JP2010187588A - α−アミラーゼの生産方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】枯草菌を用いて、効率よくアミラーゼを生産する方法の提供。
【解決手段】アミラーゼ生産能を有する枯草菌を培養してα−アミラーゼを生産させるに際し、培地のpHを、対数増殖期中期から後期において8.0〜9.0とすることを特徴とするα−アミラーゼの生産方法。枯草菌が、Bacillus subtilis Marburg 168株又はその変異株を宿主とし、当該宿主にアミラーゼを発現するプラスミドが導入された組換え枯草菌である方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、枯草菌又はその変異株を用いたα−アミラーゼの生産方法に関する。
α−アミラーゼ (1,4-α-D-glucan glucanohydrolase[EC3.2.1.1])は、澱粉、アミロース、アミロペクチン等の澱粉系多糖類における分子中のα-1,4グルコシド結合のみを切断する酵素群の総称で、動物、植物、微生物に広く分布する普遍的な酵素であり、澱粉産業、醸造産業、繊維産業、医薬品産業及び食品産業等幅広い産業分野で利用されている。斯かるα-アミラーゼは、澱粉を高ランダムに分解できることから特に洗剤用酵素として好ましく、従来、Bacillus licheniformis由来のα-アミラーゼを始めとして、好アルカリ性Bacillus sp. KSM-AP1378(FERM BP-3048)株由来のアルカリ液化型α−アミラーゼ (特許文献1)やその改良型酵素(特許文献2)、好アルカリ性Bacillus sp. KSM-K38(FERM BP-6946)株由来のキレート剤・酸化剤耐性アルカリ液化型α-アミラーゼ(特許文献3、特許文献4)等が見出されている。
一方、微生物による有用物質の工業生産においては、その生産性の向上が重要な課題の一つであり、その手法として、突然変異等の遺伝学的手法による生産菌の育種が行われてきた。特に最近では、微生物遺伝学、バイオテクノロジーの発展により、遺伝子組換え技術等を用いたより効率的な生産菌の育種が行われるようになっている。さらに、近年のゲノム解析技術の急速な発展を受けて、対象とする微生物のゲノム情報を解読し、これらを積極的に産業に応用しようとする試みもなされている。
枯草菌については、枯草菌ゲノムに存在する約4100種類の遺伝子の破壊株が網羅的に研究され、271個の遺伝子が成育に必須であることが指摘され(非特許文献1)、本出願人は、枯草菌に由来する遺伝子破壊株を網羅的に解析し、枯草菌ゲノムの大量域を欠失させ、各種酵素の生産性に優れた変異株を見出すことに成功している(特許文献5)。
しかしながら、α−アミラーゼは難分泌性のタンパク質であり、その分泌生産は細胞表層の負電荷と密接に関連していると考えられていることから、限定された生産培地と安定な培養条件が用いられる工業的生産においてその生産性を向上させるためには、さらに個別に検討が必要であった。
WO94/26881号パンフレット WO98/44126号パンフレット 特開2000−184882号公報 特開2000−184883号公報 特開2007−130013号公報
K. Kobayashi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 100, 4678-4683, 2003
本発明は、枯草菌を用いて、α−アミラーゼを効率よく生産する方法を提供することに関する。
本発明者らは、アミラーゼ生産能を有する枯草菌を培養してα−アミラーゼを生産する方法について検討したところ、対数増殖期中期から後期において培地のpHを8.0〜9.0にした場合に大幅に生産性が向上されることを見出した。
すなわち、本発明は、アミラーゼ生産能を有する枯草菌を培養してα−アミラーゼを生産させるに際し、培地のpHを対数増殖期中期から後期において8.0〜9.0とすることを特徴とするα−アミラーゼの生産方法に係るものである。
本発明によれば、α−アミラーゼを効率よく分泌生産することができ、洗剤用酵素等として有用なα−アミラーゼのより効率的な工業的生産が実現できる。
アミラーゼ生産時における生育、生産性、培養液pH変化を示すグラフ。(a)(b)は生育曲線であり、(b)は生育度を対数で表記している。(c)はアミラーゼ生産性、(d)は培養液pHの変化を示す。●は枯草菌168株、○はMGB874株の結果を示す。数値はそれぞれ培養を3回行い得られた値の平均値を示した。 アルカリ添加(培養12時間目)における生育、アミラーゼ生産性、培養液pH変化を示すグラフ。Aは枯草菌168株、BはMGB874株を宿主とした場合の結果を示し、(a)、(d)は生育曲線、(b)、(e)アミラーゼ生産性、(c)、(f)が培養液pHの変化を示す。炭酸ナトリウム添加量をグラフの左に示した。No add. は非添加を意味する。数値はそれぞれ培養を3回行い得られた値の平均値を示した。 アルカリ添加(培養開始時、12時間目、24時間目)における生育、生産性、培養液pH変化を示すグラフ。Aは枯草菌168株、BはMGB874株を宿主とした場合の結果を示し、(a)、(d)は生育曲線、(b)、(e)はアミラーゼ生産性、(c)、(f)は培養液pHの変化を示す。炭酸ナトリウム添加時期をグラフの左に示した。No add. は非添加を意味し、0hは培養開始時に添加したことを意味する。数値はそれぞれ培養を3回行い得られた値の平均値を示した。
本発明において、α−アミラーゼとしては、バチルス ズブチリス マーバーグ(Bacillus subtilis Marburg)、バチルス ズブチリス ナットウ(Bacillus subtilis natto)、バチルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス セレウス(Bacillus cereus)、バチルス マセランス(Bacillus macerans)、シュードモナス シュツッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、クレブシェラ アエリゲネス(Klebusiella aerogenes)等のバチルス属を中心とする細菌、ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseus)等の放線菌、アスペルギウス オリザエ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)等のカビ類、イネ科及びマメ科植物の種子、ヒト及びブタ等の動物の消化腺等、多くの生物から得られているものを何れも使用することができる。
好ましくは、バチルス属細菌由来のα−アミラーゼが挙げられ、より好ましくは好アルカリ性バチルス属細菌由来のα−アミラーゼが挙げられ、さらに好ましくは好アルカリ性Bacillus sp. KSM-AP1378(FERM BP-3048)株由来のアルカリ液化型α−アミラーゼ (上記特許文献1)やその改良型酵素(上記特許文献2)、好アルカリ性Bacillus sp. KSM-K38(FERM BP-6946)株由来のアルカリ液化型α-アミラーゼ(上記特許文献3、特許文献4)等が挙げられる。
本発明において、アミラーゼ生産能を有する枯草菌としては、それ自体でα−アミラーゼ生産能を有するアミラーゼ生産菌や、α−アミラーゼを発現するプラスミドが導入された組換え枯草菌の何れでもよい。
ここで、組換え枯草菌は、公知の方法によってアミラーゼ発現用プラスミドベクターを作成し、これ用いて宿主枯草菌を形質転換することにより作製することができる。
アミラーゼ発現用プラスミドベクターとしては、枯草菌細胞内で複製可能であり、適当な形質転換マーカー遺伝子、宿主内で分泌可能なシグナル配列等をもち、導入した宿主細胞で機能するプロモーターの制御下、α−アミラーゼを発現させることのできるものであれば如何なるものでもよいが、α−アミラーゼDNA挿入のため、適当な制限酵素サイトがあることが望ましい。斯かるベクターとしては、例えばStaphylococcus aureus由来のpUB110、Bacillus cereus由来のpBC16、Enterococcus faecalis由来のpAMα1、pAMα1の一部を含み大腸菌、枯草菌で増殖できるシャトルベクターpHY300PLK(タカラバイオ)等が挙げられる。
斯かるプラスミドは、例えば、プロモーター配列及びリボソーム結合部位の下流にα−アミラーゼをコードする遺伝子を挿入する方法、例えばシグナルペプチドをコードするDNAの下流に、読み取り枠を揃え、α−アミラーゼをコードする遺伝子を挿入する方法等により作製することができる。
プロモーター配列、シグナルペプチド配列等は、上記ベクターを導入する各々の宿主細胞で機能し得るものであればよいが、アルカリバチルス属細菌由来のセルラーゼのプロモーター配列及びシグナルペプチド配列を用いるのが好ましく、特にBacillus sp. KSM-S237のセルラーゼプロモーター及びシグナル配列[Hakamada Y., et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 64,2281-2289(2000)]が望ましい。
得られた組換えDNAを用いて、宿主となる枯草菌を形質転換することにより、形質転換体を作製し、これを適当な培地にて培養し、培養物中にα−アミラーゼを生成蓄積させ、これを採取することによりα−アミラーゼを得ることができる。
本発明において、宿主枯草菌としては、例えば枯草菌Bacillus subtilis Marburg 168株又はその変異株が好適に挙げられる。
枯草菌Bacillus subtilis Marburg 168株は、Bacillus subtilis Marburg を親株としてYale大学のPaul Burkholder および Norman GilesによってX線照射によりトリプトファン要求性となった変異株である[Burkholder, P. R., and N. H. Giles. Am. J. Bot., 34, 345-348(1947)]。また、枯草菌Bacillus subtilis Marburg 168株の変異株としては、例えばMGB874株が挙げられる。
MGB874株は、枯草菌Bacillus subtilis Marburg No.168(枯草菌168株)を野生株とし、そのゲノムの大量域、すなわちprophage6 (yoaV-yobO)領域、prophage1 (ybbU-ybdE)領域、prophage4 (yjcM-yjdJ)領域、PBSX (ykdA-xlyA)領域、prophage5 (ynxB-dut)領域、prophage3 (ydiM-ydjC)領域、spb (yodU-ypqP)領域、pks (pksA-ymaC)領域、skin (spoIVCB-spoIIIC)領域、pps (ppsE-ppsA)領域、prophage2 (ydcL-ydeJ)領域、ydcL-ydeK-ydhU領域、yisB-yitD領域、yunA-yurT領域、cgeE-ypmQ領域、yeeK-yesX領域、pdp-rocR領域、ycxB-sipU領域、SKIN-Pro7 (spoIVCB-yraK)領域、sbo-ywhH領域、yybP-yyaJ領域及びyncM-fosB領域を欠失させたものである(前記特許文献5参照)。
形質転換は、例えば塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法、塩化ルビジウム法、リポフェクション法、DEAE−デキストラン法、リチウム法、スフェロプラスト法、ウイルス等により行えばよい。
本発明のα−アミラーゼ生産能を有する枯草菌の培養に使用する培地には、枯草菌が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
例えば、炭素源として、ぶどう糖や果糖等の単糖類、しょ糖、麦芽糖等の二糖類又は可溶性澱粉等の多糖類等、窒素源として、酵母エキス、魚肉エキス、コーンスティープリカー(CSL)、各種動植物由来のタンパク質を酸あるいは酵素により分解した成分、または各種アミノ酸等を配合した公知の培地を使用することができる。具体的には、例えば以下に示すLB培地、2xL−マルトース培地、グルコース・ブイヨン培地、肉汁培地、2SY培地(特開2002−238569号公報)、TM培地(特開2002−238569号公報)、MMG培地(Appl. Microbiol. Biotechnol., 62, 369-373)等が挙げられる。
Figure 2010187588
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培地のpHは、培養当初は、pH6.0〜pH7.5、好ましくはpH6.5〜pH7.0に調整するのがよい。pH調整には、無機又は有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行うことができる。
一般的に、枯草菌の増殖が培養中期から後期になると細胞の増殖が活発に進行し、やがて増殖が遅延し、細胞数が一定となり定常期に入る。培養中期〜後期では細胞量の増大とともに、培養液中への有機酸の放出等が増すことにより培養液pHが低下する。そこで、本発明においては、対数増殖期中期から後期において、培地pHを7.0〜9.0、好ましくは7.5〜8.5の範囲に調整して培養を継続する。これにより、α−アミラーゼ分泌量の低下を抑制し、向上させることができる(後記実施例参照)。
ここで、対数増殖期中期から後期とは、細胞が指数関数的に増殖を行う時期から栄養の欠乏による増殖阻害が起こり始める時期を意味する。細菌の増殖挙動は、前培養条件すなわち種菌調製条件や種菌摂取量、本培養条件すなわち生産培養条件等により異なり、対数増殖期中期、後期および定常期は培養時間では規定できないため、個々の条件にて培養した際の増殖挙動から判断することになる。ここでは対数増殖期中期とは菌体量(例えばOD600)が個々の培養条件における最大菌体量の1/5から3/4程度までの期間、後期とは菌体量が最大増殖量3/4程度から最大菌体量までの期間と考える。
pH調整は、細胞の増殖がほぼ対数増殖期中期に達した以降培養終了までの期間を通じて上記pHを維持することでもよいし、対数増殖期中期のみ、すなわち対数増殖期中期に達した後定常期に至るまでの期間のpHを維持することでもよい。
当該pH調整は、酵素生産を阻害しない無機または有機アルカリ溶液であればいずれでもよいが炭酸ナトリウムが好ましい。アルカリ溶液の濃度は、培地のpHを上記の値に調整できるものであれば限定されないが、0.1〜2.0%(W/V)、好ましくは0.3〜1.2%(W/V)である。
尚、培養温度は、α−アミラーゼの生産能を有する枯草菌が増殖できる温度であればとくに限定されないが、20〜40℃、好ましくは25〜35℃であり、培養時間もとくに限定されないが24〜120時間、好ましくは48〜72時間であり、必要により通気や攪拌を加えてもよい。
α−アミラーゼは、培養物中より採取することにより得ることができ、単離精製するためには、通常のタンパク質の単離、精製法を用いればよい。すなわち、培養終了後、遠心分離により細胞を除いた上清から、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、イオン交換クロマトグラフィー法、ゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法等の手法を単独あるいは組み合わせて用いることにより、単離精製することができるが、とくに上記回収、精製方法に限定されるものではない。
以下、本発明のα−アミラーゼの生産方法について具体的に説明する。
α−アミラーゼを発現するプラスミドの宿主枯草菌への導入は、プロトプラスト形質転換法(Mol. Gen. Genet. 168, 111 (1979))によって行った。組換え枯草菌によるα−アミラーゼ生産用の培養には、LB培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl)、2xL-マルトース培地(2%トリプトン、1%酵母エキス、1%NaCl、7.5%マルトース、7.5ppm硫酸マンガン4-5水和物)を用い、必要な場合はpHをアルカリ側にシフトする剤として10%(w/v)炭酸ナトリウムを適宜混合した。
実施例1 枯草菌168株およびMGB874株を宿主としたアミラーゼ生産
枯草菌168株およびMGB874株(Biotech. Appl. Biochem. 46:169-178 2007)(DNA research 15, 73-81 2008)を宿主としてアルカリアミラーゼAmyK38の生産性を評価した。
まず、発現用DNAの構築に際して、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-K38株(FERM BP-6946)より抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示されるK38matu-F2(ALAA)とSP64K38-R(XbaI)のプライマーセットを用いてPCRを行い、アルカリアミラーゼAmyK38(特開2000-184882号公報、Eur.J.Biochem.,268,2974,2001)をコードする領域を含む1.5kbのDNA断片を増幅した。増幅したDNA断片のうち、AmyK38の成熟配列をコードする領域及びその下流を配列番号1に示す。またバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-S237株(FERM BP-7875)より抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示されるS237ppp-F2(BamHI)とS237ppp-R2(ALAA)のプライマーセットを用いてPCRを行い、配列番号3で示されるアルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000-210081号公報)の転写開始制御領域、翻訳開始制御プロモーター領域及び分泌シグナル配列をコードする領域を含む0.6kbのDNA断片を増幅した。次いで、得られた2断片を混合して鋳型とし、表3に示されるS237ppp-F2(BamHI)とSP64K38-R(XbaI)のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、アルカリセルラーゼ遺伝子の転写開始制御領域、翻訳開始制御プロモーター領域及び分泌シグナル配列をコードする領域の下流に成熟型のアルカリアミラーゼをコードする遺伝子が連結した2.1kbのDNA断片を得た。得られた2.2kbのDNA断片をシャトルベクターpHY300PLK(ヤクルト)のBamHI-XbaI制限酵素切断点に挿入し、アルカリアミラーゼ生産性評価用プラスミドpHYK38(S237ps)を構築した。
Figure 2010187588
さらに、構築したプラスミドpHYK38(S237ps)をプロトプラスト形質転換法によって各菌株に導入した。これによって得られた組換え菌株を5mLのLB培地で一夜37℃において振盪培養を行い、更にこの培養液0.05 mLを30 mLの2×L-マルトース培地に接種し、30℃にて3日間振盪培養を行った。培養後、遠心分離によって菌体を除いた培養液上清のアミラーゼ活性を測定し、培養によって菌体外に分泌生産されたアミラーゼの量を求めた。
培養上清中のアミラーゼの活性測定にはリキテックAmy EPS(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を使用した。すなわち1% NaCl-1/7.5M リン酸緩衝液 (pH7.4 和光純薬工業)で適宜希釈したサンプル溶液50μLに、100μLのR1・R2混合液(R1(カップリング酵素):R2(アミラーゼ基質)=5:1(Vol.))を加えて混和し、30℃にて反応を行った際に遊離するp-ニトロフェノール量を405nmにおける吸光度(OD405nm)変化により定量した。吸光度変化の直線領域の傾き(mOD405nm/min)に係数2.9265を乗じて得られる値をU/Lとし、アミラーゼ生産性は比活性(4221 U/mg)(Appl.Environ.Microbiol. 67, 1744-1750 2001)より算出した。1 Unitは可溶性デンプンを基質とした場合に1分間で1μMのグルコースを遊離する酵素量である。
<結果>
図1には対数増殖期中期〜後期においてpH調整を行わない場合の枯草菌168株およびMGB874株のアミラーゼ生産時における生育曲線[図1(a)]、アミラーゼ生産性[図1(b)]、培養液pHの変化[図1(c)]を示す。
MGB874株は枯草菌168株よりもアミラーゼ生産性[図1(b)]が著しく低いことが判明した。また、MGB874株は対数増殖期中期から定常期において培養液pHが大きく低下することが見出された[図1(c)]。
実施例2 アルカリ剤添加によるアミラーゼ生産性向上
実施例1の手法と同様の手法でアミラーゼの生産を開始し、対数増殖期中期すなわち培養12時間目において炭酸ナトリウム水溶液を終濃度で0.3〜1.2[%(w/v)]となるように適宜添加した。枯草菌168株の生育、生産性、培養液pH変化を図2 Aに示し、MGB874株の生育、生産性、培養液pH変化を図2 Bに示す。また、生産性の詳細な数値として培養3日目のアミラーゼ生産量を表4に示した。
Figure 2010187588
図2より、168株およびMGB874株を宿主として用いた場合、炭酸ナトリウムの添加によりpHが上昇し[図2 (c),(f)]、さらに、アミラーゼの生産性が向上することが判明した [図2 (b),(e)] (表2)。炭酸ナトリウムの添加量は終濃度で0.9 % (w/v)となるように添加した場合に最も生産性が向上し、168株では非添加時の4倍、MGB874株では非添加時の240倍になった。一方で炭酸ナトリウムを1.2% (w/v)加えた場合、生育・生産性が低下することが判明し、特にMGB874株ではその影響が著しいことが判明した。
実施例3 アルカリ剤添加時期の検討
実施例1の手法と同様の手法でアミラーゼの生産を開始し、対数増殖期中期すなわち培養12時間目および対数増殖期後期すなわち培養24時間目において炭酸ナトリウム水溶液を終濃度で0.9[%(w/v)]となるように添加した。枯草菌168株の生育、生産性、培養液pH変化を図3 Aに示し、MGB874株の生育、生産性、培養液pH変化を図3Bに示す。
図3より、168株、MGB874株ともに炭酸ナトリウムの添加時期よらず、pHが上昇し、α−アミラーゼの生産性向上が認められた。炭酸ナトリウムの添加時期は培養12時間目(対数増殖期中期)であることが好ましく[図3 (b) , (c)]、培養開始時から添加した場合細胞は増殖できないことが判明した[図3 (a) , (d)]

Claims (3)

  1. アミラーゼ生産能を有する枯草菌を培養してα−アミラーゼを生産させるに際し、培地のpHを、対数増殖期中期から後期において8.0〜9.0とすることを特徴とするα−アミラーゼの生産方法。
  2. アミラーゼ生産能を有する枯草菌が、枯草菌Bacillus subtilis Marburg 168株又はその変異株を宿主とし、当該宿主にアミラーゼを発現するプラスミドが導入された組換え枯草菌である請求項1記載の生産方法。
  3. 枯草菌変異株が、MGB874株である請求項2記載の生産方法。
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