヤモンド構造を有してはいなかった。(表1の実験No.38)
上記いずれの比較例においても、全周が有機分子に覆われたナノ結晶粒子は得られなかった。
特開2007−45639 特開2008−290119 特開2006−122845 特開2005−263522 特開2004−24953 特開2006−70089 特開2002−154817 特開2007−246329 特開平7−247199 特開2007−12702 特開2003−309061
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Claims (4)

  1. ナノ結晶粒子の表面が有機分子膜にて被覆されてなる有機分子膜被覆ナノ結晶粒子であって、前記ナノ結晶粒子の表面全体が有機分子膜にて被覆されていることを特徴とする有機分子膜被覆ナノ結晶粒子。
  2. 有機分子膜被覆ナノ粒子の製造方法であって、ナノ粒子の母材となるターゲット材料を表面修飾用の有機分子液中に浸漬した状態でレーザー照射して、前記ターゲット材料から前記有機分子液中にナノ粒子を放散させ、その表面に前記有機分子を結合させることを特徴とする有機分子膜被覆ナノ粒子の製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法において、前記ターゲット材料が、前記レーザ照射によって放散されたナノ粒子の表面に酸化膜が生じない性質を有することを特徴とする有機分子膜被覆ナノ粒子の製造方法。
  4. 請求項2に記載の製造方法において、前記ターゲット材料がその表面を水素終端化されてなることを特徴とする有機分子膜被覆ナノ粒子の製造方法。
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