JP2010184830A - ガラス成形体の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精度な光学面を有するガラス成形体を高い生産効率で製造することが可能なガラス成形体の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】溶融槽のノズルから溶融ガラスを下型の受け面に供給する溶融ガラス供給工程と、下型の受け面に供給された溶融ガラスを、下型に対向する上型と協働して加圧成形し、上型の成形面が転写された光学面を有するガラス成形体を形成する成形工程と、を有するガラス成形体の製造方法において、溶融ガラス供給工程は、ノズルの中心に対し下型の受け面の中心が偏心するように下型を配置し、受け面の中心を軸とし下型を回転させながら溶融ガラスを下型の受け面に供給する。
【選択図】図1
【解決手段】溶融槽のノズルから溶融ガラスを下型の受け面に供給する溶融ガラス供給工程と、下型の受け面に供給された溶融ガラスを、下型に対向する上型と協働して加圧成形し、上型の成形面が転写された光学面を有するガラス成形体を形成する成形工程と、を有するガラス成形体の製造方法において、溶融ガラス供給工程は、ノズルの中心に対し下型の受け面の中心が偏心するように下型を配置し、受け面の中心を軸とし下型を回転させながら溶融ガラスを下型の受け面に供給する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガラス成形体の製造方法及び製造装置に関し、特に、溶融ガラスを成形金型で加圧成形してガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法及び製造装置に関する。
ガラス製の光学素子は、デジタルカメラ用レンズ、DVD等の光ピックアップレンズ、携帯電話用カメラレンズ、光通信用のカップリングレンズ、各種ミラー等として利用されるようになり、その用途は広範囲に及んでいる。このようなガラス製の光学素子は、ガラス素材を成形金型で加圧成形するプレス成形法により製造されることが多くなってきた。特に、光学面として非球面を有する光学素子は、研削・研磨加工による面形成が容易でないことから、成形金型によるプレス成形法による製造が一般的になりつつある。その中でも、溶融ガラスを成形金型で直接加圧成形してガラス製の光学素子を得るダイレクトプレス法は、高い生産効率を期待できることから注目されている。
溶融ガラスを成形金型で直接加圧成形してガラス製の光学素子を得る方法として、ノズル先端からの溶融ガラスを下型に滞留させた後、下型上の溶融ガラスを上型と下型とで加圧成形する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載された方法のように溶融ガラスを成形金型で直接加圧成形する方法においては、金型に該金型よりも高温の溶融ガラスが供給され、供給された溶融ガラスは主に金型との接触面からの放熱によって冷却されて固化する。
しかしながら、成形の過程で溶融ガラスの冷却される速度が、溶融ガラスの上面と下面、あるいは中心部と周辺部において異なり、冷却による収縮量が不均一になることから、精度の高い光学面を形成することは困難であった。特に、溶融ガラスが最初に下型に接触して急冷される下面側に精度の高い光学面を形成することは非常に困難であった。
そこで、特許文献1では、溶融ガラスの温度が比較的安定する上面側の光学面のみを上型の成形面の転写によって形成し、ガラス成形体を形成した後、下面側の光学面は追加工(研削・研磨加工)によって形成することでガラスレンズを製造する方法が提案されている。
特許文献1に記載の方法においては、溶融ガラスの中心部と周辺部とで温度差があったとしても、ガラス成形体の下面側には精度の高い光学面を形成することができる。しかし、ガラス成形体の上面側に高精度な光学面を得ることが難しいという問題があった。
また、例えば、外径がφ20mm以上といった比較的大きなガラス成形体を製造する場合には、下型の受け面に多量の溶融ガラスを溜める必要があることから、溶融ガラスの外径を規制する為の外径規制面を有する外径規制部材を備えた成形金型を使用する必要がある。この場合、供給された溶融ガラスは下型の受け面と接触するだけでなく、外径規制部材の外径規制面とも接触することになる。溶融ガラスは、これら成形金型との接触面から急速に冷却される為、このような外径規制部材を備えた成形金型を使用する場合には、溶融ガラスの端部の冷却が一層急速に進むことになる。このように、溶融ガラスの中心部と周辺部の冷却速度に大きな差が生じることから、成形時における溶融ガラスの収縮量が均一にならず、ガラス成形体の上面側に高精度な光学面を得ることはさらに困難となっていた。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、高精度な光学面を有するガラス成形体を高い生産効率で製造することが可能なガラス成形体の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
上記目的は、下記の1から6の何れか1項に記載の発明によって達成される。
1.溶融槽のノズルから溶融ガラスを下型の受け面に供給する溶融ガラス供給工程と、
前記下型の受け面に供給された前記溶融ガラスを、前記下型に対向する上型と協働して加圧成形し、前記上型の成形面が転写された光学面を有するガラス成形体を形成する成形工程と、を有するガラス成形体の製造方法において、
前記溶融ガラス供給工程は、
前記ノズルの中心に対し前記下型の受け面の中心が偏心するように前記下型を配置し、
前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させながら前記溶融ガラスを前記下型の受け面に供給することを特徴とするガラス成形体の製造方法。
前記下型の受け面に供給された前記溶融ガラスを、前記下型に対向する上型と協働して加圧成形し、前記上型の成形面が転写された光学面を有するガラス成形体を形成する成形工程と、を有するガラス成形体の製造方法において、
前記溶融ガラス供給工程は、
前記ノズルの中心に対し前記下型の受け面の中心が偏心するように前記下型を配置し、
前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させながら前記溶融ガラスを前記下型の受け面に供給することを特徴とするガラス成形体の製造方法。
2.前記溶融ガラス供給工程は、
前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させるとともに前記ノズルの中心と前記下型の受け面の中心との偏心量を変化させるように前記下型を移動させながら、前記溶融ガラスを前記下型の受け面に供給することを特徴とする前記1に記載のガラス成形体の製造方法。
前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させるとともに前記ノズルの中心と前記下型の受け面の中心との偏心量を変化させるように前記下型を移動させながら、前記溶融ガラスを前記下型の受け面に供給することを特徴とする前記1に記載のガラス成形体の製造方法。
3.前記溶融ガラス供給工程は、前記下型の受け面の周辺に設けられた前記溶融ガラスの外径を規制する外径規制部材を予め加熱した後、前記溶融ガラスを前記下型の受け面に供給することを特徴とする前記1または2に記載のガラス成形体の製造方法。
4.溶融ガラスを供給するノズルを有する溶融槽と、
前記溶融槽のノズルから供給された前記溶融ガラスを受ける受け面を有する下型と、該下型の受け面に供給された前記溶融ガラスを、前記下型と協働して加圧成形する上型を有する成形金型と、を備え、前記上型の成形面が転写された光学面を有するガラス成形体を製造するガラス成形体の製造装置において、
前記溶融槽のノズルと前記下型の受け面の相対位置を変化させる下型駆動装置を備え、
前記下型駆動装置は、
前記溶融槽のノズルから前記溶融ガラスが前記受け面に供給される際、前記ノズルの中心に対し前記下型の受け面の中心が偏心するように前記下型を移動させ、
前記溶融ガラスが前記下型の受け面に供給される動作と並行して、前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させることを特徴とするガラス成形体の製造装置。
前記溶融槽のノズルから供給された前記溶融ガラスを受ける受け面を有する下型と、該下型の受け面に供給された前記溶融ガラスを、前記下型と協働して加圧成形する上型を有する成形金型と、を備え、前記上型の成形面が転写された光学面を有するガラス成形体を製造するガラス成形体の製造装置において、
前記溶融槽のノズルと前記下型の受け面の相対位置を変化させる下型駆動装置を備え、
前記下型駆動装置は、
前記溶融槽のノズルから前記溶融ガラスが前記受け面に供給される際、前記ノズルの中心に対し前記下型の受け面の中心が偏心するように前記下型を移動させ、
前記溶融ガラスが前記下型の受け面に供給される動作と並行して、前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させることを特徴とするガラス成形体の製造装置。
5.前記下型駆動装置は、
前記溶融ガラスが前記下型の受け面に供給される動作と並行して、前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させるとともに前記ノズルの中心と前記下型の受け面の中心との偏心量を変化させるように前記下型を移動させることを特徴とする前記4に記載のガラス成形体の製造装置。
前記溶融ガラスが前記下型の受け面に供給される動作と並行して、前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させるとともに前記ノズルの中心と前記下型の受け面の中心との偏心量を変化させるように前記下型を移動させることを特徴とする前記4に記載のガラス成形体の製造装置。
6.前記下型の受け面の周辺に設けられた前記溶融ガラスの外径を規制する外径規制部材と、
前記外径規制部材を加熱するヒータと、を備え、
前記ヒータは、
前記溶融槽のノズルから前記溶融ガラスが前記受け面に供給される前に前記外径規制部材の加熱を開始することを特徴とする前記4または5に記載のガラス成形体の製造装置。
前記外径規制部材を加熱するヒータと、を備え、
前記ヒータは、
前記溶融槽のノズルから前記溶融ガラスが前記受け面に供給される前に前記外径規制部材の加熱を開始することを特徴とする前記4または5に記載のガラス成形体の製造装置。
本発明によれば、溶融ガラスを下型の受け面に供給する際、ノズルの中心に対し下型の受け面の中心が偏心するように下型を配置し、受け面の中心を軸とし下型を回転させながら溶融ガラスを下型の受け面に供給するようにした。すなわち、溶融ガラスを受け面の中心を中心とする所望の半径(偏心量)の円を描くように供給するようにした。これにより、溶融ガラスの中心部と周辺部の冷却速度差が抑えられ、受け面に供給された溶融ガラスの温度分布を均一化でき、成形時における溶融ガラスの収縮量を均一化することができる。その結果、加圧成形によって少なくとも上面側の光学面が高精度に形成されたガラス成形体を得ることができ、高精度な光学面を有するガラス成形体を高い生産効率で製造することができる。
また、溶融ガラスを下型の受け面に供給する際、受け面の中心を軸とし下型を回転させるとともにノズルの中心と下型の受け面の中心との偏心量を変化させるように下型を移動させながら、溶融ガラスを下型の受け面に供給することもできる。すなわち、溶融ガラスを受け面の中心を中心とする螺旋状の軌跡を描くように供給することもできる。これにより、溶融ガラスの中心部と周辺部の冷却速度差がさらに抑えられ、受け面に供給された溶融ガラスの温度分布をより均一化することができる。
以下図面に基づいて、本発明に係るガラス成形体の製造方法及び製造装置の実施の形態を説明する。尚、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
最初に、本発明におけるガラス成形体の製造装置に該当する成形装置の概略構成を図1を用いて説明する。図1は、成形装置1の概略構成を示す断面模式図である。
成形装置1の要部は、溶融槽5、成形金型3、及び下型駆動装置7等から構成される。
溶融槽5は、内部に投入されたガラス材料を溶融し、溶融ガラス10を生成する。溶融槽5の底面には、流出パイプ51が設けられている。流出パイプ51の先端にはノズル53が設けられ、ノズル53より溶融ガラス10を成形金型3の下型33の受け面33aに供給する。また、溶融槽5の内部には、図示しない攪拌翼が設けられており、該攪拌翼を回転させて、溶融ガラス10を攪拌し均質化する。
溶融槽5、流出パイプ51、及び攪拌翼の材料としては、例えば、白金を用いることができる。また、溶融槽5の外側には、槽全体を支える為に、図示しない耐火物製補強部材を設けてもよい。また、溶融槽5や流出パイプ51の周囲には、それぞれを所定の温度に加熱制御する、図示しないヒータ、及び温度センサが設けられている。
成形金型3は、上型31、下型33、及び外径規制部材35等から構成される。ここで、成形金型3の構成を図2を用いて説明する。図2は、成形金型3の概略構成を示す断面模式図である。
上型31には、ガラス成形体の光学面を形成する為の凹の非球面形状の成形面31aが形成されている。下型33には、溶融ガラス10を受ける為の平坦な受け面33aが形成されている。外径規制部材35は、円筒状の形状をなし、その内面には溶融ガラス10の外径を規制する為の外径規制面35aが形成され、下型31に嵌め込まれて固定されている。
尚、本実施形態においては、上型31の成形面31aは凹の非球面に形成されているが、凸の非球面であってもよい。また、下型33の受け面33aは平坦な面に形成されているが、凹面、凸面であってもよい。
また、外径規制部材35は、必ずしも必須の部材ではないが、例えば外径がφ20mm以上といった比較的大きなガラス成形体を製造する場合には、下型33の受け面33aに多量の溶融ガラス10を溜める必要があることから、溶融ガラス10の外径を規制する為の外径規制面35aを有する外径規制部材35を備えていることが好ましい。外径規制部材35は、図2に示すように下型33と別部材で構成しても良いし、同一部材に受け面33aと外径規制面35aとを形成し、下型33と外径規制部材35の両方の機能を兼ね備えた部材を用いてもよい。また、下型33に固定せずに脱着可能な構成としてもよいし、下型33とは別に独立して上下に移動できる機構を備えた構成とすることも好ましい。
下型31、上型33、外径規制部材35には、それぞれを所定温度に加熱制御する図示しないヒータ、及び温度センサが設けられている。
ヒータ、及び温度センサは、それぞれの部材を独立して温度調節することができる構成としてもよいし、成形金型3全体を一つ、あるいは複数のヒータでまとめて加熱するような構成としてもよい。ヒータとしては、公知の各種のヒータの中から適宜選択して用いることができる。例えば、部材の内部に埋め込んで使用するカートリッジヒータや、部材の外側に接触させて使用するシート状のヒータ等を用いることができる。また、温度センサとしては、種々の熱電対の他、白金測温抵抗体、各種サーミスタ等公知のセンサを用いることができる。
成形金型3の内、上型31の加熱温度は、溶融ガラス10に成形面31aの形状を良好に転写できる温度範囲に設定する必要がある。通常、成形するガラスのTg(ガラス転移点)−100℃からTg+100℃程度の温度範囲とすることが好ましい。加熱温度が低すぎると溶融ガラス10に成形面31aの形状を良好に転写させることが困難になってくる。逆に、必要以上に温度を高くしすぎることは、溶融ガラス10と成形金型3との融着を防止する観点や、成形金型3の寿命の観点から好ましくない。実際には、成形するガラスの材質や、ガラス成形体の形状、大きさ、成形金型3の材質、保護膜の種類、ヒータや温度センサの位置等種々の条件を考慮に入れて適正な温度を決定する。
下型33と外径規制部材35の加熱温度については、上型31とは異なり受け面33aや外径規制面35aの転写性を考慮する必要はないが、溶融ガラス10の冷却速度に影響することから、上型31の場合と同様に、成形するガラスのTg−100℃からTg+100℃程度の温度範囲とすることが好ましい。
上型31、下型33、及び外径規制部材35の材料は、炭化タングステンを主成分とする超硬材料、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、カーボン等、ガラス成形体を加圧成形する為の成形金型として公知の材料の中から適宜選択して用いることができる。また、これらの材料の表面に各種金属やセラミックス、カーボン等の保護膜を形成したものを用いることもできる。上型31、下型33、及び外径規制部材35を同一の材質としてもよいし、それぞれ別の材質としてもよい。
加圧成形方法としては、溶融ガラス10を成形金型3で直接加圧成形するダイレクトプレス法やその他周知の方法を用いることができる。また、加圧機構は、特に限定されることなく、エアシリンダ、油圧シリンダ、サーボモータを用いた電動シリンダ等の公知の加圧機構を適宜選択して用いることができる。
また、ガラス材料は、特に限定されることなく、光学的用途に用いられる周知のガラスを用途に応じて選択して用いることができる。例えば、リン酸系ガラス、ランタン系ガラス等が挙げられる。
図1に戻って、下型駆動装置7は、加圧部71、及び駆動部73等から構成される。
加圧部71は、前述のようにエアシリンダ、油圧シリンダ、サーボモータを用いた電動シリンダ等の公知の加圧機構を備え、下型33を駆動することで、溶融ガラス10を加圧成形する。尚、本実施形態においては、加圧部71は、下型33を駆動する構成としたが、これに限定されることなく、上型31、または上型31と下型33の両方を駆動する構成としてもよい。
駆動部73は、溶融槽5のノズル53から溶融ガラス10を下型33の受け面31aに供給する際、下型33を矢印H方向へ移動、及び矢印R方向に回転させる。尚、駆動部73による下型33の駆動動作の詳細は後述する。
次に、このような構成の成形装置1を用いて形成されるガラス成形体を図3を用いて説明する。図3は、ガラス成形体11の一例を示す断面模式図である。
図3に示すように、ガラス成形体11の一方の面には、上型31による凸の非球面の転写面11a(光学面)が形成され、他方の面には、下型33による平坦な転写面11bが形成されている。尚、下型33による転写面11bは、転写性が乏しいことから、後工程で機械加工により、例えば破線で示すような凸の球面(機械加工面11c)に高精度に仕上げるものである。このようにして仕上げられた非球面レンズ11Aの一例を図4に示す。図4に示すように、非球面レンズ11Aの一方の面には、加圧成形により凸の非球面の転写面11a(光学面)が形成され、他方の面には、機械加工により凸の球面の機械加工面11c(光学面)が形成されている。尚、本実施形態においては、機械加工面1cは凸面に形成されているが、凸面に限定されることなく凹面であってもよい。
機械加工方法としては、高速研削機(カーブジェネレータ)等を用いた粗摺工程、ダイヤモンドペレット等を用いた精研削工程、研磨剤で表面を仕上げる研磨工程といった工程によって光学面を形成することができるが、これに限定されることはなく、公知の手法を適宜選択して用いることができる。また、研削等によって非球面レンズ11Aのコバ面を形成する工程を備えていてもよい。
次に、このような構成の成形装置1を用いたガラス成形体の製造方法の概要を前述の図1を用いて説明する。
本実施形態においては、溶融ガラス10の温度よりも低い所定温度に加熱された成形金型3の下型33の受け面33aに、溶融槽5の下部に設けられたノズル53より溶融ガラス10を供給する(溶融ガラス供給工程)。このとき、溶融槽5とノズル53は図示しないヒータによってそれぞれ所定の温度に加熱されている。溶融ガラス10が供給された下型33は上型31の下方まで移動し、下型33と上型32並びに外径規制部材35とで溶融ガラス10を加圧成形して、それぞれの成形面(成形面31a、受け面33a、外径規制面35a)が転写されたガラス成形体を得る(成形工程)。
ここで、本発明は、溶融ガラス供給工程において、下型33の受け面33aに供給された溶融ガラス10の中心部と周辺部の冷却速度差を抑え、溶融ガラス10の温度分布を均一化することで、成形時における溶融ガラス10の収縮量を均一化させる。その為に、溶融槽5のノズル53から溶融ガラス10を下型33の受け面31aに供給する動作と並行して、ノズル53に対する受け面33aの相対位置を変化させるものである。以下、その詳細を図5を用いて説明する。
(溶融ガラス供給方法1)
図5(a)に溶融ガラス供給工程で行われる溶融ガラス10の供給方法の一例を示す。図5(a1)は、溶融槽5のノズル53に対する下型33の受け面33a相対位置を示す断面模式図、図5(a2)は、受け面33aに供給される溶融ガラス10の軌跡を示す平面模式図、図5(a3)は、図5(a2)中A−A′断面における溶融ガラス10の温度分布を示す模式図である。
(溶融ガラス供給方法1)
図5(a)に溶融ガラス供給工程で行われる溶融ガラス10の供給方法の一例を示す。図5(a1)は、溶融槽5のノズル53に対する下型33の受け面33a相対位置を示す断面模式図、図5(a2)は、受け面33aに供給される溶融ガラス10の軌跡を示す平面模式図、図5(a3)は、図5(a2)中A−A′断面における溶融ガラス10の温度分布を示す模式図である。
本供給方法1は、最初に、図5(a1)に示すように、下型駆動装置7の駆動部73により、ノズル53の中心C1に対し下型33の受け面33aの中心C2が所定量d(例えば、受け面33aの半径の略半分)偏心するように下型33を移動させる。
次に、ノズル53より溶融ガラス10の供給を開始するとともに、駆動部73により、受け面33aの中心C2を軸とし下型33を回転させる。
この時、受け面33aに供給される溶融ガラス10の軌跡は、図5(a2)に示すように、受け面33aの中心C2を中心とする半径dの円Cを描くような軌跡となる。
図5(c)に従来の溶融ガラス10の供給方法を示す。図5(c1)〜図5(c3)は、それぞれ前述の図5(a1)〜図5(a3)に対応する図である。
図5(c1)に示すように、ノズル53の中心C1と下型33の受け面33aの中心C2を一致させ固定した状態で、溶融ガラス10を受け面33aに供給した場合は、受け面33aへ供給された溶融ガラス10の中心部と周辺部の冷却速度差が大きく、図5(c3)に示すように、温度分布が不均一となる。
このように、本実施形態における溶融ガラス供給方法1においては、溶融ガラス10の受け面33aへの供給軌跡を半径dの円Cを描くような軌跡とすることにより、受け面33aへ供給された溶融ガラス10の中心部と周辺部の冷却速度差が抑えられ、図5(a3)に示すように、温度分布を均一化できる。その結果、成形時における溶融ガラス10の収縮量を均一化することができ、加圧成形によって少なくとも上面側の光学面(転写面11a)が高精度に形成されたガラス成形体11を得ることができる。尚、溶融ガラス10を受け面33aに供給する際に、外径規制部材35を予め加熱しておくと、受け面33aへ供給された溶融ガラス10の中心部と周辺部の冷却速度差をさらに抑えることができる。
(溶融ガラス供給方法2)
図5(b)に溶融ガラス供給工程で行われる溶融ガラス10の供給方法の別例を示す。図5(b1)〜図5(b3)は、それぞれ前述の図5(a1)〜図5(a3)に対応する図である。
(溶融ガラス供給方法2)
図5(b)に溶融ガラス供給工程で行われる溶融ガラス10の供給方法の別例を示す。図5(b1)〜図5(b3)は、それぞれ前述の図5(a1)〜図5(a3)に対応する図である。
本供給方法2は、図5(b1)に示すように、下型駆動装置7の駆動部73により、受け面33aの中心C2を軸とし下型33を回転させるとともに下型33を矢印H方向に移動させながら(偏心量を変化させながら)、溶融ガラス10を受け面33aに供給する。
この時、受け面33aに供給される溶融ガラス10の軌跡は、図5(b2)に示すように、受け面33aの中心C2を中心とする螺旋状Pの軌跡となる。
このように、本実施形態における溶融ガラス供給方法2においては、溶融ガラス10の受け面33aへの供給軌跡を螺旋状Pの軌跡とし、受け面33aの略全面に渡って溶融ガラス10を供給することにより、受け面33aへ供給された溶融ガラス10の中心部と周辺部の冷却速度差がより抑えられ、図5(b3)に示すように、温度分布をさらに均一化できる。その結果、成形時における溶融ガラス10の収縮量を一層均一化することができる。
尚、以上の説明では非球面レンズの一方の光学面が非球面である例を説明したが、両方の光学面が非球面である非球面レンズにも本発明は適用できる。
1 成形装置
3 成形金型
31 上型
31a 成形面
33 下型
33a 受け面
35 外径規制部材
35a 外径規制面
5 溶融槽
51 流出パイプ
53 ノズル
7 下型駆動装置
71 加圧部
73 駆動部
10 溶融ガラス
11 ガラス成形体
11a、11b 転写面
11c 機械加工面
11A 非球面レンズ
3 成形金型
31 上型
31a 成形面
33 下型
33a 受け面
35 外径規制部材
35a 外径規制面
5 溶融槽
51 流出パイプ
53 ノズル
7 下型駆動装置
71 加圧部
73 駆動部
10 溶融ガラス
11 ガラス成形体
11a、11b 転写面
11c 機械加工面
11A 非球面レンズ
Claims (6)
- 溶融槽のノズルから溶融ガラスを下型の受け面に供給する溶融ガラス供給工程と、
前記下型の受け面に供給された前記溶融ガラスを、前記下型に対向する上型と協働して加圧成形し、前記上型の成形面が転写された光学面を有するガラス成形体を形成する成形工程と、を有するガラス成形体の製造方法において、
前記溶融ガラス供給工程は、
前記ノズルの中心に対し前記下型の受け面の中心が偏心するように前記下型を配置し、
前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させながら前記溶融ガラスを前記下型の受け面に供給することを特徴とするガラス成形体の製造方法。 - 前記溶融ガラス供給工程は、
前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させるとともに前記ノズルの中心と前記下型の受け面の中心との偏心量を変化させるように前記下型を移動させながら、前記溶融ガラスを前記下型の受け面に供給することを特徴とする請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。 - 前記溶融ガラス供給工程は、前記下型の受け面の周辺に設けられた前記溶融ガラスの外径を規制する外径規制部材を予め加熱した後、前記溶融ガラスを前記下型の受け面に供給することを特徴とする請求項1または2に記載のガラス成形体の製造方法。
- 溶融ガラスを供給するノズルを有する溶融槽と、
前記溶融槽のノズルから供給された前記溶融ガラスを受ける受け面を有する下型と、該下型の受け面に供給された前記溶融ガラスを、前記下型と協働して加圧成形する上型を有する成形金型と、を備え、前記上型の成形面が転写された光学面を有するガラス成形体を製造するガラス成形体の製造装置において、
前記溶融槽のノズルと前記下型の受け面の相対位置を変化させる下型駆動装置を備え、
前記下型駆動装置は、
前記溶融槽のノズルから前記溶融ガラスが前記受け面に供給される際、前記ノズルの中心に対し前記下型の受け面の中心が偏心するように前記下型を移動させ、
前記溶融ガラスが前記下型の受け面に供給される動作と並行して、前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させることを特徴とするガラス成形体の製造装置。 - 前記下型駆動装置は、
前記溶融ガラスが前記下型の受け面に供給される動作と並行して、前記受け面の中心を軸とし前記下型を回転させるとともに前記ノズルの中心と前記下型の受け面の中心との偏心量を変化させるように前記下型を移動させることを特徴とする請求項4に記載のガラス成形体の製造装置。 - 前記下型の受け面の周辺に設けられた前記溶融ガラスの外径を規制する外径規制部材と、
前記外径規制部材を加熱するヒータと、を備え、
前記ヒータは、
前記溶融槽のノズルから前記溶融ガラスが前記受け面に供給される前に前記外径規制部材の加熱を開始することを特徴とする請求項4または5に記載のガラス成形体の製造装置。
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---|---|---|---|
JP2009029588A JP2010184830A (ja) | 2009-02-12 | 2009-02-12 | ガラス成形体の製造方法及び製造装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112479572A (zh) * | 2020-12-25 | 2021-03-12 | 安徽金龙浩光电科技有限公司 | 一种3d玻璃热弯机伺服转置成型调试方法 |
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2009
- 2009-02-12 JP JP2009029588A patent/JP2010184830A/ja active Pending
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