JP2010187900A - 粒子線ビーム照射装置およびレンジシフタ - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子線ビームを被照射体に照射する場合に、被照射領域の深さ方向のサイズが大きい場合も、深さ方向の位置に対してビームサイズの変化を小さくする。
【解決手段】粒子線ビーム照射装置に、粒子線ビームのエネルギーを減衰させる板の集合体であって、iを1以上n以下の連続する自然数としたときに単位板厚tと2の(i−1)乗との積t×(i−1)で表される厚さの板20〜29の群と、t×(n−1)で表される厚さの2枚の板30と、を持つレンジシフタ20を備える。それぞれの板20〜30は、粒子線ビームの進行方向34に垂直に設けられ、それぞれ独立して粒子線ビームの行路を遮る位置に移動可能に設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、被照射体に粒子線ビームを照射する粒子線ビーム照射装置およびそれに用いるレンジシフタに関する。
近年、日本国における死因の第1位であるがんを治療する方法として、炭素などの重粒子ビームや陽子ビームを用いた粒子線治療法が注目されている。この方法は、高い治療効果や、少ない副作用、身体的負担が小さいことなどの優れた特徴を持つ。この方法では、加速器から出射された粒子線ビームをがん細胞に照射することで、正常細胞に与える影響を小さくしながら、がん細胞を死滅させることができる。
この治療方法で現在使用されている粒子線照射方法は、拡大ビーム法と呼ばれる方法である。拡大ビーム法では、粒子線ビームをワブラー法あるいは二重散乱体法と呼ばれる方法によりビーム径を患部サイズ以上に拡大し、照射を行う。そして、マルチリーフコリメータと呼ばれる多数のリーフ(葉)からなる鉄製コリメータにより制限することにより、照射領域を患部形状に合致させる。また、ビーム進行方向(ビーム軸方向)にはリッジフィルタと呼ばれるビーム飛程拡大装置によりビーム停止位置分布を拡大し、ボーラスと呼ばれるポリエチレン製のビーム飛程整形装置によってビーム停止位置を深さ方向での患部形状(外郭)に合致させて照射する。
しかし、拡大ビーム法では、照射領域を3次元的に患部形状に合致させることが厳密にはできない。このため、患部周りの正常細胞への影響を小さくするには限界がある。
そこで、粒子線治療の新しい照射法として、体内患部を深さ方向に分割し、これら分割されたスライス毎に照射野を定義して照射を行う積層原体法が開発されている(たとえば非特許文献1参照)。深さ方向の照射位置の変更は、複数の板で構成されるレンジシフタの挿入板厚を調整することで行われる。レンジシフタの挿入厚を変化させる毎にマルチリーフコリメータの開口形状を変化させることで、模擬的に3次元照射野を形成する。この方法を用いれば、従来の2次元的照射方法と比較して、正常細胞への被曝を抑制することができる。
レンジシフタを用いて深さ方向の照射位置を変更する方法は、加速器で出射エネルギーを調整して深さ方向の照射位置を変更する方法と比べて簡便で、再現性の高い方法である。また、レンジシフタを構成する板の厚さの合計値が最小厚と2のn乗との積で構成されるバイナリ型レンジシフタは、少ない板の枚数で大きな範囲の厚さを、最小厚を単位として確保できる点で優れている。
しかし、このレンジシフタを用いる方法では次のような問題があることがわれわれのシミュレーション計算で明らかになった。レンジシフタを通過したビームは、レンジシフタの板により散乱の影響を受ける。このため、レンジシフタの挿入厚に対応する患部位置におけるビームサイズが異なってしまう。また、患部におけるビームサイズは、レンジシフタの挿入厚の他、レンジシフタを構成する板と患部の距離によっても影響を受ける。このため、レンジシフタの挿入厚を一定の間隔で増加させても、板の配置関係によってビームサイズが大きく変化する挿入厚が存在する。
レンジシフタの散乱効果は、粒子線の種類によって異なり、陽子線など原子数の少ない場合に特に大きくなる。また、ビームエネルギーが低い場合、すなわち、患部の位置が体内の浅い位置の場合にも影響が大きくなる。
積層原体照射法においてビームを拡大する方法には、たとえばワブラー法と呼ばれる方法がある。この方法では、ビーム軌道は円形を描き、軌道半径Aと、照射野径R、ビームサイズσの関係を次式とする。
Figure 2010187900
照射野径Rに対して、この関係が成り立つよう散乱体の厚さを選択してビームサイズσが調整される。そして、この関係式が成り立てば照射野での線量分布の平坦度が確保できることが知られている。
しかし、深さ方向の位置を変更するためにレンジシフタの厚さを変更すると、レンジシフタによりビームサイズが変化してしまう。したがって、特に深さ方向の患部サイズが大きい場合には平坦度が確保できなくなる。
また、他のビームを拡大する方法として、螺旋ワブラー法と呼ばれる方法がある。この方法では、次式により、ビーム軌道は螺旋軌道を描き、一様な分布を形成する。
Figure 2010187900
ここで、αはX電磁石とY電磁石の位相差で通常(π/2)だけずらして与える。ワブラー周波数は2πω、振幅周波数は1/Tであり、たとえばワブラー周波数は59Hz、振幅周波数は1/T=23Hzである。ワブラー最大軌道半径Aは、照射野半径R、ビームサイズσを用いて、次式のように設定すれば一様な線量分布が得られることが知られている。
A=R+2σ (3)
ここでもビームサイズσは、散乱体の厚さを選択することで調整する(たとえば特許文献1参照)。
しかし、螺旋ワブラー法の場合も同様に、深さ方向の位置を変更するためにレンジシフタの厚さを変更すると、レンジシフタによりビームサイズが変化してしまう。したがって、特に深さ方向の患部サイズが大きい場合には平坦度が確保できなくなる。
粒子線治療のさらに進んだ照射法として、スキャニング照射法と呼ばれる方法が研究されている。この方法では、治療部位を仮想的に3次元格子点に切り分け照射を行う。このような3次元照射方法では、形状コリメータやボーラスを用いることなく、ビーム軸方向についても精度よく患部に合わせることが可能になり、積層原体照射法よりもさらに正常細胞への被曝を抑制することができる。
このスキャニング照射法においても、レンジシフタを用いて深さ方向の照射位置を変更する場合は、レンジシフタの挿入厚によりビームサイズが変化してしまう。非特許文献2には、深さ方向の位置によってビームサイズが異なっても平坦な分布が得られる治療計画の最適化方法が記載されている。しかし、ビームサイズがレンジシフタの板の組み合わせで大きく変化するならば、治療計画においてこの変化をレンジシフタ厚の連続関数ではなく、レンジシフタの板の組み合わせに対するパラメータテーブルとして与える必要があり、治療計画が複雑なものになってしまう。
また、スキャニング照射法では、マルチリーフコリメータで照射野を制限しないため、ビームサイズが大きくなると、照射野領域の境界部分の線量の切れが悪くなる。線量分布の切れを示す指標にペナンブラという値があり、これは平坦な領域の線量の90%から10%になるまでの距離で定義される。このペナンブラはビームサイズの1.5〜2.0倍であり、ペナンブラを小さくして正常組織への被爆量を低下させるにはビームサイズの拡大を抑制する必要がある。
特開2005−103255号公報
Hiroshi Asakura, et. al., "Treatment planning for the layer-stacking irradiation system for three-dimensional conformal heavy-ion radiotherapy", Med. Phys., 29(12), 2002年12月 古川 卓司、外、「3次元スキャニング照射装置の設計検討」、放射線医学総合研究所、HIMACレポート、HIMAC−124、2007年4月
積層原体照射法あるいはスキャニング照射法においてレンジシフタを用いて深さ方向の照射野を変更する場合、レンジシフタの挿入厚によってビームサイズが変化してしまう。このため、照射野における平坦度を十分に確保できなくなる場合がある。平坦度が確保できなければ線量不足の領域が発生し、十分な治療効果が得られなくなる可能性がある。
また、ビームサイズの増加は、照射野の境界における線量の切れの悪化をもたらす。このため、患部の外側の正常組織への被曝量が大きくなり、副作用をもたらすリスクが増加する。
そこで、本発明は、粒子線ビームを被照射体に照射する場合に、被照射領域の深さ方向のサイズが大きい場合も、深さ方向の位置に対してビームサイズの変化を小さくすることを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、被照射体に粒子線ビームを照射する粒子線ビーム照射装置において、前記粒子線ビームを発生する粒子線発生器と、前記粒子線ビームのエネルギーを減衰させる板の集合体であって、iを1以上n以下の連続する自然数としたときに単位板厚tと2の(i−1)乗との積t×(i−1)で表される厚さの板群と、t×(n−1)で表される厚さの2枚の板と、を含み、それぞれの板が独立して前記粒子線ビームの行路を遮る位置に移動可能に設けられたレンジシフタと、を有することを特徴とする。
また、本発明は、被照射体に粒子線ビームを照射する粒子線ビーム照射装置のレンジシフタにおいて、前記粒子線ビームのエネルギーを減衰させる板の集合体であって、iを1以上n以下の連続する自然数としたときに単位板厚tと2の(i−1)乗との積t×(i−1)で表される厚さの板群と、t×(n−1)で表される厚さの2枚の板と、を含み、それぞれの板が独立して前記粒子線ビームの行路を遮る位置に移動可能に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、粒子線ビームを被照射体に照射する場合に、被照射領域の深さ方向のサイズが大きい場合も、深さ方向の位置に対してビームサイズの変化を小さくすることができる。
本発明に係る粒子線ビーム照射装置の一実施の形態におけるレンジシフタの側面図である。 本発明に係る粒子線ビーム照射装置の一実施の形態における斜視図である。 本発明に係る粒子線ビーム照射装置の一実施の形態における積層原体照射のフローチャートである。 本発明に係る粒子線ビーム照射装置の一実施の形態における最大板厚の2枚の板を一枚の板に置き換え、患部内のビーム停止位置を調整したときの挿入厚とビームサイズの関係を示すグラフである。 本発明に係る粒子線ビーム照射装置の一実施の形態における患部内のビーム停止位置を調整したときの挿入厚とビームサイズの関係を示すグラフである。 本発明に係る粒子線ビーム照射装置の一実施の形態の対照例における患部内のビーム停止位置を調整したときの挿入厚とビームサイズの関係を示すグラフである。
本発明に係る粒子線ビーム照射装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図2は、本発明に係る粒子線ビーム照射装置の一実施の形態における斜視図である。
本実施の形態の粒子線ビーム照射装置2は、積層原体照射法によって、治療用ベッドあるいは治療用椅子に乗った患者の患部1に粒子線ビーム13を照射する装置である。なお照射対象は、人間に限定されるものではない。
この粒子線ビーム照射装置2は、粒子線発生器14、スキャニング磁石3、散乱体4、線量モニタ5、位置モニタ6、リッジフィルタ7、レンジシフタ20、マルチリーフコリメータ9、ボーラス10、スキャニング磁石用電源11、および、照射機器制御器12を有している。粒子線発生器14は、粒子線ビーム13を発生させる。粒子線ビーム13とは、炭素などの重粒子ビームや陽子ビームである。散乱体4の厚さは、患部1におけるビームサイズが照射野サイズRに対して式1に従うビームサイズになるように設定する。
スキャニング磁石3は、スキャニング磁石3に入射した粒子線ビーム13を走査する。粒子線ビーム13の走査は、スキャニング磁石用電源11の出力電流を制御することで行われる。
図1は、本実施の形態におけるレンジシフタの側面図である。
レンジシフタ20は、粒子線ビーム13のエネルギーを減衰させる11枚の複数の板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30を有している。これらの板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30は、粒子線ビーム13の入社方向34に垂直な方向に広がっている。これらの板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30は、たとえばアクリル板である。
患部1は、たとえば1辺が最大15cm程度の領域である。そこで、それぞれの板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30は、たとえば20cm四方の板とする。
レンジシフタ20の板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30は、iを1以上n以下の連続する自然数としたときに、単位板厚をtと2の(i−1)乗との積t×(i−1)で表される厚さを持つ板21,22,23,24,25,26,27,28,29の群と、t×(n−1)で表される厚さの2枚の板30とからなる。
単位板厚tはたとえば0.2mmであり、自然数nは9である。すなわち、レンジシフタ20は、板厚が0.2mm、0.4mm、0.8mm、1.6mm、3.2mm、6.4mm、12.8mm、25.6mm、51.2mmの板21,22,23,24,25,26,27,28,29の群と、51.2mmの2枚の板30とを備えている。つまり、このレンジシフタ20は、単位板厚が0.2mmのバイナリ型のレンジシフタに、最大板厚の板29と同じ厚さの板30を2枚追加したものである。これらの全ての板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30が挿入されたときの厚さは、204.8mmとなる。各板の厚さは、要求される体内ビーム停止位置精度(通常0.2mm)の範囲内の誤差を持っていてもよい。
このレンジシフタ20において、患部1に近いほど、板厚が薄くなるように並べられている。これは、照射すべき患部1の深さが浅いほど、照射深さの精度を高めるため、照射深さが浅い場合に対応する薄い板厚の板ほど患部1の近くに配置するためである。また、レンジシフタ20の板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30の最大厚は、板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30をすべて挿入したときの厚さ204.6mmに最小厚0.2mmを加えた量の1/4以下になる。
それぞれの板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30には、腕31が結合されている。それぞれの腕31は、それぞれを独立して移動させる駆動機構32に取り付けられている。駆動機構32は、腕31を介して、それぞれの板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30を粒子線ビーム13の行路を遮る位置に移動させる。
レンジシフタ20の板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30、腕31および駆動機構32は、たとえば筐体33の内部に収納されている。図1は、全ての板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30が、粒子線ビーム13の行路を遮る位置に移動した状態を示している。
レンジシフタ20は、患部1内のビーム軸方向の位置(Z)を制御する。つまり、レンジシフタ20は、複数の厚さの板21,22,23,24,25,26,27,28,29,30の組み合わせることによりレンジシフタ20を通過する粒子線ビーム13のエネルギー、すなわち体内飛程を、患部1のスライス面に合わせて段階的に変化させることができる。レンジシフタ20における体内飛程の制御は、一般的には一定間隔をもって切り替えられる。
リッジフィルタ7は、単エネルギーの粒子線ビーム13の非常にシャープな体内深さ方向のピーク線量(ブラッグピークと呼ばれる)を、レンジシフタ20によって切り替えられる体内飛程の間隔に対応するように拡大する。積層原体照射用のリッジフィルタ7は、アルミニウム製の棒片が複数並べられて形成されている。これらアルミニウム製の棒片は、ほぼ二等辺三角形の断面形状を持ち、ビームの経路長の違いによって粒子線ビーム13のビームエネルギーが変化するようになっている。
線量モニタ5は、照射する線量を測定するためのものであり、容器内にて粒子線の電離作用により生じた電荷を平行電極で収集する電離箱や、容器内に配置された二次電子放出膜から放出される二次電子を計測するSEM装置などが用いられる。位置モニタ6は、スキャニング磁石3により走査されたビーム位置が正しい位置にあるかどうかを識別するためのものであり、線量モニタと同様の構成を持ち、収集電極が例えば短冊状に分割されたもの、あるいは容器内に複数のワイヤからなる収集電極を用いたものなどが使用される。
マルチリーフコリメータ9は、たとえば5mmの厚さの鉄製板を多数組み合わせて形成され、各鉄製板は駆動機構により独立に粒子線ビーム13の断面内に位置が変更できるようになっている。そして、これら各各鉄製板で形成する開口形状を患部1の形状に合わせることで、患部1の外側に粒子線ビーム13が照射されるのを防止する。ボーラス10は、照射領域の深い側外郭形状を患部形状に合致させる。ボーラス10は、たとえばアクリルのブロックを、患部1の形状に合致するよう機械的に切削されて製作される。
図3は、本実施の形態における積層原体照射のフローチャートである。
この粒子線ビーム照射装置を用いて、次のように積層原体照射が行われる。まず、患部1の粒子線ビーム13の進行方向の深い側の外郭形状に合わせてあらかじめ加工されたボーラス10を、マルチリーフコリメータ9のボーラス取り付け部に取り付ける(S1)。続いて、患部1を粒子線ビーム13のビーム軸に対して複数のスライスに仮想的に分割し、最深スライスの位置、すなわち、粒子線発生器14から粒子線ビーム13の進行方向で最も遠い照射領域の位置、に応じて粒子線ビーム13の入射エネルギーとレンジシフタ20のアクリル板厚とが選定される。このとき、散乱体4の厚さは、最深スライスの位置でビームサイズが約2.5cmになるよう、別途実施した測定の結果をもとに選択される(S2)。
次に、粒子線ビーム13の進行方向から見たときの患部、つまりビーム軸断面に射影された患部、を内接する円の半径よりやや大きい円の半径を照射野半径Rとして選び、式3にもとづいて患部位置のビーム最大軌道半径Aを決定する。これらの照射野半径Rおよび最大軌道半径Aに基づいて、式2のようにビーム軌道が走査できるようスキャニング電磁石電源11の電流波形が設定され、また、マルチリーフコリメータ9は最深スライスの患部形状に合致するよう駆動機構により開口形状が調整される(S3)。
その後、粒子線発生器14からのビーム出射が開始される(S4)。スキャニング磁石3を通過する際に単エネルギーであった粒子線ビーム13は、リッジフィルタ7によって、体内飛程分布がスライス幅に対応するようエネルギー分布が拡大される。このスライスにおける照射線量は、線量モニタ4により監視され、予定線量の照射が検出される(S5)と、粒子線発生器14からのビーム出射が停止される(S6)。
ビーム出射が停止された状態で、レンジシフタ20におけるアクリル厚が変更される。このとき、同時に次のスライスの患部1の形状に合致するようマルチリーフコリメータ9の開口形状は調整される。レンジシフタ20およびマルチリーフコリメータ9の設定が完了すると、次の照射が開始される。これをスライス毎に順次繰り返すことで積層的な照射を行う。最終スライスまで照射が完了したら(S7)、この積層原体照射を終了する。
図4は、本実施の形態における最大板厚の2枚の板を一枚の板に置き換え、患部内のビーム停止位置を調整したときの挿入厚とビームサイズの関係を示すグラフである。つまり、このグラフは、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1.6mm、3.2mm、6.4mm、12.8mm、25.6mm、51.2mmおよび102.4mmの板を用いた場合の関係である。また、このグラフは、粒子線ビーム13をビームエネルギー290MeV/核子の炭素線ビームとした場合について、シミュレーション計算により求めた結果である。
図4から、挿入厚とともにビームサイズが大きくなり、挿入厚が102.4mmの位置でビームサイズが大きく変化していることがわかる。挿入厚が102.4mm以下では、最大厚である102.4mmの板を使用せずにビーム停止位置を調整しているため、挿入厚の変化に対するビームサイズの変化が小さい。しかし、挿入厚が102.4mmを超えるときには、患部から最も遠い位置にある最大厚102.4mmの板が挿入されるため、患部位置のビームサイズが強く影響を受けるためである。
このため、特にレンジシフタ20の板を102.4mm以上挿入したときのビーム停止位置においては、ビームサイズσと最大軌道半径Aの関係が(3)式の条件からずれてしまう。したがって、このビーム停止位置では、線量分布の平坦性が確保できなくなる。
図5は、本実施の形態における患部内のビーム停止位置を調整したときの挿入厚とビームサイズの関係を示すグラフである。つまり、このグラフは、0.2mm、0.4mm、0.8mm、1.6mm、3.2mm、6.4mm、12.8mm、25.6mm、51.2mmの板群および2枚の51.2mmの板を用いた場合の関係である。また、このグラフは、粒子線ビーム13をビームエネルギー290MeV/核子の炭素線ビームとした場合について、シミュレーション計算により求めた結果である。
図5を図4と比較すると、本実施の形態では、挿入厚が102.4mmの位置におけるビームサイズの変化量が小さいことがわかる。また、挿入厚が102.4mm以上では、図4に示したレンジシフタの場合より、ビームサイズが小さくなることがわかる。
このため、特にレンジシフタを102.4mm以上挿入したときのビーム停止位置における、ビームサイズσと最大軌道半径Aの関係の(3)式の条件からのずれは、図4に示したレンジシフタの場合より小さくなる。なお、本実施の形態のレンジシフタ20を用いることで、線量分布の平坦性が確保できる照射野サイズの範囲が大幅に広がることが、別途行った線量分布シミュレーションにより確認された。
本実施の形態では、バイナリ型のレンジシフタに最大板厚の板を2枚追加している。つまり、全ての板でバイナリ型のレンジシフタとなる場合の最大の板厚の板を2枚の同じ厚さの板とすることによって、全ての板を挿入したときの板厚を同じにしたまま、板の挿入厚に対するビームサイズの急激な変化を抑制することができる。このため、深さ方向の患部1のサイズが大きい場合も、深さ方向の位置に対してビームサイズの変化を小さくできる。
また、レンジシフタ20の板の枚数および厚さは、ここで示した例に限定されない。たとえば、レンジシフタ20の板の組み合わせとして、0.25mm、0.5mm、1.0mm、2.0mm、4.0mm、8.0mm、16.0mm、32.0mm、64.0mm、64.0mm、64.0mmとしてもよい。
一般的に入手可能なアクリル板の厚さは、最小0.2mm、厚さの間隔は0.1mmである。よって、一般的に入手可能なアクリル板で構成するとして、レンジシフタの板の組み合わせが、0.2mm、0.5mm、1.0mm、2.0mm、4.0mm、8.0mm、16.0mm、32.0mm、64.0mm、64.0mm、64.0mmであってもよい。
さらに、レンジシフタ20は、バイナリ型の板群よりも厚さが小さい板を備えてもよい。微調用として最小厚の板を複数追加したような場合、たとえば、レンジシフタ20の板の組み合わせが、0.2mm、0.2mm、0.2mm、0.5mm、1.0mm、2.0mm、4.0mm、8.0mm、16.0mm、32.0mm、64.0mm、64.0mm、64.0mmであってもよい。
本実施の形態では、レンジシフタの板は、板厚が小さいものほど、患部の近くに配置している。図6は、本実施の形態とは逆に板厚が大きいものほど患部の近くに配置した場合(対照例)のビームサー図のグラフを示している。この場合、板の配置関係により、挿入厚が大きくなってもビームサイズが小さくなるところが生じる。粒子線治療では一般に、深い位置でビームサイズが小さく、浅い位置ほどビームサイズが大きいことを想定して治療計画を立てるため、このような依存関係は好ましくない。すなわち、レンジシフタの板は、板厚が小さいものほど、患部近くに配置することが適している。
ここでは、レンジシフタ20を積層原体照射法の照射装置を用いて説明した。しかし、このレンジシフタ20は、まったく同じ構成を持ってスキャニング照射法の照射装置(スキャニング照射装置)に用いることができる。スキャニング照射装置では、散乱体やマルチリーフコリメータ、ボーラスなどの拡大ビーム法の機器が不要である。スキャニング照射法は拡大ビーム法と異なり、細いビームを3次元的に走査しながら照射を行うので、レンジシフタ20における散乱の影響度はさらに大きくなる。また、スキャニング照射法ではマルチリーフコリメータで照射野を限定するわけでないので、ビームサイズのずれが抑制されれば、照射領域の境界の線量の切れが悪くなるのを抑制することができる。さらに、ビームサイズをレンジシフタの挿入厚の関数として近似できるようになり、治療計画における最適化コードを簡素化することができる。
このように本実施の形態のレンジシフタを用いることにより、照射野線量分布の平坦度が良好になり、また、照射野領域の境界の線量の切れがよくなる。これらのため、副作用が少なく治療効果の高い粒子線ビーム照射装置を提供することができる。
なお、この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。たとえば上述の実施の形態では、螺旋ワブラー法の装置を例として示しているが、ワブラー法の装置にも適用できる。ワブラー法の装置も電磁石電源の電流パターンおよび電磁石の磁場パターンが異なるのみで基本構成は同様である。また、レンジシフタの粒子線ビームのエネルギーを減衰させる板の枚数は11枚より多くても、少なくてもよい。
1…患部、2…粒子線ビーム照射装置、3…スキャニング磁石、4…散乱体、5…線量モニタ、6…位置モニタ、7…リッジフィルタ、9…マルチリーフコリメータ、10…ボーラス、11…スキャニング磁石用電源、12…照射機器制御器、13…粒子線ビーム、14…粒子線発生器、20…レンジシフタ、21,22,23,24,25,26,27,28,29,30…板、31…腕、32…駆動機構、33…筐体

Claims (6)

  1. 被照射体に粒子線ビームを照射する粒子線ビーム照射装置において、
    前記粒子線ビームを発生する粒子線発生器と、
    前記粒子線ビームのエネルギーを減衰させる板の集合体であって、iを1以上n以下の連続する自然数としたときに単位板厚tと2の(i−1)乗との積t×(i−1)で表される厚さの板群と、t×(n−1)で表される厚さの2枚の板と、を含み、それぞれの板が独立して前記粒子線ビームの行路を遮る位置に移動可能に設けられたレンジシフタと、
    を有することを特徴とする粒子線ビーム照射装置。
  2. 前記レンジシフタの板は、板厚が小さいものほど、前記被照射体の近くに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の粒子線ビーム照射装置。
  3. 前記レンジシフタのそれぞれの板を独立して前記粒子線ビームの行路に移動させる駆動機構、
    を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の粒子線ビーム照射装置。
  4. 前記粒子線ビームの軌道を変化させる電磁石、
    を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の粒子線ビーム照射装置。
  5. 前記粒子線ビームを拡大する散乱体と、
    前記散乱体で拡大された前記粒子線ビームの行路を制限するマルチリーフコリメータと、
    前記マルチリーフコリメータを通過した前記粒子線ビームの前記被照射体への進入深さを制限するボーラスと、
    を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の粒子線ビーム照射装置。
  6. 被照射体に粒子線ビームを照射する粒子線ビーム照射装置のレンジシフタにおいて、
    前記粒子線ビームのエネルギーを減衰させる板の集合体であって、iを1以上n以下の連続する自然数としたときに単位板厚tと2の(i−1)乗との積t×(i−1)で表される厚さの板群と、t×(n−1)で表される厚さの2枚の板と、を含み、それぞれの板が独立して前記粒子線ビームの行路を遮る位置に移動可能に設けられていることを特徴とするレンジシフタ。
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